「わたしも慧慈軍曹に会ったとき、そう感じさせられたよ」と正井。「人間関係や世渡りは難しい。このアートルーパーもそれに悩まされている。慧慈、だが前にも言ったろう、それは、人間をやっていることの面白さでもあるんだ。人間同士の関係に悩まないやつは人間であることの楽しみを放棄している。悩むのは苦しいし生命の危機もあるが、それも人間をやっていることの面白みの方だ。わたしは、長年人間をやってきてそう思うようになった。きみは、人間じゃない。でも、いずれわかるときがくるかもしれない。」
ー早く行け。あとは、こちらの問題だ。」
創造というのは決死の覚悟なくしてはやれないだろう。自分がなにかを創ったのならば、それに殺されてもいい、ということなんだから。ようするにと慧慈は思う、これに殺されても文句はない、というものでなければ、創ってはならないということだ。」
傘が欲しい、と慧慈は思った。兵士にとって傘は無縁だった。どんな土砂降りであろうと、戦闘訓練や教習や私的時間に関わりなく、傘をさすことは許されなかった。でもいまは、違う。」
「慧慈、どうした」と聖司。
「雨は苦手だ」
「サンクに笑われるぞ。サンクは嬉しがってる」
「傘が欲しい。一度も使ったことがないんだ」
「ほんとか」
「生まれたときから兵士だ」
「そうか、なるほどな」
「これからは、傘をさせる」
「まず、作らないといけない。やることはたくさんある。とにかく、いまはないんだから、我慢しろ。心配するな、輸送機には屋根がついてる」
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