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ウカと他人を信じそこなって我が臓腑を吐き出しことを愧 (は) づる時がある。ナゼ人間は自らその舌を監禁する力がないんだろう。口あいて五臓を見する蛙のように腹の底まで光風霽月 (せいげつ) も困ったものだ。
2026年02月17日
春めくや樹幹は動き鳥の声
2026年02月16日
相当の人物を捉えて我が門下から出た秀才だの、我が部下で養われた逸品だのと放言することは老骨の慎むべきことだ。少なくも其人の社会的声望を二三割方減殺するからだ。大家が漸(ようや)く老いぼれてツブシが利かなくなると第三者をコキ卸(おろ)して自らエラサの欠損を補わんとする。老廃人の苦衷(くちゆう)は察すべきも、他人の上に陰影を投げる儀は自他の損害を恥じねば相済まぬ筈だ。
2026年02月16日
人間の一生中には「頬被り」して渡らねばならぬ期間のあるものだ。自分の顔を人に見られるのを忌む場合と他人の動きつつある行為を見まいとする場合とがある。世をスネた時と、人を馬鹿にした時と妙に頬被りが必要視される。
2026年02月15日
死んだ後に家に巨万の財を遺(のこ)すものは最も疑わしい人格者だ。その妻、その子、それ等には唯(た)死後数年間細長く食うだけの用意を興えて置けば足る。それ以上に財を積み、金を死蔵して自力の大を誇るものは必ず数年ならずして抹殺される。余財を持たぬことは現代生活の安全道だ。
2026年02月15日
誤解は一の興味だ。誤解なき人は興味なき人だ。誤解されることは当人に取って苦しいことではあるが、それが即(すなわ)ち生存価値だ。唯(た)だ細々察々として弁護するもののみ益々誤解を深める。黙って誤解される儘に放任して行く。それが誤解を晴らす最良の法だ。
2026年02月14日
地上に友なく、自ら生存に飽いたものは、書斎に隠れて死者と語るを第一とする。たとい今、現に生きている人でも、書中に隠れて来るものは決して抗争嫉視 (しっし) などしやしない。死者隠者(いんじゃ)と相語るは奥山の雑草に臥(が)して百花を見るよりも楽しいものだ。
2026年02月14日
人を理解せんとする努力よりも、余り理解せざらんとする苦心の方が幾倍辛きものなり。理解し過ぎたるものは故と理解せざる装いをなすものなり。達観者の前には差して要らぬ気苦労せぬが可(よ)し。
2026年02月13日
今の人は余りに他を顧み過ぎる。自他を比較し過ぎる。小さければ小さいなり、大きければ大きいなりに自分と云うものを持っていたい。人の顔色に生き、世の毀誉(きよ)に生きる人の今日一日は哀れにも悲しからずや。
2026年02月13日
一番に親しいものは一番に恐ろしい。「あの子かわいしこの子もかわい、そして我身がなおかわい」。この「かわい愛惜」が自他を滅ぼす仇なのだ。
2026年02月12日
石橋を叩いて、而(しか)して渡らざるものあり。朽ちたる木橋すら叩かないで平気に渡る人もあり。是非もなきは人の個性の差だ。何れが幸か禍かは自ら別問題とする。
2026年02月12日
自由人の生活は常に平調だ。「力一杯」の外に背景の光も声望の花もない。寧(むし)ろそんなものを必要としない。憐むべきは「明日の堕落」を知らずして高楼に栄華の夢を貪(むさぼ)るものだ。花に常春の時もなく、人に常住の色もなし。平凡の自由人は安いかな。
2026年02月11日
金に美しい無欲に近いような人は、他に対して自ら責任観念の希薄に流れ易い傾向を持っている。自他の間に起る権利義務の分域がハッキリしないようになるから注意を要する。
2026年02月11日
自分を成るべく大きく大きく吹き立てる者と、全く反対に小さく云い縮める者と人の性格に二様ある。彼は傲慢なれども薄くして罪なく、此は謙譲なれ共深くして恐ろし。
2026年02月10日
住んでいる街に積雪があった。屋根や車の上は雪で白かった。
2026年02月10日
子の取るべき新方向は、寧(むし)ろその頑冥の親や師匠に背くことだ。親は師匠は亦その子に頼らないで寧ろその子を突っ放すことだ。親の言うが儘に師匠の為す儘に随順していたら、何時新生面を打開する時が来るか。決して反逆を勧めるのではなく、常に首を回らし背を向けることを新生命とすべきを言うのだ。
2026年02月10日
乱世には乱に処する道がある。徒らに常道ばかり歩むものは自ら滅亡する。時として生活の異常転回を試みるは自衛の一つだ。
2026年02月09日
風鈴文楽短歌集これがまあドラマか知らね選挙戦今後みすえて動くぞ与党
2026年02月09日
自己の正常さを証せんとして他人を不正当呼わりをする。その発声自体がヨリ以上に不正当なるに気付かない程に功利的の自己だ。
2026年02月09日
浅いながらに汚い心の持主、それの名をスレッカラシと呼ぶ。斯(か)くすれば必ず斯く動いて行くぞと密かに推定して見ていると、果然、果然、寸分違わず推定の儘に歩んで行く。さあれスレッカラシを知るものはスレッカラシだと、寧(むし)ろ自ら耻(はず)かしくなる日がある。
2026年02月08日
興味を以て聞いてやれば大抵の人は云うことを二度三度繰り返して饒舌るものだ。
2026年02月08日
夜は既に十時を過ぎた。気の利いた狸は足を洗って穴に入る時分だ。「人間の狸」は見苦しくも今尚、狂い乱れて戸惑いしている。潔く後退せよ。 穴に入る刹那の美と汚とで五十年の価値が定まるのだ。
2026年02月07日
成功の秘訣などを人に問うものがある。それは冷暖自知の外はない。ただ一つ「時勢に乗る」ことが秘薬中の秘薬たることを忘れてはならない。 時勢に乗る。それは易きが如くして実は飛行機に乗るよりも難い。
2026年02月07日
天は二物を興えず。牙あるものには角なく、翼なきものは則(すなわ)ち四足、総合の才あるものには分析知識なく、数学に長ずるものに絵画の秀は見られない。頭か腕か、腕か頭か、二ツに一ツ何れかを選んで進むのだぞ。
2026年02月06日
変動は機会を造るというじゃないか。平静久しきに渡るは腐死を招く。変動に当って大なる機会を掴んで立つ、そこには人生の活ける意義が潜むのだ。
2026年02月06日
隣人の声に敏感なるものは国家社会の大事を聴かず。神経衰弱の徒よ、先ず汝の心耳を開け。
2026年02月06日
闘志が無くてはならない。併(しか)しながら勝敗は常に度外に置かねばならぬ。勝たんが為に戦うのではあるが、戦うのは唯(た)だ戦うのであるべきだ。彼は何故に常に敗れるか、余りに打算に堕するからだ。真に戦うものは常に勝敗を越えて戦う。勝敗を越えるのは既に半ば勝利だ。
2026年02月05日
風鈴文楽短歌集春立ちて良くも悪くも選挙在り街燈さびしまだ冬のなか
2026年02月05日
「急ぐ」ということは人間本然の特性だ。汽車に乗る時、会場から出る時、よく大衆心理は判る。そのコツを巧みに掴み得るものは必ず売買に成功する。善事は急げ。
2026年02月04日
節分や健康だけの日々ありし
2026年02月04日
「頼る」ことは滅亡だ。頼ることを知らないものは永世不滅だ。力を頼むものは力で滅びる。金を頼むものは金で滅びる。
2026年02月04日
幸せはここにありけり恵方巻
2026年02月03日
昔は雙耳兼聽で何事でも耳を欹(そばだ)てて聴くのが賢明とされた。今は聴けば聴くほど世の中一切が解らなくなり、故に耳を塞(ふさ)いで何も聴かぬのが最も聡明な賢い人とされる。
2026年02月03日
筆拙(つたな)く舌重きものは常に他から云いくるめられる。「 弁解術 」に乏しいものの不運だ。雪を黒と云ってすら、世智功利に長(た)けたものは人の前に勝ち得る時節だ。毀誉共に笑って受け流す雅量あるものにして、初めて「 完全な自己存在 」が保たれるのだ。
2026年02月02日
何としても弱い性格者、人に会うことが何よりも危険だ。「よろしい、何とか考えてみましょう」と直ぐ言い放って終う。後でどれだけ悔んでも既に及ばない。斯(か)くて第一歩は踏み誤る。而(しか)して次々と深みに沈み行くのだ。附焼刃の任侠沙汰ほど人を後悔せしむるものはない。涙の第一滴を呑むの勇なくしては所詮現代には処せられない。
2026年02月02日
人間の悩みは多く取越苦労から来る。悩みは今日だけで沢山だ。何が故に明日までを取越し自ら悩みを深刻化する必要がある。明日には又明日の風が吹く。今日は今日だけの画を描いて渡るのだ。平安な人生はそこにある。とは云うものの。云うものの。
2026年02月01日
報われない仕事として変に憂鬱を感ずるものがある。全く観点の相違から来る一の錯覚だよ。考え直して見たまえ。世に偉大なる仕事ほど必ず時人に報われないのが常則だよ。寧(むし)ろ報われないのが直ちに誇るべき栄冠ではないか。若(も)し報われたら其れで決算済みだ。決算を過ぎた仕事に前進があるか、縁の下の力持はそれ自体既に大なる意義があるのだ。無名に朽ち果てても敢えて他人を見ず、自己に生きる男は厳然として男である。
2026年01月31日
健全なる頭は常に忘る。決して必要以外の何物をも覚えていない。故に多くの場合に「昨日」なし。唯(た)だ今日一切を清算し去って残影を留めない。忘るるが故に常に新しい。九点を抹殺し去って初めて一点は光るのだ。
2026年01月31日
毀誉褒貶(きよほうへん)は空気のようなものだ。生きてる間は吸うたり吐いたりせねばならぬ。
2026年01月31日
知識として知ってることは余り力のないものだ。それが実験として味われた時に初めて活きて動くのだ。食えない苦しみや失業の悩みや重病の難や、みんなそれだ。
2026年01月30日
自ら同情を解せざるものは他に同情を求む。同情はもと要求すべきものにあらずしてしかも常に連続して要求さる。而(しか)して若(も)しそれに充分に応じ得ざれば則(すなわ)ち怨磋(えんさ)来る。同情要求は弱者の叫びにあらずして強者の更に強ならんとする野心に外ならず。
2026年01月30日
人は常に素っ裸で劍 ( つるぎ )のトンネルを抜ける覚悟でいなければ何一つ大成されるものではない。 純真の一路は細く長く白く光る。闇を通しての明、死を透しての生だ。唯(た)だ自己を信ずるもののみが強い。大生命に生きるものは枝葉末節を顧みるの暇がない。「ぬかしやがるなら勝手にぬかせ」 俺は俺の俺だと、こう行くのだ。
2026年01月29日
極寒につぶやきながら身震いす
2026年01月29日
昨は昨、今日は今日だ。過去は過去として意味あるが如く現代は亦現代としてのみ意味がある人の向背(こうはい)を怒ったり、コセツイた、下らないお芝居を観せられて不愉快を感じたりするのは愚かだ彼は彼で我ではないのだもの、我は我で彼ではないのだもの、自脈さえ時としては緩急がある人の心に冷熱のあるのは却って面白い。
2026年01月29日
行詰まった時には技巧有害、手段無用、ただ黙って成行に任すのが第一だ。実際として人間生活の経緯はそれより外に安住点が無いようだ。
2026年01月28日
思うても全身振動を感ずる程の飛沫的大奇禍が、或る天の配列に依って免れ得たと知った時の茫然自失、畢竟(ひっきょう)じて人間の苦楽浮沈は、一に自然の力の動くがままに忍従するの外はない。徒(いたずら)にアセルも無用、徒にモガクも無用、唯(た)だジーツと黙って辛抱するだけが人間に興えられた試練だと思わせられる。
2026年01月28日
この道に何かありしや日脚伸ぶ
2026年01月27日
同情もされる。慰められもする。泣いてもくれる。声援もされる。けれども、けれども、「解決」は他から興えられない。結局は唯(た)だ自己の力だ。自己の力は必ず分相応に使用するを要する。力の濫費(らんぴ)は自己の破滅だ。
2026年01月27日
勉めて世間と絶ち人に忘れられんとするものと、自ら広告に忙わしく人を忘れられざらんとするものと、初中老期に於ける二種の悲哀なり。
2026年01月27日
咳払い一ツでも時と場所に依っては終生の怨を買うの原因となる。片頬に含まれた微苦笑の小波にも一家惨殺の禍根を孕(はら)むことがある。小心なれ。 而(しか)して大胆なれ。
2026年01月26日
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