遊心六中記

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2022.01.31
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カテゴリ: 観照
​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ 今回のPRチラシ です。
先週、1月26日(水)に京都国立博物館に行きました。主目的は恒例の干支づくしの新春特集展示を鑑賞するためです。今年は勿論「 寅づくし -干支を愛でる- 」です。

当日平成知新館で入手した 「京都国立博物館だより 2020年1・2・3月号」 です。
現時点では、併行して企画されている 3つの特集展示を平成知新館で鑑賞
一つは、上記の「寅づくし」で2月13日までの期間です。
併せて特集展示として 「新収品展」 (2月6日まで)と 「後期古墳の実像 -播磨の首長墓・西宮山古墳-」 (2月13日まで)を開催中です。
当日入手の諸資料も参照・引用し、私の覚書を兼ねたご紹介をしたいと思います。

まずは 京博への 往路の一部を少し点描風に ご紹介することから始めます。
私は京博に行く時、通常はJR奈良線の東福寺駅で下車して、本町通を北上し、大谷高・中学校の正門前の道路を北上し、JRの軌道上の陸橋を経由して、三十三間堂の南端の築地塀(太閤塀)が面する塩小路通まで出ます。塩小路通りを東に進み、「南大門」を通り抜けて、北方向に転じて京博に至ります。

南大門を通り過ぎ、少し東にすすむと、塩小路通の北側に駐車場のフェンスが見えます。
その南西隅にこの石標が建てられています。 

傍の壁面に 歴史地理史学者・中村武生著によるこの案内銘板 (2010年5月)が設置されています。
「当地東山には、ながく『大仏』がありました。豊臣政権が造営し、徳川政府が維持したものです。その寺の名を、江戸時代以後、方広寺といいました。
 現在も同寺は現存しますが、当時はいまと比較にならない広さで、三十三間堂(蓮華王院本堂)や法住寺、養源院などもその境内に含まれていました。現在地はその南限にあたあります。蓮華王院南大門(正しくは『大仏南門』)と太閤塀はそのなごりです。その前(南側)の道も、一般には塩小路通とよびますが、『大仏南門通』と別称されています。付近にある『大仏変電所』の名もそれゆえです。
 幕末期、この大仏南門近くに、坂本龍馬ら土佐出身の志士が住んでいました。ここで龍馬は、妻楢崎龍(のち鞆。龍馬の死後再婚して西村ツル)と出会うことになります。たまたまその母貞(てい)と末娘君江が同所で賄いをしていたからです。

 が、これが事実かどうか、ながくわかりませんでした。これを裏づけたのが、お龍の回想にも出てくる北添佶摩の書翰でした(元治元年<1864>5月2日付、母宛)。そこに『私義は此節は、洛東東山近辺瓦町と申す処へ居宅を借受け、外に同居の人五・六人も之れあり不自由なく相暮らし居候』とあるからです。当地の南向かいの地名はいまも『本瓦町』で、北添が龍馬らと暮らしていた地であったにちがいありません。
 当地は同元治元年6月5日、新選組を有名にした池田屋事件の際、龍馬や北添らの住居であったため、京都守護職などの役人に踏み込まれます。龍馬らは不在でしたが、貞や君江が連行されました(まもなく釈放)。ちなみに北添はこの事件で戦死します。その後の8月初旬、帰ってきた龍馬は、お龍と青蓮院塔頭金蔵寺(現東山区三条通白川橋東入ル南側)で内祝言(内々の結婚式)を挙げることになります。
 以上の理由から、当地を重要な幕末史蹟として建碑し、顕彰するものです。」 (転記) 

石標の東面には「大仏(方広寺)旧境内地南限」と 刻されています。
塩小路通の東から西方向を眺めた景色です。


南大門を通りぬけると、 道路の西側は三十三間堂(蓮華王院) で、 東側には「法住寺」 があります。

法住寺の北隣りは 「養源院」 です。
左は養源院の表門を通り過ぎ、養源院の北西角付近から撮った景色です。
南大門から北に歩むとき、見かけたのは一人だけ・・・・、三十三間堂の境内地も静かなものでした。



七条通の横断歩道を渡れば、京都国立博物館です。壁面にこの 特集展示案内の大きなパネル が設置されています。

平成知新館の3階まで上り、 名品ギャラリー を順路表示に従って順番に鑑賞しつつ、下の階に移動していきます。
<3F-1陶磁>は、[梅を愛でる][日本と東洋のやきもの]、<3F-2考古>では、[特別公開 四国の弥生土器と弥生・古墳時代の生産-辰砂と鉄-] というテーマで展示されています。

2Fの1~3が[新春特集展示 寅づくし -干支を愛でる-] です。
当日、入手した出品一覧表では会期中の展示総数は36件。25日以降の展示は34件です。

2F-1は「強いトラ、かわいいトラ、どんなトラ?」というテーマ が設定されています。

会場の入口で入手したのが 「さがしてみよう! こんなトラ」というシート。
京博の教育室が準備され、子供たちに展示作品に興味を持たせるための補助手段、ワークシートです。対象年齢は「6歳頃~」と記されいます。勿論、成人も対象のうちで、楽しむことも自由です。日英版と中韓版が準備されています。「つよそうなトラ、よわそうなトラ、かわいいトラ、かっこいいトラ、・・・・・」みつけたら、このシートにあなをあけてね、というものです。


また、 「博物館 Dictionary No.225 虎-見たことがない生き物を描く」 という解説シートも準備されています。


出品一覧のトップに載っているのがこれ!  尾形光琳筆「竹虎図」 です。
意図的にかわいい感じで行儀のよい虎を描いているのでしょう。ユーモアのあるトラです。
上掲のNo.225には、この竹虎図を紹介し、併せて川柳を紹介しています。
猫でない証拠に竹を書いて置き
京博では、ゆるキャラの 「トラりん」 が公式キャラクター。「 実はね、ボクはこの『竹虎図』から生まれたんだリン 」と公開されています。トラりんには「 虎形琳ノ丞 」という名前もあります。 (資料1)


「青銅虎符」 (中国の秦~前漢時代、紀元前3~紀元前4世紀)と称された虎も出ています。
「符」という漢字が使われています。この虎、2つの半身に分かれる「 割符 」なのです。普段は半身が別々に所持されていて、それが合体するときは戦を始める合図になる、そんな主旨の説明が展示品の傍に掲示されていたと記憶します。メモをしていませんでしたのでちょっと曖昧! 
ネットで調べてみますとと、「 虎符とは、虎の形に作った銅製の割符で、参戦する将軍が徴兵時の証明として、天子から与えられる兵符のことである。 (資料2) という解説に出会いました。
これから吼える虎になるというところか・・・・。

ここでは、 陶磁器の鉢や香炉、香合 に描かれた虎、印籠やたばこ入れを帯にはさむために紐の端につける根付と呼ばれる細工物に虎を彫像した「 虎根付 」が展示されています。根付は小さな細工物ですが様々な意匠があっておもしろい。
「虎蒔絵沈箱」 (京都・神光院蔵、江戸時代17世紀)という名称のものが展示されています。沈箱というのは「沈香を入れておく箱」のことで、沈香はジンチョウゲ科の常緑高木から採取された天然香料。この香料の優良品が伽羅(きゃら)と称される品だそうです。(資料3,4)
「十二類絵巻」 (重文、室町時代15世紀)の三巻のうち巻中に描かれている虎の箇所が展示されています。
6曲1双の大きな屏風が二種展示されています。 横山華山筆「虎図押絵貼屏風」 (江戸時代19世紀)と 単庵智伝筆「龍虎図屏風」 (重文、室町時代15~16世紀、京都・慈芳院蔵)です。

これは、 「龍虎図屏風」(左隻)の虎図 です。やはり、竹が描かれています。


伝李公麟筆「猛虎図」 (朝鮮半島・朝鮮時代、16世紀、京都・正伝寺蔵)
これは 伊藤若冲がモデルにした虎図 と言います。若冲の虎図はエツコ・ジョウ プライス コレクションの一つになっています。この京博で若冲の没後200年特別展覧会が開催された時に、若冲の虎図が展示されていました。この猛虎図を見て、ナルホド!です。
ほかにも逸品が展示されています。

2F-2は「トラと一緒に」というテーマ での展示です。
こちらでは、根付ではなく印籠そのものに龍虎あるいは竹林・虎を題材にした意匠を施してあります。江戸時代、19世紀の作品が3件展示されています。見応えがあるものです。

「竹に虎文様掛下帯」 (江戸時代、19世紀、部分図)
武家の女の人が身につけた帯に虎と竹が刺繍されています。武術の嗜みもあるきりっとした女性がこの帯を締めているのを想像してしまいます。

この部屋にはさらに 横山華山筆「四睡図」 (江戸時代、19世紀)が展示されています。
四睡図というのは、豊干禅師、虎、寒山と拾得の4者が眠る場面を描いた絵です。禅画として一つのテーマになっているようです。 (資料5)
羅漢さんと虎を描いた 「十六羅漢図」 (中国・元時代、13~14世紀、重文、京都・高台寺蔵)や 「達磨・豊干・布袋図」 (中国・南宋時代、13世紀、重文、京都・妙心寺蔵)に虎が描かれている図も展示されています。
明治時代の作ですが、田村伎都子コレクションで京博蔵の 「龍虎文様火消半纏」 が展示されています。リバーシブルの半纏で、消火を完了したら半纏を裏返して龍虎文様を表にするというおもしろいものです。心意気でしょうか。
京都・法金剛院蔵の 後陽成天皇宸翰「龍虎」の墨書 は凄く迫力を感じる文字です。

2F-3は「本当のトラは・・・・・」がテーマ です。
この部屋には、京博に寄贈された作品2件が展示されています。
一つは、展示品の中では最も現在に近い作品。20世紀の中国・中華民国時代の作品です。 梁鼎銘筆「挿虎図」 。勿論、本当の虎を熟視した上での虎が描かれています。


これがもう一つの作品。 岸駒筆「虎図」 (江戸時代、19世紀)
「生きた虎を見るのが難しいので、虎の頭蓋骨に虎皮をかぶせてスケッチしたり、虎の足の剥製を手に入れて、関節の位置や仕組みを調べたり」という「リアルな虎を描くために様々な努力をして」いたと言います。「でも残念ながら、目は猫をお手本にするしかなかったようで、昼間の猫のような縦長の瞳で描いています。虎の瞳は、実際には丸くて、縦長にはならないのです。」 (博物館 Dictionary No.225より)
それでも、虎の気力を感じさせ迫力が溢れていると感じます。
私は岸駒が様々に描いている虎図が好きですね。

「寅づくし」はこれで終わり。

2F-4近世絵画は、「平清盛没後840年 盛者必衰-『平家物語』と源平の合戦」 (2月13日まで)の企画展示として、合戦図の屏風が展示されています。眺めていて、その合戦場面に描き出された人間を数えていけば、何人描かれているのだろ・・・・と思った次第です。すごい数の兵士たちが描き出されています。

2-F5中国絵画は、「清時代の絵画」 (2月13日まで)というテーマで展示されています。

1階 に降りますと、常設の諸仏像以外では 「四天王と毘沙門天」「日本の彫刻」 が2月21日までの期限で展示されています。


これは、今回の特集展示の一つの 図録 です。この展示を見て初めて知った古墳。播磨の首長墓だそうです。 1F-2の部屋に展示 されています。これも展示は2月13日まで。
兵庫県たつの市西宮山古墳 という横穴式石室をもつ前方後円墳の発掘調査結果と共同研究の成果をあわせて、ここにその実像を紹介するという試みでした。展示された一つの古墳の全貌を観察できるというのは、深堀りするような感じを味わえて興味深いものです。

1Fの3~5 最後の特集展示「新収品展」 です。新たに博物館の収蔵品となった作品の展示です。ここ2年の年度における様々な分野の収蔵品から約40件の紹介です。

伊藤若冲筆「百犬図」 が収蔵品となったということだけ触れておきましょう。
若冲のこの作品をここで見られる機会がたぶん増えるだろうということは、若冲好きの私にはうれしいことです。

1F-6漆工には「中国と琉球の漆芸」というテーマで展示 されています。様々な堆朱の作品を鑑賞できます。

新春特集展示「寅づくし」を中心にご紹介しました。

ご覧いただき、ありがとうございます。

つづく

参照資料
*「新春特集展示 寅づくし-干支を愛でる- 出品一覧」
*「京都国立博物館だより 2022年1・2・3月号」
*「博物館 Dictionary No.225 虎-見たことがない生き物を描く」
1) ​ 2015年10月 はじめまして!トラりんだりん ​ :「京都国立博物館」
2) ​ 倣秦青銅虎符 ​ :「ギャラリー解説」
3) ​ 沈箱 ​  :「コトバンク」
4) ​ 沈香 ​  :「コトバンク」
5) ​ 四睡図 ​ :「e國寶」

補遺
京都国立博物館 ​ ホームページ
  ​ 博物館ディクショナリー 虎(とら)―見たことがない生き物を描(えが)く
       PDF版のダウンロードができます。
天台宗 法住寺 ​ ホームページ
洛東 養源院 ​ 公式サイト
蓮華王院 三十三間堂 ​ ホームページ
十二類絵巻 ​  :「京都国立博物館」
東京ステーションギャラリーで「見ればわかる 横山華山展」を観た! ​:「とんとん・にっき2」
  「虎図押絵貼屏風」右隻の図版を掲載
横山華山 ​  :ウィキペディア
岸駒 ​    :「コトバンク」
虎図 岸駒 ​ :「文化遺産オンライン」
猛虎之図 ​  :「東京富士美術館」
虎木彫根付 ​ :「文化遺産オンライン」
虎猿牙彫根付 ​ :「JAPAN SEARCH」

  ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​





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Last updated  2022.01.31 18:04:47
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Re:観照 京都国立博物館 -1 往路点描、「京博のお正月」と2つの特集展示(01/31)  
Jobim さん
京都は古いお寺と新しい博物館が共存して、いい雰囲気をかもしていますね

伊藤若冲が見た原画を是非見たいものです
コロナワクチン接種 3回目が済んだら行きたいと思います (2022.02.01 08:47:35)

Re[1]:観照 京都国立博物館 -1 往路点描、「京博のお正月」と2つの特集展示(01/31)  
Jobimさんへ

東山のあの辺りは、大きなホテルが少なくとも2つはありますが、景観に配慮しているのでしょうね。
外観の周辺をうまく調和させているように思います。

京博にお出かけください。
いろいろな虎を見られて楽しいです。 (2022.02.01 09:11:22)

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