鉄道ジャーナリスト加藤好啓のblog 国会審議集

2020.06.07
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テーマ: 鉄道(22234)
カテゴリ: 桜木町事故
久々に更新させていただきます。
毎日更新できれば良いのですが、いかんせん中々時間がとれず申し訳ありません。少しピッチを速めたいと思います。
車掌としては、緊急時の対応訓練は受けていないと証言
車掌は、緊急時の扱いについては、訓練を受けておらず、火災発生時には消化に務めよという話しかないと証言していますが、その反面消火器の有無や位置の確認を怠るなどと言う重大な過失といいますか、注意義務を怠っています。
○鍛冶委員 今の教育ですが、車掌になる前に二箇月の教育を受けるのですね。
○大矢証人 そうです。
○鍛冶委員 車掌になつてからもそういうことに対する訓練はあるのですか、ちよいちよいやるのではないのですか。
○大矢証人 訓練というものはないのです。
○鍛冶委員 あなたがさつきちよつと言われたが、事故発生のときの臨機の処置に対する訓練、火災の場合の消火の訓練ということを言われた……。
○大矢証人 訓練はないのです。
○鍛冶委員 どういうことですか。そういうことを聞かされておるだけですか。
○大矢証人 そうです。
○鍛冶委員 そういうことを、ただ臨機の処置をやれ、火災が起きたら消せ、こういうことを言われただけですか。
○大矢証人 そうです。
○鍛冶委員 ただそういう注意を与えただけですか。
○大矢証人 そうです。

​その後も、同趣旨の発言が繰り返されていますが、その辺は省略します。

​​​ただし、前述のように、消火器の位置確認を怠るなど、車掌の過失が問われる所ですが、、そうした訓練をしてこなかった当局にも。その責があるのかということになりそうです。

○鍛冶委員 そうするとそれは二箇月の訓練中に聞かされたのですか。
○大矢証人 もちろんそうです。
○鍛冶委員 その後においてはないのだね。それでは火災のときはどうして消すかということは、一つも習つてもおらぬし、教えてもおらぬのですか。
○大矢証人 どうして消すといいますと……。
○鍛冶委員 火災が起つたらどうして消火するか。
○大矢証人 もちろん電気を断つて、それ以上燃えないようにして……。
○鍛冶委員 そういうことを訓練したことはない、ただ聞かされただけか、それともこうしてやる……。
○大矢証人 訓練したことはないのです。
○鍛冶委員 それじや教えられたか。
○大矢証人 そうです。
○鍛冶委員 どういうふうに教えられたか。
○大矢証人 ただ火災が起きた場合は消火に努めよ……。
○鍛冶委員 それだけか、 そうすると、具体的にどうして消すかは聞いたことはないんだね 。今あなたは電気をとめるとか言われたが、あなたの常識でそういうことを考えておるだけか。
○大矢証人 そうです。
○鍛冶委員  消火器を用いて火を消せというようなことも教えられたことはないのか。
○大矢証人 常識上でやつぱり。
○鍛冶委員 さつき消火器があるのもある。ないのもあると言われたが、あるのを見ましたか。
○大矢証人 見ました。


消火器の使い方も、知らないし、教えてもらうこともなかったと証言
車掌自身は、消火器の扱い方を習っていなかったと証言していますが、それ以前に意識として、消火器の有無などは配慮していないようで、消火器があるのは本来であろうと思うが、無くとも余り気にしていないと証言しているわけで、現在の常識に当てはめて考えると、大きな過失と言えそうです。

○鍛冶委員 その使用方法は習つたことはないんだね。
○大矢証人 習つたことはないです。
中略・・・・
○鍛冶委員 消火器がある以上は、火を消すためにある。それを使わなければ消火にならない。そうすれば火を消すときは、これをこうして使わなければならぬというようなことを考えそうなもんだが、そういうことを考えてみたことはなかつたか。
○大矢証人 考えてみましたが、使い方なんか教わつていなかつたんです。
○鍛冶委員 そこで聞きたいんだが、あなたまさかのときは消火器を使つて消さなければならぬと思うならば、必ず消火器のあるところを見届けておるべきが、人命をあずかつておる車掌としての責務であろうと思うが、そこまで考えておるかどうか、それを私は聞きたいのです。
○大矢証人 考えていました。
○鍛冶委員 いたら、それでは車に乗るとき、これに消火器があるかないかを見なければならぬが、それはどうです。
○大矢証人 その点気がつかなかつたのです。
○鍛冶委員 そうすると車に消火器があれば使つて消そうという考えはあるけれども、車には必ず消火器がある、あるいはこれを使わなければならぬということまでは考えていなかつたわけだね。
○大矢証人 あの場合は……。
○鍛冶委員 あの場合じやないですよ。一般の場合を言つてるのですよ。あなた方が毎日勤務するとき、車に消火器があるかどうか、あつた場合は必ず使うということを考えておつたか。あの場合のことはあとで聞きます。一般の場合です。
○大矢証人 使おうと思つて……。
○鍛冶委員 思つていれば、消火器があるかないか見届けなければしようがないじやないですか。あるかないかもわからぬじや、そんなことを思つてみたつてどうしようもない。思つてみたらこの車には消火器があるか、ここにあるなあということを知つておらなければしようがない。 大体車に乗るときは消火器のあるなしを現認して乗らないんだね。
○大矢証人  しいて現認して乗らないんです。
○鍛冶委員 消火器はあるのが本則じやないのですか、あつてもなくてもいいのですか。
○大矢証人 あるのが本則だと思いますが……。
○鍛冶委員 本則であると思うだけで、そういうことにきまつておるということは知らないんだね。
○大矢証人 知らないのです。
○鍛冶委員 なくても別にあなた方は気にもとめないわけだね。
○大矢証人 ええそうです。

​車掌はDコックの存在を知らなかった?

否、三方コック=Dコックであることを知らなかった可能性

車掌は、車内に入って三方コツクを開けてドアを開けるということは知っていたようで、
「駅へ行つてあかない場合は車内へ入つて行つて腰かけの下の三方コックを切つていつもあけることになつております。」
と証言しており、今回も冒頭の証言で、二両目と三両目の間から車内に入って、三方コックを操作し手ドアを開けたら、そのまま押し出させるように車外に飛び出しと証言していますので、車掌は車内にあるDドア開放用のコックの存在は知っていたわけですが、車外にある、同様の三方コック(Dコック)の存在は知らなかったと証言しています。

​​​​○鍛冶委員 それじやこの事故について聞きたいが、先ほど委員長から、この事故防止の方法はなかつたかと言われたら、あなたは信号のことを言われたが、それは火を吹いた原因なんだ。私がこれから聞くのは、火が出たときにあれほどたくさんの死傷者を出さずに済ませる方法はなかつたか、あなたはどう考えているか、それを聞きたい。
○大矢証人 Dコックを知つておれば、コックを切つてできたんじやないかとも思います。
○鍛冶委員 それはわしらも知らぬが、一体Dコックというのはどこにあるのか。
○大矢証人 自分もよく知らないのです。
○鍛冶委員 Dコックというのは中側があかぬときに、外からあけるときのためにあるんでしよう。
○大矢証人 ええそうです。
○鍛冶委員 あなた長年車掌をやつておるが、故障か何かのためにドアがあかぬことはなかつたか。
○大矢証人 自 分たちはたいがい駅へ行つて、あかないときは駅で扱う。駅へ行つてあかない場合は車内へ入つて行つて腰かけの下の三方コックを切つていつもあけることになつております。
○鍛冶委員 外でやつたことはないのか。
○大矢証人 ええ。
○鍛冶委員 そうするとDコックなんというものは駅の者でなかつたら扱わぬごとになつておるのですか。
○大矢証人 Dコックは自分なんかは全然それまで知らなかつたのです。
○鍛冶委員 一体駅の者が扱うものか、乗務員が扱うものか、どつちか。
○大矢証人 Dコックですか。
○鍛冶委員 Dコツクに限らず、電車にある装置、ことに、外にある装置は……。
○大矢証人  ​外にある装置はほとんど運転手が扱つております。
○鍛冶委員 事掌だつて扱つていいだろう。
○大矢証人 車掌が下手に扱うと事故が増大しないとも限らないのです。自分たちは技術関係、機械関係は教わつていないですから……。
○鍛冶委員 中であけられぬときにはどうするというようなことを教えられたことはなかつたか。外であける必要があるというようなことを教えられたこともなかつたか。
○大矢証人 なかつたです。​​​​

​以上のように、車掌は車内にあるDコックの存在は知っているが、車外にあるDコックの存在を知らされておらず、機器類の操作は運転士以外は触らないということで、昔ながらの縦割り的な部分の弊害が出ているのかなぁと思えます。

実際、後付けの知恵でああだこうだというのは簡単ですが、ここで惜しむらくは車掌の知っている三方コックが車外にもあり、ここで問題となっているDコックは外にもあることを知っていたならば、又違った展開になっていたかもしれないという点です。

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**********************桜木町事故国会審問の議事録*****************************

○鍛冶委員 今の教育ですが、車掌になる前に二箇月の教育を受けるのですね。
○大矢証人 そうです。
○鍛冶委員 車掌になつてからもそういうことに対する訓練はあるのですか、ちよいちよいやるのではないのですか。
○大矢証人 訓練というものはないのです。
○鍛冶委員 あなたがさつきちよつと言われたが、事故発生のときの臨機の処置に対する訓練、火災の場合の消火の訓練ということを言われた……。
○大矢証人 訓練はないのです。
○鍛冶委員 どういうことですか。そういうことを聞かされておるだけですか。
○大矢証人 そうです。
○鍛冶委員 そういうことを、ただ臨機の処置をやれ、火災が起きたら消せ、こういうことを言われただけですか。
○大矢証人 そうです。
○鍛冶委員 ただそういう注意を与えただけですか。
○大矢証人 そうです。
○鍛冶委員 そうするとそれは二箇月の訓練中に聞かされたのですか。
○大矢証人 もちろんそうです。
○鍛冶委員 その後においてはないのだね。それでは火災のときはどうして消すかということは、一つも習つてもおらぬし、教えてもおらぬのですか。
○大矢証人 どうして消すといいますと……。
○鍛冶委員 火災が起つたらどうして消火するか。
○大矢証人 もちろん電気を断つて、それ以上燃えないようにして……。
○鍛冶委員 そういうことを訓練したことはない、ただ聞かされただけか、それともこうしてやる……。
○大矢証人 訓練したことはないのです。
○鍛冶委員 それじや教えられたか。
○大矢証人 そうです。
○鍛冶委員 どういうふうに教えられたか。
○大矢証人 ただ火災が起きた場合は消火に努めよ……。
○鍛冶委員 それだけか、そうすると、具体的にどうして消すかは聞いたことはないんだね。今あなたは電気をとめるとか言われたが、あなたの常識でそういうことを考えておるだけか。
○大矢証人 そうです。
○鍛冶委員 消火器を用いて火を消せというようなことも教えられたことはないのか。
○大矢証人 常識上でやつぱり。
○鍛冶委員 さつき消火器があるのもある。ないのもあると言われたが、あるのを見ましたか。
○大矢証人 見ました。
○鍛冶委員 その使用方法は習つたことはないんだね。
○大矢証人 習つたことはないです。
○鍛冶委員 それはどうして使うか知つてるのかね。
○大矢証人 いや別に知つてないです。大体今まで使つたことはないのです。
○鍛冶委員 一体あなた方は、火を消さなければならぬ、消すときは消火器を使わなければならぬ、こういう気があれば、この車に消火器があるかないか、あつたらどうして使うかぐらいのことを考えなければならぬもんだが、そういうことを考えてみたこともないのか。
○大矢証人 あの場合は……。
○鍛冶委員 いやあの場合ではない、一般の場合のことを言つてるのです。あの場合のことはあとで聞きます。そういうことを考えてみたこともないのか。
○大矢証人 どうして消火器を使つていいか……。
○鍛冶委員 消火器がある以上は、火を消すためにある。それを使わなければ消火にならない。そうすれば火を消すときは、これをこうして使わなければならぬというようなことを考えそうなもんだが、そういうことを考えてみたことはなかつたか。
○大矢証人 考えてみましたが、使い方なんか教わつていなかつたんです。
○鍛冶委員 そこで聞きたいんだが、あなたまさかのときは消火器を使つて消さなければならぬと思うならば、必ず消火器のあるところを見届けておるべきが、人命をあずかつておる車掌としての責務であろうと思うが、そこまで考えておるかどうか、それを私は聞きたいのです。
○大矢証人 考えていました。
○鍛冶委員 いたら、それでは車に乗るとき、これに消火器があるかないかを見なければならぬが、それはどうです。
○大矢証人 その点気がつかなかつたのです。
○鍛冶委員 そうすると車に消火器があれば使つて消そうという考えはあるけれども、車には必ず消火器がある、あるいはこれを使わなければならぬということまでは考えていなかつたわけだね。
○大矢証人 あの場合は……。
○鍛冶委員 あの場合じやないですよ。一般の場合を言つてるのですよ。あなた方が毎日勤務するとき、車に消火器があるかどうか、あつた場合は必ず使うということを考えておつたか。あの場合のことはあとで聞きます。一般の場合です。
○大矢証人 使おうと思つて……。
○鍛冶委員 思つていれば、消火器があるかないか見届けなければしようがないじやないですか。あるかないかもわからぬじや、そんなことを思つてみたつてどうしようもない。思つてみたらこの車には消火器があるか、ここにあるなあということを知つておらなければしようがない。大体車に乗るときは消火器のあるなしを現認して乗らないんだね。
○大矢証人 しいて現認して乗らないんです。
○鍛冶委員 消火器はあるのが本則じやないのですか、あつてもなくてもいいのですか。
○大矢証人 あるのが本則だと思いますが……。
○鍛冶委員 本則であると思うだけで、そういうことにきまつておるということは知らないんだね。
○大矢証人 知らないのです。
○鍛冶委員 なくても別にあなた方は気にもとめないわけだね。
○大矢証人 ええそうです。
○鍛冶委員 それじやこの事故について聞きたいが、先ほど委員長から、この事故防止の方法はなかつたかと言われたら、あなたは信号のことを言われたが、それは火を吹いた原因なんだ。私がこれから聞くのは、火が出たときにあれほどたくさんの死傷者を出さずに済ませる方法はなかつたか、あなたはどう考えているか、それを聞きたい。
○大矢証人 Dコックを知つておれば、コックを切つてできたんじやないかとも思います。
○鍛冶委員 それはわしらも知らぬが、一体Dコックというのはどこにあるのか。
○大矢証人 自分もよく知らないのです。
○鍛冶委員 Dコックというのは中側があかぬときに、外からあけるときのためにあるんでしよう。
○大矢証人 ええそうです。
○鍛冶委員 あなた長年車掌をやつておるが、故障か何かのためにドアがあかぬことはなかつたか。
○大矢証人 自分たちはたいがい駅へ行つて、あかないときは駅で扱う。駅へ行つてあかない場合は車内へ入つて行つて腰かけの下の三万コックを切つていつもあけることになつております。
○鍛冶委員 外でやつたことはないのか。
○大矢証人 ええ。
○鍛冶委員 そうするとDコックなんというものは駅の者でなかつたら扱わぬごとになつておるのですか。
○大矢証人 Dコックは自分なんかは全然それまで知らなかつたのです。
○鍛冶委員 一体駅の者が扱うものか、乗務員が扱うものか、どつちか。
○大矢証人 Dコックですか。
○鍛冶委員 Dコツクに限らず、電車にある装置、ことに、外にある装置は……。
○大矢証人 外にある装置はほとんど運転手が扱つております。
○鍛冶委員 事掌だつて扱つていいだろう。
○大矢証人 車掌が下手に扱うと事故が増大しないとも限らないのです。自分たちは技術関係、機械関係は教わつていないですから……。
○鍛冶委員 中であけられぬときにはどうするというようなことを教えられたことはなかつたか。外であける必要があるというようなことを教えられたこともなかつたか。
○大矢証人 なかつたです。
○鍛冶委員 あなた方自身考えてみたこともなかつたか。
○大矢証人 自分たちがドアをあけるのはたいがい駅で、途中で車が悪い場合は、ほとんど運転手が機械の方は担当することになつております。
○鍛冶委員 それはそうだが、運転手だけで間に合わぬときは、乗客の人命に関するようなことがあれば車掌がやらなきやならぬじやないか。運転手でなければやれないのか。これ以上追究してみたつてしようがないが、われわれはそう思うのだ。運転手でなければそんなものには手をつけられないといつて、ただ手をこまぬいて見ておるわけにはいかぬだろう。
○大矢証人 下手をやると事故増大のもとになると思つて……。
○鍛冶委員 そういうりくつよりか、中であけられぬときには外であけなければならぬということを考えてみたこともなかつたかということをお聞きしたい。
○大矢証人 別にないのです。
○鍛冶委員 考えたこともなかつたか。
○大矢証人 ええ。
○鍛冶委員 従つて措置も知らない、こういうわけですね。
○大矢証人 そうです。​​​






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最終更新日  2022.10.04 00:24:32
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