記憶の記録

2009.06.16
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カテゴリ: 住宅革命
写真の下半分には天井の断熱材が規則正しく並んでいる。上半分は屋根の裏側が写っている。屋根の構造は、骨組みの親骨をモヤ、小骨(縦骨)をタルキ、その上に打たれている板をノジと呼ぶ。


 そもそも結露はなぜ起こるのだろう。普段の生活の何処にでも結露はある。僕が飲んでいるビールのグラスも日常的に結露している。ビールグラスが露点以下の温度ならば結露する。では露点とは何度くらいだろう。
 気温が23℃で相対湿度が50%の空気は12℃が露点となる。つまり23℃で50%の室内に12℃以下の物体、たとえばよく冷えたビールがあれば、必ず結露は起きる。では、屋根裏で何が起きたのか。
 真犯人は照明器具だった。
僕は、屋根裏にもぐりこんだときに異常な明るさに驚いた。その理由は天井に取り付けられたダウンライトの光が漏れているからだった。ダウンライトは大量の熱を発するから気温も尋常ではなかった。もちろん今は夏だからなおさらだけれど・・
 ダウンライトは、光と熱を天井裏へ吹き上げていて、その熱を伴った空気は下の居室の空気なのだ。このとき、居室が23℃で50%なら、小屋裏に流れ込んだ空気が突き当たるノジの温度が12℃以下ならば、ノジは結露したはずだ。前橋の冬は寒い。氷点下になることもしばしばだ。ノジがマイナス5℃以下ならば結氷したこともあるだろう。下の居室で使用される暖房器具が灯油のストーブなら消費した灯油の量を上回る結露水が発生するのだ。
熱エネルギーの損失も少なくなかったはずだ。丁寧に断熱されていたにもかかわらず、この家は省エネとは程遠い構造だったのだ。しかし、問題はそれだけじゃない。もっと重大な問題が隠されていた。
 照明のスイッチを入れるたびに屋根裏には大量の空気とともに空気中の浮遊粉塵が流れ込み蓄積する。浮遊粉塵とは、ホコリだけではない。花粉、カビの胞子、ダニの糞、ダニの死骸のかけら等、アレルギーや喘息の元となる物質たちだ。さらに、屋根裏は涼しくする目的で換気口を備えている場合が多い。そのことで屋外の浮遊粉塵まで流入して蓄積しているはずだ。そして、ある時、最悪の状態になる。しかもその最悪の状態は毎日やってくる。

主婦は家族のために美味しいお料理を用意する。この時に、キッチンでは換気扇が稼動し、調理の煙を排気する。問題になるのは、換気扇がいったいどれほどの空気を排気しているのかということだ。キッチンの換気扇は平均的な物で1時間に600立方メートルほどの空気を排気する。平均的な家の容積が380立方メートル程度だから、1.5倍強の換気量だ。住宅は大量喚起によって減圧され隙間風を吸い込み始める。家中のいたるところにある隙間から・・。ダウンライトの熱を排気している穴もこれらの隙間と同様に一時的な吸気口と化す。しかも、大量の浮遊粉塵を伴って!。よもや、エネルギーの損失など問題ではない。住まう人間の健康はいったいどうなってしまうのか。家を設計する人間の無知が居住者の健康を侵害する。僕は今まで悲惨な家をたくさん見てきた。そのほとんどは、設計者の配慮不足によるものだった。もちろん新しい建材を使うときにはデータが不足していて適正な設定にできないかもしれない。しかし、問題が人の健康に影響を与えるかも知れなのなら、設計者の責任は重い。

小児喘息や、アトピーもハウスダストが要因のひとつとして確認されているが、母親がどんなに綺麗に掃除をしても改善しないのも当然かもしれない。掃除できない場所にアレルゲンは潜んでいたのだから。

 僕は、憤りを覚えながらも、怒りが顔に出ないように一気にビールを飲み干した。
(もしや田村次郎氏の死は住居との関連があったのではないか)と言う思いが頭を駆け巡った。「調査した資料を整理しなくては」といって、楽しい食事を切り上げた僕は、釈然としないまま報告書を書き始めたが、すぐにやめてしまった。
ダウンライトや屋根の結露は確かにあった。しかし、それは屋根の結露である。エネルギーの損失や健康被害もあったかもしれない、けれど僕が調べているのは赤い十字架なのだ。赤い十字架が屋根の結露と何らかの関連があるのだろうか?
 まだ何かが足りなかった。あの赤い粉は何だったのか?なぜ十字架になったのか?
謎は深まるばかりだった。

つづく






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Last updated  2009.06.16 14:02:40
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