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☆彡 待 つ 女 ☆彡
東山の料亭を出ると、思いもかけぬ雨であった。
降るというよりも群れ漂うような糠雨に玄関の
式台までが濡れていた。
「空梅雨にはええお湿りどすえ。社長さんもまっすぐ
ホテルに戻らはったほうがよろしのやおへんか。
お疲れのご様子やし」
いらぬ節介に聞こえる女将の忠告は、むしろ有難かった。
接待した百貨店の役員たちの顔はどれも活力に溢れていて、
祇園にくり出さねば気がすまぬというふうだった。
女将がそれとなく客の顔色を窺っていたのか、秘書が
気遣ってくれたものか、膳も早く進められたように思える。
「まことに勝手を申しますがー」と、村井は秘書を
一瞥してから言った。
「あいにくたちの悪い夏風邪をひいておりまして、私は
ここで失礼させていただきます。あとは専務と本部長が」
接待客が村井の体を労わる間もなく、女将は手を挙げて
車を呼んだ。
「お車(おとも)が参りましたえ。さ、みなさんからお先に」
ニ台のハイヤーが車寄せを出てしまうと、村井は心配りを謝した。
臈(ろう)たけた女将は笑いながら答えた。
著者: 浅田次郎
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