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戦後一時期存在した、市警と国警とは今回から警察本部の捜査一課長の発言になります。役職が、「横浜市警察本部刑事部捜査第一課長」となっていますが、最初に少しだけ説明を加えさせていただこうと思います。現在であれば、神奈川県警となるわけですが、終戦当時は警察には国警と市警と言われる二つの組織が存在しました。その存在は、1948年(昭和23年)1月1日から1954年(昭和29年)6月30日までであり、旧警察法(昭和22年法律第196号)により設置されていたもので、人口5000人以上の地域には、市警察が設置されていました。それ以外の地域は、国家警察(通称国警)が存在していました。国警と市警は独立した組織となっていましたが、財政負担が大きい(鉄道事業などと異なり経済活動を行うわけでは無い)事から、市警察の警察権返上が相次ぎ、昭和29年には国警に吸収される形となり、桜木町事故が起こった、昭和27年頃は大阪・東京などとともに唯一残った一つで、大阪市警察共々昭和30年7月1日に廃止されています。(東京は唯一警視庁を名乗っていたので変更はなし)市警という考え方自体はGHQの置き土産と言えるものであり、現在は、戦前の旧警保局の流れを汲む警察庁が地方の警察本部を統括するとともに、個々の予算は基本的に地方自治体警察という体裁となっています。余談ですが、私は和歌山県警警察官を拝命していた時期があるのですが、警察学校では訓練用に古い手錠が使われており、手錠の刻印に「市警」と押されたものを使った記憶があります。話がそれてしまいましたが、本題に戻ります。今回も桜木町事故に関して、警察としての立場からの証言となりますので改めてご覧いただければ幸いです。横浜市警察捜査一課長、捜査の責任者として証言○篠田委員長 引続き高橋一夫証人より証言を求めることにいたします。 高橋さんですね。○高橋証人 そうであります。○篠田委員長 たいへんお待たせしましたが、時間の都合上、これから引続いてあなたの証人尋問をいたします。あらかじめ文書で御了承願つておきました通り、証人として証言を求めることに決定いたしましたから、さよう御承知おき願いたいと思います。 ただいまから桜木町駅国電事故に関する件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なっております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられかつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の朗読を願います。 〔証人高橋一夫君朗読〕 宣誓書 良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。○篠田委員長 署名捺印してください。 〔証人宣言書に署名捺印〕○篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際は、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておりますときはおかけになっていてよろしいですが、お答えの際は御起立を願います。 証人の今おやりになっておる仕事をひとつ御説明願います。○高橋証人 横浜市警察本部刑事部捜査第一課長でございます。○篠田委員長 どういう仕事ですか。○高橋証人 刑事部長の補佐としまして、犯罪の捜査一般をやっております。○篠田委員長 この国電桜木町駅の問題につきまして、あなたみずから関係者をお調べになりましたか。○高橋証人 調べておりません。○篠田委員長 だれが調べましたか。○高橋証人 それは全部分担して調べておりますから……。○篠田委員長 総合したものはあなたのところに届いておりますか。○高橋証人 記録は届いております。○篠田委員長 あなたは一回も関係者を調べたことはないわけですね、自分では。○高橋証人 ありません。○篠田委員長 責任者ですね。○高橋証人 そうでございます。警察として捜査の概要を説明○篠田委員長 それでは現在まであなたが責任者として、あなたのところにいろいろな報告が来ておる思うのですが、その報告について、今度の事件の原因、結果あるいはそれに対するいろいろな処置に対する欠陥であるとか、施設の欠陥であるとか、そういう問題について、あなたのところに集まつた報告によって、結論を概略話してください。○高橋証人 第一番の御質問の原因でありますが、御承知のように架線工事をしておりまして、架線が切れ、そこへ電車が突入して来て、パンタグラフが吊架線にひつかかつたというのが原因であります。それで電車が火を発してあれだけの死人を出したのであります。運転車、車掌、それから当時現場において実際にその事故の原因となった作業をしておりました工手というものを検察庁へ送致いたしましたが、なお三日おきまして工手長の中沢氏、それから信号手の芦原氏この人間を逮捕して検察庁に送致したわけであります。ただいまお問いの中に欠陷と申されましたが、私どもとういう電車の事件というものは初めて扱つたわけでありまして、従つてパンタグラフとかあるいは吊架線というような言葉も今度の事件を扱つて初めて覚えたのであります。従つてどこに欠陷があつたかということはわれわれには調べることができなかつたわけであります。○篠田委員長 原因はだれが見ても架線が切れて、切れたところへ電車が入つて来た、上りの架線が切れたために下りの架線が下つておった。それを知らないで電車が入つて来てパンタグラフをそれにひつかけて切つたということははっきりしておりますけれども、われわれが今あなたにお聞きしていることは、そういう原因はもうすでにわかつているが、なぜあんなに大きな災害になったか、なぜあれだけの人を殺さなければならなかつたか、その一番大きな原因と見られるのは、一体何であるかということを、ひとつあなた方調べた範囲内で言ってもらいたいと思います。責任ばかりじやない。原因です。警察として、このような事故となって原因は何かを証言警察として指摘したのは以下の点 運転士は、貫通ドアーがそこにあるわけだから、中に入つてコツクを操作したならば、もつと被害が少かつたのじやないか 車掌が、ドアコックの操作はしたと言っておりますが、機械的に操作ができなくても、少くとも自分の努力によってできるだけのことはやらなければならなかつたじやないかと言う2点を指摘しており、運転士も車掌もするべき事をしてないと指摘しています。実際に、車掌は操作コックの存在を知らされておらず、運転士もとっさの行動が出来ていない訳で、更にパンタグラフが運転台直上にあるので、後ろを見た時点で大きく燃えさかっていたこともあり、本人はとっさに逃げてしまっています。更に、以下のように証言は続きます ○篠田委員長 すると、できるだけのことをしなかつたというように警察では思つておるのですか。 ○高橋証人 私はそう考えております。 ○篠田委員長 どういう点で……。 ○高橋証人 それは陳述によってそういうふうに私は考えます。 ○篠田委員長 陳述のどういう点で……。 ○高橋証人 運転士が……。 ○篠田委員長 貫通ドアーをあけなかつたということは、運転士の責任として確かであるけれども、運転士はそれについていろいろ事情を言っていますが、車掌がもつとできるだけのことをしなければいけなかつた。それをしなかつたのだというふうにあなたは言われたのだけれども、それはどういう点であなたの方では認定されたのですか。 ○高橋証人 今申し上げました通り、機械的に操作ができなくとも、前部にかけつけて窓をこわすなり、こっちのドアーをあけて出すなり、何かできたと思います。 ○篠田委員長 車掌は出したと言っておるのだけれども、それは警察の方では認めていないわけですか。 ○高橋証人 私が聞きました範囲では、車掌は二輌目か三輌目か自分ではっきりしないが、そこへ入つてドアーをあけたと言っております。 ○篠田委員長 一輌目に対する操作を何もしていないというのですね。 ○高橋証人 いたしておりません。運転士なり車掌が1両目に対しての何らかなアクションをしていないことを強く指摘しています引き続き、証言は続きます取り調べについて詳細が語られます、この辺は以下の記事をご覧いただこうと思います。○篠田委員長 だれか御質問はありませんか。 ○島田委員 取調べを開始したのはいつでしようか。 ○高橋証人 被疑者に実際に当りましたのは、二十四日六時ごろだと思います。 ○島田委員 二十四日というのは事件発生の日ですね。 ○高橋証人 そうであります。 ○島田委員 そうすると、事件発生が十三時四十四分ということだから、大体一両目に乗つておられた皆さんが被害をこうむつて、火災のために命を捨てられて、もうすでに事済みになったというその経過時間はどのくらいでしようか ○高橋証人 二時半ごろじやないかと思います。 ○島田委員 そうすると、二時半ごろから六時までの間、三時間半ですか、このくらいの余裕が取調べまでの間にあつたわけですね。 ○高橋証人 そうであります。 ○島田委員 この時間のずれのある間において、事故を発生さすことについて非常に関係のあった人々やら、事故発生後、これが防止救済等について関係のあつた国鉄従業員の皆さんが、この善後措置について何かと打合せをする時間的な余裕はあつたように思われますが、事実こういう打合せをしたような形跡は見られぬのですか。 ○高橋証人 自分の聞いた範囲では、そういうことはわかりません。と最後の部分で指摘しているように、善後措置については、時間的余裕があったにも関わらず、全く打ち合わせをした形跡が無いことが指摘されており、これは賢治の証言からも同様に明らかにされているところであり、燃えてしまったと傍観していたと言った証言もあります。実際にこの事故では、運転士と車掌の災害発生時の初動措置、更には信号係と直接の当事者である電気工手の問題などがあるわけで巣が、双方に自分の主張だけをことさらにしており、個々では証言として出てきませんが、運転台に添乗していた検査係が事故直後、ドアコックの開閉を行ったならば、ここまで大きな犠牲を払わずに済んだかもしれません。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** ○篠田委員長 引続き高橋一夫証人より証言を求めることにいたします。 高橋さんですね。○高橋証人 そうであります。○篠田委員長 たいへんお待たせしましたが、時間の都合上、これから引続いてあなたの証人尋問をいたします。あらかじめ文書で御了承願つておきました通り、証人として証言を求めることに決定いたしましたから、さよう御承知おき願いたいと思います。 ただいまから桜木町駅国電事故に関する件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なっております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられかつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の朗読を願います。 〔証人高橋一夫君朗読〕 宣誓書 良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。○篠田委員長 署名捺印してください。 〔証人宣言書に署名捺印〕○篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際は、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておりますときはおかけになっていてよろしいですが、お答えの際は御起立を願います。 証人の今おやりになっておる仕事をひとつ御説明願います。○高橋証人 横浜市警察本部刑事部捜査第一課長でございます。○篠田委員長 どういう仕事ですか。○高橋証人 刑事部長の補佐としまして、犯罪の捜査一般をやっております。○篠田委員長 この国電桜木町駅の問題につきまして、あなたみずから関係者をお調べになりましたか。○高橋証人 調べておりません。○篠田委員長 だれが調べましたか。○高橋証人 それは全部分担して調べておりますから……。○篠田委員長 総合したものはあなたのところに届いておりますか。○高橋証人 記録は届いております。○篠田委員長 あなたは一回も関係者を調べたことはないわけですね、自分では。○高橋証人 ありません。○篠田委員長 責任者ですね。○高橋証人 そうでございます。○篠田委員長 それでは現在まであなたが責任者として、あなたのところにいろいろな報告が来ておる思うのですが、その報告について、今度の事件の原因、結果あるいはそれに対するいろいろな処置に対する欠陥であるとか、施設の欠陥であるとか、そういう問題について、あなたのところに集まつた報告によって、結論を概略話してください。○高橋証人 第一番の御質問の原因でありますが、御承知のように架線工事をしておりまして、架線が切れ、そこへ電車が突入して来て、パンタグラフが吊架線にひつかかつたというのが原因であります。それで電車が火を発してあれだけの死人を出したのであります。運転車、車掌、それから当時現場において実際にその事故の原因となった作業をしておりました工手というものを検察庁へ送致いたしましたが、なお三日おきまして工手長の中沢氏、それから信号手の芦原氏この人間を逮捕して検察庁に送致したわけであります。ただいまお問いの中に欠陷と申されましたが、私どもとういう電車の事件というものは初めて扱つたわけでありまして、従つてパンタグラフとかあるいは吊架線というような言葉も今度の事件を扱つて初めて覚えたのであります。従つてどこに欠陷があつたかということはわれわれには調べることができなかつたわけであります。○篠田委員長 原因はだれが見ても架線が切れて、切れたところへ電車が入つて来た、上りの架線が切れたために下りの架線が下つておった。それを知らないで電車が入つて来てパンタグラフをそれにひつかけて切つたということははっきりしておりますけれども、われわれが今あなたにお聞きしていることは、そういう原因はもうすでにわかつているが、なぜあんなに大きな災害になったか、なぜあれだけの人を殺さなければならなかつたか、その一番大きな原因と見られるのは、一体何であるかということを、ひとつあなた方調べた範囲内で言ってもらいたいと思います。責任ばかりじやない。原因です。○高橋証人 ちょっと一口に申し上げるのはなかなかたいへんですが、電車が火を発したということは、今申し上げました通りであります。しからば事後の処置をどうすればよかつたかという問題に帰するのではないかと思いますが、私が捜査員の話を聞いた範囲では、運転士が制動手配をとりましてパンタグラフを下げた、こう言っております。それでドアーをあける操作をしたけれども、実際には開を押してあつたけれども、位置がうしろで、ああいうようになっていたために、実際には操作をしたけれども、きかなかつたということになっております。従つて、それはそれといたしまして、事故が起きたときに、運転士がすぐに車から飛び出して二輪目へかけつけて行つたというのでありますが、私どもの考えといたしまして承知いたしましたのは、貫通ドアーがそこにあるわけでありますから、あれだけの大勢の人がわめいておるのでありますから、貫通ドアーをあけて中に入つてコツクを操作したならば、もつと被害が少かつたのじやないかということ、もう一つは車掌の問題でありますが、これも操作はしたと言っておりますが、もし機械的に操作ができなくても、少くとも自分の努力によってできるだけのことはやらなければならなかつたじやないかというふうに私は考えております。○篠田委員長 すると、できるだけのことをしなかつたというように警察では思つておるのですか。○高橋証人 私はそう考えております。○篠田委員長 どういう点で……。○高橋証人 それは陳述によってそういうふうに私は考えます。○篠田委員長 陳述のどういう点で……。○高橋証人 運転士が……。○篠田委員長 貫通ドアーをあけなかつたということは、運転士の責任として確かであるけれども、運転士はそれについていろいろ事情を言っていますが、車掌がもつとできるだけのことをしなければいけなかつた。それをしなかつたのだというふうにあなたは言われたのだけれども、それはどういう点であなたの方では認定されたのですか。○高橋証人 今申し上げました通り、機械的に操作ができなくとも、前部にかけつけて窓をこわすなり、こっちのドアーをあけて出すなり、何かできたと思います。○篠田委員長 車掌は出したと言っておるのだけれども、それは警察の方では認めていないわけですか。○高橋証人 私が聞きました範囲では、車掌は二輌目か三輌目か自分ではっきりしないが、そこへ入つてドアーをあけたと言っております。○篠田委員長 一輌目に対する操作を何もしていないというのですね。○高橋証人 いたしておりません。○篠田委員長 だれか御質問はありませんか。○島田委員 取調べを開始したのはいつでしようか。○高橋証人 被疑者に実際に当りましたのは、二十四日六時ごろだと思います。○島田委員 二十四日というのは事件発生の日ですね。○高橋証人 そうであります。○島田委員 そうすると、事件発生が十三時四十四分ということだから、大体一両目に乗つておられた皆さんが被害をこうむつて、火災のために命を捨てられて、もうすでに事済みになったというその経過時間はどのくらいでしようか○高橋証人 二時半ごろじやないかと思います。○島田委員 そうすると、二時半ごろから六時までの間、三時間半ですか、このくらいの余裕が取調べまでの間にあつたわけですね。○高橋証人 そうであります。○島田委員 この時間のずれのある間において、事故を発生さすことについて非常に関係のあにた人々やら、事故発生後、これが防止救済等について関係のあつた国鉄従業員の皆さんが、この善後措置について何かと打合せをする時間的な余裕はあつたように思われますが、事実こういう打合せをしたような形跡は見られぬのですか。○高橋証人 自分の聞いた範囲では、そういうことはわかりません。
2024.05.23
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長らく開けてしまいましたが、改めて桜木町事故の証人審問の国会議事録をご覧いただこうと思います。今回で、検事の証人喚問は終わりとなります。ここでは、特段特記すべき部分はないので、議事録のみをアップしておきたいと思いますが、共産党だからとか、無能であると言ったおよそ、国会の場で記録に残されるべき議事録で発言される内容ではないことだけは言える、そんな気がします。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** 以下は、国会審議議事録・・・・・○加藤(充)委員 よその場所であるならば、上りというのは、線路にも通ずるし、電車にも通ずるが、あの災害の発生した場所においては、上り線ということは、必ずしも上り電車のそれとは一致しない、こういうことを言われたのであります。それで私は質問したのありまするが、今になって、それは大した違いじやないと証人が言われるのだったら、証人とりくつの言い合いはするつもりはありませんから……。○篠田委員長 ちょっと加藤委員に申し上げますが、それはあなたのお聞き違いじやないのですか。あとで速記録を調べればわかりますが、私はあなたと同じ質問を証人にしたのです。上り線と工手長が言い、信号手は上り電車とこう聞いておる。そうすると線であるか、電車であるかということは、調べてみなければわからないが、上りという言葉を使つたということは、これは考えられる。そこでぼくとあなたと同じ考えになりまして上りをとめてくれと言つたのじやないかと言って聞いたところが、証人は先ほどもそうじやない。工手長は上り線をとめてくれと言い、信号手は上り電車をとめてくれと言うのでそれが水かけ論になって、まだ解決がついていないという話である。○加藤(充)委員 わかりました。そのことについては私ども調べないのでわかりませんから、それはそれでいいのです。ところが中沢という工手長は、上りという言葉の中には、上り線というようなことを強く感ずるし、また信号掛としましては、具体的な電車だから、それは上りということがピンと来ると上り電車だというふうに理解をする。上りということについても、路線とピンと来るような職責や職歴の経験がそういうふうなことになって、瞬間のときの理解が、今から開き直れば、いろいろなことの違いになって出て来るのじやないか、こういうふうに私は感じたから……。○田渕委員 先ほど加藤君から、私の発言中にああいうばかだからということがあつたと言われましたが、これは共産党的な煽動の言葉でありまして、当委員会がこれを審議して行くということが、全国の国鉄の全従業員の緊張、いわゆる引締めの一つの台になって行くわけだと私は思います。ただ三十年に近い経験を持つた中沢君にしろ、高原君にしろ、きのうの証言の能度、人物的に批評して、決して有能達識な人とは見られません。少くとも無能にひとしいと私は思う。それはなぜかというと、私がこんなことを言わなくても、加藤君はわかるだろうと思うが、あの人類に近いさるですら、三十匹、四十匹の集団で食糧をあさりに行くときは、一匹が木の上に登つて、外敵を見ればただちに知らせる。これから言うならば、少くとも数分置きに来る電車の中であれだけの仕事をするのであるならば、中沢君は前方に一人の赤旗を持たした者を配置するのがあたりまえなのに、これをしておらぬから無能だという。しかしそんなことをわれわれは言うのじやない。そんなことは検察庁にまかしておけば刑罰を科する。われわれはそういうような点を見出さんがためにかかつておるのでなくて、決して共産党的な、駅夫で働いておれば、信号手で働いておるのはばからしいとい感じでなく、われわれは少くとも緊張してやれという線に持って行かなければならぬ。これがために私は決してばかだという表現はいたしておりません。そういう観念は毛頭ございませんことをはっきり申し上げておきます。○篠田委員長 他に御質問がなければ、大津証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人にはたいへん御苦労様でした。
2024.04.12
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2ヶ月ほど開けてしまいましたが、再び投稿させていただこうと思います。亀の歩みになってしまって申し訳ないです。今回質問に立っている、加藤(充)委員は、共産党の代議士で加藤充氏で、戦後共産党で一期のみ衆議員議員を務めていますが、極めて弱者の立場に立つ弁護士であったようで、戦前はwikipediaによりますと、以下のように書かれています。全国水平社および全農にて顧問弁護士となる。昭和恐慌による繭価暴落に伴い、徳島県麻植郡西尾村で発生した西尾小作争議では、桑園小作料減免を求める農民への支援を行った。Dコックの問題もあるが、それよりも電車の構造などに、問題があるのではないかと言う疑問とあり、極めて労農運動などに関わる弁護士であったとされています。今回の質問でも、個々人の責任と言うよりも、こうした教育などが十分になされてこなかった、国鉄という組織に問題があったのではないかというスタンスで質問が続けられています。更には、そのための訓練の強化労働強化に繋がるという理屈は、少し論理が飛躍しすぎているように思えます。個人的訓練というのは、結局労働強化の問題になるDコツクについて相当な措置をしておくべきことが問題○加藤(充)委員 前略労働強化の問題でこれが解決されるものとは思いません。従いまして、私がお伺いしたい点は、事件が大量的な被害を瞬間に出したところに問題がある。問題点はそこにあるのだということでありまして、また国会がこの問題を取上げておりますのも、そういう点からだということもうなずけるのでありますが、さすればああいうような何輌も連結し、しかも何百人かを一ぺんに運ぶ列車のただ一人の運転手しか、そのDコツクの操作を知らないというような状態のもとにおきましたならば、六三型の問題をここで問題にする考えもございませんが、証人が確認されておりまするように、あれが三段の窓になっておつて逃げられなかつたというようなこと自体も、大量的な被害が起きた原因だとも言われておるのでありまするから、そういう条件のもとで走らせております場合におきましては、?Dコツクの操作――すなわちこの電車はきわめて事故が起らないように操作はしておるけれども、一日一緩急あれば、事故発生となれば、逃げにくい状態にあるのだというようなことで、Dコツクについて相当な措置をしておくべきことが問題だと思うのであります。従いまして環境が重大だという点でお尋ねするのですが……?。更には、個々人の責任を追及するばかりではないとして、論陣をはっています。人間はほとんど機械の一部分化され、仕組みの部分的なものに組みかえられて行って、人間的なものの特徴がだんだんと失われて行く傾向がきわめて顕著だと思う。従いまして、私は先ほど証人の、環境と個人の二元的な方面からこの問題を追突されておるというような形は、従来の犯罪の責任を追究するという立場からすれば、一応納得も行くのでありますけれども、しかしそういうふうな立場と方法論はこの問題の本質を明らかになし得ない最近の状況下にあると思うのであります。として、○加藤(充)委員 証人は環境という問題と、個人の責任という問題と二つにわけて、しかも個人の責任を追究されるのが証人の立場上の職務であると、こういうふうに証言されておるのでありますが、それに関連していろいろと質問が出ておるようです。そのことについて一、二お伺いしたいのであります。国鉄交通機関のような仕事場所におきましては、最近能率化並びに速度から言えば高速化ということが、これは歴史的、経済的な要望としてぐんぐんアツプされて来ておるのであります。そういう場合におきまして、ばかだから、箱の中に三十年すわつておったのだというような発言もあつたようですが、そういうようなことになりますと、人間はほとんど機械の一部分化され、仕組みの部分的なものに組みかえられて行って、人間的なものの特徴がだんだんと失われて行く傾向がきわめて顕著だと思う。従いまして、私は先ほど証人の、環境と個人の二元的な方面からこの問題を追突されておるというような形は、従来の犯罪の責任を追究するという立場からすれば、一応納得も行くのでありますけれども、しかしそういうふうな立場と方法論はこの問題の本質を明らかになし得ない最近の状況下にあると思うのであります。動物すら虐待すべきではない、こう言われております。こういう場合におきましては、個人的な訓練の軽視をここに私は主張するつもりは毛頭ありませんが、個人的訓練というのは、結局労働強化の問題になるのであります。労働強化の問題でこれが解決されるものとは思いません。従いまして、私がお伺いしたい点は、事件が大量的な被害を瞬間に出したところに問題がある。問題点はそこにあるのだということでありまして、また国会がこの問題を取上げておりますのも、そういう点からだということもうなずけるのでありますが、さすればああいうような何輌も連結し、しかも何百人かを一ぺんに運ぶ列車のただ一人の運転手しか、そのDコツクの操作を知らないというような状態のもとにおきましたならば、六三型の問題をここで問題にする考えもございませんが、証人が確認されておりまするように、あれが三段の窓になっておつて逃げられなかつたというようなこと自体も、大量的な被害が起きた原因だとも言われておるのでありまするから、そういう条件のもとで走らせております場合におきましては、Dコツクの操作――すなわちこの電車はきわめて事故が起らないように操作はしておるけれども、一日一緩急あれば、事故発生となれば、逃げにくい状態にあるのだというようなことで、Dコツクについて相当な措置をしておくべきことが問題だと思うのであります。従いまして環境が重大だという点でお尋ねするのですが……。 〔「質問をやれ、」「意見を言うな」と呼び、その他発言する者あり〕 〔島田委員長代理退席、委員長着席〕まぁ、これだけを聞いていると意見を言うなと言う発言もなんとなく納得するわけですが、最後に、工手長と信号手の「上り」という考え方について質問をしていますが、これに対しては、検事の見解は下記の通りでした。工手長は、上り線へ入る列車を止めてくれといい、信号手は上り電車(出発する電車)を止めてくれと解釈したわけで、双方で真逆の方向の電車を示していたわけですが、当時の縦割りの組織ではこうした事故に際しての連絡などの方法もまちまちであったこと、情報共有が十分なされていなかったことなども大きな問題であったと言えます。以下続くにほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** ********************************以下国会審問******************○加藤(充)委員 証人は環境という問題と、個人の責任という問題と二つにわけて、しかも個人の責任を追究されるのが証人の立場上の職務であると、こういうふうに証言されておるのでありますが、それに関連していろいろと質問が出ておるようです。そのことについて一、二お伺いしたいのであります。国鉄交通機関のような仕事場所におきましては、最近能率化並びに速度から言えば高速化ということが、これは歴史的、経済的な要望としてぐんぐんアツプされて来ておるのであります。そういう場合におきまして、ばかだから、箱の中に三十年すわつておったのだというような発言もあつたようですが、そういうようなことになりますと、人間はほとんど機械の一部分化され、仕組みの部分的なものに組みかえられて行って、人間的なものの特徴がだんだんと失われて行く傾向がきわめて顕著だと思う。従いまして、私は先ほど証人の、環境と個人の二元的な方面からこの問題を追突されておるというような形は、従来の犯罪の責任を追究するという立場からすれば、一応納得も行くのでありますけれども、しかしそういうふうな立場と方法論はこの問題の本質を明らかになし得ない最近の状況下にあると思うのであります。動物すら虐待すべきではない、こう言われております。こういう場合におきましては、個人的な訓練の軽視をここに私は主張するつもりは毛頭ありませんが、個人的訓練というのは、結局労働強化の問題になるのであります。労働強化の問題でこれが解決されるものとは思いません。従いまして、私がお伺いしたい点は、事件が大量的な被害を瞬間に出したところに問題がある。問題点はそこにあるのだということでありまして、また国会がこの問題を取上げておりますのも、そういう点からだということもうなずけるのでありますが、さすればああいうような何輌も連結し、しかも何百人かを一ぺんに運ぶ列車のただ一人の運転手しか、そのDコツクの操作を知らないというような状態のもとにおきましたならば、六三型の問題をここで問題にする考えもございませんが、証人が確認されておりまするように、あれが三段の窓になっておつて逃げられなかつたというようなこと自体も、大量的な被害が起きた原因だとも言われておるのでありまするから、そういう条件のもとで走らせております場合におきましては、Dコツクの操作――すなわちこの電車はきわめて事故が起らないように操作はしておるけれども、一日一緩急あれば、事故発生となれば、逃げにくい状態にあるのだというようなことで、Dコツクについて相当な措置をしておくべきことが問題だと思うのであります。従いまして環境が重大だという点でお尋ねするのですが……。 〔「質問をやれ、」「意見を言うな」と呼び、その他発言する者あり〕 〔島田委員長代理退席、委員長着席〕○篠田委員長 御静粛に願います。○加藤(充)委員 そういう条件、環境のもとに運転されておるのでありますから、お客さんを運びまする国鉄といたしましては、Dコツクの操作を事前になすべきじやなかつたか、私はこの責任はあれだけのとつさの瞬間に、たまたまDコツクをあける操作を知らなかつた一人の運転手の責任を追究するよりも、むしろ環境として、私は国鉄のそういう措置、告示、具体的なその問題が、大量的な被害を瞬間に出してしまったことの大きな責任だとも思えるのですが、この点について御見解を承りたい思います。○大津証人 御質問の要点は、Dコツクの操作を教えないことが本件事件に関係がある、そういう教えなかつた古責任者の処分問題いかん、そういうことになりますね、その点につきましては、いろいろ資料も集め、かつ検討を加えております。その問題につきましては、なお最高検察庁、高等検察庁と十分協議いたしました上で、今後の方針を決定することになっております。いまだ申し上げる段階に至つておりません。○加藤(充)委員 それからもう一点、上りというのが上り線であつたか、上り電車であつたかということが重大だということなんですが、これは中沢といいう工手長のいろいろな仕事の関係上、あるいは高原という信号掛のいろいろな職務の経験上、上りということをさしずする場合に、工手長では上り線ということを言い、信号掛では具体的な電車の信号なんでありまするから、上り電車というところに重点を置いて感じられるような、しかもとつさの場合に、そうピンと来るような職務上の経験とういうものを持っておったのではないか、そういう点についてお確かめになったかどうか、その点を承りたいと思います。○大津証人 もちろん電車を目の前に置いて毎日作業をしておる男でありますから、相当電車に対しては詳しいことを知っておるわけであります。しかしながら当日いかなる言葉を使つたかということが本件の問題であります。従いまして、やはりその言葉の語句、語呂、それを中心として事を見なければならない、そういうことに考えております。○加藤(充)委員 とにかく先ほどの評人の証言によれば、上りということが出たということはあります。上り電車であつたか、線路であつたかということまでは、はっきりしないが、上りということが話題に上つたことは事実であると思われるというように証言をなったのであります。私がお聞きしたいのは、さすれば上りという言葉を聞いたときに、あるいは言葉を発する場合に、中沢という工手長、それから高原という信号掛は、上りということで、どういうことを強く感じ、ピンと来るような職務上の経験あるいは職責上の立場にあつたかというようなことについて、上りという言葉はたいへんにニユアンスが多いということでありましたけれども、それを感ずる立場も非常にニユアンスが多いのじやないか、こう思うのであります。○大津証人 お答えします。上りという言葉でなく、中沢工手長は、上り線には入れてくれるなと言うのです。それから高原信号手の聞いたところでは、上り電車をとめてくれ、上り電車と上り線とはあまりまぎれない言葉であります。
2024.01.04
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久々に更新させていただきます。気がつけば桜木町事故の審問だけで3年近く続けているわけですが、いい加減に終わりをと言われそうですのでピッチを上げたいと思います。検事に対して、取り調べた4人に対して感じたことを述べて欲しいと質問しており、それに対して検事の見解として、日常業務以外のイレギュラー対応が出来ていないのではないかと言う趣旨の答弁をしております。そして、こうしたことが組織として出来ていないことは結果的には犯罪になるのではないかという視点で捜査していると回答しています。引用開始。○田渕委員 取調べ中に、四人なら四人に対して、ちょっと感じた点だけあなたに伺つておけばよろしいのです。○大津証人 私の感じとして、主観的な考えを申し上げるのにはあまり材料がないのでありますが、・・・中略、・・・・総合した角度から申すならば、一応鉄道の訓練目標が通常の業務関係の程度に行われているんじやないか、非常措置については少くとも欠けていたのではないか。たとえばDコツクを運転士と検車掛だけは知っておったが、駅側のものはだれも知らぬ。車掌を教養する者も知らない。これは私直接に聞いたんでありますが、運送長か何か、いわゆる、Dコツクというのは車輌を検修するために教えているのであるというようなことも申しておりました。ところが、あれを使うことによって、非常時における人命の救助になるということは教えてない。それがこういう事故を起した状況なんですが、そこで私の方では実は鉄道側に要求しておりますところの、職員の教養、訓練の状況という問題についての資料を実は待つているわけであります。実はそういうことが本件事故に対する重大なる環境のキー・ポイントであります。そういう環境下に置かれた職員が本件事故を起したということになるならば、これは本人にとつて一つの犯情になるわけであります。そういう角度から私たちは今の御質問のことを十分に調査したいと思つておりますが、今のところは、個々の人から見たところでは、どうも事故に対処した、即応した措置をとり得る訓練が欠けておるのではないかという感じがするのであります。引用終わりここで書いていますように、肝心の装置があることを知っていてもそれを使う方法を教えていないことが問題であると指摘しており、これは国鉄に限らず、縦割り組織によく見られる弊害と言えそうです。そうした縦割り行政の結果、運転士はDコックの存在を知らず、ドアを開放することが出来なかったわけで、結果的に多くの乗客を見殺しにしたことになります。(余談ですが、Dコックは事故前から車外及び車内に設置されていたのですが、その存在は知らされて居らず、検査掛などが作業で使用するものという認識でした、当然車掌も知らされていなかったわけですので、ドアコックを操作して救助すると言ったことが行われることはありませんでした)更には、電気の工手長と信号係の連携も上手く行っていないのも、重要な問題であり、主張は真っ向から食い違っています。作業途中に何らかのミスで架線切断したりというのは常時起こるものではないとしても、その際の連絡復旧体制などが出来ていなかったと言うことになります。その後、基本的に営業運転中の活線作業は行わないなどの対応が取られたようですが、それまでは、そうした点での整備が行われてこなかったことに驚かされます。更に、当時の国鉄にはセクション意識が強くて、部署が違うと全く意思疎通が出来ない、そんな状況でしたので、信号所に行って互いにちぐはぐな対応をすることとなるわけで、電気区に直接工手長が連絡しても良かったのではないかと言うのも当時では難しのではないでしょうか。更に、遠隔で監視している変電所側で異常電圧を検知できたのではないかという発言をしがちですが、当時の技術では、正直事故電流を判断するのは難しかったのです。更に、再度質問が入るのですが、この質問では、いくら立派な電車を作ってその電車を動かすのは人間であること、組織も中に入る人間がしっかりしないとダメだと検事は証言しています。以下続くにほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** *********************以下、国会審議議事録*************************○田渕委員 取調べ中に、四人なら四人に対して、ちょっと感じた点だけあなたに伺つておけばよろしいのです。○大津証人 私の感じとして、主観的な考えを申し上げるのにはあまり材料がないのでありますが、ただ事の結果から判断いたしまして、当時の事故の関係者の措置等から考えまして、総合した角度から申すならば、一応鉄道の訓練目標が通常の業務関係の程度に行われているんじやないか、非常措置については少くとも欠けていたのではないか。たとえばDコツクを運転士と検車掛だけは知っておったが、駅側のものはだれも知らぬ。車掌を教養する者も知らない。これは私直接に聞いたんでありますが、運送長か何か、いわゆる、Dコツクというのは車輌を検修するために教えているのであるというようなことも申しておりました。ところが、あれを使うことによって、非常時における人命の救助になるということは教えてない。それがこういう事故を起した状況なんですが、そこで私の方では実は鉄道側に要求しておりますところの、職員の教養、訓練の状況という問題についての資料を実は待つているわけであります。実はそういうことが本件事故に対する重大なる環境のキー・ポイントであります。そういう環境下に置かれた職員が本件事故を起したということになるならば、これは本人にとつて一つの犯情になるわけであります。そういう角度から私たちは今の御質問のことを十分に調査したいと思つておりますが、今のところは、個々の人から見たところでは、どうも事故に対処した、即応した措置をとり得る訓練が欠けておるのではないかという感じがするのであります。総合したものはまだ請求しております。○田渕委員 私は立法府から捜査を依頼されているこのことに対して、別に干渉がましいことは申し上げないのでありますが、六・三型(モハ63形電車)がどうだとか、機構が技術的にどうだとかいうような問題よりも、少くともいかなるりつぱな電車をこしらえても、機械を与えても、人間の魂の入つていない者に使わしたらゼロです。これが主でなければならぬと思うのであります。少くともそういう材料をわれわれに提供できるように、これからももしまた調べられましたならば、そういう点に重点を置かれていただきたいと思います。きのうは時間がなかつたので、証人二人について十分の尋問をし、そこまでつかめなかつたのでありますが、私らはそういうものをつかんで――今日まであらゆる大きな鉄道の事故があつた場合、これを国会が取上げたのに、今度ほど重大な関心を持つたことはない。先ほど佐々木委員が申した通り、わずか一分か二分で適当な措置を講じておればこういう大惨事は起きなかつた。結局人間が無能なやつであつたからこういうことになった。こういう問題を追究して行くと、人間の訓練の方法になると思うのであります。こういうような意味で、人的な方面から、機構の方も参考になるような点をお取調べを願えば当然発見されるその材料を提供していただきたい。またわれわれ悪くなった方々の霊が安んずるように、将来未然に災害防止になるために国会もやっておるのですから、あらゆる角度からお取調べはありましようが――そういう意味において、私はいかなるりつぱな国会であつても、議員がしつかりしていなければ日本の国会は何にもならぬと同じことです。いかに検察庁がしつかりしていても、中にいる検事がほんとうに魂の入つた人間でなければ検察庁は何にもならぬのであります。われわれは電車ももちろん完全なことを要望いたしますけれども、その前に人間の魂、こういう点をつかみたいと思います。簡単にお取調べの参考に願つておきたいと思います。○大津証人 物的、人的の問題につきまして、できるだけ環境を調べたいと思います。○島田委員長代理 加藤君に申し上げますが、盡食までにもう一人やることになっておりますので……。
2023.08.18
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今回も一ヶ月ほど開けてしまいましたが、桜木町事故の審問についてお話をさせていただこうと思います。検察の捜査見込みを問いただそうとする国会この事件でのキーとなるのは中澤工手長及び高原信号手の証言が大きく食い違うと言う点で有り、この辺に関して、検事がどこまで知っているのか、否知らなかったのかと言うことで質問が行われており、今後の検察の捜査(どちらがより正しいことを述べているのか知りたいとして)の方向性を探ろうとするのですが、その辺に関しては検察もスルーすることとなります。以下のような質問がなされています。○山口(武)委員 私は今の証人の答弁では少々了解しがたい。 次の問題を伺いますが、たとえばこの上りという問題についての言葉が線を基点としての解釈になるのか、電車を単位としての解釈になるのかという問題、それから中沢と高原の言い分の完全な食い違いという問題、これは事件を捜査する者といたしまして、事実はもちろん一つしかありませんし、いずれかというよりも真実のものを究明しなければならないわけですが、今のところ二つのものが全然対立のままになって未解決である。これについて今後どういうふうに取調べるのか、なお検察庁の見込みとしれは、どちらが真実に近いものになっているのか、この点に対するお考えを聞きたいと思う。○大津証人 本件はまだ検察官が起訴いたしておりません。検察官が意思を決定するときは起訴するときであります。特に本件の場合は、当委員会で非常に御関心を持っておるように、われわれの方の検察内部におきましても非常に関心を持っておりまして、高等検察庁、最高検察庁の指揮を受けておるのであります。従いまして本件の最終的決定につきましては、不日高等検察庁並びに最高検察庁に報告の上、十分議を盡しまして決定する、従つて今御質問のような点につきましても、目下十分に検討をいたしております。しかし結論は今申し上げる段階に至つておりません。○山口(武)委員 結論は今申し上げる段階でないということを言われましたが、結論は出るというような確信は持っておりますか。○大津証人 結論は出したいと考えております。実際問題として公判の維持などを考えれば、安易に答弁は出来ないというのは当然ですので、優等生的な答えとも言えましょう。さらに、以下のような質問が続きます。証言の食い違う二人に交友関係はあったのか否か?○山口(武)委員 それから私昨日中沢君の話をいろいろ聞いたのですが、一つ中沢君の話についてわからない点があつたのですが、中沢君と高原君との日常の交友関係というもの、あるいは職場における交友関係というものがあつたのですか。それともそういうような関係はないのか、この事件でたまたま顔を合せたというようなことになっていのですか。国鉄は特に縦割りといいますか、職能別に職場が分かれているため、機関区などに入れば、辞めるまで運転関係の業務に就くこととなっており、運転士を経験したが、車掌業務やたの業務に移行するというこは有りませんでした。○山口(武)委員 それから私昨日中沢君の話をいろいろ聞いたのですが、一つ中沢君の話についてわからない点があつたのですが、中沢君と高原君との日常の交友関係というもの、あるいは職場における交友関係というものがあつたのですか。それともそういうような関係はないのか、この事件でたまたま顔を合せたというようなことになっていのですか。このようにして、証言が食い違う二人について交友関係があったのかということを質問しています。これに対して、検事は双方の交友関係はないと明言しているのですが。当時の国鉄という組織では、縦割り組織の典型のようなところがあり、お互いに顔は見知っていたとしても積極的に交流することはないと言う点は郵政も似たようなものでした。郵政局の場合は特にそうで、事業部が違えば基本的に交流はない訳で、資材部に配属されれば資材部で、貯金部であれば貯金部内での移動が一般的であり、私のように貯金部でダメといわれて、資材部に回されて、逆に資材部で花開いたわけですが、再び貯金部に返り咲くということは出来ず、あくまでも縦割りの組織であることを実感したものです。(もっとも、例外はあったようですが極めてまれであったと思われます。)国鉄の組織そのものに問題があるのではないかと言及!かなり辛辣な表現で質問をしており、今ではその発言自体が揚げ足を取られそうな発言ではありますが、国鉄に限らず役所の組織が事なかれ主義に陥っている事。人命よりも鉄道車両の損失の方が大きな問題であると判断することに対して問題があると強く指摘しています。○田渕委員 大体国鉄の施設上の欠陥とか、あるいは機構組織の細分化というような点はわかつた。あとの証人で技術的なことはわかると思いますが、私は平素の教育訓練というようなものを、この捜査上からつかみたいというのが私のねらいである。人的要素の問題で、責任観念の完全、不完全というようなことについて、当委員会において中沢証人と高原証人の間に大きな食い違いがあり、お互いに責任のなすり合いをするということは、すなわち職分に対する責任観念あるいは一つのはっきりした理念がないからであります。中略・・・・有能でないまでも、かように三十年近く一つの職場におつて、もう経験とすれば十分できている人間が、もう一つつつ込んだ親切味がないために、要するにこういう事故を起したというふうに思えるのであります。検察側がそういうような点で対決させなかつたというような点についても、証人のどれがいいか悪いかは、われわれも常識によって判断はいたしております。けれども、とにかく日本の官庁機構というものは、寄らずさわらず、よけいなことをしないでじつとしておれば経済部長になり知事になる。(「よけいなことを言うな」と呼ぶ者あり)こういうような非常な寄らずさわらずの態度がこの問題を起しておる。私たちは国鉄の機構をかえると同時に、国鉄の訓練をしなければならぬ。つまり国鉄は、乗客は乗せてや売るのだ、貨物は運んでやるのだというような思想がずつと古い憲法の天皇制時代から来ておる。終戦後のどさくさなどには、ことに哀訴歎願してやみ切符まで頼んでおった。主人公であるお客が外の寒いところにさらされて、駅長その他の職員がストーブをたいてあたっておる。こういう考えがこの三十年もいる連中の思想に入つている。よけいなことはしないでいいという線と、一つは乗客に対する関心がないということは、運転士の証言ではっきりしております。器物の方が大事だ、国鉄の電車が大事で、お客は大事ではないという態度であつたが、将来は運ぶところの生命、われわれの車体を完全に守る訓練をしなければならぬ。それに対しては、今の国鉄の監理委員会がいいのかどうかというような点にも行かなければならぬので、私たちはここへ証人を呼んで、あなた方に材料を提供してくれとか、あるいはもつと刑罰を重くしなければならぬというようなことは言わない。国会はもつと大きな観点からお願いするのですが、少くとも中沢証人と高原証人の食い違いというよう点になって来ると、われわれはもうこれ以上聞く必要はない。私から率直に言わせれば、無能な人間を使つているというところに間違いがあるのだ。・・・以下省略といった具合でかなり辛辣な発言をしております。ちなみに、田淵委員は、和歌山選出の国会議員で、2期議員を務めた後に連続三回落選となり政界を引退しています。参考:田淵光一これに対して、検察は国鉄の教育については、鉄道教習所側から資料を取り寄せてどのような訓練なり教育を行っていたのかを確認しているところであると証言しており、更に、今回の事故のような事故時の扱いについても鉄道教習所に確認しているものの明確な答えが返ってきていないとして、質問に対して回答は直接は回避しています。以下続くにほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** 国家異議記事録本文は、以下の通り**********************桜木町事故国会審問の議事録*********************** 〔委員長退席、島田委員長代理着席〕○山口(武)委員 証人はこの事件に関する調査の責任者ではないですか。○大津証人 一応責任者であります。○山口(武)委員 そうしますと、この高原君と中沢君の言い分の食い違いという問題は、きわめて重大な問題でありまして、しかもこの両者の言い分の違いのいずれが正当であるかということにつきまして、寺山の言葉というものがまたきわめて重大なかぎになって来るわけでありますが、このことに関してあなたは特に知らなくともよろしかつたのですか。○大津証人 お答えします。しないでよろしいのではありません。検事の捜査は、検事が一人ですべての関係を自分で担当いたして取調べる場合もございます。しかし複雑多岐な事件になりますと、数名の検事がいわゆる共同捜査というものをやります。そうして各検事の担当部門をきめまして、それぞれ担当関係者を取調べ、そうしてそれはやがて総合さるべき問題でありますが、一人の検事がすべての被疑者にわたり、あるいは関係人にわたって調べることは事実上不可能であります。川島検事は私の属する特別捜査局の一人でありまして、私よりも先に本件にタツチしておりまして、そうしていろいろな関係人を取調べております。そこで私は川島検事について、その部分については十分に捜査を頼んで、その報告を受けておりますから、それで十分と考えております。○山口(武)委員 しかしこの寺山の言葉というものは、少くともこの事件のポイントの一つをなしているものだ。この証言の言い違いという問題について、あなたはそれほどあまり詳しく知っていないというようなことでよろしいかどうか、あらためてお聞きします。○大津証人 お答えします。高原信号手並びに中沢工手長は私も直接調べました。川島検事も高原、中沢、寺山そのほか関係者を調べております。つまり一人が一人を専属してやっておるわけでなく、それぞれ重複し、あるいは相互に関連して取調べをいたすのであります。従いましたわれわれとしては十分に連絡してありますから、その点で別に遺憾なことはないと考えております。しかし御意見は御意見として拝聴いたします。○山口(武)委員 私は今の証人の答弁では少々了解しがたい。 次の問題を伺いますが、たとえばこの上りという問題についての言葉が線を基点としての解釈になるのか、電車を単位としての解釈になるのかという問題、それから中沢と高原の言い分の完全な食い違いという問題、これは事件を捜査する者といたしまして、事実はもちろん一つしかありませんし、いずれかというよりも真実のものを究明しなければならないわけですが、今のところ二つのものが全然対立のままになって未解決である。これについて今後どういうふうに取調べるのか、なお検察庁の見込みとしれは、どちらが真実に近いものになっているのか、この点に対するお考えを聞きたいと思う。○大津証人 本件はまだ検察官が起訴いたしておりません。検察官が意思を決定するときは起訴するときであります。特に本件の場合は、当委員会で非常に御関心を持っておるように、われわれの方の検察内部におきましても非常に関心を持っておりまして、高等検察庁、最高検察庁の指揮を受けておるのであります。従いまして本件の最終的決定につきましては、不日高等検察庁並びに最高検察庁に報告の上、十分議を盡しまして決定する、従つて今御質問のような点につきましても、目下十分に検討をいたしております。しかし結論は今申し上げる段階に至つておりません。○山口(武)委員 結論は今申し上げる段階でないということを言われましたが、結論は出るというような確信は持っておりますか。○大津証人 結論は出したいと考えております。○大津証人 私が聞いたところでは、交友関係というものはなかつたようであります。顔は幾分知っているという程度であつたかもしれませんが、名前までは知らなかつたということを高原君が言っております。そういう特殊な交際関係というものはなかつたようであります。○田渕委員 大体国鉄の施設上の欠陥とか、あるいは機構組織の細分化というような点はわかつた。あとの証人で技術的なことはわかると思いますが、私は平素の教育訓練というようなものを、この捜査上からつかみたいというのが私のねらいである。人的要素の問題で、責任観念の完全、不完全というようなことについて、当委員会において中沢証人と高原証人の間に大きな食い違いがあり、お互いに責任のなすり合いをするということは、すなわち職分に対する責任観念あるいは一つのはっきりした理念がないからであります。そこでいいか悪いかということは検察庁にまかせておけば、刑罰を科するのであるからよろしいが、私たちのねらつているところはそうではなく、有能でないまでも、かように三十年近く一つの職場におつて、もう経験とすれば十分できている人間が、もう一つつつ込んだ親切味がないために、要するにこういう事故を起したというふうに思えるのであります。検察側がそういうような点で対決させなかつたというような点についても、証人のどれがいいか悪いかは、われわれも常識によって判断はいたしております。けれども、とにかく日本の官庁機構というものは、寄らずさわらず、よけいなことをしないでじつとしておれば経済部長になり知事になる。(「よけいなことを言うな」と呼ぶ者あり)こういうような非常な寄らずさわらずの態度がこの問題を起しておる。こういうような点から行くならば、私たちは国鉄の機構をかえると同時に、国鉄の訓練をしなければならぬ。つまり国鉄は、乗客は乗せてや売るのだ、貨物は運んでやるのだというような思想がずつと古い憲法の天皇制時代から来ておる。終戦後のどさくさなどには、ことに哀訴歎願してやみ切符まで頼んでおった。主人公であるお客が外の寒いところにさらされて、駅長その他の職員がストーブをたいてあたっておる。こういう考えがこの三十年もいる連中の思想に入つている。よけいなことはしないでいいという線と、一つは乗客に対する関心がないということは、運転士の証言ではっきりしております。器物の方が大事だ、国鉄の電車が大事で、お客は大事ではないという態度であつたが、将来は運ぶところの生命、われわれの車体を完全に守る訓練をしなければならぬ。それに対しては、今の国鉄の監理委員会がいいのかどうかというような点にも行かなければならぬので、私たちはここへ証人を呼んで、あなた方に材料を提供してくれとか、あるいはもつと刑罰を重くしなければならぬというようなことは言わない。国会はもつと大きな観点からお願いするのですが、少くとも中沢証人と高原証人の食い違いというよう点になって来ると、われわれはもうこれ以上聞く必要はない。私から率直に言わせれば、無能な人間を使つているというところに間違いがあるのだ。無能な人間であるからしてああいう小さい箱の中で三十年もおる。気のきいた者はおりはせぬ。とかく日本の人的な配置の使い方が間違つておる。これはきのうなんかでも、まことに高原証人なんか気の毒な人間であると思う。ほんとうにこういうような大事なところの信号手に配置しておったということが間違いである。今度は逆にわれわれは洗つて行かなければなりませんが、科学的に私はまだどうしても納得の行かない点があるのです。これは今主任検事さんに聞いてみてもわからぬので、あとの証人に聞いてみたいと思いますが、結局あなたが今この事件を取調べ中でありますけれども、そういうふうな点について、あらゆる施設、機構、六・三型いろいろな話があつたのでありますが、二人の証人、あるいは運転士、車掌をお調べになって、こういうような点についてお感じになった点を伺いたいと思います。率直なことでけつこうです。あなたから見て、いわゆる印象と申しましようか、そういう点でけつこうであります。○大津証人 国鉄職員の訓練、教育の問題につきましては、実は鉄道教習所側から現在の教科書、教材等を取寄せまして、どういう訓練を行っているだろうかということを目下検討しておるのでございますが、まだこの点については結論が出ておりません。それから事故時における非常措置についていかなる訓練を行っているかという点についても、実は回答を求めているのですが、まだ参つておりません。
2023.05.14
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長らく更新が出来ませんでしたが、改めてアップさせていただきます。工事担当者はスパナを落としたわけでは無かった今回も、検事の証言が続くわけですが。一般的には、工手がスパナを落としたことで、架線が切れたと言われているのですが、実際には工手がスパナを落としたのでは無く、スパナの一部が活線しているき電線と触れたことで架線が切れたと言うのが実情のようです。まぁ、こうしたことは改めて当時の資料を参照することで見えてくるものもあるわけですが、当時の下記の昭和26年 交通技術 桜木町事故その後と言う記事で以下のように書かれています。その原因をつきとめると電車線の吊架線碍子の取替作業?中に遡って直流 I,500V がかかっている吊架線と共の支持物であるピームとの間に碍子を躍ぴこしてアーク(電弧)を発生させた事にある。ここでも、スパナを落下させたという言葉は出てこないわけで、検事の審問では下記の通り証言しています。○山口(武)委員 工手がスパナーを落して架線を切断した。そのことが今回の事件の直接的な原因になっておるわけですが、工手がここで工事をしておる場合にどういうような状況のもとに工手が落しただろう。工手がそういうスパナーを落すというような過失を常に繰返すような状況において行つたのかどうか。こういうようなスパナーを落すというような条件は、これは常にあることなのか、それとも珍しい過失なのか、まずこの点をお聞きしたいと思います。○大津証人 スパナーを落したのではなくて、クリツプのナツトをゆるめておったのですが、スパナーを送りますね、その際あの尖端がこういうふうな三角形的になって、こっちの鉄骨の一端にぶつかつたわけです。こういうような状況で切断した、こういうような状況が認められるのですが、そういう現象は私たちの方では珍しい事故であると聞いております。電気工事は下請けの業者がして居るのではないのかとの質問が・・・ここでの質問では、電気工事を下請けの事業者に任せており、それが為に士気も下がっていたのでは無いかと一茶か精神論的な質問がなされるのですが、それに関してはそのような事実は無いとやんわりと否定しているようですが、実際にそうしたアルバイトをしていた国鉄職員がいたのかも知れませんし、居なかったのかもしれませんが。ここでの検事の証言ではそうした点は把握していないとのことでした。○山口(武)委員 私の聞いている事実なんですが、架線の改修工事というものが、かなりあぶなつかしい方法でやられているということを聞くのであります。いわゆるあなたの言う事件の環境の問題です。それで実は架線の改修工事の場合に、請負会社のようなものがあつて、その請負会社が、国鉄で働いている工手の人をアルバイトで使つている。従いまして気分的にもたるんでいる。そして精神的にも肉体的にも疲労の状態にある。こういうような状況のもとで改修工事がなされておる。そういうことがありますれば、そこで故障というものが起るのは、これは往々にしてありがちなことになってしまうわけなんですが、この点に関しまして、あなたの方で何かお調べの結果耳に入つたことがあるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。○大津証人 そういう工手がアルバイトしておるかどうかということは聞いておりません。検事はそのような事実は確認していないと証言しているため、真相はわかりかねますが。多少なりともそうした事例は有ったのではないでしょうか。ほんとうに正しい証言をしているのは誰か。信号手の証言と中沢工手長の証言には大きな開きがあるのですが、結局は電車を止めろと言うことに対して。車両を中心として上り線・下り線と捉えたのか、列車の発着順序として上り線・下り線と発言したかの差異が出てくるのですが。検事の証言では同僚の寺山という人物も高原信号手とほぼ同じ趣旨の発言をしていたと証言していると言う証言で止まっています。○大津証人 高原信号手の供述によりますと、中沢工手長からの話では、上り電車をとめてくれ、下り電車はいいのかと聞くといいのだという趣旨を高原君が供述しているわけです。○山口(武)委員 今証人は趣旨ということを言われましたが、私が聞いておりますのは、厳密な言葉の使い方の問題なんです。上り電車という言葉で言つたのか。証人は先ほどそういう証言をなさつたと思うのです。この点いかがですか。○篠田委員長 その食い違い、信号手は上り線をとめてくれと言つたし、聞いた方は上り電車をとめてくれと言つたという、その食い違いを説明していただきたい。中略○大津証人 寺山ですか、これは私が直接調べておりませんし、私は取調べをした川島検事から大体聞いたことを覚えておるのですが、その趣旨は、総括して結局高原信号手の供述の線と大体一致しておる、こういうことのみを聞いておつて、具体的に彼がどう聞いたという事実は、私一々調べておりませんから、私自身も認識しませんし、具体的にこう言っておるという調書を見たわけでもございません。要するに川島検事が、私と一緒にやっておる間に、寺山君を調べまして聴取したことは、大体高原の言っておることに一致しておる、こういう程度に私は聞いておるのです。なお。この発言については議員から更に追及があるのですが、その辺は次回にさせていただきます。以下続くにほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** 国家異議記事録本文は、以下の通り**********************桜木町事故国会審問の議事録***********************○山口(武)委員 工手がスパナーを落して架線を切断した。そのことが今回の事件の直接的な原因になっておるわけですが、工手がここで工事をしておる場合にどういうような状況のもとに工手が落しただろう。工手がそういうスパナーを落すというような過失を常に繰返すような状況において行つたのかどうか。こういうようなスパナーを落すというような条件は、これは常にあることなのか、それとも珍しい過失なのか、まずこの点をお聞きしたいと思います。○大津証人 スパナーを落したのではなくて、クリツプのナツトをゆるめておったのですが、スパナーを送りますね、その際あの尖端がこういうふうな三角形的になって、こっちの鉄骨の一端にぶつかつたわけです。こういうような状況で切断した、こういうような状況が認められるのですが、そういう現象は私たちの方では珍しい事故であると聞いております。○山口(武)委員 私の聞いている事実なんですが、架線の改修工事というものが、かなりあぶなつかしい方法でやられているということを聞くのであります。いわゆるあなたの言う事件の環境の問題です。それで実は架線の改修工事の場合に、請負会社のようなものがあつて、その請負会社が、国鉄で働いている工手の人をアルバイトで使つている。従いまして気分的にもたるんでいる。そして精神的にも肉体的にも疲労の状態にある。こういうような状況のもとで改修工事がなされておる。そういうことがありますれば、そこで故障というものが起るのは、これは往々にしてありがちなことになってしまうわけなんですが、この点に関しまして、あなたの方で何かお調べの結果耳に入つたことがあるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。○大津証人 そういう工手がアルバイトしておるかどうかということは聞いておりません。○山口(武)委員 それでは先ほどの問題点なんですが、工手長が上りをとめてくれということを高原信号手に言っておるわけですが、この解釈が一応線を起点として言われたものか、それとも電車を単位として言われたものかというところに問題があると思うのですが、先ほどの証人の答弁によりますと、これは高原君の証言だったと思うのでありますが、上り電車をとめてくれと言われた、こういうふうに証言されたと思うのです。そうすると、上り電車をとめてくれと言つたということになると、これは電車を単位としてものを言つたということになるのではないかと思うのですが、この点は証人の言い違いであつたのか、それともその通りであつたのか。○大津証人 高原信号手の供述によりますと、中沢工手長からの話では、上り電車をとめてくれ、下り電車はいいのかと聞くといいのだという趣旨を高原君が供述しているわけです。○山口(武)委員 今証人は趣旨ということを言われましたが、私が聞いておりますのは、厳密な言葉の使い方の問題なんです。上り電車という言葉で言つたのか。証人は先ほどそういう証言をなさつたと思うのです。この点いかがですか。○篠田委員長 その食い違い、信号手は上り線をとめてくれと言つたし、聞いた方は上り電車をとめてくれと言つたという、その食い違いを説明していただきたい。○大津証人 それは私は今ここに書類を持っておりませんから、私の記憶で申し上げますが、趣旨ということは記憶であるからという意味であります。要するに高原信号手が中沢工手長から聞いたところは、上り電車をとめてくれ、こういうことを聞いた、こういう趣旨であります。○山口(武)委員 どうも言われることがわからないのですが、それでは先ほどの証言の際に、中沢工手長がたいへんなことを起してしまった、電車が来て架線が切れたことにしてくれというような申入れを高原に行つた、高原にこういうことを言つたというときに、そこには寺山という男がいた。この寺山も、川島検事の調べによると、高原の言い分と大体合つておるということを言っておる、こう言われたのですが、これは川島検事が調べたにいたしましても、あなたも御承知だろうと思うのですが、この高原の言い分というものをちょっと詳しく聞かしていただけませんか。○大津証人 高原の言い分と申しますと……。○山口(武)委員 寺山の言い分です。○大津証人 寺山ですか、これは私が直接調べておりませんし、私は取調べをした川島検事から大体聞いたことを覚えておるのですが、その趣旨は、総括して結局高原信号手の供述の線と大体一致しておる、こういうことのみを聞いておつて、具体的に彼がどう聞いたという事実は、私一々調べておりませんから、私自身も認識しませんし、具体的にこう言っておるという調書を見たわけでもございません。要するに川島検事が、私と一緒にやっておる間に、寺山君を調べまして聴取したことは、大体高原の言っておることに一致しておる、こういう程度に私は聞いておるのです。以下続く
2023.04.20
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ほぼ一ヶ月ぶりに更新させていただきます。今回も、検事による証人審問を引き続き書かせていただきます。事故発生時刻は何時何分なのか?調書では架線が切れた発生時間は、1時38分から44分の間としており、国鉄の資料等でも1時40分頃とと言う表現はされているものの正確な時間は判っていません。それは、横浜変電区の高速度遮断器が切断した記録としての時間が1時38分と記録されていること、更に発火の際には事故電流が流れるので、その時刻が同じく横浜変電区のブレーカーが飛んだと記録されており、その時刻が1時44分であったとされています。又検事証言に寄りますと、車掌の証言では、1時42分に時計を見たと証言しています。さらに、国鉄が提出した資料では、1時43分であったと言うことで、事故発生時間を特定しがたい状況にあることを証言しています。○佐々木(秀)委員 もう一つお伺いしたいのですが、この事故は架線工事による事故ですが、メツセンジヤー・ワイヤーが切れたという時間と、その電車が入つて来たというその間の時間はどれくらいの時間でございましたか。○大津証人 この点もまだ検討を要するものでありまして、いろいろと検討を重ねておりましたが、まずメツセンジヤー・ワイヤーが切断いたしましたのが一時三十八分ごろだ。その根拠は、メツセンジヤー・ワイヤーの切断によりまして、横浜変電区のハイ・スピード・ブレーカーが飛んだ。その飛んだのを記録いたしておりますので、もしその時計と書く人の遅速による誤差がなければ、一応一時三十八分に切れたのではないかということが考えられるのであります。それから電車の発火のとき、当然変電区に感覚があるわけです。これが午後一時四十四分であつた。これは横浜の変電区のハイ・スピード・ブレーカーが一時四十四分に切れた。それから今度電車の関係で行きますと、これは運転士にしても車掌にしても、それぞれ時刻に感覚を持っておるわけでありますが、これらの供述は、一分とか、三十秒とか二分とかいうようなことはいろいろと食い違いがあるが、とにかく大体一時四十二分ごろというような供述があるのであります。車掌の場合は一時四十二分これの直後時計を見たということになっております。この時計がはたして確かであつたかどうかという問題がここにある。そこで二分なのか四分なのかという問題ですね。これは検討を要するのでありますが、私の方から国鉄に照会した結果、一応の事故の原因について調査の回答がありましたが、それによりますと、国鉄の方は一時四十三分を一応示しております。しかし今の四十四分は技術的には根拠があるわけですね。横浜の変電区のハイ・スピード・ブレーカーが飛んだ時計が間違つていたか、書く人が遅かつたということになれば誤差があるわけですが、一応機械的にはその事故が発生したのは一時四十四分、この点につきましてはなお検討を要する点がある。ということで、更に調査は必要としながら、国鉄当局、現場、変電所での記録などから1:38~44頃と言う時間を示しているようです。検事が証言する事故当時の模様検事は、事故当時の資料や物的証拠を参照しながら、メッセンジャー・ワイヤー(注:電車線の上に設けられる電線で、直接電車線に負担がかからないように設けられるワイヤー)事故そのものから考えますと、とにかく架線の故障があつたことは事実で、一応切れたということが外見的にもわかり、物的証拠もある。事故はそのクロス点で起きたことは確かで、ここでメツセンジヤー・ワイヤーを切れば、そのクロス点まで影響が及んでいただろうということは推測することができる。そういう状況下に電車が入れば、発火の危険もあるだろうという事実も一応納得ができる。検察は事故の再現ですが、国鉄当局でも再現実験を試みたものの、結果的には開催できなかったと証言しています。。そこで最も端的に言えば、その故障そのものを再現してみればいいわけですが、これは物理的にも不可能、経済的にも不可能です。そこで実は五月八日ころでありますか、国鉄が自分で実験をやることになった。その際にわれわれもその点を確かめさせてもらおう、こう考えた。ところが国鉄でもやってみたところ、いろいろたいへんなことでありますから、困難があつたらしく、一応見送りになったということです。検察としては、改めて国鉄に依頼して、出来るだけ当時の状況を再現できるように、再現実験を行うことになったと記されており、停電させた上で、機関車で63形電車を押して現場付近の架線が切れた状態を再現した結果、実際にパンタグラフが入り込むか否かを確認したところ、見事に再現されたという証言をしています。できる限り過去の事実の条件にマツチするように、しかもできるだけ犠牲は少くしてもらいたいという要望を国鉄に提出いたしまして、十五日の拂曉に、終電後から始発までの間に桜木町駅の現場で実験をいたしました。それは第四号鉄柱を人為的に切るわけですから、条件がちょっと違うわけです。それを切ってみまして、そうして左右延長の弛緩の状況、異変状況を測定いたしました。それからそのそばに六三型の電車を電流を切って機関車で押しておつつけて、メツセンジヤー・ワイヤーとトロリー線の間にちようど入るかどうかやってみた。これは入ります。これは過去の事実そのものではない。しかしわれわれの実験の結果は、あくまで間接ではありますけれども、間接にも一応そういうトロリー線とワイヤーの間に入る。入ればハンガーがありますから、それをとりはらつて、トロリー線が下るだろう。下ればこういうふうにパンタグラフのわく内に触れるだろう。触れればアースするだろうということが一応考えられる。そういうふうに一応間接的ながら事故の物理的な経過は調べてみたわけです。以下続くにほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** 国家異議記事録本文は、以下の通り**********************桜木町事故国会審問の議事録***********************○佐々木(秀)委員 そこが非常に機械や電気を扱う場合におきましては、時間ということが最も重大な問題になって来るのでありますから、ひとつその点は、一分や二分は一般に考えるとどうでもいいのだろうと考えるかもしれませんが、専門的に言うと、何千分の一、何百分の一秒というのが、電気を扱う者の大きな使命になるわけであります。その点において、私は時間ということを十分にもつとお調べ願つて、国鉄では四十三分と言う。車掌は四十二分を見た。供述によると四十四分だということになると、そこに非常ないろいろの問題が、将来の問題等もからんで来ると思いますから、その点はひとつ検察庁においても、十分に的確なるお調べを願いたいというのが、私の気持であります。それからもう一つは四十二分に車掌が発火の現場を見た、火が出たということであろうと思うのでありますが、それから救出作業が機宜を得なくて多くの人命を喪失してしまった。お気の毒な状態になった。その間の大体の時間等はこれはよくわかるだろうと思います。すなわち発火してからのその点のお調べがありましたら……。○大津証人 発火から最初のアース、それからいつまで火災が続いておったかという問題は、実は正確にはわからぬので、現場の者は具体的に時間的にはっきりはかつておった者はない。ただこういうことは言えるのであります。一時四十四分に横浜変電区のハイ・スピード・ブレーカーが飛んだから、そのときにまず一応事故が起きたと思うが、その事故の起き方も非常に緩慢に来た場合と急激に来た場合と、いろいろケースがある。それからハイ・スピード・ブレーカーの個性もありますし、横浜と桜木町のことですから距離的には近いのですが、もし遠ければやはり距離に反比例しまして抵抗がある。そういう問題を考えると、四十四分とはっきりと言い切れない点が多少あるのではないか。ただそのトロリー線は四十四分に切れた。饋電線の方が、これはハイ・スピード・ブレーカーが横浜変電区に通してなかつた。そこで事故直後新橋の電力指令からと思いますが、その指令によって事故があるからとめろというのでとめた。それが一応四十四分に記録された。その間にアークが飛んだものだろうということが考えられる。それから車体が燃焼して、これは最初から燃焼したのかもしれませんが、何分ぐらいで焼けてしまったかということは、人の口から数分であつた、七、八分で焼けたというように、いろいろ言われておるのであります。それ以外に確かめておりません。ただアークが飛んでいたであろう時間は四十四分ないし四十八分の間であつたのではなかろうかというような一応の根拠はある。それからその事故の始末ですが、実は私その当日欠勤しておりまして、現場を直接見ておりません。しかも先ほど申し上げた通り、事故当時他の係でやつたので、その直近の現場は私は踏んでおりませんから詳しいことはわかりません。○佐々木(秀)委員 事故の発生した時間が一時四十四分でもどうでもいいが、それが何分にして電車が焼けてあれだけの人が焼け死んだという時間が、ただ単に数分であつたというようなことで、将来のいろいろな処置については、こういう重点的に――われわれは犯罪を出すための調べじやございませんが、国会としては今後のいわゆる応急処置というようなことも考えなくちやならぬと思う。もちろんあなたは当日おいでにならなかつたので、現場は調査しなかつたのでありましようが、国鉄やその他の方面ではこれは大体わかるだろうと思うのですが、その点をひとつ十分お調べを願つて……。○大津証人 その点申し上げます。大体私の方といたしましては、まず現場の事故の状況を調べております。それからその後人的捜査を進めておりますし、いろいろな資料を集めております。しかし事故そのものから考えますと、とにかく架線の故障があつたことは事実で、一応切れたということが外見的にもわかり、物的証拠もある。事故はそのクロス点で起きたことは確かで、ここでメツセンジヤー・ワイヤーを切れば、そのクロス点まで影響が及んでいただろうということは推測することができる。そういう状況下に電車が入れば、発火の危険もあるだろうという事実も一応納得ができる。しかしこのことは過去の事実でありますから、われわれとしては一応このメツセンジヤー・ワイヤーを切つたときにいかなる現象が発生するか。このクロス点でいかなる結果を伴うか。電車がそこに入つたならばどういう状況になり、どこにタツチするか。それ以後どういう現象が起きていかなる事故を起すか。さらに言えばその燃焼はいかなる結果を起すか。いろいろな条件があります。こういう点を、われわれ事件の物理的経過ということを一応考えたのであります。そこで最も端的に言えば、その故障そのものを再現してみればいいわけですが、これは物理的にも不可能、経済的にも不可能です。そこで実は五月八日ころでありますか、国鉄が自分で実験をやることになった。その際にわれわれもその点を確かめさせてもらおう、こう考えた。ところが国鉄でもやってみたところ、いろいろたいへんなことでありますから、困難があつたらしく、一応見送りになったということです。ところが私の方としますれば、やはり法廷に事故の物理的経過ということを一応説明しなければならぬ。当時の客観的状況とやはり現在はかわつておる。もちろん鑑定人などの知識を借りまして、そういう方法の実証も考えられるのでありますが、これとても事件後であるから、とにかく大事をとつて、できる限り過去の事実の条件にマツチするように、しかもできるだけ犠牲は少くしてもらいたいという要望を国鉄に提出いたしまして、十五日の拂曉に、終電後から始発までの間に桜木町駅の現場で実験をいたしました。それは第四号鉄柱を人為的に切るわけですから、条件がちょっと違うわけです。それを切ってみまして、そうして左右延長の弛緩の状況、異変状況を測定いたしました。それからそのそばに六三型の電車を電流を切って機関車で押しておつつけて、メツセンジヤー・ワイヤーとトロリー線の間にちようど入るかどうかやってみた。これは入ります。これは過去の事実そのものではない。しかしわれわれの実験の結果は、あくまで間接ではありますけれども、間接にも一応そういうトロリー線とワイヤーの間に入る。入ればハンガーがありますから、それをとりはらつて、トロリー線が下るだろう。下ればこういうふうにパンタグラフのわく内に触れるだろう。触れればアースするだろうということが一応考えられる。そういうふうに一応間接的ながら事故の物理的な経過は調べてみたわけです。
2023.02.05
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引き続き、桜木町事故に関する証人か審問と言うことで、検察官の証言をアップしたいと思います。現在審問の対象は、電気工事をしていた中澤工手長以下の職員の行動について質問をしています。桜木町事故以降、停電作業を行う場合の基準などを明確化今回の事故に際して、電車線への防護措置や工事のやり方に問題があったのではないかと。検察官も証言していますが、頻繁の電車が通る場所で有る限り、電車に対する措置を行うべきであったことは当然だと思われるわけで、大津証人も以下のように証言しています、以下は、当時の審問の様子から。○佐々木(秀)委員 それを聞いていないといたしましても、そういうようなことの方面に注意をする人間がいなかつたというようなことについての御不審はあなたもお持ちであろうと思いますが、どうですか。○大津証人 もちろん電車に対して十分注意をして――そこは十二分間隔くらいで頻繁に通つておったのでありますから、その電車に対する処置を当然行うべきであつたというように考えるのであります。そこは十二分間隔くらいで頻繁に通つておったのでありますから、その電車に対する処置を当然行うべきであつたというように考えるのであります。と言う証言は至極当然と言えることになりますが、国鉄ではこの辺をどう考えたのか・・・もう少しその後は探ってみる必要はありますので、少し調べてみますと。この事故を受けて、国鉄では工事のやり方を大幅に見直すこととしたと、以下のように、桜木町事故その後電力関係の事故防止対策を以下のように示されています。当該部分を引用してみます。そこで今まで現場の作業責任者の判断にまかせてあった停電によらねばならぬ作業の種別を規程によって指定する事とし停電作業心得によって其の確実化をはかったのである。と有るように、現場の作業責任者による判断ではなく、最初から停電作業する場合のパターンを規定化することで責任の所在と安全性の確保を図ったと言えます。さらに、電車線作業中の列車防護 と言う項目では、上述の様に停電によらねばならぬ作業種別を拡大して事故防止を確立すると共に、更に空間的に列車に支障するか又は支障する危険のある作業は予め運転を閉塞して閉鎖工事として施行する様に閉鎖工事の種別を拡大する事とし閉鎖工事手続を改正した。と言うように、当局としては積極的に改善策を講じたことが確認できます。参考:桜木町事故その後 電 力 関係の事故防止封 策 に就いてさらに、審問は続くのですが、ここでは、Dコックの扱いについて質問がなされています。Dコックの扱い方を知っていたのは誰か?ここで、委員からDコックの扱いについて知っていたのは誰かという質問がなされています。この発言では、運転士もDコックの存在は知っていたのではないかと証言していますが。本人の供述では、Dコックの存在は知らなかったと証言しているようですが、その辺はどうなのでしょうか?委員の質問では、運転士と同乗していた検査係なのですが、この検査係は事故直後に運転だから飛び降りているのですが、此処で運転士の事故当時の行動について質問をしています。○佐々木(秀)委員 次に架線の故障によってこの事故が起きたと思いますが、この起きたあとの処置であります。それにつきましてDコツクという開閉器でございますが、Dコツクを使用することを知っていたのは運転士と、もう一人のそのときたまたま乗り合していた検車の職員です。その乗り合していた人は忘れたとしても、運転士は、常にそれを考えていなければならなかつた。しかしたまたま狼狽したために、その応急スイツチを入れなかつたと、いうことでありましたが、先ほどの証人の証言の中におきましては、車掌がいち早く焼けておる電車のところに来て、乗客の飛び出すのや何かの手伝いをしていたということでありましたが、その間に運転士はどういう行動をとつておりましたか、お調べ願つたかどうか承りたい。この質問に対して。検察官の証言は以下のように回答しています。○大津証人 運転士の供述によりますと、ちようどクロス点に入つたと思う途端に、パンタグラフが大きな音がして火がぱつと出た。それで驚いて急制動をした。もちろんスリツプしたのでありますが、何か架線に故障を起したと思つてパンタグラフを下げる操作をした。そしてうしろの方をちょっと見ると、ちようど客室に通ずるドアがある。そうすると天井付近にアークが吹いておる。これはたいへんだというのでパンタグラフを上げた。というのは、ドアをあくべく車掌スイツチを押すためであります。ところがその車掌スイツチを押したと言っておりますが、自分が海側のスイツチを入れ、たまたま便乗していた金子(車掌の名前。加藤注記)が山側を入れたのではなかつたか、両方ともあかなかつた。そこで自分は車外に飛び出して行きまして、車の前部を通つて山側に来た。そうして一、二両目間の連結の上に乗つて、第一両のうしろ側の通り抜けするドアをあけようとしたがあかなかつた。やむを得ず第二両の貫通ドアを明けて中に入つて、そして三、四箇所の床下コツクをあけた。そして第二両の乗客の避難を助けた。その後お客さんの救出みたいなことをやっておったのでありますが、その間の動作はよくわからぬというのであります。その後金子検車手、これももちろん活動しておったのでありますが、三両目の連結を切つたということを言われたので、自分は最後尾に行ってパンタグラフを上げて後部三車輌の後退をさせた、こういうふうに申しております。大体そういうようなことであります。車外に出てから車の前部を通つて、山側を通つて第一、二両目の連結に来る途中にDコツクがあるわけです。これをふだんは知っておるが、そのときは気がつかなかつた、こういう話であります。ここで、運転士は2両目の車内に入って室内のドアコックを開けたと証言していますし、ドアスイッチを操作しようとしたが作動しなかったと言うことも証言しています。念のために再度、その辺を確認だけしておこうと思います。以下は、桜木町事故に関する国会審問の議事録 第3回 の本文から引用したものですが、確かに、運転士自らが未だ火が付いていなかった2両目の車両のドアは開けたと証言しています。 ○中村証人 まだそつちの方は話していないのですが、それで運転室の自分の方の貫通ドアをあけて飛び降りて山側へずつとまわつたのです。それから一両目と二両目に行って、一両目の連結器の上に足をかけて、その連結器の上に上つて、一両目に入ろうと思つたのですが、そこはちょっとはっきりいたしませんけれども……。○篠田委員長 あなたはあける努力はしたの。こっちのドアをあけようとしたのですか。○中村証人 とにかくはっきりしないのですけれども、そのときたしか一両目と二両目のところから人が出ておったのです。人が出ておったので、結局そこの連結器の上におれば危険だと思つて、ニ両目の方を見たら、非常に騒いでおる。ニ両目のお客がガラスやなんか割つて非常に混乱状態だったのです。○篠田委員長 二両目に火がついていたのかね。○中村証人 まだ当時はついていなかつたと思います。それで二両目を見たら非常に騒いでいる。その二両目の方に若本気をとられて、二両目のドアをあけなければならぬ。二両目のドアのコツクがありますが、そのコツクを四、五箇所あけたと思います。そうしてドアを二枚か三枚自分はあけたと思うのです。○篠田委員長 しかし燃えていない方のドアをあけて、燃えておる方のドアをあけないのはおかしいじやないか。○中村証人 そのときには燃えている方から燃えない方に人が移つて来ました。たしかそのときにはあけられなかつただろうと思います。○篠田委員長 その間のいきさつははっきり記憶はないわけだね。○中村証人 はあ。以下続くにほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** 国家異議記事録本文は、以下の通り**********************桜木町事故国会審問の議事録***********************○佐々木(秀)委員 それを聞いていないといたしましても、そういうようなことの方面に注意をする人間がいなかつたというようなことについての御不審はあなたもお持ちであろうと思いますが、どうですか。○大津証人 もちろん電車に対して十分注意をして――そこは十二分間隔くらいで頻繁に通つておったのでありますから、その電車に対する処置を当然行うべきであつたというように考えるのであります。○佐々木(秀)委員 次に架線の故障によってこの事故が起きたと思いますが、この起きたあとの処置であります。それにつきましてDコツクという開閉器でございますが、Dコツクを使用することを知っていたのは運転士と、もう一人のそのときたまたま乗り合していた検車の職員です。その乗り合していた人は忘れたとしても、運転士は、常にそれを考えていなければならなかつた。しかしたまたま狼狽したために、その応急スイツチを入れなかつたと、いうことでありましたが、先ほどの証人の証言の中におきましては、車掌がいち早く焼けておる電車のところに来て、乗客の飛び出すのや何かの手伝いをしていたということでありましたが、その間に運転士はどういう行動をとつておりましたか、お調べ願つたかどうか承りたい。○大津証人 運転士の供述によりますと、ちようどクロス点に入つたと思う途端に、パンタグラフが大きな音がして火がぱつと出た。それで驚いて急制度をした。もちろんスリツプしたのでありますが、何か架線に故障を起したと思つてパンタグラフを下げる操作をした。そしてうしろの方をちょっと見ると、ちようど客室に通ずるドアがある。そうすると天井付近にアークが吹いておる。これはたいへんだというのでパンタグラスを上げた。というのは、ドアをあくべく車掌スイツチを押すためであります。ところがその車掌スイツチを押したと言っておりますが、自分が海側のスイツチを入れ、たまたま便乗していた金子が山側を入れたのではなかつたか、両方ともあかなかつた。そこで自分は車外に飛び出して行きまして、車の前部を通つて山側に来た。そうして一、二輪目間の連結の上に乗つて、第一両のうしろ側の通り抜けするドアをあけようとしたがあかなかつた。やむを得ず第二両の貫通ドアを明けて中に入つて、そして三、四箇所の床下コツクをあけた。そして第二両の乗客の避難を助けた。その後お客さんの救出みたいなことをやっておったのでありますが、その間の動作はよくわからぬというのであります。その後金子検車手、これももちろん活動しておったのでありますが、三両目の連結を切つたということを言われたので、自分は最後尾に行ってパンタグラフを上げて後部三車輌の後退をさせた、こういうふうに申しております。大体そういうようなことであります。車外に出てから車の前部を通つて、山側を通つて第一、二両目の連結に来る途中にDコツクがあるわけです。これをふだんは知っておるが、そのときは気がつかなかつた、こういう話であります。
2023.01.15
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二ヶ月ほど更新出来なかったので、久々に更新させていただきます。今回も検事が証人として審問に応じているのですが、読んでいて大変興味深く読ませていただいております。工事担当者は、自分たちがなのをすべきかの優先順位を理解していなかった?内容は、引き続き現場での中澤工手長とその部下による当時の状況について説明しているのですが、中澤工手長自身もより具体的な指示を出さないまま持ち場を離れたことはやはり一番大きな問題であること。更には、最初の当事者が下線作業中にスパナを落下させて貸せ中に引っかかる形になり、それが原因でアークが発生したとされているのですが、この時、スパナを落とした作業員が線路上に転落して、それが為に他の職員が周囲に集まったと証言しており、その中に、中澤工手長もいたと証言しており、その際に近くに信号旗を置いていたと検事は証言しています。70年ほど前の事例とは言え、問題行動を起こす組織とはこうした場合なのではないかという点が多々あります。後で出てきますが、班長以下のメンバーは、非常に狭い視点でしか物事を見ていないこと。完全に受け身の態勢であり、想像力を働かせていないこと。この二点に尽きると思うわけです。危険防止のために電車を止めると言うことを誰も意識していなかった特に以下の質問は非常に興味深い内容なのですが。電気工事者は電車を停止させるよりも切れてしまったトロリー線を仮復旧させることに専念していたわけで、電車が近づいてきて慌てて止めようと手振りをし手止めるような仕草をしたと言うことであり、この証言は車掌が電気工事夫が手を振っていたという証言とも一致します。○佐々木(秀)委員 そうすると、現場に信号旗が置いてあるということになりますと、信号旗の使い方は工手長とか副工手長とかいう順序でなく、たとえばこういう日中の工事でありますから、電車が入つて来ないということは予想できないわけです。しよつちゆう入つて来るということを常に念頭に置いて工事しているものと考えます。またそういう場合信号旗のあることも、その九名の人は全部知っておると思うのです。だれでも電車が入つて来るのを見た場合、その信号旗を上からの命令がなくても使用していいような組織にふだんなっておりますか、その点をひとつ伺いたいと思う。○大津証人 それはそういう際に使用すべきものを持っているものとわれわれは考える。ただこの場合は駅の構内の外側でありますから、駅へ連絡すればいいと最も安易な方法を考えて、それで安全なりと考えたようでありますが、しかしそれにしても、ちようどたとえばこの柱が第四番目といたしますと、この反対側は要するに二本の線路があるだけであります。つまり上下線があるだけです。いくらも距離がない。ここに場内信号機が立つている。これが停車信号に切りかえられるまでは危険性があるわけです。ですからただちに緊急停車の措置を講ずべき状態であつたと一応考えた。ところがこの現場に残つた人たちは、工手長以下みな応急処理――ワイヤーが両方切れましたから。ロープで結びつけてリングを通してひつぱり上げるという、応急処理をすることに専念しておつて、電車がそばに来て初めてわかつたというような状況であります。何故、手分けして電車を止める、駅員に伝える等の行動が出来なかったのか?しかし、実際には9人のメンバーの内中澤工手長を除く8名は業務分担を自ら考えて行うと言うことをせず、ひたすらワイヤーの応急修理に専念していたというのは、やはり組織のセクト主義も大きな要因でなかったかと考えてしまいます。特に、大津証人(検事)の証言にもありますように、次位の役職である工手副長が特段の作業指示をダスでもなく、又電車の監視を行わず、自らも切断した、メツセンジヤー・ワイヤーの応急復旧をしていたことへの疑問を呈しています。この点は、私も正直驚かされます。○佐々木(秀)委員 その点私らにはちょっと合点が行かないのです。メツセンジヤー・ワイヤーが切れたのを応急処理をしていたというのでありますが、われわれも兵隊で電信隊というような方面の仕事をやっておるので少しはわかるのです。常にそういう仕事に全部が全部かかつておるのではなく、電車が来るということの監視を一人や二人つけなければならぬということは当然なのであります。その場合、全部が応急処理をやっておつて、一人として他の方面の関係を監視する人を置かなかつたのかどうかということをお調べ願つたかどうか。○大津証人 その現場に残つたのは工手長を除きまして八名残つた。これはみんな故障の応急処理に専念いたしまして電車のことには全然関心がない、そういう状況でありました。その点がはなはだ私としては納得できない。そこで現場に残つた工手副長は代理としてやはり責任がある。自分みずから、あるいは他人を使つてもいい、とにかくその工手副長が緊急停止の措置を講ずべきでなかつたかということが、工手副長に対する一つのポイントであります。○佐々木(秀)委員 私もそれが非常に合点が行かないものですから、それを承つたのであります。そういう一組で作業する場合は必ず係というものがあるものであります。あなた方のお調べでは、九名のうち八名が全部それに専念していたということがお取調べの調書に載つているのだろうと思いますが、その人たちが調べられる前に、何かその打合せをしたような形跡があるかどうか、それをひとつお聞きしたい。○大津証人 その点については別に何も聞いておりません。故障現場へ残つた連中の問題は別に聞いておりません。電気工事担当者に関する審問はここでひとまず終わっており、次の質問からは、運転士に関する質問となりますが、これも興味深い内容となっております。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です**********************○佐々木(秀)委員 具体的に指示しなくても、そのときに自分が持っていた信号旗をどこに置いたかというようなことはお調べに……。○大津証人 それは自分が現場に置いて行つたわけです。その現場は、とにかくこの柱で事故を起したが、次の柱でやっている者もあります。ところがこれがスパイクした。これは電柱の上に乗つかつちやっておったわけです。はしごに乗つておった長谷川工手は、自分では下りたと言っておりますが、落つこっちやつたというような状況であります。それで、おいどうした、というぐあいにかけよつた。ですから、同じ現場に皆集まつた。そういう場所に信号旗があつた、そういうようなことであります。○佐々木(秀)委員 そうすると、現場に信号旗が置いてあるということになりますと、信号旗の使い方は工手長とか副工手長とかいう順序でなく、たとえばこういう日中の工事でありますから、電車が入つて来ないということは予想できないわけです。しよつちゆう入つて来るということを常に念頭に置いて工事しているものと考えます。またそういう場合信号旗のあることも、その九名の人は全部知っておると思うのです。だれでも電車が入つて来るのを見た場合、その信号旗を上からの命令がなくても使用していいような組織にふだんなっておりますか、その点をひとつ伺いたいと思う。○大津証人 それはそういう際に使用すべきものを持っているものとわれわれは考える。ただこの場合は駅の構内の外側でありますから、駅へ連絡すればいいと最も安易な方法を考えて、それで安全なりと考えたようでありますが、しかしそれにしても、ちようどたとえばこの柱が第四番目といたしますと、この反対側は要するに二本の線路があるだけであります。つまり上下線があるだけです。いくらも距離がない。ここに場内信号機が立つている。これが停車信号に切りかえられるまでは危険性があるわけです。ですからただちに緊急停車の措置を講ずべき状態であつたと一応考えた。ところがこの現場に残つた人たちは、工手長以下みな応急処理――ワイヤーが両方切れましたから。ロープで結びつけてリングを通してひつぱり上げるという、応急処理をすることに専念しておつて、電車がそばに来て初めてわかつたというような状況であります。○佐々木(秀)委員 その点私らにはちょっと合点が行かないのです。メツセンジヤー・ワイヤーが切れたのを応急処理をしていたというのでありますが、われわれも兵隊で電信隊というような方面の仕事をやっておるので少しはわかるのです。常にそういう仕事に全部が全部かかつておるのではなく、電車が来るということの監視を一人や二人つけなければならぬということは当然なのであります。その場合、全部が応急処理をやっておつて、一人として他の方面の関係を監視する人を置かなかつたのかどうかということをお調べ願つたかどうか。○大津証人 その現場に残つたのは工手長を除きまして八名残つた。これはみんな故障の応急処理に専念いたしまして電車のことには全然関心がない、そういう状況でありました。その点がはなはだ私としては納得できない。そこで現場に残つた工手副長は代理としてやはり責任がある。自分みずから、あるいは他人を使つてもいい、とにかくその工手副長が緊急停止の措置を講ずべきでなかつたかということが、工手副長に対する一つのポイントであります。○佐々木(秀)委員 私もそれが非常に合点が行かないものですから、それを承つたのであります。そういう一組で作業する場合は必ず係というものがあるものであります。あなた方のお調べでは、九名のうち八名が全部それに専念していたということがお取調べの調書に載つているのだろうと思いますが、その人たちが調べられる前に、何かその打合せをしたような形跡があるかどうか、それをひとつお聞きしたい。○大津証人 その点については別に何も聞いておりません。故障現場へ残つた連中の問題は別に聞いておりません。
2022.12.28
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一ヶ月ぶりに、桜木町事故の審問、国会審議議事録を参照したいと思います。本当であればもっと積極的に更新したいのですが、如何せん時間が中々取れなくて亀の歩みとなっております。今回も検察官から見た桜木町事故と言うことで、非常に冷静に分析されています。信号係と電力工手長とのやりとりで、知らなかったことにしてくれと言う話しになったという証言が出ていますのでその辺を改めて見たいと思います。信号係の同僚も、中沢工手長の非があるとして概ね、高原信号係の証言に沿った内容で供述したと証言この辺をどのように解釈するかですが、工事で架線事故を発生させたのは、電力工事側の不手際ですので、少なくとも信号掛側には非がないと判断するのが自然であることを考慮すれば、「君らに責任がかかるかもしれないから、電車が入つたと同時に架線を切って火をはいたということにしようじやないかと言つた」という証言はあながち間違いでもなかったようにも思えます。○塚原委員 先ほど証人も述べましたし、またわれわれの方の調べたところによりましても、この事件のあつたあと、中沢が高原に会つたところが高原は、知らぬことにしてくれ、頼む、という、何というか、もみ消しのようなことをやっております。また一方高原に言わせると、中沢の方から、君らに責任がかかるかもしれないから、電車が入つたと同時に架線を切って火をはいたということにしようじやないかと言つたという。この両方は、これは証人の言うように、いくらやっても水掛論であるかもしれませんが、たまたまこのときに、この信号扱所というところは非常に狭い部屋だそうでありますが、寺山良平という信号手がおったということを聞いております。この寺山良平についてお調べになったことがございますか。○大津証人 寺山につきまして、私直接調べておりません。樺島検事が取調べをいたしました。その供述要旨は、大体において高原の意見と合つているのであります。もちろん、私も最初から読み進めながら書いてきましたので、最初からどちらに非があるとか否かをかけるわけではありませんでしたので、その辺はご容赦いただければと考えます。どちらかが嘘を言っていると言うよりも、そうした状況に人がおかれた場合、どのような行動をするのかという判断をするための方策と考える方がよいかと思われます。この辺は検事としては、意味がないであろうとして、下記のような発言をしています。興味深い発言ですので、引用してみたいと思います。○塚原委員 この両者と対決させてやることは無意味であるということを、先ほどあなたはおつしやいましたけれども、今後において対決さしてやるお考えはございませんか。○大津証人 これは一応そういう方法が考えられるのでありますが、よく考えてみますと、事故の現場において、事故発生直後いずれからかそういう話が出た、そういう問題について検事が調べた、それから警察の取調べにおきましても、そういう食い違いがあつた。私の方に来てもその線は依然維持された。そういう状況を見ますと、両者を対決させて、お互いにデイスカツシヨンしてもらつて、いずれが本当かということをとることは、これははなはだ困難であります。捜査の技術といたしましては、そういう供述の相違する両者を一室に対決させることが相当かどうかということは、これは非常に疑問が多いのです。あまりやつたことがないのです。私はやつた経験はございません。また本件の、そういう最も致命的な問題、頭を下げれば完全に負けなのでありますから、そういうことを意識しておれば、決して相譲らぬのが普通であります。われわれはやはりそれ以上おのおのの供述をとる上において、その供述が変化するという見込みはないと一応考えております。当然と言えば当然なのですが、謝ったら負け状態の状況で、いずれかが過ちを認めると言うことはないと証言をしているわけですが、こうした事例というのは現在の世界にあっても多々あるわけで、状況証拠を積み上げていくしかないことが改めて理解できるというものです。当事者に自責の念はあるのかと、検事に質問その後も国会議員の審問が続きますが、議員としては今度は当事者の責任感の感じ方について質問をしています。むしろ、当事者はいずれも責任を転嫁しようとしている・・・まぁ、その辺は3年ほど前からこのシリーズを展開してきたわけですが、私も感じるところであり運転士然り、工手長や信号係も然りと言うことでどこかモヤモヤしたものを感じたものです。○塚原委員 今までないような未曽有の大事件を起していてわれわれが調べた証人の言葉を聞いておりますと、あるいは私個人の考えになるかもしれませんが、どうも責任というものを転嫁するようなきわめて不愉快な証言に大分ぶつかりました。たとえば先ほど言つたように、お互いにもみ消しの打合せをしておるとか――そういうことはあるいはないかもしれませんが。その他の点においても、態度においても、あらゆる点において、あれだけの事件を起した責任は結局信号手や架線工手にはなかつたというようにわれわれには受取れるのであります。先ほど証人のお話によりましても、この問題は架線の故障によるものであつて、軌道、車両には大したことはないということでありますが、証人が今までお調べになっておりまして、こういつた被疑者の自責の念と申しまするか、責任感と申しまするか、そういう点についてはどういうふうにお考えになりましたか。○大津証人 お尋ねの点に触れるかどうかわかりませんが、ああいう事故の際、災害が割合軽微である場合にはもつれが少いのでありますが、結果が非常に大きいものですから、そこで各関係人がそれぞれ自己保身をはかるということは一応考えられるのであります。そういうことがはたしていずれの側にあるかということは非常に困難な問題でありますが、とにかく心理状態としては、ああいう大結果を起してしまった。それが一瞬にして自分の過失だということから、よい方に自責の念を持って行けばいいのでありますが、悪い方に自責の念を持って行ままして、そうして過失の軽減をはかることがあります。これが重大なので、われわれは十分検討したいと思つておりますが、内心はそれぞれ恐縮しておるとは思います。一応私の調べた概観から申しますれば、工手長は十分なる連絡をとり、自分としては何の過失もなかつたのだ、言いかえるならば、自分は不利であつたということを申すような態度に出ております。高原信号手としては、向うが聞いても答えてくれぬのだから、自分としてはなすべきことはなしたという外観を呈する陳述をしておる。これをもつてすれば責任感の問題はおのずから判定し得るのではないか、かように考えております。検事も証言していますが、中澤工手長的には、自分としてはベストを尽くしたわけであるから、これは、貰い事故のようなものであって、自分たちの責任は果たしたと考えている証言であり、高原信号係にしてみれば、「やっちゃった」と言うだけで詳細を伝えないのは、中澤工手長の問題だと解釈しているわけで、この辺は現在でも同じような事が十分起こりえるのではないでしょうか。更に、問題なのは線路工手が、後を頼むと言われて結局何もしなかったという事実篠田委員長が更に質問しているのですが、中澤工手長が後を頼むと行って持ち場を離れたにも関わらず、残された担当者は列車を止めるでもなく何もしなかった。一応列車を止めるための、中澤工手長が持っていたフライ旗を残して信号所に走ったわけですが、そのときには具体的な指示を副工手長等に一切出していないと証言をしています。こうしたきちんとした指示を出さずにいたというのは一番問題であろうかと思われるわけです。○佐々木(秀)委員 一、二お伺いいたします。中沢工手長が、メツセンジヤー・ワイヤーの切れたのを察知いたしまして連絡に行つた。この工事をしている人は十二名一組になっているようでありますが、もしその十二名の方々が、技術部門を担当しているのだから、いつ何どきどういう事故が起るとも限りませんので、信号旗を持っているということでありましたが、信号旗は工手長が一人で持っていらっしやるのですか。それとも副長なり、あるいはおのおのが持っているのですか。それをお調べになったことがありますか。○大津証人 ちようどその現場には工手長と副工手長、その他六名の工手と人夫一人、合計九名おった。信号旗は一組持っていたわけでありまして、それを工手長は現場に残して信号所に行っております。ですから、信号旗を使えば電車の緊急停車はできるわけであります。○佐々木(秀)委員 一組というとどういうのですか。赤と青の、それが一つという意味ですか。○大津証人 そうです。○佐々木(秀)委員 そうすると、それを現場に残して行つたというのでありますが、その現場に残して行つた信号旗というのはもちろん責任者が持っているのだろうと思いますが、その場にただ置いて行つたのか、それとも副長なら副長に預けて自分が走つて行つたのか、その点お調べになりましたか。○大津証人 その点は、もちろん信号旗を具体的に指示しておらぬのであります。私の聞いたところでは、あとを頼むぞ、ということで向うへかけつけたのであります。それでやれとか具体的に指示しておらぬのであります。正直、こうした事例も失敗事例としてよく出てくることかと思いますが、具体的な指示を出すことで、勘違いが減って仕事のミスがなくなると言えるわけで、こうした事故の事例研究というのも実はリスク管理を研究する上で非常に重要なテキストであるように思えます。フライ旗 wikipediaにほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です**********************○塚原委員 先ほど証人も述べましたし、またわれわれの方の調べたところによりましても、この事件のあつたあと、中沢が高原に会つたところが高原は、知らぬことにしてくれ、頼む、という、何というか、もみ消しのようなことをやっております。また一方高原に言わせると、中沢の方から、君らに責任がかかるかもしれないから、電車が入つたと同時に架線を切って火をはいたということにしようじやないかと言つたという。この両方は、これは証人の言うように、いくらやっても水掛論であるかもしれませんが、たまたまこのときに、この信号扱所というところは非常に狭い部屋だそうでありますが、寺山良平という信号手がおったということを聞いております。この寺山良平についてお調べになったことがございますか。○大津証人 寺山につきまして、私直接調べておりません。樺島検事が取調べをいたしました。その供述要旨は、大体において高原の意見と合つているのであります。○塚原委員 この両者と対決させてやることは無意味であるということを、先ほどあなたはおつしやいましたけれども、今後において対決さしてやるお考えはございませんか。○大津証人 これは一応そういう方法が考えられるのでありますが、よく考えてみますと、事故の現場において、事故発生直後いずれからかそういう話が出た、そういう問題について検事が調べた、それから警察の取調べにおきましても、そういう食い違いがあつた。私の方に来てもその線は依然維持された。そういう状況を見ますと、両者を対決させて、お互いにデイスカツシヨンしてもらつて、いずれが本当かということをとることは、これははなはだ困難であります。捜査の技術といたしましては、そういう供述の相違する両者を一室に対決させることが相当かどうかということは、これは非常に疑問が多いのです。あまりやつたことがないのです。私はやつた経験はございません。また本件の、そういう最も致命的な問題、頭を下げれば完全に負けなのでありますから、そういうことを意識しておれば、決して相譲らぬのが普通であります。われわれはやはりそれ以上おのおのの供述をとる上において、その供述が変化するという見込みはないと一応考えております。○塚原委員 今までないような未曽有の大事件を起していてわれわれが調べた証人の言葉を聞いておりますと、あるいは私個人の考えになるかもしれませんが、どうも責任というものを転嫁するようなきわめて不愉快な証言に大分ぶつかりました。たとえば先ほど言つたように、お互いにもみ消しの打合せをしておるとか――そういうことはあるいはないかもしれませんが。その他の点においても、態度においても、あらゆる点において、あれだけの事件を起した責任は結局信号手や架線工手にはなかつたというようにわれわれには受取れるのであります。先ほど証人のお話によりましても、この問題は架線の故障によるものであつて、軌道、車両には大したことはないということでありますが、証人が今までお調べになっておりまして、こういつた被疑者の自責の念と申しまするか、責任感と申しまするか、そういう点についてはどういうふうにお考えになりましたか。○大津証人 お尋ねの点に触れるかどうかわかりませんが、ああいう事故の際、災害が割合軽微である場合にはもつれが少いのでありますが、結果が非常に大きいものですから、そこで各関係人がそれぞれ自己保身をはかるということは一応考えられるのであります。そういうことがはたしていずれの側にあるかということは非常に困難な問題でありますが、とにかく心理状態としては、ああいう大結果を起してしまった。それが一瞬にして自分の過失だということから、よい方に自責の念を持って行けばいいのでありますが、悪い方に自責の念を持って行ままして、そうして過失の軽減をはかることがあります。これが重大なので、われわれは十分検討したいと思つておりますが、内心はそれぞれ恐縮しておるとは思います。一応私の調べた概観から申しますれば、工手長は十分なる連絡をとり、自分としては何の過失もなかつたのだ、言いかえるならば、自分は不利であつたということを申すような態度に出ております。高原信号手としては、向うが聞いても答えてくれぬのだから、自分としてはなすべきことはなしたという外観を呈する陳述をしておる。これをもつてすれば責任感の問題はおのずから判定し得るのではないか、かように考えております。○篠田委員長 今の塚原委員の質問に関連してお尋ねいたします。この中沢工手長と高原信号掛を対決させるということは、両方とも自分に責任がないといつて争うから無意味だとあなたはおつしやるが、なるほど両方とも同じ主張をしますから、言葉の上だけをとればおそらくこれは無意味だと思います。しかしどちらか一方がうそを言っているんだと私は思います。その場合、たとえば、上り線に入れろとか、上り電車をとめろとかいつたような問題は、これはうそとも何とも言えない。しかし口どめを頼まれたか頼まれぬという問題については、おそらく二人のうちどつちかがうそを言っているものと思うが、そういう場合対決させれば顔色をかえるとか――大岡裁きじやないけれども、そこに何かあると思う。今の検察庁のお話を聞くと、あまりに言葉の上だけで取調べをしているように思えるのです。必ずしも大岡裁きがいいというのじやないが、そういうような何か顔色を見るとか――うそを言っている場合とほんとうのことを言っている場合には、顔色をかえるということもあると思います。○大津証人 その点につきましては、対決もあるいは必要かもしれませんが、しかし対決せずとも、私たち捜査をする際には、相手に任意に供述させなければならぬ。もちろん言い分を聞くわけでありますが、これはあらゆる観点から――場所をかえ対象をかえ、上下左右から質問して、それでそのポイントをあらゆる角度からながめるわけであります。従つてそういう際には、その人の表情なりあるいは言いまわしなり、前後の矛盾なり、供述の一回、二回、三回というぐあいに一貫性、あるいは発展性、こういう問題をいろいろと検討いたしましてそうして判定するわけであります。○篠田委員長 いま一つ、高原信号手が聞いても中沢工手長が答えてくれなかつたと供述したとあなたはおつしやいましたが、それはどういう意味ですか。○大津証人 それは、高原信号手が、一体どうしたんだ、と言っても答えてくれぬので、つまり、やつちやつたよ、と言つた、それで卓上の電話――高原の電話ですが、それでかけようとする。どうしたか、と言うと、いや、上り電車が入つて来る。下りはよいのか、と言うと、下りはよいのだ。それで電話をかけた。○塚原委員 着という言葉を使いませんでしたか。○大津証人 結局共通なんです。着も下りなんです。○篠田委員長 言葉を聞いて、工手とか信号掛は非常に教育を受けた人ということは言えないかもしれませんが、おい、みんな頼む、と言うときに、一言、電車とめておいてくれよ、と言えば、同じ悪い言葉を使つてもほぼ物が通ずると思うのです。やつちやつた、ということのかわりに、架線を切つちやつた、という言葉を使えば、大して言葉をよけい使わないでも――今は民主主義だから教育することはできないかもしれませんけれども、故障ができたときの合言葉というようなものは国鉄にはないのですか。もつと簡単に言い現わす言葉は。○大津証人 ないです。○佐々木(秀)委員 一、二お伺いいたします。中沢工手長が、メツセンジヤー・ワイヤーの切れたのを察知いたしまして連絡に行つた。この工事をしている人は十二名一組になっているようでありますが、もしその十二名の方々が、技術部門を担当しているのだから、いつ何どきどういう事故が起るとも限りませんので、信号旗を持っているということでありましたが、信号旗は工手長が一人で持っていらっしやるのですか。それとも副長なり、あるいはおのおのが持っているのですか。それをお調べになったことがありますか。○大津証人 ちようどその現場には工手長と副工手長、その他六名の工手と人夫一人、合計九名おった。信号旗は一組持っていたわけでありまして、それを工手長は現場に残して信号所に行っております。ですから、信号旗を使えば電車の緊急停車はできるわけであります。○佐々木(秀)委員 一組というとどういうのですか。赤と青の、それが一つという意味ですか。○大津証人 そうです。○佐々木(秀)委員 そうすると、それを現場に残して行つたというのでありますが、その現場に残して行つた信号旗というのはもちろん責任者が持っているのだろうと思いますが、その場にただ置いて行つたのか、それとも副長なら副長に預けて自分が走つて行つたのか、その点お調べになりましたか。○大津証人 その点は、もちろん信号旗を具体的に指示しておらぬのであります。私の聞いたところでは、あとを頼むぞ、ということで向うへかけつけたのであります。それでやれとか具体的に指示しておらぬのであります。
2022.10.04
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久々に更新させていただこうと思います。今回も、検察官の審問となるのですが、論理立てて説明がなされており、読んでいても非常に論旨が明確で読みやすいことが判ります。少しだけ63形電車について解説をなお、ここで63形電車に関して書かれていますが。鉄道ファンの方はよくご存じのことと思いますが、63形電車は半鋼製電車と呼ばれるもので、外板等は鋼製ですが屋根や内装などは木材が多用されていました。これは電車に限ったことではなく、客車なども同様でした。特に戦時中から戦後にかけて製造された63形電車は、極端な戦時設計と言うことでかなり省略されていたり、電線の処理などが簡素化というか適切で中田部分もあると言われており、順次改修していこうと言うことで、前年の12月には試作改造車も誕生していた矢先の事故でした。それが、柿の証言に繋がることとなります。この六三型の電気部門に関しましては、東鉄の車輌長に私が直接尋ねましたところでは、かつて製造当時は資材節約のために相当粗悪な材料を使つておったから割合に事故があつたが、その後それを電気部門に関する限りはすべて改造してしまったから、現在では、つまり事故当時におきましては、電気部門に関する限りにおいては他の電車とかわりはない、こういうような陳述であつたのであります。そういうことと、本件が車輌の故障そのものから発生したというよりは、架線の故障で、その場に行けば他の電車でも発生したのではなかろうか、こういうことを考えると、ただちに六三型電車そのものが本件事故と直結するものとは考えられない。実際に、他の車両でも同様の事故が起こりえる可能性がありますが、やはり換気と資材節約から導入された3段窓(中間が固定)されていたのが被害を大きくしたことは否めないと言えましょう。その辺は検察も下記の通り証言しています。東鉄管内におきましては電動車が千百輌あるそうであります。そのうち五百十輌があの六三型である。約五割近くがあの電車である。その電車は中央線、総武線、京浜線のほとんど全部、それから山手線に一部という程度走つておる。従いましてそういう窓の構造自体が、とにかく結果においては事故の災害をある程度に防止できなかつたということは言えるのであります。その点も検討いたしております。国鉄の組織について議員から質問がその後、議員から国鉄の組織について質問がありますが、国鉄に限らないと思うのですが、当時の組織というのは上意下達、分業制が出来上がっていて、「機構の細分が責任の細分をもたらし、さらにその責任感における総合という問題について若干考慮するものがあるのではないか、そういうような気がいたします。」と証言していますが。実際に、この事故以後架線作業は基本的には活線作業(架線に電気を流したまま。列車の運行などができる状態にすること)は行わない、と言った方針が打ち出されることになります。なお、この辺の中沢工手長と他班員の指示方法は、リスク管理を考える上で非常に興味深いものがありますので、少し引用してみたいと思います。大津検事は下記のように証言していますが。○大津証人 中沢工手長は、みんなあとを頼むぞ、こう言って行つたというのです。ここでの、「みんなあとを頼む」という発言では、より何をすれば良いのか伝わらないという危険性があります。全ての部下が仕事の段取りを理解して、何をすべきか(列車が来たら止めるべきなのか、王強措置を取るべきなのか等々)を理解していれば良いのですが、往々にして現場作業の場合、こうした事を理解していない作業員が多少なりとも混じっていることがあり、こうした場合具体的に仕事を割り振る事が重要になってきます。例えば、Aには、電車をなんともしても事故側の架線に入線しないように停止のための手配を取らせる。一人では不安の場合はもう一名参加させて安全を徹底する等の具体的な方向性を示すべきでした。さらに、中沢工手長と信号係のやりとりも問題ですが、この点は以下の集約されるかと思います。高原信号手は、やつちやつたい、ということを言って工手長が入つて来たという。それで、どうしたんだと聞くと、上り電車をとめてくれ、下りはいいのか、いいんだ、こういう供述であります。やつちやつたいというのは、故障の意味にとれるわけでありますが、その電力工手長の中沢とは、顔は見たことがあるかもしれませんが、あまり知合いの仲ではないのです。しかしその日の午前中高原信号手は、信号所から北方、今の故障現場にやや近い方ですが、その辺の転轍機の掃除に行つた際に、そつちの方で工手が架線の工事をやっておった、碍子か何か運ぶことをしておった、そこで、その辺で工事をしておることは知っておった、その工手長と思われる男が来て、やつちやつたというので、それは上り架線の故障だと思つた、こういうふうに私には説明しております。ここで注目しなくてはいけないのは、工事情報の共有などがなされていない組織にあると言えましょう。信号係は、近隣で行われる工事の内容を把握できる状況にはなく、独自の判断だけで行っている点に問題があることは注目できます。自分の見聞した内容だけで、短絡的には自分の中で都合の良い解釈をしていたことが窺えます。ということで、直接こうした事例を検証していくというのは現在のリスクマネジメントにもつうじるものがあるのではないにほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です**********************○篠田委員長 そういう問題も検事局としては検討しますか。○大津証人 その問題についてもなお資料を集めまして検討をいたすつもりでおります。 それから御承知のように今車内にはみな張札がありまして、車内のコツクをあける方法を明示してあります。当時はああいうものが全然ない。もしああいうものがあの当時張つてあつたならば、百数十名に上る乗客でありますから、相当混乱はしたけれども、中にはそれに気がつく人もある、張つてあるのですから見てあける人がある、一箇所あければ二箇所あくというぐあいで、ほとんど全部の人が人命をそこなわずに済んだのじやないか、こういう点が考えられる。この点もあの張札がなかつたということがやはり一つの問題だと考えます。 車輌の問題でありますが、六三型電車は評判が悪いと伝えられておりますけれども、あの事故は六三型電車でなかつたら発生しなかつたかという問題を一応検討してみますれば、ほかの電車でもああしたところに入ればああいう事故を発生しだであろう、六三型電車であつたことが本件事故の発生原田に直結しておるとも言い切れない。この六三型の電気部門に関しましては、東鉄の車輌長に私が直接尋ねましたところでは、かつて製造当時は資材節約のために相当粗悪な材料を使つておったから割合に事故があつたが、その後それを電気部門に関する限りはすべて改造してしまったから、現在では、つまり事故当時におきましては、電気部門に関する限りにおいては他の電車とかわりはない、こういうような陳述であつたのであります。そういうことと、本件が車輌の故障そのものから発生したというよりは、架線の故障で、その場に行けば他の電車でも発生したのではなかろうか、こういうことを考えると、ただちに六三型電車そのものが本件事故と直結するものとは考えられない。ただ六三型電車は御承知のように三段窓であります。これが非常の場合、ドアがあかぬというわけで、乗客の避難を不可能にしたということは事実だと思います。ただやはり車輌長の言うところによりますと、東鉄管内におきましては電動車が千百輌あるそうであります。そのうち五百十輌があの六三型である。約五割近くがあの電車である。その電車は中央線、総武線、京浜線のほとんど全部、それから山手線に一部という程度走つておる。従いましてそういう窓の構造自体が、とにかく結果においては事故の災害をある程度に防止できなかつたということは言えるのであります。その点も検討いたしております。 それから屋根の構造でありますが、この屋根は木製でありまして、その上にアスフアルトに砂をまぜた塗料を塗つた布がかぶせてあります。このような木製の屋根というものは、ああいう電車にはほとんど大部分そうであります。鉄板製のものが少い。新造車もやはり木製である。聞くところによりますと、ああいう電動車の中で二百両ばかりが鉄板で、そのほかは木製だそうであります。○篠田委員長 それはどういうわけだか調べましたか。○大津証人 その点は鉄板にするということは一応考えられることでありますが、鉄板にすると、架線が切れた場合電気が鉄板に伝わる。そこで作業などに困るという場合もあります。それで大部分は木製である。現在の新造車も木製だという話でありました。そういう事故の面から考えた見方もあるようであります。それから六三型電車の天井はベニヤ板であつた。これも非常に燃焼をすみやかならしめる原因をなしたと言えるのでありますが、これは鉄板に改造する企画があるそうであります。○篠田委員長 何か機構上の欠陥……。○大津証人 人的機構でありますか。○篠田委員長 人的な機構、それから要するに国鉄の組織そういうものの間に何かお気づきになった点はありませんか。○大津証人 私の方は、申し上げます通り、個人の責任からその職場などの環境という問題を取上げております。その面から申し上げますと、国鉄の機構は非常に細分化しております。末端は非常に細分しておりますから、機構の細分は責任の細分になるわけであります。そこでその責任の相互関連、総合性ということが検討されていい問題ではないかと考えます。本件の場合も、工手長は信号手に連絡すれば役が済む。信号手もあまり事故内容をキヤツチせずに、助役に報告して指揮を受ける、こういうようなぐあいに、どうも自分の責任分野を型通りにきめて行くのではなかろうか、それでその相互関連のそうした場合における総合性といいますか、やはりそこに欠陷といえば欠陷があつたのだと思います。工手長が現場にいたのですから、事故の応急修理はもちろん必要でありますが、これはしかしそのほかに人夫がおるわけでありましてそれが一人でも電車の緊急停止の信号をすればよい。ところが工手長が行っておるからあとはいい、自分は仕事に専念する、こういうような状況であります。機構の細分が責任の細分をもたらし、さらにその責任感における総合という問題について若干考慮するものがあるのではないか、そういうような気がいたします。○篠田委員長 よくわかりました。今言つたように、たとえば進行の信号が出ておつても、信号の出したその瞬間に、距離のあるところで事故が発生しないとも限らないのだから、立つておった工手なり副工手長なりが、手ぬぐいでもいいし、帽子でも振れば、あるいは線路のところで手を広げても、とまつたと思うのですがね。○大津証人 信号旗を持っておるのです。○篠田委員長 それならなおさらとまつたはずだ。そういうところに応急対策を講ずる責任感というか、あるいはまた常識というか、そういうものに欠けておったという点もあるけれども、大体において責任は彼が持っておるのだからというところにあつたと思いますが、総合性に欠けておったということは、やはりあなたのおつしやる通りだと思う。検事局でもそういう点を認めておられるようだが、これに対して、もちろん検察庁は個人の刑事上の責任の追究であつて、そういう点までおそらく何も言われないかもしれませんが、しかも今言つたように、それもやはり国家機構から見ると責任の細分化であつて、結局そういう点は検事局も意見として述べられることはちつともさしつかえないと思う。ただ個人の責任の追究ということだけでなしに、そういう面を、お調べになる際は十分調べておいていただいた方が、参考になっていいと思う。○大津証人 それはやはり事件の環境というものを調べてみませんと、忽然として空中に現われたものが事件でなくて、やはりその地上の関係というものを調べておかなければならぬので、その関係も、必要な面は、なるべくやるつもりでやっております。○篠田委員長 どなたか御質問があれば……○塚原委員 今大津証人の証言を聞いておりますと、結局この問題は架線の故障によるものであつて、軌道並びに車輌には大した故障を認めないという話です。私たちも昨日までこの問題を調査しておりまして、その点を非常に痛感しております。この根幹とするところの架線の故障、つまり中沢工手長が、十二名の工手と第四鉄柱付近で工事をしておった、そうして武井工手のスパナの操作によって架線が切断された、これはたいへんなことだというので、ただちに信号所に行って、その旨を連絡した。中沢工手長が信号所に行く場合に――あなた方は平井副長、それから長谷川、武井という電力工手をお調べになったそうですが、あとに残つた者に対して、どういう指示を与えて信号所に連絡に行つたのですか。○大津証人 中沢工手長は、みんなあとを頼むぞ、こう言って行つたというのです。「みんな」という上に「平井君」という言葉をつけて、平井君、みんなあとを頼むぞ、と言つたかもしれない、つまりただ単に、みんな頼んだというのだったか、平井――平井というのは副長でありますが、副長の名前をつけて、平井君、みんな頼むぞ、こういうふうに言つたのか、とにかく、みんな頼むという言葉を伝えた。そこで本人の意思を分析いたしますと、これは、その当時そう考えておったのか、あとでそういうふうに説明するのかわかりませんが、一応私の聞いたところでは、事故のつまりメツセンジヤー・ワイヤの切れたところの応急措置、同時に進行電車の緊急停車をしてくれという意思がこもつておる意味で、みんな頼むぞと言つた、こういうふうに申しております。しかし明らかに、お前たち必ず停車信号を出せと明言していないことは、事実のようであります。○塚原委員 われわれが中沢工手長の証言を求めましたけれども、中沢工手長はその席で、これはえらいことになった、電車をとめなければ大きな事件が持ち上るのではないか、そこで自分はあわてて信号所に飛んで行って、しかも大きな声で、息せき切って信号所に対して連絡をし、そうしてさらに電話をかけた、ということを中沢工手長は言っております。それからそれを受けた高原信号手は軽い気持でこれを受取つた。つまり、やつちやつたという言葉だけしか聞かなかつた。しかしこれに対して質問したところが、何も答えがなかつたという証言をしております。私が昨日高原信号手に対して、あなたは、やつちやつたということに対して、架線が切断したということを想像しなかつたかということを聞きましたのに対して、高原信号手は、そういうことは考えないということを言っております。証人のお話を聞いておりますと、この高原信号手は岩田助役に対して連絡した事項の中に、架線が切れたらしいという電話問答をしておるということがありましたが、その辺のところをはっきり証言願います。○大津証人 高原信号手は、やつちやつたい、ということを言って工手長が入つて来たという。それで、どうしたんだと聞くと、上り電車をとめてくれ、下りはいいのか、いいんだ、こういう供述であります。やつちやつたいというのは、故障の意味にとれるわけでありますが、その電力工手長の中沢とは、顔は見たことがあるかもしれませんが、あまり知合いの仲ではないのです。しかしその日の午前中高原信号手は、信号所から北方、今の故障現場にやや近い方ですが、その辺の転轍機の掃除に行つた際に、そつちの方で工手が架線の工事をやっておった、碍子か何か運ぶことをしておった、そこで、その辺で工事をしておることは知っておった、その工手長と思われる男が来て、やつちやつたというので、それは上り架線の故障だと思つた、こういうふうに私には説明しております。○塚原委員 その架線の故障というのは、架線の切断という意味ですか。○大津証人 切断であるのかどうかということは、本人は聞いていないと申しております。○塚原委員 先ほど大津さんのお話では、架線が切れたという電話問答をしておったということですが……。○大津証人 それは助役がそういうふうに聞いたと言つたのです。助役が、高原からの電話では架線が切れたらしいという電話であつたというのです。
2022.09.02
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約1ヶ月程開いてしまいましたが、桜木町事故の審問を再びアップしたいと思います。今回も、引き続き検察側の証人審問となります。ここでは二つの証言が行われていますが、最初の証言は、当時の信号係と工手長の関係が語られていますが。双方の首長に大きな差があることから、双方を対決させて見ると言うことは、現時点では意味がないとしており、双方に直接話を付けさせると言うことはしないと証言しています。信号手は、自分たちの責任ではないとして、責任転嫁しようとしたのか双方の意見が平行線であり、検察庁としてもいたずらに自白に頼ると言うよりも、もう少し時期を見てから【資料を集めてから】判断しようとしたようです。 ○大津証人 対決はさせません。? ○篠田委員長 それはどういうわけですか。 ○大津証人 被疑者両名を同じ部屋でですか。 ○篠田委員長 ええ。 ○大津証人 これはまだやりません。 ○篠田委員長 まだその段階ではないのですか。 ○大津証人 それは必要ないと考えております。それはあまりに供述が食い違つておりまして、かりにこれを両者対決さしても、おのおのその言い分を主張するだけであつて、そうしておれが違つていたというように訂正するような問題ではない。対決させても、結果においてはお互いの主張を反駁するだけで、これは無意味ではないか、かように考えております。 ○篠田委員長 それはその問題だけで対決させることになれば無意味であるかもしれないけれども、そのあとに高原信号掛から何か中沢工手長が口どめされたというようなことを言っておりますが、そういうことは検事局で言っておりますか。 ○大津証人 言っております。ここでの、双方の主張は、本人たちの国会審問でもありましたが、双方互いに譲らなかった点が特徴的ですが、検察官としても意味のない反僕を互いにさせるのは時間の無駄と判断したようです。信号係から工手長に口止めを依頼されたのかという質問では ○篠田委員長 それはその問題だけで対決させることになれば無意味であるかもしれないけれども、そのあとに高原信号掛から何か中沢工手長が口どめされたというようなことを言っておりますが、そういうことは検事局で言っておりますか。 ○大津証人 言っております。 ○篠田委員長 その問題はどうですか。 ○大津証人 その問題につきまして申し上げますと、あの電車がもえ出しておる、もえているときだと思いますが、そうすると眼前にはまだ生きている人もあつたか、あるいはみな死んでおったかわかりませんが、とにかくもえているときに、その信号所におつて、両者の間にお互いの過失原因を抹殺しようとするような言葉の交換がされた事実があるようであります。但しこれも食い違つておりまして、お互いに相手方から言われたと称して、自分はそれに同調しなかつた、こういうふうに主張しておるわけです。 中沢工手長の方に言わせますと、どうしてあんなことをしてくれた、自分はあれほど連絡せよと言つたのに、実はおれが悪かつたのだ、だからおれは知らないことにしてくれということを信号手から言われたということを言っております。 それから一方、高原信号手に言わせますと、工手長が来て、そうしてたいへんなことになった。だが君の方にも責任があるのだから、あのクロツス点で架線が切れて、電車がもえたということにすれば、おれの方も旗を出さぬで済むからそういうことにしようじやないかということを工手長の方から言われた、こういうような要旨を申しております。 従つてこの部分も非常に顕著に違つております。??この辺でのどちらの主張が正しかったのか、若しくは双方に責任を負いたくないから自分に都合が良い記憶を構築したとも言えるわけで、実際の取り調べでも双方の主張は平行線であったと言われています。ここで注目すべきは 中沢工手長としては、架線を切ってしまったのは工事側の責任としても、そのために信号係に列車を止めてくれと言ったのに・・・と言う信号係に対する不作為に対して不満を持ってるわけですが。 高原信号手の方では、工手長の方から架線が切れて電車に巻き付いたのは、信号係にも責任がなかったと言うことにしようではないかと持ちかけられたと言う発言をしています。(いわゆるマルにしよう)という発言をしたと証言しているわけですが、この辺はかなり本人が自分達に都合の良い記憶を構成するために、そのような発言をしたという風にも読めるのは私だけでしょうか。運転士などがDコックを操作していれば原因は、工事ミスによる架線の切断だが、更に大きな問題としては、それ以後の扱いであり、信号係と保線【電気関係作業員】だけの問題ではないと言うことになります。すなわち、事故当時、運転士も添乗していた検査係もDコックの存在を知らない若しくは知らされていたかもしれないけれど、そのときは失念していたという事実、駅員などもDコックの存在を知らず開放させることが出来なかったわけで、仮に同乗していた検査係【事故直後一時どこかに行き、電車が燃え尽きた頃に戻ってくる】なり運転士(運転士も背後に日が出ているのを確認しながらも乗務員室のドアを開放しないで自らは乗務員室から脱出】がDコックの操作を行っていれば、多数の命は救われたのではないかと検事も証言しています。○大津証人 先ほど申し上げました通り、私どもは大体刑事責任を判断するにあたっては、刑事責任は個人の問題である、つまり個人を中心とした刑事責任の問題である、その角度からいろいろ捜査をいたしたのであります。もちろん一つの立件は、やはり事件の環境というものがあるわけです。この環境は、その事件の責任者の情状の問題に密接な関係があります。この点はできるだけ資料を集めるために努力いたしております。なお鉄道側にも要求した資料もあるのであります。まだ未着のものもあります。ただいま御質問のような点につきまして、鉄道側に包括的な資料の提出を求めておりますが、未着であります。そこで大体不十分ながら現在までに御質問の要旨に触れるような問題を申し上げますと、まず本件については、一応架線の故障によるものである、それに電車が入つて起った軌道並びに車輌には故障はなかつたように認められます。しからば架線の故障を電車の災害防止にあたってはどうすればよかつたかというと、先ほど申し上げましたように、各個人のいろいろな不注意があつたように考えております。不注意の結果、そういう事故が発生したのでありますが、事故直後の処置としまして、運転手がいわゆるDコツクという床下のコツクをはずせば、容易に自分でもドアがあけられるわけです。ところがそれは運転手は知っておるのでありますが、当時狼狽したといいますか、気がつかなかつた。もしそれがあけられたならば、おそらく全部に近い人員が助かつたのではなかろうか。アークによって直接火を受けた者は別でありますが、そうでない者は大多数は助かつたのではないか、かように考えられるのがまず一点残念であります。それから車掌は、Dコツクを知らない、教育を受けてないと申しております。また教育をした者も調査いたしましたが、これも知らないのであります。教えたことはないようであります。車掌も事故発生直後第一輌目にとんで参りました。そのときは運転手よりも時間がかかつておりますが、なお窓から飛び降りる人がある。自分もぶら下つている人をおろしてやつたということを申しております。これもDコツクを操作すればある程度の人は助けられたのではないかということが考えられる。そしてそのほかに、電動車、つまり事故を起した機関車でありますか、その運転手席(助手側席)に?検車掛の金子という者がちようど出動途中便乗しておりました。これは職務上乗車したものとも言えないのでありますが、桜木町駅に出動する途中であります。これは検車掛ですからDコツクを知っておったのですが、これもそのとき気がつかなかつた。なお、この検査係は便乗ということで、刑事責任は免れているようです。室内にもDコックは座席下に設けられていたのであるが、上記の図のように赤丸で囲むなど目立つようになっていなかったため、知る人ぞ知るそんな状況であった。事故後は場所が目立つように赤丸で囲まれると共に、出入り口付近にコックが増設されることとなりました。 それで駅側はもちろんみな知らぬのであります。つまり当時、事故の現場にはDコツクを鉄道職員で二人知っておった。ところがその二人とも気がつかずに使わなかつた。こういうような点があるのであります。こういうようにDコツクを使うことを知っておるものはわずかに二人、その二人さえその当時には気がつかなかつた。そのほかの鉄道職員に至つてはみな知らない。こういうような状況が従業員の非常対策における訓練について適当かどうかということは、これはまた検討を要する問題だ、かように考えます。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です**********************○大津証人 対決はさせません。○篠田委員長 それはどういうわけですか。○大津証人 被疑者両名を同じ部屋でですか。○篠田委員長 ええ。○大津証人 これはまだやりません。○篠田委員長 まだその段階ではないのですか。○大津証人 それは必要ないと考えております。それはあまりに供述が食い違つておりまして、かりにこれを両者対決さしても、おのおのその言い分を主張するだけであつて、そうしておれが違つていたというように訂正するような問題ではない。対決させても、結果においてはお互いの主張を反駁するだけで、これは無意味ではないか、かように考えております。○篠田委員長 それはその問題だけで対決させることになれば無意味であるかもしれないけれども、そのあとに高原信号掛から何か中沢工手長が口どめされたというようなことを言っておりますが、そういうことは検事局で言っておりますか。○大津証人 言っております。○篠田委員長 その問題はどうですか。○大津証人 その問題につきまして申し上げますと、あの電車がもえ出しておる、もえているときだと思いますが、そうすると眼前にはまだ生きている人もあつたか、あるいはみな死んでおったかわかりませんが、とにかくもえているときに、その信号所におつて、両者の間にお互いの過失原因を抹殺しようとするような言葉の交換がされた事実があるようであります。但しこれも食い違つておりまして、お互いに相手方から言われたと称して、自分はそれに同調しなかつた、こういうふうに主張しておるわけです。中沢工手長の方に言わせますと、どうしてあんなことをしてくれた、自分はあれほど連絡せよと言つたのに、実はおれが悪かつたのだ、だからおれは知らないことにしてくれということを信号手から言われたということを言っております。それから一方、高原信号手に言わせますと、工手長が来て、そうしてたいへんなことになった。だが君の方にも責任があるのだから、あのクロツス点で架線が切れて、電車がもえたということにすれば、おれの方も旗を出さぬで済むからそういうことにしようじやないかということを工手長の方から言われた、こういうような要旨を申しております。従つてこの部分も非常に顕著に違つております。○篠田委員長 これはさつきの上り線をとめてくれと言つたのと、上り電車をとめてくれと言つた違いよりももつと――われわれが考えてみまして、片一方はとにかく連絡しているのだから、上り線にしろ、上り電車にしろ、そのときはそういう言葉の論争はなかつたわけですから、一応この工手長の方からいえば、自分が連絡したにもかかわらずとめなかつたという忿懣が、ほんとうに連絡しておれば、あつたとぼくは思うのです。そうなれば結局私は、工手長の方から信号手に対して頼むということはまず常識上あり得ない、こういうふうに思うのですが、その点の取調べはどういうふうになっておりますか。○大津証人 今のところこの点は、両者とも相当詳密に取調べをいたしましたが、その基本線は両方相譲らぬ。そうしてやはりこの点も先ほど申し上げましたように、上り線路と言つたか、上り電車と言つたかという問題とからむ問題で、この点も両者十分検討しておるわけです。○篠田委員長 それからこの災害の結果について証人をいろいろ尋問してみた結果は、これはもちろん今言つたようにメツセンジヤー、ワイヤーが切れたその後の処置が、今言つたように信号との連絡がまずかつた。これが最大の原因ではありますが、その後の乗客の救済という場合、たとえばDコツクというようなもののありかも知らぬとか、あるいはまたガラス窓が三重になつおったとか、そういういろいろの問題もありますが、そういう施設の上の欠陷、あるいは従業員の教育上の欠陥、あるいはまた何か鉄道関係の機構上の欠陷というようなものについて、取調べのうちに非常に気がつかれたというようなことがありますか。○大津証人 先ほど申し上げました通り、私どもは大体刑事責任を判断するにあたっては、刑事責任は個人の問題である、つまり個人を中心とした刑事責任の問題である、その角度からいろいろ捜査をいたしたのであります。もちろん一つの律件は、やはり事件の環境というものがあるわけです。この環境は、その事件の責任者の情状の問題に密接な関係があります。この点はできるだけ資料を集めるために努力いたしております。なお鉄道側にも要求した資料もあるのであります。まだ未着のものもあります。ただいま御質問のような点につきまして、鉄道側に包括的な資料の提出を求めておりますが、未着であります。そこで大体不十分ながら現在までに御質問の要旨に触れるような問題を申し上げますと、まず本件については、一応架線の故障によるものである、それに電車が入つて起った軌道並びに車輌には故障はなかつたように認められます。しからば架線の故障を電車の災害防止にあたってはどうすればよかつたかというと、先ほど申し上げましたように、各個人のいろいろな不注意があつたように考えております。不注意の結果、そういう事故が発生したのでありますが、事故直後の処置としまして、運転手がいわゆるDコツクという床下のコツクをはずせば、容易に自分でもドアがあけられるわけです。ところがそれは運転手は知っておるのでありますが、当時狼狽したといいますか、気がつかなかつた。もしそれがあけられたならば、おそらく全部に近い人員が助かつたのではなかろうか。アークによって直接火を受けた者は別でありますが、そうでない者は大多数は助かつたのではないか、かように考えられるのがまず一点残念であります。それから車掌は、Dコツクを知らない、教育を受けてないと申しております。また教育をした者も調査いたしましたが、これも知らないのであります。教えたことはないようであります。車掌も事故発生直後第一輌目にとんで参りました。そのときは運転手よりも時間がかかつておりますが、なお窓から飛び降りる人がある。自分もぶら下つている人をおろしてやつたということを申しております。これもDコツクを操作すればある程度の人は助けられたのではないかということが考えられる。そしてそのほかに、電動車、つまり事故を起した機関車でありますか、その運転手席に検車掛の金子という者がちようど出動途中便乗しておりました。これは職務上乗車したものとも言えないのでありますが、桜木町駅に出動する途中であります。これは検車掛ですからDコツクを知っておったのですが、これもそのとき気がつかなかつた。それで駅側はもちろんみな知らぬのであります。つまり当時、事故の現場にはDコツクを鉄道職員で二人知っておった。ところがその二人とも気がつかずに使わなかつた。こういうような点があるのであります。こういうようにDコツクを使うことを知っておるものはわずかに二人、その二人さえその当時には気がつかなかつた。そのほかの鉄道職員に至つてはみな知らない。こういうような状況が従業員の非常対策における訓練について適当かどうかということは、これはまた検討を要する問題だ、かように考えます。
2022.08.02
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今回から桜木町事故の審問、「行政監察特別委員会」は検察側の審問になります。それまでは当事者の質問が続いたのですが、今回は総裁を受け持った検察からに証言となりますので違った側面を見ることが出来るかと思います。最初の答弁するのは、横浜地方検察庁特別捜査部長検事 大津 広吉氏が証言に立つことになります。少なくとも、捜査としての見解ですので、かなり客観的にかつ双方の意見の相違などをきちんと明示していただけるものと思われます。早速見ていきたいと思います。今回質問している、篠田弘作委員長は、民主自由党所属で北海道旧北海道4区(現在の北海道第9区、北海道第10区の一部の)を地盤とする衆議院議員(保守合同後は自民党)であったそうです。検事によるは証言は淡々と○大津証人 この桜木町駅国電事件は、事件当時は横浜地方検察庁の刑事部の所管といたしまして、宮本部長検事が指揮して、吉川検事がこれを最初に監督しておりました。それは当日からすでに現場に参つたのでありますが、二十六日から私の方の特別捜査部に属する樺島検事が応援いたしまして、両方でやっておったのであります。そうして多分四月三十日ごろだと思いますが、その所管を私の方の特別捜査部に移しまして、爾来私の方の所管で井川、樺島両検事がやっておったのであります。私も直接これにタツチいたしましたのがそのころからであります。当時すでに被疑者八名は警察から送致されておりまして、そのうち在宅者三名を除きましては四名勾留されておりまして、なお一名を検事逮捕いたしております。それは検事の方で逮捕、勾留をいたしておりました。それ以来取調べを進めまして、五月の十六日運転士と車掌、十七日に助役と工手長と信号手、これを一応釈放いたしまして、現在なお各種の資料を収集し、捜査を続行いたしております。こういうような大体経過になっております。○篠田委員長 あなたが勾留された人の氏名をひとつ。ということで、詳細は本文を見ていただければわかりますが、直接の当事者であった運転士、車掌、工手長、信号係、助役を拘留の上取り調べを行ったと証言しています。事件の概要も第3者的に簡潔に語られているので、理解しやすいと言えます。この記録では、拘留取り調べ以外にも3名ほどを拘留せずに調書を取ったと記録されています。惨劇は防ぎきれなかったのか?当局に対する疑問篠田委員長としては、発生直後の処置いかんによってはあれだけの惨害を起さなくてもよかつたのじやないか。と質問しています。当然のことですが、検察としては事実としての列車火災、そしてその刑事背金を誰が負うべきかという点について取り調べをしていると証言しているわけですが。この件に関して改めて、事故の概要を整理してみたいと思います。昼間の営業時間中にき電線の碍子交換作業を行っていた際、電気工手が誤ってスパナを落下させたのが主たる原因です。鉄柱のビーム、横木でありますが、この一端に柄が触れまして、そのアースによりましてメツセンジヤー、ワイヤーが切断されたというように認められるのであります。その現場には工手長、副工手長みないたのでありますが、それぞれ工手長、副工手長は監督の位置で、地上で作業を監督し、他の者はそれぞれ一組二人ずつでほかの鉄柱に登つたという状況でございます。そこでそういうふうなメツセンジヤー、ワイヤーを切断したときに、この架線が左右両方にわかれまして、弛緩垂下の現象を起した。スパナが、鉄柱のビームに触れたことで、アークが発生して架線が切れたと検査係は証言したと検事は発言しています。副工手長には、列車を停止させる権限はあったのか?またはその意識はあったのか?ここでのポイントは、検事が証言していますが、過失によりスパナを落とした、その結果架線が切れたことが原因であることは言を俟ちませんが、その場の責任者である工手長は、桜木町の信号所に走って行って障害が発生したことを連絡した・・・個々までは何ら問題はないわけですが。副工手長は、現場に残り電車に対する災害の発生を未然に防止する必要があったのですが、手を振って止めるような動作をしたようにも記録としては残っていますが、運転士はそのまま障害の発生している線路に電車を進めることとなり、火災を発生させる結果となりました。しかし、この問題を適切に処理できれば良かったのですが、副工手長が工手長が持ち場を離れざるを得ない状況であるにもかかわらず副工手長は、電車の安全を確保すると言う最大の目的を理解し低なかった点を検察は指摘しています。そこで第一次的に申し上げれば、その際武井工手が作業の操作を誤つてそのメツセンジヤー、ワイヤーを切断したことが、まず一つの過失と考えられるのではなかろうかということが一つのポイントであります。そこでそういう事故を発生しましたために、その送電架線の下を走る電車、これはもう危険が発生したわけであります。そこでその場の責任者であります工手長がただちに桜木町駅の信号所にかけつけて、その故障を連絡したわけであります。その際に副工手長があとに残りまして、現場の善後処置に従事したわけでありますが、この際に工手長としては、副工手長以下に対して、自分が現場を離れるのでありますから、まず電車に対する災害の発生を未然に防止するために、進行電車をとにかく急停車させるところの措置を講ずべき一応の義務があるのではなかろうか、この点がまず工手長としての第一点であります。それから工手副長もその応急処理をすることが当然でありますけれども、同時に工手長自身が現場を離れるのでありすまから、自身みずからもその場にある限り電車の安全を確保するために緊急停車の信号をすることが副工手長の問題であります。工手長と信号係の証言が大きく食い違う点も指摘われわれの捜査したところでは、工手長と高原信号手の供述が顕著に食い違つておるのであります。工手長の方は、上り線は電車はとめてくれ、つまり線路を基準にして通報したように申しております。ところが信号手の方は、上り電車はとめてくれ、下り電車はよろしい、そうするとこれは電車を基点にして連絡したように供述しております。これは一見一致するようでありますが、桜木町の場合は必ずしも一致しないのであります。上り線路をとめてくれということになりますと、本件のメツセンジヤー、ワイヤー切断による影響によって発生したあの火災の現場のクロス点は、上り線路はとめてくれということでしたら事故にならぬ。ところが上り電車をとめてくれというのですと、上り電車でもあすこに入るものがある。そこで電車を単位として連絡したのか、線路を基点にして連絡したのか、この辺はなはだ微妙な陳述になっておる。上述の図のように、信号手と工手長の意識は互いに違っており、②番線(上り線)に列車が入ることを止めるように言ったのに対して、信号手は桜木町は終点(当時)であり、①番線から出発する電車もあれば②番線から出発する場合もあるので下りは良いと発言した。しかし、信号係の方は着は良いと判断したわけで、その辺の齟齬が大きな悲劇を生むこととなりました。そして、これに対しては双方の連絡(場所の共有を含めて)が不十分で有ったことは間違いないとしています。高原信号手の言い分と、中澤工手長の連絡とは、はたしていずれが正しいかということは、非常に微妙な問題でありますが、この点につきしては、われわれもいろいろと検討を加えておりますが、はたして両者いずれが正しいか、あるいは両方とも違つておるかということは、目下検討をいたしております。しかし大体観測されるところは、観測と申しますか、一応考えられる点は、連絡が不十分であつたということは明瞭であるというように考えております。なおこの点につきましては、私ばかりでなく、高検、最高検まで十分に検討を盡した上で結論をしたいが、とにかく連絡不十分であつたということは言えます。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です**********************第010回国会 行政監察特別委員会 第9号昭和二十六年五月二十二日(火曜日) 午前十時三十三分開議 出席委員 委員長 篠田 弘作君 理事 佐々木秀世君 理事 島田 末信君 理事 塚原 俊郎君 理事 内藤 隆君 理事 猪俣 浩三君 理事 山口 武秀君 大泉 寛三君 岡延右エ門君 鍛冶 良作君 川本 末治君 田渕 光一君 中川 俊思君 野村專太郎君 柳澤 義男君 大森 玉木君 藤田 義光君 加藤 充君 委員外の出席者 証 人 (横浜地方検察庁特別捜査部長検事) 大津 広吉君 証 人 (横浜市警察本部刑事部捜査第一課長横浜市警視) 高橋 一夫君 証 人 (横浜市警察本部刑事部鑑識係電気技術者) 井出 光正君 証 人 (乗客) 平田 善夫君 ―――――――――――――五月二十二日 委員横田甚太郎君辞任につき、その補欠として 加藤充君が議長の指名で委員に選任された。 ―――――――――――――本日の会議に付した事件 証人出頭要求に関する件 桜木町駅国電事故に関する件 ―――――――――――――○篠田委員長 これより会議を開きます。 桜木町駅国電事故に関する件について調査を進めます。ただちに大津広吉証人より証言を求めることにいたします。大津広吉さんですね。○大津証人 はい、そうです。○篠田委員長 あらかじめ文書で御了承願つておきました通り、証人として証言を求めることになりましたから、さよう御了承願います。 ただいまから桜木町駅国電事故に関する件について証言を求むることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なっております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の朗読を願います。 〔証人大津広吉君朗読〕 宣誓書 良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。○篠田委員長 宣誓書に署名捺印を願います。 〔証人宣誓書に署名捺印〕○篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また発言の際は、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになっていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。 桜木町駅の国電の事故についてあなたが検事としてお取調べになった概要について述べていただきたいと思います。○大津証人 この桜木町駅国電事件は、事件当時は横浜地方検察庁の刑事部の所管といたしまして、宮本部長検事が指揮して、吉川検事がこれを最初に監督しておりました。それは当日からすでに現場に参つたのでありますが、二十六日から私の方の特別捜査部に属する樺島検事が応援いたしまして、両方でやっておったのであります。そうして多分四月三十日ごろだと思いますが、その所管を私の方の特別捜査部に移しまして、爾来私の方の所管で井川、樺島両検事がやっておったのであります。私も直接これにタツチいたしましたのがそのころからであります。当時すでに被疑者八名は警察から送致されておりまして、そのうち在宅者三名を除きましては四名勾留されておりまして、なお一名を検事逮捕いたしております。それは検事の方で逮捕、勾留をいたしておりました。それ以来取調べを進めまして、五月の十六日運転士と車掌、十七日に助役と工手長と信号手、これを一応釈放いたしまして、現在なお各種の資料を収集し、捜査を続行いたしております。こういうような大体経過になっております。○篠田委員長 あなたが勾留された人の氏名をひとつ。○大津証人 勾留をいたしましたのは、運転士の中村曄、それから車掌の大矢治雄、それから工手長の中沢重二、それから信号手の高原豊秋、それから助役の岩田一平、その他在宅で取調べましたのが電力工手の武井島造それから同じく長谷川定雄、工手副長の平井育造であります。○篠田委員長 これは国電としても非常にまれに見る惨事でありますが、事故発生当時の従業員の処置について、あなた方検察庁はどういう考えを持っておられますか。○大津証人 処置と申しますと、事故発生直後ですか。○篠田委員長 発生直後、要するに処置いかんによってはあれだけの惨害を起さなくてもよかつたのじやないか。そういうことについて国鉄従業員、車掌であつても運転手であつても、駅関係であつても非常に遺憾の点があつたのじやないかと私どもは思つておりますが、あなた方検察庁としてはどういうふうにお考えになっておりますか。○大津証人 私どもは御承知のように、本件の事故がいわゆる刑法上の刑事責任を問うべき問題かどうか、同時に刑事責任を問うとすれば、何人にその責を問うべきかという点に捜査の点がある。その見地から取調べをいたし、また取調べをいたしておりますから、御質問の点になりますと、やはり当時各自がいかなる行動をとつたかという関係を申し上げてみた方がはっきりいたすのであります。そこで事件の概略はすでに御承知だろうと思いますが、一応その点から申し上げます。 桜木町駅の北方、ちようど横浜駅寄りでありますが、横浜駅から参りまして桜木町駅にかかる手前に場内信号機があるわけでありますが、その場内信号機のすぐそばに第四号鉄柱という送電架線の鉄柱がありますが、その付近から横浜寄りにおきまして午前中保土ヶ谷配電分区の電力工手長以下九名が碍子のとりかえ作業をやっておったのであります。この碍子は国鉄の車輌長の説明によりますと相当古いのでありまして、その補修をかねて新型碍子のとりかえをするというのであります。ちようど午前中の作業を終りまして、晝食後一時過ぎから作業にとりかかりまして、武井工手と長谷川工手が一組になって第四号鉄柱に上つて、その鉄柱の上り送電線側の碍子のとりかえ作業を開始したのであります。そのしよつぱなに事故を起して、その送電架線のメツセンジヤー、ワイヤーという吊つておりますものを切断してしまった。当時長谷川工手と武井工手はその作業に従つておったのでありますが、一応私どもの捜査したところでは、武井工手のスパナの操作が誤つて鉄柱のビーム、横木でありますが、この一端に柄が触れまして、そのアースによりましてメツセンジヤー、ワイヤーが切断されたというように認められるのであります。その現場には工手長、副工手長みないたのでありますが、それぞれ工手長、副工手長は監督の位置で、地上で作業を監督し、他の者はそれぞれ一組二人ずつでほかの鉄柱に登つたという状況でございます。そこでそういうふうなメツセンジヤー、ワイヤーを切断したときに、この架線が左右両方にわかれまして、弛緩垂下の現象を起した。そこで第一次的に申し上げれば、その際武井工手が作業の操作を誤つてそのメツセンジヤー、ワイヤーを切断したことが、まず一つの過失と考えられるのではなかろうかということが一つのポイントであります。そこでそういう事故を発生しましたために、その送電架線の下を走る電車、これはもう危険が発生したわけであります。そこでその場の責任者であります工手長がただちに桜木町駅の信号所にかけつけて、その故障を連絡したわけであります。その際に副工手長があとに残りまして、現場の善後処置に従事したわけでありますが、この際に工手長としては、副工手長以下に対して、自分が現場を離れるのでありますから、まず電車に対する災害の発生を未然に防止するために、進行電車をとにかく急停車させるところの措置を講ずべき一応の義務があるのではなかろうか、この点がまず工手長としての第一点であります。それから工手副長もその応急処理をすることが当然でありますけれども、同時に工手長自身が現場を離れるのでありすまから、自身みずからもその場にある限り電車の安全を確保するために緊急停車の信号をすることが副工手長の問題であります。それから工手長は次に信号扱い所に行かれまして、高原信号手に故障の連絡をした。高原信号手はこれを助役に報告した。ところが一応われわれの捜査したところでは、工手長と高原信号手の供述が顕著に食い違つておるのであります。工手長の方は、上り線は電車はとめてくれ、つまり線路を基準にして通報したように申しております。ところが信号手の方は、上り電車はとめてくれ、下り電車はよろしい、そうするとこれは電車を基点にして連絡したように供述しております。これは一見一致するようでありますが、桜木町の場合は必ずしも一致しないのであります。上り線路をとめてくれということになりますと、本件のメツセンジヤー、ワイヤー切断による影響によって発生したあの火災の現場のクロス点は、上り線路はとめてくれということでしたら事故にならぬ。ところが上り電車をとめてくれというのですと、上り電車でもあすこに入るものがある。そこで電車を単位として連絡したのか、線路を基点にして連絡したのか、この辺はなはだ微妙な陳述になっておる。それから助役の方は高原信号手から架線が切れたらしいという連絡があつたと供述しております。架線が切れたらしい、どこの場所でいかなる程度に切れたかということがわからなかつた。そこで助役は高原にどういうことだ、つまり故障の程度、位置を確かめたようであります。ところが高原信号手にもそれがわかつていなかつたようです。そうして高原信号手と助役の二人の間にそれぞれ電話でこの故障の位置、程度について問答を重ねているうちに、電車が入つて来てしまつて事故になった、こういう状況であります。そこで高原信号手の言い分と、中澤工手長の連絡とは、はたしていずれが正しいかということは、非常に微妙な問題でありますが、この点につきしては、われわれもいろいろと検討を加えておりますが、はたして両者いずれが正しいか、あるいは両方とも違つておるかということは、目下検討をいたしております。しかし大体観測されるところは、観測と申しますか、一応考えられる点は、連絡が不十分であつたということは明瞭であるというように考えております。なおこの点につきましては、私ばかりでなく、高検、最高検まで十分に検討を盡した上で結論をしたいが、とにかく連絡不十分であつたということは言えます。○篠田委員長 それで普通上りをとめてくれと言つた場合には、上り線路をとめてくれと言つたか、上り電車をとめてくれと言つたか、速記がとつてないのだから、これは水かけ論になりますが、おそらく上りをとめてくれということだけは言つたと思う。電車か線路かは別問題として………。そういう場合、上りをとめてくれと言つた場合には、電車をとめるのか、上りに入るすべての電車をとめてしまうということになるのか、電車をとめるということはもちろんだけれども、上りの線路もとめるということが普通の常識になっておるか。これはやはり議論というよりも一つの常識だと思うのです。また慣例だと思うのです。上りをとめてくれと言つた場合には、上りの線路をとめるのか、上り電車をとめるのかということは、鉄道は長い間営業しているのだから、そういうことは普通常識また慣例として、ぼくは行われていることだと思うのです。そういう点については検事局は………。○大津証人 証言は上りという言葉と、上り線という言葉と、あるいは上り電車という言葉とは、大分ニユアンスが違うのです。上りといいますと、われわれは上り下りと通常は言っておりますが、本件の被疑者の場合は、一方は上り線と言い、一方は上り電車と言う、こういうわけです。そのしつぽにくつつくわけです。それによって電車を単位にするか、線路を単位にするか、こういうことになります。○篠田委員長 上り線、はっきり言っておればこれは問題にならぬと思うのですが、いずれにしても電車をとめればこの災害は起きなかつた。ところがたまたま下り電車が上り線に入つたことによって起った惨害ですね、これは………。そこであなたはただ二人の言葉を並列さして今研究しておられるのか、あるいは中沢工事長というものと、高原信号掛と二人を対決さしてみられたことはありますか。
2022.06.29
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久々に更新させていただきます。今回で、乗務員並びに信号係など現場係員の審問は終わりますが。ここで、双方の主張が大きく異なる点、更にこうした事故を起こした場合の現場の心理、更には双方のコミュニケーションと言いますか、正しく情報を伝えることの難しさ等、現在の事故でも同様に学ぶべき点は多いのではないかと思います。多少誘導尋問的ですが、中澤工手長の最初の発言には疑問を持ったと証言この事故の根本原因は、電気工事で中澤工手長の率いる班が作業していた、架線での碍子取り替え作業中誤って落としたスパナがき電線と接触、き電線と電車線を短絡したことで、アーク発生して大量電流が流れ、架線を溶断、そこに下り列車が支障した線路側に入ろうとしたため、進入を停止させるように信号係に話すのですが・・・起こってしまったことは仕方がないから、「電車が勝手に燃えたことにしようとした」という発言を中澤工手長は発言したと、言っており。これに対して、高原証人は、身ようなことを言ったと証言しています。多少なりとも誘導尋問的なところはありますが。○田渕委員 高原さんに伺います。中澤さんとの間に非常な食い違いがあることは、これはよろしいのですが、やはり検事局であなた方が、調べられたときに、対質尋問と言いましようか、あなたと先ほどの工手長と会つたようなことはございますか。○高原証人 ありません。○田渕委員 両方とも陳述が違うから、どつちがほんとうだというようなことでやつたことはございませんか。○高原証人 ありません。○田渕委員 私はどちらとも、神様でないからわかりませんので、判断は自由でありますから言いませんが、少くとも先ほど柳澤委員から聞いた通り――あとでもう一人寺山さんですか、あなたと一緒におられましたですね。寺山さんから、中澤というやつはひどいことを言うやつだよ、電車が入つて、そうして架線が切れて火がついたなんということを言うて来た、ということを聞いて、けしからぬことを言うやつだというような感じは受けませんでしたか。○高原証人 そのときの気持は、今記憶はありません。○田渕委員 あれほどの大きな事故を起したのですから、結局伺うのはこれなんです。あなたの責任とか、だれの責任とかいうのではないが、中澤さんが、電車が入つて来て火をふいたというようにしてくれろ、こういうふうにしようじやないかということを寺山さんから聞いたとき、中澤というやつはひどいことを言うやつだ、自分らでかつてに架線を切っておいて、そうして火がふいたというように言おうじやないかとは、妙なことを言うやつだということを思いませんでしたか。○高原証人 そう思いました。ここでの証言では、かなり誘導尋問的なところはあるのですが、少なくとも中澤工手長としては、結果的に電車が火災になったので、電車が何らかの理由で発火したことにしようとした。双方が責任を負わないですむようにと言う一種の自己防護と言えそうです。また、検事調べの際中澤工手長とは直接会ったことも、検事から双方の発言が大きく異なることから、どうなのかという質問があったかということに対しても、質問はなかったと証言しています。ただ、「中澤というやつはひどいことを言うやつだ、自分らでかつてに架線を切っておいて、そうして火がふいたというように言おうじやないかとは、妙なことを言うやつだということを思いませんでしたか。○高原証人 そう思いました。」ここの件はいささか、誘導尋問的に見えてしまうのは私だけでしょうか?中澤証人と、高原証人の発言に大きな食い違いがあったことに対しては?そのような発言はしていないと言下に否定以下は、桜木町事故に関する国会審問の議事録 第21回 から、該当部分を抜粋したものですが、この辺の証言について、双方に主張が大きく食い違うことになります。○田渕委員 ところが信号手が――もちろんあとで知らなかつたと隠すことはよくわかるのですけれども、この場合にあなたが、自分の権限あるいは職場を越すかもわからないけれども、とにかく自分が架線の方をやっているので、その架線が切れた、電車がえらいことになる、だから何としてもここで電車をとめなければならぬのだからというわけで、信号手におとなしい態度で、えらいことをした、ちょっと電車をとめてくれ、こう言うのと、たいへんなことだ、すぐこれをやらなければ大事が起るというようにきつく言うのと、信号手の受ける感じが非常に違うと思うのですが、それはどうでしようか。○中澤証人 私の力を入れたところは、一旦現場を頼む、とこう言って行つたのであります。○田渕委員 それはあなたの部下に言つたことで、高原信号手にあなたが言つたときに、あなたが、えらいことをした、とめてくれ、こう言うのと、たいへんなことになってしまった、こう言って叱責するようにきつく言うのと、そこの違いですが……。○中澤証人 信号手ですか。○田渕委員 ええ、きつくばばつとすぐにも信号に手をかけるくらいに……。○中澤証人 それはやはり飛び込んだときに、私は一番先にそれを強く言つたのであります。○田渕委員 相当大きい声で……。○中澤証人 そうです。もう入られたらこれは最後だと思いまして、飛び込むとすぐに、上り線が断線したので、上り線側に入れてもらつては困る、頼む、とこう力を入れて言いましたら、上りがだめなら下り線はどうかと向うでも力を入れてこう聞きましたから、私は、下り線に入れる分にはさしつかえない、こう言つたのに対して、信号所の方は、そうかとまた向うも力を入れたのであります。ですから私としては十分納得ができた、こう思いまして、話を一応打切つたのであります。○田渕委員 それは、そのときの様子とすれば相当熱心に言われたことと思いますが、信号手はそのときにいすに腰かけておったのですか。立つておりましたか。○中澤証人 一人の専任の信号手は立つておりました。一人の信号手の方は、あまりはっきりはしませんが、腰かけていたように思われます。ここでも書かれているように、中澤工手長は、信号係に、断線したので上り側に入れては困ると強く言ったとしており、それに対して、第33回の証言で中澤工手長が下記のように証言しています。再び、blogからの引用部分をアップしてみたいと思います。以下は、桜木町事故に関する国会審問の議事録 第33回 記事からの引用です。それから私はすぐにまた飛び出そうと思つたときに、信号所の二人が、今の事故はぼくの方は知らなかつたことにしてくれ、頼む、頼む、こう言われるので、私はあれほど上り線に入れては困ると言っておいたのにどういうわけか、私がこう言いましたら、信号所では、悪かつたから、まあ頼む、頼むと盛んに言うのであります。 ○内藤(隆)委員長代理 ちょっと待つてください。その信号所へあなたがかけつけて行って、そして話したその相手方は何という人ですか。 ○中澤証人 高原信号手です。そのときには名前はわかりませんでしたが、あとで高原信号手ということがわかりました。 ○内藤(隆)委員長代理 それから、これは大事件だから、知らなかつたことにしてくれと言つたのはだれですか。 ○中澤証人 それが高原です。 ○内藤(隆)委員長代理 同人ですね。 ○中澤証人 そうです。 ○内藤(隆)委員長代理 二人おったというのは……。 ○中澤証人 二人おりましたのは、高山信号手でありますが、それが頼む、頼むと一緒に言いました。 ○内藤(隆)委員長代理 知らなかつたことにしてくれとは高山は言わなかつたのですか。 ○中澤証人 そうです。そして二人で、ぜひ頼む、頼む、関係ないことにして、頼む、頼むと非常に言われましたので、私もそこでちょっと興奮しまして、あれほど言っておいたに、知らぬことはないだろう、どういうわけかと私が言いましても、ぜひ頼む、頼むと、こう言われますので、私はそんなことは知らぬ、私はこういうふうに言つたのであります。そうしましても、ぜひ頼む、頼むと言われるので、私はそこから出ようと思つたときに、どういう方か、制服を着た人でなく、私服の人だと思いますが、飛び込んで来たので、その話は一旦中止になりました。それから私は信号所からすぐ出まして、焼けている電車の方へと思つて行きましたら、もうそのときには電車は手のつけようもなく、私はその辺でまごまごしておりました。この質問に対して高原証人は、以下のように証言しています。○田渕委員 あなたにひどいことを言うやつだなということを寺山さんから話はありましたか。○高原証人 私には別になかつたと思います。○田渕委員 ただあなたはひどいことを言うやつだなとお思いになった。そこで今あなたの心境を伺うのですが、あなたが頼む頼む、知らなかつたことにしてくれ、頼む頼むと言うたと先ほど帰つた中澤さんが言っている。○高原証人 私は絶対に言いません。とあるように、強く否定しているのですが、行動心理的に見た場合はどうなのでしょうか。このように、言下に否定すると言うことは、むしろそれを肯定しているようにも見受けられます。実際には、そう言ったのだがそれでは自身の心証が悪くなるのでそれを避けようとしたとも取れそうです。実際に、信号係が少なくとも電気工手長の話を十分に理解しようとして信号を操作していたらと言う点は遺憾でありますが、技術的にも当時の技術では事故電流を検知できなかったことが、より大きな事故に繋がった遠因であることには変わりはありません。その後の発言では、中澤証人が十分な説明をしていれば、信号機を操作していただろうと証言しています。少なくとも言下に否定して以降の発言は、よく覚えていませんから意外と雄弁に、「こうしていた」的な断定的発言に変わっており、この辺も注目して良さそうです。○田渕委員 これはあなたは何と思いますか。○高原証人 今中澤さんが言つたということを承つて、私がどういう気持かということですか。○田渕委員 そうです。○高原証人 ずいぶんひどい野郎だと思います。○田渕委員 あなたはこれに対して、中澤さんが入つて来たときに、自分が気をきかして、あのときにぱあつと赤信号でも出してやれば、あんな惨状を起さなかつたであろうというようなことをあとで思いませんか。○高原証人 中澤さんがあのとき来て、しつかりした通告をしてくれれば、どういう手でも打つたと思います。当然打たなければならぬと思います。○田渕委員 そこで中澤さんがはっきり大きな声でぎゆつと言ってくれればよかつたが……。○高原証人 いや、架線が切れてどこどこが危険だと言えば……。○田渕委員 長年の経験上……。○高原証人 わかるのです。証言の相違に関しては、新たな証人を喚問することを検討することにこの後も審問は続き、本人に対して自身が申す少し積極的に動くなどしていれば、と言う犠牲者への哀悼の意はないかという質問に対しては、一転不明瞭と言いますか、感情を上手く表現できていないようのも感じます。多分に本人は、「気の毒なことをした」という言葉には、「相済まぬことをした」という意味合いで発言していると思うのですが、田渕委員との間で感情的な齟齬が発生しているように思えます。○田渕委員 これは電車を入れてはいかぬとわかる。そのときに架線が切れた、何らか自分が注意して折返して聞いてやるという点でも、自分に親切が足りなかつたということも――これは刑事問題でも何でもない。あなたの責任感を疑いたいから聞くのですが、自分もそのとき責任感が足りなかつたというような感じは起りませんか。○高原証人 それですから、私は何かあつたのかということを聞いたんです。○田渕委員 それはわかつている。そんなことはここで言わない。検事廷じやないのですから。そのときもう一つ聞いておいてやれば、あれだけの惨事は起らなかつたのに、というように今考えておられませんか。○高原証人 今はもう少し強くあれこれ言えばよかつたと考えますが、そのときには考えが……。○田渕委員 そこであなたの責任をどうこう言うんじやありませんが、先ほど中澤証人が非常に相済まぬことをしたというように言うておられますが、ともあれ災難と言おうか因縁と言おうか、その時間に寺山がおればこれはどでもなかつたろうに、寺山が十二時までおつて、あなたが一時までおった、その間に大きな事故にぶつかつた。そこで自分はやはりそのときにおった責任者として、これだけの惨事を起して、犠牲者に相済まぬというような感情はおありになりますか。○高原証人 気の毒なことをしたと思います。○田渕委員 気の毒だと思うが、相済まぬというような感じはおありになりませんか。○高原証人 気の毒だと思います。○田渕委員 気の毒だというだけで、三十年も奉公し勤めさせてもらつたことに対して、自分が相済まぬというような―気の毒だというような同情よりも、そこで信号でも出しておけば、あんな惨事は起らなかつた、相済まぬというような気におなりになりませんか。○高原証人 それは済みませんと思います。上記のような経緯を経て、国会では二名の証人の発言が大きく食い違うことから、新たな証人を召喚するように決定したいとしていますが。次回の審問では利用者代表、更に現地で捜査にあたった捜査一課長夜鑑識、検事などの証言が続くこととなります。○塚原委員長代理 申し上げますが、先ほどの中澤証人と今の高原証人との証言の食い違いにつきましては、さらに同じところにおられたという春山良平君の喚問も必要と思われますので、そういつた取扱いにつきましては、次の理事会において協議の上決定したいと存じます。○田渕委員 それに関連して……。そこで私は高原証人に聞いたんですが、これを調べた検察庁が、これだけの食い違いの証言に対して対質尋問をやっておりません。そこでこの次の証人を呼ぶか呼ばぬかの問題のときに、さらに両証人を呼んでここでやるかどうかということも理事会でお諮り願いたい。○塚原委員長代理 明日の証人には検事局の方が相当おられますから、その際ついていただきたいと思います。ほかに御質問がなければ、高原証人に対する尋問はこれで終ります以上で、長々と続いた、昭和26年5月21日 「第010回国会 行政監察特別委員会 第8号」の国会審問は終わりになります。次回は、昭和26年5月22日 「第010回国会 行政監察特別委員会 第9号」による審問となります。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です**********************○田渕委員 高原さんに伺います。中澤さんとの間に非常な食い違いがあることは、これはよろしいのですが、やはり検事局であなた方が、調べられたときに、対質尋問と言いましようか、あなたと先ほどの工手長と会つたようなことはございますか。○高原証人 ありません。○田渕委員 両方とも陳述が違うから、どつちがほんとうだというようなことでやつたことはございませんか。○高原証人 ありません。○田渕委員 私はどちらとも、神様でないからわかりませんので、判断は自由でありますから言いませんが、少くとも先ほど柳澤委員から聞いた通り――あとでもう一人寺山さんですか、あなたと一緒におられましたですね。寺山さんから、中澤というやつはひどいことを言うやつだよ、電車が入つて、そうして架線が切れて火がついたなんということを言うて来た、ということを聞いて、けしからぬことを言うやつだというような感じは受けませんでしたか。○高原証人 そのときの気持は、今記憶はありません。○田渕委員 あれほどの大きな事故を起したのですから、結局伺うのはこれなんです。あなたの責任とか、だれの責任とかいうのではないが、中澤さんが、電車が入つて来て火をふいたというようにしてくれろ、こういうふうにしようじやないかということを寺山さんから聞いたとき、中澤というやつはひどいことを言うやつだ、自分らでかつてに架線を切っておいて、そうして火がふいたというように言おうじやないかとは、妙なことを言うやつだということを思いませんでしたか。○高原証人 そう思いました。○田渕委員 あなたにひどいことを言うやつだなということを寺山さんから話はありましたか。○高原証人 私には別になかつたと思います。○田渕委員 ただあなたはひどいことを言うやつだなとお思いになった。そこで今あなたの心境を伺うのですが、あなたが頼む頼む、知らなかつたことにしてくれ、頼む頼むと言うたと先ほど帰つた中澤さんが言っている。○高原証人 私は絶対に言いません。○田渕委員 これはあなたは何と思いますか。○高原証人 今中澤さんが言つたということを承つて、私がどういう気持かということですか。○田渕委員 そうです。○高原証人 ずいぶんひどい野郎だと思います。○田渕委員 あなたはこれに対して、中澤さんが入つて来たときに、自分が気をきかして、あのときにぱあつと赤信号でも出してやれば、あんな惨状を起さなかつたであろうというようなことをあとで思いませんか。○高原証人 中澤さんがあのとき来て、しつかりした通告をしてくれれば、どういう手でも打つたと思います。当然打たなければならぬと思います。○田渕委員 そこで中澤さんがはっきり大きな声でぎゆつと言ってくれればよかつたが……。○高原証人 いや、架線が切れてどこどこが危険だと言えば……。○田渕委員 長年の経験上……。○高原証人 わかるのです。○田渕委員 これは電車を入れてはいかぬとわかる。そのときに架線が切れた、何らか自分が注意して折返して聞いてやるという点でも、自分に親切が足りなかつたということも――これは刑事問題でも何でもない。あなたの責任感を疑いたいから聞くのですが、自分もそのとき責任感が足りなかつたというような感じは起りませんか。○高原証人 それですから、私は何かあつたのかということを聞いたんです。○田渕委員 それはわかつている。そんなことはここで言わない。検事廷じやないのですから。そのときもう一つ聞いておいてやれば、あれだけの惨事は起らなかつたのに、というように今考えておられませんか。○高原証人 今はもう少し強くあれこれ言えばよかつたと考えますが、そのときには考えが……。○田渕委員 そこであなたの責任をどうこう言うんじやありませんが、先ほど中澤証人が非常に相済まぬことをしたというように言うておられますが、ともあれ災難と言おうか因縁と言おうか、その時間に寺山がおればこれはどでもなかつたろうに、寺山が十二時までおつて、あなたが一時までおった、その間に大きな事故にぶつかつた。そこで自分はやはりそのときにおった責任者として、これだけの惨事を起して、犠牲者に相済まぬというような感情はおありになりますか。○高原証人 気の毒なことをしたと思います。○田渕委員 気の毒だと思うが、相済まぬというような感じはおありになりませんか。○高原証人 気の毒だと思います。○田渕委員 気の毒だというだけで、三十年も奉公し勤めさせてもらつたことに対して、自分が相済まぬというような―気の毒だというような同情よりも、そこで信号でも出しておけば、あんな惨事は起らなかつた、相済まぬというような気におなりになりませんか。○高原証人 それは済みませんと思います。○田渕委員 けつこうです。○塚原委員長代理 申し上げますが、先ほどの中澤証人と今の高原証人との証言の食い違いにつきましては、さらに同じところにおられたという春山良平君の喚問も必要と思われますので、そういつた取扱いにつきましては、次の理事会において協議の上決定したいと存じます。○田渕委員 それに関連して……。そこで私は高原証人に聞いたんですが、これを調べた検察庁が、これだけの食い違いの証言に対して対質尋問をやっておりません。そこでこの次の証人を呼ぶか呼ばぬかの問題のときに、さらに両証人を呼んでここでやるかどうかということも理事会でお諮り願いたい。○塚原委員長代理 明日の証人には検事局の方が相当おられますから、その際ついていただきたいと思います。ほかに御質問がなければ、高原証人に対する尋問はこれで終ります。長時間にわたり御苦労さまでした。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十七分散会
2022.05.02
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長らく更新出来ませんでしたので、久々に更新させていただきます。今回も引き続き信号係の証人尋問が続きますが。どうにも質問に対しての回答がちぐはぐ・・・そんな印象を受けてしまいます。審問に対して、多少なりとも委員の方は証人に回答に苛立ちを隠せないようで以下のような発言にその辺の意識が出ているようです。少し長いですが全文引用してみたいと思います。証人の無責任とも取れる発言に委員が落胆○柳澤委員 それに対して先ほどは、けが人でもできたのではないかということを考えたと答えられている。それは取消しますか、そんな重大に考えなかつたということですか。 私はここで何も刑事責任の問題を追究しようというのではないのですが、今あなたの証言を聞いていると、工手長もやつちやつたと言って、そこであなたがまねたように、きわめて漫然たる態度をとつているようであつて、しかもあなたの言うのでは、普通の態度だった、のようだったとも言われておる。あなたの答えを聞いても、多数の人命をあずかる人の、こういう重大な事故に対する解答のようなものは一つもつかめないのですよ。そこでしかもあなた方の多くは、あるいは設備が悪いとか何とかいう証言を、先ほど来ほかの人も繰返しているのです。ところがそれどころの話じやないですよ、最近における鉄道職員の中には、設備におかまいなしに荷物をひん抜いておるのさえたくさんある。現に私は多数の方について弁護をしておる事実がある。そうしてしかもその責任者をとらえて証人に呼んでみると、かつての鉄道というものは、くぎ一本でも私するということのない、非常に厳格な気持でもつて扱つておった。今日こういう事実があるということは、まことに遺憾だと言うてどなたでも証言していますよ、これはひとり設備の問題じやありはしません。人間の精神の問題ですよ、われわれが国会でこういうものを取上げて、こうして手間ひまをかけているというのも、こういうような多数の人の従業するところの、しかも尊い人命を取扱つて、輸送の重大任務にある者の精神が、今の証言でみると、あなたの証言自体も少しの緊張感も与えておらぬ、人がまつ赤になって焼け死ぬのに、ぶらぶら二はいバケツなんかさげて行かれるものではない、それからまた中澤証人だつて、やつちやつた、なんと言ってかけ上つて行っておるどころではないでしよう、八方手配する、しかも相当の人数がいるのであるから、それが送電をとめ、一方には信号を手配するというような、あらゆる手を打つているという事実がないのです。こうしたことに対して、われわれは今あなたの言うことに対しても追究のメスを加えているの託すよ、ひとり設備ばかりではない、設備よりもむしろこの事件のすべての人が、人命の大切なものをあずかつている輸送任務の重大さを認識している者が、一人もないと言ってよろしいと私どもは考えるのであるから、この事件を取上げおる。ここにわれわれがこれを取上げる重大さがある。今後こういうようなことでは、とうてい国民は安心して汽車に乗れない、電車にも乗れない、それが問題なんです。現在の感覚では、精神論だと言われかねませんが、戦前の国鉄職員の職務に対する厳正は、非常に厳しかったそれに対して戦後の混乱期にはそうした事への反動が起こって、人心は乱れ、反動的な社会であったことは、数多くの傍証(犯罪件数の多さや事故等の多さ)から確認することが出来ます。実際、この高原証人に限らず、中澤工手長との証言に双方が大きく食い違う点もあり、お互いに責任のなすりつけあいの状況にあったとも言われています。さらには、柳沢委員は下記のように発言を続けています。設備よりもむしろこの事件のすべての人が、人命の大切なものをあずかつている輸送任務の重大さを認識している者が、一人もないと言ってよろしいと私どもは考えるのであるから、この事件を取上げおる。ここにわれわれがこれを取上げる重大さがある。今後こういうようなことでは、とうてい国民は安心して汽車に乗れない、電車にも乗れない、それが問題なんです。小さな一つの、ささたるあなたの刑事事件―あなたをひつくくるというような問題ではない。そういう点から行くならば、もう少し率直に、なすり合いをしないと言うけれども、現実になすり合いなんです。まるつきり責任を負うたところの答弁ではない、どなたに聞いても。こに対してわれわれはこんな反省のないことではまことに困る。これだけ重大な問題に対しては、国鉄の職員は、ことに直接衝に当つた者としては、もう穴があつたら入りたいくらいの、いつでも腹が切りたいくらいの敬慶な気持というものを国民の前に表わしてもらつて、そうして答弁も率直簡明に責任を負うて、国鉄の再建に向つて努力してもらいたいのが、この委員会の終局の目的なんですよ。そういう点からいつて、今まで述べられたことは、まつたく遺憾にたえない。互いの責任をなすりつけあう状況にあると嘆いているわけですが、これが当時の世相であったと言えるかもしれません。さらに、別の委員からは以下のような発言が続きます。上り線・下り線という意味に齟齬が生じているのか?○横田委員 上り、下り、着こういうことをはっきりしておきたいのですが、上りというのは上り線のレールの最後まで、下り線というのは、下り線のレールの最後までを言うのではないのですか。着というのは、上り線に着、下り線に着というのが正確な用語じやないのでしようか。私はそう考えるのですが、その場合に着ということを上り、下りという以外に使つて仕事をしているということが、こういうような混乱の原因になるのではないのですか、その点はどうです。○高原証人 その辺ははっきりわかりませんが、下りというのも着というのも、下りというのは桜木町へ進入する場合は一番に入つても下り、それから場内信号機から内側へ入つても下り……。○横田委員 桜木町の信号の一切はあなたが責任持ってやっておられるのでしよう。○高原証人 そうでありません。○横田委員 あなたのところの電車はどこに着くかわからぬのですか。下り線に着けろ、上り線につけろ、それが着なのでしよう。われわれはしろうとなのですから、乗る場合に上り線の何番ホームへ行ってくれ、下り線の何番ホームへ行ってくれ、これを見て行くのです。その何番ホームになるというこれは、すなわちあなたのところに連絡して行くのでしよう。だから私が非常にふしぎに思いますのは、中澤なる男に着はよろしいかと言うて聞くこと、これ自体がすでに変だと思うのです。こんなことはあなたが判断すべきであつて、ここにもこういうことが出ていますね、これは週刊朝日ですが、ここには、小西運輸総局長という人が国鉄におりますね。この人の言によりますと、架線が切れたとき、すぐ赤旗でも出せばよかつた。赤旗は自由党の人はきらいなのですが、この場合は必要なのです。どういうわけで赤旗をこの工事の場合に持って行かなかつたのですか、私の知っておる限りにおいては、青い信号が出ている。そこへ電車が入つて来る場合がたくさんあります。それで事故が起った場合に赤旗を出すと、汽車がとまり、電車がとまるのです。そうしたら、あなたと中澤君の関係は何も言葉に基いて話するのではなくて、こういうような事故が起った場合にどうして赤旗を出さないのですか。現に運輸総局長自体が赤旗を持っておれば事故は起らぬと言っておるじやないか。これと、着、上り、下り、この言葉が非常にあいまいなので、国鉄の職員が仕事をされる点において非常に私はふに落ちないところがあるのです。しかもこれを読んでみますと、こういうことを言うております。あなたの労働組合ですね、国鉄の労働組合の齋藤鐵郎君はこう言っております。「この際言っておきたいのは、乗客の皆さんも科学をもつと身につけておく必要があるということだ。」科学を身につけて電車に乗るなんていう、そんなことで、なんでわれわれ電車に乗れますか。こういうようなことを考えますと、この三つのことはみんな一つなのです。だから私があなたに聞きたいのは、上り線に着下り線に着というのが正確な言葉ではないかということと、それから同時に中澤君とあなたとの関係は、中澤君が赤旗を出せばあなたの信号を赤にしたらいいのであつて、中澤君が言葉で言うて来たときに―中澤君というものにあなたが面識があるのかないのかさえ疑わしい。面識がないのにその言葉を聞いてするんだったら、帝銀事件と何らかわりはないことになるんですよ。あなたは何を考えてぽかんとしているのか、証人に来ておるのであなたはぽかんとしているのだと思つていたけれども、おそらく信号しているときにもそうして、そんなような態度で、いつもぽかんとしておるのじやないのですか。その点あなたの答弁をはっきり聞きたいと思います。○塚原委員長代理 答えませんか。質問の要旨がわかりませんか。○高原証人 質問の要旨が、そう長々と言われたんではわからなくなってしまう。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です************************○柳澤委員 先ほど何かあつたということについてほかの方の質問に対して、けが人でもできたかということを考えたということを言つたでしよう。それは速記録にある。私も写してある。けが人といつて、人命を損傷するというようなけが人ができたぐらいなことは何でもないことですか。○高原証人 話はもどりますが、何かあつたのかと言つたときに、それはけが人ができたとも何とも――何かあつたのだなということは、工手長に問うべく何かあつたのかと……。○柳澤委員 それに対して先ほどは、けが人でもできたのではないかということを考えたと答えられている。それは取消しますか、そんな重大に考えなかつたということですか。 私はここで何も刑事責任の問題を追究しようというのではないのですが、今あなたの証言を聞いていると、工手長もやつちやつたと言って、そこであなたがまねたように、きわめて漫然たる態度をとつているようであつて、しかもあなたの言うのでは、普通の態度だった、のようだったとも言われておる。あなたの答えを聞いても、多数の人命をあずかる人の、こういう重大な事故に対する解答のようなものは一つもつかめないのですよ。そこでしかもあなた方の多くは、あるいは設備が悪いとか何とかいう証言を、先ほど来ほかの人も繰返しているのです。ところがそれどころの話じやないですよ、最近における鉄道職員の中には、設備におかまいなしに荷物をひん抜いておるのさえたくさんある。現に私は多数の方について弁護をしておる事実がある。そうしてしかもその責任者をとらえて証人に呼んでみると、かつての鉄道というものは、くぎ一本でも私するということのない、非常に厳格な気持でもつて扱つておった。今日こういう事実があるということは、まことに遺憾だと言うてどなたでも証言していますよ、これはひとり設備の問題じやありはしません。人間の精神の問題ですよ、われわれが国会でこういうものを取上げて、こうして手間ひまをかけているというのも、こういうような多数の人の従業するところの、しかも尊い人命を取扱つて、輸送の重大任務にある者の精神が、今の証言でみると、あなたの証言自体も少しの緊張感も与えておらぬ、人がまつ赤になって焼け死ぬのに、ぶらぶら二はいバケツなんかさげて行かれるものではない、それからまた中澤証人だつて、やつちやつた、なんと言ってかけ上つて行っておるどころではないでしよう、八方手配する、しかも相当の人数がいるのであるから、それが送電をとめ、一方には信号を手配するというような、あらゆる手を打つているという事実がないのです。こうしたことに対して、われわれは今あなたの言うことに対しても追究のメスを加えているの託すよ、ひとり設備ばかりではない、設備よりもむしろこの事件のすべての人が、人命の大切なものをあずかつている輸送任務の重大さを認識している者が、一人もないと言ってよろしいと私どもは考えるのであるから、この事件を取上げおる。ここにわれわれがこれを取上げる重大さがある。今後こういうようなことでは、とうてい国民は安心して汽車に乗れない、電車にも乗れない、それが問題なんです。小さな一つの、ささたるあなたの刑事事件―あなたをひつくくるというような問題ではない。そういう点から行くならば、もう少し率直に、なすり合いをしないと言うけれども、現実になすり合いなんです。まるつきり責任を負うたところの答弁ではない、どなたに聞いても。こに対してわれわれはこんな反省のないことではまことに困る。これだけ重大な問題に対しては、国鉄の職員は、ことに直接衝に当つた者としては、もう穴があつたら入りたいくらいの、いつでも腹が切りたいくらいの敬慶な気持というものを国民の前に表わしてもらつて、そうして答弁も率直簡明に責任を負うて、国鉄の再建に向つて努力してもらいたいのが、この委員会の終局の目的なんですよ。そういう点からいつて、今まで述べられたことは、まつたく遺憾にたえない。私はこの点だけを指摘してあなたの答弁に対していくら追究しても答えられないので、きわめて重大な点がありますけれども、これ以上は申し上げないことにします。○横田委員 上り、下り、着こういうことをはっきりしておきたいのですが、上りというのは上り線のレールの最後まで、下り線というのは、下り線のレールの最後までを言うのではないのですか。着というのは、上り線に着、下り線に着というのが正確な用語じやないのでしようか。私はそう考えるのですが、その場合に着ということを上り、下りという以外に使つて仕事をしているということが、こういうような混乱の原因になるのではないのですか、その点はどうです。○高原証人 その辺ははっきりわかりませんが、下りというのも着というのも、下りというのは桜木町へ進入する場合は一番に入つても下り、それから場内信号機から内側へ入つても下り……。○横田委員 桜木町の信号の一切はあなたが責任持ってやっておられるのでしよう。○高原証人 そうでありません。○横田委員 あなたのところの電車はどこに着くかわからぬのですか。下り線に着けろ、上り線につけろ、それが着なのでしよう。われわれはしろうとなのですから、乗る場合に上り線の何番ホームへ行ってくれ、下り線の何番ホームへ行ってくれ、これを見て行くのです。その何番ホームになるというこれは、すなわちあなたのところに連絡して行くのでしよう。だから私が非常にふしぎに思いますのは、中澤なる男に着はよろしいかと言うて聞くこと、これ自体がすでに変だと思うのです。こんなことはあなたが判断すべきであつて、ここにもこういうことが出ていますね、これは週刊朝日ですが、ここには、小西運輸総局長という人が国鉄におりますね。この人の言によりますと、架線が切れたとき、すぐ赤旗でも出せばよかつた。赤旗は自由党の人はきらいなのですが、この場合は必要なのです。どういうわけで赤旗をこの工事の場合に持って行かなかつたのですか、私の知っておる限りにおいては、青い信号が出ている。そこへ電車が入つて来る場合がたくさんあります。それで事故が起った場合に赤旗を出すと、汽車がとまり、電車がとまるのです。そうしたら、あなたと中澤君の関係は何も言葉に基いて話するのではなくて、こういうような事故が起った場合にどうして赤旗を出さないのですか。現に運輸総局長自体が赤旗を持っておれば事故は起らぬと言っておるじやないか。これと、着、上り、下り、この言葉が非常にあいまいなので、国鉄の職員が仕事をされる点において非常に私はふに落ちないところがあるのです。しかもこれを読んでみますと、こういうことを言うております。あなたの労働組合ですね、国鉄の労働組合の齋藤鐵郎君はこう言っております。「この際言っておきたいのは、乗客の皆さんも科学をもつと身につけておく必要があるということだ。」科学を身につけて電車に乗るなんていう、そんなことで、なんでわれわれ電車に乗れますか。こういうようなことを考えますと、この三つのことはみんな一つなのです。だから私があなたに聞きたいのは、上り線に着下り線に着というのが正確な言葉ではないかということと、それから同時に中澤君とあなたとの関係は、中澤君が赤旗を出せばあなたの信号を赤にしたらいいのであつて、中澤君が言葉で言うて来たときに―中澤君というものにあなたが面識があるのかないのかさえ疑わしい。面識がないのにその言葉を聞いてするんだったら、帝銀事件と何らかわりはないことになるんですよ。あなたは何を考えてぽかんとしているのか、証人に来ておるのであなたはぽかんとしているのだと思つていたけれども、おそらく信号しているときにもそうして、そんなような態度で、いつもぽかんとしておるのじやないのですか。その点あなたの答弁をはっきり聞きたいと思います。○塚原委員長代理 答えませんか。質問の要旨がわかりませんか。○高原証人 質問の要旨が、そう長々と言われたんではわからなくなってしまう。○塚原委員長代理 そうしたら横田君簡単に一つ一つ言ってください。○横田委員 それでは一つ一つ言います。上り線は上りのレール、この線が切れるここまでが上り線ですね。下り線は下りのレールが切れるまでの、最後から最後までが下り線ですね。○高原証人 上り線と言つたってもどうも……。○塚原委員長代理 そうであるかないとか答えればいいのです。今の質問に対して……。○高原証人 上り線というのは東京の方に向いて行くのが上り線なのです。それがたまたま場内信号機がありますが、場内信号機の外方……。○横田委員 ちょっと待つてください。そうすると、ここに掲げてある図に線が一本引いてありますね。下の方が上りですか、下りですか。○高原証人 上の方が上り線になっております。○横田委員 そうすると上の一番端は上りですか、下りですか。○高原証人 こちらの方ですか。あの桜木町と書いてある下の方ですか。○横田委員 これが上り線ですね。下り線ですか。○高原証人 今さしているその辺は上り線とは言いません。○横田委員 これは下り線ですか。○高原証人 そうです。○横田委員 ここからこっちは線がまた違うのですか。○高原証人 そうです。○横田委員 これが上り線でこれが下り線ですか。○高原証人 そうです。○横田委員 それじやこっちはどうなるのです。あなたは電車がここから入るときは下りで、ここから出て行くときは上りと言うのでしよう。私の言うのは、ここからここまでが上り線でしようというのです。○高原証人 その辺は上りとは言わないのです。電車が入つて来る場合は……。○横田委員 出る場合はどうなんです。○高原証人 出る場合も、出発信号機の外方に向つて、出発信号機から越えて横浜の方に向いて行かなければ上りとは言わない。○横田委員 それはあなたは電車のことを言っておる。こっちへ行く電車は上りだという。そうではなくて、私はレールのことを言っておる。レールは動かないのですよ。はっきり言いなさい。そんなことだったら、あなたまた電車燃やしてしまうぜ。これが重大問題になって来るんだ。あなたの言うようにかつてに電車をつけるというのだったらどうなるのですか。○高原証人 ……。○横田委員 それからこの惨事の責任はどこにあるかということです。こういうことを言つたら、また国鉄にあると言うのでしようが、あなたはこの事件に対して責任があると思うか、ないと思うか。もしあるとすれば、一体どういうような責任があると思つておられるか、これを聞きたい。○高原証人 それはわかりません。○横田委員 責任ないのですね。あるのですか。電車はかつてに燃えたって、あなたが火をつけたんじやないからわからないのですか、わからなかつたらいいです。 次にやつちやつたということは、国鉄職員の中ではどういうようなときに使つておるのですか。これはしよつちゆうなのですか。そのとき初めて使つたのですか。そういうことは何回も聞きましたか。○高原証人 中澤さんがどういう気持かわからないです。○横田委員 中澤さんのことを言っておるのではないのです。あなたが聞いたのは初めてか、何回もこういうことを聞くかということです。○高原証人 こういうことを、何回も……。○横田委員 そうしますと、国鉄の事故とか惨事とかいうようなもののうちで、今度の事故の程度は、一体どのくらいのものだとあなたは思つておられますか。○高原証人 相当大きかつたと思います。○横田委員 そうでしよう。それに対しては責任はないのですね。○高原証人 そいつはわかりません。○横田委員 いいです。
2022.04.06
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?久々に更新させていただきます。今回も、信号係の証人審問になります。自身への責任を転嫁しようとしているのか、正鵠を射ない発言が続くことに引き続き審問は続くのですが、当時の状況はよくわからないという答弁に終始しており、中々「正鵠を射ない」と言いますか、答弁にはちぐはぐな感を否めません。もちろん、本人にしてみれば責任問題になるであろうことがわかっていますので、それを避けたいという思いがあったことは容易に判断できるところではありますが。以下のように、責任転嫁をしたいととれるような発言に終始しているように見受けられます。○柳澤委員 証人は、先ほど二人いるところで、電車が架線を切つたようなことを言われたという文句は、先ほど来数回ほかの委員の質問に対してはっきりと答えておる。それを聞いておつて、あなたは先輩がいるから答えなかつたという意味合いなら、その先輩が何と答えたかぐらい――これは最も重大な問題でしよう、責任を回避するかどうか大きな問題でしよう。○高原証人 あそこに電話が三本ありまして、その当時しきりに電話が鳴つていまして、私は電話にかかつたので、あとは……。○柳澤委員 かりに電話にかかつて、あなたはその話をそのときに直接聞かなかつたとおつしやろうというのですね。そうしたところで、これほど重大な、自分が当然刑事責任を負うかどうかのせとぎわになっておる大きな問題を、あとにしたところで、寺山が何と答えたかということを聞かなかつたのですか。?○高原証人 工手長が私のところに来て、到着の電車を入れてもいいのか、入れてもいいのだな、着は大丈夫だというので……。○柳澤委員 そんなことは今の話ではない。お聞きすることに直截簡明に答えてもらいたい。あなたは電話にかかつていたから、寺山と中澤の対話が聞けなかつたという意味を言われたのですが、これはしかし重大な問題なんで、あなたは宣誓をしているのですよ。でたらめな返事をされては困るのです。いずれにしても人がたくさんいることなんだから、あとでわかることですから、明確に答えていただきたい。寺山からあとで聞かなかつたかどうか、その話の回答を何としたかということは、あなた自身は回答しない意味合いのことを今言われたが、寺山はしからば何と答えたか知らなかつたのですか。○高原証人 それは知りません。○柳澤委員 全然聞いてもみなかつたか。 ○高原証人 全然聞いてみません。○柳澤委員 気がかりにもならなかつたか。○高原証人 あとで工手長はこんなことを言つたのだということを―こういうことを言つたようにも思いますけれども……。○柳澤委員 こういうことというのはどういうことですか。○高原証人 つまり今言つたような何ですね。○柳澤委員 今言つたというのはどういうことですか。○高原証人 電車が入つたとたんに火がついた―。ここで注目すべきは、当時の対応状況について中澤証人(工手長)が「到着の電車を入れてもいいのか、入れてもいいのだな、着は大丈夫だというので」というように、自分自身の責任、もしくはその後の同僚とのやりとりに関しては明言を避けています。それは、以下の審問のやりとりにも見えてくると言えるのではないでしょうか。○柳澤委員 そんなことは今の話ではない。お聞きすることに直截簡明に答えてもらいたい。あなたは電話にかかつていたから、寺山と中澤の対話が聞けなかつたという意味を言われたのですが、これはしかし重大な問題なんで、あなたは宣誓をしているのですよ。でたらめな返事をされては困るのです。いずれにしても人がたくさんいることなんだから、あとでわかることですから、明確に答えていただきたい。寺山からあとで聞かなかつたかどうか、その話の回答を何としたかということは、あなた自身は回答しない意味合いのことを今言われたが、寺山はしからば何と答えたか知らなかつたのですか。○高原証人 それは知りません。○柳澤委員 全然聞いてもみなかつたか。○高原証人 全然聞いてみません。委員からは再度、工手長の証言と真逆であることを質問されるが個々で質問は、中澤工手長が、信号係が知らなかったことにしてくれと言う発言を一切していないと証言するとともに、電車を進入させたことを責めている工手長の発言は絶対にないと証言しており、ますます委員からの心証は悪くなっているように見えます。ここでは、工手長と信号係の主張が真っ向から異なっていることを示しています。さらに質問は続くのですが、かなり苦しい答弁と言いますか、矛盾に満ちているととれる発言が続いています。○柳澤委員 しかしそのことは、あなたは先ほど来数名の委員の質問に対してはっきりと、自分と寺山のいる前で言われたということを申し述べられておるではないか。今それをくつがえされることを聞いているのではない、私はその答えを聞いているのです。ところが中澤氏の証言では、あべこべに上り線に入れては困ると言っておいたのに、どうして入れたといつて、いわばあなたに抗議を申し込んだということを申しておる。○高原証人 いや、そういうことは絶対ありません。○柳澤委員 ところがそれに対してあなたは、知らなかつたことにしてくれ、頼む頼むと何べんも言つたと言っているのだ、そういう重大なものに対して、あなたはそうでない、先ほど来言われたようなことを申し込まれたということになれば、これに対して何か返事をするということは、当然考えられることでしよう。全然自分も返事をしなかつたし、寺山が何て言つたかも知らなかつたし、あとでも聞いてみなかつたということを、宣誓した証人として言えますか。全然間違いないというのならそれでいいですけれども、何か合づちを打つて返事をしたのではないですか。○高原証人 寺山さんは助役さんの方へ話したと思います。そのことは。○柳澤委員 そのことというのはどういう……。何か返事をしたでしよう。○高原証人 何か聞くかどうかして、工手長がそういうことを言って、寺山さんに何か言って、そのことを助役さんの方へ……。○柳澤委員 そのことはわかつているが、その返事について、全然なかつたかどうか、態度が明確でないから聞いておるのです。全然ないというならないでいいです。○高原証人 私は工手長には何とも言わない。○柳澤委員 何とも言わないということは、あなたはさつきから言っているが、寺山に何も聞いてみなかつたかどうか、そうして寺山が何にも言わなかつたかということを聞いている。そうしておこうとかあるいは何とかかんとか、そんなばかなことはできないとか、何か言つたのではないか。○高原証人 私は寺山さんに何とも言わなかつたと思います。○柳澤委員 あなたが何とも言わないこと自体も無責任だな。こういうインチキな相談を持ちかけられて、おれはそんなことはできない、いやおれはたしかにこうだということを何とも言わなかつたですか。○高原証人 私は何にも言わなかつたと思います。上記のように、なんとも言わなかった・・・と思います。と続く場合は、概ねそうした行為を行っていない、「不作為」であったと判断するのが一般的であろうと考えます。当然のことながら、その後委員から強い質問が発せられます。委員からは、証言者に対して強い不満がさらに質問は続くのですが、何かあったのかと問うと、「やっちゃった」と言ってその後電話がかかってきて・・・と証言していますが。電話がかかった来たことは状況から判断して十分考えられることですが、この質問ではいささか誘導尋問的に、質問をしているように聞こえます。○柳澤委員 そうすると、平素名前も職も知らなかつた――今では知っておるけれども、工手長の名前も、工手長であるかということも知らなかつたということを、先ほど申し述べられたですね。○高原証人 知らなかつたです。○柳澤委員 あなたが名も職も知らないような人が、わざわざ重要な任務についておる、そういうところへ階段を上つてまでやって来たということについては、あなたの方でもやつちやつたという言葉だけでも、相当な事故だということがぴんと頭にひらめきが来なかつたかね。○高原証人 それですから何かあつたのかと言って……。○柳澤委員 そんな、何かあつたのではないかというような程度ではない。これはたいへんだと――少くともポイントーつでもつて、人命をそこなうかもしれないところの、重要な任務にあるということだけは、いつも認識していなければならぬわけですね。そういう立場にあれば、わざわざ来たこともない工手長が飛び込んで来たということに対して、しかもわざわざ階段を上つてやって来た、たとい三、四段にしたところで。相当な事故だということがぴんと来ないというのは、人命をあずかつておる職場に非常に不忠実じやないかね。そういう立場にあれば、すぐにそういうことに感づかなければならぬはずですが、感づかなかつたかね。○高原証人 それですから、私は何かあつたのかと言って尋ねたのです。○柳澤委員 何かというのは、ずいぶん簡単な話ですね。○高原証人 向うで何も言わなかつたけれども、何かあつたかと言つたら、やつちやつたというだけで、あとは電話がかかつて……。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です************************○高原証人 寺山さんが何と言つたかどうか気がつかなかつたのです。○柳澤委員 証人は、先ほど二人いるところで、電車が架線を切つたようなことを言われたという文句は、先ほど来数回ほかの委員の質問に対してはっきりと答えておる。それを聞いておつて、あなたは先輩がいるから答えなかつたという意味合いなら、その先輩が何と答えたかぐらい――これは最も重大な問題でしよう、責任を回避するかどうか大きな問題でしよう。○高原証人 あそこに電話が三本ありまして、その当時しきりに電話が鳴つていまして、私は電話にかかつたので、あとは……。○柳澤委員 かりに電話にかかつて、あなたはその話をそのときに直接聞かなかつたとおつしやろうというのですね。そうしたところで、これほど重大な、自分が当然刑事責任を負うかどうかのせとぎわになっておる大きな問題を、あとにしたところで、寺山が何と答えたかということを聞かなかつたのですか。○高原証人 工手長が私のところに来て、到着の電車を入れてもいいのか、入れてもいいのだな、着は大丈夫だというので……。○柳澤委員 そんなことは今の話ではない。お聞きすることに直截簡明に答えてもらいたい。あなたは電話にかかつていたから、寺山と中澤の対話が聞けなかつたという意味を言われたのですが、これはしかし重大な問題なんで、あなたは宣誓をしているのですよ。でたらめな返事をされては困るのです。いずれにしても人がたくさんいることなんだから、あとでわかることですから、明確に答えていただきたい。寺山からあとで聞かなかつたかどうか、その話の回答を何としたかということは、あなた自身は回答しない意味合いのことを今言われたが、寺山はしからば何と答えたか知らなかつたのですか。○高原証人 それは知りません。○柳澤委員 全然聞いてもみなかつたか。○高原証人 全然聞いてみません。○柳澤委員 気がかりにもならなかつたか。○高原証人 あとで工手長はこんなことを言つたのだということを―こういうことを言つたようにも思いますけれども……。○柳澤委員 こういうことというのはどういうことですか。○高原証人 つまり今言つたような何ですね。○柳澤委員 今言つたというのはどういうことですか。○高原証人 電車が入つたとたんに火がついた―。○柳澤委員 しかしそのことは、あなたは先ほど来数名の委員の質問に対してはっきりと、自分と寺山のいる前で言われたということを申し述べられておるではないか。今それをくつがえされることを聞いているのではない、私はその答えを聞いているのです。ところが中澤氏の証言では、あべこべに上り線に入れては困ると言っておいたのに、どうして入れたといつて、いわばあなたに抗議を申し込んだということを申しておる。○高原証人 いや、そういうことは絶対ありません。○柳澤委員 ところがそれに対してあなたは、知らなかつたことにしてくれ、頼む頼むと何べんも言つたと言っているのだ、そういう重大なものに対して、あなたはそうでない、先ほど来言われたようなことを申し込まれたということになれば、これに対して何か返事をするということは、当然考えられることでしよう。全然自分も返事をしなかつたし、寺山が何て言つたかも知らなかつたし、あとでも聞いてみなかつたということを、宣誓した証人として言えますか。全然間違いないというのならそれでいいですけれども、何か合づちを打つて返事をしたのではないですか。○高原証人 寺山さんは助役さんの方へ話したと思います。そのことは。○柳澤委員 そのことというのはどういう……。何か返事をしたでしよう。○高原証人 何か聞くかどうかして、工手長がそういうことを言って、寺山さんに何か言って、そのことを助役さんの方へ……。○柳澤委員 そのことはわかつているが、その返事について、全然なかつたかどうか、態度が明確でないから聞いておるのです。全然ないというならないでいいです。○高原証人 私は工手長には何とも言わない。○柳澤委員 何とも言わないということは、あなたはさつきから言っているが、寺山に何も聞いてみなかつたかどうか、そうして寺山が何にも言わなかつたかということを聞いている。そうしておこうとかあるいは何とかかんとか、そんなばかなことはできないとか、何か言つたのではないか。○高原証人 私は手山さんに何とも言わなかつたと思います。○柳澤委員 あなたが何とも言わないこと自体も無責任だな。こういうインチキな相談を持ちかけられて、おれはそんなことはできない、いやおれはたしかにこうだということを何とも言わなかつたですか。○高原証人 私は何にも言わなかつたと思います。○柳澤委員 思いますじやない、あなたのはっきり知っている事実を聞きたいのだけれども、どうしてもその点が明確にされないならば、されないでもしかたがない、もう一点お尋ねしますが、ほかの方も聞かれたことでもありますが、工手長がわざわざ言いに来たということは、確かなんですね。初めにもどりますが、あそこは高くなっておるでしよう、段が。はしごか何かで上つて行くのですか。平らなんですか。○高原証人 はしごで上るほど高くありません。三、四段の階段になっております。○柳澤委員 わざわざ上つて来たことは間違いないんだね。あなたが見たところ。○高原証人 そうでしよう。○柳澤委員 そうすると、平素名前も職も知らなかつた――今では知っておるけれども、工手長の名前も、工手長であるかということも知らなかつたということを、先ほど申し述べられたですね。○高原証人 知らなかつたです。○柳澤委員 あなたが名も職も知らないような人が、わざわざ重要な任務についておる、そういうところへ階段を上つてまでやって来たということについては、あなたの方でもやつちやつたという言葉だけでも、相当な事故だということがぴんと頭にひらめきが来なかつたかね。○高原証人 それですから何かあつたのかと言って……。○柳澤委員 そんな、何かあつたのではないかというような程度ではない。これはたいへんだと――少くともポイントーつでもつて、人命をそこなうかもしれないところの、重要な任務にあるということだけは、いつも認識していなければならぬわけですね。そういう立場にあれば、わざわざ来たこともない工手長が飛び込んで来たということに対して、しかもわざわざ階段を上つてやって来た、たとい三、四段にしたところで。相当な事故だということがぴんと来ないというのは、人命をあずかつておる職場に非常に不忠実じやないかね。そういう立場にあれば、すぐにそういうことに感づかなければならぬはずですが、感づかなかつたかね。○高原証人 それですから、私は何かあつたのかと言って尋ねたのです。○柳澤委員 何かというのは、ずいぶん簡単な話ですね。○高原証人 向うで何も言わなかつたけれども、何かあつたかと言つたら、やつちやつたというだけで、あとは電話がかかつて……。
2022.02.23
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一ヶ月半ぶりに更新させていただきます。もっとこまめに更新しないといけないと思いつつ、ついつい後回しになってしまっております。さて、今回も信号掛の審問が続くのですが、かなり委員会から厳しく責められているように見受けられます。この当時の当事者の心理を理解するのは難しいものもありますが、かなり誘導尋問的に言わされているようにも見えると言えそうです。○山口(武)委員 今のお答えで、ほぼ問題はわかりましたが、ちょっと私、念のために聞いておきたいのは、あなたは、やつちやつたということがどういうことか知らなかつた、ましてそれが架線が切断されたということだとは全然わからなかつた、こう言うんですね。○高原証人 そうです。○山口(武)委員 それから中澤君がどういう意図をもつて言つたかどうかということは別問題として、上りの電車は動かすことは待つてくれ、その言葉で着はいいということになりますと、これは下り上りという意味で着の電車はいい、そうするとそういうことを鉄道の人が普通に判断する場合には、先ほど石田君の話がありましたが、これがまつすぐ入ろうと、横から次のところに入ろうと、いずれにしても着は着ですね。○高原証人 着は着になりますね。○山口(武)委員 そうむずかしく考えなくても、やはり着は着なんでしよう。それ以上に考えようはないでしよう。○高原証人 一番に着しても着、二番に着しても着です。そのときのダイヤも、二番線に入るようなダイヤになっておったのです。○山口(武)委員 それ以上に中澤君の言葉は解釈のしようがないのだ。こう言われているのですね。たとえばまつすぐ入るならば着になる、上に入るならば着でないというようにややこしいことは、あなたとしては受取れない。○高原証人 私の方は、着といえば、そのときは二番に入るのが着だと思つておりました。○山口(武)委員 そのときはそうでしようが、一般の普通の用語でいいますと、それが一番に入つても着、二番に入つても着、どつちにしても着ですね。○高原証人 一番に入つても、二番に入つても、着は着です。それで同僚がいて念を押した。下りの電車は入れてもいいだろうなあというふうに聞えたのだけれども、やはり横浜の方から桜木町に入るのでしたら上り線といつて、今委員長さんがおつしやつたけれども、その事故の電車が入るように入りますね。そつちに入つても下りのわけです。○山口(武)委員 こう考えていいでしよう。上りということに対して着ということを言われた。だから出発ということを到着するということにあなたは解釈した。○高原証人 ……。 〔「着ということをどういうふうに考えているのかということだ」と呼ぶ者あり〕○高原証人 着ということは到着のことです。(大声)以上のように、いささか誘導尋問的にも見えるのですが、着は着であるとして、その辺を明確化しているといいますか、念押しをしていることが窺えます。中澤工手長は、偽装工作をしようとしたのか?以下のように証言していますが、電車が入ってきてすぐに発火したことにしようじゃないかということで話が有ったと証言しています。実はこの辺は、中澤工手長は、そのようなことを言っていない訳ですが、その辺は受取方の齟齬が有ったかもしれませんし、単純に脳内で補完された記憶なのかもしれません。○山口(武)委員 上りというものは出発であつて、着は到着だ、その点が明らかになれば、それでよろしい。 それから先ほどあなたは田淵さんの質問の際に、私はよく聞きとれなかつたのですが、電車が大体燃えてしまつてから中澤君が信号所に来て、君らにも責任がかかるかもしれないが云々と言われましたが、君らにも責任がかかるかもしれないが、それから何と言われたのですか。○高原証人 中澤さんがいうには、責任がかかるかもしれないから、電車が入つたと同時に架線を切って火を吐いた――火を吐いたのというのは火がついたことでしよう。――というようにしようじやないか、そうすれば、おれの方も旗も何も出すひまがなかつたというふうに言えるというようなことを言っておりました。○山口(武)委員 その電車が入つて架線が切れたということは、電車が切つたというように言おうと言つたのですか。○高原証人 そうでしよう。それは中澤さんが言っているのですから、わからない。と証言しているわけですが、この後の信号掛の行動には多少不可解なところと言いますか、人間がパニックになると冷静な判断が出来なくなるのか、バケツの水を二杯だけ持って、燃えさかる電車に向かったと証言しています。火事だから、持っていった。しかし、その程度では到底役に立たなかったので・・・と証言されているのですが、その後も証言もよく覚えていないと言うことを繰り返しており、本当に忘れたのか。罪が重くなるのを恐れて、忘れたというのか、私自身は心理学は全く門外漢あので判りませんが、この辺も分析していくというのも重要ではないかと思ってしまいます。○高原証人 外に出たというのは、信号所の前に水が二はいくんでありますから、それを持って火事の現場にかけて行つたわけです。○山口(武)委員 それからすぐ帰つたのですね。○高原証人 それからすぐ帰りました。○山口(武)委員 あなたのそのときの仕事に対する観念からすれば、あなたはその信号所にいなくてはならないということになっておりましたか。信号所を留守にするということが許されるような状況だったのですか。○高原証人 信号所を留守にすることが許されないことは、いつでも思つております。○山口(武)委員 火事が起ったから現場へ行かれるのもやむを得なかつたでしよう。それからすぐ信号所に帰つた。その間に、駅の方のどこかの事務所か何かに行つたというようなことはありませんか。○高原証人 行きません。○内藤(隆)委員 火事場というか、大惨事を起しているときに、あなたは水を持って行つたでしよう。その水をどうしたんです。○高原証人 負傷者や何か見えたから水を持って行つたのですけれども、小さなバケツで二はいぐらいでどうにもならないで……。○内藤(隆)委員 その水は何の目的で持って行つたのですか。○高原証人 火事だから持って行つたのです。以下が、その内容になりますが。水を持っていった後、今度は棒きれで火を叩いて消すようにしたという証言もしています。更に、その現場にいた時間も忘れましたと証言していることで、むしろ委員の心証は更に悪くなったようにも感じます。○内藤(隆)委員 いやしくもあなたは三十年も電車に関係をしておられるのだが、バケツ二はいの水ぐらいで、この電車が燃えている大惨事がとめられると思つたのですか。○高原証人 火のついた人が窓から落ちるようなふうに見えたから、持って行つたわけです。○内藤(隆)委員 負傷者が燃えているのを消すような意味ですな。○高原証人 着物に火がついている人が落ちるように見えたから、水を持って行つたわけです。○内藤(隆)委員 それからもう一つ聞きますが、その時分はもう阿鼻叫喚の巷でしよう。○高原証人 そうです。○内藤(隆)委員 負傷して火までもかぶつた者が出て来るのでしよう。そのときあなたが信号所に帰つたのは何の意味ですか。おそらく普通の人間なら、職務ということも大事ですけれども、しかしながら現実にそこに累々として死骸ができ……。○高原証人 だから私はそこにバケツを置いて負傷者の火を払つてやつたりなんかしてやつた。○内藤(隆)委員 どれほど働いた。○高原証人 それはわかりません。○内藤(隆)委員 わからぬことはないでしよう、働いた時間ぐらい、大体の想像はつくでしよう。○高原証人 どのくらいか時間的にわかりませんが、棒切れや何かで払つたように思つたのです。○内藤(隆)委員 棒切れで払つた。○高原証人 水も何もないからです。道具は何もないんですから……。○内藤(隆)委員 それではその信号所へ帰られたのは、どういう気持で帰られました。○高原証人 もう信号所へ帰つた時分には、たいてい負傷者も何もいない、そこのところは記憶はなくなっていました。○内藤(隆)委員 しかしその惨状を見て、一体信号所へのこのこと帰られるものでしようか。私らちょっと小さな火事を見ても、火が消えてポンプが最後のサイレンを鳴らすまでぐらいは、現場へかけつけた以上はわれわれはおる。それをあなたは行ってまだ死骸も出ない、ぼうぼうと燃えておるのでしよう、そうして窓口から二、三飛び出した者を、棒切れで火を払つて、水をかけて、それから信号所へ帰るというそれがどうもわからない。どうでしよう。○高原証人 そのときの気持は忘れました。高原証人の証言は、委員にかなり心証を悪くする結果に更に審問は続くのですが、自身の当時の気持ち等を聞かれると忘れました、もしくは自身は責任ある立場にないのでと言う逃げの発言をしているのが気に掛かります。すなわち、○高原証人 責任のなすり合いなんというのは少しもいたしておりません。責任を人にかぶせようとか、うそを言おうとか、そういう気持はありません。と発言しているのですが、中澤工手長が、入線と同時に火を噴いたことにしようと発言したと証言したことに対して、本人はなにも発言しなかった。先輩格である同僚に判断を振ったと証言しています。しかし、先輩格である同僚がどのような発言をしたか気付かなかったと発言しているわけで、私自身は犯罪、、もしくはこうした事故にける行動心理学等は全くの門外漢ですが、かなり自分に責任が掛からないようにしているとも言えそうです。○内藤(隆)委員 それからもう一つ、あなたの今までの陳述を聞きますと、いかにも責任のなすり合いをしておるような印象を与えてしかたがない。これはどうです。現在の心境ですよ、これほど百数十名の死傷者を出したという、国鉄未曽有の大惨事なんだ。この際単に自分のことのみを考えないで、もう少し何か大所高所から、自分のあのときの行動はこう間違つておったとか、またこうすべきだったとかいうことを、今心静かに考えておりませんか。○高原証人 責任のなすり合いなんというのは少しもいたしておりません。責任を人にかぶせようとか、うそを言おうとか、そういう気持はありません。○内藤(隆)委員 そういう気持がないとすれば、さいぜんの中澤証人とあなたとの証言の食い違いというものは、たいへんなものなんだ。私は別に今ここで犯罪をどうこうという意味じやないですけれども、しかしながら非常な食い違いをここに発見したので、委員長として何か適当な御処置をお考え願いた。○柳澤委員 簡単にお尋ねします。先ほど申された中で、この事故が起きてから、中澤証人はあなたに、何かあつたときに君らにも責任がかかるかもしれないから、電車が入つたと同時に架線を切って火を吐いたことにしよう、そういうような申入れを受けたと言いましたね。○高原証人 そうです。○柳澤委員 それに対してあなたは一体何とお答えになったか。○高原証人 私は何とも答えません。○柳澤委員 何とも答えない。不審に思いませんか。そういうでたらめなことの申入れがあつて――。何とも答えないと申しましても、何か態度には現わしませんでしたか。否定をしたか、肯定をしたか。○高原証人 私はそれに対しては何とも言いません。それはあそこの信号所の私より古参の寺山さんがすぐそばにいたしするから、それに対して別にとやかく言うことも、私は桜木町駅では寺山さんよりもずつと新しいのだし、ですからもう……。○柳澤委員 そんなことはどうでもいい。いずれにしても何とも答えなかつたというのですね。寺山という人がそばにいたし、それが先輩であるしするから……。そうすると寺山さんは何と答えられたですか。○高原証人 寺山さんが何と言つたかどうか気がつかなかつたのです。更に審問は続くのですが、証言が曖昧なところもあり、更に委員の心証は悪くなったように見えます。その辺は次回にでもアップさせていただこうと思います。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です***************************○山口(武)委員 今のお答えで、ほぼ問題はわかりましたが、ちょっと私念のために聞いておきたいのは、あなたは、やつちやつたということがどういうことか知らなかつた、ましてそれが架線が切断されたということだとは全然わからなかつた、こう言うんですね。○高原証人 そうです。○山口(武)委員 それから中澤君がどういう意図をもつて言つたかどうかということは別問題として、上りの電車は動かすことは待つてくれ、その言葉で着はいいということになりますと、これは下り上りという意味で着の電車はいい、そうするとそういうことを鉄道の人が普通に判断する場合には、先ほど石田君の話がありましたが、これがまつすぐ入ろうと、横から次のところに入ろうと、いずれにしても着は着ですね。○高原証人 着は着になりますね。○山口(武)委員 そうむずかしく考えなくても、やはり着は着なんでしよう。それ以上に考えようはないでしよう。○高原証人 一番に着しても着、二番に着しても着です。そのときのダイヤも、二番線に入るようなダイヤになっておったのです。○山口(武)委員 それ以上に中澤君の言葉は解釈のしようがないのだ。こう言われているのですね。たとえばまつすぐ入るならば着になる、上に入るならば着でないというようにややこしいことは、あなたとしては受取れない。○高原証人 私の方は、着といえば、そのときは二番に入るのが着だと思つておりました。○山口(武)委員 そのときはそうでしようが、一般の普通の用語でいいますと、それが一番に入つても着、二番に入つても着、どつちにしても着ですね。○高原証人 一番に入つても、二番に入つても、着は着です。それで同僚がいて念を押した。下りの電車は入れてもいいだろうなあというふうに聞えたのだけれども、やはり横浜の方から桜木町に入るのでしたら上り線といつて、今委員長さんがおつしやつたけれども、その事故の電車が入るように入りますね。そつちに入つても下りのわけです。○山口(武)委員 こう考えていいでしよう。上りということに対して着ということを言われた。だから出発ということを到着するということにあなたは解釈した。○高原証人 ……。 〔「着ということをどういうふうに考えているのかということだ」と呼ぶ者あり〕○高原証人 着ということは到着のことです。(大声)○山口(武)委員 上りというものは出発であつて、着は到着だ、その点が明らかになれば、それでよろしい。 それから先ほどあなたは田淵さんの質問の際に、私はよく聞きとれなかつたのですが、電車が大体燃えてしまつてから中澤君が信号所に来て、君らにも責任がかかるかもしれないが云々と言われましたが、君らにも責任がかかるかもしれないが、それから何と言われたのですか。○高原証人 中澤さんがいうには、責任がかかるかもしれないから、電車が入つたと同時に架線を切って火を吐いた――火を吐いたのというのは火がついたことでしよう。――というようにしようじやないか、そうすれば、おれの方も旗も何も出すひまがなかつたというふうに言えるというようなことを言っておりました。○山口(武)委員 その電車が入つて架線が切れたということは、電車が切つたというように言おうと言つたのですか。○高原証人 そうでしよう。それは中澤さんが言っているのですから、わからない。○山口(武)委員 そのときの中澤君の顔色、語気というものはどうなんですか。○高原証人 中澤さんはやはり真剣なんでしようね。(笑声)○山口(武)委員 そのとき、信号所にほかにはどなたもおりませんでしたか。○高原証人 私と寺山さんがいたことは門違いありません。○山口(武)委員 その寺山さんという人は、中澤君の言われた今の言葉を聞いているでしようか。○高原証人 聞いていると思います。○山口(武)委員 寺山何というのですか。○高原証人 寺山良平と申します。○山口(武)委員 あなたは、この電車の火災が起ったときに、信号所から外へ出ましたか。○高原証人 火災が起つているときもすか。―起つているとき出ました。○山口(武)委員 それからすぐ信号所に帰られたのですか。○高原証人 外に出たというのは、信号所の前に水が二はいくんでありますから、それを持って火事の現場にかけて行つたわけです。○山口(武)委員 それからすぐ帰つたのですね。○高原証人 それからすぐ帰りました。○山口(武)委員 あなたのそのときの仕事に対する観念からすれば、あなたはその信号所にいなくてはならないということになっておりましたか。信号所を留守にするということが許されるような状況だったのですか。○高原証人 信号所を留守にすることが許されないことは、いつでも思つております。○山口(武)委員 火事が起ったから現場へ行かれるのもやむを得なかつたでしよう。それからすぐ信号所に帰つた。その間に、駅の方のどこかの事務所か何かに行つたというようなことはありませんか。○高原証人 行きません。○内藤(隆)委員 火事場というか、大惨事を起しているときに、あなたは水を持って行つたでしよう。その水をどうしたんです。○高原証人 負傷者や何か見えたから水を持って行つたのですけれども、小さなバケツで二はいぐらいでどうにもならないで……。○内藤(隆)委員 その水は何の目的で持って行つたのですか。○高原証人 火事だから持って行つたのです。
2022.01.30
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誰が嘘をついたのかここで、中澤工手長がこの事故はなかったことにしてくれと言ったとはっきり言ったと証言したとは言っていないと証言していますが ○田渕委員 そこで高原さんに伺うのですが、どうも着をとめに行っている中澤さんが着は入れても大丈夫だと言うたというのは、あなたの錯覚か、言うたか言わないか、私どもはそれを聞くのじやないのですが、ただ中澤さんがさつきここで、とにかく隠してくれ、知らなかつたと言ってくれ、頼むと言つたということをはっきり言うたのですが、これはうそですか。 ○高原証人 全然うそです。絶対うそです。それは断言します。上記の発言は、以下の議事録ででていますが、下記の発言でした。少し長いですが、重要な証言ですので全文引用の上再掲させていただきますが、本人は絶対に嘘を言っていないと発言しており、双方の証言が矛盾していることになります。 それから私はすぐにまた飛び出そうと思つたときに、信号所の二人が、今の事故はぼくの方は知らなかつたことにしてくれ、頼む、頼む、こう言われるので、私はあれほど上り線に入れては困ると言っておいたのにどういうわけか、私がこう言いましたら、信号所では、悪かつたから、まあ頼む、頼むと盛んに言うのであります。 ○内藤(隆)委員長代理 ちょっと待つてください。その信号所へあなたがかけつけて行って、そして話したその相手方は何という人ですか。 ○中澤証人 高原信号手です。そのときには名前はわかりませんでしたが、あとで高原信号手ということがわかりました。 ○内藤(隆)委員長代理 それから、これは大事件だから、知らなかつたことにしてくれと言つたのはだれですか。 ○中澤証人 それが高原です。 ○内藤(隆)委員長代理 同人ですね。 ○中澤証人 そうです。 ○内藤(隆)委員長代理 二人おったというのは……。 ○中澤証人 二人おりましたのは、高山信号手でありますが、それが頼む、頼むと一緒に言いました。 ○内藤(隆)委員長代理 知らなかつたことにしてくれとは高山は言わなかつたのですか。 ○中澤証人 そうです。そして二人で、ぜひ頼む、頼む、関係ないことにして、頼む、頼むと非常に言われましたので、私もそこでちょっと興奮しまして、あれほど言っておいたに、知らぬことはないだろう、どういうわけかと私が言いましても、ぜひ頼む、頼むと、こう言われますので、私はそんなことは知らぬ、私はこういうふうに言つたのであります。そうしましても、ぜひ頼む、頼むと言われるので、私はそこから出ようと思つたときに、どういう方か、制服を着た人でなく、私服の人だと思いますが、飛び込んで来たので、その話は一旦中止になりました。それから私は信号所からすぐ出まして、焼けている電車の方へと思つて行きましたら、もうそのときには電車は手のつけようもなく、私はその辺でまごまごしておりました。そうしますと高原信号手から、さつきから探していた、ホームの助役さんが用事があるからすぐ行ってくれ、こういうふうに話がありましたので、私もそこにいてももうどうすることもできないししますから、ホームの助役さんの所へ行きますと、どういうわけか、こういうふうにホームの助役さんに聞かれました。私はあれほど上り線に入れては困ると言っておいたのにどういうわけかと言つたのでございます。そうしますと助役さんからは、さつき信号所から電話があつて、すぐ横浜に電話をかけたけれども、間に合わなかつた、こういう返事がありました。それからお互いに困つたことをした、たいへんなことをしたということで、何も話もなく、助役さんとは別れました。 ○内藤(隆)委員長代理 そうするとその高原信号手からさような驚くべきことを頼まれたということを発表されたのは今初めてですか。 ○中澤証人 いや、検察庁でも調べられて、はっきり言っております。桜木町事故に関する国会審問の議事録 第18回 関連する証言この件に関しては、どちらが嘘をついているのかと言うことを決めることはありませんが、中澤工手長の証言の方がより信憑性が高いようにも見受けられます。更に審問は続くのですが、信号掛の高原証人は、単純に中澤工手長が電話を掛けに来たことに対して特段何も感じなかった旨発言しており、危機管理に関する意識が少ないように感じてしまいます。それが、「……。大したことじやないんだと思つた。」と言う言葉に集約されているように思えます。 ○高原証人 私は、それですから、上りの電車を出すのを待つてくれと言うから、これは何かあつたなと思つた。上りの電車を出すのを待てと言うから、午前中絶縁物の工事をやっていたからそれについて……。大したことじやないんだと思つた。 ○田渕委員 それは大したことじやないのだと思つたから、信号の方をただちに切りかえるというような、そのときの頓知といいましようか、機転をきかすといいましようか、ぱつと上りをとめておかないと、下り線のホームに入つて来るのをとめなければならぬというような感じは起きなかつたのですね。 ○高原証人 それに私が数回聞いても言わなかつたし、私の同僚も下りの電車は入れてもいいんだろうな、上りの電車は出してはだめなんだなというふうに私には聞えたんです。そうしたらそれは大丈夫だというふうに言つたので……。証人は、自分で都合の悪い部分に関しては脳内で補完したのか十分な確認をしなかったと証言更に審問は続くのですが、特に話を聞き返すわけでもなく、漫然とたいした事故ではないと勝手に判断して、そこで終わらせようとしています。思い込みという点は非常に危険なことなのですが、十分な確認を行わないまま、勝手に脳内で都合のよう良いうに判断していることが窺えます。 ○田渕委員 あなたは「やつちやつたい」というのを、線をやっている工手でも落ちて殺したというぐあいにとつたのですか。それとも大きな断線をしというようにとつたのですか。その点はどうですか。その感じですね。 ○高原証人 落ちたような、何かけが人でも出たようなふうに思つたのです。 ○田渕委員 「やつちやつたい」というのは。 ○高原証人 そうです。何かけが人でも出たようなふうにも見えたんです。 ○田渕委員 着は入れていいかい、着は入れて大丈夫だというふうなことになれば、そこにそういうような感じも出ないわけですね。何かそこに断線というような、ぱつとそのときにお気づきにならなかつたでしようか。 ○高原証人 私は、それですから、上りの電車を出すのを待つてくれと言うから、これは何かあつたなと思つた。上りの電車を出すのを待てと言うから、午前中絶縁物の工事をやっていたからそれについて……。大したことじやないんだと思つた。 ○田渕委員 それは大したことじやないのだと思つたから、信号の方をただちに切りかえるというような、そのときの頓知といいましようか、機転をきかすといいましようか、ぱつと上りをとめておかないと、下り線のホームに入つて来るのをとめなければならぬというような感じは起きなかつたのですね。 ○高原証人 それに私が数回聞いても言わなかつたし、私の同僚も下りの電車は入れてもいいんだろうな、上りの電車は出してはだめなんだなというふうに私には聞えたんです。そうしたらそれは大丈夫だというふうに言つたので……。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です***************************○田渕委員 高原さんに伺いますが、二つともホームに入つて来るのが下りというのですね。横浜の方に行くのが上りというのですね。桜木町の方が終点ですから、二つとも入つて来るのが下り、横浜の方へ向いて出るのを上りと、こういうのでしよう。○高原証人 そうです。桜木町へ入るときには信号機から内側へ入るのは下りになっております。それから出る場合は―出る場合というのは発車する場合ですね、その発車する場合は出発信号機から先へ出て行くのを上りと申します。○田渕委員 そこでさつき私はちょっと伺つたのですが、中澤さんがあなたの信号所へ入つて来て言つたやつちやつたという言葉はどのくらいの大きな声でしたか。私はさつきどなったのかどうかと聞いたのですが、これは相当きつく言つたという……。○高原証人 やつちやつたというのはそんなに大きくは聞えません。普通とかわりはないと思いました。それはこんなふうです。これが信号所の戸とします、がらつとあけて入つて来て、こんちはとも何とも言うわけじやありません、「やつちやつたい」と、こんなかつこうです。それでちょっとまたいで、電話器でもつかむようなかつこうでいますから、何かあつたのか、と私は聞いたのです。そしたら、上りを出すのをちょっと待つてくれ、と言って、すぐ電話をかけようとしたから、たたみ込むように、どうしたのだ、到着の電車は入れてもいいのか、いいんだろうな、と言つたら、着は大丈夫だよ、それですぐ……。○田渕委員 そこで高原さんに伺うのですが、どうも着をとめに行っている中澤さんが着は入れても大丈夫だと言うたというのは、あなたの錯覚か、言うたか言わないか、私どもはそれを聞くのじやないのですが、ただ中澤さんがさつきここで、とにかく隠してくれ、知らなかつたと言ってくれ、頼むと言つたということをはっきり言うたのですが、これはうそですか。○高原証人 全然うそです。絶対うそです。それは断言します。○田渕委員 そこで私伺いますが、これは私どもはどちらがおつしやつたことがほんとうか証拠をとるわけじやないのですが、あなたが大正十年に田端の駅に入られてから約三十年ですね。○高原証人 そうです。○田渕委員 その三十年の間に九箇所ほど転々とされておるというのは、何かあなたに過失でもあつたのか、事故でもあつてかわられたのですか。それとも長い間ですからいろいろとかわつて行かれたのですか。この点だけ伺いたいのですが。○高原証人 そうじやないと思います。それは上司が転勤させるのですからはっきりわかりませんが、私はそうじやないと思います。○田渕委員 もう一つ伺います。高原さんに今伺うと、電話をかけておった、その電話を、私が先ほど中澤さんに言うたのですが、あなたに信号をとめてくれと言うと同時に、さらに私は中澤さんに早く絶縁してくれと言うてほしかつたと思います。そうすればよかつたと思うのですが、そういうような意味で電話をしておったのじやないのでしようか。○高原証人 お話の通り、私のところに来たんですが……。○田渕委員 電車をとめに行つたのじやないでしようか、それともあなたに信号をとめてくれと言いに行つたのですか、あなたはどつちにとられますか。○高原証人 私に信号をとめてくれとは言わないのですから、ただいま申し上げたことよりほかに言わなかつたのであります。中澤さんが私のところへ来たのは、自分の詰所にでも電話でもかけるのじやないか、かけるのだろうと私はそう思つただけです。○田渕委員 あなたは「やつちやつたい」というのを、線をやっている工手でも落ちて殺したというぐあいにとつたのですか。それとも大きな断線をしというようにとつたのですか。その点はどうですか。その感じですね。○高原証人 落ちたような、何かけが人でも出たようなふうに思つたのです。○田渕委員 「やつちやつたい」というのは。○高原証人 そうです。何かけが人でも出たようなふうにも見えたんです。○田渕委員 着は入れていいかい、着は入れて大丈夫だというふうなことになれば、そこにそういうような感じも出ないわけですね。何かそこに断線というような、ぱつとそのときにお気づきにならなかつたでしようか。○高原証人 私は、それですから、上りの電車を出すのを待つてくれと言うから、これは何かあつたなと思つた。上りの電車を出すのを待てと言うから、午前中絶縁物の工事をやっていたからそれについて……。大したことじやないんだと思つた。○田渕委員 高原さんに伺いますが、二つともホームに入つて来るのが下りというのですね。横浜の方に行くのが上りというのですね。桜木町の方が終点ですから、二つとも入つて来るのが下り、横浜の方へ向いて出るのを上りと、こういうのでしよう。○高原証人 そうです。桜木町へ入るときには信号機から内側へ入るのは下りになっております。それから出る場合は―出る場合というのは発車する場合ですね、その発車する場合は出発信号機から先へ出て行くのを上りと申します。○田渕委員 そこでさつき私はちょっと伺つたのですが、中澤さんがあなたの信号所へ入つて来て言つたやつちやつたという言葉はどのくらいの大きな声でしたか。私はさつきどなったのかどうかと聞いたのですが、これは相当きつく言つたという……。○高原証人 やつちやつたというのはそんなに大きくは聞えません。普通とかわりはないと思いました。それはこんなふうです。これが信号所の戸とします、がらつとあけて入つて来て、こんちはとも何とも言うわけじやありません、「やつちやつたい」と、こんなかつこうです。それでちょっとまたいで、電話器でもつかむようなかつこうでいますから、何かあつたのか、と私は聞いたのです。そしたら、上りを出すのをちょっと待つてくれ、と言って、すぐ電話をかけようとしたから、たたみ込むように、どうしたのだ、到着の電車は入れてもいいのか、いいんだろうな、と言つたら、着は大丈夫だよ、それですぐ……。○田渕委員 そこで高原さんに伺うのですが、どうも着をとめに行っている中澤さんが着は入れても大丈夫だと言うたというのは、あなたの錯覚か、言うたか言わないか、私どもはそれを聞くのじやないのですが、ただ中澤さんがさつきここで、とにかく隠してくれ、知らなかつたと言ってくれ、頼むと言つたということをはっきり言うたのですが、これはうそですか。○高原証人 全然うそです。絶対うそです。それは断言します。○田渕委員 そこで私伺いますが、これは私どもはどちらがおつしやつたことがほんとうか証拠をとるわけじやないのですが、あなたが大正十年に田端の駅に入られてから約三十年ですね。○高原証人 そうです。○田渕委員 その三十年の間に九箇所ほど転々とされておるというのは、何かあなたに過失でもあつたのか、事故でもあつてかわられたのですか。それとも長い間ですからいろいろとかわつて行かれたのですか。この点だけ伺いたいのですが。○高原証人 そうじやないと思います。それは上司が転勤させるのですからはっきりわかりませんが、私はそうじやないと思います。○田渕委員 もう一つ伺います。高原さんに今伺うと、電話をかけておった、その電話を、私が先ほど中澤さんに言うたのですが、あなたに信号をとめてくれと言うと同時に、さらに私は中澤さんに早く絶縁してくれと言うてほしかつたと思います。そうすればよかつたと思うのですが、そういうような意味で電話をしておったのじやないのでしようか。○高原証人 お話の通り、私のところに来たんですが……。○田渕委員 電車をとめに行つたのじやないでしようか、それともあなたに信号をとめてくれと言いに行つたのですか、あなたはどつちにとられますか。○高原証人 私に信号をとめてくれとは言わないのですから、ただいま申し上げたことよりほかに言わなかつたのであります。中澤さんが私のところへ来たのは、自分の詰所にでも電話でもかけるのじやないか、かけるのだろうと私はそう思つただけです。○田渕委員 あなたは「やつちやつたい」というのを、線をやっている工手でも落ちて殺したというぐあいにとつたのですか。それとも大きな断線をしというようにとつたのですか。その点はどうですか。その感じですね。○高原証人 落ちたような、何かけが人でも出たようなふうに思つたのです。○田渕委員 「やつちやつたい」というのは。○高原証人 そうです。何かけが人でも出たようなふうにも見えたんです。○田渕委員 着は入れていいかい、着は入れて大丈夫だというふうなことになれば、そこにそういうような感じも出ないわけですね。何かそこに断線というような、ぱつとそのときにお気づきにならなかつたでしようか。○高原証人 私は、それですから、上りの電車を出すのを待つてくれと言うから、これは何かあつたなと思つた。上りの電車を出すのを待てと言うから、午前中絶縁物の工事をやっていたからそれについて……。大したことじやないんだと思つた。○田渕委員 それは大したことじやないのだと思つたから、信号の方をただちに切りかえるというような、そのときの頓知といいましようか、機転をきかすといいましようか、ぱつと上りをとめておかないと、下り線のホームに入つて来るのをとめなければならぬというような感じは起きなかつたのですね。○高原証人 それに私が数回聞いても言わなかつたし、私の同僚も下りの電車は入れてもいいんだろうな、上りの電車は出してはだめなんだなというふうに私には聞えたんです。そうしたらそれは大丈夫だというふうに言つたので……。○塚原委員長代理 高原さんにお聞きしますが、やつちやつたということに対して、さつき私の質問に対しては、私は何も質問しなかつたと言いましたね。今は数回にわたって聞いたというふうに言いますが、それはどつちなんですか。○高原証人 さつき聞いたのはどうお聞きになったか知りませんが……。○塚原委員長代理 さつき聞いたのは、やつちやつたということに対してどういうことを言つたかということをあなたに聞いたんです。何もしなかつたと言つたでしよう。○高原証人 それはこういう意味なんです。私は何かあつたのかい、何かあつたのかい、と言つたわけです。そうしたら、上りの電車を出すのをちょっと待つてくれと言うから、到着の電車を入れてもいいのか、いいんだな、と言って、そのほか、どうしたんだい、と聞いたわけです。これが二、三回聞いたわけです。○塚原委員長代理 それに対する返事はなかつたというんですか。○高原証人 なかつたです。そのことです。○田渕委員 着は入れても大丈夫だということは、あなたが問うたから中澤さんが言つたんですね。何かあつたのかい、いやこうだ、ああだといろいろ話があつて着は入れても大丈夫だ、こう中澤さんが言うたと、あなたはさつきおつしやつたが、着は入れても大丈夫だということは、電車が入つて来るということですね。○高原証人 そうです。○田渕委員 中澤さんがそれをとめに来たんですから、着は入れていい、大丈夫だというのは……少くともわれわれの常識では、あなたをたずねに行つたことは、とめに行つたことと考えられますがね。○高原証人 いや私のところに来たのは、とめに来たんじやないかと思います。○田渕委員 霊話をかけに行つたのか、それとも……。○高原証人 電話をかけに来たように私には思えたんです。
2021.12.19
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一ヶ月以上空けてしまいましたが、桜木町事故の審問議事録からご覧いただこうと思います。ここで再び、信号手の証人に質問をしているのですが、信号扱い手の方では、上りの電車、【横浜方面行き】を出すのは待ってくれと工手長が言ったときには、桜木町の駅ホームには、電車がいずれのホームにもいなかった。どうも、工手長と信号掛との間で相互の理解の齟齬があったように思えます。信号手的には、到着する電車はいずれも下り電車であり、①番線に入るのは②番線に入るのかと言う点は、問題は無く。上り線からの発車というのは、①番線でも②番線でも横浜に向けて出発させることを止めるという理解であった。反面、工手長の判断では、到着する電車はそのまま転線しないで到着させて欲しいと解釈していたようなのですが、こうした部分での相互の見解の相違というかコミュニケーションが取れていないように感じられます。 ○石田(一)委員 私は帰りがけたのですが、気になったからもう一ぺん聞きたいのですが、あなたは中澤工手長がやつちやつたといつて信号所へ来たときに、どうしたんだねと聞いたら、中澤工手長は上りの電車を出すのをちょっと待つてくれ、こう言つたというのですね。 ○高原証人 そうです。 ○石田(一)委員 そうしますと、その中澤工手長が上りの電車を出すのをちょっと待つてくれと言つたときには、上りの電車はあつたのですか。 ○高原証人 ありません。 ○石田(一)委員 一番線にもありませんね。 ○高原証人 ありません。 ○石田(一)委員 そうだとしますと、あなたは出す電車がないからそれで安全だと思つていましたか。 ○高原証人 いやそうじやありません。そう思いません。 ○石田(一)委員 そうだとしますと、中澤工手長は電気の電線架線の方の工事をやる人ですよ。ちょっとさつきも聞きますと、あなたは経歴からいつて運輸系統とかそういう信号系統とかいうことをちょっと勉強していらっしやるので、中澤氏が着はいいと言つたのは、下り線をまつすぐ行って、ポイントをかえないで一番線の方へ入つて行くのはいいと言つたのでしよう。それをポイントをかえて二番線の方へ入つて行くのはいいということにあなたが考えるということは、これは常識的に考えてもどうも私には割切れない。要するに上りを出すのは待つてくれと言つたって、上りはないのですから、着はいいと言つたのを、上りはないから着もいい、こう飛躍して考えるのはどうかと思う。だから着はいいというのは、直線コースヘポイントを切りかえて、二番線に曲らないで下り線の着はいいと言つたのを、あなたの考え方では、そのときに判断が間違つたのじやありませんか。下図参照ここで注目すべきは、当時桜木町ホームには、いずれの電車も入線していなかったので、双方の伝え方にも問題があったとも言えますが、信号手の方は上りを待てと言われたので、そのまま上り電車はないからと漫然とそのまま進路を構成して、②番線に入れる判断をしたと証言していますが、この辺考えてみれば伝え方の難しさというものがあるように思えます。○高原証人 それは現場へ行ってよくお見になっていただけばわかると思います。 ○石田(一)委員 そこに図がありますよ。私いま一ぺん聞くのですが、横浜の方からこの下りが桜木町駅へ向つて来るでしよう。上りを出すのは待つてくれというのに、こっちからもこっちからも両方の線へ入れることはいけませんね。それを上りを出すのは待つてくれと言つたのは、こっちからもこっちからも上りを出してはいかぬというのではなく、要するに上りの線、この線を利用することはいけないと工手長は言つたので、あなたが着はいいかと言つたら、工手長が着はいいと言つたのは、工手長は運輸系統じやないから、横浜の方から来て直線に一番線の方に入る着がいいということを言つたのでしよう。そのとき両方に車がないのに上りを出してくれちやいかぬと言つたのは、上り線の方を便つたらいかぬということですよ。それをあなたが考えて、着はいいと言つたからといつて、自動ポイントを切りかえてこっちに入れるということでは、あなたの答が何だかわからなくなって来たので聞くのですが、ここに上りの電車が入つていたというのならいい。片一方に入つていて着はいいと言つたら、入つてない方にもう一台に入れるというのなら話はわかるが、両方ともからつぽなんだ。工手長の方は入つている電車があるかないか知らないから、上りを出すのを待つてくれと言つた。電車が両方ないのだから、どういつでもいいわけです。工手長は架線の方の工事をやる責任者であるから、運転径路のことは詳しくないから、直線の下りに入る着はいいということを……。 ○高原証人 私の同僚も下りの電車は入れてもいいんだな、上りの電車は出しちやだめなんだな、そういうふうに……。下図②参照ここまで見る限りでは、先ほど申し上げたとおり、信号手と電気工事担当者との間での相互の理解が異なるというか、全くその辺のコミュニケーションが取れていないと言うことがうかがい知ることが出来ます。 ○石田(一)委員 そうでしよう。それは下り線に入れるのはいいのですよ。それを下りのポイントを切りかえて、出しちやいかぬという上りの方に入れて行くことは、両方に電車がいないときであるだけに、ちょっと私はあなたの責任上、変だと思うのです。 ○高原証人 この信号器からこちらへ入るときにも下りになっておるのですし、それからこちらへ入るのも下りになっておるのです。 ○石田(一)委員 間違いなく事実はそうでしようけれども、中澤工手長が上りの電車を出すのは待つてくれと言つたときに、現に上りの出る電車がないのです。あなたはないことをよく知っておるんだから、しかも臨時電車四〇○一が出ることになっておったのがなくなったりして、この線路はからつぽなんで、そのからつぽの電車を出すのを待つてくれと言つたって、上りの電車なんかないよと言えばすぐ話は解決することじやないか。上りを出そうと思つても出されはしません、ないのだから……。着はいいのかというようなことは聞かなくてもいいわけなんです、上りを出すにもないんだから……。それなら着はいいかどうか聞く必要はない。 ○高原証人 到着の電車は入れてもいいのかと聞いたら、着は大丈夫だと言つた。 ○石田(一)委員 それは下り線というのは、このことを言うのですよ。 ○高原証人 工手長はそう思つたのかどうかしれませんが、私の方とすれば、着とか、下りはいいのかというのはこっちです。 ○石田(一)委員 あなたがそう考えたのならしようがない。それでいいけれども、ちょっとおかしい。ありがとうございました。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です*************************○石田(一)委員 私は帰りがけたのですが、気になったからもう一ぺん聞きたいのですが、あなたは中澤工手長がやつちやつたといつて信号所へ来たときに、どうしたんだねと聞いたら、中澤工手長は上りの電車を出すのをちょっと待つてくれ、こう言つたというのですね。○高原証人 そうです。○石田(一)委員 そうしますと、その中澤工手長が上りの電車を出すのをちょっと待つてくれと言つたときには、上りの電車はあつたのですか。○高原証人 ありません。○石田(一)委員 一番線にもありませんね。○高原証人 ありません。○石田(一)委員 そうだとしますと、あなたは出す電車がないからそれで安全だと思つていましたか。○高原証人 いやそうじやありません。そう思いません。○石田(一)委員 そうだとしますと、中澤工手長は電気の電線架線の方の工事をやる人ですよ。ちょっとさつきも聞きますと、あなたは経歴からいつて運輸系統とかそういう信号系統とかいうことをちょっと勉強していらっしやるので、中澤氏が着はいいと言つたのは、下り線をまつすぐ行って、ポイントをかえないで一番線の方へ入つて行くのはいいと言つたのでしよう。それをポイントをかえて二番線の方へ入つて行くのはいいということにあなたが考えるということは、これは常識的に考えてもどうも私には割切れない。要するに上りを出すのは待つてくれと言つたって、上りはないのですから、着はいいと言つたのを、上りはないから着もいい、こう飛躍して考えるのはどうかと思う。だから着はいいというのは、直線コースヘポイントを切りかえて、二番線に曲らないで下り線の着はいいと言つたのを、あなたの考え方では、そのときに判断が間違つたのじやありませんか。○高原証人 それは現場へ行ってよくお見になっていただけばわかると思います。○石田(一)委員 そこに図がありますよ。私いま一ぺん聞くのですが、横浜の方からこの下りが桜木町駅へ向つて来るでしよう。上りを出すのは待つてくれというのに、こっちからもこっちからも両方の線へ入れることはいけませんね。それを上りを出すのは待つてくれと言つたのは、こっちからもこっちからも上りを出してはいかぬというのではなく、要するに上りの線、この線を利用することはいけないと工手長は言つたので、あなたが着はいいかと言つたら、工手長が着はいいと言つたのは、工手長は運輸系統じやないから、横浜の方から来て直線に一番線の方に入る着がいいということを言つたのでしよう。そのとき両方に車がないのに上りを出してくれちやいかぬと言つたのは、上り線の方を便つたらいかぬということですよ。それをあなたが考えて、着はいいと言つたからといつて、自動ポイントを切りかえてこっちに入れるということでは、あなたの答が何だかわからなくなって来たので聞くのですが、ここに上りの電車が入つていたというのならいい。片一方に入つていて着はいいと言つたら、入つてない方にもう一台に入れるというのなら話はわかるが、両方ともからつぽなんだ。工手長の方は入つている電車があるかないか知らないから、上りを出すのを待つてくれと言つた。電車が両方ないのだから、どういつでもいいわけです。工手長は架線の方の工事をやる責任者であるから、運転径路のことは詳しくないから、直線の下りに入る着はいいということを……。○高原証人 私の同僚も下りの電車は入れてもいいんだな、上りの電車は出しちやだめなんだな、そういうふうに……。○石田(一)委員 そうでしよう。それは下り線に入れるのはいいのですよ。それを下りのポイントを切りかえて、出しちやいかぬという上りの方に入れて行くことは、両方に電車がいないときであるだけに、ちょっと私はあなたの責任上、変だと思うのです。○高原証人 この信号器からこちらへ入るときにも下りになっておるのですし、それからこちらへ入るのも下りになっておるのです。○石田(一)委員 間違いなく事実はそうでしようけれども、中澤工手長が上りの電車を出すのは待つてくれと言つたときに、現に上りの出る電車がないのです。あなたはないことをよく知っておるんだから、しかも臨時電車四〇○一が出ることになっておったのがなくなったりして、この線路はからつぽなんで、そのからつぽの電車を出すのを待つてくれと言つたって、上りの電車なんかないよと言えばすぐ話は解決することじやないか。上りを出そうと思つても出されはしません、ないのだから……。着はいいのかというようなことは聞かなくてもいいわけなんです、上りを出すにもないんだから……。それなら着はいいかどうか聞く必要はない。○高原証人 到着の電車は入れてもいいのかと聞いたら、着は大丈夫だと言つた。○石田(一)委員 それは下り線というのは、このことを言うのですよ。○高原証人 工手長はそう思つたのかどうかしれませんが、私の方とすれば、着とか、下りはいいのかというのはこっちです。○石田(一)委員 あなたがそう考えたのならしようがない。それでいいけれども、ちょっとおかしい。ありがとうございました。
2021.10.20
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本日も、桜木町事故の審問の議事録から始めたいと思います。引き続き、信号担当者の高原証人の審問となりますが、全体を見る感じでは、信号掛の担当者自身の職責に関する考え方が今ひとつ無責任に感じてしまいます。特にそれを責めても仕方が無いのですが、仕事の受け止め方として、どこか他人事のように聞こえる部分が多少なりとも感じてしまいます。電力工手長の会話には関心を示さなかった?かなり双方に発言には、自身の保身のためと言えそうな部分があるようにも見えます。ここで、注目すべきは信号所は、非常に狭い場所であると言いながら、中澤工手長の電話の内容は知らないと言うことで、狭いところと自ら言いながら。内容を全く聞こえなかったのかという質問をされており、この時点で多少ですが証言に揺らぎがあるように感じられます。あくまでも、詰所かどこかに連絡している程度にしか見ていなかったと説明しています。○内藤(隆)委員 それでそのとき血相でもかえておったのかね。○高原証人 別にそんなようでも……。○内藤(隆)委員 平生通りにのこのこ入つて来たのですか。○高原証人 そうでもないようです。さつさつと入つて来た。ごく狭いところですから、いくらもないところですから、そんなに飛んで歩くほどのところでもないから、ささつと入つて来て、すぐ電話でもかけるというふうにして、やつちやつたと言いながら、すぐ私の前の方へ来て、電話をかけようとした。何かあつたのかつて私が聞いたら、上りの電車を出すのはちょっと待つてくれと言いました。○内藤(隆)委員 いやその辺になると、双方そのときの記憶とか、あるいはああいう大事件になったので、双方が自分の立場を考えての証言かもしれませんからそれ以上突いてもしかたがないと思います。○福田(喜)委員 証人に二、三点お伺いしますが、あなたはさつきこういうことを言われましたが、信号所の中で大船かどこかに電話を中澤さんがしたが聞えなかつた。何を言っているかよくわからなかつた。あなたのさつきの話では、信号所は狭いところだ。電話をかけるのに、あなたが信号所の責任者でありながら、その電話で連絡をするのにどんな話なのかわからなかつたのですか。○高原証人 中澤さんの電話の内容は……。○福田(喜)委員 そんな狭いところでわからないのですか。―あなたさつきは大船かどこかに……。○高原証人 大船か、電力区かへ、何でもけが人か何かの救護関係の材料の……。○福田(喜)委員 大船へけが人の救護やなんか電話するのは普通ですか。事故かあつたときに。○高原証人 それは知りません。○福田(喜)委員 それを想像するのはどういうわけですか。○高原証人 それははっきりわからなかつたのだけれども、工手長が自分のつめ所へかけたのだろうと思いました。当日の信号扱いの責任者は誰か?証人の信号掛は、電車が遅れることは事前には駅から知らされていたが、今回の被災した電車が遅れると言われていた電車ではなく、後続の電車であるのでは無いかと漫然と判断しています。当然のことながら、電気工事の担当者は、それが何時何分発の電車かと言うことは、知らない訳ですから、きちんと状況を確認すべき事柄ではありますが、その辺を十分確認すること無く、漠然と過ごしています。更に、審問では、信号所の責任者は誰なのかということで質問がなされています。ここでも、責任を回避したいからなのか否かは判りませんが、質問の趣旨に対して論点をずらせるというか、矛盾した発言などに終始しています。結果的に、審問委員からの印象は、責任を感じているとは思えないと思われても仕方が無いような発言になったと言えそうです。○福田(喜)委員 国電の指揮命令と申しますか、組織と申しますか、これは非常に重要な問題だと考えるので、ひとつ観点をかえてお尋ねしますが、信号所の責任者は一体だれかきまつているのですか。○高原証人 責任者は、その信号に携る者が重大な責任を持つことになる。○福田(喜)委員 あそこに信号取扱所とか何とか書いてありますが、あれについて責任者はだれもいないのですか。二人おりまして……。○高原証人 二人おりまして、当日……。○福田(喜)委員 当日ではない。責任者はいないのですか。○高原証人 信号所の責任者というのはきまつてないと思います。○福田(喜)委員 あなたは何もそれについて上司から話を聞いたことも、命令を受けたこともないのですか。○高原証人 ありません。以上のように、信号所の責任者と言えるものは決まっていないと発言しており、それに対して、指揮命令系統なども気にせずに漠然と仕事をしているのかと詰問されていますが、その質問も上手くかみ合っていないように感じます。信号の操作に対しては責任は負うが、最終的な責任者と言えるものは自分ではないとして、当日の同僚の名前を挙げています。ただ、最終的な責任者はこうした駅の場合は駅長になると思うのですが、少なくとも信号を厚かった時点で責任があると言いながら、その日の責任者と言えるのは同僚であるとしている点は、委員をして誠意が感じられないと指摘されるのはやむを得ないように感じてしまいます。○福田(喜)委員 それじやあそこへ行って、請負か何かで仕事をやっているように、指揮命令も何も、そんなことをいささかも気にとめずにやって来たのですか。どういう気持であそこで働いておったのですか。○高原証人 どういう気持っていいますと……。○福田(喜)委員 その信号所それ自身の責任者、それから上司の指揮命令系統はきまつていない、自分も知らぬとあなたはさつき言つたが、普通駅長から助役さんの場合もあるし、東京駅みたいなところは信号掛とか、そういう人がやっているということを聞きましたが、その指揮命令の系統はきまつていないのですか。○高原証人 指揮系統はきまつているのです。○福田(喜)委員 あなたはさまつておらぬと言うたが……。○高原証人 先ほど申し上げました信号所の中の責任者というのは、つまり当日の二人でやっていて、そうしてどつちでも信号に携わつた者が信号に対する責任を持つことになっております。○福田(喜)委員 信号に携わつた者はその信号に対して責任を持つでしよう。私が言うのは、信号所の責任者とか、指揮命令については、上司からそういう訓練も何も受けていないかというのです。○高原証人 大体において当日の信号所の中の責任者は寺山さんでしよう。○福田(喜)委員 でしようといつて、当日はどうかしりませんが、一般について何もそういうことはないのですか。○高原証人 やはり責任者はあるんでしようけれども、これが責任者だとか何とかいうことは聞きませんでした。○福田(喜)委員 あなたあすこでどういう気持で働いているのですか。国電の運転が自今の信号によってこういう事故が起きるということを意識しておられたのですか。そういうふうな気持で自分の責任は痛感しておられるのですか。○高原証人 それは細心の注意をしております。○福田(喜)委員 細心の注意といつて、さつきからのあなたの証言を聞いていると、ちつともそういう心証を得られません。 それじや証人にお尋ねしますが、あなたは職務上の事故で懲戒とか処罰とかを受けたことはありませんか。○高原証人 受けたことはありません。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era***************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です*************************○内藤(隆)委員 それでそのとき血相でもかえておったのかね。○高原証人 別にそんなようでも……。○内藤(隆)委員 平生通りにのこのこ入つて来たのですか。○高原証人 そうでもないようです。さつさつと入つて来た。ごく狭いところですから、いくらもないところですから、そんなに飛んで歩くほどのところでもないから、ささつと入つて来て、すぐ電話でもかけるというふうにして、やつちやつたと言いながら、すぐ私の前の方へ来て、電話をかけようとした。何かあつたのかつて私が聞いたら、上りの電車を出すのはちょっと待つてくれと言いました。○内藤(隆)委員 いやその辺になると、双方そのときの記憶とか、あるいはああいう大事件になったので、双方が自分の立場を考えての証言かもしれませんからそれ以上突いてもしかたがないと思います。○福田(喜)委員 証人に二、三点お伺いしますが、あなたはさつきこういうことを言われましたが、信号所の中で大船かどこかに電話を中澤さんがしたが聞えなかつた。何を言っているかよくわからなかつた。あなたのさつきの話では、信号所は狭いところだ。電話をかけるのに、あなたが信号所の責任者でありながら、その電話で連絡をするのにどんな話なのかわからなかつたのですか。○高原証人 中澤さんの電話の内容は……。○福田(喜)委員 そんな狭いところでわからないのですか。―あなたさつきは大船かどこかに……。○高原証人 大船か、電力区かへ、何でもけが人か何かの救護関係の材料の……。○福田(喜)委員 大船へけが人の救護やなんか電話するのは普通ですか。事故かあつたときに。○高原証人 それは知りません。○福田(喜)委員 それを想像するのはどういうわけですか。○高原証人 それははっきりわからなかつたのだけれども、工手長が自分のつめ所へかけたのだろうと思いました。○福田(喜)委員 あなたは、中澤氏が飛んで来て上りの電車を出すのを待て、着は大丈夫だと言つたというのですが、そのとき信号所から見て上りの電車は駅におりましたか。○高原証人 おりません。○福田(喜)委員 着は大丈夫だと言つたが、着の電車が来ておるか来ていないか見えましたか。信号所から見えるでしよう。○高原証人 着ですか。着の電車はまだ入つておりません。○福田(喜)委員 上りの電車を出すのを待てと言つたということですが、桜木町駅には上りの電車はいなかつたのですか。○高原証人 いなかつた。○福田(喜)委員 それをふしぎに思わなかつたのですか。○高原証人 その七一Bという事故になった電車は八分ないし九分遅れるというホームの方からの通知を受けまして、それがすでに四十分にもなっているし、時間が遅れて来るというと後続電車ということも考えなければなりませんから、下りの電車――上りの電車――そういう場合には後続電車ということを考えなくちやなりません。後続電車は……。○福田(喜)委員 そういう後続電車とか何とかということを工手長が言うて来ますか。○高原証人 工手長は言うて来ません。私のところでそれを考えてたのです。○福田(喜)委員 あなたの方で考えるのはかつてに考えるのですが、そういうことを考えるのはおかしいことです。工手長はそういうこと、電車が七一Bか何が来るかわからないでしよう。○高原証人 工手長には七一Bとか後続電車とかということは話はしません。○福田(喜)委員 国電の指揮命令と申しますか、組織と申しますか、これは非常に重要な問題だと考えるので、ひとつ観点をかえてお尋ねしますが、信号所の責任者は一体だれかきまつているのですか。○高原証人 責任者は、その信号に携る者が重大な責任を持つことになる。○福田(喜)委員 あそこに信号取扱所とか何とか書いてありますが、あれについて責任者はだれもいないのですか。二人おりまして……。○高原証人 二人おりまして、当日……。○福田(喜)委員 当日ではない。責任者はいないのですか。○高原証人 信号所の責任者というのはさまつてないと思います。○福田(喜)委員 あなたは何もそれについて上司から話を聞いたことも、命令を受けたこともないのですか。○高原証人 ありません。○福田(喜)委員 それじやあそこへ行って、請負か何かで仕事をやっているように、指揮命令も何も、そんなことをいささかも気にとめずにやって来たのですか。どういう気持であそこで働いておったのですか。○高原証人 どういう気持っていいますと……。○福田(喜)委員 その信号所それ自身の責任者、それから上司の指揮命令系統はきまつていない、自分も知らぬとあなたはさつき言つたが、普通駅長から助役さんの場合もあるし、東京駅みたいなところは信号掛とか、そういう人がやっているということを聞きましたが、その指揮命令の系統はきまつていないのですか。○高原証人 指揮系統はきまつているのです。○福田(喜)委員 あなたはさまつておらぬと言うたが……。○高原証人 先ほど申し上げました信号所の中の責任者というのは、つまり当日の二人でやっていて、そうしてどつちでも信号に携わつた者が信号に対する責任を持つことになっております。○福田(喜)委員 信号に携わつた者はその信号に対して責任を持つでしよう。私が言うのは、信号所の責任者とか、指揮命令については、上司からそういう訓練も何も受けていないかというのです。○高原証人 大体において当日の信号所の中の責任者は寺山さんでしよう。○福田(喜)委員 でしようといつて、当日はどうかしりませんが、一般について何もそういうことはないのですか。○高原証人 やはり責任者はあるんでしようけれども、これが責任者だとか何とかいうことは聞きませんでした。○福田(喜)委員 あなたあすこでどういう気持で働いているのですか。国電の運転が自今の信号によってこういう事故が起きるということを意識しておられたのですか。そういうふうな気持で自分の責任は痛感しておられるのですか。○高原証人 それは細心の注意をしております。○福田(喜)委員 細心の注意といつて、さつきからのあなたの証言を聞いていると、ちつともそういう心証を得られません。 それじや証人にお尋ねしますが、あなたは職務上の事故で懲戒とか処罰とかを受けたことはありませんか。○高原証人 受けたことはありません。○福田(喜)委員 事故を起したことはありませんか。○高原証人 事故らしい事故を起したことはないと思います。○福田(喜)委員 ないと思いますというけれども自分のことですから……。ありませんか。○高原証人 ないと思います。○福田(喜)委員 それからもう一つ。あなたはずいぶん長くこういう仕事をやっておりますが、職務上鉄道職員の熱心さとか職務に対する責任感というものは、最近と戦時中と戦前とでは非常に違いやしませんか。○高原証人 違うように思います。○福田(喜)委員 どういうふうに違いますか。○高原証人 戦前は非常にりつぱなような観念を持っていたと思います。それから戦時中ややだれぎみで、戦後はまたよくなったと思います。○福田(喜)委員 あなたはどういう気持で働いておられますか。普通と同じような気持ですか。○高原証人 私は誠心誠意働いております。
2021.09.12
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一ヶ月ぶりの更新になりますが、今回も信号掛の職員と中澤工手長の証言に関して相違が有ることについて、審問が行われていますが、双方の証言が真逆の部分が多々あり、どこまでが真実なのか一寸kの長所だけではわかりにくいかもしれません。食い違う双方の主張今回も信号所の高原証人の証言ですが、どうにも中澤工手長の主張と所々異なることがあり、その辺も委員は指摘しています。以下のように、高原証人は、中澤工手長を探してはいないとしています。○内藤(隆)委員 さいぜん田淵委員からも詳細に前の証人に聞いておったのですけれども、その信号所へ中澤工手長が来たときに、そういうなまぬるい話だったのですか。なまぬるいというと語弊があるが、そういう簡単な事故であるとあなたが受取る程度の言葉ですか。○高原証人 私は何かあつたのかいと聞いたのです。○内藤(隆)委員 中澤君の語気はどうですか。○高原証人 中澤君の語気は普通とかわらないと思いました。○内藤(隆)委員 その点は今田淵委員からも聞かれたから、私は多く触れません。それからもう一つ、さいぜんの証人から聞くと、いよいよあの大悲惨事が起ったとき、あなたはしきりに中澤さんを探しておったのですね。○高原証人 探しておりません。○内藤(隆)委員 そうすると、その大事故が起ったときに、今電車が盛んに燃えつつあるわけですが、中澤君とどの辺で会いましたか。○高原証人 会いません。○内藤(隆)委員 事件が起つて死骸なりその他を収集しても会わなかつたのですか。事故発生に際して信号掛は救助活動等に動かなかったのか?中澤工手長は、事故後行方をくらまして、事故が発生したのちかなり時間が経過してから、現れたと以下のように証言しています。○高原証人 中澤さんとその後会いましたのは、多分信号所だろうと思います。○内藤(隆)委員 信号所は最初に会つたでしよう。中澤君が飛び込んで来たでしよう。○高原証人 そうですが、その後事件後に来ました。○内藤(隆)委員 事件後何時間くらいたってからですか。○高原証人 何でも火が燃えちやつたあとだろうと思いますが、中澤さんが見えました。○内藤(隆)委員 中澤さんの方から足を運んで信号所に来たわけですね。○高原証人 そうです。○内藤(隆)委員 そのとき何と言っておりましたか。中澤工手長は、不可抗力だったことにしようと提案?ここでは、中澤工手長が信号掛の責任になるかもしれないから、マル(いわゆる責任を回避するための方向で話を纏めること、簡単に言えば事故を無かったことにすること)を言ったような発言をしたと以下のように、証言しています。○高原証人 私と寺山さんのどつちに言つたのか私は知らないけれども、中澤さんが言つた全部はわかりませんでしたが、耳にはさんだのは、君らにも責任がかかるかもしれないから、電車が入つたと同時に架線を切って火を吐いちやつたというようにしようじやないか、そうすればおれの方も旗を出さないで済むからとか何とか、聞えたようでした。この発言は非常に重要ですが、当然のことながら、中澤工手長が本当にこうした発言をしたのか否かと言う点が気になるところですが、委員の方でもその点を非常に注目して、より厳しい質問が行われることになります。中澤証言では、信号掛がなかったことにしてくれと発言したとしているわけですから、全く真逆の証言をしていることになります。○内藤(隆)委員 そうすると、さいぜんの証人と今のあなたの陳述とはたいへんな食い違いがある。食い違いどころではない。私は唖然として言うところを知らないほどの気持になりますが、そういう大惨事を見ながら、あなた方両者は、何とかしてこれを双方とも責任のないような立場をつくるために会合したのですか。○高原証人 私らは絶対にそんなことは言いません。○内藤(隆)委員 中澤君と会つた場所は聞かなかつたが、あなた方は探して歩いた……。○高原証人 探しません。○内藤(隆)委員 そうして何と言つたかというと、あなた方は中澤君に、これは知らないことにしておいてくれということを哀訴嘆願しておった……。○高原証人 そういうことは絶対にありません。○内藤(隆)委員 私らはここで犯罪をつくるのじやないですよ。ここは要するに裁判所じやないのです。ここはもつと大きな心から事件の真相を調べて行くところなのですから……。○高原証人 中澤さんに嘆願するとか頼むとかいうことは絶対にありません。○内藤(隆)委員 ということは、中澤君が信号所へ飛び込んで来て、大声で列車の入らぬように信号を出してくれと言つたというのですな。○高原証人 そんなことも言いません。○内藤(隆)委員 ところがあなたの方でその信号を出しておればこの惨事はない。○高原証人 絶対にそういうことは聞きません。○内藤(隆)委員 信号を出さなかつたがためにこういうことになって悲惨事を起した。だから出さなかつたという責任を感じて、あなた方はこの中澤君に会つて、どうか知らないことにしてくれと頼んだ……。○高原証人 そういうことはありません。絶対にありません。それは断言します。信号掛、工手長いずれかが虚偽の証言をしている?ここでの、発言は非常に重要なのですが、信号掛は工手長に嘆願したことはないと発言しています、事実は今となってはもう少し資料を集めないと難しいですが、さらに、中澤工手長とのやりとりでは、上り電車の出発を待ってくれと言われたとされていますが、それにたいして具体的な理由を答えなかったと証言しています。以下のように証言していますが。> ○高原証人 何をやつちやつたのかわからないから、何かやつたのと私は聞いたのです。> ○内藤(隆)委員 そうしたら。> ○高原証人 そうしたら上りの電車を出すのをちょっと待つてくれと言いました。> ○内藤(隆)委員 そうすると、上りの電車をとめることがやつちやつたことですか。> ○高原証人 あるいは何かわかりませんけれども、私が何かあつたのかつて聞いたら、上りの電車を出すのをちょっと待つてくれと言いました。> ○内藤(隆)委員 しかし上りの電車を出すことを待つてくれと言うほどの大きな事故があつたとすれば、やつちやつたと聞いた途中で何をやつちやつたのかと反問するのではありませんか。> ○高原証人 だからその場合数回どうしたんだい、どうしたんだいと聞いたのですが、それに答えなかつた。> ○内藤(隆)委員 なぜ答えない。> ○高原証人 それはわからない。中澤さんの気持ですから。工手長としては、スパナを落下させてそれが原因で、電線を切ったとは言いにくい、さりとてそのままでは危ないと言うことだけは判るからと言う葛藤かと思いますが、いずれもどちらかが虚偽の証言をしていることのように見受けられます。○内藤(隆)委員 百何十名という死傷者を出すというのはまことに大きな問題です。単にあなた方の責任を追究する、そういう問題ではない。もつと国鉄そのものに関するもので、それは基本的なものであると考えておるわけです。だからここでほんとうにないということをあなたりつぱに証言できますな。○高原証人 証言できます。○内藤(隆)委員 それからやつちやつたということは、何をやつちやつたと思われましたか。○高原証人 何をやつちやつたのかわからないから、何かやつたのと私は聞いたのです。○内藤(隆)委員 そうしたら。○高原証人 そうしたら上りの電車を出すのをちょっと待つてくれと言いました。○内藤(隆)委員 そうすると、上りの電車をとめることがやつちやつたことですか。○高原証人 あるいは何かわかりませんけれども、私が何かあつたのかつて聞いたら、上りの電車を出すのをちょっと待つてくれと言いました。○内藤(隆)委員 しかし上りの電車を出すことを待つてくれと言うほどの大きな事故があつたとすれば、やつちやつたと聞いた途中で何をやつちやつたのかと反問するのではありませんか。○高原証人 だからその場合数回どうしたんだい、どうしたんだいと聞いたのですが、それに答えなかつた。○内藤(隆)委員 なぜ答えない。○高原証人 それはわからない。中澤さんの気持ですから。委員も証言しているとおり、この双方の証言には大きな食い違いがあります、この事故以後事故発生時の指揮命令系統などは整理されますが、この当時はそうした整備が出来ていなかったことが浮き彫りにされています。○内藤(隆)委員 まるつきりその点は食い違つている。これはまことに重要な証言の食い違いです。○高原証人 私は決してそれをつくろつたとか、うそを言つたとかいうことは少しもありません。○内藤(隆)委員 双方の証人はそういう立場をとりますね。しかしわれわれ常識で考えても、その工手長があなたの信号所までかけつけるということ、そのことがすでにあなたの印象に深く刻まれなかつたのですか。○高原証人 中澤さんが来たのは信号所に来て初めて知つたわけです。どんなふうにかけて来たのか、普通に少いて来たのかわからなかつたのです。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です*************************○内藤(隆)委員 さいぜん田淵委員からも詳細に前の証人に聞いておったのですけれども、その信号所へ中澤工手長が来たときに、そういうなまぬるい話だったのですか。なまぬるいというと語弊があるが、そういう簡単な事故であるとあなたが受取る程度の言葉ですか。○高原証人 私は何かあつたのかいと聞いたのです。○内藤(隆)委員 中澤君の語気はどうですか。○高原証人 中澤君の語気は普通とかわらないと思いました。○内藤(隆)委員 その点は今田淵委員からも聞かれたから、私は多く触れません。それからもう一つ、さいぜんの証人から聞くと、いよいよあの大悲惨事が起ったとき、あなたはしきりに中澤さんを探しておったのですね。○高原証人 探しておりません。○内藤(隆)委員 そうすると、その大事故が起ったときに、今電車が盛んに燃えつつあるわけですが、中澤君とどの辺で会いましたか。○高原証人 会いません。○内藤(隆)委員 事件が起つて死骸なりその他を収集しても会わなかつたのですか。○高原証人 中澤さんとその後会いましたのは、多分信号所だろうと思います。○内藤(隆)委員 信号所は最初に会つたでしよう。中澤君が飛び込んで来たでしよう。○高原証人 そうですが、その後事件後に来ました。○内藤(隆)委員 事件後何時間くらいたってからですか。○高原証人 何でも火が燃えちやつたあとだろうと思いますが、中澤さんが見えました。○内藤(隆)委員 中澤さんの方から足を運んで信号所に来たわけですね。○高原証人 そうです。○内藤(隆)委員 そのとき何と言っておりましたか。○高原証人 私と寺山さんのどつちに言つたのか私は知らないけれども、中澤さんが言つた全部はわかりませんでしたが、耳にはさんだのは、君らにも責任がかかるかもしれないから、電車が入つたと同時に架線を切って火を吐いちやつたというようにしようじやないか、そうすればおれの方も旗を出さないで済むからとか何とか、聞えたようでした。○内藤(隆)委員 そうすると、さいぜんの証人と今のあなたの陳述とはたいへんな食い違いがある。食い違いどころではない。私は唖然として言うところを知らないほどの気持になりますが、そういう大惨事を見ながら、あなた方両者は、何とかしてこれを双方とも責任のないような立場をつくるために会合したのですか。○高原証人 私らは絶対にそんなことは言いません。○内藤(隆)委員 中澤君と会つた場所は聞かなかつたが、あなた方は探して歩いた……。○高原証人 探しません。○内藤(隆)委員 そうして何と言つたかというと、あなた方は中澤君に、これは知らないことにしておいてくれということを哀訴嘆願しておった……。○高原証人 そういうことは絶対にありません。○内藤(隆)委員 私らはここで犯罪をつくるのじやないですよ。ここは要するに裁判所じやないのです。ここはもつと大きな心から事件の真相を調べて行くところなのですから……。○高原証人 中澤さんに嘆願するとか頼むとかいうことは絶対にありません。○内藤(隆)委員 ということは、中澤君が信号所へ飛び込んで来て、大声で列車の入らぬように信号を出してくれと言つたというのですな。○高原証人 そんなことも言いません。○内藤(隆)委員 ところがあなたの方でその信号を出しておればこの惨事はない。○高原証人 絶対にそういうことは聞きません。○内藤(隆)委員 信号を出さなかつたがためにこういうことになって悲惨事を起した。だから出さなかつたという責任を感じて、あなた方はこの中澤君に会つて、どうか知らないことにしてくれと頼んだ……。○高原証人 そういうことはありません。絶対にありません。それは断言します。○内藤(隆)委員 百何十名という死傷者を出すというのはまことに大きな問題です。単にあなた方の責任を追究する、そういう問題ではない。もつと国鉄そのものに関するもので、それは基本的なものであると考えておるわけです。だからここでほんとうにないということをあなたりつぱに証言できますな。○高原証人 証言できます。○内藤(隆)委員 それからやつちやつたということは、何をやつちやつたと思われましたか。○高原証人 何をやつちやつたのかわからないから、何かやつたのと私は聞いたのです。○内藤(隆)委員 そうしたら。○高原証人 そうしたら上りの電車を出すのをちょっと待つてくれと言いました。○内藤(隆)委員 そうすると、上りの電車をとめることがやつちやつたことですか。○高原証人 あるいは何かわかりませんけれども、私が何かあつたのかつて聞いたら、上りの電車を出すのをちょっと待つてくれと言いました。○内藤(隆)委員 しかし上りの電車を出すことを待つてくれと言うほどの大きな事故があつたとすれば、やつちやつたと聞いた途中で何をやつちやつたのかと反問するのではありませんか。○高原証人 だからその場合数回どうしたんだい、どうしたんだいと聞いたのですが、それに答えなかつた。○内藤(隆)委員 なぜ答えない。○高原証人 それはわからない。中澤さんの気持ですから。○内藤(隆)委員 まるつきりその点は食い違つている。これはまことに重要な証言の食い違いです。○高原証人 私は決してそれをつくろつたとか、うそを言つたとかいうことは少しもありません。○内藤(隆)委員 双方の証人はそういう立場をとりますね。しかしわれわれ常識で考えても、その工手長があなたの信号所までかけつけるということ、そのことがすでにあなたの印象に深く刻まれなかつたのですか。○高原証人 中澤さんが来たのは信号所に来て初めて知つたわけです。どんなふうにかけて来たのか、普通に少いて来たのかわからなかつたのです。
2021.08.15
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証人は、工手長の電車出発停止に対して特段危機意識を持っていなかった?今回も、信号掛の高原証人の証言が続きますが、どうも証言の内容があやふやと言いますか、言い訳の終始しているようにも見えます。塚原委員長代理が質問をしていますが、中澤さん(工手長)が、「やつちやつた、上りの電車を出すのを少しの間、一時ちよつて待つてくれ……。」と言われたのに対して、その言葉は聞いたけれど・・・その後のアクションを起こさなかったことに対して、高原職員が虚偽の証言をしているのではないかと質問しています。結局、「やっちゃった・・・上り電車出すのを待って」と言われても、架線工事で何らかの支障が出たことは思い描かなかったのかという問いに対して、思わなかったと回答しています。これは、普通に考えればかなり無理があると思うのは私だけでしょうか?○高原証人 それですから何かあつたのかいと聞いたのです。○塚原委員長代理 それに対する答えはなかつたのですか。○高原証人 それに対する答えはないです。○塚原委員長代理 たとえば架線が切れたとか……。○高原証人 それは何も聞きません。○塚原委員長代理 何も言わない。それでその上り線に入れては絶対に困る、絶対に入れてはいけないということを信号所に強く言つたと中澤さんは言うのですがね。○高原証人 聞きません。○塚原委員長代理 聞かない……。これは大事なところですが、あなたはうそをついてはいけません。やつちやつた、上りの電車を出すのを少しの間、一時ちよつて待つてくれ……。○高原証人 そうです。○塚原委員長代理 それだけですか。○高原証人 それだけです。○塚原委員長代理 それに聞違いありませんか。○高原証人 間違いありません。○塚原委員長代理 そうするとあなたはやつちやつたというだけで、それが架線切断であるということは気がつかなかつたのですか。○高原証人 気がつかなかつたのです。信号掛と工手長との連携が出来ていないのは何故か?高原証人の発言では、工事はかなり横浜よりであり、たいした故障でもないと勝手に想定していたようにも見えます。以下の発言などにその辺が見えるように思うのです。○塚原委員長代理 そうすると大した故障ではないと思つたわけですね。○高原証人 工手長が、今申し上げた通り、上りの電車を出すのはちよつと待つてくれと言いますから、大したことじやない―ちよつと申し上げますが、午前中に私がポイント掃除をやつている当時、ポイントよりもずつと先、もつと先の方で、横浜寄りの方で工手が絶縁物の取付けか何かのちよつとしたことで上りの電車を出すのを待つのだと思いました。その後の質問で、架線切断である事が確認されれば、列車を止めるのかという質問に対して、「それは全部出すとは限らないと思います。やはりその状況によつて、まあ、たとえばどこそこが悪いのだと中澤さんから聞いたとして、それは危険だなと思えば臨機の処置をとりますが、中澤さんが横浜と桜木町の中間あたりが切れているのだというのでは、それはやはりそのときの状況によつて仕事をすると思います。」と証言しているように、自分の中で現場の位置関係の錯誤をしていたのではないかと思われます。○塚原委員長代理 その場合、やつちやつた、何をやつた、架線切断であるということを、あなたがもし質問してそういう答えを受けたとしたら、あなたは信号手としては一応電車は全部とめなければならぬという決心はされましたか。○高原証人 しました。○塚原委員長代理 やつちやつた、それは何だ、それが架線の切断であることがわかれば、あなたは信号手として全部赤の信号を出してしまいますね。その点はどうですか。○高原証人 それは全部出すとは限らないと思います。やはりその状況によつて、まあ、たとえばどこそこが悪いのだと中澤さんから聞いたとして、それは危険だなと思えば臨機の処置をとりますが、中澤さんが横浜と桜木町の中間あたりが切れているのだというのでは、それはやはりそのときの状況によつて仕事をすると思います。この辺の証言では、個人的には自身の判断ミスをリカバリーしたいので、すぐそばで事故が起こったことに対して、知らなかったことにしておこうという意識が働いたのではないかという風に聞こえてなりません。○塚原委員長代理 われわれの常識で考えて、あなたがポイントの掃除か何かしているすぐそばでやつていることは、この地図で見てもわかる。しかも中澤工手長が飛んで来て、やつちやつたと言えば、すぐそばで事件が起きたということはおわかりになるでしよう。それ以外のところで事件が起きたとは思わないでしよう。その辺であなたは碍子の切りかえか何かやつているということを知つているのでしよう。○高原証人 午前中見て知つているのです。○塚原委員長代理 そこへ飛んで来たなら、すぐそばであつたということをお気づきになるでしよう。○高原証人 その辺といつても相当遠いと思います。○塚原委員長代理 遠くないでしよう。この地図で見たら、あなたはここの信号所におられて、その工事をされておつたところまでは、せいぜい二、三百メートルでしよう。○高原証人 工事をされたところはずつと先の方のように思えたのです。○塚原委員長代理 思えたのですか。○高原証人 はあ。○塚原委員長代理 それじやあなたは、中澤工手長が言つて来たときには、この近所のできごとじやない、ずつと横浜駅に寄つたところだろうと考えておられたのですか。○高原証人 そんなに遠くだとは思いませんが、場内信号機よりかも相当外方の方のように思いました。○塚原委員長代理 なぜこういうことを聞くかといいますと、われわれは専門のことはわかりませんが、常識として、架線が切断されたという連絡を信号手が受けたときには、一応電車をとめる信号を出すというのがあたりまえじやないかとわれわれは考えるのです。○高原証人 それは臨機の処置をとりますが、架線が切れたということは少しも聞かなかつたのです。○塚原委員長代理 さつきあなたはそう言いましたね。しかし上りを出さないでくれということは、電車を出せば危険だということはあなたもおわかりになるわけでしよう。○高原証人 そうです。○塚原委員長代理 それを、下りを上り線に入れるような信号を出しておつたということが、われわれにはわからないのですが……。○高原証人 それですから私は、到着の電車は入れてもいいのかと聞きました。○塚原委員長代理 その点はあとで委員からも聞くでしようが、中澤工手長からあなたが連絡を受けて、それから問題の電車が入つて来るまでの間はどれくらいの時間がありましたか。○高原証人 中澤工手長から連絡を受けて、問題の電車が来るまでというものは幾らもなかつたと思います。○塚原委員長代理 大体、何秒とか何分とかわかりませんか。○高原証人 あまり時間のことははつきりしませんが、二、三分くらいと思います。○塚原委員長代理 そうするとあなたは、当然上り線に入れるだけの信号の処置は、そのとき講じておつたわけですね。○高原証人 到着の電車は……。○塚原委員長代理 それはわかつていますよ。大丈夫だと言われたから、その間何の不安もなく上り線に入れるだけの信号を出していたわけですね。○高原証人 そうです。○塚原委員長代理 どなたか委員の方で御質問がありましたら……。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*******************************************************************************以下は、国会審問議事録本文です****************************○高原証人 それですから何かあつたのかいと聞いたのです。○塚原委員長代理 それに対する答えはなかつたのですか。○高原証人 それに対する答えはないです。○塚原委員長代理 たとえば架線が切れたとか……。○高原証人 それは何も聞きません。○塚原委員長代理 何も言わない。それでその上り線に入れては絶対に困る、絶対に入れてはいけないということを信号所に強く言つたと中澤さんは言うのですがね。○高原証人 聞きません。○塚原委員長代理 聞かない……。これは大事なところですが、あなたはうそをついてはいけません。やつちやつた、上りの電車を出すのを少しの間、一時ちよって待つてくれ……。○高原証人 そうです。○塚原委員長代理 それだけですか。○高原証人 それだけです。○塚原委員長代理 それに聞違いありませんか。○高原証人 間違いありません。○塚原委員長代理 そうするとあなたはやつちやつたというだけで、それが架線切断であるということは気がつかなかつたのですか。○高原証人 気がつかなかつたのです。○塚原委員長代理 そうすると大した故障ではないと思つたわけですね。○高原証人 工手長が、今申し上げた通り、上りの電車を出すのはちょっと待つてくれと言いますから、大したことじやない―ちょっと申し上げますが、午前中に私がポイント掃除をやっている当時、ポイントよりもずつと先、もつと先の方で、横浜寄りの方で工手が絶縁物の取付けか何かのちょっとしたことで上りの電車を出すのを待つのだと思いました。○塚原委員長代理 その場合、やつちやつた、何をやつた、架線切断であるということを、あなたがもし質問してそういう答えを受けたとしたら、あなたは信号手としては一応電車は全部とめなければならぬという決心はされましたか。○高原証人 しました。○塚原委員長代理 やつちやつた、それは何だ、それが架線の切断であることがわかれば、あなたは信号手として全部赤の信号を出してしまいますね。その点はどうですか。○高原証人 それは全部出すとは限らないと思います。やはりその状況によって、まあ、たとえばどこそこが悪いのだと中澤さんから聞いたとして、それは危険だなと思えば臨機の処置をとりますが、中澤さんが横浜と桜木町の中間あたりが切れているのだというのでは、それはやはりそのときの状況によって仕事をすると思います。○塚原委員長代理 われわれの常識で考えて、あなたがポイントの掃除か何かしているすぐそばでやっていることは、この地図で見てもわかる。しかも中澤工手長が飛んで来て、やつちやつたと言えば、すぐそばで事件が起きたということはおわかりになるでしよう。それ以外のところで事件が起きたとは思わないでしよう。その辺であなたは碍子の切りかえか何かやっているということを知っているのでしよう。○高原証人 午前中見て知っているのです。○塚原委員長代理 そこへ飛んで来たなら、すぐそばであつたということをお気づきになるでしよう。○高原証人 その辺といつても相当遠いと思います。○塚原委員長代理 遠くないでしよう。この地図で見たら、あなたはここの信号所におられて、その工事をされておったところまでは、せいぜい二、三百メートルでしよう。○高原証人 工事をされたところはずつと先の方のように思えたのです。○塚原委員長代理 思えたのですか。○高原証人 はあ。○塚原委員長代理 それじやあなたは、中澤工手長が言って来たときには、この近所のできごとじやない、ずつと横浜駅に寄つたところだろうと考えておられたのですか。○高原証人 そんなに遠くだとは思いませんが、場内信号機よりかも相当外方の方のように思いました。○塚原委員長代理 なぜこういうことを聞くかといいますと、われわれは専門のことはわかりませんが、常識として、架線が切断されたという連絡を信号手が受けたときには、一応電車をとめる信号を出すというのがあたりまえじやないかとわれわれは考えるのです。○高原証人 それは臨機の処置をとりますが、架線が切れたということは少しも聞かなかつたのです。○塚原委員長代理 さつきあなたはそう言いましたね。しかし上りを出さないでくれということは、電車を出せば危険だということはあなたもおわかりになるわけでしよう。○高原証人 そうです。○塚原委員長代理 それを、下りを上り線に入れるような信号を出しておったということが、われわれにはわからないのですが……。○高原証人 それですから私は、到着の電車は入れてもいいのかと聞きました。○塚原委員長代理 その点はあとで委員からも聞くでしようが、中澤工手長からあなたが連絡を受けて、それから問題の電車が入つて来るまでの間はどれくらいの時間がありましたか。○高原証人 中澤工手長から連絡を受けて、問題の電車が来るまでというものは幾らもなかつたと思います。○塚原委員長代理 大体、何秒とか何分とかわかりませんか。○高原証人 あまり時間のことははっきりしませんが、二、三分くらいと思います。○塚原委員長代理 そうするとあなたは、当然上り線に入れるだけの信号の処置は、そのとき講じておったわけですね。○高原証人 到着の電車は……。○塚原委員長代理 それはわかつていますよ。大丈夫だと言われたから、その間何の不安もなく上り線に入れるだけの信号を出していたわけですね。○高原証人 そうです。○塚原委員長代理 どなたか委員の方で御質問がありましたら……。
2021.07.04
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長々と証人尋問が続くのですが、どうも工手長と信号掛員との連携がとれていないような気がします。と言うか最後の詰めのところが弱い、そんな気がします。出来るだけ簡潔に書き出してみたいと思います。臨時扱いでてこは手動で扱えるが、基本は自動扱い信号係の証言が始まりましたが、今回の当事者である高原証人は以下のように述べています、関連する部分だけ抜粋したいと思います。臨時電車があると言うことで、信号的の切替を手動にしていたが、運休と言うことになり事故直前に再び自動に切り替えた高原証人は、午後からは信号てこの担務であったと言うことで、冗長なのですが以下のように証言しています。臨時列車が入るので手動で自動てこを手動に切り替えて一番線に入るようにした、ところがその列車の運転が取りやめになったとかで、再び自動に戻したのですが、その5分後くらいに、工手長が「やっちゃった」と言って飛び込んできたそうです。○高原証人 当日八時五十分から点呼が始まりまして、九時ごろ点呼が終つて、寺山さんと高原と信号所に行きました。それで前日の人と交代しました。午前中は高原は転撤器の掃除、油をくれたり雑用をしておりました。寺山さんは午前中信号の仕事をやつておりました。それでポイント掃除は十一時ごろ終つたと思います。十一時ごろ終りまして、詰所へ帰つて来て、油の手なんかを洗つて一服吸つて、道具を洗つて、そうして寺山さんと十一時三十分ごろお昼をとりました。それから十二時ごろだと思います。まあ十二時、ずれても五分かそこらぐらい。十二時ごろごはんが終つて、今度は私が交代したのです。私は十二時から二時まで信号に勤務することになつて、十二時から午後二時まで、鉄道では十四時と申しますが、その間十四時まで高原は、信号の仕事をすることになり、寺山さんは十四時まで、仕事になるまで休養することになつて、詰所におりました。それで四〇〇一という不定期電車があるという電話が岩田助役の方から――ホームの方から来たので――不定期の電車があるという通知がホームの方からありまして、そうして不定期があるなと思つておりました。ところが四〇〇一というのが十三時二十六、七分ごころになつて―二十六分よりもつと過ぎておりました。その時分になつてホームから、不定期の電車はとりやめになつた、そういう電話がありました。そのときに、不定期の電車四〇〇一というのは一番に入るということになつておりました。当日は午前から午後にわたつて、自動的に二番線に到着して二番線から発車するようなダイヤになつておつたのです。それでそれがてこによつて自動的に出入りするようになつておつたのですけれども、不定期電車があるというので、その自動を切りかえて、そうして自動でなくして―六Rの自動てこでなく、一RLという一番に入るように――不定期の一四〇一は一番に入るようなダイヤですから、一番の方へ向けておつたのです。そうしたところが十三時二十六、七分ごろ、やめになつたというので、今度元の自動てこに切りかえて、そして二番の方へ向けたのです。その時間はわかりませんが……。それで十三時三十四、五分ごろだと思います。その時分にホームの方から一二七一Bは東神奈川を八、九分遅れるという電話がありました。それで遅れるかと思つていた。そのうちに、ちようど十三時四十分前後だと思いますが、その時分に、電力の工手長が信号所へ入つて来ました。そこで、その時点では工手長であると言うことも当時は当然のことながら知らないわけですが、ここで非常に重要な証言が出てきます。工手長は出発を待ってくれと言ったが、下り列車の到着は問題がないと発言したとしています。そこで、注目すべきは、、「着は大丈夫だ、到着の電車は入れてもいいのかと私が聞いたものですから、着は大丈夫だというのです。」ということで、事故の状況を確認しないまま、着は大丈夫という発言を引き出していることです。この例では、渡りで二番線に入ったために、架線が電車に絡まり火災を起こしたわけで、仮に、一番線に入線していたらこの惨事は防げた可能性があります。ここで、当時の双方の考え方を整理してみますと、双方の理解に齟齬があった?一番線への入線は問題ないが、二番線に電車が出発すると架線が切れているので、線路を支障すると工手長は判断した。その反面、信号係の高原証人は、電車はこれから到着するので、問題はないであろうと判断した。そこに、十分な意思疎通が図られたとは言えません。。○高原証人 中澤さんです。その当時は電力の工手長か何か、あまり工手長ということは知らなかつたんだけれども、その中澤さんという名前も知らなかつたのです。まあ今は中澤さん、知つておりますが、中澤さんが入つて来て、それで、やつちやつたと言いました。信号所に入つて来て……。○塚原委員長代理 何と言つたつて。○高原証人 やつちやつたと言いました。そういうふうに聞えました。それから私は何かあつたのかいと尋ねました。そうしたら中澤さんが言うには、上りの電車を出すのをちよつと待つてくれと言いました。それからどうしたのだい、到着の電車を入れてもいいのかい、入れてもいいだろうなと言いましたら、着は大丈夫だ、到着の電車は入れてもいいのかと私が聞いたものですから、着は大丈夫だというのです。○塚原委員長代理 つまり上り線に入れてもいいというのですか。○高原証人 上り線に入れてもいいという意味なんです。○塚原委員長代理 その点非常に大事なところなんですがね。ひとつ間違いなく言つていただきたいのです。やつちやつた、それであなたがどうしたかと聞いたわけですね。○高原証人 そうです。何かあつたのかと聞いたのです私が……。そうしたら上りの電車を出すのをちよつと待つてくれというのです。工手長の発言で、信号掛は、出発の電車は支障するが到着の電車には支障しないと判断もう少し同じような質問ですが、再び確認したところ。ここも長いのですが、要約しますと、工手長が出発する電車を待ってくれと言っていると言うから、単に架線側の問題だろうと思って特段何もせず、駅の助役に工手長が来た旨を電話したのですが、助役に、「上りの電車を出すのをちよつと待つてくれと、工手長が来て言つ、多分架線にどこか不具合があると思うと言ったことを伝えたそうで、その後電話を切って窓外を見やると、電車のパンタグラフ付近から火が出て、それを確認して慌てて再び助役に電話したとしています。○高原証人 いや、まあ申し上げますが、上りの電車を出すのをちよつと待つてくれというのです。それから私が到着の電車は入れてもいいのか、入れてもいいのだろうなと言つたら、着は大丈夫だというのです。着というのは到着のことです。着は大丈夫だというのです。それで中澤さんは電話にかかりました。どこへか――どこへかではない、私中澤さんがかけた電話の内容はよくもわかりませんでしたが、大船の電力区らしいところへ電話をかけておつたようでした。――かけておつたようじやない、かけました。それで電話が終りまして、出て行こうとしたから、私がどうしたのだいと言つてまた聞き直したのです。そうしたら、それには答えないで、私と一緒におる同僚が、下りの電車は行つてもいいのだろうな、上りの電車は出してはだめなんだな、そういうふうに言つておるように私には思えたのです。それで中澤さんが出て行つてしまつた。それで私がホームの助役さんの方に工手長が来た旨を告げべく、ホームに電話をかけたのです。そうしたら相手方は――乗客の方だろうと思いましたが、それは乗客の方ではなくて、神田という駅手だつたそうですが、その人が出まして、私が工手長が来て、上りの電車を出すのをちよつと待つてくれと言つたことを言つたら、何かあつたのかと言いました。何かあつたのかというから何だな、工手長は言わないのだけれども、上りの電車を出すのをちよつと待つてくれと言うから、工手長が来て言つたのだから、多分これは架線にどこか悪いところでもありはしないかと思いまして、どこか架線が悪いのだろうなと言つたら、今度は助役さんがその電話を神田からとつて、そうしてもしもし岩田ですが何ですかと言うから、今工手長が来て、上りの電車を出すのをちよつと待つてくれと言つた。どうしたのだと言うから、どうしたのだな、はつきりしねえのだけれども、何でも架線が悪いらしいのだと言つたら、はつきりしないじや困るじやないか、早く知らせなくちや、確かめてしろ、それでまあ私は腰をかけておりましたが、ちよつと浮かしてみましたところが、だれか、保線の今行つた工手だとそのときは思つたのですけれども、私の信号所の方に向いて来るように思いました。それで私がそのとき助役さんとの応答の電話を切つたかどうか知りません。忘れましたけれども、腰をこう浮かして、こうやつて見ておつた。そのうちに電車が見えた。見えたなと思つてずつと見ておりましたら、ぱつとパンタグラフの付近から火が出たように思えたです。それでその電話を切つたかあるいはかけたかはつきり記憶がないのですが、ああたいへんだ、火が出ちやつたと助役さんの方へかけました。結果的には、十分な互いの意思疎通が出来なかったことで、電車はそのまま垂れ下がった架線に接触、火災事故を起こすことになります。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** ***************************************************************************○塚原委員長代理 高山という方は……。○高原証人 寺山さんですか。○塚原委員長代理 高山という方はおりませんか。○高原証人 高山という方はおりません。○塚原委員長代理 信号の一番の責任者はたれですか。○高原証人 信号の責任者というのは、あるようでないようです。○塚原委員長代理 一番古い人はどなたです。○高原証人 よくわかりませんが、古い人は―信号掛の古い人は、あそこの駅では寺山さんだろうと思います。○塚原委員長代理 普通何人ぐらい信号所に詰めているのですか。○高原証人 毎日二人ずつ詰めております。○塚原委員長代理 この間桜木町駅でああいう大きな事件があつたのですが、そのときに詰めておつたのはあなたとどなたですか。○高原証人 高原と寺山です。○塚原委員長代理 あの事件の状況を簡単に説明してください。○高原証人 当日八時五十分から点呼が始まりまして、九時ごろ点呼が終つて、寺山さんと高原と信号所に行きました。それで前日の人と交代しました。午前中は高原は転撤器の掃除、油をくれたり雑用をしておりました。寺山さんは午前中信号の仕事をやつておりました。それでポイント掃除は十一時ごろ終つたと思います。十一時ごろ終りまして、詰所へ帰つて来て、油の手なんかを洗つて一服吸つて、道具を洗つて、そうして寺山さんと十一時三十分ごろお昼をとりました。それから十二時ごろだと思います。まあ十二時、ずれても五分かそこらぐらい。十二時ごろごはんが終つて、今度は私が交代したのです。私は十二時から二時まで信号に勤務することになつて、十二時から午後二時まで、鉄道では十四時と申しますが、その間十四時まで高原は、信号の仕事をすることになり、寺山さんは十四時まで、仕事になるまで休養することになつて、詰所におりました。それで四〇〇一という不定期電車があるという電話が岩田助役の方から――ホームの方から来たので――不定期の電車があるという通知がホームの方からありまして、そうして不定期があるなと思つておりました。ところが四〇〇一というのが十三時二十六、七分ごころになつて―二十六分よりもつと過ぎておりました。その時分になつてホームから、不定期の電車はとりやめになつた、そういう電話がありました。そのときに、不定期の電車四〇〇一というのは一番に入るということになつておりました。当日は午前から午後にわたつて、自動的に二番線に到着して二番線から発車するようなダイヤになつておつたのです。それでそれがてこによつて自動的に出入りするようになつておつたのですけれども、不定期電車があるというので、その自動を切りかえて、そうして自動でなくして―六Rの自動てこでなく、一RLという一番に入るように――不定期の一四〇一は一番に入るようなダイヤですから、一番の方へ向けておつたのです。そうしたところが十三時二十六、七分ごろ、やめになつたというので、今度元の自動てこに切りかえて、そして二番の方へ向けたのです。その時間はわかりませんが……。それで十三時三十四、五分ごろだと思います。その時分にホームの方から一二七一Bは東神奈川を八、九分遅れるという電話がありました。それで遅れるかと思つていた。そのうちに、ちようど十三時四十分前後だと思いますが、その時分に、電力の工手長が信号所へ入つて来ました。○塚原委員長代理 それは中澤さんですね。○高原証人 中澤さんです。その当時は電力の工手長か何か、あまり工手長ということは知らなかつたんだけれども、その中澤さんという名前も知らなかつたのです。まあ今は中澤さん、知つておりますが、中澤さんが入つて来て、それで、やつちやつたと言いました。信号所に入つて来て……。○塚原委員長代理 何と言つたつて。○高原証人 やつちやつたと言いました。そういうふうに聞えました。それから私は何かあつたのかいと尋ねました。そうしたら中澤さんが言うには、上りの電車を出すのをちよつと待つてくれと言いました。それからどうしたのだい、到着の電車を入れてもいいのかい、入れてもいいだろうなと言いましたら、着は大丈夫だ、到着の電車は入れてもいいのかと私が聞いたものですから、着は大丈夫だというのです。○塚原委員長代理 つまり上り線に入れてもいいというのですか。○高原証人 上り線に入れてもいいという意味なんです。○塚原委員長代理 その点非常に大事なところなんですがね。ひとつ間違いなく言つていただきたいのです。やつちやつた、それであなたがどうしたかと聞いたわけですね。○高原証人 そうです。何かあつたのかと聞いたのです私が……。そうしたら上りの電車を出すのをちよつと待つてくれというのです。○塚原委員長代理 そこであなたが上り線に入れてもかまわないかと言つたら、本人はいいと言つたのですか。○高原証人 いや、まあ申し上げますが、上りの電車を出すのをちよつと待つてくれというのです。それから私が到着の電車は入れてもいいのか、入れてもいいのだろうなと言つたら、着は大丈夫だというのです。着というのは到着のことです。着は大丈夫だというのです。それで中澤さんは電話にかかりました。どこへか――どこへかではない、私中澤さんがかけた電話の内容はよくもわかりませんでしたが、大船の電力区らしいところへ電話をかけておつたようでした。――かけておつたようじやない、かけました。それで電話が終りまして、出て行こうとしたから、私がどうしたのだいと言つてまた聞き直したのです。そうしたら、それには答えないで、私と一緒におる同僚が、下りの電車は行つてもいいのだろうな、上りの電車は出してはだめなんだな、そういうふうに言つておるように私には思えたのです。それで中澤さんが出て行つてしまつた。それで私がホームの助役さんの方に工手長が来た旨を告げべく、ホームに電話をかけたのです。そうしたら相手方は――乗客の方だろうと思いましたが、それは乗客の方ではなくて、神田という駅手だつたそうですが、その人が出まして、私が工手長が来て、上りの電車を出すのをちよつと待つてくれと言つたことを言つたら、何かあつたのかと言いました。何かあつたのかというから何だな、工手長は言わないのだけれども、上りの電車を出すのをちよつと待つてくれと言うから、工手長が来て言つたのだから、多分これは架線にどこか悪いところでもありはしないかと思いまして、どこか架線が悪いのだろうなと言つたら、今度は助役さんがその電話を神田からとつて、そうしてもしもし岩田ですが何ですかと言うから、今工手長が来て、上りの電車を出すのをちよつと待つてくれと言つた。どうしたのだと言うから、どうしたのだな、はつきりしねえのだけれども、何でも架線が悪いらしいのだと言つたら、はつきりしないじや困るじやないか、早く知らせなくちや、確かめてしろ、それでまあ私は腰をかけておりましたが、ちよつと浮かしてみましたところが、だれか、保線の今行つた工手だとそのときは思つたのですけれども、私の信号所の方に向いて来るように思いました。それで私がそのとき助役さんとの応答の電話を切つたかどうか知りません。忘れましたけれども、腰をこう浮かして、こうやつて見ておつた。そのうちに電車が見えた。見えたなと思つてずつと見ておりましたら、ぱつとパンタグラフの付近から火が出たように思えたです。それでその電話を切つたかあるいはかけたかはつきり記憶がないのですが、ああたいへんだ、火が出ちやつたと助役さんの方へかけました。○塚原委員長代理 その辺でいいです。その中澤工手長が信号所へかけつけて来て、やつちやつたと言うときに、あなたは何をやつたかという反問、質問はしなかつたわけですか。
2021.05.23
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長らく更新が出来ませんでしたが、久々に更新させていただきます。今回は、信号掛の審問となります。前回までは、電気工手長の審問でしたが、今回から信号掛の職員の審問となります。信号手は経験年数としては中堅と言える経験年数今回の信号掛の証人は東京駅の信号所から事故を起こす前年の9月には事故があった桜木町駅の信号掛に転勤してきたと証言しております。最終的に、裁判では信号掛の不作為(電気工手長【副手長】が電車の停止手配をしたにも関わらず、伝える側にも問題あったとしても、すぐ停止手配を行わなかったことを罪に問われることになります。ここでは、昭和19年に信号掛の訓練を受けたとしています。○高原証人 信号掛になつたのは、月日ははつきり覚えておりませんが、昭和十九年だろうと思います。十九年の、七月ごろから二箇月半ばかり逗子の海の家で二箇月講習を受けました。そうして講習が終りまして、東京駅の信号掛になりました。それで昨年九月ごろだと思いますが、桜木町の駅の信号掛に転勤したわけです。そうして今日に至つております。○塚原委員長代理 そうすると、あなたが信号手として教育を受けたのは、その逗子における二箇月だけですか。○高原証人 そうです。○塚原委員長代理 あなたは大正十年から鉄道におられるのですが、信号手になるためには、普通の人は現在何箇月くらいの教育を受けて信号手になれるわけですか。○高原証人 それはいろいろありましようか……。○塚原委員長代理 最短期間です。一番短かい期間はどのくらいですか。○高原証人 二箇月くらいが最短期間じやないかと思います。○塚原委員長代理 一番長いのは。○高原証人 長いのは三箇月以上じやないかと思います。○塚原委員長代理 そうすると二箇月ないし三箇月の教育で、信号手としての免許というか、その資格がつくわけですね。○高原証人 つくと思います。証言者は、信号掛としてのキャリアはそれなりにあるようですが、桜木町駅に来たのは最近で有ると証言しているのですが、キャリアからすれば中堅と言えるでしょう。○高原証人 十九年の七月に信号掛になつたのではないのです。七月から講習を受けて、九月ごろから東京駅の信号掛になつたと思います。○塚原委員長代理 それから今日まで、あなたの仕事は全部信号掛ですか。○高原証人 その間において、東京駅で、信号の免許は持つておりましたが、少し警備掛をやつてくれというので、警備掛を少しやつたことがあります。○塚原委員長代理 実際信号の仕事をしたのは、あなたは今まで何年ぐらいありますか、概略でいいですが……。○高原証人 概略六年ぐらいと思います。○塚原委員長代理 常識から見て、六年の経験を持つ信号手というのは、そう多くはないのですか。六年信号手をやつたという人は、相当古い方ですか。○高原証人 古い方じやありません。○塚原委員長代理 新しい方ですか。○高原証人 新しい方でもないと思います。○塚原委員長代理 中間ぐらいですか。○高原証人 中間ぐらいだろうと思います。信号手の指示系統は駅長、大駅では運転掛証人の回答が当を得ていないため何度も質問していますが。指揮系統については、下記のように整理できます。基本的には駅長が運転取扱責任者となりますが、大駅の場合は信号掛のもと、信号手が信号を扱うとされていた証言しています。なお、本人が「運転掛」と発言しているのは、「総括運転掛」と呼ばれる役職で、昭和33年の改正で助役に職名変更されています。余談ですが、昭和37年7月に職制が改正され、それまでは「手」職と「掛」職が分かれており、「掛>手」のような段階がありましたが、この改正で「手」職が整理され、全て「掛」職に変更されています。さらに、「掛」職はその後、「係」職に名称変更されていますが、文字の変更だけで職位の変更等はなかたちょうです。末尾に、その変更に伴う一覧を上げておきます。○塚原委員長代理 どつちですか。いま一度言つてください。直属系統は駅長ですか。○高原証人 直属系統は駅長さん、あるいは駅長さんから運転取扱いの方。駅長あるいは助役、助役さんかあるいは運転掛……。○塚原委員長代理 あるいはというのは、駅長がとにかく直属長官でしよう。○高原証人 駅によりまして助役さんと駅長さんばかりいらつしやる所もある。それで信号掛がいるとすれば、その当務に当つた駅長さんの指揮を受けなければならない。それから反対番の助役さんがいらつしやるときの信号掛の場合は、助役さんの指揮を受けるということになつております。○塚原委員長代理 今の桜木町の駅であなたがやつている仕事はだれの指揮を受けるのですか。○高原証人 当日は助役の指揮を受けておりました。○塚原委員長代理 つまり駅長の出番のときには駅長、駅長の非番のときにはそのかわり出て来た助役の指揮を受ける、こういうのですか。○高原証人 そうです。ただいま申し上げたのは、一つの駅に駅長さんと助役さんがいる場合です。東京駅のようにたくさんいる所では、指揮者は運転掛ということになつております。○塚原委員長代理 それでそういう人より指示を受けて毎日どういう仕事をなさるわけですか。○高原証人 信号所に詰めましてダイヤと時間によつて電車あるいは汽車の運行に注意をしながらやることになつております。○塚原委員長代理 あなたは現在桜木町駅でこういう仕事をされておる信号手としては一番上ですね。○高原証人 いやそうじやありません。あそこには五人おりますが、あそこの所とすれば四番目くらいです。組織改正に伴う職名変更(昭和37年)出典 国鉄線 1962年10月号 営業関係職制改正についてにほんブログ村にほんブログ村**************************以下は、議事録になります******************************○塚原委員長代理 次に高原豊秋証人に証言を求めることにいたします。 高原豊秋さんですね。○高原証人 私、高原豊秋です。○塚原委員長代理 ただいまから桜木町駅国電事故に関する件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者一四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の朗読を願います。 〔証人高原豊秋君朗読〕 宣誓書 良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。○塚原委員長代理 署名捺印してください。 (証人宣誓書に署名捺印〕○塚原委員長代理 これより証言な求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また発言の際は、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なおこちらから質問をしておる場合はおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。 高原豊秋さんは、お幾つですか。○高原証人 四十八歳であります。○塚原委員長代理 簡単でけつこうですから、証人の経歴を述べてください。○高原証人 大正十年九月十六日に田端駅の駅夫として入りましてから今日に至つております。○塚原委員長代理 学校は……。○高原証人 学校は巣鴨商業第二本科を卒業しました。これは業務の余暇に行つたのです。夜学です。○塚原委員長代理 それから大正十年九月十六日に田端の駅夫になられてから、そのあとのことを簡単でけつこうですから、述べてください。○高原証人 それから田端の連結手になりまして、それから池袋、十条、品川車掌区、五反田、大久保、高田馬場、大船と転勤しました。○塚原委員長代理 その間は何をやつておられたのですか。○高原証人 その間は池袋駅にはわずかしかおりませんでしたが、駅夫というわけで入りまして、それで連結の仕事をやりました。それから今度十条駅の駅手になつて行きました。それから十条駅の駅手から踏切着手をやりまして品川車掌区の列車手に転勤しました。それで列車手を少しもやらずに今度列車荷扱手になつて、それから今度五反田駅の、もとは警手といいましたが、警手という職についておりました。それから転轍担務になりました。それから車掌見者いを品川車掌区でやつたこともあります。それで、車掌見習いが終つて大久保駅の改札に行きまして改札から今度大船駅へ、夏のうち少し行きました。今度は高田馬場に、案内掛かと思いましたが、行きまして、それから今度信号掛になつたのです。○塚原委員長代理 その信号掛になつたのはいつですか。○高原証人 信号掛になつたのは、月日ははつきり覚えておりませんが、昭和十九年だろうと思います。十九年の、七月ごろから二箇月半ばかり逗子の海の家で二箇月講習を受けました。そうして講習が終りまして、東京駅の信号掛になりました。それで昨年九月ごろだと思いますが、桜木町の駅の信号掛に転勤したわけです。そうして今日に至つております。○塚原委員長代理 そうすると、あなたが信号手として教育を受けたのは、その逗子における二箇月だけですか。○高原証人 そうです。○塚原委員長代理 あなたは大正十年から鉄道におられるのですが、信号手になるためには、普通の人は現在何箇月くらいの教育を受けて信号手になれるわけですか。○高原証人 それはいろいろありましようか……。○塚原委員長代理 最短期間です。一番短かい期間はどのくらいですか。○高原証人 二箇月くらいが最短期間じやないかと思います。○塚原委員長代理 一番長いのは。○高原証人 長いのは三箇月以上じやないかと思います。○塚原委員長代理 そうすると二箇月ないし三箇月の教育で、信号手としての免許というか、その資格がつくわけですね。○高原証人 つくと思います。○塚原委員長代理 これはどうなんですか、学科が主なのですか。術科が主なのですか。○高原証人 術科が主です。○塚原委員長代理 そうすると、あなたが十九年の七月に信号掛になつて……。○高原証人 十九年の七月に信号掛になつたのではないのです。七月から講習を受けて、九月ごろから東京駅の信号掛になつたと思います。○塚原委員長代理 それから今日まで、あなたの仕事は全部信号掛ですか。○高原証人 その間において、東京駅で、信号の免許は持つておりましたが、少し警備掛をやつてくれというので、警備掛を少しやつたことがあります。○塚原委員長代理 実際信号の仕事をしたのは、あなたは今まで何年ぐらいありますか、概略でいいですが……。○高原証人 概略六年ぐらいと思います。○塚原委員長代理 常識から見て、六年の経験を持つ信号手というのは、そう多くはないのですか。六年信号手をやつたという人は、相当古い方ですか。○高原証人 古い方じやありません。○塚原委員長代理 新しい方ですか。○高原証人 新しい方でもないと思います。○塚原委員長代理 中間ぐらいですか。○高原証人 中間ぐらいだろうと思います。○塚原委員長代理 駅の信号手の職務というものについて簡単に説明してください。○高原証人 信号手は、直属系統は駅長さん、あるいは助役さん、運転掛が直属系統になつております。○塚原委員長代理 どつちですか。いま一度言つてください。直属系統は駅長ですか。○高原証人 直属系統は駅長さん、あるいは駅長さんから運転取扱いの方。駅長あるいは助役、助役さんかあるいは運転掛……。○塚原委員長代理 あるいはというのは、駅長がとにかく直属長官でしよう。○高原証人 駅によりまして助役さんと駅長さんばかりいらつしやる所もある。それで信号掛がいるとすれば、その当務に当つた駅長さんの指揮を受けなければならない。それから反対番の助役さんがいらつしやるときの信号掛の場合は、助役さんの指揮を受けるということになつております。○塚原委員長代理 今の桜木町の駅であなたがやつている仕事はだれの指揮を受けるのですか。○高原証人 当日は助役の指揮を受けておりました。○塚原委員長代理 つまり駅長の出番のときには駅長、駅長の非番のときにはそのかわり出て来た助役の指揮を受ける、こういうのですか。○高原証人 そうです。ただいま申し上げたのは、一つの駅に駅長さんと助役さんがいる場合です。東京駅のようにたくさんいる所では、指揮者は運転掛ということになつております。○塚原委員長代理 それでそういう人より指示を受けて毎日どういう仕事をなさるわけですか。○高原証人 信号所に詰めましてダイヤと時間によつて電車あるいは汽車の運行に注意をしながらやることになつております。○塚原委員長代理 あなたは現在桜木町駅でこういう仕事をされておる信号手としては一番上ですね。○高原証人 いやそうじやありません。あそこには五人おりますが、あそこの所とすれば四番目くらいです。
2021.04.16
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系統が違うため、信号機を消灯させる権限はなかたっと言明ここで注目すべきは、現在でも役所などではそのような傾向がありますが、縦割りな仕組みになっていることだと言えましょう。系統が違えば、直接指揮命令が出来ないという。線路・電気班にしてみれば、信号係に対して直接信号を切り替えさせる命令を出せませんでした。せいぜい、事故が起こったから信号を変更してくれと言うのが精一杯で有ったと思いますが、この時信号の係員は、こうした申し出に対して真摯に対応しておらず、事故発生後、事故のことは知らなかったことにして欲しいと懇願していますが、その事故の重大性を考えれば、知らなかったことにしてくれとは当然のことながらならないでしょう。○田渕委員 そのときに、私はいつも考えるのですが、当時すぐ電気を切らせるという方法があれば、ここまで来なかつたのじやないか、ただ信号手が悪いばかりでなく、こういうような点も、そこに幾分足りないところがあつたのではないか。○中澤証人 信号所では、電気を切れといいましても、その手配はできないと思います。○田渕委員 電話はありませんか。○中澤証人 電話はありますけれども、電気方面のことは全然関係がないのでございますから、そのときに電気を切れといつても、信号所の方には全然その手配はとれないと思います。電気作業員に、列車を止めさせると言うことは思いつかなかったとも言明まあ、こうした後付けの質問というのもどうなのかなぁと思いますが、セクションが違う中で横断的に事故時の訓練などがなされていなければ、連携して列車を止めようとか言う意識は醸成されないのかもしれませんが、少なくとも電気班で架線を垂下させた時点で、列車の防護手配が出来ていれば、このような悲惨な事故は防げたと言えそうです。○田渕委員 それではもう一つ伺いますが、あなたが工事されるときには、そこにいるばかりではなく、一町とか二町とかあるいは千メートルくらいのところに赤旗と青旗と両方持たして、もし危険があつた場合には、赤旗を振るといういうな配置でもしておく、多くは昼間頻繁な電車の運転時間にやるのだから、そういう次善の策もとられなかつたのですか。○中澤証人 とつさの場合で、それは私はできなかつた。○田渕委員 とつさの場合ではない。少くとも頻繁に電車が動いているのですから、架線をやつている間は、相当先の方に事前に配置しておいて、もしも過失があつた場合というような予定のために、一人ぐらい千メートルぐらい先に置いて、故障が出たらすぐ赤旗でも振る、あるいは連絡をするというような配置はいつもしてありませんか。○中澤証人 いや、しております。その現場によつてそれはやつております。現場によりますと、電車の見通しの悪いところというようなところは、二段信号とか、一人ずつと先に置いて、まだそれでも見えないというときには、さらにその先に一人置いてやつております。○田渕委員 将来の災害を防止せんがために努めて国会は動いておると思います。私もそう考えますが、今日までの御経験上、そういう場合には、今も伺い、またあなたからもお答えになつたような手配は、いつもやつておるのですか。○中澤証人 やつております。意思疎通が十分でなかったことで更に被害が大きくなることに最後は総括となるのですが、ここで指摘されているように指示を出す場合は明確にその範囲を指定しないと、自分自身で描いている範囲と、命令受けた側の考えが一致しないと言うことは、多々あることです。今回の例でも、後は頼むと言われた部下は、応急修理と言うことを考えるであろうし、指示を出した方は、電車が来たら止めるだろう期待しているわけで、その時点で互いの考え方に齟齬を生じているわけです。そうした意味では、常に双方の意思疎通を図ると言うことは大事ですし、そのための工夫も忘れてはならないと思います。○山口(武)委員 関連して。念のために一つ聞いておきたいことがあるのです。それは先ほどの証人の証言の際に、架線の取りかえ作業中に、工夫があやまつて線をおろしたために、上り架線が切断した。その際あなたは、あとを頼むと言つて信号所にかけて行つた。○中澤証人 そうです。○山口(武)委員 そのあとを頼むと言つて信号所にかけて行かれたというのは、電車が来たならばとめるようにというような意味であつたのです。こうおつしやいました。○中澤証人 私は架線の方の応急処置と電車が来ても一旦はとめるということを総合して、その意味は言つたのであります。○山口(武)委員 あなたはさつきそこまではつきりは言わなかつたのですが……。電車だけをとめる??だけをとは言わなかつたでしようが、電車をとめることを、あとを頼のむと言つて行つた。○中澤証人 あとを頼むと言つた意味は、私の思うところは、一旦あとを頼むと言つたことは、電車もとめる意味だし、また架線の方の応急処置もまかせる、こういう意味で私は言つたのでございます。○山口(武)委員 信号所へかけつけるということが、すでにあなたは電車をとめるという目的でかけて行つた。応急処置ということの方が、あとを頼むと言つた意味では強かつたのじやないですか。常識的にはそうとれるのです。○中澤証人 私はあまりはつきりそのことはわかりませんが、私とすれば、総合して現場を見てもらうという意味で、あとを頼むと言つたのであります。○山口(武)委員 今私が聞いたのは、先ほどの証人の証言が不明瞭だつたから開いたのです。にほんブログ村にほんブログ村**********************************************************○田渕委員 そのときに、私はいつも考えるのですが、当時すぐ電気を切らせるという方法があれば、ここまで来なかつたのじやないか、ただ信号手が悪いばかりでなく、こういうような点も、そこに幾分足りないところがあつたのではないか。○中澤証人 信号所では、電気を切れといいましても、その手配はできないと思います。○田渕委員 電話はありませんか。○中澤証人 電話はありますけれども、電気方面のことは全然関係がないのでございますから、そのときに電気を切れといつても、信号所の方には全然その手配はとれないと思います。○田渕委員 それではもう一つ伺いますが、あなたが工事されるときには、そこにいるばかりではなく、一町とか二町とかあるいは千メートルくらいのところに赤旗と青旗と両方持たして、もし危険があつた場合には、赤旗を振るといういうな配置でもしておく、多くは昼間頻繁な電車の運転時間にやるのだから、そういう次善の策もとられなかつたのですか。○中澤証人 とつさの場合で、それは私はできなかつた。○田渕委員 とつさの場合ではない。少くとも頻繁に電車が動いているのですから、架線をやつている間は、相当先の方に事前に配置しておいて、もしも過失があつた場合というような予定のために、一人ぐらい千メートルぐらい先に置いて、故障が出たらすぐ赤旗でも振る、あるいは連絡をするというような配置はいつもしてありませんか。○中澤証人 いや、しております。その現場によつてそれはやつております。現場によりますと、電車の見通しの悪いところというようなところは、二段信号とか、一人ずつと先に置いて、まだそれでも見えないというときには、さらにその先に一人置いてやつております。○田渕委員 将来の災害を防止せんがために努めて国会は動いておると思います。私もそう考えますが、今日までの御経験上、そういう場合には、今も伺い、またあなたからもお答えになつたような手配は、いつもやつておるのですか。○中澤証人 やつております。○山口(武)委員 関連して。念のために一つ聞いておきたいことがあるのです。それは先ほどの証人の証言の際に、架線の取りかえ作業中に、工夫があやまつて線をおろしたために、上り架線が切断した。その際あなたは、あとを頼むと言つて信号所にかけて行つた。○中澤証人 そうです。○山口(武)委員 そのあとを頼むと言つて信号所にかけて行かれたというのは、電車が来たならばとめるようにというような意味であつたのです。こうおつしやいました。○中澤証人 私は架線の方の応急処置と電車が来ても一旦はとめるということを総合して、その意味は言つたのであります。○山口(武)委員 あなたはさつきそこまではつきりは言わなかつたのですが……。電車だけをとめる??だけをとは言わなかつたでしようが、電車をとめることを、あとを頼のむと言つて行つた。○中澤証人 あとを頼むと言つた意味は、私の思うところは、一旦あとを頼むと言つたことは、電車もとめる意味だし、また架線の方の応急処置もまかせる、こういう意味で私は言つたのでございます。○山口(武)委員 信号所へかけつけるということが、すでにあなたは電車をとめるという目的でかけて行つた。応急処置ということの方が、あとを頼むと言つた意味では強かつたのじやないですか。常識的にはそうとれるのです。○中澤証人 私はあまりはつきりそのことはわかりませんが、私とすれば、総合して現場を見てもらうという意味で、あとを頼むと言つたのであります。○山口(武)委員 今私が聞いたのは、先ほどの証人の証言が不明瞭だつたから開いたのです。○福田(喜)委員 現場で作業を始める時間は??電車へ乗つて高島町から桜木町まで行かれたということですが、作業開始の時間というのは、その日はきまつておつたのですか。○中澤証人 時間はきまつておりません。○福田(喜)委員 一時半から始めるとかなんとか、そういうことはなかつたのですか。電車で行かれたのは……。○中澤証人 十二時五十八分ごろだと思いますが、詰所を出まして、それから市電で高島町まで行きまして、高島町から桜木町まで東横線で行きまして、それでホームをおりますと、あそこのところは二百メートルか、二百四、五十くらいの距離でございますから、そこまで行つてやつたのであります。○福田(喜)委員 そうすると作業開始の時間は別にきまつているわけではないのですね。○中澤証人 きまつておりません。○福田(喜)委員 そのときの事故を受けた人の中に、これは焼け死んだ前に感電死もあつたということを言う人がありますが、そういうことが考えられますか。○中澤証人 考えられません。○内藤(隆)委員長代理 他に御質問がなければ中澤証人に対する尋問はこれにて終ります。証人には御苦労様でありました。 〔内藤(隆)委員長代理退席、塚原 委員長代理着席〕
2021.03.23
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長らく開いてしまいましたが、桜木町事故の審問についてお話させていただこうと思います。引き続き、電気の工事の責任者である、中澤証人の審問になります。ここで、中澤証人と、区長(現場の作業責任者)との意思疎通が十分ではなく、中澤証人は、電車を停止してくれるものと期待して、「頼むぞ」と言ったにもかかわらず、その意図は伝わらなかったようです。職長の意味を部下が理解できていなかったのではないのか?と言う疑問○石田(一)委員 あなたはあとを頼むぞと言つて……。○中澤証人 私が一旦あとは頼むぞと言つたことは、もし私の帰つて来るまでに電車が来たら、とめてくれるということに私は思つていたんです。○石田(一)委員 もちろんそれはそうなんでしよう。こつちの上り線に入れば確かに事故になると、あなたは確信を持つていらつしやる。しかも今の山口君の質問に答えられたところによると、あなたのすぐ下の人は二十五年か、二十七年か、長い経験があり、あなたと一年くらいしか違わない。そうだとすれば、相当の事故になるということはよく御存じなんだから、二年しか長く勤めた経験を持たないあなたの方が、電車が来ればすぐ必ず自分のかわりにとめてくれるだろうと思つていたのに、とまらないで、そのまま入つて来るということになると、その人は電車の見張りをしていたかどうかわからないように私は思うのですがな。○中澤証人 私もそれは……。..○内藤(隆)委員長代理 結果から見ればそういうことですね。後で、こうすれば良かったのではないかと質問されたとしてもいささか事後の誘導尋問的な質問ではありますが、質問事項としては至極当然のことかと思います、しかし、その反面、指示を出す時の伝え方の難しさというか、指示を受けるものはどこまで意図を理解しているかと確認しなくてはならないというのは、案外現在の職場などでも起こりうる話と言えないでしょうか?○石田(一)委員 それをあなたに聞くのはへんだが、そうすると、信号所と四号柱のところは二、三メートルのところで、そこで電車を見張りしていて、あなた自身はとめるだろうと思つていた。要するに見張りをしている人の、実際の点から言えばできてはいないけれども、これはとめるべきである、私たちはそう考えてもいいですな、あなたがそう思つていらつしやるのですから。現場で電車の見張をしていらつしやる方は、電車が入つて来ればとめるべきである。あなたが信号所に行つたのだから、信号がストップになつているかどうかということを確認して、ストップになつていれば安心して現場に帰つていいがさもなければ、少くとも五十メートル、百メートルの先にいて、そして信号に注意して、青くなつていれば上り線に入らないようにとめる、そういう連絡が少くともなされなければならぬと思うのですが、あなたがお考えになつていかがですか。そういうふうなことをやつてくれればよかつたなということをお考えじやありませんか。○中澤証人 そういうふうには思います。○石田(一)委員 私今お話を聞いていて、あなた自身を責めるわけじやないので、あなたは万全の処置をおとりになつたと思うのですが、しかし、あなたと同じような経験を持つていらつしやる区長という人は、頼むぞと言われて頼まれたのに、まるで信号所に行つているあなたのやつた結果が信号に現われたかどうかを見もしないで、そして電車が過ぎたあと?さつき車掌の方が、手でとまれという合図をしていたと言う、それでは手旗信号もしていなかつた、こういうことになる。さつきのあなたの証言では、車掌はいつもこちらに顏を出しているから、ほとんど見えないとおつしやるのだが、どうもそうなると何か食い違いがあるように思うのですがな。○中澤証人 車掌さんに手を振つたということは、もう事故が起きて、その現場を通り過ぎて、そのうしろで合図したのではないかと思うのです。○石田(一)委員 私も実はさつきそう聞いたのですがそうでないと言うのです。○田渕委員 あなたの部下が架線を切断されたということは過失であつた、こうあなたが直感された。あとを頼むぞというときにさらに、そこへ行つて電気もひとつ切つてくれというような次善の策まで言うてやればよかつたのだというようなことを今お気づきになりませんか。○中澤証人 そういうことはあとでは思いましたが、そのときには思いませんでした。以下は省略にほんブログ村にほんブログ村*******************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** ○石田(一)委員 あなたはあとを頼むぞと言つて……。○中澤証人 私が一旦あとは頼むぞと言つたことは、もし私の帰つて来るまでに電車が来たら、とめてくれるということに私は思つていたんです。○石田(一)委員 もちろんそれはそうなんでしよう。こつちの上り線に入れば確かに事故になると、あなたは確信を持つていらつしやる。しかも今の山口君の質問に答えられたところによると、あなたのすぐ下の人は二十五年か、二十七年か、長い経験があり、あなたと一年くらいしか違わない。そうだとすれば、相当の事故になるということはよく御存じなんだから、二年しか長く勤めた経験を持たないあなたの方が、電車が来ればすぐ必ず自分のかわりにとめてくれるだろうと思つていたのに、とまらないで、そのまま入つて来るということになると、その人は電車の見張りをしていたかどうかわからないように私は思うのですがな。○中澤証人 私もそれは……。○内藤(隆)委員長代理 結果から見ればそういうことですね。○石田(一)委員 それをあなたに聞くのはへんだが、そうすると、信号所と四号柱のところは二、三メートルのところで、そこで電車を見張りしていて、あなた自身はとめるだろうと思つていた。要するに見張りをしている人の、実際の点から言えばできてはいないけれども、これはとめるべきである、私たちはそう考えてもいいですな、あなたがそう思つていらつしやるのですから。現場で電車の見張をしていらつしやる方は、電車が入つて来ればとめるべきである。あなたが信号所に行つたのだから、信号がストップになつているかどうかということを確認して、ストップになつていれば安心して現場に帰つていいがさもなければ、少くとも五十メートル、百メートルの先にいて、そして信号に注意して、青くなつていれば上り線に入らないようにとめる、そういう連絡が少くともなされなければならぬと思うのですが、あなたがお考えになつていかがですか。そういうふうなことをやつてくれればよかつたなということをお考えじやありませんか。○中澤証人 そういうふうには思います。○石田(一)委員 私今お話を聞いていて、あなた自身を責めるわけじやないので、あなたは万全の処置をおとりになつたと思うのですが、しかし、あなたと同じような経験を持つていらつしやる区長という人は、頼むぞと言われて頼まれたのに、まるで信号所に行つているあなたのやつた結果が信号に現われたかどうかを見もしないで、そして電車が過ぎたあと?さつき車掌の方が、手でとまれという合図をしていたと言う、それでは手旗信号もしていなかつた、こういうことになる。さつきのあなたの証言では、車掌はいつもこちらに顏を出しているから、ほとんど見えないとおつしやるのだが、どうもそうなると何か食い違いがあるように思うのですがな。○中澤証人 車掌さんに手を振つたということは、もう事故が起きて、その現場を通り過ぎて、そのうしろで合図したのではないかと思うのです。○石田(一)委員 私も実はさつきそう聞いたのですがそうでないと言うのです。○田渕委員 あなたの部下が架線を切断されたということは過失であつた、こうあなたが直感された。あとを頼むぞというときにさらに、そこへ行つて電気もひとつ切つてくれというような次善の策まで言うてやればよかつたのだというようなことを今お気づきになりませんか。○中澤証人 そういうことはあとでは思いましたが、そのときには思いませんでした。○田渕委員 ただとつさの場合であり、動揺しておつて、非常に興奮した態度であつたから言えなかつたのですか。それとも自分は二十何年の経験を持つておる、ところがこういうような事故が、かつてはなかつたかしらぬけれども、われわれは将来こういう事故防止のためにお願いするのですが、そこに何か物足りない人事を盡した点が足りなかつたのではないかというようなことを思うのです。今から考えるのでなく、絶えず自分らの職域を?なわ張りといいましようか、よけいなことさえしなければ事故は起きない、あるいは自分がうるさくないのだ、普通のことさえやつていればいいのだというような水くさい意味でなくして、ちよつと出過ぎるけれども、信号所のやつにすぐ電気を切るようにせよ、お前ら出て来いと言つて、多少きつくても、大勢の乗つている電車の架線が切れたのだから、必ず大きな事故が起きるというくらいの直感はあつたのでしようね。○中澤証人 ありました。
2021.02.27
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久々に更新したいと思います。今回も、電気工事の現場責任者、中澤氏の証言になりますが、この方はベテランと言うこともあるのでしょうが、その説明は簡潔明瞭に答えており、事故の原因自体は、工事担当者のミスであること、実際にはスパナを落とした程度で、架線が切れるところまでは行かないのではないかと証言していますが、いずれにしても不幸な事例が重なった例と言えそうです。架線が切れた原因は、スパナを工手が落下させたこと○石田(一)委員 そうすると、その架線が切れたというのは、これはふなれのためですが、それとも、自然に老朽していつて碍子に触れて切れたのですか。○中澤証人 まつたくそれは誤つたと私は考えております。○石田(一)委員 その工手が誤つて架線を切つたのですか。○中澤証人 そうだと思います。○石田(一)委員 すると、碍子があぶなくて切れそうだというときには、何かバイスみたいなものではさんでいますね。そして一応かりに切れないようにしておいて工事しているですね。それが切れたということは、工手の方の一応不注意はあつたと私は思うのですけれども……。○中澤証人 まあ線が切れるというようなことはほとんどないと思います。区長は、工手長が現場を離れた意味を本当に理解していたのか?更に質問は続き、現場の部下(区長)に手配を頼むと言ったことは電車を止めると言うことを指しているのかといういささか意地悪とも取れる質問をしています。この質問では、(区長)は中澤氏が電車を止める手続きを取りに言ったとことは理解しており、電車を止める手配をしてもらえると期待していたと証言しています。○石田(一)委員 碍子のところが切れたのですな。それで私が次にお聞きしたいのは、あなたはそれが切れたので、現場を、自分の下の区長ですか、それに頼むと言つていらつしやつたのですね。○中澤証人 そうです。私は電車をとめる手配と、それからその復旧の手配をとつて来るから、一旦頼む、こう言つて私は行つたのであります。○石田(一)委員 それでは区長は、あなたが電車をとめる手続をとりに行つたということを知つていたわけですね。○中澤証人 そうだと思います。○石田(一)委員 しかし、あなたが電車をとめるために信号手にそれを報告に行つているのだけれども、あと現場を頼むと言われた区長は、一応電車なんかが来ればやはり?さつき見張つておるとおつしやつたけれども、見張りを置いておくのでしような。○中澤証人 それは朝からもそういうことで指示してありますから、もちろん電車の来るのは見ているものと私は思つております。中略○石田(一)委員 あなたは別だけれども、現場にいる人から見えませんか、あそこは……。○中澤証人 見えると思います。○石田(一)委員 そうすると、要するに電車を見張つているというのは、あなたのおつしやつたように上り線ですか、向うに入つて行く、これが危険だということは、あとを頼むと言われて引受けた区長さんにはわかるわけですか。○中澤証人 わかると思います。しかし、実際には(区長)は電車を止める手配をしなかったことになり大きな惨事を招くことになるのですが、この辺に関しては中澤氏は、区長の行動に関しては判らないと証言していますが。この辺も、伝達の難しさと言いますか、失敗事例を学んでいく上で貴重なデーターを提供してくれているように思えます。○○のつもり・・・これが一番危ないと言うこと○石田(一)委員 そうすると、あなたは電車をとめに行くと言つたんだから、電車の入る見張りをしている人は、あなたはなるほど電車をとめるために信号所に行つたけれども、はたして信号がかわつているかどうかということを見れば、このときはかわつていなかつたのですから、そうすると、見張りがあの信号所に来る前に四号柱から?そのときは三号柱あたりのところに見張りがいて、その信号を見ながら、その信号が赤になればもちろん安心してこつちへ帰つていいが、いつも青かつたら?私は手旗信号を持つていらつしやるのじやないかと思うのだが、そのときにあなただつたら、それくらいはやるはずですが、区長という人はあとは何もやらなかつたのですか。○中澤証人 どうですか。私が信号所に行つたあとのことは、やつたかやらなかつたかということは、私には全然わからない。単に、国会審問だけとして読むと無味乾燥な話となってきますが、失敗事例とか心理学という観点から考えていくと興味深いものがあると言えそうです。にほんブログ村にほんブログ村*******************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** ○石田(一)委員 ちよつとお尋ねしますが、架線があなたたちが工事しているときに切れたのは、あの事故のあつた当日の何時ごろですか。○中澤証人 切れたときには十三時??大体わかりませんが、私の想像では、十三時半ごろに仕事の準備にかかりまして、それからチエンを張つたり、また手袋をはめたりし、また道具それから材料というようなものを準備して上つて、あれまでの時間になるにはそこにどうしても七、八分ぐらいはかかる、こう思つております。○石田(一)委員 そうすると、その架線が切れたというのは、これはふなれのためですが、それとも、自然に老朽していつて碍子に触れて切れたのですか。○中澤証人 まつたくそれは誤つたと私は考えております。○石田(一)委員 その工手が誤つて架線を切つたのですか。○中澤証人 そうだと思います。○石田(一)委員 すると、碍子があぶなくて切れそうだというときには、何かバイスみたいなものではさんでいますね。そして一応かりに切れないようにしておいて工事しているですね。それが切れたということは、工手の方の一応不注意はあつたと私は思うのですけれども……。○中澤証人 まあ線が切れるというようなことはほとんどないと思います。○石田(一)委員 碍子のところが切れたのですな。それで私が次にお聞きしたいのは、あなたはそれが切れたので、現場を、自分の下の区長ですか、それに頼むと言つていらつしやつたのですね。○中澤証人 そうです。私は電車をとめる手配と、それからその復旧の手配をとつて来るから、一旦頼む、こう言つて私は行つたのであります。○石田(一)委員 それでは区長は、あなたが電車をとめる手続をとりに行つたということを知つていたわけですね。○中澤証人 そうだと思います。○石田(一)委員 しかし、あなたが電車をとめるために信号手にそれを報告に行つているのだけれども、あと現場を頼むと言われた区長は、一応電車なんかが来ればやはり?さつき見張つておるとおつしやつたけれども、見張りを置いておくのでしような。○中澤証人 それは朝からもそういうことで指示してありますから、もちろん電車の来るのは見ているものと私は思つております。○石田(一)委員 それで、今あなたのおつしやつたその信号所から第四号柱ですか、あれまでどのくらいあるのですか。○中澤証人 約二百メートルくらいあるのじやないかと思います。これは私は別にはかつてみませんが、大体……。○石田(一)委員 そういたしますと、第四号柱からあそこのシグナルのあるところは、ほんとうに複線のまたがつた程度近いところですな。○中澤証人 信号機は、四号柱から二メートルか三メートル離れているだけだと思います。○石田(一)委員 あなたが、信号所に行つて電車をとめる処置をとつて、ほかのいろいろな道具を持つて来るように手配するから、あとを頼むぞと言つていらしやつたときに、区長はそれを引受けて、電車の見張りまでしているのですから、四号柱のところから、シグナルがかわつたかかわらないかということは、二メートルか三メートルだつたらわかるはずですね。○中澤証人 私にはわかりません。○石田(一)委員 あなたは別だけれども、現場にいる人から見えませんか、あそこは……。○中澤証人 見えると思います。○石田(一)委員 そうすると、要するに電車を見張つているというのは、あなたのおつしやつたように上り線ですか、向うに入つて行く、これが危険だということは、あとを頼むと言われて引受けた区長さんにはわかるわけですか。○中澤証人 わかると思います。○石田(一)委員 そうすると、あなたは電車をとめに行くと言つたんだから、電車の入る見張りをしている人は、あなたはなるほど電車をとめるために信号所に行つたけれども、はたして信号がかわつているかどうかということを見れば、このときはかわつていなかつたのですから、そうすると、見張りがあの信号所に来る前に四号柱から?そのときは三号柱あたりのところに見張りがいて、その信号を見ながら、その信号が赤になればもちろん安心してこつちへ帰つていいが、いつも青かつたら?私は手旗信号を持つていらつしやるのじやないかと思うのだが、そのときにあなただつたら、それくらいはやるはずですが、区長という人はあとは何もやらなかつたのですか。○中澤証人 どうですか。私が信号所に行つたあとのことは、やつたかやらなかつたかということは、私には全然わからない。
2021.01.29
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久々に更新させていただきます。中澤工手長が、協力会社の社長を知らないのは遺憾ではないかと質問をしているのですが、実際に現場の職員にそうしたことまで求めるのは酷な気がします。ここで質問している、山口(武)委員はについて簡記しておきたいと思います。質問している、議員は、茨城県出身の山口武秀議員で、1933年日本共産党に入党。幾度かの検挙を経て転向し社会大衆党に入党。戦後は、1947年茨城1区から第23回衆議院議員総選挙に日本農民組合所属として出馬し、当選。1949年の第24回衆議院議員総選挙でも労働者農民党から立候補して当選するなど、無産政党の議員として活動するが、その後、1949年に共産党へ再入党。 1952年に日本農民組合が分裂すると、運動方針の対立から1953年に共産党を除名されたとwikipediaには記載されているとおり、農民運動に立脚した立ち位置から、国鉄が十分な給料を出さないので、職員が関連会社で働き、その結果、このような重大な事故を招いたのだという方向に持って行きたかったようですが、結果的に現場長は細かいことは知らないと言うことで、その責を負うのは酷なような気がします。ただ、ここでの質問は、現場の工手長にちょっと厳しいというか、実際そこまでの責任はないと思うのですが、過剰に責任を求めているようにも思えます。○山口(武)委員 私はあなたがこういう仕事をやつておつて、しかもあなたに一番関係のある会社について、その内容も知らない、きわめて大ざつぱなことすらも知らないというのは、たいへんふしぎに思うのですが、どういうものでしようか。○中澤証人 工事は随修でやつておるのか、また工事で起してやるのか、まつたく私にはわからない。○山口(武)委員 たとえばあなたたちが夜営で工事をされるときに、それが応急工事であるというようなことが、当然これはわかるはずです。これがわからないということは、常識で普通考えてもあり得ないはずです。しかも工手長としての常識からいつても、これは知ることが必要でもあります。そういう仕事をあなたたちがなされている、それ以外の請負の場合に、そういう日本電設というようなものがやるというようなことになりますれば、当然想像されてもわかることではありませんか。○中澤証人 想像すればわかりますかもしれませんが、どういうことになつているのかまつたく私にはわからないのです。関連会社に中堅職員が、アルバイトで働いているのではないかとして問いただそうとする、山口委員その後も、山口議員は、ちょっと意地悪とも取れる質問を続けていますが、これはちょっと意図が読み切れないですよね。○山口(武)委員 そうすると、あなたはやつて来いと言われた以外のことはほとんど何も知らないのですか。○中澤証人 知りません。○山口(武)委員 そうするとあなたは現在国鉄の総裁をだれがやつておるかということも知りませんか。○中澤証人 知りません。○山口(武)委員 あなたは加賀山総裁すらも知らないのですか。○中澤証人 知つております。○山口(武)委員 今知らないと言つたのは何ですか。(「ちよつと聞き違えました」と呼ぶ者あり)○中澤証人 今ちよつと聞き違えました。○山口(武)委員 何を聞き違えたのですか。(「何を言つているか全然わかりません」と呼ぶ者あり)○中澤証人 何を言つているのか全然わかりません。○山口(武)委員 あなたは今ほかの委員が言つたことをそのまま言つている。それはきわめて不謹愼な答え方と思うのですが、どうなんですか。○中澤証人 会社のことを聞かれたと思つたので……。○山口(武)委員 私は会社のことは言つていないのですが、日本電設の社長がどういう人だとかいう問題と国鉄の加賀山総裁の名前ぐらいのことは同じことです。(「じようだん言うな」「違うよ」と呼び、その他発言する者多し)○中澤証人 ……。職員が、協力会社でアルバイトしているのではないかと質問を続けるも、明確な回答は得られず引き続き質問が続くのですが、部下が協力会社でアルバイトしたものはいないかといった質問をしているのですが、いささか意地悪な質問が続いているように見受けられ。中澤証人が気の毒に思えてきます。実際に、職員の給料はいくらかとか、アルバイトをしているものがいるのではないかといった質問も、冗長すぎるように感じます。個人的には、国鉄の給料だけでは食べていけないので、アルバイトしているのではないか。それで注意力が散漫になってしまったのではないかという視点で考えていたのではないかと思われますが、ちょっと意地悪すぎるのではと思ってしまった次第です。○山口(武)委員 あなたは工手長をやつておられてあなたの部下があるはずですね。部下はおりませんか。○中澤証人 部下はおります。○山口(武)委員 何名くらい使つておりますか。○中澤証人 十二名おります。○山口(武)委員 この十二名の人などが、日本電設会社というようなものが年度計画において架線の改修を請負つたという場合に、そこヘアルバイトに行つておつたというような話を聞いておりませんか。○中澤証人 そういつたことも全然知りません。○山口(武)委員 全然聞きませんか。○中澤証人 聞きません。中略○山口(武)委員 あなたは工手長ですが、工手がおられるわけですが、この人たちの俸給というのはどのくらいもらつているのですか。○中澤証人 それは年功にもよつて違うから一様には言えません。○山口(武)委員 普通の標準を言つてください。○中澤証人 まあ私のすぐ下の人あたりで八千円から九千五、六百円くらいだと思うのです。中略○山口(武)委員 大体まん中の十二、三年くらい勤めている人はどのくらいとつておりますか。○中澤証人 六千円くらいじやないかと思います。○山口(武)委員 その人たちは家族を持つているのですか。家族を持つているとすれば、それで生活が立つて行くとあなたは考えますか。○中澤証人 それは私としてはあまりわかりませんが、そういう、生活が立つて行けるかどうかということはわかりません。○山口(武)委員 最後に少しはつきり聞いておきたい。あなたは、あなたのような仕事をしている方で、日本電設というような会社がたとえば講負している場合に、そこヘアルバイトに出ている人はないということをはつきり申しておりましたが、これはまたあとで私はあなた以外の人が出て来たとき、より明確に聞きたいと思うのですが、そういうようなアルバイトに出ているというようなことがかりにあつたとすれば、それはそれであなたは仕事の監督上から見てよいと思いますか。○中澤証人 よくないと思つております。私としては、私の知つている限りはそういうことがあれば特に注意します。またもし私に隠れてないしよで行く分には、私には全然そういつたことはわかりません。にほんブログ村にほんブログ村*******************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** ○山口(武)委員 私はあなたがこういう仕事をやつておつて、しかもあなたに一番関係のある会社について、その内容も知らない、きわめて大ざつぱなことすらも知らないというのは、たいへんふしぎに思うのですが、どういうものでしようか。○中澤証人 工事は随修でやつておるのか、また工事で起してやるのか、まつたく私にはわからない。○山口(武)委員 たとえばあなたたちが夜営で工事をされるときに、それが応急工事であるというようなことが、当然これはわかるはずです。これがわからないということは、常識で普通考えてもあり得ないはずです。しかも工手長としての常識からいつても、これは知ることが必要でもあります。そういう仕事をあなたたちがなされている、それ以外の請負の場合に、そういう日本電設というようなものがやるというようなことになりますれば、当然想像されてもわかることではありませんか。○中澤証人 想像すればわかりますかもしれませんが、どういうことになつているのかまつたく私にはわからないのです。○山口(武)委員 そうすると、あなたはやつて来いと言われた以外のことはほとんど何も知らないのですか。○中澤証人 知りません。○山口(武)委員 そうするとあなたは現在国鉄の総裁をだれがやつておるかということも知りませんか。○中澤証人 知りません。○山口(武)委員 あなたは加賀山総裁すらも知らないのですか。○中澤証人 知つております。○山口(武)委員 今知らないと言つたのは何ですか。(「ちよつと聞き違えました」と呼ぶ者あり)○中澤証人 今ちよつと聞き違えました。○山口(武)委員 何を聞き違えたのですか。(「何を言つているか全然わかりません」と呼ぶ者あり)○中澤証人 何を言つているのか全然わかりません。○山口(武)委員 あなたは今ほかの委員が言つたことをそのまま言つている。それはきわめて不謹愼な答え方と思うのですが、どうなんですか。○中澤証人 会社のことを聞かれたと思つたので……。○山口(武)委員 私は会社のことは言つていないのですが、日本電設の社長がどういう人だとかいう問題と国鉄の加賀山総裁の名前ぐらいのことは同じことです。(「じようだん言うな」「違うよ」と呼び、その他発言する者多し)○中澤証人 ……。○山口(武)委員 あなたは工手長をやつておられてあなたの部下があるはずですね。部下はおりませんか。○中澤証人 部下はおります。○山口(武)委員 何名くらい使つておりますか。○中澤証人 十二名おります。○山口(武)委員 この十二名の人などが、日本電設会社というようなものが年度計画において架線の改修を請負つたという場合に、そこヘアルバイトに行つておつたというような話を聞いておりませんか。○中澤証人 そういつたことも全然知りません。○山口(武)委員 全然聞きませんか。○中澤証人 聞きません。○山口(武)委員 それならば、あなたの部下以外の人がそういうところにアルバイトに行つておるといつたような話は聞いたことありませんか。○中澤証人 ありません。○山口(武)委員 そうしますと、あなたはそういうような工事関係の人がアルバイトに行つているというようなことは全然ないと思いますか。○中澤証人 アルバイトというのはどういう意味ですか。○山口(武)委員 たとえばあなたたちのところできめられた仕事をしていて、それから、その仕事以外の時間に向うの請負会社の仕事にさらに使われて仕事をする。○中澤証人 そういうことは知りません。私はただ随修の仕事でやる、こう思つていたのでございます。○山口(武)委員 あなたは私と別な答え方をしているのですが、あなたは、あなたの方の仕事の関係者で、そういうようなアルバイトへ出ているというような場合は完全にないと思うのか。 (「アルバイトというのがわからないんだ」と呼ぶ者あり)○中澤証人 ありません。○山口(武)委員 アルバイトというのがわかりませんか。○中澤証人 アルバイトといいますと、自分の勤めのほかに行つて何か仕事??内職という意味でしよう。??そういうことは全然ありません。○山口(武)委員 あなたは工手長ですが、工手がおられるわけですが、この人たちの俸給というのはどのくらいもらつているのですか。○中澤証人 それは年功にもよつて違うから一様には言えません。○山口(武)委員 普通の標準を言つてください。○中澤証人 まあ私のすぐ下の人あたりで八千円から九千五、六百円くらいだと思うのです。○山口(武)委員 あなたのすぐ下では、これはかなり古い人でしようから、もつと新しい人、もつと低い人のことを……。 〔「基準を言つたらいいじやないか」「初任給か」と呼び、その他発言する者多し〕○内藤(隆)委員長代理 就職して新しいものの大体の俸給はどうかということですか。○山口(武)委員 常識での標準ということを聞いているのですが、年限ということになると、何年いる人が何人というようなことになるから、そういうややつこしいことを言わないで、普通大ざつぱに幾らぐらい……。(「それはむりだ」と呼ぶ者あり)じや、こう聞こう。あなたは十二人いると言われたですね。○中澤証人 そうです。○山口(武)委員 その一番古い年功の人は何年勤めておりますか。○中澤証人 一番古い私は二十九年、二十八年と十箇月くらいであります。それから私の下の者が二十七年くらい、その下の人が二十五、六年くらい、それからさらにずつと下りまして十二、三年くらい、五、六年くらい、三年くらい、こういうような順になつております。○山口(武)委員 大体まん中の十二、三年くらい勤めている人はどのくらいとつておりますか。○中澤証人 六千円くらいじやないかと思います。○山口(武)委員 その人たちは家族を持つているのですか。家族を持つているとすれば、それで生活が立つて行くとあなたは考えますか。○中澤証人 それは私としてはあまりわかりませんが、そういう、生活が立つて行けるかどうかということはわかりません。○山口(武)委員 最後に少しはつきり聞いておきたい。あなたは、あなたのような仕事をしている方で、日本電設というような会社がたとえば講負している場合に、そこヘアルバイトに出ている人はないということをはつきり申しておりましたが、これはまたあとで私はあなた以外の人が出て来たとき、より明確に聞きたいと思うのですが、そういうようなアルバイトに出ているというようなことがかりにあつたとすれば、それはそれであなたは仕事の監督上から見てよいと思いますか。○中澤証人 よくないと思つております。私としては、私の知つている限りはそういうことがあれば特に注意します。またもし私に隠れてないしよで行く分には、私には全然そういつたことはわかりません。
2020.12.07
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久々に、更新させていただきます。今回の事故の原因となった、架線改修工事に関しては、現場サイドは工事に関しては、細かいことを知らされていないとして答弁しています。しかし、実際問題として、細かい工事計画などは現場まで下ろされると言うことは無いので、この質問はいささか、現場の工手長には気の毒な質問のように思えます。手を変え品を変えて。質問されていますが。おそらく、山口委員は、国鉄現場の弛みが有るのでは無いかという点を指摘したかったのだと思いますし、請負の会社に関してもよく知っているのでは無いかとして質問しています。これに関しては、多少なりとも深掘りする内容も無いため、今回はこのまま終わらせていただこうと思います。○山口(武)委員 この架線改修工事はいつから始められたのですか。○中澤証人 それは四月の初めころかと思いますが、日はあまりはつきりわかりません。四月の初めころから始めたと思います。中略○山口(武)委員 私はあなたの答弁は、ちよつと常識では納得の行かないものがあると思うのです。なぜかと申しますと、長く工事をしておりますれば、当然そういうことは普通の仕事の状況を見てもわかるはずですし、それから仕事の流れて来る系統というものから見ても、当然あなたの方で教えられるか、あるいは教えられなくとも察知できるはずだと思いますが、それがわからないとおつしやられるのはどういうことですか。○中澤証人 私は、どういうためにとりかえるかということはあまりよくわかりませんが、碍子が大分老朽になつておるので、そのためにとりかえをしろということだけだと思います。○山口(武)委員 普通この架線の改修をやります場合に、年度計画の場合には請負いでやらせる、それから突発的な応急工事の場合には直営でやる、こういうようにわれわれは聞いたのでありますが、この工事はどうなつておりますか。○中澤証人 私にもあまりそういつたことはわかりませんので……。○山口(武)委員 きわめて重大な問題なんですが、あなたはわからない、わからないと言われますが、これは当然私は職場にある人として、こういう問題がわからないというのは少し納得が行かない。たとえばあなたはこういうことを知つておらないですか。この改修をなされる場合に、請負いをするという場合に、日本電設何とかという会社があります。これはこれまで国鉄の中に勤めておりまして、退職した人たちが関係して行つている会社でありますが、それが国鉄からそういう仕事を請負わされて仕事をしているということを御承知でありますか。○中澤証人 あまりそういつたことは知りません。どういう関係でこの碍子とりかえ工事が起つていたかということは、まつたく私にはわからない。ただその碍子をとりかえてくれ、こういう指示があつてやつていただけであります。○山口(武)委員 あなたは日本電設会社とかいうものを御存じありませんか。○中澤証人 日本電設工事会社というものは知つております。○山口(武)委員 この会社が、国鉄の退職者の人の手によつて大体構成されているということを御存じですか。○中澤証人 私にはわかりません。○山口(武)委員 そうするとあなたは、この会社の社長も、専務も知りませんか。○中澤証人 知りません。○山口(武)委員 名前ぐらい知つておりませんか。○中澤証人 名前も知りません。続く実際に、現場の職長に下請け会社の社長であるとかを知っているというのは、非常に難しかろうと思います。ちなみに、日本電設会社は、日本電設工業株式会社が正式名称で、鉄道省の電気工事指定業者121社と電気機器・電線等の指定製造業者15社が共同出資して、昭和17年(1942)12月15日、鉄道省の鉄道電気工事を独占的に請負う会社として発足したもので、当初は「鉄道電気工業株式会社」と呼ばれたそうです。1949年(昭和24年)7月、国鉄が公社化された、電気工事の発注が一般競争入札となったことを機に、社名も「日本電設工業株式会社」に変更されたと記録されています。現在は、JR東日本の連結決算子会社となっているそうです。にほんブログ村にほんブログ村*******************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** ○山口(武)委員 この架線改修工事はいつから始められたのですか。○中澤証人 それは四月の初めころかと思いますが、日はあまりはつきりわかりません。四月の初めころから始めたと思います。○山口(武)委員 この架線改修工事は年度計画に基いての改修であるのか、それとも突発的にそこに故障が生じていたのに対する応急的な工事であるのか、いずれでしようか。○中澤証人 それは私にはわかりません。○山口(武)委員 あなたは工手長でして、しかも先ほどからの話を聞いておりますと、長くこの仕事に従事しておりまして、架線の状況から見ても、それが年度改修であるか、それとも突発的な故障によつてそれの応急措置を講じたのか、見わけがつかないと言われるのですか。○中澤証人 私はただこういう工事に対して、碍子をとりかえてくれとかいうことを指示されてとりかえるだけでありまして、年度計画の工事か、応急工事かということは、私にはよくわかりません。○山口(武)委員 私はあなたの答弁は、ちよつと常識では納得の行かないものがあると思うのです。なぜかと申しますと、長く工事をしておりますれば、当然そういうことは普通の仕事の状況を見てもわかるはずですし、それから仕事の流れて来る系統というものから見ても、当然あなたの方で教えられるか、あるいは教えられなくとも察知できるはずだと思いますが、それがわからないとおつしやられるのはどういうことですか。○中澤証人 私は、どういうためにとりかえるかということはあまりよくわかりませんが、碍子が大分老朽になつておるので、そのためにとりかえをしろということだけだと思います。○山口(武)委員 普通この架線の改修をやります場合に、年度計画の場合には請負いでやらせる、それから突発的な応急工事の場合には直営でやる、こういうようにわれわれは聞いたのでありますが、この工事はどうなつておりますか。○中澤証人 私にもあまりそういつたことはわかりませんので……。○山口(武)委員 きわめて重大な問題なんですが、あなたはわからない、わからないと言われますが、これは当然私は職場にある人として、こういう問題がわからないというのは少し納得が行かない。たとえばあなたはこういうことを知つておらないですか。この改修をなされる場合に、請負いをするという場合に、日本電設何とかという会社があります。これはこれまで国鉄の中に勤めておりまして、退職した人たちが関係して行つている会社でありますが、それが国鉄からそういう仕事を請負わされて仕事をしているということを御承知でありますか。○中澤証人 あまりそういつたことは知りません。どういう関係でこの碍子とりかえ工事が起つていたかということは、まつたく私にはわからない。ただその碍子をとりかえてくれ、こういう指示があつてやつていただけであります。○山口(武)委員 あなたは日本電設会社とかいうものを御存じありませんか。○中澤証人 日本電設工事会社というものは知つております。○山口(武)委員 この会社が、国鉄の退職者の人の手によつて大体構成されているということを御存じですか。○中澤証人 私にはわかりません。○山口(武)委員 そうするとあなたは、この会社の社長も、専務も知りませんか。○中澤証人 知りません。○山口(武)委員 名前ぐらい知つておりませんか。○中澤証人 名前も知りません。
2020.11.23
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久々に更新させていただきます。今回も中澤証人の証言が続きますが信号係は電気の職長を無視していたのか?以下のやりとりでは、事故発生後中澤職長は信号所に飛び込み、上り線に電車を入れないことを強く申し入れしたのですが、信号係はその命令?を聞かなかったと、思われる節が多々あり、以下の記述でもでみることが出来ます。○福田(喜)委員 あなたが信号所に飛び込みまして、えらいことになる、上り線に電車を入れてはだめだと言われたのですが、そのとき信号所におきまして――われわれしろうとですからよくわかりまんけれども、信号所はスイツチ一つで、信号所自身で上り線に入れないような措置ができるのですか。○中澤証人 できます。できると思います。○福田(喜)委員 それを怠つたわけですね。○中澤証人 怠つたか怠らないか、私にはわかりません。○福田(喜)委員 あなたがそういうことを言つたのは、電車が来る……。○中澤証人 全然見えないときです。職長の依頼は信号掛に無視される事にこの時点で、中澤証人は電車が進入する前にポイントを切り替えるように伝えていますし、電車が見えないときと言うことですから、まだ十分にポイントを切り替えることは出来たと思われますし。証言の内容では、「スイツチ一つで、信号所自身で上り線に入れないような措置ができるのですか。」と質問をしていますので、当然のことながら、継電連動装置のことを指していると思われます。さらに、この事故の後助役が、呼びに来たと言う質問を受けていますが、この時の様子も、助役の対応も少し首をかしげるというか、指揮命令系統がなっていないと言えるわけで、助役からは具体的な指示を受けていないと証言しています。画像 出典 wikipedida:継電連動装置 の画像○福田(喜)委員 それから第二点は、あの騒ぎの最中に助役があなたを呼びに来たと言いましたね。○中澤証人 はい。○福田(喜)委員 それは電車に火がついてどんどん燃え出してからですか。○中澤証人 そうです。○福田(喜)委員 発火してからどのくらいたって……。○中澤証人 発火して、時間でどうもはっきり私もどれくらいという時間の予測が立ちませんが、助役さんが来てくれというときには、相当時間がたつたと思います。○福田(喜)委員 助役ははたして自分で呼んだのですか、だれかに呼ばせたのですかわかりませんか。○中澤証人 それはどうかわかりませんが、信号手が、さつきから見つけていたが、助役さんが用事があるから早く行ってくれ、こう、いました。○福田(喜)委員 助役がそのときにあなたに言つたのは、現場で何か事故を起した、だから火事を鎮火さすとか、あるいは応急措置を講ずることを命じたのですか。○中澤証人 いやそうではないと思います。○福田(喜)委員 どういうことを言つたのですか。○中澤証人 その事故の原因を、大体どういうことで事故が起ったかということを、助役さんは聞いたのではないかと思います。○福田(喜)委員 事故の原因を聞いただけで、応急措置を講ずることを何ら指令はしなかつたわけですか。○中澤証人 何にも指令はありません。信号係とのやりとりについて質問されていますが。信号所に飛び込んでいって、信号手に向かって、中澤証人は最初に、ポイントとの切換をしてくれと強く頼んだと言っており、下記のような会話がおこなわれたと証言しています。信号掛の不作為が惨事を招くことに「飛び込むとすぐに、上り線が断線したので、上り線側に入れてもらつては困る、頼む、とこう力を入れて言いましたら、上りがだめなら下り線はどうかと向うでも力を入れてこう聞きましたから、私は、下り線に入れる分にはさしつかえない、こう言つたのに対して、信号所の方は、そうかとまた向うも力を入れたのであります。ですから私としては十分納得ができた、こう思いまして、話を一応打切つたのであります。」ここで、中澤証人は少なくともポイントは切り換えられると思うには十分な確信を得たと言えそうです。しかし実際には事故が発生するまで信号手はポイントを切り換えなかっ事による惨事が起きてしまいました。○田渕委員 架線が落ちて、これはえらいことをしたと思つてあなたが信号所に行かれたときに、今から考えてみると、もう少しきつく、えらいことになった、すぐ電車をとめる信号を出せと言つたら、信号手はやつたのではないですか、どうでしよう。○中澤証人 私が一旦現場はみな頼むと言つた意味は、私のいないときには、副長というものが全部私のかわりに責任を持って、架線の方も見てくれる、また電車が来たらとめてくれる、こういうふうにやってくれるものと思つて、私は現場を頼むと言って行つたのであります。○田渕委員 ところが信号手が――もちろんあとで知らなかつたと隠すことはよくわかるのですけれども、この場合にあなたが、自分の権限あるいは職場を越すかもわからないけれども、とにかく自分が架線の方をやっているので、その架線が切れた、電車がえらいことになる、だから何としてもここで電車をとめなければならぬのだからというわけで、信号手におとなしい態度で、えらいことをした、ちょっと電車をとめてくれ、こう言うのと、たいへんなことだ、すぐこれをやらなければ大事が起るというようにきつく言うのと、信号手の受ける感じが非常に違うと思うのですが、それはどうでしようか。○中澤証人 私の力を入れたところは、一旦現場を頼む、とこう言って行つたのであります。○田渕委員 それはあなたの部下に言つたことで、高原信号手にあなたが言つたときに、あなたが、えらいことをした、とめてくれ、こう言うのと、たいへんなことになってしまった、こう言って叱責するようにきつく言うのと、そこの違いですが……。○中澤証人 信号手ですか。○田渕委員 ええ、きつくばばつとすぐにも信号に手をかけるくらいに……。○中澤証人 それはやはり飛び込んだときに、私は一番先にそれを強く言つたのであります。○田渕委員 相当大きい声で……。○中澤証人 そうです。もう入られたらこれは最後だと思いまして、飛び込むとすぐに、上り線が断線したので、上り線側に入れてもらつては困る、頼む、とこう力を入れて言いましたら、上りがだめなら下り線はどうかと向うでも力を入れてこう聞きましたから、私は、下り線に入れる分にはさしつかえない、こう言つたのに対して、信号所の方は、そうかとまた向うも力を入れたのであります。ですから私としては十分納得ができた、こう思いまして、話を一応打切つたのであります。○田渕委員 それは、そのときの様子とすれば相当熱心に言われたことと思いますが、信号手はそのときにいすに腰かけておったのですか。立つておりましたか。○中澤証人 一人の専任の信号手は立つておりました。一人の信号手の方は、あまりはっきりはしませんが、腰かけていたように思われます。続くにほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** ○福田(喜)委員 証人に一、二点お伺いいたしますが、五号柱と信号所までどのくらい距離がありますか。○中澤証人 三十五メートルくらいじやないかと思います。○福田(喜)委員 あなたが信号所に飛び込みまして、えらいことになる、上り線に電車を入れてはだめだと言われたのですが、そのとき信号所におきまして――われわれしろうとですからよくわかりまんけれども、信号所はスイツチ一つで、信号所自身で上り線に入れないような措置ができるのですか。○中澤証人 できます。できると思います。○福田(喜)委員 それを怠つたわけですね。○中澤証人 怠つたか怠らないか、私にはわかりません。○福田(喜)委員 あなたがそういうことを言つたのは、電車が来る……。○中澤証人 全然見えないときです。○福田(喜)委員 それから第二点は、あの騒ぎの最中に助役があなたを呼びに来たと言いましたね。○中澤証人 はい。○福田(喜)委員 それは電車に火がついてどんどん燃え出してからですか。○中澤証人 そうです。○福田(喜)委員 発火してからどのくらいたって……。○中澤証人 発火して、時間でどうもはっきり私もどれくらいという時間の予測が立ちませんが、助役さんが来てくれというときには、相当時間がたつたと思います。○福田(喜)委員 助役ははたして自分で呼んだのですか、だれかに呼ばせたのですかわかりませんか。○中澤証人 それはどうかわかりませんが、信号手が、さつきから見つけていたが、助役さんが用事があるから早く行ってくれ、こう、いました。○福田(喜)委員 助役がそのときにあなたに言つたのは、現場で何か事故を起した、だから火事を鎮火さすとか、あるいは応急措置を講ずることを命じたのですか。○中澤証人 いやそうではないと思います。○福田(喜)委員 どういうことを言つたのですか。○中澤証人 その事故の原因を、大体どういうことで事故が起ったかということを、助役さんは聞いたのではないかと思います。○福田(喜)委員 事故の原因を聞いただけで、応急措置を講ずることを何ら指令はしなかつたわけですか。○中澤証人 何にも指令はありません。○田渕委員 架線が落ちて、これはえらいことをしたと思つてあなたが信号所に行かれたときに、今から考えてみると、もう少しきつく、えらいことになった、すぐ電車をとめる信号を出せと言つたら、信号手はやつたのではないですか、どうでしよう。○中澤証人 私が一旦現場はみな頼むと言つた意味は、私のいないときには、副長というものが全部私のかわりに責任を持って、架線の方も見てくれる、また電車が来たらとめてくれる、こういうふうにやってくれるものと思つて、私は現場を頼むと言って行つたのであります。○田渕委員 ところが信号手が――もちろんあとで知らなかつたと隠すことはよくわかるのですけれども、この場合にあなたが、自分の権限あるいは職場を越すかもわからないけれども、とにかく自分が架線の方をやっているので、その架線が切れた、電車がえらいことになる、だから何としてもここで電車をとめなければならぬのだからというわけで、信号手におとなしい態度で、えらいことをした、ちょっと電車をとめてくれ、こう言うのと、たいへんなことだ、すぐこれをやらなければ大事が起るというようにきつく言うのと、信号手の受ける感じが非常に違うと思うのですが、それはどうでしようか。○中澤証人 私の力を入れたところは、一旦現場を頼む、とこう言って行つたのであります。○田渕委員 それはあなたの部下に言つたことで、高原信号手にあなたが言つたときに、あなたが、えらいことをした、とめてくれ、こう言うのと、たいへんなことになってしまった、こう言って叱責するようにきつく言うのと、そこの違いですが……。○中澤証人 信号手ですか。○田渕委員 ええ、きつくばばつとすぐにも信号に手をかけるくらいに……。○中澤証人 それはやはり飛び込んだときに、私は一番先にそれを強く言つたのであります。○田渕委員 相当大きい声で……。○中澤証人 そうです。もう入られたらこれは最後だと思いまして、飛び込むとすぐに、上り線が断線したので、上り線側に入れてもらつては困る、頼む、とこう力を入れて言いましたら、上りがだめなら下り線はどうかと向うでも力を入れてこう聞きましたから、私は、下り線に入れる分にはさしつかえない、こう言つたのに対して、信号所の方は、そうかとまた向うも力を入れたのであります。ですから私としては十分納得ができた、こう思いまして、話を一応打切つたのであります。○田渕委員 それは、そのときの様子とすれば相当熱心に言われたことと思いますが、信号手はそのときにいすに腰かけておったのですか。立つておりましたか。○中澤証人 一人の専任の信号手は立つておりました。一人の信号手の方は、あまりはっきりはしませんが、腰かけていたように思われます。
2020.11.15
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久々に更新させていただきます。今回も、(国電電気工手長) 中澤 重ニ氏の証言になります。電気工手長は、始業前点呼で事故後の対応を含めて指示は出していた?ベテランらしく、的確に事故発生前に、朝の点呼で、詳細はわからないですが停止手配を場合によってはすることを、指示を出していたことが理解できます。証言によりますと、車掌は線路工手(電気工事者)が手を振って止めようとしているのをみたと下記のように証言しています。○内藤(隆)委員長代理 さいぜんの証人は信号を見たというのですが、あなたは列車をとめる信号をしたのですか。○中澤証人 私は朝の点呼で信号かたがた働けという指示をしておきましたので、私が信号しておったわけではないので……。○内藤(隆)委員長代理 そうすると工手の中に信号した者がいたかもしれないのですね。○中澤証人 はっきりそれはわかりませんが、朝からそういうふうに電車を見張りかたがた仕事をしろという指示をしておいたので、その場合架線が切れたことを気がついていて、その方は出したか出さないかということはあまりはっきりしておりません。○内藤(隆)委員長代理 だれかやつた者がおるかどうかわからないのですね。○中澤証人 はあ、私には……。○内藤(隆)委員長代理 車掌は確かにその信号を見たというのです。大体あなたの話す道はまとまつておるようですな。 他に御質問はありませんか。島田君。ここで、中澤証人は、部下に何ああったら、止める手配をしろと支持をしたとしていますが、実際には誰が合図をしたかまではわかりかねるとしています。ただ、どのタイミングで線路工手が停止のための信号を出したのかはわからない、しかし、その作業者も列車を停止させないと危険であることは意識していたと下記のように証言しております。○島田委員 先ほどの証言では、工夫が手でもつて停止信号のつもりでやっておったということを、車掌が電車が入構前十メートルばかりうしろで見たというふうに証言いたしておりますが、その工夫が手でもつて信号しておったのは、電車が入構前からだったでしようか、あるいは車掌が見たころからだったでしようか、これはわかりませんか。○中澤証人 車掌が手を振つたということは、もう最初の事故現場より電車はずつと先に行きまして、それで車掌に見えたと私は思います。○島田委員 工夫はあらかじめその架線がすでに切断されておったことを知っておったのであるから、電車が入つてはいけないということを、あなたと一緒に当然知っておったはずですね。○中澤証人 知っております。○島田委員 それで電車が入る前に気がついてそういう手でもつて信号しておったのか、あるいはうつかりしておつて電車が入つて来てあわてて信号したのでしようか、どちらですか。○中澤証人 それは私にはわかりません。○島田委員 確かめたことはありませんか。○中澤証人 確かめたこともありません。全然わかりません。事故発生後に信号所から電話で電力の停止手配を依頼さらに、ここで中澤証人は、信号所員に信号の切換を依頼しましたが、無視されその結果重大な事故を引き起こすこととなり、すぐさま変電所からの停止手配を取るのですが、横浜側は、すぐに給電を停止したものの、鶴見側は停止手配が出来ず、約5分間電流が流れ続けたことも原因の一つとされています。以下は、wikipediaからの引用桜木町駅付近の架線に電気を供給していたのは横浜変電所と鶴見饋電区分所であったが、横浜変電所は高速度遮断器が作動し給電を停止できたものの、鶴見饋電区分所の高速度遮断器が作動せず、約5分間に亘ってさらに遠方の川崎変電所から架線に電気が流れ続けたことも火勢を強めた要因とされている。引用終わり○島田委員 それから信号所ではすぐにあなたが注意したにもかかわらず、そういう信号をしなかつたということはいかにも不注意きわまると思うのですが、同時にあなたが電車が燃えてこれはたいへんだというのでさらに信号所にかけつけて、大船の発電所ですか、送電所ですか、そこに電話をかけて、電気をとめてもらつたという間は相当あつたと思うのですが、その信号所はその処置をとれれば、早く電気を切断して事故を大きくせずに済んだろうと思うのでが、これに対するお考えはどうでしよう。○中澤証人 もうこれ以上は早く電気をとめてくれということはできないと思います。私はもう電車がとまると同時にすぐそばにかけて行きまして、その瞬間先ほど申しましたように電車の中にスパークが吹き込んでおるので、お客さんが飛び歩いている、そういつたときに瞬間的にドアを開けようと思いましたけれども、早くそれより電気をとめなければたいへんなことになる、こう思いまして、急いで信号所に飛び込みましたので、もうこれ以上は電気を早くとめることはできないと思います。さらに、信号所員が電力区に連絡すれば良かったのではないかという質問に対し、当時の縦割り組織では、新御所の職員が電力を止める手配は出来なかったというか、出来るような仕組みはなかったと証言しています。○島田委員 あなたの場合はずいぶん努力をせられ、それ以上電力を早くとめることはできなかつたと思いますが、信号所におる者は、あなたがそのスパークしたのを見つけて電車のそばまで行って、ドアでもあけてみたいという気持がどうにもならず、それでさつそく引返して信号所に行って電話をかけたというこの時間は、何分かあつたろうと思いますが、その間信号所が機転をきかして、最初に目撃するごく手近にあつたようですが、信号所がすぐに大船へ電話して電気をとめたら、相当事故の惨劇が少くて済んだのではないですか。○中澤証人 その点は信号所の方には電気をとめるというようなことはちょっとわからないと思います。○島田委員 そういうふうにふだん教育されていないのですか、責任外というわけですか。○中澤証人 信号所の方はそういう方面に全然経験がないと思います。○島田委員 知識がないというわけですね。○中澤証人 そうだと思います。○島田委員 かりにもし知識があれば、不注意さえなくて、すぐに電話しておけば、よほど手まわしよく電気がとまつただろうということになるわけですね。○中澤証人 そうです。電力工事は、昼間も活線化した状態で行われたことに対する疑問さらに、質問事項として、電車のこうした工事は本来夜間に行うのではないかという質問に対して質問していますが、これに対しては、碍子交換工事は、昼間に行って欲しいという指示を受けたとしており、頻繁に電気を通したままで工事が行われていたと証言しています。○内藤(隆)委員長代理 もう一、二点伺いますが、電車の運行の頻繁なそういう場所の架線工事は、電車の運転中は危険だからやらないで、深夜にそういう架線工事をやるというようなことはないのですか。○中澤証人 そういつたこともあります。今度の場合は、私は一度そう言つたこともありますが、この工事はどこでもやっておるから昼間やってくれ、こういうふうに命令されてやっていたのでございます。○内藤(隆)委員長代理 するとその命令は何か予算の関係か、あるいはまた人の関係か……。○中澤証人 そういつたことは私には全然わかりません。ただこういつた仕事をしてくれ、こういうので、仕事の方だけはやっておりましたが、どういう関係でやるのか、私には全然わかりません。○内藤(隆)委員長代理 それからあなたもしくは電気の工夫が、電車の事故が発生した後、乗客の収容に努められたかどうか。そこにおった人々が……。○中澤証人 その方も私には全然わかりません。○内藤(隆)委員長代理 あなたはただ信号所の方に急いでおつて、あとの方はどうしたかということはわからないのですね。○中澤証人 わかりません。実際、昼間時における活線工事(電気を通したままで、作業すること)は、その後も行われていたようです。下図の写真は、昭和36年の鉄道広報誌R(1等車に設置されていた国鉄広報誌で、乗客が自由に持ち帰ることが出来た)に掲載されていた国鉄の職場を紹介したもので、下を電車が走っていることから昼間に電気作業が行われていたことが確認できます。鉄道広報誌R 1961年4月号から引用この後も証言は続くのですが、長くなりそうなのでここでひとまず切らせていただきます。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** *********************桜木町事故国会審問の議事録************************○内藤(隆)委員長代理 さいぜんの証人は信号を見たというのですが、あなたは列車をとめる信号をしたのですか。○中澤証人 私は朝の点呼で信号かたがた働けという指示をしておきましたので、私が信号しておったわけではないので……。○内藤(隆)委員長代理 そうすると工手の中に信号した者がいたかもしれないのですね。○中澤証人 はっきりそれはわかりませんが、朝からそういうふうに電車を見張りかたがた仕事をしろという指示をしておいたので、その場合架線が切れたことを気がついていて、その方は出したか出さないかということはあまりはっきりしておりません。○内藤(隆)委員長代理 だれかやつた者がおるかどうかわからないのですね。○中澤証人 はあ、私には……。○内藤(隆)委員長代理 車掌は確かにその信号を見たというのです。大体あなたの話す道はまとまつておるようですな。 他に御質問はありませんか。島田君。○島田委員 先ほどの証言では、工夫が手でもつて停止信号のつもりでやっておったということを、車掌が電車が入構前十メートルばかりうしろで見たというふうに証言いたしておりますが、その工夫が手でもつて信号しておったのは、電車が入構前からだったでしようか、あるいは車掌が見たころからだったでしようか、これはわかりませんか。○中澤証人 車掌が手を振つたということは、もう最初の事故現場より電車はずつと先に行きまして、それで車掌に見えたと私は思います。○島田委員 工夫はあらかじめその架線がすでに切断されておったことを知っておったのであるから、電車が入つてはいけないということを、あなたと一緒に当然知っておったはずですね。○中澤証人 知っております。○島田委員 それで電車が入る前に気がついてそういう手でもつて信号しておったのか、あるいはうつかりしておつて電車が入つて来てあわてて信号したのでしようか、どちらですか。○中澤証人 それは私にはわかりません。○島田委員 確かめたことはありませんか。○中澤証人 確かめたこともありません。全然わかりません。○島田委員 それから信号所ではすぐにあなたが注意したにもかかわらず、そういう信号をしなかつたということはいかにも不注意きわまると思うのですが、同時にあなたが電車が燃えてこれはたいへんだというのでさらに信号所にかけつけて、大船の発電所ですか、送電所ですか、そこに電話をかけて、電気をとめてもらつたという間は相当あつたと思うのですが、その信号所はその処置をとれれば、早く電気を切断して事故を大きくせずに済んだろうと思うのでが、これに対するお考えはどうでしよう。○中澤証人 もうこれ以上は早く電気をとめてくれということはできないと思います。私はもう電車がとまると同時にすぐそばにかけて行きまして、その瞬間先ほど申しましたように電車の中にスパークが吹き込んでおるので、お客さんが飛び歩いている、そういつたときに瞬間的にドアを開けようと思いましたけれども、早くそれより電気をとめなければたいへんなことになる、こう思いまして、急いで信号所に飛び込みましたので、もうこれ以上は電気を早くとめることはできないと思います。○島田委員 あなたの場合はずいぶん努力をせられ、それ以上電力を早くとめることはできなかつたと思いますが、信号所におる者は、あなたがそのスパークしたのを見つけて電車のそばまで行って、ドアでもあけてみたいという気持がどうにもならず、それでさつそく引返して信号所に行って電話をかけたというこの時間は、何分かあつたろうと思いますが、その間信号所が機転をきかして、最初に目撃するごく手近にあつたようですが、信号所がすぐに大船へ電話して電気をとめたら、相当事故の惨劇が少くて済んだのではないですか。○中澤証人 その点は信号所の方には電気をとめるというようなことはちょっとわからないと思います。○島田委員 そういうふうにふだん教育されていないのですか、責任外というわけですか。○中澤証人 信号所の方はそういう方面に全然経験がないと思います。○島田委員 知識がないというわけですね。○中澤証人 そうだと思います。○島田委員 かりにもし知識があれば、不注意さえなくて、すぐに電話しておけば、よほど手まわしよく電気がとまつただろうということになるわけですね。○中澤証人 そうです。○内藤(隆)委員長代理 もう一、二点伺いますが、電車の運行の頻繁なそういう場所の架線工事は、電車の運転中は危険だからやらないで、深夜にそういう架線工事をやるというようなことはないのですか。○中澤証人 そういつたこともあります。今度の場合は、私は一度そう言つたこともありますが、この工事はどこでもやっておるから昼間やってくれ、こういうふうに命令されてやっていたのでございます。○内藤(隆)委員長代理 するとその命令は何か予算の関係か、あるいはまた人の関係か……。○中澤証人 そういつたことは私には全然わかりません。ただこういつた仕事をしてくれ、こういうので、仕事の方だけはやっておりましたが、どういう関係でやるのか、私には全然わかりません。○内藤(隆)委員長代理 それからあなたもしくは電気の工夫が、電車の事故が発生した後、乗客の収容に努められたかどうか。そこにおった人々が……。○中澤証人 その方も私には全然わかりません。○内藤(隆)委員長代理 あなたはただ信号所の方に急いでおつて、あとの方はどうしたかということはわからないのですね。○中澤証人 わかりません。○塚原委員 先ほどからの証言を聞いておりまして、あなたが部下に命じた工事が故障を来した。これでは上り線に電車が入ることは非常に危険である、入れてはいけないという気持から、信号所にその旨の連絡をされたことは事実ですね。○中澤証人 そうです。○塚原委員 そのとき、あなたは相当強い信念で信号所に連絡されたのですか。○中澤証人 そうです。私は下りから上り側に入りますと、これは間違いなく事故になるということを信念して、信号所に飛び込んで、一番先に、上り側に入れては困る、これを強く言つたのでございます。○塚原委員 それであなたは信号所に連絡して、また現場にもどつて来られて、それからその問題の電車が桜木町にずつと入つて来るのを見られたわけですね。○中澤証人 それは見たときには、現場の前三、四十メートルまで来ていたと思います。すぐ目の前に来ていた。○塚原委員 そうしてそれが上り線に入つて行つたわけですね。あなたが上り線に入れていけないということを強く言つたのは、上り線に入るとえらいことになると直感されて……。○中澤証人 そうです。○塚原委員 それからあの大惨事が起きるまでは何秒くらいあつたですか。○中澤証人 そうですね、三、四十秒くらいじやないかと思います。○塚原委員 そうすると、こういうことをお聞きするのは無理かもしれませんが、三・四十秒あれば、ポイントを切りかえて、上り線に入つて来た、これはたいへんなことになる、あなたはそこでとつさに車をとめるだけの措置を講ずる気持はなかつたですか。○中澤証人 それが私は、そのポイントがまつすぐに入つておるものと信じておりました。まつすぐに電車が行くものと思つておりました。○塚原委員 ところがそれが上り線に入つた。入つてからその事件が起きるまでの間は三、四十秒あつたのでしよう。○中澤証人 いいえ、そのときにはもう、時間でいいますと、どのくらいといいますか、十秒か十五、六秒くらいじやないかと思います。○塚原委員 すると、進路をとにかく上り線に入れて来て、あなたが困つたと思うとすぐバーンと行つたわけですか。○中澤証人 そうです。○塚原委員 その間にあなたはこれをあわててとめるというような措置は、講ずる余地がなかつたわけですね。○中澤証人 それは電車が私の前をほとんど半分以上も通り過ぎてからのことでございますから、どうすることも私にはできなかつたのであります。○塚原委員 それから先ほど前の委員が聞いたときに、電気工手が信号したということが問題になっておるのですが、あなたのおられた所と、ほかの電気工夫のおられた場所は同じ場所ですか。○中澤証人 幾らか違います。○塚原委員 あなたが信号所から現場へもどつて来る途中ですか。○中澤証人 元の現場へ三十メートルくらいでもどれるところ……。○塚原委員 八号柱と九号柱とありますね。ここが信号所ですが、あなたはどつち側に……。○中澤証人 私は向う側、信号所の反対側におりました。○塚原委員 電車が上り線に入つたときの、あなたの位置は……。○中澤証人 五号柱付近です。○塚原委員 ほかの工夫の方は。○中澤証人 四号柱くらいのところ……。○塚原委員 先ほどの証人は、この付近で何かとまれとまれという合図を工夫の連中がしておるのを発見して、急いでとめる処置をしたということを後部車掌が言つたわけですが……。○中澤証人 車掌さんは四号柱の事故の現場にいたんですが、しかし電車の進行して来るときには車掌さんには全然わからないのです。車掌さんは信号のあるこつち側の窓だけ見ておるので、車掌さんには全然わからないと思います。○塚原委員 それから信号扱所がありますが、こちらに入れとか、まつすぐに入れとかいう信号はどこに出ますか。○中澤証人 四号柱の付近の信号燈です。
2020.11.03
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長らく更新していませんでしたが、久々に更新させていただきます。今回も、電気工手長、中澤氏の審問になります。中澤氏は経験年数も長く、その説明も簡潔かつ明瞭に証言されています。ここでは、中澤証人は、自分自身は電車の停止手配はしていないが、工府の誰かが多分、運転士に手配していたことは間違いないと思われます。この時点で、工具を落とした当事者の責任は免れないとしても、その後の措置としては、最低限の対応はされたと理解できます。早速当事者の発言などを見ていきたいと思います。電気工夫の誰かが列車を止めようと合図をした事は確かだが上記の図は、下図の移動とパンタグラフ、トロリー線の位置を示しています。下図の赤色は架線切断により垂下したトロリー線のイメージ、中の図は、トロリー線を巻き込んで屋根に接地したイメージを表しています。○島田委員 先ほどの証言では、工夫が手でもつて停止信号のつもりでやつておつたということを、車掌が電車が入構前十メートルばかりうしろで見たというふうに証言いたしておりますが、その工夫が手でもつて信号しておつたのは、電車が入構前からだつたでしようか、あるいは車掌が見たころからだつたでしようか、これはわかりませんか。○中澤証人 車掌が手を振つたということは、もう最初の事故現場より電車はずつと先に行きまして、それで車掌に見えたと私は思います。○島田委員 工夫はあらかじめその架線がすでに切断されておつたことを知つておつたのであるから、電車が入つてはいけないということを、あなたと一緒に当然知つておつたはずですね。○中澤証人 知つております。○島田委員 それで電車が入る前に気がついてそういう手でもつて信号しておつたのか、あるいはうつかりしておつて電車が入つて来てあわてて信号したのでしようか、どちらですか。○中澤証人 それは私にはわかりません。○島田委員 確かめたことはありませんか。○中澤証人 確かめたこともありません。全然わかりません。工手長は、いち早く電気を止めるために、信号所から電話した作田議長事故が起こった区間は、横浜と鶴見両方向から給電が行われており、横浜変電所では事故電流を検知して高速度遮断機が作動し電力を遮断できましたが、鶴見側は事故電流を検知できず、5分間ほど電流を流し続けていたと言われています。結果的に、この5分間が事故を更に大きくした要因の一つと言われています。さらに、車両の構造までは熟知しておらず、運転士同様に、車外のドアコックの存在は知らなかったと思われます。○島田委員 それから信号所ではすぐにあなたが注意したにもかかわらず、そういう信号をしなかつたということはいかにも不注意きわまると思うのですが、同時にあなたが電車が燃えてこれはたいへんだというのでさらに信号所にかけつけて、大船の発電所ですか、送電所ですか、そこに電話をかけて、電気をとめてもらつたという間は相当あつたと思うのですが、その信号所はその処置をとれれば、早く電気を切断して事故を大きくせずに済んだろうと思うのでが、これに対するお考えはどうでしよう。○中澤証人 もうこれ以上は早く電気をとめてくれということはできないと思います。私はもう電車がとまると同時にすぐそばにかけて行きまして、その瞬間先ほど申しましたように電車の中にスパークが吹き込んでおるので、お客さんが飛び歩いている、そういつたときに瞬間的にドアを開けようと思いましたけれども、早くそれより電気をとめなければたいへんなことになる、こう思いまして、急いで信号所に飛び込みましたので、もうこれ以上は電気を早くとめることはできないと思います。セクション主義が招いた悲劇結果から言うと、信号所に飛び込んで、信号の停止手配を依頼したにも関わらず、信号係は電気工夫からの申し出であったため、その返事を適当にした結果、取り返しの付かない事故を起こしてしまったという点は責められるべき点であり、実際に裁判では禁固刑を言い渡されています。信号所は駅の管轄であり、指揮命令系統は助役・駅長からという思いがあったことも事実でした、結果的にこうした誤った判断が悲劇を招くことになりました。現在の知恵で、ああすれば良かった、こうすれば良かったと判断するのは簡単なことですが、少なくとも当時はそうしたマニュアルもなければ、そうした考え方も無かったと言うことになります。○島田委員 あなたの場合はずいぶん努力をせられ、それ以上電力を早くとめることはできなかつたと思いますが、信号所におる者は、あなたがそのスパークしたのを見つけて電車のそばまで行つて、ドアでもあけてみたいという気持がどうにもならず、それでさつそく引返して信号所に行つて電話をかけたというこの時間は、何分かあつたろうと思いますが、その間信号所が機転をきかして、最初に目撃するごく手近にあつたようですが、信号所がすぐに大船へ電話して電気をとめたら、相当事故の惨劇が少くて済んだのではないですか。○中澤証人 その点は信号所の方には電気をとめるというようなことはちよつとわからないと思います。○島田委員 そういうふうにふだん教育されていないのですか、責任外というわけですか。○中澤証人 信号所の方はそういう方面に全然経験がないと思います。○島田委員 知識がないというわけですね。○中澤証人 そうだと思います。○島田委員 かりにもし知識があれば、不注意さえなくて、すぐに電話しておけば、よほど手まわしよく電気がとまつただろうということになるわけですね。○中澤証人 そうです。この後も証言は続くのですが、長くなりそうなのでここでひとまず切らせていただきます。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** *********************桜木町事故国会審問の議事録************************○内藤(隆)委員長代理 さいぜんの証人は信号を見たというのですが、あなたは列車をとめる信号をしたのですか。○中澤証人 私は朝の点呼で信号かたがた働けという指示をしておきましたので、私が信号しておつたわけではないので……。○内藤(隆)委員長代理 そうすると工手の中に信号した者がいたかもしれないのですね。○中澤証人 はつきりそれはわかりませんが、朝からそういうふうに電車を見張りかたがた仕事をしろという指示をしておいたので、その場合架線が切れたことを気がついていて、その方は出したか出さないかということはあまりはつきりしておりません。○内藤(隆)委員長代理 だれかやつた者がおるかどうかわからないのですね。○中澤証人 はあ、私には……。○内藤(隆)委員長代理 車掌は確かにその信号を見たというのです。大体あなたの話す道はまとまつておるようですな。 他に御質問はありませんか。島田君。○島田委員 先ほどの証言では、工夫が手でもつて停止信号のつもりでやつておつたということを、車掌が電車が入構前十メートルばかりうしろで見たというふうに証言いたしておりますが、その工夫が手でもつて信号しておつたのは、電車が入構前からだつたでしようか、あるいは車掌が見たころからだつたでしようか、これはわかりませんか。○中澤証人 車掌が手を振つたということは、もう最初の事故現場より電車はずつと先に行きまして、それで車掌に見えたと私は思います。○島田委員 工夫はあらかじめその架線がすでに切断されておつたことを知つておつたのであるから、電車が入つてはいけないということを、あなたと一緒に当然知つておつたはずですね。○中澤証人 知つております。○島田委員 それで電車が入る前に気がついてそういう手でもつて信号しておつたのか、あるいはうつかりしておつて電車が入つて来てあわてて信号したのでしようか、どちらですか。○中澤証人 それは私にはわかりません。○島田委員 確かめたことはありませんか。○中澤証人 確かめたこともありません。全然わかりません。○島田委員 それから信号所ではすぐにあなたが注意したにもかかわらず、そういう信号をしなかつたということはいかにも不注意きわまると思うのですが、同時にあなたが電車が燃えてこれはたいへんだというのでさらに信号所にかけつけて、大船の発電所ですか、送電所ですか、そこに電話をかけて、電気をとめてもらつたという間は相当あつたと思うのですが、その信号所はその処置をとれれば、早く電気を切断して事故を大きくせずに済んだろうと思うのでが、これに対するお考えはどうでしよう。○中澤証人 もうこれ以上は早く電気をとめてくれということはできないと思います。私はもう電車がとまると同時にすぐそばにかけて行きまして、その瞬間先ほど申しましたように電車の中にスパークが吹き込んでおるので、お客さんが飛び歩いている、そういつたときに瞬間的にドアを開けようと思いましたけれども、早くそれより電気をとめなければたいへんなことになる、こう思いまして、急いで信号所に飛び込みましたので、もうこれ以上は電気を早くとめることはできないと思います。○島田委員 あなたの場合はずいぶん努力をせられ、それ以上電力を早くとめることはできなかつたと思いますが、信号所におる者は、あなたがそのスパークしたのを見つけて電車のそばまで行つて、ドアでもあけてみたいという気持がどうにもならず、それでさつそく引返して信号所に行つて電話をかけたというこの時間は、何分かあつたろうと思いますが、その間信号所が機転をきかして、最初に目撃するごく手近にあつたようですが、信号所がすぐに大船へ電話して電気をとめたら、相当事故の惨劇が少くて済んだのではないですか。○中澤証人 その点は信号所の方には電気をとめるというようなことはちよつとわからないと思います。○島田委員 そういうふうにふだん教育されていないのですか、責任外というわけですか。○中澤証人 信号所の方はそういう方面に全然経験がないと思います。○島田委員 知識がないというわけですね。○中澤証人 そうだと思います。○島田委員 かりにもし知識があれば、不注意さえなくて、すぐに電話しておけば、よほど手まわしよく電気がとまつただろうということになるわけですね。○中澤証人 そうです。
2020.10.11
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○内藤(隆)委員長代理 二人おつたというのは……。久々に更新させていただきます。本日も、引続き中澤重二証人の証言が続きます。現場の責任者と言うこともあり、受け答えとしては、しっかりなされていると思われます。二人の信号手は事故の重大さから、知らなかったことにしてくれと懇願ここで注目すべきは、信号手が、信号の操作を中澤証人から頼まれたにも関わらず、ポイントの操作を行わず、事故が起こってから、そうした依頼が無かったことにしてくれと懇願した事を証言しています。○中澤証人 二人おりましたのは、高山信号手でありますが、それが頼む、頼むと一緒に言いました。○内藤(隆)委員長代理 知らなかつたことにしてくれとは高山は言わなかつたのですか。○中澤証人 そうです。そして二人で、ぜひ頼む、頼む、関係ないことにして、頼む、頼むと非常に言われましたので、私もそこでちよつと興奮しまして、あれほど言つておいたに、知らぬことはないだろう、どういうわけかと私が言いましても、ぜひ頼む、頼むと、こう言われますので、私はそんなことは知らぬ、私はこういうふうに言つたのであります。「私もそこでちよつと興奮しまして、あれほど言つておいたに、知らぬことはないだろう、どういうわけかと私が言いましても、ぜひ頼む、頼むと、こう言われますので、私はそんなことは知らぬ、私はこういうふうに言つたのであります。」と言うところは、本人のそんな気持ちをよく表しています。さらに、証言が続くのですが。ホームの助役からは、何故このような事故となったのかと聞かれたと証言しています。助役は、事故の概要等を知らされていない?私は信号所からすぐ出まして、焼けている電車の方へと思つて行きましたら、もうそのときには電車は手のつけようもなく、私はその辺でまごまごしておりました。そうしますと高原信号手から、さつきから探していた、ホームの助役さんが用事があるからすぐ行つてくれ、こういうふうに話がありましたので、私もそこにいてももうどうすることもできないししますから、ホームの助役さんの所へ行きますと、どういうわけか、こういうふうにホームの助役さんに聞かれました。私はあれほど上り線に入れては困ると言つておいたのにどういうわけかと言つたのでございます。そうしますと助役さんからは、さつき信号所から電話があつて、すぐ横浜に電話をかけたけれども、間に合わなかつた、こういう返事がありました。それからお互いに困つたことをした、たいへんなことをしたということで、何も話もなく、助役さんとは別れました。○内藤(隆)委員長代理 そうするとその高原信号手からさような驚くべきことを頼まれたということを発表されたのは今初めてですか。○中澤証人 いや、検察庁でも調べられて、はつきり言つております。 それから私はその助役さんとそこを出まして、また現場の方へ行こうと思つてホームを歩いていましたら、新聞社の方か、また警察の方かわかりませんが、三人ぐらいで私をつかまえまして、今の事故はどういう事故だ、原因を明かせと言われて、私もたいへん困つておりました。私はそんな事故はわからぬ、こう言つておりましたが、知らないことはないだろう、明かせ明かせと非常に言われたのでございます。私はそんな事故はわからないと言つて逃げるようにしてまた電車の方へ行つたのでございます。○内藤(隆)委員長代理 そこであなたの今の陳述から見ますると、要するに信号手が信号手の務めを完全に果せば、こういう惨事は起らなかつたと認められますね。○中澤証人 私はそう思います。そのときに一つスイッチを入れますと赤信号にもなりますし、ポイントも切りかえができたと思います。十分時間もありますし……。この証言では、助役も十分現状を把握していなかったように見えます。それと、気になるのが「横浜に電話をかけたけれども、間に合わなかつた」という点なのですが、これは、列車を止めるようにという意味だったのでしょうか。少なくとも、信号係が電力区の依頼通り、ポイントを変更していれば起こりえなかった事故であるわけで、信号手の不作為が問題となってきます。これは、中澤証人も明確に証言していますが、「一つスイッチを入れますと赤信号にもなりますし、ポイントも切りかえができたと思います。十分時間もありますし……」と言う言葉が全てを語っていると言えそうです。さらに、その後警察か新聞社か判らないが、質問攻めに遭ったと告白していますが、スパナを作業員が落下させてそれが直接の原因で、ここまでの大惨事になるとなれば、中々口頭で説明しても難しいでしょうね。駅長と電力区も直接の情報共有はないと証言さらに証言は続きますが、架線の工事をする際に駅長には連絡はしないし、完全に縦割りな仕事であると証言しています。まぁ、この当時はこのような情報の縦割りは一般的だったのでしょうね。それ故に、信号所の職員も電力の職員が信号の停止を言ってきても、結果的に無視していたと言うことなんでしょうね。○内藤(隆)委員長代理 それから駅の構内で架線工事をするときは事前に駅長に連絡なんかをするのですか。○中澤証人 そういう指示は一度も受けたことはありません。○内藤(隆)委員長代理 連絡していないで、駅長は何も知らないのですね。○中澤証人 連絡して工事をやれという指示は一度も受けたことはないし、話も聞いたことはないのです。○内藤(隆)委員長代理 そうすると架線工事はだれの命令でやるのですか。○中澤証人 私は私の所の分区長さんの命令によつてやつております。○内藤(隆)委員長代理 その分区長と駅長とは連絡はありませんか。○中澤証人 それもおそらくないと思います。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** *********************桜木町事故国会審問の議事録************************○中澤証人 二人おりましたのは、高山信号手でありますが、それが頼む、頼むと一緒に言いました。○内藤(隆)委員長代理 知らなかつたことにしてくれとは高山は言わなかつたのですか。○中澤証人 そうです。そして二人で、ぜひ頼む、頼む、関係ないことにして、頼む、頼むと非常に言われましたので、私もそこでちよつと興奮しまして、あれほど言つておいたに、知らぬことはないだろう、どういうわけかと私が言いましても、ぜひ頼む、頼むと、こう言われますので、私はそんなことは知らぬ、私はこういうふうに言つたのであります。そうしましても、ぜひ頼む、頼むと言われるので、私はそこから出ようと思つたときに、どういう方か、制服を着た人でなく、私服の人だと思いますが、飛び込んで来たので、その話は一旦中止になりました。それから私は信号所からすぐ出まして、焼けている電車の方へと思つて行きましたら、もうそのときには電車は手のつけようもなく、私はその辺でまごまごしておりました。そうしますと高原信号手から、さつきから探していた、ホームの助役さんが用事があるからすぐ行つてくれ、こういうふうに話がありましたので、私もそこにいてももうどうすることもできないししますから、ホームの助役さんの所へ行きますと、どういうわけか、こういうふうにホームの助役さんに聞かれました。私はあれほど上り線に入れては困ると言つておいたのにどういうわけかと言つたのでございます。そうしますと助役さんからは、さつき信号所から電話があつて、すぐ横浜に電話をかけたけれども、間に合わなかつた、こういう返事がありました。それからお互いに困つたことをした、たいへんなことをしたということで、何も話もなく、助役さんとは別れました。○内藤(隆)委員長代理 そうするとその高原信号手からさような驚くべきことを頼まれたということを発表されたのは今初めてですか。○中澤証人 いや、検察庁でも調べられて、はつきり言つております。 それから私はその助役さんとそこを出まして、また現場の方へ行こうと思つてホームを歩いていましたら、新聞社の方か、また警察の方かわかりませんが、三人ぐらいで私をつかまえまして、今の事故はどういう事故だ、原因を明かせと言われて、私もたいへん困つておりました。私はそんな事故はわからぬ、こう言つておりましたが、知らないことはないだろう、明かせ明かせと非常に言われたのでございます。私はそんな事故はわからないと言つて逃げるようにしてまた電車の方へ行つたのでございます。○内藤(隆)委員長代理 そこであなたの今の陳述から見ますると、要するに信号手が信号手の務めを完全に果せば、こういう惨事は起らなかつたと認められますね。○中澤証人 私はそう思います。そのときに一つスイッチを入れますと赤信号にもなりますし、ポイントも切りかえができたと思います。十分時間もありますし……。○内藤(隆)委員長代理 それから駅の構内で架線工事をするときは事前に駅長に連絡なんかをするのですか。○中澤証人 そういう指示は一度も受けたことはありません。○内藤(隆)委員長代理 連絡していないで、駅長は何も知らないのですね。○中澤証人 連絡して工事をやれという指示は一度も受けたことはないし、話も聞いたことはないのです。○内藤(隆)委員長代理 そうすると架線工事はだれの命令でやるのですか。○中澤証人 私は私の所の分区長さんの命令によつてやつております。○内藤(隆)委員長代理 その分区長と駅長とは連絡はありませんか。○中澤証人 それもおそらくないと思います。○内藤(隆)委員長代理 それから架線が切断した場合にはとつさに電車をとめる方法を講ずべきだと思うが、それは一体どういう方法をとることになつておりますか。○中澤証人 直接影響のある場合にはすぐに信号機を出してとめるということになつておりますが、あの場合は信号所が近いし、上り線の電車も多少関係することもあると思いましたので、これは信号所に行きさえすれば電車はとめられるものだ、こういう気持で私はかけて行きました。○内藤(隆)委員長代理 その信号というのは赤旗ですか。○中澤証人 いや信号所に……。○内藤(隆)委員長代理 とつさの場合に信号所に行く前に列車をとめる方法は赤旗を出すのですか。○中澤証人 そうです。
2020.08.24
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桜木町事故に関する審問ですが、今回から保土ケ谷配電分区の電気工手長、中澤氏の審問となります。工手長は、この道30年のベテランで、東神奈川電車区では20年以上のキャリアを積んできたようです。少なくとも、事故後の手配などを見る限りでは落ち度はなく、大変冷静に対応されているように見受けられます。そこで、当日の様子を国会で下記のように証言しています。少し言い回しが冗長なのですが、13:30過ぎから午後の作業を始めてすぐに、大きな音がしてスパークとともにトロリー線が切れて、作業員も転落したということで、事故があったことを現認したようです。午後の作業を開始後、1本のスパナを落としたことがそもそもの原因だが○内藤(隆)委員長代理 あの大惨事が起つた事故当時、その現場における状況を述べてくれませんか。○中澤証人 午前中から碍子の交換を引続いてやつておりました。それで十一時二十五分ころ、午前中の分は一旦終りまして、昼食のため桜木町から横浜へ出まして、横浜から横須賀線で保土ケ谷に一帰りまして昼食をとりました。十二時五十八分ころだと思います。またその詰所を出まして、市電で高鳥町駅まで来まして、高島町駅から桜木町まで東横線で行きまして、そのときは大体十三時半ころではなかつたかと思いますが、ホームへ着いたのが十三時半ころだと思います。それから工具材料も持つておりまして、大体現場に配置し、仕事にとりかかる現場へ行きまして、絶縁具を全部準備をしまして、それから仕事にかかりました。仕事の順序としましては、朝人員の点呼をやりました。仕事の組合せ、そういつたのも朝点呼をやつた順にやはり午前中の続きで午後からも仕事にかかりまして、仕事にかかつたのがやはり十三時半ころだと思います。そうして四号柱に上つて仕事を始めるまで私は見ておりました。それからこれでは大丈夫だと思いまして、今度五号、六号柱の方に上る作業員を見ておりました。そうしますと、急に大きな音とともにスパークがしましたので、ひよつと振り返つてみますと、今話したように大きなスパークとともに線が切れ、そうして作業員も一名墜落したのであります。私も約二十五、六メートルくらい離れていたところにいたと思います。架線の断線確認したのち、信号所で信号手この扱いを依頼幸い、作業員にけがはないとのことでしたが、すでにスパークで架線が溶断していましたので、電車を上り線に入れられないとして、信号所に手配を頼みに行ったそうです。再び、若干冗長な言い回しですが、証言記録をご覧いただこうと思います。もう上り線側には電車は入れることはできない、こう思いまして、自然とそこに集まつて来た工手に、それでは電車を止める手配をしよう、架線の復旧工具材料を手配して来るから、現場は頼む、こう言つて私は信号所へかけて行つたのであります。そうしてかけて行きまして、信号所に飛び込んで、やあやつちやつたと言つて飛び込みまして、それから今上り線で断線したので、もう上り線側には電車は入れることはできないから、電車を入れないように頼む、こういうふうに私が言いましたら、信号所では、上り線側がだめなら、下り線はどうか、こう言われましたので、下り線側に入れる分にはさしつかえない、こう私が言いましたら、そうか、こういう声があつたので、私は十分納得できないと思いまして、私の関係のところに、今桜木町で吊架線が断線したから、すぐにセビとクランプと割線を急いで持つて来い、こう言いましたら、それじやすぐに持つて行く、こういう何がありましたので、一旦そこで電話を切りまして、続いて大船電力当直に、今桜木町で吊架線を断線さしたから、急いで人員の手配をしてくれ、こう頼みましたら、人員はどのくらいやつたらいいか、こう言われたので、私今急にかけて来たので、人員がどのくらいいるかと言われてもそれはわからぬから、すぐに調べて来て報告する、こう言つて電話を一旦打ち切りました。再び信号所を飛び出すときに、上り線側に電車を入れることはできないから頼む、こう言つて私は信号所を飛び出したのであります。ここで。作業員には現場を頼むと指示した後、信号詰め所に工手長が出向き、上り線側のトロリー線が切れてしまった故に、列車を入れないように信号手に依頼したところ、下り線はどうかという質問があり、「そうか」という声があったので理解したものと認識したと証言しています。この時点で、工手長の理解では、)信号所では、上り線に電車を入れないように手配してくれる。)変電所には、事故の一報を入れてあるので、そちらも何らかのアクションがあると思っていたようです。信号手は、信号てこを操作せず、電車はそのまま上り線に進入しかし、電車は事故を起こした上り線側に進入したため、今回の惨事となったわけで、再び工手長は、信号所に戻って電力の停止手配を要求したと以下のように証言しています。飛び出して五号柱付近までかけて行きました。五号柱付近まで行きますと、電車は四号柱近くまで、すぐ目の前に来ました。その電車はあれほど信号所に言つて来たのであるから、まつすぐ行くものと信じていたのであります。それから私はちよつとその電車を見ていますと、急に上り線側の方に入りまして、これはたいへんなことになつたと思つているうちに、パンタはこわれ、大きな音とともに前車両の屋根上一ぱいに火の海となりまして、これはたいへんなことになつたと思いまして、急いでそこからまたかけて行きました。かけて行きましたら、屋根から車内にアークが吹き込んでいるので、中のお客さんもガラスをかく人、また体を半分窓から出して出られないでいる人、こういつたような状態で、中は混乱していたので、私もドアを開けようと思いましたけれども、そのときにはドアを開けることもできないで、そのときにまだ電気は相当のスパークがしておりますので、早く電気をとめなければこれはたいへんなことになると思いまして、すぐ信号所にまた飛び込みまして、至急電話で、早く電気をとめてくれというふうに大船電力当直にかけたのであります。結果的には、)信号所では、上り線に電車を入れないように手配しなかった。)変電所には、事故の一報を入れてあるが、こちらも停止手配などを行っていなかった。ことになります。いわば、信号係も電力係も不作為(いわゆる、するべきことをしていなかったの意味)を行ったことになります。ただ、大船変電所では、事故電流か否かの判断が難しかったのではといった証言もありますので、今後の証言の中で明らかになるかもしれません。信号手は被災の甚大さに驚き、知らなかったことにしてくれと懇願さらに、信号を停止手配しなかったことに対して、信号所では知らなかったことにしてくれと言われたと下記のように証言しています。信号所の二人が、今の事故はぼくの方は知らなかつたことにしてくれ、頼む、頼む、こう言われるので、私はあれほど上り線に入れては困ると言つておいたのにどういうわけか、私がこう言いましたら、信号所では、悪かつたから、まあ頼む、頼むと盛んに言うのであります。まぁ、惨事を見てびっくりして事の大きさに気付き、慌てて知らなかったことにしてくれというのはいささか虫が良い話ということになりますが、結果的に工手長の努力は結果的に水泡に帰することになります。この後も証言は続くのですが、長くなりそうなのでここでひとまず切らせていただきます。にほんブログ村にほんブログ村******************************************************** 取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽に blackcat.kat@gmail.comにメール またはメッセージ、コメントにて お待ちしております。 国鉄があった時代 JNR-era ******************************************************** *********************桜木町事故国会審問の議事録************************○内藤(隆)委員長代理 引続き中澤重二証人に証言を求めることにいたします。 中澤重二さんですね。○中澤証人 そうです。○内藤(隆)委員長代理 ただいまより、桜木町駅国電事件に関する件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には“その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または蒔肥の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の朗読を願います。 (証人中澤重二君朗読) 宣誓書 良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。○内藤(隆)委員長代理 では宣誓書に署名捺印を願います。 (証人宣誓書に署名捺印〕○内藤(隆)委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際は、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問しているときは坐つたままでようございますが、お答えの際には起立をして願います。 簡単でようございますから、あなたの経歴を述べてください。○中澤証人 私は大正十一年六月一日に品川電力区の人夫として採用をされまして、八月十六日に試採用となりまして、その後品川電力区におりまして、昭和五年に東神奈川配電分区に在勤になりました。その後東神奈川にずつと長くおりまして、昭和二十五年の七月に保土ケ谷配電分区に転勤になりまして現在に至ります。○内藤(隆)委員長代理 そうすると約二十年間おられるわけですか。○中澤証人 東神奈川の配電分区に約二十年ほどおります。○内藤(隆)委員長代理 工手長になられる前、電気工手としてどういう教育を、どれほどの期間受けられたかを述べてください。○中澤証人 教育といいますと、私電力工手としての教育は約三箇月ぐらい教育をされております。○内藤(隆)委員長代理 その前に何か……。○中澤証人 それは講習を三箇月ばかり受けたのです。○内藤(隆)委員長代理 その前に電気に関する何か専門の知識が学校その他によつてあつたのですか。○中澤証人 そういつたことはありません。○内藤(隆)委員長代理 全然電気の知識がないしろうとから入られて、三箇月の講習を受けられたのですか。○中澤証人 そうです。○内藤(隆)委員長代理 あの大惨事が起つた事故当時、その現場における状況を述べてくれませんか。○中澤証人 午前中から碍子の交換を引続いてやつておりました。それで十一時二十五分ころ、午前中の分は一旦終りまして、昼食のため桜木町から横浜へ出まして、横浜から横須賀線で保土ケ谷に一帰りまして昼食をとりました。十二時五十八分ころだと思います。またその詰所を川まして、市電で高鳥町駅まで来まして、高島町駅から桜木町まで東横線で行きまして、そのときは大体十三時半ころではなかつたかと思いますが、ホームへ着いたのが十三時半ころだと思います。それから工具材料も持つておりまして、大体現場に配置し、仕事にとりかかる現場へ行きまして、絶縁具を全部準備をしまして、それから仕事にかかりました。仕事の順序としましては、朝人員の点呼をやりました。仕事の組合せ、そういつたのも朝点呼をやつた順にやはり午前中の続きで午後からも仕事にかかりまして、仕事にかかつたのがやはり十三時半ころだと思います。そうして四号柱に上つて仕事を始めるまで私は見ておりました。それからこれでは大丈夫だと思いまして、今度五号、六号柱の方に上る作業員を見ておりました。そうしますと、急に大きな音とともにスパークがしましたので、ひよつと振り返つてみますと、今話したように大きなスパークとともに線が切れ、そうして作業員も一名墜落したのであります。私も約二十五、六メートルくらい離れていたところにいたと思います。それからすぐにそこに飛び降りまして、けがはなかつたか、こう私はどなつたのであります。そうしますと、けがはない、大丈夫だ、こういうふうに言われたので、私も安心したものの、もう上り線側には電車は入れることはできない、こう思いまして、自然とそこに集まつて来た工手に、それでは電車を止める手配をしよう、架線の復旧工具材料を心配して来るから、現場は頼む、こう言つて私は信号所へかけて行つたのであります。そうしてかけて行きまして、信号所に飛び込んで、やあやつちやつたと言つて飛び込みまして、それから今上り線で断線したので、もう上り線側には電車は入れることはできないから、電車を入れないように頼む、こういうふうに私が言いましたら、信号所では、上り線側がだめなら、下り線はどうか、こう言われましたので、下り線側に入れる分にはさしつかえない、こう私が言いましたら、そうか、こういう声があつたので、私は十分納得できないと思いまして、私の関係のところに、今桜木町で吊架線が断線したから、すぐにセビとクランプと割線を急いで持つて来い、こう言いましたら、それじやすぐに持つて行く、こういう何がありましたので、一旦そこで電話を切りまして、続いて大船電力当直に、今桜木町で吊架線を断線さしたから、急いで人員の手配をしてくれ、こう頼みましたら、人員はどのくらいやつたらいいか、こう言われたので、私今急にかけて来たので、人員がどのくらいいるかと言われてもそれはわからぬから、すぐに調べて来て報告する、こう言つて電話を一旦打ち切りました。そうして再び信号所を飛び出すときに、上り線側に電車を入れることはできないから頼む、こう言つて私は信号所を飛び出したのであります。飛び出して五号柱付近までかけて行きました。五号柱付近まで行きますと、電車は四号柱近くまで、すぐ目の前に来ました。その電車はあれほど信号所に言つて来たのであるから、まつすぐ行くものと信じていたのであります。それから私はちよつとその電車を見ていますと、急に上り線側の方に入りまして、これはたいへんなことになつたと思つているうちに、パンタはこわれ、大きな音とともに前車両の屋根上一ぱいに火の海となりまして、これはたいへんなことになつたと思いまして、急いでそこからまたかけて行きました。かけて行きましたら、屋根から車内にアークが吹き込んでいるので、中のお客さんもガラスをかく人、また体を半分窓から出して出られないでいる人、こういつたような状態で、中は混乱していたので、私もドアを開けようと思いましたけれども、そのときにはドアを開けることもできないで、そのときにまだ電気は相当のスパークがしておりますので、早く電気をとめなければこれはたいへんなことになると思いまして、すぐ信号所にまた飛び込みまして、至急電話で、早く電気をとめてくれというふうに大船電力当直にかけたのであります。そして電気は間もなくとまつたと思います。それから私はすぐにまた飛び出そうと思つたときに、信号所の二人が、今の事故はぼくの方は知らなかつたことにしてくれ、頼む、頼む、こう言われるので、私はあれほど上り線に入れては困ると言つておいたのにどういうわけか、私がこう言いましたら、信号所では、悪かつたから、まあ頼む、頼むと盛んに言うのであります。○内藤(隆)委員長代理 ちよつと待つてください。その信号所へあなたがかけつけて行つて、そして話したその相手方は何という人ですか。○中澤証人 高原信号手です。そのときには名前はわかりませんでしたが、あとで高原信号手ということがわかりました。○内藤(隆)委員長代理 それから、これは大事件だから、知らなかつたことにしてくれと言つたのはだれですか。○中澤証人 それが高原です。○内藤(隆)委員長代理 同人ですね。○中澤証人 そうです。
2020.07.24
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本日も久々に、桜木町事件の国会審問をご覧いただこうと思います。今回は分量的には少ないのですが、車掌が信号の停止手配をしているのを見たが、何故正規の信号が停止信号にならなかったのかと言う点を中心に質問がなされています。信号の停止手配がされていなかった事への疑問今回も、車掌の証言ですが、車掌は線路工夫が手配するような仕草をしており、それはスパークが出る前であったとして、停止合図は本来であれば、正規の停止信号を掲げるべきではなかったかと質問しています。この辺は後述しますが、信号工事の責任者が信号所に向かい、停止手配をかけるのですが、あいにく責任者がいなかったかで、停止信号を現出しなかったようです。まぁ、その回答が下記のやり取りになります。○島田委員 ところが実際に臨んで、中略。それから今の停止信号ですが、正規の停止信号は全然なかつたわけですね。○大矢証人 停止信号というのはなかつたわけです。○島田委員 そこであなたが十メートルばかり後を見た場合に、工夫がとまれという信号をしておつたということは、停止信号を当然しなければならないという実情にありながら、停止信号が行われなかつたために手を振つたものか、それとももうすでに大きなスパークが出たために工夫があわてて手を振つたというのが実情ですか。○大矢証人 スパークする前ですね。○島田委員 スパークする前だとすれば、工夫が見て停止しなければならないという実情なら、責任ある者は当然正規の停止信号を上ぐべきだつたと思うのですが、その点はどうですか。○大矢証人 正規の停止信号ではなかつたです。○島田委員 なかつたけれども、停止信号をやるべき者が、工夫自身が停止させねばならぬというそれほどの場面ならば、当然停止信号を掲ぐべきだつたと思いますが、どうですか。○大矢証人 停止信号を何ですか。○島田委員 責任ある人がおるでしよう。停止信号をやらなければならぬ人が……。そういう工夫が見てさえ停止させねばならぬという場面に、正規の停止信号をやらなければならぬ人が、なぜ信号をやらなかつたかということになると、これはやはり手落ちですか。○大矢証人 まあそうでしような。車掌には、工事区間などの情報は点呼で伝えられないのかという素朴な質問引き続き、石田 一松委員が質問しています。石田 一松委員について簡単に紹介させていただくと、広島出身で、塩化し、歌手、作詞。作曲家で、戦後(1946年)の衆議院選挙で当選、タレント議員第1号と呼ばれる人だそうです。戦前に苦学しながら法政大学を卒業したインテリで、三木武夫(後の首相)と国民協同党、改進党に所属し、連続4回当選して代議士として活動しますが、1953年の選挙で落選、その後1955年第27回衆議院選挙では党の公認がとれずに無所属で出馬しますが惨敗、翌年には胃がんのため53歳で死去しています。ただ、下記の質問でも判りますが、かなり的確な質問をしており、最近の議員のどうでも良い質問しかしない議員と比べると遙かに高度な質問をしていると言えます。車掌の点呼で、工事関係のことも、通達があるのでは無いかという質問をしていますが、審問としては中々鋭いところを点いていると思います。。○石田(一)委員 ちよつともう一つだけ……。車掌には服務紀律とかなんとか、車掌が覚えておかなければならない規則があるのではないですか。○大矢証人 あります。○石田(一)委員 それにはあなた方が一々こういう危急の場合にどういう処置をとる、こういうふうにしなければならぬ、こういう責任をとらなければならぬというようなことが、それぞれあるのではないですか。○大矢証人 服務紀律の中にはないです。○石田(一)委員 ただ仕事に関する何か??よく私は車掌区あたりに参りますと、乗務するときにそこの車掌区長というのですか、何かに対して事前に何か報告みたいな、誓いみたいなことをやつておりますね。出発するときにランプのようなものを持つて、手信号を持つて、カバンを持つと同時に、区長のところに行つて、これから何号車に乗車しますとか、何とかかんとかで、どこそこにはどういう工事をしていて……。○大矢証人 いや工事関係の方は、全然自分たちには……。○石田(一)委員 いや、工事監督ではなく、車掌が、たとえば大宮、桜木町ならば、神奈川なら神奈川に工事場の現場がある。その現場のところは速力を時速何キロに落さなければならぬということなんかを言うのじやないですか。車掌や運転手が乗る前に……。○大矢証人 乗る前にそういうことは言わないのです。○石田(一)委員 今は言わないのですか。そうですか。○内藤(隆)委員長代理 他に御質問がなければ、これにて大矢証人に対する尋問を終ります。証人には御苦労さまでした。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** *********************桜木町事故国会審問の議事録************************○島田委員 ところが実際に臨んで、そういうような急激な突発事件だつたから、いわゆるあわを食つたというか、上つてしまつて、そういう処置を実際にとれずにしまつた。しかし何とかして救いたいために飛び出したことは間違いなかつたが、飛び出した結果、火災もひどいし、それほど積極的にどうにもならなかつた。やつと二両目に入つて、その人々を救うことができたという程度ですね。その当時の実情はやはりその通りなんでしよう。それから今の停止信号ですが、正規の停止信号は全然なかつたわけですね。○大矢証人 停止信号というのはなかつたわけです。○島田委員 そこであなたが十メートルばかり後を見た場合に、工夫がとまれという信号をしておつたということは、停止信号を当然しなければならないという実情にありながら、停止信号が行われなかつたために手を振つたものか、それとももうすでに大きなスパークが出たために工夫があわてて手を振つたというのが実情ですか。○大矢証人 スパークする前ですね。○島田委員 スパークする前だとすれば、工夫が見て停止しなければならないという実情なら、責任ある者は当然正規の停止信号を上ぐべきだつたと思うのですが、その点はどうですか。○大矢証人 正規の停止信号ではなかつたです。○島田委員 なかつたけれども、停止信号をやるべき者が、工夫自身が停止させねばならぬというそれほどの場面ならば、当然停止信号を掲ぐべきだつたと思いますが、どうですか。○大矢証人 停止信号を何ですか。○島田委員 責任ある人がおるでしよう。停止信号をやらなければならぬ人が……。そういう工夫が見てさえ停止させねばならぬという場面に、正規の停止信号をやらなければならぬ人が、なぜ信号をやらなかつたかということになると、これはやはり手落ちですか。○大矢証人 まあそうでしような。○島田委員 たとえばスパークをしたということを目撃して、工夫が急に停止の手を振つたというのならばわかるのです。ところがあなたの言い分だとスパークする前に工夫が手で停止信号をしておつたというのだから……。そうするとスパークする前に、それほど危険を感じておつたものとすれば、当然停止信号をやるべき人が、正規の停止信号を実行せなければならぬ場面ではなかつたかと思いますが……。○大矢証人 まあそうでしようね。○島田委員 そうなつて来ると、停止信号をしなかつたことに、非常なる不注意があつたという結果になりますね。○大矢証人 ……。○内藤(隆)委員長代理 いいですか。?他に御質問ありませんか。○石田(一)委員 ちよつともう一つだけ……。車掌には服務紀律とかなんとか、車掌が覚えておかなければならない規則があるのではないですか。○大矢証人 あります。○石田(一)委員 それにはあなた方が一々こういう危急の場合にどういう処置をとる、こういうふうにしなければならぬ、こういう責任をとらなければならぬというようなことが、それぞれあるのではないですか。○大矢証人 服務紀律の中にはないです。○石田(一)委員 ただ仕事に関する何か??よく私は車掌区あたりに参りますと、乗務するときにそこの車掌区長というのですか、何かに対して事前に何か報告みたいな、誓いみたいなことをやつておりますね。出発するときにランプのようなものを持つて、手信号を持つて、カバンを持つと同時に、区長のところに行つて、これから何号車に乗車しますとか、何とかかんとかで、どこそこにはどういう工事をしていて……。○大矢証人 いや工事関係の方は、全然自分たちには……。○石田(一)委員 いや、工事監督ではなく、車掌が、たとえば大宮、桜木町ならば、神奈川なら神奈川に工事場の現場がある。その現場のところは速力を時速何キロに落さなければならぬということなんかを言うのじやないですか。車掌や運転手が乗る前に……。○大矢証人 乗る前にそういうことは言わないのです。○石田(一)委員 今は言わないのですか。そうですか。○内藤(隆)委員長代理 他に御質問がなければ、これにて大矢証人に対する尋問を終ります。証人には御苦労さまでした。
2020.07.14
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久々に更新させていただきます。今回も桜木町事故の列車の車掌による審問になります。車掌は、電気工夫の合図をしていたことを列車通過後に確認したと証言この車掌は、車内にあるドアコックの存在は知っていたようで、連結部から車内に入り、自らドアを開けたところ、乗客に押し出されて車外に出たと証言していますが、他にも下記のような証言をしています。さらに、電気工手が止まれの合図をしているのを偶然見つけ他と証言しており、その直後に大きなスパークがあったと証言しています。ここで注目すべきは、車掌は本来進行方向を向いていて、偶然後ろを振り返って見つけたとしていますが、少なくとも運転士に向けても同じように止まれの合図をしていた可能性があります。しかし、運転士が、電気区員の合図を見落とした可能性を否定することは出来ないと思います。○石田(一)委員 ちよつと聞きますが、さつきあなたは車掌台にいて、うしろの方で工夫がストップの信号か何かしていたのを見たと言われましたね。○大矢証人 ええ。○石田(一)委員 それは工夫がいたのを電車のどれくらいうしろで見たのですか。○大矢証人 十メートルくらい……。○石田(一)委員 桜木町駅に入る少し前だからいろいろ注意されていただろうが、あなたはそのときうしろ向きになつていたのですか。○大矢証人 うしろ向きじやない、前向きになつていました。○石田(一)委員 前向きになつていて、自分の車掌台のそばで、向うから信号していたのですか、それとも声を立てるとか、さわいだのでしよう。○大矢証人 いや別に声は聞かなかつた。○石田(一)委員 ただあなたは偶然うしろを向いたら、とまれの信号をやつていた……。○大矢証人 ええ、そうです。車掌と運転士は乗務際して業務分担を行なうことはないと証言車掌と運転士は、現在でもそうですが、ブザー試験程度で、車掌と運転士が詳細な打合せをすると言うことは殆ど見受けられません。さらに、車掌は、大きなスパークが上がったので、パンタグラフを下げる前に「とにかく絶縁する前にお客を救い出そうと思つて……。」と証言しています。そして、そこで二両目と三両目の間から入って、二両目の乗客を救出したと言うことになります。○塚原委員 運転士と車掌というものは一体になつて仕事をしなければならないと思うのですが、交替の時期は運転士も車掌も一緒ですか。○大矢証人 たしか違うと思います。所属が違いますから。○塚原委員 そうすると、あなたは車掌として自分の交替の時期が来た、いよいよ勤務につくというときに、それは何千何百という命をあずかる車ですから、しかもその車はあなたと運転士さんの二人だけの手にまかされているわけですから、運転士さんとの間に、これから乗るぞとか、あるいはこういうふうにしようというような打合せはやられるのですか、やらないのですか。○大矢証人 そういう打合せはないですが、たいがい引継ぎの車掌から……。○塚原委員 引継ぎの車掌はいいが、運転士との間に、おれが乗るとか、よろしく頼むとか、一緒によくやろうとかいうようなことを全然連絡しないわけですか。○大矢証人 ただブザー試験合図というのがあるのです。それは運転士から送るのが通常です。○塚原委員 それ以外に、二人で会つて、どうこうしようというようなことはしないわけですね。車掌は、スパクーを確認したので確認のために飛び出したと証言この審問は、かなり誘導尋問のように見えますが、車掌はスパークの発生を認め、絶縁措置(パンタグラフを下ろさず、ドアスイッチを扱ったと証言しています)実際には車掌スイッチでドアは開放されなかったことで、一両目で多くの被害者が出たのは事実です。○大矢証人 そうです。○島田委員 スパークしたときに、絶縁するというか、電気を遮断するような方法は、あなたの場合何かとられますか。○大矢証人 すぐパンタグラフを下げるわけです。○島田委員 下げましたか。○大矢証人 スパークしてとめたのです。自分はとにかくこれはたいへんだと思つてとめたのです。そうして前を見たところが、火がすごいので、とにかく絶縁する前にお客を救い出そうと思つて……。○島田委員 だから絶縁処置はとらなかつたというのですね。絶縁処置をとらずに、すぐ飛び出したというのです。ね。スパークすると同時に車をとめて、車をとめると同時に電気を遮断するような方法はとらずに、すぐ飛び出したというのですね。○大矢証人 結局何でスパークしたかということを一応……。○島田委員 見定めるために……。○大矢証人 そうです。○島田委員 それで火災が起きているのを目撃して……。○大矢証人 すぐドアをあけたんです。車掌スイッチをあけるようにしたのです。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** **********************桜木町事故国会審問の議事録*****************************○石田(一)委員 ちよつと聞きますが、さつきあなたは車掌台にいて、うしろの方で工夫がストップの信号か何かしていたのを見たと言われましたね。○大矢証人 ええ。○石田(一)委員 それは工夫がいたのを電車のどれくらいうしろで見たのですか。○大矢証人 十メートルくらい……。○石田(一)委員 桜木町駅に入る少し前だからいろいろ注意されていただろうが、あなたはそのときうしろ向きになつていたのですか。○大矢証人 うしろ向きじやない、前向きになつていました。○石田(一)委員 前向きになつていて、自分の車掌台のそばで、向うから信号していたのですか、それとも声を立てるとか、さわいだのでしよう。○大矢証人 いや別に声は聞かなかつた。○石田(一)委員 ただあなたは偶然うしろを向いたら、とまれの信号をやつていた……。○大矢証人 ええ、そうです。○石田(一)委員 そうすると、それは高架線というのですか、あれの修理のためか何かでやつていたのですか、それともそれは線路工夫ですか。 (委員長退席、内藤(隆)委員長代理着席〕○大矢証人 さあそのところははつきりわからないのです。線路工夫であるか、修理の工夫であるか、その点はわからないのです。とにかくとまれの合図をしていたので、すぐとめたのです。○石田(一)委員 幾人くらい。○大矢証人 十二、三人くらいいました。○石田(一)委員 十二、三人いれば線路工夫じやない。線路工夫が普通の仕事をするのには、十二、三人は集まつてやらないから。そうすると、あなたはその人の合図を見て、それで電車をとめたの、それともスパークを発見したのでとめたの。○大矢証人 合図を見たと同時にスパークしました。○石田(一)委員 いや、そこのところをはつきり……。私はその工夫の人が電車にとまれというのには、ただ上の線がぶら下つているから危険だというくらいなことは、電気関係の工夫だから知つているでしようが、しかしあんな事故が起きるなんてちよつと想像がつきませんな。それであの電線がぶら下つているからとまれというような、あわてた信号はしないと思う。そのとき工夫は火をふいているのを見ているのじやないかな。○大矢証人 だけれども、自分はとめる前にスパークを見たのでとめたのです……。すごい何といいますか、ぱつとあたりが明るくなつたです。○石田(一)委員 そうすると、あなたはその人の信号を……。○大矢証人 信号を見たとたんに、まわりがぱつと明るくなつたので、……だから線がかつと飛んじやつてたわけです。○石田(一)委員 そうですか。○塚原委員 運転士と車掌というものは一体になつて仕事をしなければならないと思うのですが、交替の時期は運転士も車掌も一緒ですか。○大矢証人 たしか違うと思います。所属が違いますから。○塚原委員 そうすると、あなたは車掌として自分の交替の時期が来た、いよいよ勤務につくというときに、それは何千何百という命をあずかる車ですから、しかもその車はあなたと運転士さんの二人だけの手にまかされているわけですから、運転士さんとの間に、これから乗るぞとか、あるいはこういうふうにしようというような打合せはやられるのですか、やらないのですか。○大矢証人 そういう打合せはないですが、たいがい引継ぎの車掌から……。○塚原委員 引継ぎの車掌はいいが、運転士との間に、おれが乗るとか、よろしく頼むとか、一緒によくやろうとかいうようなことを全然連絡しないわけですか。○大矢証人 ただブザー試験合図というのがあるのです。それは運転士から送るのが通常です。○塚原委員 それ以外に、二人で会つて、どうこうしようというようなことはしないわけですね。○大矢証人 そうです。○島田委員 スパークしたときに、絶縁するというか、電気を遮断するような方法は、あなたの場合何かとられますか。○大矢証人 すぐパンタグラフを下げるわけです。○島田委員 下げましたか。○大矢証人 スパークしてとめたのです。自分はとにかくこれはたいへんだと思つてとめたのです。そうして前を見たところが、火がすごいので、とにかく絶縁する前にお客を救い出そうと思つて……。○島田委員 だから絶縁処置はとらなかつたというのですね。絶縁処置をとらずに、すぐ飛び出したというのです。ね。スパークすると同時に車をとめて、車をとめると同時に電気を遮断するような方法はとらずに、すぐ飛び出したというのですね。○大矢証人 結局何でスパークしたかということを一応……。○島田委員 見定めるために……。○大矢証人 そうです。○島田委員 それで火災が起きているのを目撃して……。○大矢証人 すぐドアをあけたんです。車掌スイッチをあけるようにしたのです。○島田委員 電気による火災が起きた場合に、電気を遮断するということはよく御存じだつたはずだから、結局それに対する処置はとらなかつたんでしよう。あなたの場合はとらなかつたわけですね。○大矢証人 そうです。○島田委員 それから飛び出して行つて一両目へ入ろうとしたが、とても火が大きくて入れないので、二両目と三両目の間にかけつけて、そこから中へ入つて、二両目の人々を救い出したというのですね。○大矢証人 そうです。○島田委員 それから二両目の人は、あなたの関する限りは大体救出作業をやつて、全部二両目から脱出させてしまつたわけですね。○大矢証人 そうです。○島田委員 出してしまつたときに一両目の実情はどうだつたですか。やはり阿鼻叫喚というか、中で何とかして逃げ出そうと思つて一生懸命にもがいておつたはずですが、まだそういつた人々の動きが多かつたわけでしようね。二両目が出てしまつた場合……。○大矢証人 出てみたときは別に声は聞えなかつた。○島田委員 二両目が出てしまつときは、一両目は事済みになつておつたわけですか。○大矢証人 大分下火になつていました。○島田委員 一両目の人々を救うためには何らかの処置が考えられるというか、何か方法をとれば少しでも救われるんじやないかという……。○大矢証人 だから窓から降りて来るのをひつぱつたのもありました。窓を割つて降りかかつているのを下からひつばつたのもありました。○島田委員 窓から飛び出そうとしている者を下からひつぱつて救つたという程度で、あなた自身は、たとえば窓をぶち割るとか、あるいは何か、たといできてもできなくても、戸をあける処置を積極的に講じたというようなことはなかつたんですね。○大矢証人 そのときは夢中でした。○島田委員 結局寄りつけなかつたわけですか。○大矢証人 寄りついたんですが、お客が出ているのを夢中でひつぱつていた。○島田委員 さらに多くの人々を出すために、あそこをこうすればもつと出られるんじやないか、あそこをこうすればもう少し救えるんじやないかというような積極的な考えは、夢中でわからなかつたわけですな。○大矢証人 夢中でわからなかつたのです。○島田委員 大体成行きにまかせて、出て来る人々を下からひつぱり出したという程度ですね。実情はその通りですね。○大矢証人 夢中でしたから……。○島田委員 結局あなたは客の方をあずかつておるわけなんだが、ふだんから、火災が起きた場合に、電気による火災ならば、それを遮断する、それから普通の場合、たとえばタバコの火だとかいう場合には消火器を用いるということは知つておつたわけですね。○大矢証人 はい。
2020.07.04
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久々に更新させていただきます。毎日更新できれば良いのですが、いかんせん中々時間がとれず申し訳ありません。少しピッチを速めたいと思います。車掌としては、緊急時の対応訓練は受けていないと証言車掌は、緊急時の扱いについては、訓練を受けておらず、火災発生時には消化に務めよという話しかないと証言していますが、その反面消火器の有無や位置の確認を怠るなどと言う重大な過失といいますか、注意義務を怠っています。○鍛冶委員 今の教育ですが、車掌になる前に二箇月の教育を受けるのですね。○大矢証人 そうです。○鍛冶委員 車掌になつてからもそういうことに対する訓練はあるのですか、ちよいちよいやるのではないのですか。○大矢証人 訓練というものはないのです。○鍛冶委員 あなたがさつきちよつと言われたが、事故発生のときの臨機の処置に対する訓練、火災の場合の消火の訓練ということを言われた……。○大矢証人 訓練はないのです。○鍛冶委員 どういうことですか。そういうことを聞かされておるだけですか。○大矢証人 そうです。○鍛冶委員 そういうことを、ただ臨機の処置をやれ、火災が起きたら消せ、こういうことを言われただけですか。○大矢証人 そうです。○鍛冶委員 ただそういう注意を与えただけですか。○大矢証人 そうです。その後も、同趣旨の発言が繰り返されていますが、その辺は省略します。ただし、前述のように、消火器の位置確認を怠るなど、車掌の過失が問われる所ですが、、そうした訓練をしてこなかった当局にも。その責があるのかということになりそうです。○鍛冶委員 そうするとそれは二箇月の訓練中に聞かされたのですか。○大矢証人 もちろんそうです。○鍛冶委員 その後においてはないのだね。それでは火災のときはどうして消すかということは、一つも習つてもおらぬし、教えてもおらぬのですか。○大矢証人 どうして消すといいますと……。○鍛冶委員 火災が起つたらどうして消火するか。○大矢証人 もちろん電気を断つて、それ以上燃えないようにして……。○鍛冶委員 そういうことを訓練したことはない、ただ聞かされただけか、それともこうしてやる……。○大矢証人 訓練したことはないのです。○鍛冶委員 それじや教えられたか。○大矢証人 そうです。○鍛冶委員 どういうふうに教えられたか。○大矢証人 ただ火災が起きた場合は消火に努めよ……。○鍛冶委員 それだけか、そうすると、具体的にどうして消すかは聞いたことはないんだね。今あなたは電気をとめるとか言われたが、あなたの常識でそういうことを考えておるだけか。○大矢証人 そうです。○鍛冶委員 消火器を用いて火を消せというようなことも教えられたことはないのか。○大矢証人 常識上でやつぱり。○鍛冶委員 さつき消火器があるのもある。ないのもあると言われたが、あるのを見ましたか。○大矢証人 見ました。消火器の使い方も、知らないし、教えてもらうこともなかったと証言車掌自身は、消火器の扱い方を習っていなかったと証言していますが、それ以前に意識として、消火器の有無などは配慮していないようで、消火器があるのは本来であろうと思うが、無くとも余り気にしていないと証言しているわけで、現在の常識に当てはめて考えると、大きな過失と言えそうです。○鍛冶委員 その使用方法は習つたことはないんだね。○大矢証人 習つたことはないです。中略・・・・○鍛冶委員 消火器がある以上は、火を消すためにある。それを使わなければ消火にならない。そうすれば火を消すときは、これをこうして使わなければならぬというようなことを考えそうなもんだが、そういうことを考えてみたことはなかつたか。○大矢証人 考えてみましたが、使い方なんか教わつていなかつたんです。○鍛冶委員 そこで聞きたいんだが、あなたまさかのときは消火器を使つて消さなければならぬと思うならば、必ず消火器のあるところを見届けておるべきが、人命をあずかつておる車掌としての責務であろうと思うが、そこまで考えておるかどうか、それを私は聞きたいのです。○大矢証人 考えていました。○鍛冶委員 いたら、それでは車に乗るとき、これに消火器があるかないかを見なければならぬが、それはどうです。○大矢証人 その点気がつかなかつたのです。○鍛冶委員 そうすると車に消火器があれば使つて消そうという考えはあるけれども、車には必ず消火器がある、あるいはこれを使わなければならぬということまでは考えていなかつたわけだね。○大矢証人 あの場合は……。○鍛冶委員 あの場合じやないですよ。一般の場合を言つてるのですよ。あなた方が毎日勤務するとき、車に消火器があるかどうか、あつた場合は必ず使うということを考えておつたか。あの場合のことはあとで聞きます。一般の場合です。○大矢証人 使おうと思つて……。○鍛冶委員 思つていれば、消火器があるかないか見届けなければしようがないじやないですか。あるかないかもわからぬじや、そんなことを思つてみたつてどうしようもない。思つてみたらこの車には消火器があるか、ここにあるなあということを知つておらなければしようがない。大体車に乗るときは消火器のあるなしを現認して乗らないんだね。○大矢証人 しいて現認して乗らないんです。○鍛冶委員 消火器はあるのが本則じやないのですか、あつてもなくてもいいのですか。○大矢証人 あるのが本則だと思いますが……。○鍛冶委員 本則であると思うだけで、そういうことにきまつておるということは知らないんだね。○大矢証人 知らないのです。○鍛冶委員 なくても別にあなた方は気にもとめないわけだね。○大矢証人 ええそうです。車掌はDコックの存在を知らなかった?否、三方コック=Dコックであることを知らなかった可能性が車掌は、車内に入って三方コツクを開けてドアを開けるということは知っていたようで、「駅へ行つてあかない場合は車内へ入つて行つて腰かけの下の三方コックを切つていつもあけることになつております。」と証言しており、今回も冒頭の証言で、二両目と三両目の間から車内に入って、三方コックを操作し手ドアを開けたら、そのまま押し出させるように車外に飛び出しと証言していますので、車掌は車内にあるDドア開放用のコックの存在は知っていたわけですが、車外にある、同様の三方コック(Dコック)の存在は知らなかったと証言しています。○鍛冶委員 それじやこの事故について聞きたいが、先ほど委員長から、この事故防止の方法はなかつたかと言われたら、あなたは信号のことを言われたが、それは火を吹いた原因なんだ。私がこれから聞くのは、火が出たときにあれほどたくさんの死傷者を出さずに済ませる方法はなかつたか、あなたはどう考えているか、それを聞きたい。○大矢証人 Dコックを知つておれば、コックを切つてできたんじやないかとも思います。○鍛冶委員 それはわしらも知らぬが、一体Dコックというのはどこにあるのか。○大矢証人 自分もよく知らないのです。○鍛冶委員 Dコックというのは中側があかぬときに、外からあけるときのためにあるんでしよう。○大矢証人 ええそうです。○鍛冶委員 あなた長年車掌をやつておるが、故障か何かのためにドアがあかぬことはなかつたか。○大矢証人 自分たちはたいがい駅へ行つて、あかないときは駅で扱う。駅へ行つてあかない場合は車内へ入つて行つて腰かけの下の三方コックを切つていつもあけることになつております。○鍛冶委員 外でやつたことはないのか。○大矢証人 ええ。○鍛冶委員 そうするとDコックなんというものは駅の者でなかつたら扱わぬごとになつておるのですか。○大矢証人 Dコックは自分なんかは全然それまで知らなかつたのです。○鍛冶委員 一体駅の者が扱うものか、乗務員が扱うものか、どつちか。○大矢証人 Dコックですか。○鍛冶委員 Dコツクに限らず、電車にある装置、ことに、外にある装置は……。○大矢証人 外にある装置はほとんど運転手が扱つております。○鍛冶委員 事掌だつて扱つていいだろう。○大矢証人 車掌が下手に扱うと事故が増大しないとも限らないのです。自分たちは技術関係、機械関係は教わつていないですから……。○鍛冶委員 中であけられぬときにはどうするというようなことを教えられたことはなかつたか。外であける必要があるというようなことを教えられたこともなかつたか。○大矢証人 なかつたです。以上のように、車掌は車内にあるDコックの存在は知っているが、車外にあるDコックの存在を知らされておらず、機器類の操作は運転士以外は触らないということで、昔ながらの縦割り的な部分の弊害が出ているのかなぁと思えます。実際、後付けの知恵でああだこうだというのは簡単ですが、ここで惜しむらくは車掌の知っている三方コックが車外にもあり、ここで問題となっているDコックは外にもあることを知っていたならば、又違った展開になっていたかもしれないという点です。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** **********************桜木町事故国会審問の議事録*****************************○鍛冶委員 今の教育ですが、車掌になる前に二箇月の教育を受けるのですね。○大矢証人 そうです。○鍛冶委員 車掌になつてからもそういうことに対する訓練はあるのですか、ちよいちよいやるのではないのですか。○大矢証人 訓練というものはないのです。○鍛冶委員 あなたがさつきちよつと言われたが、事故発生のときの臨機の処置に対する訓練、火災の場合の消火の訓練ということを言われた……。○大矢証人 訓練はないのです。○鍛冶委員 どういうことですか。そういうことを聞かされておるだけですか。○大矢証人 そうです。○鍛冶委員 そういうことを、ただ臨機の処置をやれ、火災が起きたら消せ、こういうことを言われただけですか。○大矢証人 そうです。○鍛冶委員 ただそういう注意を与えただけですか。○大矢証人 そうです。○鍛冶委員 そうするとそれは二箇月の訓練中に聞かされたのですか。○大矢証人 もちろんそうです。○鍛冶委員 その後においてはないのだね。それでは火災のときはどうして消すかということは、一つも習つてもおらぬし、教えてもおらぬのですか。○大矢証人 どうして消すといいますと……。○鍛冶委員 火災が起つたらどうして消火するか。○大矢証人 もちろん電気を断つて、それ以上燃えないようにして……。○鍛冶委員 そういうことを訓練したことはない、ただ聞かされただけか、それともこうしてやる……。○大矢証人 訓練したことはないのです。○鍛冶委員 それじや教えられたか。○大矢証人 そうです。○鍛冶委員 どういうふうに教えられたか。○大矢証人 ただ火災が起きた場合は消火に努めよ……。○鍛冶委員 それだけか、そうすると、具体的にどうして消すかは聞いたことはないんだね。今あなたは電気をとめるとか言われたが、あなたの常識でそういうことを考えておるだけか。○大矢証人 そうです。○鍛冶委員 消火器を用いて火を消せというようなことも教えられたことはないのか。○大矢証人 常識上でやつぱり。○鍛冶委員 さつき消火器があるのもある。ないのもあると言われたが、あるのを見ましたか。○大矢証人 見ました。○鍛冶委員 その使用方法は習つたことはないんだね。○大矢証人 習つたことはないです。○鍛冶委員 それはどうして使うか知つてるのかね。○大矢証人 いや別に知つてないです。大体今まで使つたことはないのです。○鍛冶委員 一体あなた方は、火を消さなければならぬ、消すときは消火器を使わなければならぬ、こういう気があれば、この車に消火器があるかないか、あつたらどうして使うかぐらいのことを考えなければならぬもんだが、そういうことを考えてみたこともないのか。○大矢証人 あの場合は……。○鍛冶委員 いやあの場合ではない、一般の場合のことを言つてるのです。あの場合のことはあとで聞きます。そういうことを考えてみたこともないのか。○大矢証人 どうして消火器を使つていいか……。○鍛冶委員 消火器がある以上は、火を消すためにある。それを使わなければ消火にならない。そうすれば火を消すときは、これをこうして使わなければならぬというようなことを考えそうなもんだが、そういうことを考えてみたことはなかつたか。○大矢証人 考えてみましたが、使い方なんか教わつていなかつたんです。○鍛冶委員 そこで聞きたいんだが、あなたまさかのときは消火器を使つて消さなければならぬと思うならば、必ず消火器のあるところを見届けておるべきが、人命をあずかつておる車掌としての責務であろうと思うが、そこまで考えておるかどうか、それを私は聞きたいのです。○大矢証人 考えていました。○鍛冶委員 いたら、それでは車に乗るとき、これに消火器があるかないかを見なければならぬが、それはどうです。○大矢証人 その点気がつかなかつたのです。○鍛冶委員 そうすると車に消火器があれば使つて消そうという考えはあるけれども、車には必ず消火器がある、あるいはこれを使わなければならぬということまでは考えていなかつたわけだね。○大矢証人 あの場合は……。○鍛冶委員 あの場合じやないですよ。一般の場合を言つてるのですよ。あなた方が毎日勤務するとき、車に消火器があるかどうか、あつた場合は必ず使うということを考えておつたか。あの場合のことはあとで聞きます。一般の場合です。○大矢証人 使おうと思つて……。○鍛冶委員 思つていれば、消火器があるかないか見届けなければしようがないじやないですか。あるかないかもわからぬじや、そんなことを思つてみたつてどうしようもない。思つてみたらこの車には消火器があるか、ここにあるなあということを知つておらなければしようがない。大体車に乗るときは消火器のあるなしを現認して乗らないんだね。○大矢証人 しいて現認して乗らないんです。○鍛冶委員 消火器はあるのが本則じやないのですか、あつてもなくてもいいのですか。○大矢証人 あるのが本則だと思いますが……。○鍛冶委員 本則であると思うだけで、そういうことにきまつておるということは知らないんだね。○大矢証人 知らないのです。○鍛冶委員 なくても別にあなた方は気にもとめないわけだね。○大矢証人 ええそうです。○鍛冶委員 それじやこの事故について聞きたいが、先ほど委員長から、この事故防止の方法はなかつたかと言われたら、あなたは信号のことを言われたが、それは火を吹いた原因なんだ。私がこれから聞くのは、火が出たときにあれほどたくさんの死傷者を出さずに済ませる方法はなかつたか、あなたはどう考えているか、それを聞きたい。○大矢証人 Dコックを知つておれば、コックを切つてできたんじやないかとも思います。○鍛冶委員 それはわしらも知らぬが、一体Dコックというのはどこにあるのか。○大矢証人 自分もよく知らないのです。○鍛冶委員 Dコックというのは中側があかぬときに、外からあけるときのためにあるんでしよう。○大矢証人 ええそうです。○鍛冶委員 あなた長年車掌をやつておるが、故障か何かのためにドアがあかぬことはなかつたか。○大矢証人 自分たちはたいがい駅へ行つて、あかないときは駅で扱う。駅へ行つてあかない場合は車内へ入つて行つて腰かけの下の三万コックを切つていつもあけることになつております。○鍛冶委員 外でやつたことはないのか。○大矢証人 ええ。○鍛冶委員 そうするとDコックなんというものは駅の者でなかつたら扱わぬごとになつておるのですか。○大矢証人 Dコックは自分なんかは全然それまで知らなかつたのです。○鍛冶委員 一体駅の者が扱うものか、乗務員が扱うものか、どつちか。○大矢証人 Dコックですか。○鍛冶委員 Dコツクに限らず、電車にある装置、ことに、外にある装置は……。○大矢証人 外にある装置はほとんど運転手が扱つております。○鍛冶委員 事掌だつて扱つていいだろう。○大矢証人 車掌が下手に扱うと事故が増大しないとも限らないのです。自分たちは技術関係、機械関係は教わつていないですから……。○鍛冶委員 中であけられぬときにはどうするというようなことを教えられたことはなかつたか。外であける必要があるというようなことを教えられたこともなかつたか。○大矢証人 なかつたです。○鍛冶委員 あなた方自身考えてみたこともなかつたか。○大矢証人 自分たちがドアをあけるのはたいがい駅で、途中で車が悪い場合は、ほとんど運転手が機械の方は担当することになつております。○鍛冶委員 それはそうだが、運転手だけで間に合わぬときは、乗客の人命に関するようなことがあれば車掌がやらなきやならぬじやないか。運転手でなければやれないのか。これ以上追究してみたつてしようがないが、われわれはそう思うのだ。運転手でなければそんなものには手をつけられないといつて、ただ手をこまぬいて見ておるわけにはいかぬだろう。○大矢証人 下手をやると事故増大のもとになると思つて……。○鍛冶委員 そういうりくつよりか、中であけられぬときには外であけなければならぬということを考えてみたこともなかつたかということをお聞きしたい。○大矢証人 別にないのです。○鍛冶委員 考えたこともなかつたか。○大矢証人 ええ。○鍛冶委員 従つて措置も知らない、こういうわけですね。○大矢証人 そうです。
2020.06.07
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本日も、桜木町事故の証人審問からご覧いただこうと思います。今回は車掌が証言を行っているのですが、ここでも若干証言に矛盾と言いますか、不自然な部分があります。すなわち、以下の部分>三両目の間から車内に入って、それで三方コツクを一つ切りまして、そこで電車からおりるお客と一緒に押し出されてしまつたここで言う三方コックは、ドアのDコックのことなのですが、下記のとおり証言では、我々は教えられていないと言うことで、Dコックと三方コックは同じものなのですが、全く別のものと思っていたのか、それとも意図的にそのような発言をしたのかかと思います。○篠田委員長 その場合にあなたは、Dコツクをひつぱるということは知らなかつた……。○大矢証人 自分らは教わらなかつたから……。○篠田委員長 だれが知つているのですか、Dコツクがあるということは……。○大矢証人 自分は今まで知りませんでした。○篠田委員長 車掌は全然知らない。○大矢証人 はい。この辺は、もう少し知りたいところですが、時間はかかりますが調べて行ければと思っています。さらに、質問は続くのですが、週刊誌の記事を元に、災害時に車掌が最後部に陣取って火が納まるのを傍観していたと言う証言をしています。それが、今回の証人ではないのかと質問をしています。これに対しては、自分ではないと否定していますが、この車掌室に乗り込み。傍観していたのは誰なのか?若干疑問は残ります。○篠田委員長 それでここに五月十三日号の週刊朝日があるのだが、ここにこういうふうに書いてある。「救助に来た鉄道員の動作がいかにものろくさく、後尾の車掌室から、仕方なく火の納まるのを傍観している車掌の態度が、ひどくいらだたしく思われた。」というふうに書いてあるのだが、今話を聞くと、あなたはすぐ飛び出して行つたのだね。○大矢証人 そうです。夢中でした、そのときは……。○篠田委員長 そうすると後尾の車掌室からだれか傍観していた車掌があつたのかね。それをあなたは知らない……。○大矢証人 知らないです。ここで車掌に、この事故は防げたかという質問に対し、信号が停止措置をしてくれていれば事故は防げたという証言をしていますが。ここで、信号を変更する事が何故出来なかったのか・・・変電所側では異常が検知できなかったこと、信号係に権限はなく、駅長、もしくは運転担当助役でないと信号を換えることが出来ないという組織上の問題もあったかと考えますが、その辺は今後の証言が出てきます。また、証言では、駅長なりの責任者が到着したのは事故から5分程度だったと証言していますが。この5分から6分というのが妥当だったのか否か?考えさせられます。○篠田委員長 あなたはこの事故というものは不可抗力、それとも何か事前に避ければ避けられるというふうに考えるか、どうですか。○大矢証人 防げば防げたと思います。○篠田委員長 どういうふうにして防いだら防げると思う……。○大矢証人 自分は信号が唯一の頼りなのです。だから信号が停止になつていればよかつたかと思います。○篠田委員長 信号が停止になつていればもちろんそこへ車は行かないわけだね。そうすると事故を防げる。それでそれは信号手の責任だから、なぜ停止信号を出さなかつたかということは、信号手に聞かなければわからないけれども、あなたはそのときにかけつけたということはわかるが、駅から五十メートルか百メートルきりないのだが、そのとき駅員の、いわゆる桜木町の駅の助役なり駅長なりがかけつけて来た時間はどのくらいだつたか気がつかなかつたのですか。○大矢証人 切り離すちよつと前です。○篠田委員長 切り離すちよつと前、何分くらいかかつたのですか。事故が発生してから切り離すまで、駅長さんや助役さんがかけつけて来るまで何分くらいかかつたのですか。正確な時間はもちろんわからぬだろうから、感じとしてどのくらいかかつたと思いますか。○大矢証人 五、六分か七、八分、そんなものですね。はつきりしたことはわからないのです。更に質問が続くのですが、運転士は車掌の姿を認めず、車掌も同様に、運転士の姿は見なかったと証言しています。これは、混乱の中ですから。やむをない事かと思いつつも、もう少しやりようがあったのではないでしょうか。更に質問は続き、車掌に対して、この電車が危険であったか否かと言う点を問いただしていますが、車掌自身も三段窓の狭さは思っていたようで、2枚窓であればもう少し脱出者はいたのではないかと回答しています。○篠田委員長 あなたは六三型の電車に乗つておつて、ふだん何かというときこの電車では危険だというふうに感じておりましたか。○大矢証人 感じでいました。○篠田委員長 どういうふうに感じていましたか。○大矢証人 緊急の場合は窓から逃げ出すのですが、あの場合は三段窓ですから、もし二枚窓になつていたら多少なりとも被害は少かつたと思います。○内藤(隆)委員 この大惨事が発生した瞬間に、あなたは何両目の車におりましたか。○大矢証人 瞬間(ママ)は一番最後。○内藤(隆)委員 最後部ですか。○大矢証人 一番うしろです。○内藤(隆)委員 そうすると規則は、車掌はその列車編成の一番うしろにおるものとなつておるのですか。○大矢証人 そうです。○内藤(隆)委員 そこで、さいぜんの運転士の証言では、あなたの姿が見えなかつたというのだが、あなたは運転士を見ましたか。○大矢証人 見ませんでした。○内藤(隆)委員 それはもう混乱に陷つたので見当らなかつたというのですな。○大矢証人 そうだと思います。車掌の教育についても質問が続きます。ここでは、車掌は二ヶ月ほど教育を受けているが、床下の車両構造などは学んでいないと証言しておりますので、冒頭のドアを開けてと言うのは、前回の「二両目と三両目の間から車内に入って、それで三方コツクを一つ切りまして、そこで電車からおりるお客と一緒に押し出されてしまつた」という意味合いとは矛盾するように思うのですが、全く別物なのでしょうか。ここでも、Dコックの存在は知らないと証言しています。○内藤(隆)委員 たとえば、今二箇月間のうちにどういう教育を受けたか、あなたは運転に関しての教育を受けておつたと言われたが、すると運転するだけの技術は持つておるのですか。○大矢証人 技術関係ではないのです。ただ自分たちは運転の信号とか……。○内藤(隆)委員 運転に関するものなんで、運転するものではないのですね。○大矢証人 運転技術じやないのです。○内藤(隆)委員 そこでDコツクですが、これがあるということを知らなかつたのですか。○大矢証人 そうです。全然教わらなかつたのです。○内藤(隆)委員 これは大切なる機械だと思うのですが、そういうものに対しては全然教育を受けていないのですか。○大矢証人 全然ないのです。さらに、質問は続きますが。内藤委員は、車掌がDコックの存在を知らなかったのかと重ねて質問しています。その理由は、週刊誌に国労の労働委員長の談話として、「乗客の機械に対する科学的知識がなかつたということもこの惨事を招いた一つの大きな原因である。だから乗客も少くともそういうような科学的知識があつてほしい」と発言したというのです。最後は誘導尋問的な形で終わっているのですが、当時の国鉄の一般乗客に対する考え方が垣間見えるような気がします。○内藤(隆)委員 重ねて伺いますが、二月ということは、われわれどうも合点が参らないのですが、中には一年も受けた者がおるのですか。そういう者はいないのですか。皆んなたいてい二月くらいの教育で車掌になるのですか―ともかくも車掌という職務は、運転その他に関しては運転士に信号を発したりいろいろありますが、あなたの仕事は客を扱うのでしよう。その場合に、事故が起きた場合に、今の証言では、まず一番人命が大切だと思つたから行つたという気持なんですね。その場合にDコツクというような重要な機械があるということを知らずして、どうして一体人命が救われるのですか。○大矢証人 自分たちは技術関係ではないので、機械方面は教わらなかつたのです。○内藤(隆)委員 全然……。○大矢証人 車体の下ですね、下の機械は教わらなかつたのです。○内藤(隆)委員 車の構造は習わなかつたのですか。○大矢証人 構造は教わりました。○内藤(隆)委員 そうしなければ話が合わないですね。そこに週間朝日がありますが、国鉄の労働組合の委員長なんかの談によりますと、乗客の機械に対する科学的知識がなかつたということもこの惨事を招いた一つの大きな原因である。だから乗客も少くともそういうような科学的知識があつてほしいということを述べておる。私はこれを読んだときに非常に義憤を感じたのだが、実際に車に乗つておるあなた方すら何も智ないのに、われわれがそういう科学的知識を持てるはずがない。そういうことを言うということは、むしろ罪をわれわれの方におつかぶせようとする態度であつて奇怪だと思うのですが、要するに教育は二月なんですね。○大矢証人 そうです。○内藤(隆)委員 だから未熟な教育だということを、あなた自身がこの大問題を前にして立つたとき、つくづく感ずるでしよう。どうです。○大矢証人 そうです。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** **********************桜木町事故国会審問の議事録*****************************○篠田委員長 その場合にあなたは、Dコツクをひつぱるということは知らなかつた……。○大矢証人 自分らは教わらなかつたから……。○篠田委員長 だれが知つているのですか、Dコツクがあるということは……。○大矢証人 自分は今まで知りませんでした。○篠田委員長 車掌は全然知らない。○大矢証人 はい。○篠田委員長 それでここに五月十三日号の週刊朝日があるのだが、ここにこういうふうに書いてある。「救助に来た鉄道員の動作がいかにものろくさく、後尾の車掌室から、仕方なく火の納まるのを傍観している車掌の態度が、ひどくいらだたしく思われた。」というふうに書いてあるのだが、今話を聞くと、あなたはすぐ飛び出して行つたのだね。○大矢証人 そうです。夢中でした、そのときは……。○篠田委員長 そうすると後尾の車掌室からだれか傍観していた車掌があつたのかね。それをあなたは知らない……。○大矢証人 知らないです。○篠田委員長 あなたはこの事故というものは不可抗力、それとも何か事前に避ければ避けられるというふうに考えるか、どうですか。○大矢証人 防げば防げたと思います。○篠田委員長 どういうふうにして防いだら防げると思う……。○大矢証人 自分は信号が唯一の頼りなのです。だから信号が停止になつていればよかつたかと思います。○篠田委員長 信号が停止になつていればもちろんそこへ車は行かないわけだね。そうすると事故を防げる。それでそれは信号手の責任だから、なぜ停止信号を出さなかつたかということは、信号手に聞かなければわからないけれども、あなたはそのときにかけつけたということはわかるが、駅から五十メートルか百メートルきりないのだが、そのとき駅員の、いわゆる桜木町の駅の助役なり駅長なりがかけつけて来た時間はどのくらいだつたか気がつかなかつたのですか。○大矢証人 切り離すちよつと前です。○篠田委員長 切り離すちよつと前、何分くらいかかつたのですか。事故が発生してから切り離すまで、駅長さんや助役さんがかけつけて来るまで何分くらいかかつたのですか。正確な時間はもちろんわからぬだろうから、感じとしてどのくらいかかつたと思いますか。○大矢証人 五、六分か七、八分、そんなものですね。はつきりしたことはわからないのです。○篠田委員長 あなたは六三型の電車に乗つておつて、ふだん何かというときこの電車では危険だというふうに感じておりましたか。○大矢証人 感じでいました。○篠田委員長 どういうふうに感じていましたか。○大矢証人 さつきゆうの場合は窓から逃げ出すのですが、あの場合は三段窓ですから、もし二枚窓になつていたら多少なりとも被害は少かつたと思います。○内藤(隆)委員 この大惨事が発生した瞬間に、あなたは何両目の車におりましたか。○大矢証人 瞬間は一番最後。○内藤(隆)委員 最後部ですか。○大矢証人 一番うしろです。○内藤(隆)委員 そうすると規則は、車掌はその列車編成の一番うしろにおるものとなつておるのですか。○大矢証人 そうです。○内藤(隆)委員 そこで、さいぜんの運転士の証言では、あなたの姿が見えなかつたというのだが、あなたは運転士を見ましたか。○大矢証人 見ませんでした。○内藤(隆)委員 それはもう混乱に陷つたので見当らなかつたというのですな。○大矢証人 そうだと思います。○内藤(隆)委員 それからさいぜんの証言の中に、二箇月間教育を受けたということを証言されましたが、その通りですか。○大矢証人 二月です。○内藤(隆)委員 一体わずか二月くらいで車掌の職務を十分に学び、これを研究し得るものでしようか。○大矢証人 自分なんか教わつたのは二月ですが……。○内藤(隆)委員 もつと長く教育を受けた者もおるのだね。○大矢証人 自分らはよく知らないのですが、たいがい「二、三箇月だと思います。○内藤(隆)委員 その二、三箇月の期間で十分車掌の職務は勤まりますか。○大矢証人 いろいろ自分でも研究しておりますので……。○内藤(隆)委員 どんなふうに研究しておるのですか。○大矢証人 達しだとかいろいろ見て……。○内藤(隆)委員 たとえば、今二箇月間のうちにどういう教育を受けたか、あなたは運転に関しての教育を受けておつたと言われたが、すると運転するだけの技術は持つておるのですか。○大矢証人 技術関係ではないのです。ただ自分たちは運転の信号とか……。○内藤(隆)委員 運転に関するものなんで、運転するものではないのですね。○大矢証人 運転技術じやないのです。○内藤(隆)委員 そこでDコツクですが、これがあるということを知らなかつたのですか。○大矢証人 そうです。全然教わらなかつたのです。○内藤(隆)委員 これは大切なる機械だと思うのですが、そういうものに対しては全然教育を受けていないのですか。○大矢証人 全然ないのです。○内藤(隆)委員 そうするとあなたは一番最後部におつて、事故が発生したときにまず何を考えましたか。○大矢証人 もうお客を救い出さなければならない、燃え出したらドアが開かなかつたので、これはたいへんだと思つて、とにかくお客を救い出さなければならないというので……。○内藤(隆)委員 客を救うことをまず第一に考えた。いわゆる人命の尊さを思つてその動作に移つたのですね。車両などを助けるというような気持はなかつたのですか。○大矢証人 自分としてはお客の方が大事だと思いました。燃え出したらドアが開かなかつたものですから、これはたいへんだと思つたのです。○内藤(隆)委員 そうすると車両のごときは燃えても、人命の方が大切だと思つてやつたのですね。?それではまずあの燃えておる一番とつ端の車両に飛びつくべきですね。しかるにあなたは……。○大矢証人 飛びつくために前にかけたのです。そうすると火がまわつて手がつけられない、入れないのです。○内藤(隆)委員 そこで二両目と一両目の合に行かないで、三両目と二両目の合に行つたのですね。○大矢証人 そうです。○内藤(隆)委員 二両の方はどうなるのですか。○大矢証人 だから三両と二両の間から入つて、二両に入つたのです。一両とニ両は接近していて、連結から危くて入れないので、うしろから入つたのです。○内藤(隆)委員 重ねて伺いますが、二月ということは、われわれどうも合点が参らないのですが、中には一年も受けた者がおるのですか。そういう者はいないのですか。皆んなたいてい二月くらいの教育で車掌になるのですか?ともかくも車掌という職務は、運転その他に関しては運転士に信号を発したりいろいろありますが、あなたの仕事は客を扱うのでしよう。その場合に、事故が起きた場合に、今の証言では、まず一番人命が大切だと思つたから行つたという気持なんですね。その場合にDコツクというような重要な機械があるということを知らずして、どうして一体人命が救われるのですか。○大矢証人 自分たちは技術関係ではないので、機械方面は教わらなかつたのです。○内藤(隆)委員 全然……。○大矢証人 車体の下ですね、下の機械は教わらなかつたのです。○内藤(隆)委員 車の構造は習わなかつたのですか。○大矢証人 構造は教わりました。○内藤(隆)委員 そうしなければ話が合わないですね。そこに週間朝日がありますが、国鉄の労働組合の委員長なんかの談によりますと、乗客の機械に対する科学的知識がなかつたということもこの惨事を招いた一つの大きな原因である。だから乗客も少くともそういうような科学的知識があつてほしいということを述べておる。私はこれを読んだときに非常に義憤を感じたのだが、実際に車に乗つておるあなた方すら何も智ないのに、われわれがそういう科学的知識を持てるはずがない。そういうことを言うということは、むしろ罪をわれわれの方におつかぶせようとする態度であつて奇怪だと思うのですが、要するに教育は二月なんですね。○大矢証人 そうです。○内藤(隆)委員 だから未熟な教育だということを、あなた自身がこの大問題を前にして立つたとき、つくづく感ずるでしよう。どうです。○大矢証人 そうです。○内藤(隆)委員 よろしうございます。
2020.05.08
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引き続き、桜木町事故における、国会における審問をご覧いただこうと思います。今回は当該列車に乗務していた車掌の証言になります。ここで、一点気になる点があります、車内に入って「三方コツクを一つ切り」ドアが開いて押し出されたという記述がされているのですが、Dコックの存在は知らないと証言しています。3方コック=Dコックなのですが、別物と理解していたのか、はたまた、記述誤りなのか気になるところではありますが、早速見ていきたいと思います。車掌も事故で焦っていた?証言が変転車掌の証言が、質問者の誘導により変化しているようにも見受けられますが、どうやらこの事故では気が動転して、消火器の位置を見つけられなかったとして、当初は「電車によつて消火器がある電車もある、ない電車もあるのだね」という質問に対して、「いや、電車によつて、そのついている場所がいろいろです。」という回答をしているのですが、下記の質問内容では、一転して、「運転台の中にあるのでは」と質問されて、「ついて要るのです」と返答していますが。誘導尋問的に答えたとも言えますし、わざと最初は知らないと答えていたのかも知れず、この辺は疑問が残るところではあります。○篠田委員長 そうすると運転台の中についているのですか。そばにといつても何も手を延ばすほどというのじやなくて、運転台の中にあるのじやないですか。○大矢証人 ついているのです。○篠田委員長 ついているのでしよう。あなたの場合は車掌台の中についてなかつたのですか。○大矢証人 気がつかなかつた……。○篠田委員長 証人は車掌としてどういうような教育を受けられたか、また実務についてどういう訓練を受けられたか、簡単にそれを述べてください。○大矢証人 車掌養成は約二箇月でした。その間教わりましたことは運転、旅客、貨物輸送、電気、車両、交通地理、遺失物、英語等であります。○篠田委員長 事故が発生した場合に、どういうことをするかというような教育は受けなかつたのですか。○大矢証人 臨機の処置、まあ火災等の場合は消火に努めるよう……。○篠田委員長 消火器はありますか。○大矢証人 備えてあるのもあります。○篠田委員長 あなたの乗つていた電車には、消火器が備えてあつたの、なかつたの。○大矢証人 気がつきませんでした。○篠田委員長 それでは火災のときに消火しろといつてもできないじやないですか。自分の乗つている車に消火器があるかないかもわからないで、火災の起つたときに臨機の処置をして消火に努めるといつてみたところで、消火器がどこにあるかわからないでは、できないじやありませんか。○大矢証人 自分はお客さんの方を扱つておりますので、ああいう場合は、とにかくお客さんを待避させるのが一番だと思いました。○篠田委員長 そうすると、運転手は運転をすることが主たる職分だし、あなたはお客を扱うことが職分だが、その場合、火事が起つたときにはどうするの。共同責任ということになるの。消火の場合は当然運転手は運転をとめるでしよう。事故の起つたところにかけつけることになるのですかね。○大矢証人 そうです。○篠田委員長 あなたもかけつける。○大矢証人 そうです。○篠田委員長 その場合に消火器がどこにあるかわからなかつたら消火できないじやないか。自分の車の消火器があるかないかということは、乗る前に一応検査するのじやないの、そういうことはないの、あるいは全部の車のどこかにその場所をきめてあるのじやないですか。そういうことはないの。○大矢証人 きめてないです。○篠田委員長 電車によつて消火器がある電車もある、ない電車もあるのだね。○大矢証人 その点はそうです。○篠田委員長 車掌はそのありかを知らぬわけだね。○大矢証人 いや、電車によつて、そのついている場所がいろいろです。○篠田委員長 君の場合は、どこについておつたか、気がつかなかつた。……。○大矢証人 ええ。○篠田委員長 ついている場所は違つておつても、一応やはり運転手のすわつておるそばとか、車掌のすわつておるそばとか、一番手つ取り早く消火器が使えるようなところについているのじやないですか。○大矢証人 いや、そんなにそばにはついていないのです。○篠田委員長 そうすると運転台の中についているのですか。そばにといつても何も手を延ばすほどというのじやなくて、運転台の中にあるのじやないですか。○大矢証人 ついているのです。○篠田委員長 ついているのでしよう。あなたの場合は車掌台の中についてなかつたのですか。○大矢証人 気がつかなかつた……。○篠田委員長 そういうことに対してまつたく注意をしておらぬというふうに解釈していいのですか。前方の屋根からのスパークを認めて車掌弁で緊急停止ここで非常に注目すべき証言をしています。すなわち、車掌は、スパークが上がったのを認め、火の手が上がっているので車掌弁を弾いたと証言しています。更に、停止後車掌スイッチ(ドアスイッチ)を扱ったがドアは開かなかったと証言していますので、車掌の方がドアスイッチを開こうとしたが、開かなかったと言うことになります。運転士は、火の手が激しく上がってから車掌スイッチを操作したと言っていますのので、この証言が正しければ、車掌の方がより早くドアの開放を試みたということになります。更に、その後車内に入ろうとしたら、一両目と二両目は火の手がきつくて入れないので、二両目と三両目の間から車内に入って、それで三方コツクを一つ切りまして、そこで電車からおりるお客と一緒に押し出されてしまつたと表現しています。ここで、最初に書いた疑問となるわけですが、実はこの時点では二両眼の車内に入って、三方コックを一つ開き、おそらくドアが開いたと言うことでしょう。そのまま、押し出されたと書いています。ただ、次回になりますが、証言でDコックの存在は知らなかったと証言しているのです。三方コツクとDコックが同義であると知らなかったとも考えられますが、いずれにしても車掌は少なくとも一両目の開放は火の手が強くてどうしようもなかったのですが、2両目に関してはドアを開けたことは間違いなさそうです。あと、運転士が信号区の職員が停止合図をしていたのに気づかなかったのではないかとしていますが、この辺に関しては、少なくとも運転士は気づかずそのまま運転していたようにも思えます。もっとも、こうして証言を聞く範囲の上での判断ですので、断定は出来ませんが、少しずつ事実を積み上げながら検証していくことは重要かと思います。画像 wikipedia 車掌弁【赤い突起を下に引き下げることで、非常ブレーキがかかる】○篠田委員長 あなたが電車に乗つていて事故が発生したときの状況、それから発生後におけるあなたのやつたことを述べてみてください。できるだけ記憶をたどつて詳しく述べてみてください。○大矢証人 まず桜木町場内信号機二番線注意を確認した後、さらに停止を確認、電車がその場内信号機を過ぎたころ自分がうしろを見ますと、うしろでとまれのような合図をしていましたので、とまれの合図をしたとたんにスパークした。そのとき車掌弁をじやーつとひつぱつてしまつたのです。それでひよつと前を見ますと、どうも普通の状態と違つて火がひどいのです。それでこれはいけないと思つてすぐ車掌スイッチをあけたのです。そうしたらドアはもうあかなかつた。それで最後部のお客は運転台からおりるようにすぐドアをあけて、そのまま夢中で前へ飛んで行つたのです。それから一両目と二両目の連結器から車内へ入ろうとした。そうしたら一両目は火がひどくて、危くて全然入れない。それですぐもどつて次の二両目と三両目の連結器から車内へ入つたのです。それで三方コツクを一つ切りまして、そこで電車からおりるお客と一緒に押し出されてしまつたものですから、下で降りる乗客を受けとめていたのです。○篠田委員長 そうするとあなたが急停車したということを確認してうしろを見たときに、線路工夫であつたかだれであつたかわからないが……。○大矢証人 いや急停車する前です。○篠田委員長 急停車の前にうしろを見たところが、停車をするようにという合図をしていたのだね。○大矢証人 そうです。それですぐスパークしたのです。○篠田委員長 その合図は前からしておつたようでしたか、それともあなたが見た瞬間にしておつたようですか。○大矢証人 見た瞬間です。○篠田委員長 運転手はそういうことを全然気がつかないで進行していたのですか、こういう事故が起つたのだから、ちようどそこに工手長もおつたし、三、四人の工夫がおつたからとまれとか手を振る合図をしておつたかということが問題なのだが、あなたはとまれという合図をしておつたことを見たわけなんだな。○大矢証人 見たわけです。○篠田委員長 それですぐ車掌弁をとめたのですか。その車掌弁というものは運転手に急を知らせる弁ですか。○大矢証人 電車をとめる弁、うしろと前とでとめるようになつているのです。○篠田委員長 そのときは、とまつたのだね。○大矢証人 そうです。信号区の職員の停止手配を運転士が気づいていたのか?やはり気になるのは、運転士が信号区職員の停止手配を気づいていたか否かが気になるところではあります。ただ、この事故の場合運転士だけにその責を求めるのは厳しいものがあり、電力区で、ショートしていることを確認できず事故後も送電し続けたという過失もありますし、信号所でも、電気掛の現場責任者がすぐ連絡しているにもかかわらず信号手配が遅れたと言った事情もあります。【これからそうした証言が出てきます】現時点では、運転士が線路工手が停止するよう合図していたにも関わらず運転をしていたのか否かと言うことになります。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** **********************桜木町事故国会審問の議事録*****************************――――◇――――― 午後一時四十一分開議○篠田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 桜木町駅国電事故に関する件について大矢治雄君より証言を求むることにいたします。 大矢治雄さんですね。○大矢証人 はい。○篠田委員長 ただいまより桜木町駅国電事故に関する件について証言を求むることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百十二五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祈祷の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の朗読を願います。 〔証人大矢治雄君朗読〕 宣誓書 良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。○篠田委員長 宣誓書に署名捺印してください。 〔証人宣誓書に署名捺印〕○篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また発言の際は議事の整理上その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なおこちらから質問しておりますときはおかけになつていてけつこうですが、お答えの際は御起立を願います。 証人の経歴を簡単に述べてください。○大矢証人 私は八王子中学校を卒業いたしまして、昭和二十二年三月三日鉄道に東神奈川車掌区列車手として入りました。同年の二十二年の九月の二十九日に車掌を拝命いたしまして現在に至りました。○篠田委員長 証人は車掌としてどういうような教育を受けられたか、また実務についてどういう訓練を受けられたか、簡単にそれを述べてください。○大矢証人 車掌養成は約二箇月でした。その間教わりましたことは運転、旅客、貨物輸送、電気、車両、交通地理、遺失物、英語等であります。○篠田委員長 事故が発生した場合に、どういうことをするかというような教育は受けなかつたのですか。○大矢証人 臨機の処置、まあ火災等の場合は消火に努めるよう……。○篠田委員長 消火器はありますか。○大矢証人 備えてあるのもあります。○篠田委員長 あなたの乗つていた電車には、消火器が備えてあつたの、なかつたの。○大矢証人 気がつきませんでした。○篠田委員長 それでは火災のときに消火しろといつてもできないじやないですか。自分の乗つている車に消火器があるかないかもわからないで、火災の起つたときに臨機の処置をして消火に努めるといつてみたところで、消火器がどこにあるかわからないでは、できないじやありませんか。○大矢証人 自分はお客さんの方を扱つておりますので、ああいう場合は、とにかくお客さんを待避させるのが一番だと思いました。○篠田委員長 そうすると、運転手は運転をすることが主たる職分だし、あなたはお客を扱うことが職分だが、その場合、火事が起つたときにはどうするの。共同責任ということになるの。消火の場合は当然運転手は運転をとめるでしよう。事故の起つたところにかけつけることになるのですかね。○大矢証人 そうです。○篠田委員長 あなたもかけつける。○大矢証人 そうです。○篠田委員長 その場合に消火器がどこにあるかわからなかつたら消火できないじやないか。自分の車の消火器があるかないかということは、乗る前に一応検査するのじやないの、そういうことはないの、あるいは全部の車のどこかにその場所をきめてあるのじやないですか。そういうことはないの。○大矢証人 きめてないです。○篠田委員長 電車によつて消火器がある電車もある、ない電車もあるのだね。○大矢証人 その点はそうです。○篠田委員長 車掌はそのありかを知らぬわけだね。○大矢証人 いや、電車によつて、そのついている場所がいろいろです。○篠田委員長 君の場合は、どこについておつたか、気がつかなかつた。……。○大矢証人 ええ。○篠田委員長 ついている場所は違つておつても、一応やはり運転手のすわつておるそばとか、車掌のすわつておるそばとか、一番手つ取り早く消火器が使えるようなところについているのじやないですか。○大矢証人 いや、そんなにそばにはついていないのです。○篠田委員長 そうすると運転台の中についているのですか。そばにといつても何も手を延ばすほどというのじやなくて、運転台の中にあるのじやないですか。○大矢証人 ついているのです。○篠田委員長 ついているのでしよう。あなたの場合は車掌台の中についてなかつたのですか。○大矢証人 気がつかなかつた……。○篠田委員長 そういうことに対してまつたく注意をしておらぬというふうに解釈していいのですか。○大矢証人 自分はお客の方に重点を置きまして……。○篠田委員長 お客に重点を置くといつても、火事となつた場合には消火に努めろという教育は受けているでしよう。お客の何をやるのですか、切符を調べるとか……。○大矢証人 そうじやないのです。その場合は早急にお客の方を待避させなければならないのです。○篠田委員長 ドアをあけるとか……。○大矢証人 はい。○篠田委員長 あなたが電車に乗つていて事故が発生したときの状況、それから発生後におけるあなたのやつたことを述べてみてください。できるだけ記憶をたどつて詳しく述べてみてください。○大矢証人 まず桜木町場内信号機二番線注意を確認した後、さらに停止を確認、電車がその場内信号機を過ぎたころ自分がうしろを見ますと、うしろでとまれのような合図をしていましたので、とまれの合図をしたとたんにスパークした。そのとき車掌弁をじやーつとひつぱつてしまつたのです。それでひよつと前を見ますと、どうも普通の状態と違つて火がひどいのです。それでこれはいけないと思つてすぐ車掌スイッチをあけたのです。そうしたらドアはもうあかなかつた。それで最後部のお客は運転台からおりるようにすぐドアをあけて、そのまま夢中で前へ飛んで行つたのです。それから一両目と二両目の連結器から車内へ入ろうとした。そうしたら一両目は火がひどくて、危くて全然入れない。それですぐもどつて次の二両目と三両目の連結器から車内へ入つたのです。それで三方コツクを一つ切りまして、そこで電車からおりるお客と一緒に押し出されてしまつたものですから、下で降りる乗客を受けとめていたのです。○篠田委員長 そうするとあなたが急停車したということを確認してうしろを見たときに、線路工夫であつたかだれであつたかわからないが……。○大矢証人 いや急停車する前です。○篠田委員長 急停車の前にうしろを見たところが、停車をするようにという合図をしていたのだね。○大矢証人 そうです。それですぐスパークしたのです。○篠田委員長 その合図は前からしておつたようでしたか、それともあなたが見た瞬間にしておつたようですか。○大矢証人 見た瞬間です。○篠田委員長 運転手はそういうことを全然気がつかないで進行していたのですか、こういう事故が起つたのだから、ちようどそこに工手長もおつたし、三、四人の工夫がおつたからとまれとか手を振る合図をしておつたかということが問題なのだが、あなたはとまれという合図をしておつたことを見たわけなんだな。○大矢証人 見たわけです。○篠田委員長 それですぐ車掌弁をとめたのですか。その車掌弁というものは運転手に急を知らせる弁ですか。○大矢証人 電車をとめる弁、うしろと前とでとめるようになつているのです。○篠田委員長 そのときは、とまつたのだね。○大矢証人 そうです。○篠田委員長 それは運転手がとめる前にあなたがひつぱったのですか。○大矢証人 自分のとめる前は電車は走つておりました。○篠田委員長 そうすると運転手もとめたのだが、あなたもとめたのだね。○大矢証人 そうです。○篠田委員長 そのときは電気は来ておつたわけですね。とまるくらいだから……。○大矢証人 あれは電気は来てなくつても、エアーですからとまります。○篠田委員長 あなたがあとで一両目か二両目に走つて行つたとき、一両目に入ることができなかつた。あなたの車掌室から一両目に入るまでに何分くらい時間がかかりますか。○大矢証人 時間的にはわかりませんですが、一車が大体二十メートルくらいになつております。○篠田委員長 四両走つて行つたのだから八十メートル走つて行つたわけですね。十二、三秒くらい走つていたのだね。そのときは火がまわつていた……。○大矢証人 そうです。○篠田委員長 それでその後どういう処置をとりましたか。○大矢証人 それですぐうしろへもどつて、二両目と三両目の連結器の上から車内へ入つたのです。○篠田委員長 それはどういう意味……。○大矢証人 もうとびらはあかないのですから、お客を救うべく中へ入ろうとした……。それでドアがあかないからうしろから入つた。
2020.04.19
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本日も桜木町事故の審問議事録からアップしたいと思います。途中から名前が出ている、横田委員(横田甚太郎)は、日本共産党の議員で、元々は無産政党からの出身のようですが、かなり厳しい口調で運転士に質問しています、今までの議員と比べるとかなり厳しく個人の責任を追及しているようですが、実際には国鉄という態勢に対しての攻撃をしていることが判ります。国鉄当局自体に責任はないかと質問する横田委員あなたが責任を追究されるのじやないですよ。・・・中略・・・電車自体の構造の中に非常な欠陷があると思うのです。それに対するところの訓練も十分できておらない。これが大きな惨事の原因だつたろうと思うのです。だからあなた自身がもつと大きな気持において、こういうふうな電車を動かさないようにしてもらう、動いておる電車ならもつと安全にしてもらう、そういう運動をしない限り、あなたたちの上の人たちは、もうけるような形において特別二等車をこしらえるとか、アメリカのように非常に大きな貨車をつくるとかいうことよりほか、何もやつておらない。そういう点でよく考え直してもらいたい。運転士を責めるのでは無く。国鉄という組織の体制について規模しく糾弾すべきでは無いかという視点で質問をしています。○中村証人 結局自分としてはやはりあれだけでは全然だめだと思います。○横田委員 要はあなたじやないのであつて、電車自体の構造の中に非常な欠陷があると思うのです。それに対するところの訓練も十分できておらない。これが大きな惨事の原因だつたろうと思うのです。だからあなた自身がもつと大きな気持において、こういうふうな電車を動かさないようにしてもらう、動いておる電車ならもつと安全にしてもらう、そういう運動をしない限り、あなたたちの上の人たちは、もうけるような形において特別二等車をこしらえるとか、アメリカのように非常に大きな貨車をつくるとかいうことよりほか、何もやつておらない。そういう点でよく考え直してもらいたい。国鉄当局よりも運転士の責任を追及する篠田委員長横田委員の後に質問をされる篠田委員長は、民主自由党所属、篠田弘作と言う人で、こちら後の自民党にあんるわけですが、保守本流を貫いた人と言えそうです。質問事項は、横田委員と異なり、個人の責任をどこまで認めるかという視点から質問がなされており、横田委員とは対照的な質問であることがうかがえます。現在では、ヒューマンエラーは起こりえるものとして、それを避けるための訓練であったり、バックアップ装置が用意されたりしていますが、当時は精神的なところが強調される風潮がありました。ここでも、夏季のような質問がなされていますが、いささか誘導尋問的にも取れますが、当時の風潮としては、精神論が体制であったこと未だ未だ強かったと言えそうです。○篠田委員長 しかしあなたは先ほどの陳述によつてわかる通り、狼狽して思いつかなかつたのであるということが災害の一つの大きな原因。それから検車係が同乗しておつて、その検車係というものは年中検車をしておるのだから、Cコツク、Dコツクのあけ方を知つておる。その検車係が飛びおりてしまつて、どこかに行つてしまつておらない。自分の身を安全に保つために、その最も専門家である検車係がそれをやらなかつた。これが一つの大きな原因。もう一つは窓を全部ふさいであつたということが大きな原因。こういうように考えてみたときに、今横田委員の言われたような車の構造一設備というものにも今度の災害の大きな原因がある。全然その車は処置のない車ではなくて、DコツクならDコツクというものをあければ、外からエアを切つてあけ得るようになつているのにもかかわらず、あなた方がしなかつた、気がつかなかつたということが大きな原因の一つだ。そうでしよう。そういう場合、われわれが船に乗つた場合に、船長なり船員なりは、船に故障が起つたときにはお客を全部助けてから、船長は船とともに運命をともにするという心構えをしておるし、そういうことをした人も、日本においても外国においてもたくさんある。あなたは運転士だから船長のような気持を持つておらぬかもしれないが、それでもその船と同じように、一つの五両連結なら五両連結というものを預つておる。あなたがそういう場合に自分がこの車を預つているのだという一つの責任感、そういうものを持つておるか持つておらないか。○中村証人 持つております。○篠田委員長 持つておるとするならば、あなたが一番最後にその車から逃げ出す、というと言葉は悪いかしらぬが、逃げ出すとすれば一番最後に逃げ出すべきものであり、一応飛びおりたとしても、ふだんからそういう考えを持つていたとするならば、あがつておるからDコツクが引けないというような、機械の構造だけでは済まされないと思う。自分の修養、未熟さについて今日何と考えておるか。○中村証人 自分としてはほんとうになくなつた人に対しては申訳ないと思つております。○篠田委員長 そういう設備があるのに、その設備に気がつかなかつたということに対してどう思つているか。ふだんは知つておるのだがとつさの場合に忘れてしまつた、救助の方法がなかつたわけじやなくあるのだ、Dコツクというものを引けばエアが切れてドアがあいて、全部は救われないにしてもその何分の一かは救われたに違いない。あなたが狼狽してそれができなかつたということに対してどう考えるか。○中村証人 自分としては先ほど申し上げましたように、中のドアのコツクだけしか――中の騒いでいるお客に気をとられて、中のことにだけしか考え及ばなかつたということは、今から考えてみれば残念だと思う。○篠田委員長 相済まないと思うか。○中村証人 Dコツクについては今から考えればほんとうに残念だと思う。○篠田委員長 ただ残念だけで済まされない問題だが、完全な車に改造してもらいたいということをあなたが言つたが、車が完全であつてもそういう事故の起つた場合に従業員があがつてしまつたらどうなのだ。もちろんこの車は不完全な車だが、全然救出の道がないとは考えられない。この車を完全にすると同時に、もつと従業員の精神的の訓練というか、修養というか、教育というか、そういう面に国鉄が真剣にならなければならぬし、あなた方自身ももつと真剣にならなければならないというように考えぬか。○中村証人 そう思つております。○篠田委員長 車の改造と同時に、あなた方の精神的教育はもつと必要であると考えるか。○中村証人 考えます。当時はヒューマンエラーという概念は無かった篠田委員長は、運転士の世親論を追求しているところが有りますが、現在は一般的にはこうしたリスクマネジメントの考え方は、ミスは犯すもの、そのミスを最小限に抑えるためにバックアップなり、補助装置等の設置、さらにはそうしたバックアップ体制を取った上で、十分な訓練を積むことが大事なわけで、こうした議事録などを見ていますと、当時の世相が如何に個々人の責任を精神論だけで押さえ子s網としていたのかという点が判ります。最も、ヒューマンエラーと言った概念はまだ無かった時代であったことを考慮すれば、それも仕方が無かったことと言えそうです。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** **********************桜木町事故国会審問の議事録*****************************○中村証人 自分としてはそういう点はまだはつきりわかりません。○横田委員 わかりません……。人を百何十人も焼いて殺しておるじやないですか。どういうようなわけで、そういうなまぬるい気持でおるのか。あなたが責任を追究されるのじやないですよ。○中村証人 結局自分としてはやはりあれだけでは全然だめだと思います。○横田委員 要はあなたじやないのであつて、電車自体の構造の中に非常な欠陷があると思うのです。それに対するところの訓練も十分できておらない。これが大きな惨事の原因だつたろうと思うのです。だからあなた自身がもつと大きな気持において、こういうふうな電車を動かさないようにしてもらう、動いておる電車ならもつと安全にしてもらう、そういう運動をしない限り、あなたたちの上の人たちは、もうけるような形において特別二等車をこしらえるとか、アメリカのように非常に大きな貨車をつくるとかいうことよりほか、何もやつておらない。そういう点でよく考え直してもらいたい。○篠田委員長 それでは証人にもう一ぺん聞きます。災害のいろいろな原因は、まず第一に四号線の架線の故障ということ、これが最大の原因である。一番重要な原因である。その次にあなた方が下り線に入つて行くときに架線が下つておる、たるんでおるのを知らないで、あなたがそれを見ることができなくて、信号だけを見て入つて行つたから、パンタグラフがひつかかつてなつたということが第二の原因。これは私らしろうとが考えてもそうだ。それから火災の起つた直後における処置としては、Cコツク、Dコツクというものがあつて、外部からあけるようになつておつた。その訓練はふだん受けておらなかつたけれども、そういうものの所在はあなた方は知つておつたろう。○中村証人 知つております。○篠田委員長 しかしあなたは先ほどの陳述によつてわかる通り、狼狽して思いつかなかつたのであるということが災害の一つの大きな原因。それから検車係が同乗しておつて、その検車係というものは年中検車をしておるのだから、Cコツク、Dコツクのあけ方を知つておる。その検車係が飛びおりてしまつて、どこかに行つてしまつておらない。自分の身を安全に保つために、その最も専門家である検車係がそれをやらなかつた。これが一つの大きな原因。もう一つは窓を全部ふさいであつたということが大きな原因。こういうように考えてみたときに、今横田委員の言われたような車の構造一設備というものにも今度の災害の大きな原因がある。全然その車は処置のない車ではなくて、DコツクならDコツクというものをあければ、外からエアを切つてあけ得るようになつているのにもかかわらず、あなた方がしなかつた、気がつかなかつたということが大きな原因の一つだ。そうでしよう。そういう場合、われわれが船に乗つた場合に、船長なり船員なりは、船に故障が起つたときにはお客を全部助けてから、船長は船とともに運命をともにするという心構えをしておるし、そういうことをした人も、日本においても外国においてもたくさんある。あなたは運転士だから船長のような気持を持つておらぬかもしれないが、それでもその船と同じように、一つの五両連結なら五両連結というものを預つておる。あなたがそういう場合に自分がこの車を預つているのだという一つの責任感、そういうものを持つておるか持つておらないか。○中村証人 持つております。○篠田委員長 持つておるとするならば、あなたが一番最後にその車から逃げ出す、というと言葉は悪いかしらぬが、逃げ出すとすれば一番最後に逃げ出すべきものであり、一応飛びおりたとしても、ふだんからそういう考えを持つていたとするならば、あがつておるからDコツクが引けないというような、機械の構造だけでは済まされないと思う。自分の修養、未熟さについて今日何と考えておるか。○中村証人 自分としてはほんとうになくなつた人に対しては申訳ないと思つております。○篠田委員長 そういう設備があるのに、その設備に気がつかなかつたということに対してどう思つているか。ふだんは知つておるのだがとつさの場合に忘れてしまつた、救助の方法がなかつたわけじやなくあるのだ、Dコツクというものを引けばエアが切れてドアがあいて、全部は救われないにしてもその何分の一かは救われたに違いない。あなたが狼狽してそれができなかつたということに対してどう考えるか。○中村証人 自分としては先ほど申し上げましたように、中のドアのコツクだけしか――中の騒いでいるお客に気をとられて、中のことにだけしか考え及ばなかつたということは、今から考えてみれば残念だと思う。○篠田委員長 相済まないと思うか。○中村証人 Dコツクについては今から考えればほんとうに残念だと思う。○篠田委員長 ただ残念だけで済まされない問題だが、完全な車に改造してもらいたいということをあなたが言つたが、車が完全であつてもそういう事故の起つた場合に従業員があがつてしまつたらどうなのだ。もちろんこの車は不完全な車だが、全然救出の道がないとは考えられない。この車を完全にすると同時に、もつと従業員の精神的の訓練というか、修養というか、教育というか、そういう面に国鉄が真剣にならなければならぬし、あなた方自身ももつと真剣にならなければならないというように考えぬか。○中村証人 そう思つております。○篠田委員長 車の改造と同時に、あなた方の精神的教育はもつと必要であると考えるか。○中村証人 考えます。○篠田委員長 それからもう一つは、窓をふさいでおるということについては、今の横田委員の説明によると、今日まだ窓をふさいでいるそうですね。あれは終戦直後に、窓から飛入りをするお客を防御するためにやつたのだと思うが、今でも窓はそのままふさいでおりますか。○中村証人 棒でやつたのは今ありません。○篠田委員長 三段に板が張つてありますね。あれはとりましたか。○中村証人 現在は棒でふさいでいるというのはないです。○篠田委員長 あなたの乗つていたのは棒でふさいでおつたのでしよう。 〔「窓が三段になつているのだ」と呼ぶ者あり〕○篠田委員長 そうですか、なるほど……。何か御質問はありませんか。――他に御質問がなければ、これにて中村証人に対する尋問を終ります。証人にはたいへん御苦労さまでした。あと三人残つておりますから、一時まで休憩をいたして、一時に再開いたします。 午後零時三十二分休憩 ――――◇―――――
2020.04.07
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本日も、桜木町駅国電事故の国会審問をアップしていこうと思います。引き続き、当時事故列車を運転していた中村証人の証言になります。冗長になっている部分は省略してお話を進めたいと思います。最初に、中村証人は、電車から降りたのは、乗客を助けたいためであったと証言しており、その場合乗務員室のドアを開けていればと言う疑念は消えませんし、椅子が置いてあったのでと言うことなどが書かれていますが、少なくとも乗務員室と客室を結ぶドアは開けることはしなかったと証言しています。その点は、下記に書かれていますし、質問で、何故二両目に向かったのかという点についても改めて質問がなされていますが、中々この質問自体は正鵠を得た質問と言えそうです。その中で、中村証人としては取りあえず「外に出てドアを開けなくてはいけないと思った」という発言にも虚偽はないと言えそうですが、実際に混乱した状況では、それ以外の証言はどこまで真意なのか?と言う疑問はやはり残ってしまいます。例えば、この表現ですが、二両目のドアを開けたと証言しています。「二両目のドアを自分で手動であけたのは、二つか三つかはつきりしないのですが、それであけて、それから今度二両目から一両目のお客をひつぱり出して、そのあけたドアから出すつもりでやりました。」とありますが、Dコックの存在を知らないのに何故ドアを開けられたのかと言う疑問が生じてしまいます。おそらくは、窓から引っ張り出したという意味合いでの表現かも知れません。実際にスリムな人であれば、3段窓の中間部分から脱出できた人もいたようです。○島田委員 その当時、事故発生後車外へ飛び出すまでの時間が、今考えてみても、全然どのくらいな時間だつたかわからないとあなたのおつしやることは、結局それがほんとうだと思います。心機転倒といいますか、これはとうていわれわれが現在考え得られない。あなたというものは、予期せざる事故にぶつかつて、びつくりぎようてんしたという立場が本来の姿でなかつたかと思うのです。もし多少とも冷静を失わずにいたならば、現在その時間に対してもある程度想像がつくだろうと思う。そうすると、あなたがパンタグラフを下げたとか、あるいは上げたとか、あるいは車掌スイッチをやつてみたとか、あるいは切りかえスイッチをやつてみたとかいうことは、ふだんの訓練から本能的にやつたようにも思われる。またあなたもやらねばならぬという気持はあつたろうと思うが、その間実際にそれが行われたものか。あるいは行われねばならぬという本能的な一つの感じで、現在もやつたような気がするというのか、これすらも、今あなたのお説をお聞きして、どちらがほんとうだつたか、私は判断に迷うという程度なんです。そうすると、この間もいわゆる周章狼狽したというのが本来の姿であつて、冷静は全然失われておつたというのが実際だつたろうと思うのです。それからあなたが、第一両目や第二両目に対して、車内に入りたいという気持が一ぱいで、その間これを救出するために他の具体的な手段というものはほとんどとられずに済んでおる。結局ドアをあけるために車内に入りたいという気持があつたのでしようか、それとも他に何か車内に入れば助けてあげられるのだというおぼろげな気持で客車内に入りたいという気持だつたのか、これを伺いたい。○中村証人 自分としては、車内に入りたいというのは、ドアを早くあけたいという気持です。○島田委員 それ一つですね。○中村証人 はあ。ドアをあければ、お客さんは何人か助かる、お客さんを出さなければならぬというその気持だけであります。○島田委員 それから、第一両目は火がまわつているので、とうてい入れないというので断念しておつた。第二両目はまだ十分火がまわつていないから、第二両目に入るためにかけつけたというふうに……。○中村証人 自分としては第一両目に入るつもりでおりました。ところがそのときたしか第一両から出ていたので――もぐつて出て来たのだろうと思いますが、また二両目の方もがたがた騒いでいるので、二両目のドアをすぐあけなければならぬと思いました。それで二両目のドアを自分で手動であけたのは、二つか三つかはつきりしないのですが、それであけて、それから今度二両目から一両目のお客をひつぱり出して、そのあけたドアから出すつもりでやりました。○島田委員 そのお客を三人か五人か出したというころには、多少とも冷静は回復しておつたわけですね。○中村証人 そうであります。この後の質問で、島田委員は、国鉄に対する責任という視点で質問しています。すなわち、Dコックを車内にも判るように椅子の下に赤い丸を付けて場所を判りやすくした。それで、国鉄の責任を果たせたかという質問ですが、これに対し、中村証人としては電車をより完璧なものとしてほしいという発言に終始していますが。それは、それで乗務員としての正直な気持ちであろうかと思います。○横田委員 この大惨事を起された当事者であるところのあなたにちよつと伺つてみたい。桜木町駅国電事故に対する昭和二十五年四月二十五日の日本国有鉄道の声明を見ましても、今後事件が起らないものだとは書いてない。起る起らないはしろうとにはわからないのですが、それから後に電車に乗つて私たちが見ておりますと、三段構えの窓は依然としてある。ただかわつているというのは、人のすわつているいすの下に穴をあけまして、矢じるしを書いて、この下をこういうふうにやつたらドアがあくというふうに書いてあるのです。もし事故が起つた場合にはどうするということは、旅客の協力を求めて初めて旅客が完全にかつてに逃げられるという行き方になつていると思う。そこで私が聞きたいのは、しろうとであるわれわれが電車に乗りますときには、国電に金を払つて切符を買う、そして目的地に行く、これだけの関係なんです。それだけの関係でわれわれが何の協力をしなくても事故が起らないようにしてもらえばけつこうだが、国鉄の職員の責任持ちにおいてのみこういう事故が防げるような、あるいは起つた場合にも救済できるような方法があるかないかということを、あなたとしてはどういうふうに考えられるか。こういうことを一点述べてもらいたい。○中村証人 結局自分としては車なんかもつと完全な車にしてもらいたいと思います。○横田委員 完全な車というものは現在あるのですか。それともないのですか。世にいわれる六三型電車というのは非常に危険な電車だといわれておりますが、この六三型という電車と今あるところの電車とはどういうように違うか。この点について伺いたい。○中村証人 この六三型というのは戦時中に設計してつくつた電車だそうであります。昔山手などに使つた古い三○型とか三二型とかいう車は、屋根が全部鉄板だとか、そういうような資材の面においてうんと違うのであります。さらに、個々で世論的にもこうした空気感はあったと思いますが、特別2等車【現在のグリーン車】を作る金があったら、63形をもっと改良すべきではないかという質問をしていますが、この辺は実はちょっと誤解があると言えそうです。実際には、緊急工事でDコックの室内取り付けと説明書きの貼付などの緊急工事が行われましたが、貫通扉の撤去や、3段窓の中間窓を開放できるように改造するなどの工事も行われています。昭和26年8-9月 交通技術61号では、63がt電車の緊急工事を10月末目途に実施するという記事が出ており、その内容は、抜粋すると下記の通りです。 パンタグラフの二重絶縁貫通式に改定 関東の電車は元々貫通ホロがなく、電車のドアは内側に開く構造となっており、その結果混雑時にはドアが開きにくいという問題もあったため、貫通扉を撤去して貫通ホロを設けることとした。プザ回路を24Vに改浩、従来のIOOVのプザ回路では、今回のような事故の場合は用をなさないので、24V蓄電池式に改造。これと同時に客室に非常プザ、非常プザスイッチを設け、非常時には、すみやかに乗客より乗務員に通報し適切な措置がとれるようにした。戸ジメ装置三方コック増設 従来床下にあった戸ジメ装置の三方元コックを床下に更に1個、客室内に1個の三方元コックを増設、天井に防火塗料塗布最初の緊急改造工事ではあくまでも、上記の内容だけが変更されており、3段窓の全部上昇への改造は、一部電動車の中間電動車(モハ72)化を含めた更新改造であり、昭和26年秋頃から29年にかけて、国鉄向上並びに車両会社で改造工事が行われることとなりました。さらに、このときにむき出しであった天井なども戦前の電車並みに内装が設けられるなど改良が施され大いに面目を改めたものでした。緊急改造工事で、窓の改修も行われたように勘違いされがちですが、あくまでも事故後の緊急改修工事は、貫通ホロの取り付けとか、3方コックの増設、と言った限定的な内容でした。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** 国家異議記事録本文は、以下の通り**********************桜木町事故国会審問の議事録***********************○中村証人 自分としては、火花を発して外へ顏を出すこともできなかつた状態でありますから……。○島田委員 その当時、事故発生後車外へ飛び出すまでの時間が、今考えてみても、全然どのくらいな時間だつたかわからないとあなたのおつしやることは、結局それがほんとうだと思います。心機転倒といいますか、これはとうていわれわれが現在考え得られない。あなたというものは、予期せざる事故にぶつかつて、びつくりぎようてんしたという立場が本来の姿でなかつたかと思うのです。もし多少とも冷静を失わずにいたならば、現在その時間に対してもある程度想像がつくだろうと思う。そうすると、あなたがパンタグラフを下げたとか、あるいは上げたとか、あるいは車掌スイッチをやつてみたとか、あるいは切りかえスイッチをやつてみたとかいうことは、ふだんの訓練から本能的にやつたようにも思われる。またあなたもやらねばならぬという気持はあつたろうと思うが、その間実際にそれが行われたものか。あるいは行われねばならぬという本能的な一つの感じで、現在もやつたような気がするというのか、これすらも、今あなたのお説をお聞きして、どちらがほんとうだつたか、私は判断に迷うという程度なんです。そうすると、この間もいわゆる周章狼狽したというのが本来の姿であつて、冷静は全然失われておつたというのが実際だつたろうと思うのです。それからあなたが、第一両目や第二両目に対して、車内に入りたいという気持が一ぱいで、その間これを救出するために他の具体的な手段というものはほとんどとられずに済んでおる。結局ドアをあけるために車内に入りたいという気持があつたのでしようか、それとも他に何か車内に入れば助けてあげられるのだというおぼろげな気持で客車内に入りたいという気持だつたのか、これを伺いたい。○中村証人 自分としては、車内に入りたいというのは、ドアを早くあけたいという気持です。○島田委員 それ一つですね。○中村証人 はあ。ドアをあければ、お客さんは何人か助かる、お客さんを出さなければならぬというその気持だけであります。○島田委員 それから、第一両目は火がまわつているので、とうてい入れないというので断念しておつた。第二両目はまだ十分火がまわつていないから、第二両目に入るためにかけつけたというふうに……。○中村証人 自分としては第一両目に入るつもりでおりました。ところがそのときたしか第一両から出ていたので――もぐつて出て来たのだろうと思いますが、また二両目の方もがたがた騒いでいるので、二両目のドアをすぐあけなければならぬと思いました。それで二両目のドアを自分で手動であけたのは、二つか三つかはつきりしないのですが、それであけて、それから今度二両目から一両目のお客をひつぱり出して、そのあけたドアから出すつもりでやりました。○島田委員 そのお客を三人か五人か出したというころには、多少とも冷静は回復しておつたわけですね。○中村証人 そうであります。○島田委員 どうでしようか、この事故というものは、あなたの訓練や何かで従来考え及んだところから見て、全然予期しない事故だつたのですか。またその事故は従来常識で考え得られないような発生事故でございましようね。○中村証人 はあ、自分としては全然予期しておりませんでした。○島田委員 だから、雷みたいな大きな音がしたときに、もうびつくりぎようてんして、本能的にスイッチをやつてみたような気がするが、あとはさつそく運転台を飛び出したというのが事実じやないのですか。○中村証人 いえ、違います。○横田委員 この大惨事を起された当事者であるところのあなたにちよつと伺つてみたい。桜木町駅国電事故に対する昭和二十五年四月二十五日の日本国有鉄道の声明を見ましても、今後事件が起らないものだとは書いてない。起る起らないはしろうとにはわからないのですが、それから後に電車に乗つて私たちが見ておりますと、三段構えの窓は依然としてある。ただかわつているというのは、人のすわつているいすの下に穴をあけまして、矢じるしを書いて、この下をこういうふうにやつたらドアがあくというふうに書いてあるのです。もし事故が起つた場合にはどうするということは、旅客の協力を求めて初めて旅客が完全にかつてに逃げられるという行き方になつていると思う。そこで私が聞きたいのは、しろうとであるわれわれが電車に乗りますときには、国電に金を払つて切符を買う、そして目的地に行く、これだけの関係なんです。それだけの関係でわれわれが何の協力をしなくても事故が起らないようにしてもらえばけつこうだが、国鉄の職員の責任持ちにおいてのみこういう事故が防げるような、あるいは起つた場合にも救済できるような方法があるかないかということを、あなたとしてはどういうふうに考えられるか。こういうことを一点述べてもらいたい。○中村証人 結局自分としては車なんかもつと完全な車にしてもらいたいと思います。○横田委員 完全な車というものは現在あるのですか。それともないのですか。世にいわれる六三型電車というのは非常に危険な電車だといわれておりますが、この六三型という電車と今あるところの電車とはどういうように違うか。この点について伺いたい。○中村証人 この六三型というのは戦時中に設計してつくつた電車だそうであります。昔山手などに使つた古い三○型とか三二型とかいう車は、屋根が全部鉄板だとか、そういうような資材の面においてうんと違うのであります。○横田委員 そういたしますと、現在六三型電車が依然として通つておりますね。国鉄の本線においては特別二等車が通つておりますね。この二つの汽車の形を見たときに、こういうような事故を起して、あなた方としてどういう気持がいたしますか。もし特別二等車に使う金があつたならば、六三型に使つたならば、こういう惨事は防げるだろうという気持が起る。もしそういう気持が起るとするならば、あなた方は国鉄労働組合という組合を持つておるのですから、国鉄に何らかの形において要求し、その民主的でないあり方について、人命を尊重しないあり方について、何らか団体的な交渉ができるんじやないですか。○中村証人 自分としてはその点ははつきりいたしません。○横田委員 どういうわけか。自分が機械を扱つておる。電車を扱つておるのですね。これには尊い人命が運ばれて行く。人が運ばれて行くのですね。あなたはそこに就職することによつて、給料を得て生活されるだけである。それでいいのだと思う。あなたが事故が起ると、そのことから警察へ入れられた場合においては面会も禁止になり、そうして行政監察委員会にひつぱり出されたとすれば、これはあなたは非常に重要なる仕事をしておると私は思う。そういうような場合においては、機械に対する責任は、あなた自身が要求しなければならないのが今後の行き方だと思う。と同時にこういうような事故が起つたときに、電車を通じて人を助けるという要求を欠いておられると思う。今後あなた方同僚にやつてもらうのに、どういうような方法が望ましいと思うか。あなたが今苦しんでおる立場から、どういうような気持かひとつ承りたい。○中村証人 自分としては車をもつと早急に改造してもらいたいと思う。結局あのような事故が起つても、もつと最小限に食いとめられるように、結局中のお客さんに迷惑をかけないような状態にまで車を改善してもらいたいと思います。○横田委員 それは先ほど一番最初に聞きましたように、その後あなた方が奉職しておられるところの国鉄においては、矢印をつけたポスターを張つただけじやないか。そういうことに対して非常な不満を持つておりませんか。あれではあぶない。あの事故は桜木町だけで起つたものじやない。つい最近の選挙中におきましても、大阪の高槻付近におきましても電車が燃えております。幸い大火に至らなかつたからいいが、あのときはどういう意味か、上からでなしに下から燃えておる。こういうような事件は再三あるのだから、あなたが完全な電車にしてもらいたいと思うところの――国鉄は矢印を書いたポスターを張つただけだ。これに対して非常な不満を持つておるとすれば、従業員として今後どういうような態度をとられるか。これだけ伺つて、私の質問を終ります。
2020.03.21
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しばらく間が開いてしまったのですが、桜木町事故の審議議事録を見ていきたいと思います。この証言によりますと、列車の故障時の訓練は行っていたと言う証言がなされています。鉄道省時代から事故故障時の訓練はあったがただ、実際には、車両の応急装置だけで有り、乗客の救護などの訓練は行われていなかったと証言していますが、その点を如何に引用してみたいと思います。○山口(武)委員 それから先ほどの質問に対して、月二回応急処置に関するところの訓練を受けたということを言つておられましたが、これはいつごろからそうなつたのですか。○中村証人 終戦後、自分が軍隊から帰つて来た当時だと思います。○山口(武)委員 そうしますと、戦前にはそういうことはなかつたのですか、あるいは戦争中は。○中村証人 戦争中はありました。ずつと戦争中からやつておりました。○山口(武)委員 やはり月二回の訓練を。○中村証人 大体講習修業という修業がありますが、それに当つた者はやつておりました。○山口(武)委員 それから、先ほどあなたは塚原君の質問の際に、大分重大なことを答弁されたようですが、それはあなたたちの訓練の場合に、事故が起つた場合、えんこした場合、そういう場合に対してだけの訓練を受けておる、それからその場合の考え方としては、車両を中心とした考え方である、お客を大事にするということは、この場合中心の問題になつていないのだということを言つておりますが、これは戦争中にこういう考え方が生れたものでないのですか。○中村証人 戦争中はほとんど軍隊へ行つておりましたので、よくわかりません。桜木町事故に関する国会審問の議事録 第8回での質問事項Dコックに扱いについてに関連しての話になります。戦前も戦後も運転に関しては変更無しと証言あなたたちの訓練の場合に、事故が起つた場合、えんこした場合、そういう場合に対してだけの訓練を受けておる、それからその場合の考え方としては、車両を中心とした考え方である、お客を大事にするということは、この場合中心の問題になつていないのだということを言つておりますが、これは戦争中にこういう考え方が生れたものでないのですか。この質問は、中々重要なところと言いますか、厳しいところを聞いているように感じます。「鉄道省として、人命より車両を優先していたのか、それともそうした思想は戦中に発生したことか」と言う質問をしています。おそらく質問者の山口(武)委員(山口武秀衆議院議員)は、戦前も戦後も鉄道省【当時は国鉄】は人命よりも車両の保全が大事だったのではないかというところに持って行きたかったのだと思います。それ故に、下記のような質問をしたと思われます。○山口(武)委員 戦争が終つて、特に終戦後になりましてから、運転手の心構えが戦争中とかえられなければならないということが、特に訓練されたというようなことはないのですか。○中村証人 ありません。○山口(武)委員 そうすると戦争中と引続いてのやり方が依然として続けられましたね。○中村証人 結局車両故障の場合がおもだつたのです。○山口(武)委員 戦争中の考え方、理念というものが、ずつと継続していたというふうに考えられますか。○中村証人 自分としては考えられます。これにより、運転士から戦前も戦後も国鉄の運転士に関する考え方は変わっていない言葉を引き出していますが、中々良い質問であると言えます。火災発生時の措置については,習っていないと証言その後島田末信議員による質問が続きますが、島田議員は一期だけ務めたようで、あまり情報がありませんが、自民党発足前の民主党議員として活動、その後自由党に移籍して選挙を戦いますが落選して政界を引退しています。ここでの質問では、運転士が応急措置として、車両火災時の措置についての対応を質問していますが、運転士は過去に、車両が火災を起こした場合の措置などの教育を受けていないと明言しています。さらに、室内が燃えている場合はどうするのか?と言う質問に対しても明言は避けています。○島田委員 私は専門的なことをちよつとお聞きしますが、今の車内から火をふいた場合に、パンタグラフを下げれば通例火はとまるのですか。○中村証人 とまります。○島田委員 それからとまらぬ場合には、どういうう故障だとか、どういう処置をすればいいということは、はつきりしておるのですか。○中村証人 そういう処置はありません。自分としては習つたこともありませんし……。○島田委員 パンタグラフを下げても、さらに火をふいておるという場合には、何らの処置もないのですね。○中村証人 はあ。さらに、島田議員の質問は続くのですが、運転士がパンタグラフを再度上げようと試みたと言う証言です。「ドアが開かないので電源を確保するために上げることを試みた」という点に注目してみたいと思います。議員の質問では、敢えてDコックの存在を聞いて、本来ならそうした行動を取るべきではないかと質問しているのですが、・・・運転士は「パンタグラフは電源を得るために上げたのであります。」と証言しているところに注目すべきかなぁと思います。さらに、この後の行動(車外に飛び出すまでの時間)などもよく覚えていないとして証言をぼやかしていますが。この辺も行動心理と言う側面で見ていくと色々な側面が見えるのではないでしょうか。是非とも行動心理学の専門の方には、この辺を解説いただければ幸いです。○島田委員 そうすると手を盡す手段は全然ないわけなんですね。○中村証人 これといつて一貫した教育は別に受けておりません。まあ本人の判断によつてやるわけであります。○島田委員 それは何かいい判断がありますか○中村証人 別に自分としてもそういうことは夢にも考えておりませんでしたから……。○島田委員 それから、パンタグラフを下げてもさらに火をふいておるという場合に、ドアをあける装置が――かりにあけるような分別をしてみても、あかないというような故障があるのじやないですか。○中村証人 結局電源がなければあかないわけです。まあ、パンタグラフは電源を得るために上げたのであります。画像 wikipediaにほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** 国家異議記事録本文は、以下の通り**********************桜木町事故国会審問の議事録***********************○山口(武)委員 それからあなたはこの問題について勾留されたわけですね。○中村証人 そうであります。○山口(武)委員 それはいつからいつまで勾留されたのです事。○中村証人 二十四日の事故の日から十六日まで。○山口(武)委員 その間に面会は自由でしたか。○中村証人 面会は禁止です。○山口(武)委員 全期間を通じて面会禁止ですか。○中村証人 警察におつたときに、面会というよりか、着がえとが、そういうものを持つて来てもらいました。○山口(武)委員 そうすると面会が禁止された理由というのは、どういうように説明されていましたか。○中村証人 自分としてもよくわかりません。○山口(武)委員 向うで説明しませんか。○中村証人 しません。○山口(武)委員 あなたは面会をしたいということを言いはしなかつたか、面会をしたいという希望も述べなかつたのですか。○中村証人 それは、希望は起きましたけれども、接見文書禁止の札がかかつておるうちは、どうしてもだめだと監視の人がそう言つておりました。○山口(武)委員 あなた自身に面会禁止という通知はなかつたですか。○中村証人 ありました。それは拘置所に入つてからです。一日から接見文書禁止になつたからという通知がありました。○山口(武)委員 それから先ほどの質問に対して、月二回応急処置に関するところの訓練を受けたということを言つておられましたが、これはいつごろからそうなつたのですか。○中村証人 終戦後、自分が軍隊から帰つて来た当時だと思います。○山口(武)委員 そうしますと、戦前にはそういうことはなかつたのですか、あるいは戦争中は。○中村証人 戦争中はありました。ずつと戦争中からやつておりました。○山口(武)委員 やはり月二回の訓練を。○中村証人 大体講習修業という修業がありますが、それに当つた者はやつておりました。○山口(武)委員 それから、先ほどあなたは塚原君の質問の際に、大分重大なことを答弁されたようですが、それはあなたたちの訓練の場合に、事故が起つた場合、えんこした場合、そういう場合に対してだけの訓練を受けておる、それからその場合の考え方としては、車両を中心とした考え方である、お客を大事にするということは、この場合中心の問題になつていないのだということを言つておりますが、これは戦争中にこういう考え方が生れたものでないのですか。○中村証人 戦争中はほとんど軍隊へ行つておりましたので、よくわかりません。○山口(武)委員 あなたは昭和十二年ごろに、まだそれほど戦争が大きくならないころに、すでに品川電車区の方に入つておられるようですが、その当時からこういうような考え方があつたのですか。○中村証人 自分は十二年ごろは職場が全然違うのです。運転関係じやありませんでしたから、わかりません。○山口(武)委員 運転関係でないからわからないと言いますが、そういうような国鉄全体にあつた――当時は国鉄じやないかもしれませんが、たとえ運転手としてでなくても、考え方としては想像がつかなかつたのですか。○中村証人 それはよくわかりません。○山口(武)委員 戦争が終つて、特に終戦後になりましてから、運転手の心構えが戦争中とかえられなければならないということが、特に訓練されたというようなことはないのですか。○中村証人 ありません。○山口(武)委員 そうすると戦争中と引続いてのやり方が依然として続けられましたね。○中村証人 結局車両故障の場合がおもだつたのです。○山口(武)委員 戦争中の考え方、理念というものが、ずつと継続していたというふうに考えられますか。○中村証人 自分としては考えられます。○島田委員 私は専門的なことをちよつとお聞きしますが、今の車内から火をふいた場合に、パンタグラフを下げれば通例火はとまるのですか。○中村証人 とまります。○島田委員 それからとまらぬ場合には、どういうう故障だとか、どういう処置をすればいいということは、はつきりしておるのですか。○中村証人 そういう処置はありません。自分としては習つたこともありませんし……。○島田委員 パンタグラフを下げても、さらに火をふいておるという場合には、何らの処置もないのですね。○中村証人 はあ。○島田委員 そうすると手を盡す手段は全然ないわけなんですね。○中村証人 これといつて一貫した教育は別に受けておりません。まあ本人の判断によつてやるわけであります。○島田委員 それは何かいい判断がありますか○中村証人 別に自分としてもそういうことは夢にも考えておりませんでしたから……。○島田委員 それから、パンタグラフを下げてもさらに火をふいておるという場合に、ドアをあける装置が――かりにあけるような分別をしてみても、あかないというような故障があるのじやないですか。○中村証人 結局電源がなければあかないわけです。まあ、パンタグラフは電源を得るために上げたのであります。○島田委員 それから事故の発生後、あなたが運転台から車外へ飛び出すまでの時間は、今冷静に考えてどのくらいな時間でありましたか。○中村証人 自分もそれがはつきりしないのでありますが……。○島田委員 はつきりしないが、大体三分とか五分とか、これくらいだつたというような記憶はありませんか。○中村証人 ちよつとわかりません。○島田委員 全然わかりませんか。○中村証人 わかりません。○島田委員 どうでしよう、全然わからぬということはないはずだと思いますが、その当時の状況を冷静に判断して、大体五分くらいだつたろうとか、十分くらいだつたろうとか、三分くらいだつたろうというような、概略でいいのですが、ただわからないというだけではなく、何かそこに想像されるものがありはしないかと思うのでありますが……。
2020.03.07
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本日は、少し短めですが運転士の審問の議事録を見ていただこうと思います。この質問では、車掌が運転士が車掌スイッチを扱ったことで、ドアの開閉が出来なかったと言う証言に対して、それは間違っていると明言しております。電源が来れば開閉できる、実際にはこの時点ではショートしており、車掌室側の電源も通電されていなかったと言うことになります。こうした事故の場合、やはり日頃の訓練が重要なのであろうと言うことがよくわかるのですが、当時の世相等も考えれば、ある程度仕方の無い事なのかも知れませんが、こうした過去の事例を活かしていくこと、行動心理学的分析なども重要になってくるように考えてしまいます。○鍛冶委員 そうすれば車掌が、あなたが切つたがためにあかなかつたというのは、車掌は間違つているのだね。○中村証人 そうです。車掌の方は構造というものは知らないのだろうと思います。○鍛冶委員 それは間違いないね。○中村証人 切りかえスイッチに関係なくあくわけであります。結局電源があれば、あくというわけであります。○鍛冶委員 それじやスイッチはそれでいいが、Dコツクをあけるというのは、あなたはやらなかつたが、車掌もやらなかつたか。○中村証人 車掌は知りません。○鍛冶委員 そこでその次は、あなたが切つても、車掌の方からやろうと思えばやれるのだね。あなたの方で切つてあつても、別なものでやれば、車掌の方であくのですか。○中村証人 あきます。さらに、その後の質問として、事故発生後の検査係所在委を質問していますが、このときの検査係の行動もいささか不明確と言えそうです。火災発生後すぐに飛び出して、行方不明になったと証言していますが、こうした点も当時の世相というものを考える上で、注視していく必要がありそうです。○鍛冶委員 検車が一緒に乗つておつたと言つたね。その火の出たときにはあなたと一緒に運転台におつたのだね。○中村証人 はい、一緒であります。○鍛冶委員 いつどうして出たか、覚えておらぬか。○中村証人 覚えがありません。○鍛冶委員 あなたがうしろを見て飛び出す時分はもうすでにいなくなつておつた。○中村証人 自分がおりるときには、もちろんおらなかつた、おりてしまつたのであります。○鍛冶委員 先ほどあなたが言う、うしろのガラスを通して見ると、中に火が一ぱいになつておつたというときには……。○中村証人 そのときはおりません。○鍛冶委員 火が出ると同時にどこかへ行つてしまつたわけだね、どこにどう行つたかわからぬ、何しておつたかわからない。私自身は、心理学などは門外漢ですので、詳しいことは判りませんが、こうした災害時の行動心理学を分析していければ、こうした災害時の行動心理を把握した上での適切な行動などを見つけられるのではないでしょうか。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** 国家異議記事録本文は、以下の通り**********************桜木町事故国会審問の議事録***********************○鍛冶委員 そこでその次は、あなたが切つても、車掌の方からやろうと思えばやれるのだね。あなたの方で切つてあつても、別なものでやれば、車掌の方であくのですか。○中村証人 あきます。○鍛冶委員 そうすれば車掌が、あなたが切つたがためにあかなかつたというのは、車掌は間違つているのだね。○中村証人 そうです。車掌の方は構造というものは知らないのだろうと思います。○鍛冶委員 それは間違いないね。○中村証人 切りかえスイッチに関係なくあくわけであります。結局電源があれば、あくというわけであります。○鍛冶委員 それじやスイッチはそれでいいが、Dコツクをあけるというのは、あなたはやらなかつたが、車掌もやらなかつたか。○中村証人 車掌は知りません。○鍛冶委員 先ほども委員長から聞いているが、車掌がどこにおつたかわからないか。○中村証人 わかりません。○鍛冶委員 あなたが二両目のところへ行つたときも何も見なかつたか。○中村証人 わかりません。○鍛冶委員 何をしておつたか知らぬのか。○中村証人 知りません。○鍛冶委員 検車が一緒に乗つておつたと言つたね。その火の出たときにはあなたと一緒に運転台におつたのだね。○中村証人 はい、一緒であります。○鍛冶委員 いつどうして出たか、覚えておらぬか。○中村証人 覚えがありません。○鍛冶委員 あなたがうしろを見て飛び出す時分はもうすでにいなくなつておつた。○中村証人 自分がおりるときには、もちろんおらなかつた、おりてしまつたのであります。○鍛冶委員 先ほどあなたが言う、うしろのガラスを通して見ると、中に火が一ぱいになつておつたというときには……。○中村証人 そのときはおりません。○鍛冶委員 火が出ると同時にどこかへ行つてしまつたわけだね、どこにどう行つたかわからぬ、何しておつたかわからない。○中村証人 わかりません。会えばわかりますけれども、自分としては、会つても夢中といいますか、一生懸命で、そこのところは覚えておりません。○山口(武)委員 証人にお尋ねいたしますが、電車運転士として労働時間はどのくらいですか。○中村証人 労働時間は大体八時間制になつておりますが、実乗務としては大体五時間三十分であります。○山口(武)委員 そうしますと、その前日に、あなたはやはり八時間労働で、実時間五時間三十分働いて、あとは自宅か何かで全然休養しておつたという状況にあるわけでありますか。○中村証人 はい。○山口(武)委員 それでは労働時間の関係から、あなたが精神的に、あるいは肉体的に疲労をしておつて、仕事に支障があるというような状況には全然なかつたわけですね。○中村証人 ありません。
2020.02.01
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久々に国会審議議事録の桜木町事故をアップしたいと思います。今回の審問の内容は、運転士がDコックの存在を知っていたかと言う点、そしてもう一つは、車掌がスイッチを扱ったが、開かなかったが、これは運転士が操作したからという証言に対しての反論と言いますか、運転士自身も操作をしたと言う証言をしております。なお、度々引用していますが、当時の国鉄線の記事でも運転士自身がドアスイッチの操作を試みたが操作誤りか、何らかの理由でドアが開かなかった。また、車掌が乗務していた後方の車両には電源が流れていなかったとも書かれています。資料がなかなか少ない中ではございますが、できるだけ他の資料も探して見つかり次第追記させて行くこととしたいのでどうかよろしくお願いいたします。運転士はDコックの存在は知っていたのか?○鍛冶委員 それからスイッチの故障でドアがあかぬということは、今まででもちよいちよいありましたろう。○中村証人 結局ヒューズなんか飛べばドアが全然あかない。○鍛冶委員 そういうときは、どうしてあけておりましたか。久々に桜木町事故の記事を更新させていただこうと思います。ここで、運転士は故障の際の措置は訓練しているが、外から開ける訓練はしていないと証言しています。また、Dコックの存在は知っているが、直接運転士が使うことはない、検査係が使うものであると証言しています。○中村証人 そういうときは、やはり電気的の関係でありますから、ヒユーズを交換するなり不良箇所を発見するなり……。○鍛冶委員 中であかぬときには外からあけるという訓練はやつたことはないですか。○中村証人 ありません。○鍛冶委員 実際もあけたことはないかね。○中村証人 実際も現在までずつとありません。みな中であけておりました。○鍛冶委員 そうすると外であけられる。Cコツクを引いてやるということを知つておつたかね。○中村証人 それは知つております。○鍛冶委員 それじやどういうときに使うのか。○中村証人 結局Dコツクであります。そのDコツクというのは、自分としても、Dコツクというものはある、このコツクは検査か、中のエアを払つて掃除するときとか、そういうときにしか使わない、そういうような記憶であります。ただまああるという程度であります。○鍛冶委員 それを切ればあくものだということは知つていましたか。○中村証人 知つておりました。○鍛冶委員 あけてみたことがありますか。○中村証人 ありません。結局あけてみたいというより、ちよつと中間位置ぐらいにとつておれば、車掌がドアを扱つてもドアが全部あかないのであります。ここで、実際に火の回りが早くて手の施しようがなかったとも言われており、運転士も本人も証言しているように、こうしたコックがあるという存在を聞いた程度ですから、仕方が無いと言えばそれまでと言えるかもしれません。運転士もドアスイッチの操作を試みたと証言更に質問は続き、車掌側でドアを開放できなかったのは、パンタグラフを下げた後であろうと証言しています、また運転士本人も切換スイッチを扱って操作したと証言しています。○中村証人 車掌がドアをあけようとした、それであかないというのは、おそらく自分の考えとしては、パンタグラフを下げたあとだろうと思います。○鍛冶委員 何かあなたが切りかえスイッチを切つていたためと言つておるが、そういうことは。○中村証人 いやそういうことはありません。切りかえスイッチですが、切りかえスイッチというものは、車掌の方にもありますし、また自分の運転手の方にもあります。そのドアをあけるには、切りかえスイッチというのは、後と中と前と三つありますが、その後位置にしてドアをあける。車掌の方ではスイッチが後位置になつております。車掌の方から、電源があればあくわけであります。運転士の方でもドアをあけようと思えば、切りかえスイッチを後位置にして車掌スイッチを扱えば、運転士の方からでもあくわけであります。○鍛冶委員 それじやもつと順序を追つて聞きます。あなたは切りかえスイッチを切らなかつたか。○中村証人 自分としては、車掌スイッチをあけて、切りかえスイッチを後にしてやつたか、それはどつちが先にやつたか、はつきり記憶に残つておりませんけれども、自分としてはやりました。○鍛冶委員 切つたことは切つたのだね。○中村証人 はい。これに関しては、再び国鉄線昭和26年6月号を参照しますと、運転士がドアを開けようとドアスイッチを扱った形跡があるということが書かれています。 > 運転士も一度はやってみた形跡はあるのだが、慌てていたために切換操作を忘れたのか、あるいはその他の理由によるのか、運転室の方からドアを開けることはできなかった。余談ですが、モハ63形に使われていたパンタグラフとはバネ上昇式空気下降式と呼ばれる方式で、下降させる場合は下げシリンダに空気を送り下降させる。大集電容量の電気機関車の場合は、空気上昇式自重下降式が採用されました。(戦時中のEF13は電車と同じPS13が使用されました。)画像等は、東洋電機技報第108号2001-9 から引用なお、モハ63形に設置されていたパンタグラフは、PS13形と呼ばれるパンタグラフで戦時中に製造されたパンタグラフでしたが、比較的長く利用され、戦後製造された旧型国電はもとより、初期の101系(モハ90)にも採用されていました。なお、当時の電車で使用していたパンタグラフは、バネ上昇式空気下降式と呼ばれるもので、逆に電気機関車の場合は空気上昇式が採用されていました。電気機関車の場合長期留置などで圧搾空気が少なくなるとパンタグラフを上昇できなくなるので、押し上げる光景などが見られたものですにほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** 国家異議記事録本文は、以下の通り**********************桜木町事故国会審問の議事録***********************○中村証人 そういうときは、やはり電気的の関係でありますから、ヒユーズを交換するなり不良箇所を発見するなり……。○鍛冶委員 中であかぬときには外からあけるという訓練はやつたことはないですか。○中村証人 ありません。○鍛冶委員 実際もあけたことはないかね。○中村証人 実際も現在までずつとありません。みな中であけておりました。○鍛冶委員 そうすると外であけられる。Cコツクを引いてやるということを知つておつたかね。○中村証人 それは知つております。○鍛冶委員 それじやどういうときに使うのか。○中村証人 結局Dコツクであります。そのDコツクというのは、自分としても、Dコツクというものはある、このコツクは検査か、中のエアを払つて掃除するときとか、そういうときにしか使わない、そういうような記憶であります。ただまああるという程度であります。○鍛冶委員 それを切ればあくものだということは知つていましたか。○中村証人 知つておりました。○鍛冶委員 あけてみたことがありますか。○中村証人 ありません。結局あけてみたいというより、ちよつと中間位置ぐらいにとつておれば、車掌がドアを扱つてもドアが全部あかないのであります。○鍛冶委員 それからさつきの話でよくわからなかつたのですが、車掌がドアのスイッチを扱つたがあかなかつたと言つておるそうだが、パンタグラフを下げておつたがためにあかなかつたのですか。どういうのです。もつとよく聞きたいのです。先ほどの説明ではよくわからないのです。○中村証人 車掌がドアをあけようとした、それであかないというのは、おそらく自分の考えとしては、パンタグラフを下げたあとだろうと思います。○鍛冶委員 何かあなたが切りかえスイッチを切つていたためと言つておるが、そういうことは。○中村証人 いやそういうことはありません。切りかえスイッチですが、切りかえスイッチというものは、車掌の方にもありますし、また自分の運転手の方にもあります。そのドアをあけるには、切りかえスイッチというのは、後と中と前と三つありますが、その後位置にしてドアをあける。車掌の方ではスイッチが後位置になつております。車掌の方から、電源があればあくわけであります。運転士の方でもドアをあけようと思えば、切りかえスイッチを後位置にして車掌スイッチを扱えば、運転士の方からでもあくわけであります。○鍛冶委員 それじやもつと順序を追つて聞きます。あなたは切りかえスイッチを切らなかつたか。○中村証人 自分としては、車掌スイッチをあけて、切りかえスイッチを後にしてやつたか、それはどつちが先にやつたか、はつきり記憶に残つておりませんけれども、自分としてはやりました。○鍛冶委員 切つたことは切つたのだね。○中村証人 はい。
2020.01.14
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本日も桜木町事故の国会審問をアップさせていただこうと思います。ここで注目すべきは、運転台には運転士以外に、検車掛(係)の職員が乗務しており、事故の時にはどこかに行っていて、二両目を切り離すときに応援に来たと証言しています。運転台に大きな椅子があったというのは、検車掛員座っていた椅子であったかと思いますが、この時検車掛は後方で火災が発生したときにどこに消えたのかと言う疑問が残ります。運転台には、運転士以外にも乗務していたものがいた?以下に引用してみたいと思います。この運転台にいたのはあなた一人でしたか。○中村証人 いやもう一人おりました。○内藤(隆)委員 二人でしよう。その人はどういう協力をしましたか。○中村証人 別に協力というようなことはありませんでしたけれども、最後に車を分割するときに、車を切り離すときに……。○内藤(隆)委員 それは何ですか、やつぱり職員ですか。○中村証人 検車掛です。○内藤(隆)委員 検車掛が乗つておつた。それで協力のしぶりは、要するに二両目の車を離すことに協力したのですね。○中村証人 そのときに一緒にやりました。○内藤(隆)委員 その協力だけ……。○中村証人 その協力、あとは全然別な行動で別に本人を見たわけではありませんけれども……。○内藤(隆)委員 第一両目が阿鼻叫喚のちまたに化しておるというそういうときに、どこにおつたのです。○中村証人 どこにおつたかわかりません。同乗していた検車掛は何時降りたのかが不明ただ、室内が火災になっているときに、検車掛がどのタイミングで外に出たのかは。この証言からは確認することが出来ません。列車の二両目を切り離すときに、見かけたと言っていますが。火災が発生したときには、検車掛の話が一切出てきませんので、火災発生後すぐに飛び降りたのではないかと考えるのが素直かと思います。車両火災に関する訓練は受けていないと証言この質問に関しては、これ以上特段の進展はなく、その後、鍛冶良作委員の質問があり、火災を想定した訓練は行われていたかという質問がなされています。それに対して、火災が発生する事を想定した訓練は受けていないと証言しています。モーターからの火災などの場合は想定されるが、その場合もパンタを降ろせば解決する問題であったと証言しています。○鍛冶委員 私、簡単に伺います、さつき委員長から聞かれたのですが、こういうような非常事態の訓練は、もちろんこんなことはめつたにあることではないから、やるわけはないと思うが、車内で火災が起つたということを想定しての訓練は全然なかつたのですか。○中村証人 ありません。電車が火を発すれば、モーターとか、そういうようなところでありますが、そういうのは結局パンタグラフを降下すれば一切終るわけなんです。○鍛冶委員 いや、原因は何にしろ、中で火災が起つたというようなことを想定しての訓練は一ぺんもなかつたのですか。○中村証人 ありません。○鍛冶委員 そういうことを考えついたこともないかね。ちよいちよいあつたこともあると思うが……。○中村証人 結局自分としても、今度のような架線の事故というものは初めてぶつかつたのであります。モーターを焼いたとか、なんとかそういうような故障はありますけれども、そのときは全部パンタグラフを降下することによつて難なく治まつておつたのです。さて、ここで再び当時の記事などを参考にした内容を少し書かせていただきますと、検車掛の職員が運転台に添乗していたのは問題ないとして、この乗務員が事故直後どこに行ったのかという点が不可解になってきます。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era********************************************************63形電車室内【復元】JR東海 リニア館展示 63形電車 画像 wikipedia**********************桜木町事故国会審問の議事録**************************○内藤(隆)委員 まん中にあるやつですね。そういうことをあとで気がついた、これは要するに訓練が足りなかつたこともありますね。それからもう一つ、この運転台にいたのはあなた一人でしたか。○中村証人 いやもう一人おりました。○内藤(隆)委員 二人でしよう。その人はどういう協力をしましたか。○中村証人 別に協力というようなことはありませんでしたけれども、最後に車を分割するときに、車を切り離すときに……。○内藤(隆)委員 それは何ですか、やつぱり職員ですか。○中村証人 検車掛です。○内藤(隆)委員 検車掛が乗つておつた。それで協力のしぶりは、要するに二両目の車を離すことに協力したのですね。○中村証人 そのときに一緒にやりました。○内藤(隆)委員 その協力だけ……。○中村証人 その協力、あとは全然別な行動で別に本人を見たわけではありませんけれども……。○内藤(隆)委員 第一両目が阿鼻叫喚のちまたに化しておるというそういうときに、どこにおつたのです。○中村証人 どこにおつたかわかりません。○内藤(隆)委員 あとでその車を離す協力をしておつたことを見つけたのですか。○中村証人 結局あとで救助作業を行つておつたときに、結局全部お話というものはいたしておりませんけれども、一両目が燃え切つて、中の救助作業が全然できなくなりまして、それから今度下へ倒れているお客とかそういうものをあとに運搬したのであります。○内藤(隆)委員 運転台にそういう人が乗つてもいいのですか。○中村証人 それは認められております。○内藤(隆)委員 検車をする職員だから……。○中村証人 そうであります。○内藤(隆)委員 そうしてあとでそういう死骸とか負傷者の運搬を手伝つたのみですね、その人は。○中村証人 それはよくわかりません。自分としては――一両目がだめで、二両目のお客は全部回避できました。それから自分としては今度一両目からおりたけがしたお客さんとか、倒れているお客さんとかを、ほかの元気なお客さんだとか、そういう人と一緒に安全な場所にかついだりなにかして、それからしばらくたつて……。○内藤(隆)委員 その人の職務と姓名を言つてください。○中村証人 姓名は、名はちよつとわかりませんが、金子であります。職務は当時は東神奈川電車区の桜木町派出検車掛としての仕事をやつておりました。○鍛冶委員 私、簡単に伺います、さつき委員長から聞かれたのですが、こういうような非常事態の訓練は、もちろんこんなことはめつたにあることではないから、やるわけはないと思うが、車内で火災が起つたということを想定しての訓練は全然なかつたのですか。○中村証人 ありません。電車が火を発すれば、モーターとか、そういうようなところでありますが、そういうのは結局パンタグラフを降下すれば一切終るわけなんです。○鍛冶委員 いや、原因は何にしろ、中で火災が起つたというようなことを想定しての訓練は一ぺんもなかつたのですか。○中村証人 ありません。○鍛冶委員 そういうことを考えついたこともないかね。ちよいちよいあつたこともあると思うが……。○中村証人 結局自分としても、今度のような架線の事故というものは初めてぶつかつたのであります。モーターを焼いたとか、なんとかそういうような故障はありますけれども、そのときは全部パンタグラフを降下することによつて難なく治まつておつたのです。
2019.12.25
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今回も桜木町事故に関する審問の議事録をアップさせていただこうと思います。運転士の救護措置について質問引き続き塚原委員からの審問が続きますが、ここで、車内に大きく火の手が上がって居ることを確認しながら何故救出するための措置を取らなかったのかという点で質問しています。乗務員室から燃えているのを確認したのに、何故乗務員室と客室をつなぐドアを開けなかったのかという点を質問しています窓から脱出させるために、外側から石などで窓を割るべきでなかったのかという質問をしています。○塚原委員 直観的にあけられないということは、火がまわつているからという意味でしよう。○中村証人 そこのところは、自分としてははつきりわからないのですが、窓ガラスがありまして、窓ガラスに猛烈に映つているのであります。○塚原委員 それならば、中の人がもだえ苦しんでいろということがあなたはわかるわけですね。非常な事態に立ち至つているということは、あなたはわかるわけですね。それをわざわざ反対側におりて、一両目と二両目の間に行つて――ドアをあけようと、石でも何でもいいから、その苦しんでいる人を助け出すために、ガラスを全部ぶちこわす気持は起らなかつたのですか。ガラスをこわせば一人でも二人でも、あるいは三人でも飛び出せるという気持にならなかつたのですか。これに対して、運転士は、ドアの窓は狭すぎて客席のガラスからは出られないと証言していますが。すぐ後で、委員から「三段のガラスをぶちこわして出た方があるのでしよう。」という質問では、「ドアのガラスを破つて出ている人はありました。」と言うことで、「出られない」発言を撤回しています。実際、窓の隙間から脱出した人がいたことは記録されており、又最初の証言では、後方に回って貫通路から2名か3名引っ張り出して助けたという証言をしているなど、矛盾とは言いませんが、自身が混乱を招いているように見受けられます。○中村証人 あのガラスからは、中から出られないのであります。狭過ぎて客席のガラスは出られないのです。○塚原委員 しかも実際に三段のガラスをぶちこわして出た方があるのでしよう。○中村証人 ドアのガラスを破つて出ている人はありました。○塚原委員 窓からは全然出られませんか。窓から出て助かつたという人の話を大分私は聞いておりますが、窓をこわして、われわれみたいに太つたものなら出られないでしよう。しかしあなた方ぐらいなら出られるでしよう。いくら三段でもこれくらいありますよ。ですからうしろに行くまでの間、石でも何でもいいからぶちこわしてやるだけの気持は当時持ちませんでしたか。これに対して、運転士は、それよりもドアを開けるべきだと思ったと証言していますが、ここでも不可解なのは、そこで1両目のドアではなく2両目以降を救出しようとしたという最初の頃の証言との整合性が取れません。可能性として考えれば、パニックになってしまって、そこまで頭が回らなかったというのは正直なところだろうと思われます。実は、この事故事を調べていたところ、国鉄部内紙の国鉄線、昭和26年6月号の記事で、奇跡的に助かった人が居て、その人がDコックの存在を知っていて、かつて事故などで列車が停車した際、ドアを開けて乗客を降車させたことがあるのだが、その人ですら火災の時はパニックになって全然思い浮かばなかった、それほど、火の勢いは強かったと書かれています。記事から引用してみたいと思います。-場合にもよるだろう。この際は非常に火の廻りが早かったので、運転士が車内に入って行けなかったの心必ずしも怠慢といえぬのじやないかと思われるのだが。 -だって身を延しでやるべきじやないかな。-そこまでいえば問題は別だが、奇跡的に助かった人の話をきくと、その人は三方コックのあけ方を知っていて、以前に二・三回自分で操作して他の乗客を助けた経験があるそうだ。工科系統の人だから別に不思議はないけどね。その人が、コックのことが全然頭に来なかったほど、事が急で火勢が強かつたらしいね。国鉄線 昭和26年6月号から引用さて、引き続き国会審問に移りたいと思います。運転士は、Dコックの扱いを知っていたが、頭には思い浮かばなかった?次の質問では、運転士がこうした緊急事態に対して乗客救護の手続きやDコックの扱いを知っているかという質問を投げかけるのですが、運転士は乗客救護の訓練は受けていないとして○中村証人 自分としてはそれよりも中のドアを……。中へ入つてやればもつと早くたくさんの人が出られると思つた。○塚原委員 しかしあなたがうしろを振り返つたときに中はどんどん火が入つている。そこをうしろにまわつたらそれだけ、三十秒なら三十秒かかつたら、それだけ火のまわりが早くなるのですから、一秒でも早く窓ガラスをぶちこわして人を助けたいという気持が起きなかつたかどうかということを聞いているのです。あがつておつたからそういうことを聞くのは無理かもしれませんが……。○中村証人 持つた持たないは全然別として、自分としては全然気がつきませんでした。Dコックのことは頭に浮かばなかったと証言しておりますが、、そしてそれに対して再び下記のような質問が委員からされています。国鉄職員は、乗客を守るのか、それとも?と言う質問○塚原委員 それからこれは前にもどつて訓練の問題になりますが、あなた方は大事な人命を預かつている運転手さんなんでありますが、訓練の基本理念と申しますか、訓練の根本のものとしては、車両を大事にするか、あるいはお客を大事にするか、どつちに根本を置いて当局はあなた方に教育をしておりましたか。○中村証人 自分たちが訓練を受けたときは、ほとんど車両が……。乗客ということは全然別個の問題として…。こうした質問を行った背景には、当時の新聞などで燃えさかる1両目の乗客を救助しないで、3両目の電車切り離そうとしている国鉄職員の姿があったととして、下記のような発言をしています。○塚原委員 これは実に驚くべきことでありまして、なぜこういうことを聞くかというと、そのときの状況を目撃した人の話並びに新聞雑誌等で見ましても、中で生不動になつて苦しんでいる人を助けるよりも、車両を大事にするために、三両目以下の車両を切り離すことに汲々としておる国鉄職員の姿が、非常に不愉快に見えたということを見ております。今あなたから話を伺つておると、人よりも物という教育を受けたということでありますが、これは非常に大事な問題だと思います。これ以上あなたを追究してもしかたがありません。あなたの今非常に混乱したときに、こういうことをお聞きすることはどうかと思いましたけれども、一応国鉄がどういう気持であなた方を指導し、またあなた方がどういう気持で乗客を預かつておるかということを知りたいためにお伺いしたわけです。けつこうです。運転士への責任と言うよりも国鉄という組織に対する質問と言うことになりますが、この一つの質問に当時の国鉄の乗客に対する考え方が集約されているようにも思われます。(実は、国鉄時代の一つの反省点として、国鉄という組織の都合で動いているという、明治時代からの「乗せてやる」式の考え方が公共企業体になっても残っていたと言うことが言えるかと思います。ただ、こうした国鉄の態度は世論から大きな批判を浴びることとなり、緊急工事による改造(Dコック位置の明示化、屋根への防火塗料の塗布、貫通幌の設置と、貫通部分の内開きドアの撤去、三段窓の中間固定を解除窓の緊急工事が行われることになったのはご存じの通りです。国会議事録本文は、以下の通りにほんブログ村にほんブログ村**********************桜木町事故国会審問の議事録***********************、○塚原委員 直観的にあけられないということは、火がまわつているからという意味でしよう。○中村証人 そこのところは、自分としてははつきりわからないのですが、窓ガラスがありまして、窓ガラスに猛烈に映つているのであります。○塚原委員 それならば、中の人がもだえ苦しんでいろということがあなたはわかるわけですね。非常な事態に立ち至つているということは、あなたはわかるわけですね。それをわざわざ反対側におりて、一両目と二両目の間に行つて――ドアをあけようと、石でも何でもいいから、その苦しんでいる人を助け出すために、ガラスを全部ぶちこわす気持は起らなかつたのですか。ガラスをこわせば一人でも二人でも、あるいは三人でも飛び出せるという気持にならなかつたのですか。○中村証人 あのガラスからは、中から出られないのであります。狭過ぎて客席のガラスは出られないのです。○塚原委員 しかも実際に三段のガラスをぶちこわして出た方があるのでしよう。○中村証人 ドアのガラスを破つて出ている人はありました。○塚原委員 窓からは全然出られませんか。窓から出て助かつたという人の話を大分私は聞いておりますが、窓をこわして、われわれみたいに太つたものなら出られないでしよう。しかしあなた方ぐらいなら出られるでしよう。いくら三段でもこれくらいありますよ。ですからうしろに行くまでの間、石でも何でもいいからぶちこわしてやるだけの気持は当時持ちませんでしたか。○中村証人 自分としてはそれよりも中のドアを……。中へ入つてやればもつと早くたくさんの人が出られると思つた。○塚原委員 しかしあなたがうしろを振り返つたときに中はどんどん火が入つている。そこをうしろにまわつたらそれだけ、三十秒なら三十秒かかつたら、それだけ火のまわりが早くなるのですから、一秒でも早く窓ガラスをぶちこわして人を助けたいという気持が起きなかつたかどうかということを聞いているのです。あがつておつたからそういうことを聞くのは無理かもしれませんが……。○中村証人 持つた持たないは全然別として、自分としては全然気がつきませんでした。○塚原委員 それからこれは前にもどつて訓練の問題になりますが、あなた方は大事な人命を預かつている運転手さんなんでありますが、訓練の基本理念と申しますか、訓練の根本のものとしては、車両を大事にするか、あるいはお客を大事にするか、どつちに根本を置いて当局はあなた方に教育をしておりましたか。○中村証人 自分たちが訓練を受けたときは、ほとんど車両が……。乗客ということは全然別個の問題として…。○塚原委員 これは実に驚くべきことでありまして、なぜこういうことを聞くかというと、そのときの状況を目撃した人の話並びに新聞雑誌等で見ましても、中で生不動になつて苦しんでいる人を助けるよりも、車両を大事にするために、三両目以下の車両を切り離すことに汲々としておる国鉄職員の姿が、非常に不愉快に見えたということを見ております。今あなたから話を伺つておると、人よりも物という教育を受けたということでありますが、これは非常に大事な問題だと思います。これ以上あなたを追究してもしかたがありません。あなたの今非常に混乱したときに、こういうことをお聞きすることはどうかと思いましたけれども、一応国鉄がどういう気持であなた方を指導し、またあなた方がどういう気持で乗客を預かつておるかということを知りたいためにお伺いしたわけです。けつこうです。○内藤(隆)委員 さいぜんから委員長の尋問に対するあなたの答弁を聞いておりましても、これは国鉄未曽有の惨事なんでありますが、いろいろのことをやつたと言われましたが、周章狼狽のあまり、ほとんど何もしないのではないのですか。○中村証人 そういうことはありません。○内藤(隆)委員 それじや冷静であつたのですか。○中村証人 冷静ということではまあないのでありますが、とにかく今お話いたしましたことはやりました。○内藤(隆)委員 これはただ私の想像でありますが、あなたの答弁ぶりを見ておると、まことに正直な、りつぱないい人であると思いますが、この地獄のような光景を見るにつけても、自分の責任のみを考えて、実際の行動は、その責任に適合するような行動をとらなかつたように私には思われてならないのです。どうでしようかこの点は今から考えて……。○中村証人 結局Dコツク、下のコックでありますが、あとから考えれば、それを切ればもつとよかつたのではないかと思う。冷静な立場から見たならば……。
2019.12.15
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本日も桜木町事故に関して国会審問の議事録から当時の様子をアップしていこうとも思います。これも1か月に2回程度こうして解説をアップしていく予定にしていたのですが、それでも5年近くかかりそうなので、この記事だけに注力するか、余り関係ないところは端折るなどしていくことも考えています。ただし、出来るだけ自らも学びたいので、極力解説を加えながらアップさせていただこうと思います。運転士は事故対応時の訓練を受けているのかと質問今回も、篠田委員長が、中村運転士への審問を行っていますが、ここでの焦点は、事故発生時の救済方法について質問していますが、それに対して、今回のような火災事故に関する教育は受けていないとしていますが、当然と言えば当然であったかと思われます。○篠田委員長 もう一ぺん聞きますが、鉄道としてはそういうような事故というものは、珍しい事故ではあるけれども、しかしそういう事故が起つたときに対する措置とか、あるいはまた救済方法などについて、あなたは全然教育を受けたことはないというんだけれども、ほんとうにそういう教育を受けたことはないか。○中村証人 別にそういうような事故に対してはありません。○篠田委員長 どういう事故のときにだけ教育を受けておるか。○中村証人 結局車両が故障で、電車がえんこしてしまつたとか、そういうようなときには……。さらに、そのような訓練を受けていないという運転士の発言に対し、汽車区間などでの雪崩など自然災害に於ける訓練はないのかという質問が為されています。これに対しては、自然災害に関する安全訓練などは経験がないと回答しています。○篠田委員長 あなたは電車の方だから関係がないかもしれないが、なだれのような場合には……。汽車の運転は教わつたことはないのですか。○中村証人 ありません。国鉄職員全体の志気が下がっていなかったという視点で質問する塚原議員ここで、篠田委員長の質問は一先ず終わり、塚原俊郎議員の質問になります。塚原俊郎議員は、新聞記者を経て戦後政治家に転身し、吉田首相の側近グループであったそうです。ここでの質問は、現場で行われている応急措置訓練の実体について質問をしています、訓練自体が形式的なものであり、真剣な訓練がされていないのではないかという質問でした。○篠田委員長 どなたか御質問ありませんか。塚原委員。○塚原委員 戦争後非常に速成の運転士がたくさん出ておるように思うのですが、あなたの経歴を伺つていると、相当長い間の教習所生活また訓練を受けておると私は思うのですけれども、大体国電の運転士をやるまでには、最小限度何箇年くらいの訓練を必要とするのですか。○中村証人 初めからでありますと、大体一年半くらい、一年半か二年くらいであります。○塚原委員 そうしますと、あなたは割にヴエテランの運転士であると私は考えておりますが、しかも先ほどの委員長の質問に対して、応急処置に対しては、月に二回現場において訓練を受けておるということをあなたはさつき証言されました。私らがうわさに聞いておるところによりますと、この月二回行う訓練というものは、きわめて形式的のものであつて、ほとんど身の入つた演習はしておらぬというふうに聞いておるのですが、髪際にどういう訓練をあなたは受けましたか。それを説明してください。訓練は、直前の実際に起こった事故の復習的な意味合いであるとして、かなり細かく説明されています、人為的に故障を起こして、その回復訓練などを乗務の間合いに一日7人から8人程度行うと言うことで、現場での訓練とすればほぼそのようなものではないかと個人的には思っています。○中村証人 月に二回というのは、結局その一箇月くらい前あたり起つた事故を基準といたしまして、それを復習みたいに、その場合にはどうしたらいいか、そういうような状態であります。○塚原委員 それは学科の訓練ですか、それとも実地の訓練ですか。○中村証人 学科も実地も両方やります。学科のときもあります。実地のときもあります。○塚原委員 実地の場合には、実際に電車を持ち出して、そういう状態をつくつて、教官なりなんなりが説明して、あなた方運転士の一人々々が、そのときにはこういう操作をする、ああいう操作をするということを実際に教育を受けていましたか。○中村証人 実際に仮設の故障をつくりまして、それで一人々々やらせます。そしてやつたあと、このときはこういうふうにするのである、ああいうふうにするのである、そういう指導であります。○塚原委員 何名くらいを単位として訓練しましたか。○中村証人 大体一日に七、八人ずつです。それは時間のあいまにやるのであります。○塚原委員 あいまというと。○中村証人 長い時間やるのじやなくて、乗務の時間のあいまを見てやるのであります。○塚原委員 ですから世間でいわれている非常に形式的な訓練に落ちてしまつて、たとえば教える人が簡単な学科の訓練をして、そして解散してしまうというふうに私たちは聞いておるのですが、あなた方が実際に訓練をお受けになつて、身の入つた訓練であるとあなたは考えましたか。それとも、単に形式的にやる訓練であると考えましたか。どちらですか。○中村証人 結局それはやる人の問題だと思います。教育を受ける人本人が、身を入れてやれば十分役に立つと思います。○塚原委員 あなたはどう考えましたか。○中村証人 自分は全部身を入れてやつていたつもりであります。中村運転士は自らは、きちんと身を入れて受講したと言っており、この辺はその言葉を信じて良いように考えられます。更に質問が続くのですが、塚原委員は、国鉄の志気が戦後下がってしまったのも、この事故の遠因ではないかとして、かなり意地悪な質問を何度も重ねています。○塚原委員 話は前にさかのぼりますが、あなたは戦争中にも運転士をしておられましたね。○中村証人 やつておりました。○塚原委員 あのころ運転台のすぐうしろの方に乗つておると、いよいよ車が発車するときに、何か出発進行というようなことを自分で口ずさみながら出て行つておりましたね。戦争後ああいうことがなくなりましたね。○中村証人 やつております。○塚原委員 現在やつておりますか。○中村証人 やつております。○塚原委員 私は戦争の終つたあと、国鉄並びに一般民間の電車、すべてのものの士気が非常にたるんでおるということを聞きもし、また実際に自分でも見たことをはつきり言えると思うのですが、前にはあごひもをおろして――形だけで緊張したとは申しませんが、緊張した気持で大事な人命をあずかる操縦をしておつたと思うのですが、戦争後は何かくわえタバコで、しかもおそらく私の考えでは、人は乗せていけないという運転台に二、三の人を乗せて、話しながら運転するというような、きわめてふまじめであると思われるような状況も私は何回も見聞したのですが、あなた方が実際運転をやつておる場合、このようなたるんだ気持というものをわれわれにつかれて、何か心に考えることがございませんか。ここで、改めて中村運転士は自身は戦前も戦後も変わりなく業務を行っているとしていますが、ここでも書かれているように、当時の現場に於ける職員の志気は下がっていたと言えるかもしれません。もっとも、これは国鉄だけに限ったことではなく、食べるのが精一杯という状況に合っては、当然と言えば当然の状況と言えるかもしれませんが、ここでも、塚原委員自身が、中村運転士が、運転士側にあった椅子を避けてなんとか開けることが出来なかったのかという質問をしていますが。これに対しては、直感的に中には入れないと判断したと書いています。○中村証人 自分としては戦前、戦後を通じて同じ気分でやつております。○塚原委員 それはあなたのまじめさというものがうかがえてまことにけつこうですが、世間一般の批評並びにまた私個人の見たところでは、いわゆるたるんでおる空気が非常に見えた、こういうことでは事故も起きるのではないかという不安をおそらく相当の人が持つておつたと思います。信号はあなたに関係ないでしようが、たとえば信号手あたりの動作を見ても、われわれいなかの方に住んでおりますが、いなかの小さな駅でお客が一人か二人しかないような場合でも、あれを下すところにだれも見ていないのに、雨の日でも自分で指をさしながら、それを下してそれを自分で確認した、また駅長は汽車が出るまで直立不動の姿勢で、列車がホームからはずれろまでそれを見送つておるという、きわめてまじめな姿というものをわれわれはかつては見たのです。最近はそういう姿に接したことはありません。ですからわれわれは国鉄一般の人がたるんでおるということを言つてもさしつかえないと思う。しかもあなたの証言を聞いておりますと、気分において、またその他の点においても、あなたはまじめにやつておるということを聞いて私は安心いたしました。それだけのことをやりながらああいう事故が起きたということについて追究しようとは思いませんが、また追究することはあなたの心を痛めることでもありましよう。しかし先ほどの委員長の尋ねられた脱出作業、救出作業という点において、私にふに落ちない点が一つある。それは私らの見る点では、あなたが運転をしておるうしろのドアというものは、あなたは大きないすがあつたからなかなかあかなかつたと言いますが、それだけの事態が起きているのでしたら、そのいすをどつかへけ飛ばして、そのドアをあけるだけのお気持にならなかつたのですか。○中村証人 自分としては先ほど言いました通りであります。直感的に中へ入れないと思つて自分のところの貫通ドアをあけて出たのであります。当時の部内紙で見る限り、職員の志気の低下、若しくは連絡不十分か?余談ですが、昭和26年6月の国鉄線という雑誌の記事で、「後悔は先に立たぬもの。---桜木町国電事故について---」という談話形式で話が進められており、ここでの記事を参考にしながら、この議事録の中でも紹介させていただこうと思うのですが。ここでの証言として、後ほど出てきますが変電所の方では断線を判断できなかったこと、また駅と電力区の連携が上手くいっておらず、桜木町で下り線に進入させておけば桜木町事故は起こらなかった可能性があるのですが、その連携が上手くいっていなかった可能性があること。また、火災事故は一瞬で燃え上がった可能性があり、窓が三段窓であったことが被害を大きくした原因であることに疑いは無いものの、仮にドアが開けられたとしても相当数の死傷者が出たのではないかとも言われています。以下、本文から一部抜粋見てきたようなことをいうね。でもそんな危ない所になぜ電車を入れた。電力工手長は、駅の信号所に行って入れてぐれるなといつたという駅の方では、そうは聞いてないというのだろう。つまり上り線に電車を入れるなという意味でなく、上り線から発車させるなということだと思ったらしい。どっちが本当か、真相は関係者がいま警察に留置取調中だからわからないが。どっちにしても、何故上り線に入ってくる電車を赤い旗かなんかで止めなかったのだろう。駅に言つであるからと安心していたのか、或いはわたり線を通ることは大した危険でもないと判断したのか、その点は不明だ。国鉄線 昭和26年6月号から引用昭和26年6月号 国鉄線記事本文の一部にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** 国会議事録本文は、以下の通り**********************桜木町事故国会審問の議事録***********************○篠田委員長 もう一ぺん聞きますが、鉄道としてはそういうような事故というものは、珍しい事故ではあるけれども、しかしそういう事故が起つたときに対する措置とか、あるいはまた救済方法などについて、あなたは全然教育を受けたことはないというんだけれども、ほんとうにそういう教育を受けたことはないか。○中村証人 別にそういうような事故に対してはありません。○篠田委員長 どういう事故のときにだけ教育を受けておるか。○中村証人 結局車両が故障で、電車がえんこしてしまつたとか、そういうようなときには……。○篠田委員長 もう一ぺん聞きますが、鉄道としてはそういうような事故というものは、珍しい事故ではあるけれども、しかしそういう事故が起つたときに対する措置とか、あるいはまた救済方法などについて、あなたは全然教育を受けたことはないというんだけれども、ほんとうにそういう教育を受けたことはないか。○中村証人 別にそういうような事故に対してはありません。○篠田委員長 どういう事故のときにだけ教育を受けておるか。○中村証人 結局車両が故障で、電車がえんこしてしまつたとか、そういうようなときには……。○篠田委員長 あなたは電車の方だから関係がないかもしれないが、なだれのような場合には……。汽車の運転は教わつたことはないのですか。○中村証人 ありません。○篠田委員長 どなたか御質問ありませんか。塚原委員。○塚原委員 戦争後非常に速成の運転士がたくさん出ておるように思うのですが、あなたの経歴を伺つていると、相当長い間の教習所生活また訓練を受けておると私は思うのですけれども、大体国電の運転士をやるまでには、最小限度何箇年くらいの訓練を必要とするのですか。○中村証人 初めからでありますと、大体一年半くらい、一年半か二年くらいであります。○塚原委員 そうしますと、あなたは割にヴエテランの運転士であると私は考えておりますが、しかも先ほどの委員長の質問に対して、応急処置に対しては、月に二回現場において訓練を受けておるということをあなたはさつき証言されました。私らがうわさに聞いておるところによりますと、この月二回行う訓練というものは、きわめて形式的のものであつて、ほとんど身の入つた演習はしておらぬというふうに聞いておるのですが、髪際にどういう訓練をあなたは受けましたか。それを説明してください。○中村証人 月に二回というのは、結局その一箇月くらい前あたり起つた事故を基準といたしまして、それを復習みたいに、その場合にはどうしたらいいか、そういうような状態であります。○塚原委員 それは学科の訓練ですか、それとも実地の訓練ですか。○中村証人 学科も実地も両方やります。学科のときもあります。実地のときもあります。○塚原委員 実地の場合には、実際に電車を持ち出して、そういう状態をつくつて、教官なりなんなりが説明して、あなた方運転士の一人々々が、そのときにはこういう操作をする、ああいう操作をするということを実際に教育を受けていましたか。○中村証人 実際に仮設の故障をつくりまして、それで一人々々やらせます。そしてやつたあと、このときはこういうふうにするのである、ああいうふうにするのである、そういう指導であります。○塚原委員 何名くらいを単位として訓練しましたか。○中村証人 大体一日に七、八人ずつです。それは時間のあいまにやるのであります。○塚原委員 あいまというと。○中村証人 長い時間やるのじやなくて、乗務の時間のあいまを見てやるのであります。○塚原委員 ですから世間でいわれている非常に形式的な訓練に落ちてしまつて、たとえば教える人が簡単な学科の訓練をして、そして解散してしまうというふうに私たちは聞いておるのですが、あなた方が実際に訓練をお受けになつて、身の入つた訓練であるとあなたは考えましたか。それとも、単に形式的にやる訓練であると考えましたか。どちらですか。○中村証人 結局それはやる人の問題だと思います。教育を受ける人本人が、身を入れてやれば十分役に立つと思います。○塚原委員 あなたはどう考えましたか。○中村証人 自分は全部身を入れてやつていたつもりであります。○塚原委員 話は前にさかのぼりますが、あなたは戦争中にも運転士をしておられましたね。○中村証人 やつておりました。○塚原委員 あのころ運転台のすぐうしろの方に乗つておると、いよいよ車が発車するときに、何か出発進行というようなことを自分で口ずさみながら出て行つておりましたね。戦争後ああいうことがなくなりましたね。○中村証人 やつております。○塚原委員 現在やつておりますか。○中村証人 やつております。○塚原委員 私は戦争の終つたあと、国鉄並びに一般民間の電車、すべてのものの士気が非常にたるんでおるということを聞きもし、また実際に自分でも見たことをはつきり言えると思うのですが、前にはあごひもをおろして――形だけで緊張したとは申しませんが、緊張した気持で大事な人命をあずかる操縦をしておつたと思うのですが、戦争後は何かくわえタバコで、しかもおそらく私の考えでは、人は乗せていけないという運転台に二、三の人を乗せて、話しながら運転するというような、きわめてふまじめであると思われるような状況も私は何回も見聞したのですが、あなた方が実際運転をやつておる場合、このようなたるんだ気持というものをわれわれにつかれて、何か心に考えることがございませんか。○中村証人 自分としては戦前、戦後を通じて同じ気分でやつております。○塚原委員 それはあなたのまじめさというものがうかがえてまことにけつこうですが、世間一般の批評並びにまた私個人の見たところでは、いわゆるたるんでおる空気が非常に見えた、こういうことでは事故も起きるのではないかという不安をおそらく相当の人が持つておつたと思います。信号はあなたに関係ないでしようが、たとえば信号手あたりの動作を見ても、われわれいなかの方に住んでおりますが、いなかの小さな駅でお客が一人か二人しかないような場合でも、あれを下すところにだれも見ていないのに、雨の日でも自分で指をさしながら、それを下してそれを自分で確認した、また駅長は汽車が出るまで直立不動の姿勢で、列車がホームからはずれろまでそれを見送つておるという、きわめてまじめな姿というものをわれわれはかつては見たのです。最近はそういう姿に接したことはありません。ですからわれわれは国鉄一般の人がたるんでおるということを言つてもさしつかえないと思う。しかもあなたの証言を聞いておりますと、気分において、またその他の点においても、あなたはまじめにやつておるということを聞いて私は安心いたしました。それだけのことをやりながらああいう事故が起きたということについて追究しようとは思いませんが、また追究することはあなたの心を痛めることでもありましよう。しかし先ほどの委員長の尋ねられた脱出作業、救出作業という点において、私にふに落ちない点が一つある。それは私らの見る点では、あなたが運転をしておるうしろのドアというものは、あなたは大きないすがあつたからなかなかあかなかつたと言いますが、それだけの事態が起きているのでしたら、そのいすをどつかへけ飛ばして、そのドアをあけるだけのお気持にならなかつたのですか。○中村証人 自分としては先ほど言いました通りであります。直感的に中へ入れないと思つて自分のところの貫通ドアをあけて出たのであります。
2019.12.08
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本日も桜木町火災事故の証人喚問の記録から見ていきたいと思います。私も、実は桜木町事故のことを調べていて、国会の議事録にないかと探したところ偶然見つけた次第です。早速、当時の運転士の証言を元にお話をさせていただこうと思います。篠田委員長が、中村証人に対して、再度確認の意味で質問していますが。パンタグラフを上げようと試みたが、上がらなかった。【実際には、パンタグラフに切断したトロリー線が絡みつき、パンタグラフ自体が上げられなかったと言われています。そこで、もう一つの重大な疑問点、運転室のドアを開けずに運転台から飛びだした点について質問しています。火の手が上がっているので開けても無駄だと思ったと証言○篠田委員長 ひもを引いたところがあかなかつた。そこで自分は外へ飛び出して、うしろのドアをあけなかつたわけですね。運転手の部屋と客室とのドアをあけないで飛び出したのだが、それに間違いないですね。○中村証人 間違いありません。○篠田委員長 そのときに――あとの祭りだが、ドアをあけるのに気がつかなかつたのだね。○中村証人 あけてもだめだと思いました。そこのところははつきりわかりませんけれども……。とにかく自分としては瞬間的に中に入れないと思つたので、うしろからまわつてあけようと思つたのです。ここで素朴な疑問として残るのは、開けても無駄だと言ってとっさに諦めてしまった点です。その後の質問で、逃げるためではないと証言していますが。最初の質問では、椅子が邪魔であったと言っておきながら、今度は後ろを振り向くとガラス越しに中には入れないと思ったと証言しています。ここでは、特にこうしたことに対して憶測で話を進めるわけにもいきませんが、やはり疑問は残るところではあります。ドアが開かなかったのは誰のせい?更に質問は続き、車掌もドアスイッチを扱ったけれどドアが開かなかったして、その原因を運転士が車掌スイッチを扱っていたからではないかという疑問を呈しています。それに対しては、パンタグラフが下がった(実際には断線した架線が絡まったために、地気(架線が直接、地面とショートした状態、もしくは絶縁不良の状態)してしまったわけで、運転士の証言しているように、電源が切れた状態になったようです。○篠田委員長 逃げるつもりではないのだね。○中村証人 そういうわけではありません。○篠田委員長 車掌がスイッチを扱つたけれどもドアがあかなかつたというのは、証人が切りかえスイッチを切つたためだというのだが……。○中村証人 それはどういうわけですか。切りかえスイッチを切つても電源があればあきます。○篠田委員長 それはパンタグラフが下つてしまつているから、電源がないからあかないというわけかね。○中村証人 そうです。火災発生後も電流が供給されたことを運転手は知っていたのか?電車が燃えているときにも電流は供給されていたと運転士は証言している点ですが、このやり取りだけでは、「運転士が電車の火災中にも架線から電流が流れていた」という証言が、変電所からの電流が供給されたいたか否かを証明する内容ではありませんが、篠田委員長側は、変電所でにき電停止が行われたことは知っていたように見えるのですが、運転士はその辺は知らなかった節があり、答弁に多少の違いが生じています。以下、双方のやり取りから。○篠田委員長 それはパンタグラフが下つてしまつているから、電源がないからあかないというわけかね。○中村証人 そうです。○篠田委員長 シヨートして電車が燃えておつても、電流はまだ通じておつたのではないかね。中略○篠田委員長 自然に燃えているわけだね。○中村証人 自然でありません。○篠田委員長 どんどん電流が入つて来たのじやないか。○中村証人 入つて来ております。○篠田委員長 言いかえれば電車の方は電流が入つておるのだね。○中村証人 電車の方じやありません。○篠田委員長 どういうわけで。○中村証人 結局アースしてしまうわけです。○篠田委員長 アースしてしまえば、電車が燃えないわけじやないのですか。そうじやないのですか。○中村証人 最初の……。○篠田委員長 だから電車を通じてアースしているわけか。○中村証人 アースでありますが、どういうぐあいにアースしたか自分としてもちよつとわかりません。○篠田委員長 結局電車を一つのあれとして通じているわけでしよう。電車を通じて燃えているわけでしよう。○中村証人 はい。○篠田委員長 その電流はあなたの開こうとするスイッチの方には来なかつたというのですね。○中村証人 自分の言うことですか。○篠田委員長 スイツチのところへ電流が来ていればあなたがボタンを押してもあくわけでしよう。○中村証人 そうであります。○篠田委員長 それがあかないというのは、あなたの押そうとするスイッチの方には来てない、しかし燃えている電車の方には電流は依然として行つていた、こういうことでしよう。○中村証人 そうであります。乗客は、後方の貫通出口ではなく、連結部の窓から脱出しようとしていた?その後も尋問は続き、運転台を出た後の運転士の行動について審問しているのですが、ここでも最初の証言と異なるところが見られます。記憶の混濁か、否かは判りませんが、「一両目と二両目のところから人が出ておつた」と証言していますが、これは、どうも事実とは異なるようで、連結面の三段窓から脱出を試みようとした人がいたのだと言うようにもとれる証言をしています。ということで、再び同様の質問をしたところ、窓から出ていたと回答をしています。そこで4人か5人ほど引っ張りだしたと証言しています。実際、助かった例としては、わずか30cm弱の3段窓の隙間を縫って脱出できた人だけであったそうで、実際にそうした証言が残されています。【鉄道ピクトリアルだったかと思いますが、何時頃の記事だったか今すぐ思い出せないので、判れば追記いたします。】また、詳細は「桜木町駅における国鉄電車火災事故調査報告書」という書籍もあるようなので、国会図書館で拝見させていただこうと考えております。 ○篠田委員長 あなたがうしろへまわつて行つたときに、うしろの窓からお客が出ようとしていたわけでしよう。○中村証人 そうであります。○篠田委員長 それを何人かひつぱり出したか。○中村証人 ひつぱり出しました。○篠田委員長 何人くらい。○中村証人 自分が連結器に上つたときに、そのときに一両目から二両目へ出て来たのであります。○篠田委員長 うしろのドアからガラスか何か破つて出ようとしているわけか。○中村証人 そのときに、自分としてもはつきり記憶がないのであります。○篠田委員長 ドアはあいていないんでしよう。○中村証人 結局窓のところです。○篠田委員長 窓を破つて出て来ようとしたのかね。○中村証人 はい、それをひつぱり出したのです。○篠田委員長 あとはどうしてやめたのか。○中村証人 結局火災がどんどんうしろへ来てしまつて……。○篠田委員長 うしろへ来てしまつて……。○中村証人 連結器まで来てしまつたからです。中が結局煙と火とでわからないのです。火勢が強くなり、「何人かをひっぱりだした」とう表現をしていますが、どうやら、後方の出入り口は開いておらず、旅客自らも開けて脱出することは出来なかったようです。画像 wikipediaから引用にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** 国家異議記事録本文は、以下の通り**********************桜木町事故国会審問の議事録***********************○篠田委員長 それであなたは発火すると同時に、今言つたようにパンタグラフをまず下げた。そうしてみたところが火花がなかなかおさまらないので、うしろを見たところが燃えておる。そこでこれはいけないと思つてドアをあけるために、またパンタグラフを上げてスイツチを押したけれども、パンタグラフが途中でひつかかつたかどうかしてあかなかつた。○中村証人 スイッチでなくてひもであります。○篠田委員長 ひもを引いたところがあかなかつた。そこで自分は外へ飛び出して、うしろのドアをあけなかつたわけですね。運転手の部屋と客室とのドアをあけないで飛び出したのだが、それに間違いないですね。○中村証人 間違いありません。○篠田委員長 そのときに――あとの祭りだが、ドアをあけるのに気がつかなかつたのだね。○中村証人 あけてもだめだと思いました。そこのところははつきりわかりませんけれども……。とにかく自分としては瞬間的に中に入れないと思つたので、うしろからまわつてあけようと思つたのです。○篠田委員長 逃げるつもりではないのだね。○中村証人 そういうわけではありません。○篠田委員長 車掌がスイッチを扱つたけれどもドアがあかなかつたというのは、証人が切りかえスイッチを切つたためだというのだが……。○中村証人 それはどういうわけですか。切りかえスイッチを切つても電源があればあきます。○篠田委員長 それはパンタグラフが下つてしまつているから、電源がないからあかないというわけかね。○中村証人 そうです。○篠田委員長 シヨートして電車が燃えておつても、電流はまだ通じておつたのではないかね。○中村証人 通じておりました。○篠田委員長 電車の方には電流は通じておつたけれども、スイツチの方には電流は通じてなかつたというわけですか。○中村証人 それは技術的な問題になります。○篠田委員長 片方はどんどん燃えておるが、電流は通じていたわけですね。○中村証人 シヨートしておると、そこでもつて電圧というものは、ほとんどゼロに近い程度になつてしまいます。○篠田委員長 自然に燃えているわけだね。○中村証人 自然でありません。○篠田委員長 どんどん電流が入つて来たのじやないか。○中村証人 入つて来ております。○篠田委員長 言いかえれば電車の方は電流が入つておるのだね。○中村証人 電車の方じやありません。○篠田委員長 どういうわけで。○中村証人 結局アースしてしまうわけです。○篠田委員長 アースしてしまえば、電車が燃えないわけじやないのですか。そうじやないのですか。○中村証人 最初の……。○篠田委員長 だから電車を通じてアースしているわけか。○中村証人 アースでありますが、どういうぐあいにアースしたか自分としてもちよつとわかりません。○篠田委員長 結局電車を一つのあれとして通じているわけでしよう。電車を通じて燃えているわけでしよう。○中村証人 はい。○篠田委員長 その電流はあなたの開こうとするスイッチの方には来なかつたというのですね。○中村証人 自分の言うことですか。○篠田委員長 スイツチのところへ電流が来ていればあなたがボタンを押してもあくわけでしよう。○中村証人 そうであります。○篠田委員長 それがあかないというのは、あなたの押そうとするスイッチの方には来てない、しかし燃えている電車の方には電流は依然として行つていた、こういうことでしよう。○中村証人 そうであります。○篠田委員長 あなたがうしろへまわつて行つたときに、うしろの窓からお客が出ようとしていたわけでしよう。○中村証人 そうであります。○篠田委員長 それを何人かひつぱり出したか。○中村証人 ひつぱり出しました。○篠田委員長 何人くらい。○中村証人 自分が連結器に上つたときに、そのときに一両日から二両目へ出て来たのであります。○篠田委員長 うしろのドアからガラスか何か破つて出ようとしているわけか。○中村証人 そのときに、自分としてもはつきり記憶がないのであります。○篠田委員長 ドアはあいていないんごしよう。○中村証人 結局窓のところです。○篠田委員長 窓を破つて出て来ようとしたのかね。○中村証人 はい、それをひつぱり出したのです。○篠田委員長 何人くらいひつぱり出した。○中村証人 自分としてもはつきりわかりませんけれども、四、五人くらいと思つているのです。○篠田委員長 あとはどうしてやめたのか。○中村証人 結局火災がどんどんうしろへ来てしまつて……。○篠田委員長 うしろへ来てしまつて……。○中村証人 連結器まで来てしまつたからです。中が結局煙と火とでわからないのです。
2019.11.26
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この証言によりますと、運転士は運転席側から室外に降りて、一両目後方の車両のドアを開けようとしたようですが、その後何故か火災が発生している一両目のドアを開けずに、二両目の車両のドアを開けたと証言しています。車外から3方コックを閉めて、手動でドアを開けたと証言しているのですが、何故か事故車両である一両目のドアを開放しなかったのかが疑問に思います。実際、その点を厳しく国会でも追及されているのですが、よく覚えていないとして曖昧な返答に終始しています。最後の方で、車掌が燃えさかる車両を見ながらただ腕を組んで眺めていたというのも解せない話ではありますが、その辺も当時の世相と言いますか状況を比較しながら考えていかないと一概に、車掌が悪いとか、運転士の対応が悪いとはなりません。本日も、桜木町事故の運転士への尋問の記事をアップしたいと思います。今回も運転士の証言に対して、解説を加えつつ、出来るだけ中立な位置から解説を加えさせていただきます。運転士は後方に向かって。ドアの開放を試みた一両目の電車で火災が発生していることを確認した運転士は、一先ず車外に出て、ドアを開放するための措置を取ったとしています。乗務員室と客室を仕切るドアを閉めたままで。乗務員室のドアから降りて、一両目と二両目の間に立ったと以下のように証言しています。○中村証人 まだそつちの方は話していないのですが、それで運転室の自分の方の貫通ドアをあけて飛び降りて山側へずつとまわつたのです。それから一両目と二両目に行つて、一両目の連結器の上に足をかけて、その連結器の上に上つて、一両目に入ろうと思つたのですが、そこはちよつとはつきりいたしませんけれども……。○篠田委員長 あなたはあける努力はしたの。こつちのドアをあけようとしたのですか。○中村証人 とにかくはつきりしないのですけれども、そのときたしか一両目と二両目のところから人が出ておつたのです。人が出ておつたので、結局そこの連結器の上におれば危険だと思つて、ニ両目の方を見たら、非常に騒いでおる。ニ両目のお客がガラスやなんか割つて非常に混乱状態だつたのです。この証言では、一両目と二両目の間から人が出ていたと証言しています。ここは、更にもう少し当時の資料などを探しているのですが、ドアが内開きでありドアが開かなかったという記述が多々見られますし、運転士は二両目をかろうじて開けることができた。wikipediaでの記述運転士が車端貫通路から乗客を救出しようとしたが、当時の車両の貫通路は車両同士の乗客の貫通を目的としたものではなかったため内開きの開き戸で、しかも外側から施錠されていた。辛うじて2両目の貫通路だけは開けられたものの1両目は脱出しようとする乗客の圧力で開かなかったとされる。と記述されており、上記の証言と矛盾することになります。さらに、上記の証言では、何人かが降りていたと証言していますので、実際にはドアを開けて脱出する人も少なからず居たと言うこととなります。ただ、wikipediaの記述が公式なものであると仮定すれば、証言と実際の史実は大きく異なることとなり、火災が既に発生していた一両目では、ドア付近で押し合いになったと考える方が素直かと思ってしまいます。さらに、ここで運転士は、不可解な行動を起こします。本来であれば、一両目を開放すべきなのですが、二両目のドアを開放しようとしたようで、下記のように証言しています。これも上述の記述では、かろうじて運転士が二両目を開放できたとしていますが、実際は少し異なっていたようです。運転士は、二両目の車両のドアを外から開けたと証言○篠田委員長 二両目に火がついていたのかね。○中村証人 まだ当時はついていなかつたと思います。それで二両目を見たら非常に騒いでいる。その二両目の方に若干気をとられて、二両目のドアをあけなければならぬ。二両目のドアのコツクがありますが、そのコツクを四、五箇所あけたと思います。そうしてドアを二枚か三枚自分はあけたと思うのです。さらに、燃えている車両を放置しておくのはどうしてかと言う質問には答えられず、運転士は一両目から二両目に人が乗り移っていると言いつつ、二両目が騒いでいるので、ドアを開けたと言っています。それほど余裕があったのでしょうか。この証言だけでは、かなり矛盾が生じてきそうですが、あくまでも当時の証言に着いてのみ綴りたいと思います。当時の63型電車の貫通扉は内側に開くものであり、両方とも内側からドアが開いていたのか、その辺の証言が曖昧というか矛盾があるように思えるのですが、運転士は一両目から人が二両目に移ってきていると証言しています。ただ、本人は記憶がはっきりしていないとして明言を後で撤回する様な証言をしています。○篠田委員長 しかし燃えていない方のドアをあけて、燃えておる方のドアをあけないのはおかしいじやないか。○中村証人 そのときには燃えている方から燃えない方に人が移つて来ました。たしかそのときにはあけられなかつただろうと思います。○篠田委員長 その間のいきさつははつきり記憶はないわけだね。○中村証人 はあ。委員長は、鉄道省の責任を追求ことさらこうした事故時の対応教育などは、鉄道省時代からい行われていなかったのかということを尋問しており、運転士は、そうした安全教育は受けていないと証言していますが、後に総裁を尋問するときの鍵となりました。更に質問は続くのですが、そこで駅員や車掌もドアの開放などは行わなかったと回答しています。当時のこの証言が正しいと仮定すると、一両目の乗客も二両目に乗り移る若しくは、連結面から降りられたとなるのですが、実際にはその多くが脱出できなかった。一部の人がかろうじて三段窓の隙間から脱出できたと言う記録もあるのですが、そのときの資料が今手元にありません。ご存じの方がおられましたらご教示願います。○篠田委員長 そうするとそういうときの教育は、さつきも言つたように全然鉄道―今は国有鉄道だが、前の鉄道省としてはしてないわけだね。○中村証人 ありません。○篠田委員長 しかしドアというものは中からだけあけるようになつてないで、そとからあける方法がついてあるんじやないの。○中村証人 あります。○篠田委員長 それをどういうわけであけない。○中村証人 結局自分としては中へ入らなくてはならないものだと直観的に思つたわけです。気がつかなかつたのです。○篠田委員長 ほかのそとにいた駅員とか何とかいう者は、どうしてそとからあける措置があるにもかかわらず、それをあけなかつたのか。○中村証人 わかりません。○篠田委員長 三方コツクというのはそとからあける措置でしよう。どういうふうになつているの。○中村証人 三方コツクもたくさんあります。○篠田委員長 そとからもあけるようになつているの。○中村証人 なつております。○篠田委員長 それはどういうの、ボタンか何か押す……。○中村証人 いえやはり同じこういうコツクです。○篠田委員長 それをあければそとからあくんだね。○中村証人 あくというのではなくて、結局エアを全部切つてしまうのです。○篠田委員長 だからエアを切れば自然とあくんだろう。○中村証人 自然とあくんじやなく、やはり手でひつぱるのです。○篠田委員長 エアでドアを押えているから、何ぼひつばつてもあかない、エアを切つちやえばあくんだろう。○中村証人 ひつぱればあきます。○篠田委員長 それはどういうわけでだれもあけなかつたか。あなたはあがつていてそれに気がつかなかつた。車掌は最後まで腕を組んで燃えておるのを見ていたというのだけれども、あなたは確認しなかつたのですか。○中村証人 車掌のことは全然わかりません。画像 wikipedia にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** 国家異議記事録本文は、以下の通り**********************桜木町事故国会審問の議事録***********************○篠田委員長 そうしたらあかなかつたというのだな。○中村証人 まだそつちの方は話していないのですが、それで運転室の自分の方の貫通ドアをあけて飛び降りて山側へずつとまわつたのです。それから一両目と二両目に行つて、一両目の連結器の上に足をかけて、その連結器の上に上つて、一両目に入ろうと思つたのですが、そこはちよつとはつきりいたしませんけれども……。○篠田委員長 あなたはあける努力はしたの。こつちのドアをあけようとしたのですか。○中村証人 とにかくはつきりしないのですけれども、そのときたしか一両目と二両円のところから人が出ておつたのです。人が出ておつたので、結局そこの連結器の上におれば危険だと思つて、ニ両目の方を見たら、非常に騒いでおる。ニ両目のお客がガラスやなんか割つて非常に混乱状態だつたのです。○篠田委員長 二両目に火がついていたのかね。○中村証人 まだ当時はついていなかつたと思います。それで二両目を見たら非常に騒いでいる。その二両目の方に若本気をとられて、二両目のドアをあけなければならぬ。二両目のドアのコツクがありますが、そのコツクを四、五箇所あけたと思います。そうしてドアを二枚か三枚自分はあけたと思うのです。○篠田委員長 しかし燃えていない方のドアをあけて、燃えておる方のドアをあけないのはおかしいじやないか。○中村証人 そのときには燃えている方から燃えない方に人が移つて来ました。たしかそのときにはあけられなかつただろうと思います。○篠田委員長 その間のいきさつははつきり記憶はないわけだね。○中村証人 はあ。○篠田委員長 そうするとそういうときの教育は、さつきも言つたように全然鉄道―今は国有鉄道だが、前の鉄道省としてはしてないわけだね。○中村証人 ありません。○篠田委員長 しかしドアというものは中からだけあけるようになつてないで、そとからあける方法がついてあるんじやないの。○中村証人 あります。○篠田委員長 それをどういうわけであけない。○中村証人 結局自分としては中へ入らなくてはならないものだと直観的に思つたわけです。気がつかなかつたのです。○篠田委員長 ほかのそとにいた駅員とか何とかいう者は、どうしてそとからあける措置があるにもかかわらず、それをあけなかつたのか。○中村証人 わかりません。○篠田委員長 三方コツクというのはそとからあける措置でしよう。どういうふうになつているの。○中村証人 三方コツクもたくさんあります。○篠田委員長 そとからもあけるようになつているの。○中村証人 なつております。○篠田委員長 それはどういうの、ボタンか何か押す……。○中村証人 いえやはり同じこういうコツクです。○篠田委員長 それをあければそとからあくんだね。○中村証人 あくというのではなくて、結局エアを全部切つてしまうのです。○篠田委員長 だからエアを切れば自然とあくんだろう。○中村証人 自然とあくんじやなく、やはり手でひつぱるのです。○篠田委員長 エアでドアを押えているから、何ぼひつばつてもあかない、エアを切つちやえばあくんだろう。○中村証人 ひつぱればあきます。○篠田委員長 それはどういうわけでだれもあけなかつたか。あなたはあがつていてそれに気がつかなかつた。車掌は最後まで腕を組んで燃えておるのを見ていたというのだけれども、あなたは確認しなかつたのですか。○中村証人 車掌のことは全然わかりません。
2019.11.14
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桜木町事故の国会審問ですが、概要を書かせていただきますと、運転士はドアの開放を試みるため、パンタグラフを上げようとしたが上手くいかなかったようで、客室側を見ると大きな火の手が上がっていた。運転室から反対側のにあるドアを開けようとしたが火の手が上がっているので、開けることはせずそのまま乗務員室から外に出て、反対側の貫通路のドアを開けようとしたと証言しています。最初にお断りしておきますと、当時の関東圏の電車は貫通幌がなく、車両間の移動は出来ませんでした。また、連結面側の貫通扉は内側にしか開かない構造であり、満員電車の場合や開けることが困難でした。そこで、運転士が客室とを結ぶドアを開けていれば少なくともその出口から乗務員乗降口を使って避難できる人が少なからずいた可能性はあるのですが、乗務員はそうした救済措置をせずに運転室から降りたという証言をしています。それを非難するとかではなく、当時の運転士の心理状態がどうであったのか、又何故そうした行動になってしまったのか。公式には車両の不備ばかりが記録として残されていますが。国会審議の議事録には運転士の行動なども記録として残されていますので、こうした資料なども検証していくことも大事なのではないかと思っています。ドアの開放を運転士が試みたと証言○中村証人 はい。結局、火花を発したので、すぐ非常制動機をかけました。非常制動機をかけると同時に、パンタグラフを降下する手配をとりました。それで電車が止つてから、パンをおろせば通常はアークが全部とれるわけですが、ところが一向にいつまでたつても火花がずつと出たままなんであります。そこでいつまでたつても、そこのところは何秒くらいたつたかちよつとはつきりわかりませんが、それから今度ドアをあける手配をとりました。○篠田委員長 ドアをあけるというのは、ボタンを押して……。○中村証人 そうであります。結局ドアをあけるというのには、パンタグラフを再び上昇させて、パンタグラフを上昇させるためにパン上昇用のひもがあります。そのひもをひつばつたのであります。電車のパンタグラフの電磁弁を押せば、その車が上つておればあくわけであります。そこの操作はちよつとはつきりいたしません。自分としてはやつたつもりでおります。その後、委員の質問は、運転室から乗務員のドアに通じるドアを開けたらと言う質問に入っていきます。運転士としては、乗降ドアの開放を試みたが開かない。客室側を見ると火の手が上がって激しく燃えているのを確認したものの、運転室と客室を仕切るドアを開放することはせずに。自らは電車の外に出たと証言しています。客室とを仕切るドアの施錠は解錠せず客室と乗務員室を仕切るドアは、運転席と反対側の端にあります【運転席から見ると右端)であり、後方を確認したら激しく燃えさかっており、運転士は乗務員乗降ドアから飛び降りたと証言しています。○中村証人 それで今度はパンを上げてから車掌スイッチをあけて、ドラムスイッチを後位置にすれば、パンがついていればあがるわけなんです。それは車掌スイッチを先にやつたか、ドラムスイツチを先にやつたかはつきりいたしませんけれども、とにかくやつたところがどうしてもあかなかつた。それからどうしてもだめだと思つたので、今度はうしろから運転台と客室の貫通ドアをあけようと思つたのですが、結局入口の方から火が猛烈に吹いているので、中へとうてい入れないと思つた。それで運転台の腰かけの上へ上つて、ドアをあけて飛び出したわけであります。○篠田委員長 その客室のドアというのは、君の方からしめてあるのではないの。○中村証人 私の方からしめてあります。○篠田委員長 あなたの方からあける以外に手はないんじやないの。○中村証人 はあ。○篠田委員長 あなたが運転しているところと客室の間にドアがあるのでしよう。それはあなたの方からしめてあるのでしよう。○中村証人 そうであります。その際、乗務員室と客室の間を結ぶドアが開放されていたら、もう少し犠牲者は少なかったかもしれません。その辺を再び委員から指摘されるのですが。そのやり取りが下記のような会話になります。本当にドアを開放することは不可能だったのか?○篠田委員長 あなたがそれをあけてやれば、客はあなたが飛び出したあとで、たとい火を吹いていても何人か逃げることができるでしよう。○中村証人 一番前の一番向う側なんです。運転手と正反対の位置なんです。○篠田委員長 だけどここはわずかじやないの、あなたがパンタグラフを上げたりおろしたりしているひまがあれば、あけることができるんじやないの。○中村証人 その運転手の腰かけは非常に大きくて、ドアもちよつとあけにくいような状態なんです。それで運転手として中腰のようなかつこうで操作したのです。ちよつとなかなかあけることができないような状態です。○篠田委員長 あけることができなかつた。結局、後ろでは既に火が上がっていたので、乗務員室と客室をつなぐ扉を開けずに、運転士は室外に飛び出し、連結面に回ろうと思ったと証言しています。ただ、この文面だけ見ていると運転席の椅子が非常に大きくて、移動に困難であるとか、言い訳をしているようにも聞こえるのは私だけでしょうか。それが下記の証言となります。○篠田委員長 あなたがそれをあけてやれば、客はあなたが飛び出したあとで、たとい火を吹いていても何人か逃げることができるでしよう。○中村証人 一番前の一番向う側なんです。運転手と正反対の位置なんです。○篠田委員長 だけどここはわずかじやないの、あなたがパンタグラフを上げたりおろしたりしているひまがあれば、あけることができるんじやないの。○中村証人 その運転手の腰かけは非常に大きくて、ドアもちよつとあけにくいような状態なんです。それで運転手として中腰のようなかつこうで操作したのです。ちよつとなかなかあけることができないような状態です。○篠田委員長 あけることができなかつた。○中村証人 それでうしろを振り向いてガラス越しに見たのでありますが、そのときには入口のところで猛烈な火が吹いているのです。○篠田委員長 あけてもむだだと思つたからあけなかつたのか、それともあける努力だけはしたのかね。○中村証人 努力はいたしません。努力しないわけじやないのですが、とうてい中へ入れないと思つて、すぐうしろからまわろうと思つたのです。火災事故を起こしたと同型のモハ63形電車、運転台直上のパンタグラフが破損して、トロリー線線が車両の屋根に接触、変電所側でも停電措置がおこなわれず、電流を流し続けたことも被害を大きくする原因の一つとなりました。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era******************************************************** *********************桜木町事故国会審問の議事録************************○篠田委員長 もう少し、事故か起つてからあなたが車外に飛び出すまでの状態を詳しく話してください。○中村証人 はい。結局、火花を発したので、すぐ非常制動機をかけました。非常制動機をかけると同時に、パンタグラフを降下する手配をとりました。それで電車が止つてから、パンをおろせば通常はアークが全部とれるわけですが、ところが一向にいつまでたつても火花がずつと出たままなんであります。そこでいつまでたつても、そこのところは何秒くらいたつたかちよつとはつきりわかりませんが、それから今度ドアをあける手配をとりました。○篠田委員長 ドアをあけるというのは、ボタンを押して……。○中村証人 そうであります。結局ドアをあけるというのには、パンタグラフを再び上昇させて、パンタグラフを上昇させるためにパン上昇用のひもがあります。そのひもをひつばつたのであります。電車のパンタグラフの電磁弁を押せば、その車が上つておればあくわけであります。そこの操作はちよつとはつきりいたしません。自分としてはやつたつもりでおります。○篠田委員長 それであかないから飛び出した。○中村証人 それで今度はパンを上げてから車掌スイッチをあけて、ドラムスイッチを後位置にすれば、パンがついていればあがるわけなんです。それは車掌スイッチを先にやつたか、ドラムスイツチを先にやつたかはつきりいたしませんけれども、とにかくやつたところがどうしてもあかなかつた。それからどうしてもだめだと思つたので、今度はうしろから運転台と客室の貫通ドアをあけようと思つたのですが、結局入口の方から火が猛烈に吹いているので、中へとうてい入れないと思つた。それで運転台の腰かけの上へ上つて、ドアをあけて飛び出したわけであります。○篠田委員長 その客室のドアというのは、君の方からしめてあるのではないの。○中村証人 私の方からしめてあります。○篠田委員長 あなたの方からあける以外に手はないんじやないの。○中村証人 はあ。○篠田委員長 あなたが運転しているところと客室の間にドアがあるのでしよう。それはあなたの方からしめてあるのでしよう。○中村証人 そうであります。○篠田委員長 あなたがそれをあけてやれば、客はあなたが飛び出したあとで、たとい火を吹いていても何人か逃げることができるでしよう。○中村証人 一番前の一番向う側なんです。運転手と正反対の位置なんです。○篠田委員長 だけどここはわずかじやないの、あなたがパンタグラフを上げたりおろしたりしているひまがあれば、あけることができるんじやないの。○中村証人 その運転手の腰かけは非常に大きくて、ドアもちよつとあけにくいような状態なんです。それで運転手として中腰のようなかつこうで操作したのです。ちよつとなかなかあけることができないような状態です。○篠田委員長 あけることができなかつた。○中村証人 それでうしろを振り向いてガラス越しに見たのでありますが、そのときには入口のところで猛烈な火が吹いているのです。○篠田委員長 あけてもむだだと思つたからあけなかつたのか、それともあける努力だけはしたのかね。○中村証人 努力はいたしません。努力しないわけじやないのですが、とうてい中へ入れないと思つて、すぐうしろからまわろうと思つたのです。○篠田委員長 うしろからというのはこつちの方だね。○中村証人 そうであります。
2019.11.09
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