セミリアイア「晩年」日記

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2023.01.31
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カテゴリ: 日々雑感


良質で高価な品物が、定価で売られている。店員はよく訓練され、最上の接客をしてくれる。

そういう空気がデパートから消失したのはいつからだろう。おそらくバブル崩壊後くらいから、デパートの売り上げは落ちてきたのだろうが、イトーヨーカ堂や長崎屋という大規模スーパーに人びとは行くようになった。そこでは、デパートのような紳士服、婦人服も売られていたが、品質は少し劣り、値段は安かった。数字の末尾が980円というのが不文律のように値札が下がっていた。そして青山、アオキなどの紳士服専門店、ユニクロ、外食産業。もうデパートで買うものも、食べるものもない。

しかし、そういう状況でも、デパートは何とか悪戦苦闘していた。専門店のスペースを取り、売り場面積の切り売りを始め、全国うまいもの市を頻繁に開催し、一階はすべてブランドショップで埋め尽くした。が、ブランド品がほしい人びとは、直営店かネットか郊外のアウトレット店で、購入するようになる。もはやデパートの包装紙の特別感もなくなった。お中元、お歳暮という贈答文化の衰退もあった。

今日、生まれ故郷のデパートが閉店する。藤丸さん、丸井さん、棒二さんとどこでもそうだが、敬称つきで呼ばなければならないような雰囲気を持っていた大規模百貨店が、とうとう大都市札幌以外からすべて姿を消すことになる。

消えてしまったね
消えてゆくんだね
時が流れていく
時が移っていく
少し泣きたくなる
ちょっと悲しくなる
少し泣きたくなる
ちょっと寂しくなる
(吉田拓郎 『消えてゆくもの』)

子どものころ、九州に家族旅行に行ったことがある。あれが、自分の最大の家族旅行だった。福岡でも、宮崎でも、鹿児島でも、「どこに行きたい?」と聞かれ、「デパート!」と元気に答えると、両親は苦笑していた。​





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最終更新日  2023.01.31 03:49:27


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