漫画家・写真家玉地俊雄 紫煙のゆらぎ

漫画家・写真家玉地俊雄 紫煙のゆらぎ

2008.09.25
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カテゴリ: 紫煙のゆらぎ







              紫煙のゆらぎ・ニーベルンクの指輪 壱








あどるふくんはごぇったぁーでぁぇめるんくが大好きだった。
「神々の黄昏」が大好きで口笛で無限動機を吹いていた。

「星のたてごと」を描いて、女手塚と賞賛された水野英子先生は、
「神々の黄昏」を基本人格として「星のたてごと」を作品化した。

手塚治虫と玉地俊雄は「魔法屋敷」と「ふしぎ旅行記」でガッチャンした。
石森章太郎さんと藤子不二雄さんは「新宝島」だった。
赤塚ふにゃおさんは「来るべき世界」でひっくりコケた。



僕は「星のたてごと」欲しさに少女クラブを買っていた。
僕が手塚治虫先生と仲良くなったのは20才の時で関大の学生だった。
手塚治虫先生は後年述懐していた。

「見えなかったなぁ てっきり30ぐらいだと思ったんだがなぁ」

僕は手塚さんの20才年下でした。

女手塚の「星のたてごと」は合計3版持っている。
手塚さんは再販ごとに描きなおす。
水野さんは原稿を無くされて描きなおす。


少女クラブは失われてしまったが、サンコミックスが一番原典に近い。

「星のたてごと」

はリヒャルト・ワグナァーのニーベルンクの指輪最終夜に基づいて作品化されている。



僕は第2夜のディヴァルキューレを1萬2千円で買った。
次が「神々の黄昏」6枚組みLPで1萬6千円だった。
学食のウスイトンカツが60円だったのにどえらい買い物だった。

前夜祭が「ダスラインゴルト」
3日は休憩が1日


第3夜が「ジィクフリィト」
あどるふくんはジィクハイルとみんなに呼ばせて独り悦に入っていました。

絶対悪と独逸民族の血と魔法の指輪による世界制覇を確信してホロコーストを実行した。

血の契約。
裏切り。
呪いの槍。
報復。
破滅。
自己犠牲。
神々の黄昏。
浄化。

素晴らしい精神錯乱の南極点だ。


合計5日間で13時間の楽劇を聞く。
出来ればワグネル君のお孫さんの演出で聴きたかったけど遅かったのネ。
音は悪い悪い椅子は狭いよ固いよ入場券は高いよ。

しかし、素晴らしい感激だった。


リヒャルト・ワグナァー症候群という精神異常者の病名がある。
ひとたび感染すると2年ぐらいワグネルしか聴かない。

重症だと10年ほど聴き続け、
お城の地下に白鳥の騎士の置物と水路と生きた白鳥と船を浮かべて涙したりする。

シュバンシュタイン城。
白鳥の城。

ノイエシュバンシュタイン城。
新白鳥城。

嗚呼白鳥の騎士ローエングリン天くだりて皇女エルザを救いぬ。
独逸民族昔話の英雄ローエングリィーン。
かっこいィッ。

独逸バイエルンのロマンチック街道の有名な城。
外から見るとディズニィーランドのお城で、チキチキバンバンという映画にも出てくる。
外から見るとゴ~ヂャス。

ノイシユバンシュタイン城。


中へ入ってあれまのまぁ。
予算不足で天井まで吹き抜けている。
何もない。

どうしようも内閣。
麻生内閣。

どうしようも無い。



リヒャルトさんのためにバイロイト祝祭劇場を建てる若き国王。
バイエルンは戦争に負けて国家財政破綻でも国王命令は強烈。


ルゥードヴィッヒ2世。

回復不可能な進行性ワグナァー症候群にイカレたカレは、
気違いにさせられて主治医といっしょに湖でぷかぷかと死んでいたとさ。

手遅れであった。


リヒャルト君のように神経が「破杖槌」のような、
ひとでなしとなれない人は必ず破綻する恐ろしい病で特効薬はナイナイ。

僕のオペラの初演指揮やらしてあげるから君の嫁はんのコジマおくれ。
谷崎純一郎と佐藤春夫の嫁さん松子さんみたいだ。

ベルリンフィルハァーモニカァーの初代指揮者ハンスフォンビューローは素直に従った。

生まれた子供の名はジィークフリート。
階段に楽員を整列させて「ジィークフリート牧歌」をプレゼント曲したのだ。

すごいなぁ。


僕も中学時代軽度の症候群に苦しんだ。
手塚さんが「鉄腕アトム」を「少年」に連載していた。

恐るべしワグネルのニーベルンクの指輪。

つづく











社団法人日本漫画家協会会員・参与

                                    玉地 俊雄


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最終更新日  2008.09.25 17:07:06


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