フリーページ
(近藤統義)
本会議では与党と中道改革連合、国民民主党、参政党が賛成、共産党とれいわ新選組が反対した。チームみらいは所属議員の判断に委ねた。自民や中道の一部議員が欠席・退席した。
改正案は「女性皇族の婚姻後の皇族身分保持」と「旧11宮家の男系男子の養子縁組」を可能とする内容。議運委では、養子の子が男性なら皇位継承資格を持つとする規定に質問が集中した。中道の中野洋昌氏は、皇位継承は与野党協議の議題になっていなかったとして「立法府の総意をはみ出ているのではないか」と指摘。共産の塩川鉄也氏は「女性・女系天皇の道を閉ざそうとするもので、到底容認できない」と訴えた。
木原稔官房長官は、養子の子の皇位継承資格については「現行の皇室典範に基づいた結果だ。立法府における将来の検討を先取りしたり、縛ったりする趣旨ではない」と説明した。
宮内庁幹部は、旧11宮家の男系男子と天皇陛下は「36親等から38親等の隔たりがある」と明らかにした。
議運委での審議は3時間余りにとどまった。法案採決後、安定的な皇位継承策を引き続き検討するとの付帯決議を採択した。
中道の小川淳也代表は会見で、この日の政府答弁により養子の子の皇位継承資格などが今後の検討課題だと確認されたとし「問題の重要性、党派対立を避けたい思いから、苦渋だが賛成したい」と述べた。一方、野田佳彦元首相は記者団に「立法府の総意から逸脱したと思わざるを得ず、極めて残念」と語った。
参院では、立民が養子縁組の規定を削除する修正案を提出する構え。水岡俊一代表は党会合で「質疑3時間が丁寧な法案の取り扱いと言えるのか。横柄極まりない」と述べ、成立を急ぐ政府・与党の姿勢を非難した。
◆解説◆
疑問山積、国民の総意遠く
天皇陛下や秋篠宮さまの子孫の中に皇位継承資格を持つ人がいなくなり、皇室入りした養子の子孫が代わって天皇に-。そんなシナリオも十分あり得る重大な制度改正案が、公開されたわずかな審議の末に衆院で可決された。拙速な検討で「国民の総意」と言えるのか。
急がなければならない理由は一面ではある。未婚の皇族6人のうち5人は女性。一般の男性と結婚したら皇室を離れなければならないとした規定をすぐに変えないと、皇族が減り続け、活動を維持できなくなる。
一方、改正案に併せて盛り込まれた養子縁組の導入は急ぐ必要もない。明治期の皇室典範以降、「皇統が乱れる」として禁止されており、2005年に有識者会議がまとめた報告書は 「国民の支持、安定性、伝続いずれの視点からも問題がある」と否定している。
この日の委員会で、そうした過去に否定された案を導入する理由がはっきり説明されることはなかった。玉木雄一郎氏(国民民主党)は結婚後に皇室に残る女性皇族を巡り、一般人の夫や子も警備するかただしたが政府の明快な回答はなく、疑問は山積している。
現在の皇室で皇位継承資格があるのは秋篠宮さま(60)、長男悠仁さま(19)、常陸宮さま(90)。仮に悠仁さまが結婚して男子が生まれないと、皇位を継ぐ人がいなくなる。養子の子孫に皇位が移る可能性がある。ネット上では「皇室の乗っ取り」と批判する声も散見される。
制度に理解が広がらなければ養子に手を挙げる人も現れにくいだろう。女性皇族が婚姻後に皇室に残る確保策も、夫や子は皇族と認められず、識者からは「法改正で皇族数の確保が進むとは思えない」との声があがる。国民に理解される制度改正となるよう参院の十分な審議が求められる。
(井上靖史)
男系男子 創られた伝統(27日の日記) 2026年07月27日
保守論客の意見(26日の日記) 2026年07月26日
皇室のあり方、幅広い合意を(25日の日… 2026年07月25日
PR
キーワードサーチ
コメント新着