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★ うつろい
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【 お知らせ
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短編小説・ 心ゆくまで
・は、執筆中です。
お待たせして、御免なさい~🙇.



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ミステリーロマンの世界へ、
ようこそ。
拙い小説ですが、
読んで戴けましたら幸いです。
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★ 心ゆくまで
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終章【3】
沙織が深い眠りから目覚めたのは、
翌日の午後の事だった。
電話のベルに驚いて起き上がると、
携帯電話から柿谷の声がした。
『沙織さん、どうですか...。大丈夫ですか』
『はい、大丈夫です。私ったら、
昨日から眠っていました。変ですわね』
『そうですか、それは良かった。
まあ、眠れた方が良いですから、大丈夫ですよ。
何か気になる事でもありますか...』
『いえ、その.....』
沙織は影の事を言いそうになって、
それを押し留めた。
『今夜には帰りますから、
何か有ったのでしたら、後でゆっくり聞きますよ。
ひとりで待たせておくのは心配ですが、
頑張って待っていてください。それでは、また後で』
『はい。電話を、ありがとうございました』
『あっ、そうだ。書斎とリビングに、
画集が有りますから、眺めてみてはどうですか』
『はい。ありがとうございます』
電話を切った沙織の顔に、笑みが零れた。
寝覚めの耳に、柿谷の穏やかな口調が心地よかった。
戸惑いを察してくれた心配りは、それにも増して心に浸みた。
沙織はベッドを抜け出した。
その足でクローゼット開けると、
素早く着替えをした。
その後はキッチンで珈琲を要れてから、
リビングの画集を眺めて過ごした。
美しい装丁の画集は、見事だった。
その画集に、
沙織は思わず引き込まれて行った。
ふと気付くと、夕刻になっていた。
慌ててシャワーを済ませてから、
沙織は再び、画集を眺めて過ごした。
その夜、柿谷が帰宅したのは、
8時を大分に過ぎてからだった。
寿司屋の握りと出来合いのサラダを携えての、
帰宅だった。
柿谷は寿司を摘みながら、
『沙織さん、着替えたのですね。
ラベンダー色のセーターが似合って、素敵ですよ』
『まあ、嬉しいわ。ありがとうございます』
沙織は軽い恥じらいを感じながら、
茶碗の美しい玉露に、視線を落とした。
『お部屋のクローゼットやタンスに、
サイズと色合いの合いそうな衣類が沢山有ったので、
お借りしています』
『ああ、そうですね。気に入ったものが有ったら、
ぜひ使ってください......。
実は亡くなった姉の物で...。
あの部屋を使っていた時期があったのです』
『そうだったのですか。
お姉さまは亡くなられたのですね』
『沙織さん、今夜は疲れているので、
この話は止めましょう。
近い内に話しますので、待って貰えますか...』
『もちろん、柿谷さんにお任せしますわ』
『良かった、それでは近い内に話します。
そろそろシャワーを浴びたいので、失礼しますよ。
そうだ。出来たらコーヒーか紅茶でも入れて置いて下さい』
『夜も更けて来ましたから、お紅茶にしますね。
アイスティーにしましょうか』
『それは嬉しいですね。
シャワーの後には最高ですよ。
そうだ、チョコレートを買って来たんだった。
荷物の中に有りますので、適当にお願いします』
『はい、分かりました』
柿谷は食事を済ませると、
慌ただしく浴室に向かった。
続く】
By.星原女瑪.2018.3.23.
終章【2】
沙織は眩暈を覚えてベンチに座り込んだ。
胸が俄かに高鳴り、額には冷たい汗が滲んだ。
『わたしは......』
奥村沙織は額の汗を拭い、目を閉じた。
影が無いことでショックを受けた沙織は、
なんの躊躇いもなく歩いて来たことを思い、
困惑した。
当たり前のように乗っていた車椅子は、
何処に置いて来たのか覚えがなかった。
奥村沙織は胸に手を当てて、
目を開けてみた。
梅の白い花が見え、
陽の光が柔らかく降り注いでいた。
『緊急時には、遠慮なく使ってください。』
そう言われ、
渡された携帯電話が、ポケットの中に有った。
左手を伸ばして触れると、幾らか気分が落ち着き、
沙織は深く息を吸うことが出来た。
山の奥の方から、
デデッポッポ、デデッポッポと、
山鳩の鳴き声が聞こえ、
それは寂しく木霊した。
その鳴き声を聴きながら、
奥村沙織は立ち上がった。
緩やかな坂道を歩きながら、柿谷の事を思ってみた。
しかし仕事の事を考えると、
電話に触れることは出来なかった。
帰路は永遠に続くのかと思われる程に長く、
その間じゅう何故なのかと言う疑問を、
自分に打つけては苦しくなって足を止めた。
早春の陽光の下で、
トンネルを歩き続けている心地だった。
漸く玄関の前に立つと、
鍵をしまってダイニングへ向かった。
柿谷が座っていた傍らに、車椅子が有った。
だとすれば、
柿谷は立っている私に向かって挨拶をして、
出掛けて行ったのだ。
沙織は一抹の不安と寂しさを抱いて、
ベッドにもぐり込んだ。
一度は火葬場で燃やされるはずだった自分なのだ。
奥村沙織は目を閉じて、自分を鼓舞してみた。
幾らか落ち着くと、
沙織は深い眠りに落ちた。
続く】
By星原女瑪・2018.2.7.
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