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2016年締めくくり(その4) いよいよ大晦日を迎え、2016年も終わろうとしています。繰り返しになりますが、本年もたくさんのアクセスをいただきありがとうございました。今年は楽天ブログに記事毎のアクセス数記録がランキング形式で表示されるようになりました。それで驚いたのは、新着記事だけでなく過去記事で話題性のあるものにたくさんアクセスいただいているのを知ったことです。最近だと、ジョージ・マイケルの訃報が報じられるとワム!の記事や彼自身のアルバムの過去記事が上位に、クリスマスが近づくと過去のクリスマス曲の記事へのアクセスが集中するといった具合です。 さて、余談はともかく、1年の締めくくり、最後はラテン系のアルバムからもぜひ1曲と思い、まずはこちらのナンバーです。ペルー出身で、長らくメキシコを拠点として活動しているタニア・リベルターの『ポル・ティ・イ・ポル・ミー(Por ti y por mí)』に収録の「ノチェス・デ・ボダ(結婚式の夜)」です。 同アルバム内でこの曲は2種の異なるバージョンが最初と最後に収められています。元はホアキン・サビーナ(スペイン人のシンガーソングライター)の曲ですが、今回はその2つのバージョンを両方とも続けてどうぞ。 11月の訃報、そしてつい先頃まで名曲選をやっていたので、くどいと言われそうですが、今年の本当の締めくくりはレナード・コーエンです。年頭のデヴィッド・ボウイからつい数日前のジョージ・マイケルまで、様々なアーティストが亡くなったというニュースの続いた1年ではありましたが、中でもレナード・コーエンの死去は個人的には特段にショックな出来事でした。過去記事を振り返っていると、『コーエン・ライヴ』を取り上げていたことを思い出しました。 そこで、既出ではありますが(参考過去記事)、同盤にも収録された「哀しみのダンス(Dance Me To The End Of Love)」のライヴの映像を2種取り上げて、本年の締めくくりにしたいと思います。まずはリリース(元アルバムはこちら)から4年ほど後の1988年のライヴ映像、続いては2008年ダブリンでの映像です。 皆さま、よき新年をお迎えください。[収録アルバム]Tania Libertad / Por ti y por mí(2015年)Leonard Cohen / Cohen Live(1994年)Leonard Cohen / Various Positions(哀しみのダンス)(1984年) コーエン・ライヴ [輸入盤] / レナード・コーエン ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2016年12月31日
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2016年締めくくり(その3) 第3回目は、ジャズ・アルバムからも何曲か選曲してみたいと思います。まずは、ジェリー・マリガンの『オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット』から1曲と思ったのですが、これまた候補が複数あって難しい…。とりあえずは、有名曲の「バーニーズ・チューン(Bernie’s Tune)」をどうぞ。周知のとおり、チェット・ベイカー(トランペット)を含むピアノレス・カルテットの代表曲です。 今年取り上げたジャズ・アルバムでもっとも有名な盤は、間違いなくジョン・コルトレーンの『ブルー・トレイン』(元記事の後編はこちら)でしょう・折角ですので、この超・超有名盤からも1曲、「レイジー・バード(Lazy Bird)」です。 続いては、テナー奏者セルダン・パウエルの何とも聴き心地のよいアルバム『セルダン・パウエル・プレイズ』に収められた1曲です。その聴き心地というのは、ある意味でコルトレーンのような“道を追求するタイプ”とは正反対なところにあります。自己の道を行くのではなく、リスナーの期待に添いつつ自身を出し過ぎないという、“控えめなカッコよさ”なわけです。これもまた最高の職人芸なのだろうと個人的には思っています。 年末の締めくくり、あと1回続けたいと思います。[収録アルバム]Gerry Mulligan / Original Gerry Mulligan Quartet(1952~53年録音)John Coltrane / Blue Train(1957年録音)Seldon Powell / Seldon Powell Plays(1955~56年録音) ブルー・トレイン+2 [ ジョン・コルトレーン ] セルダン・パウエル・プレイズ [ セルダン・パウエル ] 【中古】オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット(初回限定盤)/ジェリー・マリガンCDアルバム/ジャズ/フュージョン 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2016年12月30日
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2016年締めくくり(その2) 今年取り上げたアルバムの中から選曲してお届けする“年末締めくくり”の第2回、今回は70年代のものを取り上げたいと思います。トッド・ラングレンの傑作『サムシング/エニシング?(ハロー・イッツ・ミー)』(記事後編はこちら)の中からまずは1曲。「ブラック・マリア(黒いマリア)」です。 アルバム収録のものは完成度も高く、何回聴いても飽きない素晴らしい出来なのですが、敢えてここでは最近の映像をあげておきます。ちょうど1年ほど前のライヴのもので、今年になってから正式リリースされた映像です。恐るべき68歳(失礼!、当時は67歳か…)ですね。 次の曲は、シカゴの第2作『シカゴと23の誓い(Chicago II)』に収められた「ムーヴィン・イン(ぼくらは何処へ)」です。デビューから2作連続して2枚組で、全然ネタが尽きていないという凄さに圧倒されるアルバムのオープニング・ナンバーです。冒頭の曲だからとりわけ印象深いというのも事実ではありますが、何と言ってもこの貫禄ある演奏と歌唱、そして曲の展開には何度聴いても圧倒されてしまいます。 いましばらく、2016年の締めくくりとしての曲紹介を続けます。よろしくお付き合いください。[収録アルバム]Todd Rundgren / Something/Anything?(1972年)Chicago / Chicago II(シカゴと23の誓い)(1970年) ハロー・イッツ・ミー(サムシング/エニシング?)/トッド・ラングレン[CD]【返品種別A】 シカゴ2(シカゴと23の誓い) [ シカゴ ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、“ぽち”応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2016年12月29日
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2016年締めくくり(その1) 2016年も残すところあと少しとなりました。そこで、数回に分けて、今年1年の間に更新した記事を振り返ってみたいと思います。具体的には、この1年に更新したアルバム紹介記事の中からいくつかのナンバーを選曲し、動画とともにお届けします。 まずは、ビリー・ジョエルの1989年作『ストーム・フロント』に収録された、「ザ・ダウンイースター・アレクサ(The Downeaster 'Alexa')」です。直接的にはロング・アイランドの漁師の厳しい生活を描写した詞ですが、船の名前の“アレクサ”というのは、ビリー・ジョエル自身の娘のアレクサ・レイ・ジョエルの名でもあります。 この曲は個人的に特別お気に入りという事情がありますので、ライヴの演奏も取り上げておきます。リリース翌年に当たる1990年、ヤンキー・スタジアムでのライヴから、自らアコーデオンを演奏しての演奏の模様です。 船もしくは海つながり(?)ということで、続いては、スティングの『マーキュリー・フォーリング』(1996年)所収の「バルパライソ(Valparaiso)」(日本盤表記は「ヴァルパライゾ」)というナンバーです。バルパライソは、チリの首都サンティアゴの北西の太平洋岸の街で、“小サンフランシスコ”とか、“太平洋の宝石”とか呼ばれている場所です。 [収録アルバム]Billy Joel / Storm Front(1989年)Sting / Mercury Falling(1996年) ストーム・フロント(初回生産限定) [ ビリー・ジョエル ] 【メール便送料無料】Sting / Mercury Falling (輸入盤CD)(スティング) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2016年12月28日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。今年最後の更新になります。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-L)・つづき(M-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-C)へ → つづき(D-H)・つづき(I-L)・つづき(M-R)・つづき(S-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2016年12月27日
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ワム!~ソロで活躍した天才 ジョージ・マイケル(George Michael)死去のニュースが報じられています。事件性はないとのことで、以前から体調もよくなかったらしいとはいえ、まだ53歳での訃報に驚きを隠せません。 そもそも彼が表舞台に登場したのは、アンドリュー・リッジリーとのポップ・デュオ、ワム!(Wham!)としてでした。アイドル的な人気を獲得しましたが、その音楽性を支えていたのはジョージでした。そのことがよく分かる曲ということで、「ワム・ラップ(楽しんでるかい?)(原題:Wham Rap! (Enjoy What You Do?))」です。1983年発表のデビュー盤に収録され、先行シングルとしてリリースされてヒットしました。もちろん、“ラップ”という音楽が一般には認知すらされていない時代の話です。 ワム!での活動と並行して、ジョージはソロの活動も進めていくことになります。1984年の「ケアレス・ウィスパー」(郷ひろみが原題まま、西城秀樹が「抱きしめてジルバ」としてカバーもしました)は日本国内ではワム!の曲扱いでしたが、イギリスでは単独名義扱いでした。こうした流れの中の1曲として、「ディファレント・コーナー(A Different Corner)」をご覧ください。ソロ名義でシングルとして出され、ワム!のラスト作となった『エッジ・オブ・ヘヴン』(1986年)に収録されたナンバーですが、後に完全ソロ作としてミックスされ直しました。 ソロのアーティストとしていくつも作品を残しましたが、個人的にいちばんインパクトがあったと思うのは、やはり初ソロ・アルバムとなった『フェイス(Faith)』でした。その表題曲で、ソロとしても大ヒット(米1位、英2位)した「フェイス(Faith)」をどうぞ。 広く報じられているように、彼が亡くなったのは奇しくもクリスマスその日でした。ワム!の最も世間で知られるナンバーが「ラスト・クリスマス」であることには、誰も異論がないでしょう(洋楽を聴かない人でも知っているほどの曲ですから)。季節外れにはなってしまいますが、いま一度、ワム!の「ラスト・クリスマス」です。 “去年のクリスマス(last Christmas)”ではなく、“最後のクリスマス(the last Christmas)”になってしまったというのは、まだまだひと活躍もふた活躍も待ち望まれていただけに残念でなりません。こうやっていくつか曲を並べただけで彼の“天才”ぶりがよく分かると思いますが、きっと彼の才能はまだまだ使い残されていて、残念なことに、それを発揮しきれないまま逝ってしまったという感じがします。 どうか安らかに眠らんことを…。R.I.P.[収録アルバム]Wham! / Fantastic(1983年)←「ワム・ラップ」収録。Wham! / Music From The Edge Of Heaven(1986年)←「ディファレント・コーナー」および「ラスト・クリスマス」収録。George Michael / Ladies & Gentlemen: The Best of George Michael(1998年)←「ディファレント・コーナー」(リミックス版)収録。George Michael / Faith(1987年)←「フェイス」収録。 George Michael / Ladies & Gentlemen: Best Of (輸入盤CD) (ジョージ・マイケル) 【メール便送料無料】George Michael / Faith (輸入盤CD)(ジョージ・マイケル) 【メール便送料無料】ワム! / エッジ・オヴ・ヘヴン[CD] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2016年12月27日
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レナード・コーエンの名曲(その8・最終回) 2016年11月に亡くなったレナード・コーエン(Leonard Cohen)の名曲選をお届けしてきました。始めた時には5~6回と言いつつも、気がついたらクリスマスも過ぎもう年末、回数も既に8回めとなりましたので、このあたりで一区切りにしたいと思います。 締めくくりとして取り上げるのは、「クロージング・タイム(Closing Time)」というナンバーです。本シリーズの4回目(参考過去記事)のものと同じく、1992年発表の『ザ・フューチャー』に収録された曲です。 同じ曲のライヴ演奏によるものもご覧いただこうと思います。リリース当時(1990年代)と思しき、テレビでのライヴ・パフォーマンスの映像です。 あらためて、レナード・コーエンのご冥福をお祈りします。[収録アルバム]Leonard Cohen / The Future(1992年)[関連記事まとめ(リンク)]レナード・コーエン追悼(前編):「電線の鳥」/「雪崩」/「マスター・ソング」レナード・コーエン追悼(後編):「哀しみのダンス」/「ハレルヤ」/「ユー・ウォント・イット・ダーカー」レナード・コーエン名曲選(その1):「スザンヌ」レナード・コーエン名曲選(その2):「エヴリバディ・ノウズ」レナード・コーエン名曲選(その3):「パルチザン」レナード・コーエン名曲選(その4):「ザ・フューチャー」レナード・コーエン名曲選(その5):「イサクの物語」レナード・コーエン名曲選(その6):「イン・マイ・シークレット・ライフ」レナード・コーエン名曲選(その7):「アレクサンドラ・リーヴィング」レナード・コーエン名曲選(その8・本記事):「クロージング・タイム」 Leonard Cohen レナードコーエン / Future 【CD】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2016年12月26日
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今日の日中に累計アクセス数が150万を超えました。この場をお借りして、ご覧の皆さまに心から感謝いたします。 ブログ開設が2009年、100万アクセス達成がおおよそ1年前ということですので、1年弱での50万アクセス上乗せはかなりのペースで日々閲覧いただいているということになります。 ぜひ飽きることなく、引き続きご覧いただけると嬉しいです。 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ 人気ブログランキングへ
2016年12月24日
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歌ではなくピアノで奏でる異色のクリスマス盤 今年11月に亡くなったレオン・ラッセル(Leon Russell, 参考過去記事)は、スワンプ・ロックという表現に表される泥臭さ、独特な声での美しいバラードといった印象が一般的だったわけだが、一風変わったクリスマス曲集も制作している。1995年のリリースなのでデビュー盤からちょうど25年後の作品ということになる。その収録時間はわずか20分強。収録された10曲のナンバーには、有名どころのクリスマス・ソングがずらりと並んでいる。 そのアルバムの表題は『ヒムズ・オブ・クリスマス(Hymns of Christmas)』、つまりは“クリスマス聖歌集”とでも言えるもの。この盤のジャケットには、“Leon Russel Piano & Orchestra”と記されていて、要するに彼は歌うのでもなく、オーケストラをバックにピアノを演奏しているというもの。変な期待をして聴き始めたら、見事に裏切られてしまいそうな内容なわけである。でもって、その“オーケストラ”はと言うと、どうもシンセ・サウンドのようである。情報がなくてよく分からないのだけれど、この演奏は結局のところ、全部彼の独演ということなのではないだろうか。 もう一つ、裏ジャケには“私が好きなクリスマス聖歌を集めた本盤は、母へスターに捧げるものである”との注記がある。こちらについても情報不足ではあるが、亡くなった(?)母に捧げたクリスマス曲集であるということだろうか、と想像してみたりする。 ともあれ、そのレオン・ラッセル自身も今年鬼籍に入ってしまった。“期待外れ”なクリスマス・アルバムを聴き直してみて思うのは、実に正統なピアノ演奏ができる人だったと再確認させられる点である。4歳でピアノを始めたというレオンだが、スタンダードなことができる裏付けがあっての“スワンプ・ロックの雄”であり、あのピアノが印象的な「ア・ソング・フォー・ユー」だった。全然毛色の違う本盤を聴くと、実は意外と彼の普段の作品を見る視線を変えてくれそうな盤だと今さらながら気づかされる、そんな1枚だったりもすると思う。[収録曲]1. Oh, Holy Night2. We Three Kings3. Away In A Manger4. Hark The Herald Angels Sing5. Joy To The World6. It Came Upon A Midnight Clear7. The First Noel8. Oh, Little Town of Bethlehem9. Oh, Come All Ye Faithful10. Silent Night1995年リリース。以下のランキングに参加しています。お時間の許す方はぜひ応援お願いします! ↓ ↓ ↓
2016年12月23日
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レナード・コーエンの名曲(その7) 前回(その6)に取り上げた曲が収められているのと同じアルバムからもう1曲、名曲の呼び声が高いナンバーを取り上げてみたいと思います。「アレクサンドラ・リーヴィング(Alexandra Leaving)」という曲です。 この曲は、20世紀初頭のギリシアの詩人コンスタンディノス・カヴァフィスの詩(「神はアンソニーを見放す」)に基づいていて、コーエンがそれをアレンジして取り込んだものだとのことです。もちろん、コーエンの曲のほとんどは自作なのですが、以前に取り上げた「パルチザン」のように、時には他者の曲を解釈したり、他者の詩にインスピレーションを受けたということもあったわけです。 今回ももう1つ、晩年のライヴ(2012年)の映像を追加しておきます。と言ってもコーエンがメインの映像ではないのですが、彼のイントロに続き、シャロン・ロビンソンの歌唱による同じナンバーのライヴです。 [収録アルバム]Leonard Cohen / Ten New Songs(2001年) 【輸入盤】Ten New Songs [ Leonard Cohen ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2016年12月21日
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隠れた名クリスマス曲選 ケニー・バレル(Kenny Burrell)は1931年生まれの米国のギタリスト。1950年代後半から1960年代半ばに主要な吹込みを残しているが、その後も多くの録音をしており、今なお85歳で存命中の大御所ジャズ・ミュージシャンである。そんな彼が1966年秋に録音したのが、この『ハヴ・ユアセルフ・ア・ソウルフル・リトル・クリスマス(Have Yourself A Soulful Little Christmas)』というアルバムで、カデット(かつてのアーゴ、この数年前に改名)レーベルに吹き込まれた作品である。 ジャズの世界というのは、何だか難しいものという印象を与えるようなことが多いが、落ち着いて作品を見ると結構節操のないものを出すこともある。売れっ子ギタリストをリーダーにしてアレンジものでクリスマス盤を出す、それも表題が「ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス」のもじりでだったりするというのも、そんな路線にすら見えてしまう。実際、リラックス・ムードでクリスマス休暇を彩る音楽としても聴ける盤だと思う。 表題が“ソウルフル”だけれども、決して泥臭いというほどでもなく、ケニー・バレルらしい“ブルージー”な演奏で、かつイージー・リスニングな雰囲気の中でクリスマスの有名曲が奏でられていく。アレンジは、ベーシストでアレンジャーのリチャード・エヴァンス(2014年に死去)が担当している。具体的な演奏者の情報がないのだけれど、しっかり練られたオーケストラのアレンジの上で、ケニー・バレルのギター演奏がさらりといい味を出しているというのが全体的な印象である。あと、アレンジャーがベース奏者なせいかベースの音が実にしっかりしている。 ここまでの拙文だと、何だか軽いアルバムというイメージを持つ方もいるかもしれないけれど、決してそうではない部分もある。有名なクリスマス曲が多く収録されているけれども、例えば6.「ホワイト・クリスマス」は、短いながらもブルージー・バレルそのまんまのフレージングが非常に印象的。12.「メリー・クリスマス・ベイビー」は、もともとR&B系のソウルフルなナンバーだが、ジャズ+ソウルがうまく体現されているように思う。それから、何よりも忘れてはならないのが、クリスマス曲ではないのに本盤に収録されている3.「マイ・フェイヴァレット・シングス」。文句なしにケニー・バレルのギターの本領が発揮され、見事な盛り上がりを見せる。ここだけはクリスマス盤とは関係ない雰囲気になっているが、決して聴き逃せない好演となっている。[収録曲]1. The Little Drummer Boy2. Have Yourself a Merry Little Christmas3. My Favorite Things4. Away in a Manger5. Mary's Little Boy Chile6. White Christmas7. God Rest Ye Merry Gentlemen8. The Christmas Song9. Children Go Where I Send Thee10. Silent Night11. The Twelve Days of Christmas12. Merry Christmas Baby[録音・パーソネル]Kenny Burrell (g), Richard Evans (arr) 1966年10月録音。 【輸入盤】Have Yourself A Soulful Littlechristmas [ Kenny Burrell ]以下のランキングに参加しています。お時間の許す方はぜひ応援お願いします! ↓ ↓ ↓ 人気ブログランキングへ
2016年12月20日
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レナード・コーエンの名曲(その6) レナード・コーエン(Leonard Cohen)の詩人としてのデビューは1956年で、出世作は1961年でした。その後、音楽家としてのデビューは1967年だったわけですが、そこから数えてもラスト・アルバムとなった今年発表の『ユー・ウォント・イット・ダーカー』まで、ほぼ半世紀にわたります。 半世紀も続けば作風はいろいろにも成りうるわけですが、21世紀に入ってすぐの『テン・ニュー・ソングス』は、90年代ほど工夫のある音でもなく、かといって当初の弾き語り的な感じとも違って、コーエンの魅力がうまくプロデュース・レベルでなされたという印象を持っています。 そのようなわけで、今回は同作から「イン・マイ・シークレット・ライフ(In My Secret Life)」です。 続いては、発表から10数年経った晩年のライヴをご覧ください。この時期にコーエンのコラボレーターとなったシャロン・ロビンソンも一緒の映像です。 [収録アルバム]Leonard Cohen / Ten New Songs(2001年) 【輸入盤】Ten New Songs [ Leonard Cohen ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2016年12月18日
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レナード・コーエンの名曲(その5) ここらでもう一度早い時期のコーエンのナンバーに戻ってみたいと思います。セカンド作の『ひとり、部屋に歌う(旧邦題:現代の吟遊詩人レナード・コーエン)』に収められた、「イサクの物語(The Story of Isaac)」です。 まずは、オリジナルのヴァージョンでひたすら歌詞表示のものをどうぞ。曲調は、まさしく詩人が語っている延長線上という感じなわけですが、個人的にはぐいぐい惹き込まれてしまいます。 続いてもう一つ、同じ曲の別映像をご覧いただきたいと思います。1966年のBBCライヴの様子です。デビュー前からこのスタイルはすでに確立されていたというのがよく分かります。 続いては後世の(といっても1985年ですから、コーエンは50歳頃ですね)のライヴ映像です。さすがに一人での弾き語りの雰囲気ではなく伴奏の存在感が感じられるわけですが、こうやってストーリーを紡ぐのがコーエンの原点であることには変わりまいのでしょう。 もう数回、コーエンの名曲選、引き続きお付き合いいただければと思います。[収録アルバム]Leonard Cohen / Songs From A Room(1969年) Leonard Cohen レナードコーエン / Songs From A Room: ひとり、部屋に歌う 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2016年12月16日
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レナード・コーエンの名曲(その4) 少し間が空きましたが、先月のレナード・コーエン(Leonard Cohen)の訃報を受けての名曲選の続きです。 今回は少し新しい時代のものを取り上げてみます。1990年代の彼の唯一の作品(スタジオ作として、他にライヴ盤やベスト盤のリリースはあり)である『ザ・フューチャー』の表題曲、「ザ・フューチャー」です。歌詞付きの映像をどうぞ。 タイトルが“未来”といっても、決して明るい未来を陽気に歌っているわけではなく、何とも重苦しい詞です。近頃の日本(の報道機関)は生きる希望を失いそうな暗い未来ばかり喧伝したがるように思えることもあるのですが、このコーエンの“未来”というのは少し違う気がします。暗い“未来”を歌いつつも、過去の暗部を取り上げながらも、賢明に生きることで希望ある未来がその先にあることを感じさせてくれる気がします。 続いては晩年のライヴから。2013年12月、ニュージーランドはオークランドでのライヴの様子です。 [収録アルバム]Leonard Cohen / The Future(1992年) 【送料無料】 Leonard Cohen レナードコーエン / Future 【CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 “ぽち”応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2016年12月14日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ2週間ほどの記事を新たに追加しています。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-L)・つづき(M-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-C)へ → つづき(D-H)・つづき(I-L)・つづき(M-R)・つづき(S-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(一方だけでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング:
2016年12月13日
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グレッグ・レイク追悼 今月(2016年12月)7日にグレッグ・レイク(Greg Lake)が死去したとのニュースが流れました。癌との闘病生活の末に69歳で亡くなられたとのことです。今年3月にはキース・エマーソンが亡くなり(自殺と断定されました)、これでエマーソン、レイク&パーマーのメンバー3人のうち2人が鬼籍に入ってしまったことになります。 グレッグ・レイクは、1960年代後半から活動を展開し、1969年のキング・クリムゾンのデビュー盤に参加しました。まずは同アルバム(『クリムゾン・キングの宮殿』)に収録の「21世紀の精神異常者(21st Century Schizoid Man)」(最近では邦訳タイトルが「21世紀のスキッツォイド・マン」に変えられているそうですが、とりあえずカタカナにしておけばいいってものでもないように思います)です。 キング・クリムゾンでは第2作(ただし同作ではベースは担当せず)まで参加し、今度はエマーソン、レイク&パーマー(Emerson, Lake & Palmer, ELP)を結成。1970年の結成から1980年の解散(後に再結成あり)まで、特にその活動の前半はプログレッシヴ・ロック界を大きく牽引する役割を果たしました。 そのELPの時代のナンバーも1曲取り上げたいと思います。1971年発表のセカンド作『タルカス』から、表題曲の「タルカス(Tarkus)」です。アナログ(LP)時代のA面全部を使った20分間の演奏ですので長いですが、どうぞ。 1980年代半ば、キース・エマーソンとグレッグ・レイクは、コージー・パウエルを呼んでエマーソン、レイク&パウエルを結成し、アルバムを吹き込んでいます。パウエルは1998年に事故で他界していますので、オールド・ファンには何とも悲しい“天国での再結成”ということになってしまいます。1986年の彼らのアルバム『エマーソン・レイク・アンド・パウエル』に収められた、「火星―戦争をもたらすもの("Mars, the Bringer of War)」です。 この曲は、ホルスト(イギリスの作曲家)の組曲『惑星』に含まれるいわくつきのナンバーです。上記のキング・クリムゾンもこの曲を演っていますが、制約が厳しくてホルストのクレジットも本来の表題も使えませんでした。彼の没後50年を超えたこの時点では、原題と共にクレジットも可能になったとのことでした。 グレッグ・レイクのご冥福をお祈りします。R.I.P.[収録アルバム]King Crimson / In The Court Of The Crimson King(クリムゾン・キングの宮殿)(1969年)←「21世紀の精神異常者」を収録Emerson, Lake & Palmer / Tarkus(1971年)←「タルカス」を収録Emerson, Lake & Powell / Emerson, Lake & Powell(1986年)←「火星―戦争をもたらすもの」を収録 【メール便送料無料】Emerson, Lake & Palmer / Tarkus (輸入盤CD)【K2016/7/29発売】(エマーソン、レイク&パーマー) [枚数限定][限定盤]クリムゾン・キングの宮殿/キング・クリムゾン[CD]【返品種別A】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2016年12月12日
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80年代後半、アンディ・テイラーを迎えての好盤 ソロ・アーティストとしての(ジェフ・ベック・グループやフェイセズの活動は別にして)ロッド・スチュワート(Rod Stewart)といえば、1970年代後半の絶頂期を思い浮かべる人が多いだろう。その一方、過去にも私見を述べたように(参考過去記事)その前とその後に彼のヴォーカルの冴えている時期があった。少し幅を広くとるならば、70年代初頭から半ば、そして80年代後半もしくは末から90年代初頭辺りといってもよいように思う。 1988年リリースの『アウト・オブ・オーダー(Out Of Order)』は、この2つ目の時期に該当する作品。40歳代に入ったロッドは、枯れるというほどではなく、かといって若さだけで押しまくる年齢でもなくなった、そんな時期のアルバムということになる。本盤制作にあたって迎えられたのは、アンディ・テイラー(デュラン・デュラン)とバーナード・エドワーズ(シック)で、ロッドとあわせて3人がプロデュースを担当している。アンディ・テイラーの存在が特に際立っていて、半数ほどの曲でロッドとの共作者となり、さらにギターも多くの曲で担当している(ちなみに共同プロデュースのバーナード・エドワーズもベースで参加)。あと、あまり目立たないものの忘れてはいけない点としては、ギタリストのマイケル・ランドウ(参考過去記事, 3., 5. 11.を除く全楽曲で演奏)の参加である。 都合5曲がシングルカットされ、うち5.「キャント・テル・ミー・ノー(My Heart Can’t Tell Me No)」は全米4位、ほかにも4.「フォーエヴァー・ヤング」(全米12位)などのヒットを生んだ。ちなみに、残りのシングル発売曲は、1.「ロスト・イン・ユー」、6.「ダイナマイト」、8.「クレイジー・アバウト・ハー」である。他に注目曲をいくつか足しておくと、3.「リーサル・ドーズ・オブ・ラヴ」のように時代を反映したアレンジでも同じようにのびのびと歌うロッドという組み合わせが面白い。7.「ダウン・アンド・アウト」も従来のロッドらしからぬアレンジの曲だが、それを楽しめている感じがする。あと、9.「ホエン・アイ・ウォズ・ユア・マン」はロッド得意のバラード系ナンバー。 なぜかファンからもあまり注目されない盤だけれど、ロッド・スチュワートのもう一つの絶頂期を切り開いた1枚としてもっと再注目されるといいのにと密かに思っていたりする。[収録曲]1. Lost in You2. The Wild Horse3. Lethal Dose of Love4. Forever Young 5. My Heart Can’t Tell Me No6. Dynamite7. Nobody Knows You When You're Down and Out8. Crazy About Her9. Try a Little Tenderness10. When I Was Your Man11. Almost Illegal *LP盤未収録曲1988年リリース。 アウト・オブ・オーダー/ロッド・スチュワート[CD]【返品種別A】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2016年12月10日
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センスの良さが光るデビュー・アルバム ジョー・ジャクソン(Joe Jackson)は、1954年イギリス出身のミュージシャン。様々な音楽スタイルを取り入れて作風を何度も変えたり、鬱病によって不調な時期などいろいろあったものの、これまでにトータル20枚を超えるアルバムを制作し、40年近いキャリアを誇る。そんな彼の出発点となったデビュー作が1979年リリースの『ルック・シャープ(Look Sharp!)』である。 1970年代の末、世はパンクやニュー・ウェーヴに沸いていた時代。ニュー・ウェーヴっぽい部分がないわけではないが、ロックをベースとした彼の音楽世界の最深部に横たわっているのは、ソウルな精神ではないだろうか。“ロックは死んだ”という名ゼリフ(ジョニー・ロットンのセックス・ピストルズ脱退時の発言)もちょうどこの頃だったわけだけれど、ジョー・ジャクソンの音楽はロックでありながら、“ロック魂”で生きているのではない。多ジャンル/他ジャンルの音楽性を持ち込むことでロックを成立させてる、とも言い換えられるような気がするのだけれど、余計に小難しい説明になってしまうだろうか…。 さて、20歳代半ばだった若々しさと、ロック道を単純に突っ走らずひねりの効いたセンスの良さが、本盤の軸になっている。注目曲を挙げていくと、アルバム前半(LPのA面)では、オープニングのインパクトとしてはなかなかよく出来た1.「ワン・モア・タイム」、皮肉めいた詞の2.「サンデイ・ペーパーズ」、代表曲の一つとなった3.「奴に気をつけろ(イズ・シー・リアリー・ゴーイング・アウト・ウィズ・ヒム?)」(この曲の参考過去記事はこちら)。アルバム後半(同B面)では、表題曲の7.「ルック・シャープ!」、同じく初期の代表曲の一つの8.「フールズ・イン・ラヴ」、締めくくりというよりはまだ次に続くような余韻を残す11.「ゴット・ザ・タイム」など好ナンバーがずらりと並ぶ。 大事なのは、どの曲も確かにロックかもしれないのだけれど、ストレートな感じがせず、どこかで一捻りされているという点だろう。“一捻り”というのは、決して“捻くれている”という意味ではなく、センスの良さにつながっている。その“センスの良さ”やこの音楽の背後にある本当の“魂”が何であるのかは、本アルバムだけでは判然としがたいかもしれない。でも、その理由は、この後のジョー・ジャクソンのアルバム作りにおける展開で証明されていくことになる。[収録曲]1. One More Time2. Sunday Papers3. Is She Really Going Out With Him? 4. Happy Loving Couples5. Throw It Away6. Baby Stick Around7. Look Sharp!8. Fools in Love9. (Do the) Instant Mash10. Pretty Girls11. Got the Time1979年リリース。 Joe Jackson ジョージャクソン / Look Sharp 輸入盤 【CD】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2016年12月08日
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レナード・コーエンの名曲(その3) 再び、レナード・コーエン(Leonard Cohen)曲選の続きです。基本的に自作自演(シンガーソングライター)なのがレナード・コーエンですが、中には他人の曲のカバーもあります。今回はそうしたナンバーを1曲取り上げたいと思います。 この「パルチザン(The Partisan)」というナンバーは、第二次世界大戦時のフランスのレジスタンス運動をテーマに、1943年に書かれた曲でした。英詞は「アンチェインド・メロディ」の作詞者でもあるハイ・ザレット(Hy Zaret)がつけたとのことです。 コーエンの元のヴァージョンは1960年代末のセカンド作で発表されたものですが、以下はずっと後のものです。今回もまた晩年のライヴ(2012年)の様子をご覧ください。 [収録アルバム]Leonard Cohen / Songs from a Room(ひとり、部屋に歌う)(1969年) Leonard Cohen レナードコーエン / Songs From A Room 輸入盤 【CD】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2016年12月07日
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ソフトロック/AORバンドの地力 エア・サプライ(Air Supply)は1970年代後半に形成され、1980年代に「ロスト・イン・ラブ」をはじめ多くのヒットを残したオーストラリアはメルボルン出身のバンド。夏や恋愛をイメージさせる爽やかでセンチメンタルなサウンドが特徴のバンドだったが、1980年代後半にいったん活動を停止し、1990年代初頭に再結成されている。その再結成を担ったのが、ギターのグラハム・ラッセル(Graham Russell)とヴォーカルのラッセル・ヒッチコック(Russell Hitchcock)であった。 そんな1990年代の新生エア・サプライの作品で妙に印象に残っている1枚がこの『バニシングレース(ザ・ヴァニシング・レース)』。再結成から2枚目、通算では12枚目に数えられるアルバムで、1993年にリリースされた。米国ではさほど知られぬままヒットしなかったものの、アジアなどではそれなりに売れたと言う。まあ、アルバム・ジャケットの写真からもわかるように、表題が『消えゆく民族』なわけだから、歴史上、インディアン迫害をやって来たアメリカ人に受けるわけないのは自明だったろうか…。 ともあれ、本盤の内容は、ヒット連発の80年代とはイメージが違い、売れ筋よりは地味でも歌い込んでしっかりと作り込んだという印象である。これこそがエア・サプライのサウンドであるとは決して言えないだろうけれど、だからといって見過ごしてしまうのも惜しいアルバムだと思う。おすすめのナンバーをいくつか挙げておきたい。1.「イッツ・ネヴァー・トゥー・レイト」は落ち着いたメロディとハーモニーが本盤の作風をよく反映している。さらに内省的トーンが強いのが表題曲の6.「ザ・ヴァニシング・レース」。さらに、本盤で出色もののバラードと言えば、5.「グッドバイ」が外せない。繰り返しになるけれど、“受狙い的バラード”から“真剣に歌い込むバラード”に向かっているというのが実に好印象なアルバムであると思う。[収録アルバム]1. It's Never Too Late2. Faith3. Kiss Me Like You Mean It4. Evidence of Love5. Goodbye6. The Vanishing Race7. Don't Tell Me8. Too Sentimental9. I Remember Love10. I'll Be Thinking of You1993年リリース。 【中古】 ヴァニシング・レース /エア・サプライ 【中古】afb下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2016年12月06日
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これぞトッドの代表作にして最高作(後編)(前編からの続き) さて、トッド・ラングレン(Todd Rundgren)の『サムシング/エニシング?(ハロー・イッツ・ミー)』の内容をLP時代の区分(A~D面)に分けて見ていきたい。 A面(CD1枚目の1.~6.)は、彼自身が“ヒット曲集”と呼ぶほどに華麗なポップ・チューンが目白押しになっている。オープニングの1.「アイ・ソー・ザ・ライト(瞳の中の愛)」、2.「イット・ウドゥント・ハヴ・メイド・エニィ・ディファレンス(所詮は同じこと)」、4.「コールド・モーニング・ライト(冷たい朝の光)」がお気に入り。B面(1枚目7.~13.)は全体の中では少し影が薄い気はするが、9.「ザ・ナイト・ザ・カルーセル・バーント・ダウン」や10.「セイヴィング・グレイス」あたりに見られる完成度は尋常ではなく、彼の一人演奏・多重録音の真骨頂が発揮されている。続くC面(2枚目1.~5.)は、1枚目の派手さに欠けるものの、トッド・ラングレンの核はまさにこういう部分にあるのだろうと思える内容である。精神を集中して1.「ブラック・マリア」を5~6回聴いてみれば、その完成度に圧倒される。ちなみに、個人的な楽曲の好みでは2.「ワン・モア・デイ」と4.「トーチ・ソング」がお気に入り。 でもって、D面(2枚目6.~12.)であるが、前編でも書いたように他のミュージシャンを迎えてのスタジオでの録音で、一人で制作したC面までとは作風はともかく、演奏の雰囲気はまったく異なる(とはいえ、知名度という点では9.「ハロー・イッツ・ミー」が名曲として知られる)。ただ、共通点は明白にあるというのが個人的な意見である。一人で多重録音をしようが、他のミュージシャンと一発録りをしようが、以下のいずれかに該当している。目指す完成度に向けた緊張感がみなぎっているか、それが感じられない場合でも見事な完成度が成し遂げられているのである。トッド・ラングレンがやるからリスナーは気づきづらいのだと思う。他の凡庸な(失礼!)アーティストがこれを成し遂げるのは並大抵ではないレベルで、結果として出来上がった作品を聴くと“さりげなく”そうなってしまっているのである。そうした意味では、聴けば聴くほどトッドの偉大さがわかる1枚でもあるのだと思うし、流行り廃りがあっても、このアルバムは永遠に聴き継がれていくべきマスターピースということになるだろうと思う。 何だか話がとりとめもない感じになってきたが、結論としては、聴いて馴染みがよい音楽であるというだけでなく、繰り返し聴いてその精緻さに驚かされるというのが本盤の特徴であると言えるように思う。“音の魔術師”などとよく言われるけれど、トッド・ラングレンのその“魔術的な音”というのは、繰り返し聴かないと本質がわからないものなのかもしれない。筆者自身も相応な回数繰り返し聴いているけれど、いまだに聴くたびに改めて感心させられる。何回聴けば本質がわかるのかわからないという完成度の、本盤のようなアルバムは、人生の中で滅多にお目にかかれるものではないのだろう。[収録曲]Disc 11. I Saw the Light2. It Wouldn't Have Made Any Difference3. Wolfman Jack4. Cold Morning Light5. It Takes Two to Tango (This Is for the Girls)6. Sweeter Memories7. Intro8. Breathless9. The Night the Carousel Burned Down10. Saving Grace11. Marlene12. Song of the Viking13. I Went to the MirrorDisc 21. Black Maria2. One More Day (No Word)3. Couldn't I Just Tell You4. Torch Song5. Little Red Lights6. Overture–My Roots: Money (That's What I Want)/Messin' With The Kid7. Dust in the Wind8. Piss Aaron9. Hello It's Me10. Some Folks Is Even Whiter Than Me11. You Left Me Sore12. Slut1972年リリース。 FOREVER YOUNG::ハロー・イッツ・ミー(サムシング/エニシング?) [ トッド・ラングレン ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 “ぽち”応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2016年12月04日
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これぞトッドの代表作にして最高作(前編) 1960年代後半からナッズでソングライティングを磨き、その後はレコードエンジニアとしての技術を身につけたトッド・ラングレン(Todd Rundgren)は、1970年にソロ・アーティストとしてのスタートを切った。ファースト作の『ラント』、セカンド作の『ラント:ザ・バラッド・オブ・トッド・ラングレン』ではさして注目されなかったものの、サード作となる本盤『サムシング/エニシング?(ハロー・イッツ・ミー)(Something/Anything?)』は、全米30位内に入るセールスを見せ、その知名度を高めることになった。後々も、現在までトッドの代表作として挙げられることの多い盤で、個人的にも、1枚だけと言われるとやはりこれを選ぶだろうと思う盤である。 まずは本盤の制作の経緯を振り返っておこう。制作が行われたのは発表前年の1971年のこと。トッドは一人で全楽器を担当するマルチ・プレーヤー/マルチ・レコーディング・アーティストとして知られるが(参考過去記事)、当初の録音はこの方法で行われた。ところが、レコーディングを進めてきたロサンゼルスで地震が発生。トッドはその続きの作業をニューヨークに移動して行うことになる。この時点で既に1枚のフルアルバム制作に十分な音源があったものの、彼は2枚組アルバムになるよう追加の録音をベアーズビルのスタジオで行う。この追加の音源は、それまで制作してきた内容とは異なり、スタジオ・ミュージシャンとの一発録りという方法が採られることになった。 結果、LPで2枚組となった本作品の内訳は、いわゆるA面~C面(CD2枚組では、2枚目の5.まで)がロスでの多重録音による楽曲、これに対し、D面(CDでは2枚目の6.~12.)がスタジオでのライヴ録りの楽曲となった。本盤の評価は1人で制作した部分が強調されることも多い。その評価が間違っているとは思わないが、それだけでは作品全体の4分の3の評価にしかすぎず、D面を無視してしまうのも正当でないように思う。 確かに、一人で準備した部分だけで充実したアルバム1枚が完成しえただろう。でも、実際に聴いてみてわかるように、ごっそりお蔵入りはもったいないレベルの、素人が評するなんて臆してしまう完成度である。普通なら同じような作業を続けるか、はたまた次回作まで取っておくなんていうセコイことでも考えつきそうなものだろう。でも、トッドにその気持ちはなかったように思われる。おそらくは、同じような精度のものを、スタジオで重ねずに録音してみようという意欲が沸いてきたのではあるまいか。そう考えると、一人で制作した部分が凄いというのは事実だけれども、それと組み合わせられるセッション部分の凄さもまた讃えられるべきということになるように思う。 すっかり長文になってきたので、具体的な収録曲については、後編で。 (収録曲のデータは次回の後編をご覧ください。) ハロー・イッツ・ミー(サムシング/エニシング?)/トッド・ラングレン[CD]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2016年12月03日
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レナード・コーエンの名曲(その2) 引き続き、残念なことに先日亡くなったレナード・コーエン(Leonard Cohen)の名曲選の第2回目です。初期の“暗い”コーエンもいいのですが、1980年代の『哀しみのダンス(原題:Various Positions)』や『アイム・ユア・マン』といったあたりも個人的にはとても好きだったりします。 今回は、上記アルバムのうちの後者に収められた、「エヴリバディ・ノウズ(Everybody Knows)」というナンバーです。コーエンに馴染みのない方には、やはり基本的に“暗い”曲なのですが、これでも彼の作品としては、この時期、サウンド的にはいろんな工夫が増えた頃でした。まずはスタジオ録音のオリジナル・ヴァージョンをどうぞ。 続いてはもう1本、今度は晩年のライヴです。既成の歌の概念というよりは、独自の詩人からスタートしたシンガーソングライターらしさがよく分かります。 82歳で鬼籍に入ったコーエンですが、晩年になってもこのような力強いライヴ・パフォーマンスを披露していたのが思い出されます。[収録アルバム]Leonard Cohen / I’m Your Man(1988年) 【メール便送料無料】Leonard Cohen / I'm Your Man (輸入盤CD) (レナード・コーエン) 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2016年12月01日
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