「霊魂論」エチカ詳解66 スピノザが哲学の根幹に置かねばならなかったコナトゥスという概念は、彼スピノザが世界内存在の有りと有らゆる全てのものを、「唯一なる実体」である神の様態と看做しているからで、あるものを他のものから隔てさせる原理は、物体の運動原理にあるとします。つまり、ある物体の運動または静止の比率(ratio motus et quietis)が、「もの」としての個体性を確立している。同様の運動と静止の比率を持つものは同一の「もの」と看做され、異なる比率をもつものは、異なるものと看做される。アリストテレスの思想の「形相論」の枠内でも、同様のことを云うことが出来得ますが、其処に見られる思想的解釈の大きな違いは、スピノザの思想には、厳密な個体の輪郭が存在しないということを強調して示していることです。スピノザの世界観にある信念は、世界内に存在する統べての「もの」を唯一なる実体の様態と看做すことから、究極的には世界内に存するありとあらゆる様態は、一なるものとして看做すことが出来得ることに尽きます。個体と個体を隔てる運動と静止の比率も、常に不動的に保たれるのではなくて、或る一定の条件下では、今その様態にあるだけであって、ある個体が他の個体と同化して、一(いち)の運動と静止の比率を構築することもあるだろうし、且つ亦、ひとつの個体のうちに異なった運動と静止の比率を包摂することによって、相互に異なった個体を生み出すこともある。個体性という概念は、スピノザにとっては限りなく、すべてのものを唯一なる実体の様態と看做しているゆえ、究極的にはあらゆる様態は、一なるものなのです。個体と個体を隔てる運動と静止の比率も、常に不動的に保たれるのではなく、ある一定の条件下において、そうであるだけであって、ある個体が他の個体と同化して、ひとつの運動と静止の比率を構築することもあるだろうし、また、ひとつの個体のうちに異なった運動と静止の比率を包摂することによって、ふたつの異なった個体を生み出すこともある。ゆえに、個体性という概念は、スピノザにとっては限りなく曖昧な観念ものであると説きます。