2004年05月03日
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慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

アッサラーム アライクム

第101章(スーラト=ル=カーリ’ア)です。
マッカ時代の初期の啓示です。

第1節の

「アル=カーリ’ア(恐れ戦く日<最後の審判>)」

が章名になりました。

「カラ’ア(打つ)」の能動分詞で、その日(審判の日)「耳をつんざくばかりの叫び声」「すさまじいばかりのラッパの大音響」もしくは「強く叩く、ノックするような音」がして、それを聞いた者たちは「心臓が飛び出るほどの恐怖に陥ること」から「おそれおののく」という章名になったのでしょう。

聖クル’アーンという、今でもアラブの大半であるムスリムが、始終、暗誦や読誦や会話などで口にする「キターブ(本、啓典の書)」があるため、アラビア語は、アンミーヤ(口語)においては時代の変遷が見られても、公の席でのスピーチ、金曜日のフトバ(説教)や、新聞において使われるフスハー(正則アラビア語)が、アラブ圏では共通語として使われています。アラブ圏のエスペラント語と考えてもらうといいかもしれません。



マーシャーアッラー

しかしこの章の10節は現在では使われていない古典アラビア語の文法がありますので、ここに紹介します。

まず9節です。

ファ=ウンムフー ハーウィヤ(トゥン)
(奈落が、かれの里であろう。)

「ファ」は「ワ」と同じく接続語ですが、「ワ」よりも2つを結ぶ時間の経過が「すぐ」「続けて」というニュアンスがあり、そこに緊迫感が出てきます。
「ウンムフー(彼の母は)」は「ウンム(母)」の解釈は「帰りところ」や「頭のてっぺん」とされています。
マディーナ式のマスハフ(原書)ではその後に、小さいダンマ(ウと発音します)が続いています。マッド=ッ=スィラ(接続長音)と呼ばれ、タジュウィード(聖クル‘アーンの読誦ルール)では、2拍伸ばして読みます。スィラ・スグラー(小接続)とも呼ばれます。

「ハーウィヤ(トゥン)」はリチャード・ベル氏によれば本来、
「子供をなくした母親」
を指す言葉だと言っています。

子供が破滅することで母親は悲惨な境遇(ハーウィヤ)に陥ってしまいます。
 後にこの章に、付加されたと考えられている第11節「ナール=ン=ハーミヤ(トゥン)(<それは>焦熱<地獄>の火。 」
から意味が
「彼は頭からまっさかさまにいく還りどころは悲惨な境遇」
となったのでしょう。


「ハーウィヤ(トゥン)」の語尾はター・マルブータのダンマタイン(「ウ」と発音するダンマが2つあります)ですが、ここで休止する場合は「ハー」と同じ扱いになり発音はせずに「はー」と溜息のような息だけ出します。
この章はすべてこの「ハー」で押韻がそろっています。

第10節です。

「ワ マー アドラーカ マー ヒヤ」
(それが何であるかを、あなたに理解させるものは何か。)

「ワ(そして)」は接続詞
「マー」は「何?」という疑問詞
「アドラーカ(あなたに理解させる)」は「ダラー(知る)」の第4型「アドラー(理解させる)」に2人称男性単数代名詞の「カ」がついたものです。
「ヒヤ(それ/彼女)」です。代名詞は「フ」「フム」がときに「ヒ」「ヒム」になることがあってもそれ以外は形が変わらないはずです。でもこの「ヒヤ」にはその後ろに「ハー(h)」がついていて、「どうしてかな?」「押韻のためだけか?」と思っていました。

しかし、古典文法にあるハー=ル=ワクフ(休止のハー)またはハー=ッ=サクトゥ(静止のハー) と呼ばれる文法規則によるものだそうです。

母音で終わる不変化の語、たとえば「カイファ(どのように)」や「スンマ(それから)」といったどんな位置でも格変化しない語、の休止形では、最終文字としてハー(h)が 

kaifa  →kaifah
thummma→thummmah

さらにまれな例として

akramtuka→akramtukah(私がお前を寛大にした)

yaa rajulu→yaa rajuluh(おい、お前)

といった例もあるようです。

Wright著
A Grammar of the arabic languageより

この古典文法に関する情報はアラビア語文法に詳しいブラザーATさんからいただいた私の質問に対する丁寧なご回答によるものです。
ジャザーフ=ッ=ラーフ ハイラン

と今回はイスラームのダウワという目的から離れ、古典文法からアーヤ(節)を解説するややオタクな日記になってしまいました。

しかし、預言者ムハンマドさま(サッラッラーフ アライヒ ワ サッラム)自身は詩を作った経験がなく、啓示を受けた頃は「文盲」だったことを考えると、古典文法やさまざまな修辞法を駆使し、また当時のアラブでは夢想だにしなかった 科学的なこと を独特の手法で述べている聖クル’アーンを、人が創ったと考えるのは、かなり無理があることをわかっていただけたら嬉しいです。

アッラーのご加護と祝福がありますように
ワッサラーム





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最終更新日  2004年05月09日 00時32分05秒


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