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February 10, 2012
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カテゴリ: 歴史・地誌・旅行

【送料無料】物語イタリアの歴史
藤沢道郎
中央公論新社 中公新書
☆☆☆☆☆◎
 かなり勉強になった一冊。読み始めた時はあまり期待していなかったので、読み終えられるか心配したのだが、イタリア史の中から10人の人物をピックアップしてその伝記を通じ、イタリアの歴史を眺めるというような構成。こうした構成の方が私のような世界史にあまり知識のない読者にはいいと思う。ただし、歴史の流れがつかみにくいのと、取り上げられている人物に縁のないことであれば歴史上重要なことでも省かれているそうだ。でもそれすら私にはよくわからなかった。そういえば、フランス革命の記述なんかなかったな。
 取り上げられている人物については何となく名前は聞いたことのある人物と、知ってるつもりの人物の他にももちろん全く初耳だった人物もいる。大ファンのマンガに名前が出てきた西ローマ帝国の皇女(というのも漫画で読んだ時は知らなかった)、ガラ・プラキディアの下り坂と記述したくなる人生を読んで、その漫画のセリフに結構納得したりもした。また、何となく知っているつもりの人物は、アッシジの聖フランチェスコとジュゼッペ・ヴェルディ。何しろこの本を手に取ったきっかけはガラ・プラキディアとヴェルディの記述があるからだ。で、思ったのはフランチェスコが結構当時の権力に上手く利用されたんじゃないかということ。ローマ法王庁の権謀術数はこの時代の後に「イエズス会士=策略家」という意味があるというのも納得できるほどで、この時代でもつまりは毒をもって毒を制したかったんじゃないかという気がする。
 そして、勉強になったのはヴェルディ。彼の作曲したオペラ「ナブッコ」の中の「行け我が想いよ黄金の翼にのって」はイタリア独立戦争の愛唱歌とは知っていたが、実はそのイタリア独立戦争を鎮圧しようとした当時のオーストリアハプスブルク帝国の将軍の名はラデツキー。何とあのラデツキー行進曲は彼のイタリア戦役での戦功を讃えて作曲されたものだったのだ。偶然、2月の演奏会でラデツキー行進曲をその次の4月の演奏会で「行け我が想い~」を演奏する身をしては実にタイムリーに面白い雑学(?)を仕入れられたと思う。自団でも言いふらそうかな。
 そして、凄い人々だなと思ったのが神聖ローマ帝国皇帝でホーエンシュタウフェン王朝のフリードリヒ二世。イタリア読みでフェデリーコ2世。日本では鎌倉幕府が成立した頃の時代に既に近代的な思想をもって統治した人だ。でも晩年はちょっと不幸だけどね。あとはメディチ家のコジモ(イル・ヴェッキオ)とロレンツォ(イル・マニフィコ)この二人も金権にまみれたかもしれないけど、ルネサンスのパトロンとしてまた金にものをいわせたとしても戦争をさけ平和裏に交渉をおさめた人々だ。彫刻家のミケランジェロはロレンツォに才能を見いだされ、彼の家で子供や養子になった甥っ子たちと一緒に育ったんだね。ついでに子供からはローマ法王が二人出ている。ロレンツォ・ディ・メディチはミケランジェロの章で副主人公レベルの扱いだった。
 とにかくこの本は読めば読むほど知らないことだらけだった上に、文章が平易で読みやすく、とても面白く読めた。シチリアといえばマフィアと音楽のイメージくらいしかないが、古代から栄え、中世にも首都となったりした都市だったということは初めて知った。あとミラノのブランド店がたくさん並んでいる通りをヴィットリオ・エマヌエーレ二世通りというそうだが、(どっかで聞いた名前ということしか分からなかった)彼が初めて統一イタリア王国の王さまになったサルデーニャ王。(色々ごっちゃになっていた前に書いた文を直しています)ヴェルディの名前は彼の名前の短縮系にも通じ、独立運動のシンボルの一つになってしまった。お母さんはハプスブルク家の血を引くようだ。(関係ないけどウィキで調べた時、ハプスブルクのイタリア語形のダズブルゴってどこの家かと思ったわ)あとはやっぱりハプスブルク家ってすごい権勢を持ってたんだな。メディチ、ボルジア家にも興味があるけど、あとはやっぱりハプスブルク家のことは簡単に読んでみたい。この本については、しいて言えばちょっと流れがつかみにくかったし、ガラ・プラキディアの時代(4世紀末~4世紀)から一気に600年時代が飛んで中世になったので、古代史・中世史好きとしては少々物足りなかった。けれども、久しぶりに色々知識が得られて楽しめた本だった。





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Last updated  February 16, 2012 02:17:21 AM
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