鉄道ジャーナリスト加藤好啓のblog 国会審議集

2021.07.04
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カテゴリ: 桜木町事故
証人は、工手長の電車出発停止に対して特段危機意識を持っていなかった?

今回も、信号掛の高原証人の証言が続きますが、どうも証言の内容があやふやと言いますか、言い訳の終始しているようにも見えます。
塚原委員長代理が質問をしていますが、中澤さん(工手長)が、「やつちやつた、上りの電車を出すのを少しの間、一時ちよつて待つてくれ……。」と言われたのに対して、その言葉は聞いたけれど・・・その後のアクションを起こさなかったことに対して、高原職員が虚偽の証言をしているのではないかと質問しています。
結局、「やっちゃった・・・上り電車出すのを待って」と言われても、架線工事で何らかの支障が出たことは思い描かなかったのかという問いに対して、思わなかったと回答しています。
これは、普通に考えればかなり無理があると思うのは私だけでしょうか?​
○高原証人 それですから何かあつたのかいと聞いたのです。
○塚原委員長代理 それに対する答えはなかつたのですか。
○高原証人 それに対する答えはないです。
○塚原委員長代理 たとえば架線が切れたとか……。
○高原証人 それは何も聞きません。
○塚原委員長代理 何も言わない。それでその上り線に入れては絶対に困る、絶対に入れてはいけないということを信号所に強く言つたと中澤さんは言うのですがね。
○高原証人 聞きません。
○塚原委員長代理 聞かない……。これは大事なところですが、あなたはうそをついてはいけません。やつちやつた、上りの電車を出すのを少しの間、一時ちよつて待つてくれ……。
○高原証人 そうです。
○塚原委員長代理 それだけですか。
○高原証人 それだけです。
○塚原委員長代理 それに聞違いありませんか。
○高原証人 間違いありません。
○塚原委員長代理 そうするとあなたはやつちやつたというだけで、それが架線切断であるということは気がつかなかつたのですか。
○高原証人 気がつかなかつたのです。

​​信号掛と工手長との連携が出来ていないのは何故か? 高原証人の発言では、工事はかなり横浜よりであり、たいした故障でもないと勝手に想定していたようにも見えます。

以下の発言などにその辺が見えるように思うのです。​

○塚原委員長代理 そうすると大した故障ではないと思つたわけですね。
○高原証人 工手長が、今申し上げた通り、上りの電車を出すのはちよつと待つてくれと言いますから、大したことじやない―ちよつと申し上げますが、午前中に私がポイント掃除をやつている当時、ポイントよりもずつと先、もつと先の方で、横浜寄りの方で工手が絶縁物の取付けか何かのちよつとしたことで上りの電車を出すのを待つのだと思いました。

​その後の質問で、架線切断である事が確認されれば、列車を止めるのかという質問に対して、「それは全部出すとは限らないと思います。やはりその状況によつて、まあ、たとえばどこそこが悪いのだと中澤さんから聞いたとして、それは危険だなと思えば臨機の処置をとりますが、中澤さんが横浜と桜木町の中間あたりが切れているのだというのでは、それはやはりそのときの状況によつて仕事をすると思います。」と証言しているように、自分の中で現場の位置関係の錯誤をしていたのではないかと思われます。​

○塚原委員長代理 その場合、やつちやつた、何をやつた、架線切断であるということを、あなたがもし質問してそういう答えを受けたとしたら、あなたは信号手としては一応電車は全部とめなければならぬという決心はされましたか。
○高原証人 しました。
○塚原委員長代理 やつちやつた、それは何だ、それが架線の切断であることがわかれば、あなたは信号手として全部赤の信号を出してしまいますね。その点はどうですか。
○高原証人 それは全部出すとは限らないと思います。やはりその状況によつて、まあ、たとえばどこそこが悪いのだと中澤さんから聞いたとして、それは危険だなと思えば臨機の処置をとりますが、中澤さんが横浜と桜木町の中間あたりが切れているのだというのでは、それはやはりそのときの状況によつて仕事をすると思います。

​この辺の証言では、個人的には自身の判断ミスをリカバリーしたいので、すぐそばで事故が起こったことに対して、知らなかったことにしておこうという意識が働いたのではないかという風に聞こえてなりません。​

○塚原委員長代理 われわれの常識で考えて、あなたがポイントの掃除か何かしているすぐそばでやつていることは、この地図で見てもわかる。しかも中澤工手長が飛んで来て、やつちやつたと言えば、すぐそばで事件が起きたということはおわかりになるでしよう。それ以外のところで事件が起きたとは思わないでしよう。その辺であなたは碍子の切りかえか何かやつているということを知つているのでしよう。
○高原証人 午前中見て知つているのです。
○塚原委員長代理 そこへ飛んで来たなら、すぐそばであつたということをお気づきになるでしよう。
○高原証人 その辺といつても相当遠いと思います。
○塚原委員長代理 遠くないでしよう。この地図で見たら、あなたはここの信号所におられて、その工事をされておつたところまでは、せいぜい二、三百メートルでしよう。
○高原証人 工事をされたところはずつと先の方のように思えたのです。
○塚原委員長代理 思えたのですか。
○高原証人 はあ。
○塚原委員長代理 それじやあなたは、中澤工手長が言つて来たときには、この近所のできごとじやない、ずつと横浜駅に寄つたところだろうと考えておられたのですか。
○高原証人 そんなに遠くだとは思いませんが、場内信号機よりかも相当外方の方のように思いました。


○塚原委員長代理 なぜこういうことを聞くかといいますと、われわれは専門のことはわかりませんが、常識として、架線が切断されたという連絡を信号手が受けたときには、一応電車をとめる信号を出すというのがあたりまえじやないかとわれわれは考えるのです。
○高原証人 それは臨機の処置をとりますが、架線が切れたということは少しも聞かなかつたのです。
○塚原委員長代理 さつきあなたはそう言いましたね。しかし上りを出さないでくれということは、電車を出せば危険だということはあなたもおわかりになるわけでしよう。
○高原証人 そうです。
○塚原委員長代理 それを、下りを上り線に入れるような信号を出しておつたということが、われわれにはわからないのですが……。
○高原証人 それですから私は、到着の電車は入れてもいいのかと聞きました。
○塚原委員長代理 その点はあとで委員からも聞くでしようが、中澤工手長からあなたが連絡を受けて、それから問題の電車が入つて来るまでの間はどれくらいの時間がありましたか。
○高原証人 中澤工手長から連絡を受けて、問題の電車が来るまでというものは幾らもなかつたと思います。
○塚原委員長代理 大体、何秒とか何分とかわかりませんか。
○高原証人 あまり時間のことははつきりしませんが、二、三分くらいと思います。
○塚原委員長代理 そうするとあなたは、当然上り線に入れるだけの信号の処置は、そのとき講じておつたわけですね。
○高原証人 到着の電車は……。
○塚原委員長代理 それはわかつていますよ。大丈夫だと言われたから、その間何の不安もなく上り線に入れるだけの信号を出していたわけですね。
○高原証人 そうです。
○塚原委員長代理 どなたか委員の方で御質問がありましたら……。​​

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○高原証人 それですから何かあつたのかいと聞いたのです。
○塚原委員長代理 それに対する答えはなかつたのですか。
○高原証人 それに対する答えはないです。
○塚原委員長代理 たとえば架線が切れたとか……。
○高原証人 それは何も聞きません。
○塚原委員長代理 何も言わない。それでその上り線に入れては絶対に困る、絶対に入れてはいけないということを信号所に強く言つたと中澤さんは言うのですがね。
○高原証人 聞きません。
○塚原委員長代理 聞かない……。これは大事なところですが、あなたはうそをついてはいけません。やつちやつた、上りの電車を出すのを少しの間、一時ちよって待つてくれ……。
○高原証人 そうです。
○塚原委員長代理 それだけですか。
○高原証人 それだけです。
○塚原委員長代理 それに聞違いありませんか。
○高原証人 間違いありません。
○塚原委員長代理 そうするとあなたはやつちやつたというだけで、それが架線切断であるということは気がつかなかつたのですか。
○高原証人 気がつかなかつたのです。
○塚原委員長代理 そうすると大した故障ではないと思つたわけですね。
○高原証人 工手長が、今申し上げた通り、上りの電車を出すのはちょっと待つてくれと言いますから、大したことじやない―ちょっと申し上げますが、午前中に私がポイント掃除をやっている当時、ポイントよりもずつと先、もつと先の方で、横浜寄りの方で工手が絶縁物の取付けか何かのちょっとしたことで上りの電車を出すのを待つのだと思いました。
○塚原委員長代理 その場合、やつちやつた、何をやつた、架線切断であるということを、あなたがもし質問してそういう答えを受けたとしたら、あなたは信号手としては一応電車は全部とめなければならぬという決心はされましたか。
○高原証人 しました。
○塚原委員長代理 やつちやつた、それは何だ、それが架線の切断であることがわかれば、あなたは信号手として全部赤の信号を出してしまいますね。その点はどうですか。
○高原証人 それは全部出すとは限らないと思います。やはりその状況によって、まあ、たとえばどこそこが悪いのだと中澤さんから聞いたとして、それは危険だなと思えば臨機の処置をとりますが、中澤さんが横浜と桜木町の中間あたりが切れているのだというのでは、それはやはりそのときの状況によって仕事をすると思います。
○塚原委員長代理 われわれの常識で考えて、あなたがポイントの掃除か何かしているすぐそばでやっていることは、この地図で見てもわかる。しかも中澤工手長が飛んで来て、やつちやつたと言えば、すぐそばで事件が起きたということはおわかりになるでしよう。それ以外のところで事件が起きたとは思わないでしよう。その辺であなたは碍子の切りかえか何かやっているということを知っているのでしよう。
○高原証人 午前中見て知っているのです。
○塚原委員長代理 そこへ飛んで来たなら、すぐそばであつたということをお気づきになるでしよう。
○高原証人 その辺といつても相当遠いと思います。
○塚原委員長代理 遠くないでしよう。この地図で見たら、あなたはここの信号所におられて、その工事をされておったところまでは、せいぜい二、三百メートルでしよう。
○高原証人 工事をされたところはずつと先の方のように思えたのです。
○塚原委員長代理 思えたのですか。
○高原証人 はあ。
○塚原委員長代理 それじやあなたは、中澤工手長が言って来たときには、この近所のできごとじやない、ずつと横浜駅に寄つたところだろうと考えておられたのですか。
○高原証人 そんなに遠くだとは思いませんが、場内信号機よりかも相当外方の方のように思いました。
○塚原委員長代理 なぜこういうことを聞くかといいますと、われわれは専門のことはわかりませんが、常識として、架線が切断されたという連絡を信号手が受けたときには、一応電車をとめる信号を出すというのがあたりまえじやないかとわれわれは考えるのです。
○高原証人 それは臨機の処置をとりますが、架線が切れたということは少しも聞かなかつたのです。
○塚原委員長代理 さつきあなたはそう言いましたね。しかし上りを出さないでくれということは、電車を出せば危険だということはあなたもおわかりになるわけでしよう。
○高原証人 そうです。
○塚原委員長代理 それを、下りを上り線に入れるような信号を出しておったということが、われわれにはわからないのですが……。
○高原証人 それですから私は、到着の電車は入れてもいいのかと聞きました。
○塚原委員長代理 その点はあとで委員からも聞くでしようが、中澤工手長からあなたが連絡を受けて、それから問題の電車が入つて来るまでの間はどれくらいの時間がありましたか。
○高原証人 中澤工手長から連絡を受けて、問題の電車が来るまでというものは幾らもなかつたと思います。
○塚原委員長代理 大体、何秒とか何分とかわかりませんか。
○高原証人 あまり時間のことははっきりしませんが、二、三分くらいと思います。
○塚原委員長代理 そうするとあなたは、当然上り線に入れるだけの信号の処置は、そのとき講じておったわけですね。
○高原証人 到着の電車は……。
○塚原委員長代理 それはわかつていますよ。大丈夫だと言われたから、その間何の不安もなく上り線に入れるだけの信号を出していたわけですね。
○高原証人 そうです。
○塚原委員長代理 どなたか委員の方で御質問がありましたら……。







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最終更新日  2022.10.04 00:29:41
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