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2007.03.16
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カテゴリ: そのまんま系
駿河台下から御茶の水へ向けて、上り坂を歩いていこうとしたとき、もう一歩も歩きたくないんだ、と足が言っていた。おめーが要領悪い仕事してるからだよぉっ と足が泣くのである。

眠り苔って知ってる?
主に人間の顔に寄生する。誰もが眠り苔菌の保菌者だ。ふつうは抵抗力があるからはびこることはあまりないけれど、寝不足になるともういけない。とたんに眠り苔菌の活動が活発になる。ほら、眠くなるときって、顔に眠気が貼りつくように感じて、火照ってくるでしょう? あれが眠り苔。

というわけでタクシーを拾った。運転手さんが何かを喋った。とたんに体がほぐれるような声の抑揚である。青森の言葉だ。青森の言葉とひとくちに言っても例えば津軽弁とか… まあ、それしか知らないけれど、ほんとうは一括りにはできないのだと思う。自分にわかるのは、それが間違いなく青森の言葉だということだった。

果たしてそうだった。運転手さんは、東京でこの仕事についてまだ一ヶ月しか経っていない。それまでは弘前で同じ仕事をしていた。弘前のタクシー業は斜陽である。へたをすると月に8万から10万円の収入にしかならないことがある。「弘前は観光地ということになっているけれど、観光客も昔ほどではないしね、もうタクシーを使って観光っていう時代じゃないもんねぇ」。
地元の人もタクシーを利用することはほとんどない。一家に一台だった自家用車は、今では一人に一台になった。お酒を飲んでも「代行」の時代である。競争が激しくなっていて、タクシーで3000円かかるところを2000円くらいで運んでしまう。例えば会社に車を置いて歓楽街まで足を運んで飲むとする。すると「代行」の人は、お店でお客さんの車のキーを受け取り、それから会社に車を取りに行き、お店まで迎えに来てくれるのだ。

東京のタクシー会社が、運転手を募集しに地方までやってくる。「いろんな条件がありましてね、それで自分であれこれ考えて選ぶんです。今のところは宿舎が安くて、月1万円くらいでね。まあ、5、6年はがんばってみようかと」。

弘前には、年老いた両親と女房がいる。男の子3人を育てて、いまでは孫が5人いる。末の息子が19歳。その子も独り立ちしてようやく子どもたちから手が離れた。「子らのことでは、ほんとに育てるのに目一杯でしたからねえ。まあ、これから両親のこともあるし、年金といっても当てになるかわからないし、体が動くうちはやってみようと思ってね」。
長男は池袋にいる。それも第二の職場を東京と選んだ理由のひとつだ。タクシー会社は足立区にある。川をまたぐともう埼玉県、宿舎はその埼玉県にある。通勤は自転車に乗って橋を渡り、会社までは5分の距離だ。宿舎には同じようにして、秋田、福島、山形の人間がいる。言葉はそれぞれ違うけれど「同じ東北ですからね、なんとか言葉が通じるんですわ」と笑う。「それで、やっぱり東北の人間は、みんなお酒が好きなんですかねえ、休みの日は一緒にちょっと飲んだりしてね」







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Last updated  2007.03.16 10:17:51
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★みゆきち★@ 性感エステってもったいないよね ムラムラってきたら性感エステに通ってた…
ウラガエル @ お久しぶりです。 suiさん どうされているのでしょう。 …
紫陽花ロック @ 鎧駅は 海に向かって断崖絶壁に駅のホームがあり…
ウラガエル @ そーですか? 育児・子育て きらりさん 「そーです…

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