Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2021年12月21日
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カテゴリ: 絶対存在論
神の存否-266
 エチカ第二部の定理四〇の備考二では、人間の概念形成に関しての経緯を述べています。スピノザ認識論 における 概念(transcendenta)の位置づけについてはスピノザ「エチカ における「超絶的名辞(termini transcendentales)」を多くの解説論が訳していることからも、その語義を明らかにするために 、彼の「エチカ」刊行以前の時期におけるスピノザの著作 「知性改善論」が問題意識を提示しています。スピノザは「知性改善論」における真実・最 高の善について」において次 のように述べます。善いとか悪いとか、完全とか不完全 とかははただ相対的なものにすぎないと言われているが それは無力な人間が「永遠の秩序」を把握出来ないから、ものごとを相対的にしか認識出来ないのだと。そして「確かに、人間は無力のためそ の思惟によってこの秩序を把握 できないのだが云々。」と述べ。此の「ものごとを相対的にしか認識出来ない、無力な人間」とはどのような事態のことを指しているのであろうかと疑問を呈します。
 備考二 上に述べたすべてのことからして、我々が多くのものを知覚して一般的ないし普遍的概念を形成することが明白に分かる。すなわち次の手段で
 一 感覚を通して毀損的・混乱的にかつ知性による秩序づけなしに我々に現示されるもろもろの個物から(この部第二部の定理二九の系 人間精神は物を自然の共通の秩序に従って知覚する場合は、常に自分自身についても自分の身体についても外部の物体についても妥当な認識を有せず単に混乱し・毀損(きそん)した認識のみを有する)ということになるを見よ。このゆえに私は通常こうした知覚を漠然たる経験による認識と呼び慣れている。
 二 もろもろの記号から。例えば我々がある語を聞くか読むかするとともに物を想起し、それについて物自身が我々に与える観念と類似の観念を形成することから(この部第二部の定理一八の備考 記憶の何たるか。すなわちそれは、人間身体の外部に在る物の本性を含む観念のある連結にほかならない。)事物を観想するこの二様式を私はこれから第一種の認識、意見(Opinio)もしくは表象(imagiatio )と呼ぶであろう。
 三 最後に、我々が事物の特質について共通概念あるいは妥当な観念を有することから(この部第二部の定理三八の系 すべての人間に共通のいくつかの観念あるいは概念が存することになる。定理三九 人間身体および人間身体が刺激されるのを常とするいくつかの外部の物体に共通でかつ特有であるもの、そして等しくこれら各物体の部分の中にも全体の中にも在るもの、そうしたものの観念もまた精神の中において妥当であるであろう。および、その定理三九の系 身体が他の物体と共通のものをより多く有するに従ってその精神は多くのものを妥当に知覚する能力をそれだけ多く有することになる。ならびに、定理四〇 精神のうちの妥当な観念から精神のうちに生起するすべての観念は、同様に妥当である。)を見よ。そしてこれを私は理性(ratio)あるいは第二種の認識と呼ぶであろう。
 これら二種の認識のほかに、私があとで示すだろうように、第三種のものがある。我々はこれを直観知(scientia intuitiva)と呼ぶであろう。そしてこの種の認識は神のいくつかの属性の形相的本質(essentia formalis)の妥当な観念から事物の本質の妥当な認識へ進むものである。
 これらすべてを私は一つの例で説明しよう。例えばここに三つの数が与えられていて第二数が第一数に対するのと等しい関係を第三数に対して有する第四数を得ようとする。商人は躊躇なく第二数に第三数を乗じ、その結果を第一数で除する。これは彼が先生から何の証明もなしに聞いたことをまだ忘れずにいたためであるか、あるいは彼がごく簡単な数でそれをしばしば経験したためか、あるいはまたユークリッド第七巻の定理一九の証明すなわち比例数の共通の特質に基づいたかである。しかしごく簡単な数ではこうしたことは必要でない。例えば一、二、三の数が与えられた場合第四の比例数が六であることは誰にも分かるであろう。そしてこの場合は、第一数が第二数に対して有する関係そのものを直観の一瞥(べつ)をもって見てとってそれから第四数自身を帰結するのであるから、はるかに明瞭である。
 第二部の定理四〇の備考二に、直観の一瞥なるものが登場します。人間の認識の神のいくつかの属性の形相的本質の妥当な観念から事物の本質の妥当な認識へ進むものとして、其の直観の一瞥なるものを「直観知」として自己の思考の語彙に加えます。



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最終更新日  2021年12月21日 06時10分05秒
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