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CAPTAINの航海日記
CAPTAINの一筆書き旅行記 その1
<CAPTAINの一筆書き旅行記 その1 ~北海道編~>
◎はじめに
当日記で
2004年5月3日
から8回にわたって、最長片道切符についての話を書きました。最長片道切符とは、(主にJRの)鉄道路線を同じ駅を二度通らないという条件で算出された切符のことで、この切符を用いた旅行も、宮脇俊三(1978年)、関口知宏(2004年)などによって実行されています。
当日記では、既に完璧な算出結果が求められているJRの最長片道切符に元々は国の手によって建設・運営された第三セクター鉄道をプラスして最長ルートを試算してみたんですが、計算しているうちに旅行に出かけたくなってしまい、とりあえず想像だけでもと、「一筆書き旅行記」と題して、バーチャル旅行記を作ってみた次第です。
バーチャルだから一息に旅行してもOKなんですが、実際に旅行するとなるとしんどそうので、地域別に数回に分け、その都度自宅(福島県伊達郡桑折町)に帰るという設定にしました。このページでは、まずはじめに起点の北海道稚内から北海道ゾーンを完乗するところまでを、紹介したいと思います。
なお、旅行記に登場する駅名、路線、時刻等の情報は、すべて2004年3月13日ダイヤ改正現在のものを、使用しております。
1・北海道編・プロローグ(桑折~稚内)
◎本日のルート
桑折 8:22 ~(東北本線)~ 館腰 9:12
館腰 9:30~ (バス) ~ 仙台空港 9:42
仙台空港 11:40 ~(飛行機)~ 新千歳空港 12:55
新千歳空港 14:00 ~ (飛行機) ~ 稚内空港 15:05
稚内空港 15:25~(バス)~ 稚内 15:55(泊)
※一筆書きルート=なし。距離=本日0.0キロ、通算0.0キロ
◎あらすじ
今日から、一筆書き旅行をスタートします。
起点は、本邦最北端・北海道は稚内。
といっても、稚内は自宅からあまりにも離れているので、初日は稚内に行くだけで終日費やされてしまいました。
まずは朝8時に自宅最寄のJR桑折駅を出発。更に館腰でバスに乗り換えて仙台空港まで行きます。
ここから飛行機を乗り継いで新千歳~稚内と飛ぶんですが、飛行機を乗り継ぐのは生涯初めての体験。緊張がかなり高まります。
まずは仙台空港発11時40分の便に乗り込み、12時55分新千歳空港着。空港内のレストランで食事をしている最中に稚内行きの便が出発するアナウンスがあり、急いで乗り場まで。新千歳と稚内とを結ぶ便はこの1便しかないので、ちょっと焦ります。14時丁度に新千歳を発ち、約1時間で稚内空港に到着。
もう少し早い時間に着いていれば宗谷岬まで往復してもよかったんですが、夕方の3時過ぎという中途半端な時間では、行動範囲も限られます。結局、空港からバスでまっすぐ稚内市内へと向かい、そのまま稚内駅近くのホテルに投宿。
明日は朝早いから早めに寝ておかなければ… と思うのですが、大旅行のスタートを目前に控えて興奮しているせいか、なかなか寝付けませんでした。
2・北海道編・初日(稚内~北見)
◎本日のルート
稚内 6:38 ~ (宗谷本線) ~ 名寄 9:58
名寄 11:43 ~ (宗谷本線) ~ 新旭川 13:21
新旭川 13:47 ~ (石北本線) ~ 上川 14:53
上川 15:49 ~ (石北本線・特快きたみ) ~ 北見 18:25(泊)
※一筆書きルート=稚内~(宗谷本線)~新旭川~(石北本線)~北見。距離=本日436.7キロ、通算436.7キロ。
◎あらすじ
さて、いよいよ今日から、一筆書き旅行をスタートさせます。眠い眼をこすりながら、稚内発6時38分の名寄行普通列車に乗車。最初の路線となる日本最長の盲腸線・宗谷本線は全線普通列車で乗り通そうと思っているんですが、普通列車があまりにも少なく、この列車を逃すと10時58分まで待たなければなりません。
それにしても眠い! せめて利尻富士が見えるまでは、と思って頑張って起きてはみますが、結局睡魔に負けて、まどろんでは目が覚めの繰り返しで、定刻9時58分に、この列車の終着駅・名寄に到着。
宗谷本線は、この名寄で、運転系統が分断されています。次の旭川方面への列車は、11時43分発。2時間弱の待ち時間、名寄の街を散策し、駅付近でブランチを摂ります。名寄からは、かつては名寄本線と深名線の2本の路線が接続していました。これらの路線が残っていれば違った旅行ができたのに… との思いが募ります。
名寄から塩狩峠を越えて、13時21分、石北本線との接続駅・新旭川に到着。閑散ダイヤの北海道にしては接続は良く、13時47分発の上川行普通列車に乗車します。
この列車は14時53分に上川に着きます。ここで1時間弱の間、後続の列車を待つことになります。上川は層雲峡の玄関口にあたりますが、果たして一見の訪問客が1時間暇潰しできるほどの所なのかどうか。結局、待合室で雑誌でも読みながら… ってパターンになりそうな予感がします。
事実そのようになってしまい何度も読み返した雑誌に完全に飽きた頃に、ようやく後続の列車が到着。旭川発北見行きの特快きたみで、15時50分に上川を出発します。
名寄本線との接続駅だった遠軽でスイッチバックし、終点の北見に到着したのは、18時25分。この先のルートは石北本線で網走まで出て更に釧網本線へと進み、一応今日中には釧網本線の緑までは到達可能なんですが、もう陽も暮れたことだし、ここで泊まることにします。
3・北海道編・2日目(北見~帯広)
◎本日のルート
北見 8:07 ~ (石北本線) ~ 網走 9:13
網走 10:01 ~ (釧網本線・快速しれとこ) ~ 釧路 13:17
釧路 15:08 ~ (根室本線) ~ 帯広 18:11(泊)
※一筆書きルート=北見~(石北本線)~網走~(釧網本線)~東釧路~(根室本線)~帯広。距離=本日350.4キロ、通算787.1キロ。
◎あらすじ
北見駅前の宿を出たのは、朝7時半のことでした。
今日のルートは、網走まで石北本線、さらに釧網本線、根室本線と本線ばかり三つ続きます。昨日乗った宗谷本線とあわせてこれで4連続「本線」に乗車ですが、いずれも実態は非電化単線・ダイヤも実に閑散としたローカル線です。
それでも、最初に乗り込んだ北見発8時07分の網走行普通列車は時間帯のせいもあるでしょうが比較的混雑していて、その只中にいると一人旅の寂しさが多少紛れます。起伏の少ない線路を列車は快適に走り、定刻9時13分に、網走に到着。
網走からは、10時01分発の釧路行快速しれとこに乗車しますが、出発まで多少間があるので、駅周辺を散策。昨日から乗換のたびに散策ばかりしているような気がします。駅近くの売店にて車内で食べる昼食を買い込んでから、ホームに戻ります。
定刻10時01分、快速が発車。ところがこの列車、快速とは名ばかりで、鱒浦、藻琴… と各駅に停車していき、実質的には鈍行同然。それでも、オホーツク海、斜里岳、アトサヌプリと沿線では美しい風景が展開するので、見ていて飽きません。摩周を過ぎたあたりで買い込んだ昼食をかっ込むと急に眠気が襲い、釧路湿原は夢の中で通過。目が覚めると既に根室本線と合流する東釧路で、程なく終点の釧路に到着。
釧路では、時間調整のため2時間ばかり滞留。ヌサマイ橋やフィッシャーマンズワーフなどを見て回ります。海霧が発生しているのか、多少肌寒さを覚えます。
釧路発15時08分の普通列車で、今度は帯広へ。人の手があまり入っていない本当の自然風景の中を一駅一駅丹念に停車していき、3時間後の18時11分、帯広に到着。
帯広からは接続良く18時36分発の快速狩勝が出ていて、しかもこの列車は一筆書きのルートに沿って富良野線経由で旭川までいくのですが、この区間は風光明媚なので明日の日中に乗ることにし、今日はここで泊まることにします。
今から十勝ワインを飲みに行くぞ~!!
4・北海道編・3日目(帯広~小樽)
◎本日のルート
帯広 9:20 ~ (根室本線) ~ 富良野 11:32
富良野 11:45 ~ (富良野線) ~ 旭川 12:55
旭川 14:00 ~ (函館本線・特急スーパーホワイトアロー18号) ~ 岩見沢 14:56
岩見沢 15:06 ~ (室蘭本線) ~ 沼ノ端 16:25
沼ノ端 16:49 ~ (千歳線) ~ 札幌 17:52
札幌 18:05 ~ (函館本線) ~ 小樽 18:55(泊)
※一筆書きルート=帯広~(根室本線)~富良野~(富良野線)~旭川~(函館本線)~岩見沢~(室蘭本線)~沼ノ端~(千歳線)~苗穂~(函館本線)~小樽。距離=本日433.7キロ、通算1,220.8キロ。
◎あらすじ
今日の朝は遅く、帯広発9時20分滝川行の快速狩勝で出発します。これほどまでに遅くなってしまうのは、新得~富良野間の根室本線の本数が少ないから。優等列車が全部石勝線経由になってしまった関係で、この区間もまた「本線」の名を持つローカル線となってしまいました。
それでも貴重な優等列車となった快速狩勝は、十勝平野を快走し、10時13分、十勝最後の駅・新得に到着。ここからは狩勝峠越えの上り坂に差し掛かります。広い十勝平野に別れを惜しむかのように線路はS時形にカーブして、新狩勝トンネルに突入。
ところで、根室本線と石勝線の分岐点は、時刻表上だと先程停車した新得ということになりますが、実際の分岐点は、新狩勝トンネル内にある上落合信号場です。新得から24.1キロも先に入ったところにあるんですが、改めて、北海道の広さそして人口密度の低さを感じます。ちなみに、時刻表上での新得の次の駅は、上落合信号場から更に4.0キロ先の落合。ここからは空知川に沿った下り勾配となり、11時32分、富良野に到着。
「北の国から」で知られる富良野は個人的に興味があるしいずれじっくり訪問したいと思ってるんですが、到着のわずか13分後、11時45分に次に乗るべき富良野線の普通列車・旭川行が出発してしまいます。駅前すら見る暇もなく、慌ただしい出発となります。
富良野線のディーゼルカーは、十勝岳の西麓を、ゆっくりと走ります。のどかなローカル線だな~ と感じ入ります。「本線」以外の路線に乗るのは、ここが初めてだったことを思い出します。西神楽あたりから住宅が増え始め、12時55分、函館本線他幹線のホームから遠く離れた旭川駅の富良野線専用ホームに到着。すぐ近くの新旭川までは一昨日来てたんですが、丸二日遠回りして、ようやく旭川のホームを踏むことができました。早速改札を出て、買物公園など旭川の街を見物。お昼はもちろん、旭川ラーメン(笑)
旭川からは、函館本線に乗車。これまで非電化単線の「本線」にばかり乗ってきましたが、ようやく、電化複線の本線らしい路線を使うことができます。乗り込む列車は、14時ちょうど発の特急スーパーホワイトアロー18号・札幌行。今回の旅行で、初めての特急利用です。この列車は、石狩平野を快走し、深川、滝川、砂川、美唄と主要駅に停車して、所用時間わずか56分で、96.2キロ先にある次の乗換駅・岩見沢に到着します。評定時速約100キロ。普通列車ならばこの区間は1時間40分前後はかかるから、かなりの時間短縮です。おかげで、次に乗るべき室蘭本線・千歳線を、日のあるうちに乗り終えることができます。
その室蘭本線ですが、現在では千歳線経由がメインルートになってしまったため、私が乗り込む岩見沢~沼ノ端間は単なるローカル線に転落してしまってます。今回乗る15時06分発の列車も、短編成のディーゼルカー。それでも乗ってみるとところどころ複線区間があったりして、かつて運炭路線として賑わったなごりを、感じることができます。この列車は、次の乗換駅・沼ノ端に16時25分に着きますが、駅しかない沼ノ端で次の列車を待つのも寂しいので、一駅先の苫小牧まで乗り越し、16時34分着。乗り換えるべき千歳線の列車は、わずか9分後の16時43分に、この駅を出発します。
千歳線は、北海道のJR・第三セクターの中で私が唯一乗ったことのある路線で、そのせいか、車外を眺める眼にも気合いが入りません。もっとも、見えるのは大半が札幌のベッドタウンの住宅街。道幅が広く瓦屋根がないなど北海道らしさはありますが、道内の他の路線と比べると、旅情の面で一段劣ります。新札幌あたりからは完全に市街地に入り、白石で函館本線に合流して、17時52分、札幌着。
さて、北の大都会・札幌に着きました。食べる所、遊ぶ所と誘惑の多い街ですが、薄情にも私はここで更に乗り換えて、小樽に泊まる予定を組んでいます。明日の列車の都合を考えると、小樽に泊まらざるを得ないのです。
札幌に着くやいなや、私は18時05分発の小樽行の列車に乗り込みました。車内は通勤・通学帰りの人で満員。満員電車に乗ったのも、今回の旅行で初めての経験でした。
5・北海道編・4日目(小樽~五稜郭~函館)
◎本日のルート
小樽 8:07 ~ (函館本線) ~ 長万部 11:13
長万部 13:00 ~ (函館本線) ~ 函館 16:03(泊)
※一筆書きルート=小樽~(函館本線)~五稜郭。距離=本日284.4キロ、通算1,505.2キロ。
◎あらすじ
今日乗る路線は、函館本線ただ一本のみで、起点の函館まで向かう予定です。
といっても、小樽~函館間の函館本線は、全線が非電化。とりわけ小樽~長万部間はオール単線の上優等列車も走っていないから、ローカル線同然。普通列車の運行本数も少なく、これから乗る8時07分発の列車に乗り遅れると、12時21分まで待たされる羽目になります。だもんで、宿での朝食もほどほどに、上野駅に良く似た外観の小樽駅に、急ぎ足で向かいます。
乗り込んだ列車は、短い編成のディーゼルカーでした。この列車で天下の函館本線を走るのか、と不安になります。それでも列車は私の心配をよそに淡々と、石狩湾沿いを走ります。昨日小樽に来る時にも海沿いを走っていたはずなんですが、あいにく日没後。だから海を見るのは二日ぶりのことになります。
余市を過ぎると、北海道では珍しく果樹園の広がる風景が展開。ほどなく峠越えがあり、気が付くと胆振支庁の支庁所在地・倶知安へ。左手には羊蹄山が見えます。蝦夷富士と言われるだけあって、高さのみならず風格を備えた山です。
その後も細かい上り下りを繰り返しながらニセコ、蘭越、黒松内などに停車して、11時13分、この列車の終点・長万部に到着します。
長万部から函館方面に向かうには、11時29分発の特急北斗8号に乗るのが早くて便利で、函館には12時48分着。今日中に自宅に帰ることも可能です。が、私はこの列車に乗ることができません。函館本線は森で駒ケ岳の山麓をまっすぐに突っ切る旧線と噴火湾沿いをぐるっと回る新線の2本に分かれており、特急列車はすべて旧線経由。ところが路線延長は新線が旧線よりも12.8キロ長いため、遠回り旅行の悲しい性で新線を通らざるを得ないからです。北斗8号は12時09分に森にも停車しますが新線の普通列車はそのわずか8分前の12時01分に出発しているため、結局待ちぼうけということになります。
幸い(?)13時00分長万部発の函館行普通列車が新線を通るので待つことにします。何もない長万部ですが、お昼を食べたりお土産屋で家族宛てにカニを発送したりと結構忙しく、思ったよりも早く時間が経過します。
そしていよいよ、長万部を出発。噴火湾沿いを真っ直ぐ走る単調な風景を見ているうちに眠くなってしまい、気がついたらもう八雲。その後も寝たり起きたりの繰り返しでひたすら噴火湾に沿う新線を味わい、15時58分、江差線との乗換駅・五稜郭に到着。
一筆書きのルートではここから江差線に乗り換えて津軽海峡をくぐって本州突入となるんですが、もう少し北海道を堪能したいので、今日は函館まで乗り通して、泊まることにします。
函館に泊まるのは1986年以来で、かなり久しぶりのこと。あの時は霧が濃くて函館山からの夜景を見ることができなかったので、まずはリベンジと、まっすぐロープウェー乗り場を目指しました。
6・北海道編・5日目(函館~五稜郭~盛岡~桑折)
◎本日のルート
函館 7:00 ~ (函館本線~江差線~海峡線~津軽線~東北本線・特急スーパー白鳥10号) ~ 八戸 9:53
八戸 10:16 ~ (八戸線) ~ 本八戸 10:25
本八戸 12:32 ~ (八戸線) ~ 久慈 14:08
久慈 14:13 ~ (三陸鉄道北リアス線) ~ 宮古 15:39
宮古 15:49 ~ (山田線) ~ 盛岡 18:00
盛岡 18:28 ~ (東北新幹線・やまびこ66号) ~ 福島 20:13
福島 20:34 ~ (東北本線) ~ 桑折 20:46(帰宅)
※一筆書きルート=五稜郭~(江差線)~木古内~(海峡線)~中小国~(津軽線)~青森~(東北本線)~八戸~(八戸線)~久慈~(三陸鉄道北リアス線)~宮古~(山田線)~盛岡。距離=本日491.0キロ、通算1,996.2キロ。
◎あらすじ
5晩泊まった北海道とも、今日でお別れです。
名残惜しいですが、心情とは裏腹に、函館からは特急列車を利用します。青函トンネルを走る旅客列車が特急オンリーなので、止むを得ません。乗り込むのは函館発7時00分のスーパー白鳥10号。この列車は五稜郭、木古内、蟹田、青森のみに停車し、わずか2時間53分で256.4キロ離れた八戸まで到達します。東北新幹線に乗り継げば13時には東京に着く便利な列車だからか、車内にはビジネスマン風の姿が目立ちます。
定刻通り函館を出発した列車は上磯を過ぎると津軽海峡沿いを走り、7時38分に木古内へ。ここからは1988年の青函トンネル開通と同時に開業した区間でにわかにトンネルが多くなり、知内駅に気づかないままに青函トンネルに突入。このトンネルを抜けるといよいよ本州なので気分が高まるところでしょうがいつもよりも早起きだったせいか眠気を催し、結局Zzz。吉岡、竜飛の両海底駅にも気づくことはありませんでした。
ほどなくして青函トンネルを脱出し、本州へ。蟹田からは再び津軽海峡に沿って走り、8時51分、青函連絡船時代の面影を残す青森駅の長いホームに到着。ここでスイッチバックし、今度は東北本線を快走。浅虫温泉、野辺地、三沢と特急の必須停車駅を矢のように通過し、9時53分、新幹線開業で新装なった八戸駅のホームに滑り込みます。
さて、ここからなんですが、北海道を乗り終えたことだし真っ直ぐ帰ってもいいんですが、次回また青森県まで出直すのもしんどいので、時間の許す限り、一筆書きの旅を続けることにします。まず乗るのは久慈まで続く八戸線。10時16分発の列車に飛び乗り、まずは八戸の中心街・本八戸を目指します。私は東北地方の主立った都市については一通り見て回ってるんですが、この八戸だけが未訪問。10時25分に本八戸に着くやいなやリュックをコインロッカーに突っ込み、タウンウォッチング&少し早めの昼食とまいります。
一通り八戸の街を堪能してから、12時32分発久慈行列車で、旅行を再開。街外れの鮫から先は長い間海沿いを走ります。が、岩手県に入ってからしばらくすると、海からだんだん離れていき、侍浜なんて名前がついている山間の駅もあったりします。14時08分に到着した終点の久慈でも、海は見えません。
久慈では接続良く、次の列車は14時13分に発車。乗り込むのは三陸鉄道北リアス線宮古行。今回の旅行で初めて第三セクター鉄道を利用します。
この三陸鉄道、1984年の開業当初こそ活況を呈しましたが、現在は苦戦を強いられています。そのせいか、開業時に新しく買い揃えた自慢のディーゼルカーも、くたびれているように見えます。
海の景色も、陸中野田付近ではかなりハッキリ見えますが、普代から先はトンネルの連続。辛うじて田野畑や島越の駅付近で見える程度になってしまいます。つまりそれだけこの地域の地形は険しいわけで、住民が鉄道を欲しがった理由も、なんとなく理解できます。
そんなトンネルをいくつか過ぎていくと、場違いのように市街地の中に突入し、15時39分、終点の宮古に到着。宮古は三陸海岸最大の都市なのでゆっくり見て回りたいところですが、ここでも接続良く、次に乗るべき15時49分発の山田線の列車が、既にホームで待っています。この列車を逃すと次は18時11分発までないので、急いで駆け込みます。そんな貴重な列車だからか、車内は学校帰りの学生や買い物ないしは通院帰りのお年寄りで、賑わっていました。
宮古から盛岡までの山田線は、ひたすら人家の少ない閉伊川の谷に沿います。長時間乗っていると、これからどこに連れてかれるんだろう? との不安が募ります。区界を過ぎると行政的には盛岡市に入りますが、山深い風景に変わるところはなく、不安はいっそう強まります。それでも上米内で里の気配が強くなり、次の山岸からは市街地に突入。最後は街を半周する形で、18時ちょうどに盛岡駅のホームへと滑り込みます。
夕闇が迫ってきています。ここらが頃合でしょう。盛岡から先の旅は次回に委ねるとして、これから桑折の自宅に帰ります。新幹線のホームまでエスカレーターを上がり、18時28分発のやまびこ66号東京行に乗車。売店で買ったビールでこの旅を無事終えることができた祝杯を挙げたのは、言うまでもありません。
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