○福田(喜)委員 あなたが信号所に飛び込みまして、えらいことになる、上り線に電車を入れてはだめだと言われたのですが、そのとき信号所におきまして――われわれしろうとですからよくわかりまんけれども、信号所はスイツチ一つで、信号所自身で上り線に入れないような措置ができるのですか。
○中澤証人 できます。できると思います。
○福田(喜)委員 それを怠つたわけですね。
○中澤証人 怠つたか怠らないか、私にはわかりません。
○福田(喜)委員 あなたがそういうことを言つたのは、電車が来る……。
○中澤証人 全然見えないときです。
○福田(喜)委員 それから第二点は、あの騒ぎの最中に助役があなたを呼びに来たと言いましたね。
○中澤証人 はい。
○福田(喜)委員 それは電車に火がついてどんどん燃え出してからですか。
○中澤証人 そうです。
○福田(喜)委員 発火してからどのくらいたって……。
○中澤証人 発火して、時間でどうもはっきり私もどれくらいという時間の予測が立ちませんが、助役さんが来てくれというときには、相当時間がたつたと思います。
○福田(喜)委員 助役ははたして自分で呼んだのですか、だれかに呼ばせたのですかわかりませんか。
○中澤証人 それはどうかわかりませんが、信号手が、さつきから見つけていたが、助役さんが用事があるから早く行ってくれ、こう、いました。
○福田(喜)委員 助役がそのときにあなたに言つたのは、現場で何か事故を起した、だから火事を鎮火さすとか、あるいは応急措置を講ずることを命じたのですか。
○中澤証人 いやそうではないと思います。
○福田(喜)委員 どういうことを言つたのですか。
○中澤証人 その事故の原因を、大体どういうことで事故が起ったかということを、助役さんは聞いたのではないかと思います。
○福田(喜)委員 事故の原因を聞いただけで、応急措置を講ずることを何ら指令はしなかつたわけですか。
○中澤証人 何にも指令はありません。
○田渕委員 架線が落ちて、これはえらいことをしたと思つてあなたが信号所に行かれたときに、今から考えてみると、もう少しきつく、えらいことになった、すぐ電車をとめる信号を出せと言つたら、信号手はやつたのではないですか、どうでしよう。続く
○中澤証人 私が一旦現場はみな頼むと言つた意味は、私のいないときには、副長というものが全部私のかわりに責任を持って、架線の方も見てくれる、また電車が来たらとめてくれる、こういうふうにやってくれるものと思つて、私は現場を頼むと言って行つたのであります。
○田渕委員 ところが信号手が――もちろんあとで知らなかつたと隠すことはよくわかるのですけれども、この場合にあなたが、自分の権限あるいは職場を越すかもわからないけれども、とにかく自分が架線の方をやっているので、その架線が切れた、電車がえらいことになる、だから何としてもここで電車をとめなければならぬのだからというわけで、信号手におとなしい態度で、えらいことをした、ちょっと電車をとめてくれ、こう言うのと、たいへんなことだ、すぐこれをやらなければ大事が起るというようにきつく言うのと、信号手の受ける感じが非常に違うと思うのですが、それはどうでしようか。
○中澤証人 私の力を入れたところは、一旦現場を頼む、とこう言って行つたのであります。
○田渕委員 それはあなたの部下に言つたことで、高原信号手にあなたが言つたときに、あなたが、えらいことをした、とめてくれ、こう言うのと、たいへんなことになってしまった、こう言って叱責するようにきつく言うのと、そこの違いですが……。
○中澤証人 信号手ですか。
○田渕委員 ええ、きつくばばつとすぐにも信号に手をかけるくらいに……。
○中澤証人 それはやはり飛び込んだときに、私は一番先にそれを強く言つたのであります。
○田渕委員 相当大きい声で……。
○中澤証人 そうです。もう入られたらこれは最後だと思いまして、飛び込むとすぐに、上り線が断線したので、上り線側に入れてもらつては困る、頼む、とこう力を入れて言いましたら、上りがだめなら下り線はどうかと向うでも力を入れてこう聞きましたから、私は、下り線に入れる分にはさしつかえない、こう言つたのに対して、信号所の方は、そうかとまた向うも力を入れたのであります。ですから私としては十分納得ができた、こう思いまして、話を一応打切つたのであります。
○田渕委員 それは、そのときの様子とすれば相当熱心に言われたことと思いますが、信号手はそのときにいすに腰かけておったのですか。立つておりましたか。
○中澤証人 一人の専任の信号手は立つておりました。一人の信号手の方は、あまりはっきりはしませんが、腰かけていたように思われます。
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