小村和也の建築家日記

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カテゴリ: カテゴリ未分類
安藤はとても親しみやすい人柄だった。

よく話を聞いてくれた。よく話をしてくれた。
私の車で色々なところをまわった。先々でその場所とは関係ない話
に花がさいた。
作品に対する思いを聞かせてくれた。裏話も聞けた。

一瞬一瞬が感動だった。

たくさん聞いた中で一番印象的だったのは、もともと建築の教育は
一切受けていないことだった。
旅の大切さを教えてくれた。本を読むことを薦めてくれた。

運動は毎日欠かしたことがないという。私も読書量では誰にも負け
ないつもりだったが、この継続的パワーには脱帽だった。

その後、できるだけあやかってきたが、3日坊主で終わったりまた
復活したりの連続だった。

私自身その後、建築家の道をあきらめ家業を手伝っていた15年間
も、なぜか建築をめぐる旅と読書と運動は欠かさなかった。
(だからこの歳で建築家としての華々しい(笑)デビューが可能だったのかな)

かしこまった食事は嫌いらしく、簡単なものを食べた記憶がある。

とにかく話が弾んだ。

私はうれしかった。初めて話が通じる人に会った思いだった。

私は特別な建築論などぶつけてはいない。そもそも建築とはどうい

ぶつけた。まったくそのとおりだと言ってくれた。
それを突き進めるにはパワーが必要だといった。

一回りも歳が違うのにそれを感じさせなかった。真摯に話をする人
だと思った。

帰りの時間が近づいてきた。夜の空港へ送った。



日本にも未開の地があるってことですよ、と私が言って、二人で大
笑いした。

安藤が飛行機のタラップを上っていく。飛行機の入り口で立ち止ま
り、屋上で見送る私を見つけて大きく手を振ってくれた。

飛び立つ飛行機が涙でかすんでやがてその音がなくなり、ふといつ
もの風景の中にいた。

まるで、別世界を旅していたようだった。

                            続く






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Last updated  2004/01/02 04:39:20 PM
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