Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

2013年05月28日
XML
カテゴリ: 夢有無有
「神の愛」(アガペー)2「大晦日10時過ぎの予約席」2改訂
 其の後も、毎年大晦日前には、吹雪が吹きすさぶ夜も、母親は子たちの手を引いて来て片隅の畳席に四人が座り、「掛け蕎麦を一つ下さい」やはり恥ずかしげに「申し訳ありませんが、小鉢を三枚お願いします。」と言い、奥さんが旦那に言う「あんた、四人前持っていこうよ」の再三の言葉にも主人は顔を左右に振り、「駄目だ、言われた注文通りにしろ」と答えます。其の母子の大晦日の晩の蕎麦屋通いが四度目になったとき、その日の蕎麦屋の頑固一徹の主人が、奥さんが一杯のかけ蕎麦をを持って行こうとした時に、後ろを向いてクシャミしています。しかし、ハンカチが濡れていました。嫁入りして以来涙ひとつ見せなかった主人です。主人が今まで何故「駄目だ、言われた注文通りにしろ」と答えてきたのかが、解る様な気がしました。ところが、その次の年、その次その次の年と八年もの間、母子四人は大晦日10時に顔を見せません。それでも主人は片隅の畳席を予約席の札を置き続けてきました。いつかは常連客は「幻の予約席」と呼称しています。十二年経った時の、やはり吹雪が吹きすさぶ大晦日10時過ぎの夜、其の「幻の予約席」に青年が座りました。常連客は訝しげにそれを見て、やや非難がましい顔つきで見ています。「掛け蕎麦を一つ下さい」との注文に、調理を離れるはずが無い主人が「一杯のかけ蕎麦」を青年に持ってきました。青年は畳に頭を擦り付けるようにして、その節は有難う御座いましたといいます。主人は母親のことを感じるものがあるようで、青年に一言も訊ねません。「八年前から、母は床に就いたままとなり、前年に亡くなりました。いつも大晦日の晩には、[連れていけなくて御免ね]が口癖でした。今晩は嫁いだ妹と、今は働いている末娘が参りますので蕎麦を二杯追加願います」と青年は静かな声で言いました。娘二人が来て席に着いたときに、奥さんが蕎麦を三杯持ってきて言います。此れは主人の気持ちです。毎年来てくださることを主人が心待ちにしていることを伝える様にと申しております。

蕎麦2 ブログランキング・にほんブログ村へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2013年05月28日 06時10分59秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

プロフィール

cap-hiro

cap-hiro

カテゴリ

キーワードサーチ

▼キーワード検索

バックナンバー

2026年05月
2026年04月
2026年03月
2026年02月
2026年01月
2025年12月
2025年11月
2025年10月
2025年09月
2025年08月

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: