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湖畔荘 上 / 原タイトル:THE LAKE HOUSE[本/雑誌] / ケイト・モートン/著 青木純子/訳湖畔荘<下> [ ケイト・モートン ]ケイト・モートン東京創元社 四六並製☆☆☆☆☆ 第一作目の「リヴァトン館」からずっと読んでいるが、今回はちょっとした技術的なことが、実は物語の上で重大な意味を持っていた、という設定はなかった。その代わり、これでもか、と重ねられる "coincidence" - 偶然、「読み物」にある王道の設定だ。上巻では、色々な時代の色々な場面が交差してどうなるんだろう、と思いながら読んでいき、下巻の後半から、収斂していくのが面白い。ずっと誘拐された子供はもう作中に関わっている、と思っていたが、こうきたか、という感じ。そして、一番読んでいて怖かったのが、エリナが母コンスタンスのために用意した老人ホームの意味。他から見れば完璧な母のための完璧なホームだったが、このホームは母の大嫌いな潮騒が四六時中聞こえているのだ。これが、最後までそりの合わなかった母娘の結末。だが母親も娘が敬愛している人を逆恨みに近い恨みで殺害したのだから、コワイ。この人の小説は20世紀初頭の英国上流階級の衰頽が底流にあるが、それの時代背景が何よりもドラマになるのだと思う。先に読んだ塩野七生さんが、「衰えていく時代こそフィクションドラマになる」という趣旨のことを書いておられたが、そうだと思う。
February 16, 2018
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模倣の殺意 (創元推理文庫) [ 中町信 ]中町信創元推理文庫 ☆☆☆☆◎ 昭和の推理小説。一つ一つの場面が昔の二時間ドラマを彷彿させ、最近、こういう設定の小説が好きだ。そして初めて読んだ著者。駆け出しのライターとやり手の女性編集者が坂井という小説家の自殺を調査する様子が並行して語られる。いつ一つになるのか、と思いながら読んでいたら、こうきた。が、読者への挑戦の直前でなんとなく、もしや、とは思っていたらアタリ。叙述トリックはあまり好きではないと言いつつ、これにはいい感じでだまされた。そして、これがほぼ本邦初の叙述物らしい。
February 9, 2018
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【中古】【古本】緋色のヴェネツィア 聖マルコ殺人事件/塩野七生/著【文庫 朝日新聞社】【中古】 銀色のフィレンツェ メディチ家殺人事件 朝日文芸文庫/塩野七生【著】 【中古】afb黄金のローマ 法王庁殺人事件 朝日文芸文庫 / 塩野七生 シオノナナミ 【文庫】塩野七生朝日文芸文庫☆☆☆☆☆☆◎ 「殺人事件」と副題がついているので、てっきり、この方の書いたミステリ読んでみたい、と思って図書館で第一作目の「緋色のヴェネツィア 聖マルコ殺人事件」を借りたのだが、まったくミステリ色はなかった。だが、さすが塩野さん、内容は歴史小説でとても面白い。 まず、第一作を借りたのは、昨年演奏した「オテロ」とほぼ同時代の小説だったから、オテロがキプロスで懊悩しているとき、本国ってどんな感じだったんだろうという好奇心からもあった。貴族階層の男性だけとはいえ、民主制・平等な機会が与えられるヴェネツィアの社会の様子が興味深く、この社会だから、オテロも出世できたのだと納得。また、そういう都市国家だから異教徒でもある、当時名君スレイマン1世を戴いたオスマントルコとの通商もヨーロッパの窓口のような形でできるのだ。今ウィキで確認したが、読書中から、時代設定が篠原千絵さんの「夢の雫、黄金の鳥籠」と同じだ。作中書いてあったが、アルヴィーゼ・グリッティはやっぱり実在の人物。こんどこの漫画も読もう。昨夏に少し立ち読みができたので読んだことがあるのだ。この本の主人公は、そのアルヴィーゼ・グリッティの親友でヴェネツィアの名門貴族で二十歳の時から国政に携わるようになり、その手腕を評価されていたマルコ・ダントロ(架空の人物)。彼とアルヴィーゼを通じて、オスマントルコの侵略とヴェネツィアの様子が描かれる。が、このアルヴィーゼは結局オスマントルコの遠征先で殺され、マルコもアルヴィーゼとの関係がヴェネツィアへの背信行為とされて三年間の公職追放処分を受ける。作中描かれるヴェネツィアの本当に現在の民主国家と変わらない民主制、オスマントルコの多国籍ぶりや後宮の女性たちの扱い、そしてオスマントルコ・ヴェネツィア・ハプスブルク家との関係も、今まで読んだ本から間接的に読んではいたが、ここにも出ていた。ややこしいが、この時代あたりから、私が演奏するクラシック音楽にも結び付いてくる。 そして、公職追放中のマルコが次にフィレンツェに住むことにして、「銀色のフィレンツェ」が始まる。この時代、フィレンツェはメディチ家の支配下にあるが、当主は暴君アレッサンドロ・メディチ。メディチ家もすでに傾きかけている時代だった。 ここでは、サヴォナローラの狂信(今から見れば)の記憶も残り、共和制から君主制を選択して、ヴェネツィアとは全く違う都市国家になってしまったフィレンツェが舞台となる。司法制度もかなり偏向したものとなっており、マルコは、再会したオリンピアを通じて、宿の主人を司直の手から救い出すことに成功する。また、メディチ以外のフィレンツェの名門貴族も登場し、これを読んでいて、私は同じ著者の「わが友マキアヴェッリ」が読みたくなった。いつか読もう。マルコはフィレンツェで、オリンピアに気持ちのこもった高価な首飾りを贈り、二人の仲は進展する。とはいえ、往年(いやまだ現役か?)の伊達男の、マルコがオリンピアに「外出の支度をしておくように」という伝言に対する読みが、ちょっとオトナだ。しかし、そんな中、暴君、アレッサンドロは従弟ロレンツィーノによって暗殺され、マルコとオリンピアはローマへと移り、「黄金のローマ 法王庁殺人事件」が開始される。 この土地で、マルコは「髪結いの亭主で暮らすのもいいか」とオリンピアとの暮らし、そして、ローマの遺跡発掘の専門家でもあるエンツォ老人をガイドに遺跡めぐりを楽しむ。そして、オリンピアの紹介でまだ20歳前の若いアレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿やミケランジェロの知遇を得る。私はこの三部作の中でこの本が一番好きだ。特に、15世紀のアッピア街道の描写がとても好き。レスピーギの「ローマの松」から「アッピア街道の松」と「カタコンベの松」が脳内再生された。私は西欧の古代史には暗いが、それでも古代史好きにとって、古代から現代へと連綿と続く都市というのは、東西を問わず魅力的なのだと思う。さらにローマにはヴァチカンがあるというのもあって、やっぱり行ってみたくなってしまった。しかし、この巻でオリンピアの謎だった部分が明かされ、そして、彼女の職業を考えれば仕方ないのかもしれないが、彼女とマルコは悲しい結末を迎える。また、これは女性作家の特徴かもしれないが、若い男性の描写の甘いこと。ロレンツィーノ・メディチもそうだったが、このアレッサンドロ・ファルネーゼもそうだ。かくいう私もそれを楽しませていただいた。また、この巻は有名な絵だと思うが、女性のハダカがカバー絵。ずいぶん色っぽい表紙だと言われたが、内容はあまりそうではない。
February 2, 2018
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【中古】 人形が死んだ夜 光文社文庫/土屋隆夫【著】 【中古】afb土屋隆夫光文社文庫☆☆☆☆☆ ネタバレあり。 絵に天才的な才能を表していた小学生の男の子がひき逃げされる事件が発端。叔母はその子を看取ってくれた男の言葉に疑問を持ち、この男が犯人であることを確信する。しかし、この男も殺されてしまい、子供のひき逃げも男の殺人もお宮入りしてしまう。 始めた読んだ著者。この本は著者最後の本で、88歳頃着手、90歳の時に出版されている。そして物語の時間も15年以上流れる。最初は子供の出生の複雑さがあり、続いて、この子が死んだ石仏の道や、男の死んだ祭りの風景があり、そして、捜査が迷宮いりするところまで語られる。最初は子供の出生の複雑さから、犯人にあらぬ想像をしていたのだが、それはみごとに外れた。少々残念だったのは、二人いるはずの犯人の一人が最後まで仄めかされもしなかったことか。しかし、長い歳月ののち、事件の真相が明らかになったときには、美女だと描写があったのに、犯人は、病のため独身を貫いただけでなく、若くして死期を悟ってその手紙をしたため、担当の警部は出世して引退、そして認知症となっていた。老いと死の無常を感じるが、不思議と読後感は悪くなかった。
January 22, 2018
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お坊さんとお茶を 孤月寺茶寮はじめての客/真堂樹【1000円以上送料無料】真堂樹集英社オレンジ文庫 ☆☆☆☆ シリーズ一作目。かなり人生で要領の悪い主人公が、ニューオープンした貧乏寺の茶寮の前で行き倒れることから話が始まる。そして、この寺の檀家が関係している事件(小さな事件で血なまぐささはゼロ)に巻き込まれ、それを住職が解決するという日常の謎パターン。シリーズの一回目のせいか、全体的にあっさりしている。また、百猫山という山号のあるお寺なのに、猫の描写がまだ少ない。二作目ではもう少し増えているだろうか。
January 22, 2018
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貧相ですが、何か?【電子書籍】[ 土屋賢二 ]土屋賢二文春文庫☆☆☆☆☆ 電車で中で読むのは危険。自宅で大笑いしながら読んだ。相変わらず、教授は大変だ。そして、周囲の人々が増えて、さらにパワーアップしている。助手や奥さん、学生だけでなく、学長や他の大学の先生たちもすごい。特に学長は偉大だ。そして、ジャズピアノが趣味の教授、音楽仲間には、プロのプレーヤーもおられるので、当然のことながら、みなさん個性が強く、普通の電話のはずなのに、借金の取り立てに聞こえるバリサク吹きのおじさまとか、有名トランペッターのバンドの人々とか、とても楽しい。この本で、教授の授業風景がちょっと出てきたが、先生、結構厳しくていじわるな先生っぽい。
January 22, 2018
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砂の城〜鬼貫警部事件簿〜【電子書籍】[ 鮎川哲也 ]鮎川哲也光文社文庫☆☆☆☆☆ 最初に出版されたのは、1963年。まだ新幹線も通っていない時代。電車の乗継トリックも今はもう存在していない。そして、高度経済成長前の色々な土地の描写が興味深い。また、女性の描写が悪い意味で古臭いが、それも時代色に思える。が、不思議なことに、この人の小説は時が経って読んでもミステリの枠から出ることはない。特にこの本はトリックや乗継の描写にも疑問があるのだが。松本清張の小説が、もうミステリというよりは、風俗小説のように思えるのに不思議だ。 そして、この本では鬼貫は最後の最後に出てくるだけだ。それもちょっと不満。鬼貫警部は、昔のサスペンスドラマの俳優さんのイメージが強く、楽しみにしていたのに。
January 22, 2018
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【中古】 独房の修道女 / ポール・L. ムーアクラフト / 扶桑社 [文庫]【ネコポス発送】ポール・L・ムーアクラフト扶桑社ミステリー(文庫)☆☆☆☆☆ 冷戦まっただ中の1969年に起きた事件が発端。地域に馴染めない聖職者デュヴァルは、中世の隠修女として、18歳で独房に閉じこもってしまったクリスティーンという女性のことを小説にしようとしていたが、そのモデルにふさわしい女性を見つけ、言葉巧みに同じように教会の地下室に監禁してしまう。 まだサイコ犯罪者が認知されてない時代、最初、監禁された女性マーダが東側の陰謀を疑うあたりに世相が出ていて面白い。この設定がないと、彼女が簡単にデュヴァルに監禁されてしまったことに説得力が薄くなってしまう。作中は監禁されたマーダとデュヴァルが創作するクリスティーンの中世の物語が並行して描かれるが、監禁の描写は隣に他の被害者の遺体があったりして、鬼気迫るし、中世の方もその時代お約束ともいえる、残酷な拷問や処刑の場面が多くて、陰惨で殺伐とした場面が多かった。が、唯一なごめたのが、デュヴァルの愛犬ボーダーコリーの描写。内容に不似合なほどかわいい。 だが、結末はデュヴァルが逃亡に成功してしまい、結局本当に修道女になってしまい、死期の迫ったクリスティーンが30年後にしたためた、遺書という設定になっているが、結構怖い。このての題材はかなり好みで、読み応えがあったのだが、どうもノンフィクションのような淡々とした現実味がありすぎて、もう少し、イマジネーションを掻き立てられるようなところがあったら、もっと好みだったと思う。
January 22, 2018
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カナリヤは眠れない/近藤史恵【1000円以上送料無料】近藤史恵祥伝社ノンポシェット(文庫)☆☆☆☆☆ 口が悪く商売気はないが、腕のいい整体師合田の元を訪れる女性たち。このカナリヤという喩もカナリヤが、鉱山などで、人が吸える空気か試すために連れて行かれる籠の鳥ということにちなんでいて、悲しい。彼女たちを癒しながら、彼女たちを苦しめるものを取り除こうとする合田は無愛想な見かけと違っていい人だ。私もこんな整体師さんがいたら、通って怒られたい。続編もあるようなので、そちらも読もう。
January 22, 2018
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【バーゲン本】わたしの和道具帖【送料無料】【半額】【50%OFF】平野恵理子清流出版 B6並製☆☆☆☆☆ 丁寧なイラストで昭和の古めかしい和道具への愛着をつづったエッセイ。自分も使ってみたい曲げ物のお弁当箱(高くて買えないが)も当然あったし、小さな行李も使ってみたくなり、よく似た被せる蓋のついた籠を買ってしまった。丁寧な暮らしに憧れるとこういう道具にも懐かしさと愛着を感じ、自分も使ってみたくなってしまう。昔の道具への懐古に共感を感じる。
January 22, 2018
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アイヌの昔話 ひとつぶのサッチポロ萱野茂平凡社 B6変形? 並製☆☆☆☆☆ これを題材にドラマチックな音楽や舞台を創作するのはまず不可能な民話の数々だが、それだけに人々の生活に密着した話の中に、道徳的な教訓を織り交ぜ、最後は「だから今いるアイヌよ、~~してはいけない」で終わっているのが、面白く、アイヌの人々の日常が垣間見えて興味深い。殺伐とした小説の合間に読むと、本当にほっとした気分になる。
January 22, 2018
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悲素 [ 帚木蓬生 ]帚木蓬生新潮社 四六上製☆☆☆☆☆◎ 和歌山砒素カレー事件を扱った小説。だが、登場人物は、実際の事件の人物だと、それとわかる程度の仮名になっている。主人公は松本サリン事件にもかかわった医師。他にも歴史上の毒殺事件などを織り交ぜながら、事件の捜査と被害者たちの様子が描かれている。本当に関係者にこういう人がいたのかと思ったのが、数年前の日付すら克明に記憶しているサヴァン症候群の被害者。彼がいなかったらこの事件の発端は闇に埋もれたかもしれない。そして、判決でケリがついたと思っていた事件だが、裁かれたのは氷山の一角であり、被告は毒で保険金をだまし取っていた被害者が他にも存在しているのだ。さらに被害者の方たちは、今でも後遺症に苦しんでいると思われることが、恐ろしい。 しかし、献身的に被害者の診察にあたる主人公の医師と、彼が協力を依頼し、それに応える医師たち、そして、捜査官たちの姿には本当に頭が下がる。特に、捜査の中心人物で、犯人に手錠をかけた刑事が、この事件の起こった地区の交番に異動し、定年後もそこで過ごすとつづられた手紙には涙が出た。こういう人こそ、本当に公務員の鑑だと思う。この捜査官たちが、きっとすごくいい人たちなんだろうな、というのは、主人公の医師に仕事に関係なく遊びに来てくれたら、自分たちが休みを取って案内すると言っているところにも表れていると思う。 本の表紙から、毒物関係のミステリだと思って読み始め、さらにあまりノンフィクションは興味がないのだが、この本は本当に読んでよかったと思う。
January 22, 2018
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嗤う名医 (集英社文庫(日本)) [ 久坂部 羊 ]久坂部羊集英社文庫☆☆☆☆☆ しばらくこちらに書くのをサボっていて、これを読んだのは、もう半年くらいまえ。印象に残っているのは、結構ブラックだったりアイロニーにきいた結末だったこと。医師・医療の裏の一面が垣間見える。でも読後感はよかった。
January 21, 2018
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【バーゲンブック】井戸端婢子 大江戸怪談草紙−竹書房文庫【中古】平山夢明竹書房文庫☆☆☆☆☆ こういう怪談は大好き。杉浦日向子さんへのオマージュということだ。だが、彼女の漫画とは違い、全て伝聞の形をとった短編・掌編集。シンプルな聞き書きの文体は、怪談にはぴったりだと思う。かつて流行った新耳袋と同じだ。このシリーズも私は大好きだったし。 江戸時代の怪談集ということで、結構グロテスクな話もある一方で、ほのぼのした物の怪話も織り込まれていて、とても楽しく読めた。また、どれも短いので、すぐ読み終わってしまった。怖い話は、人から直接聞くか、活字で読むのがやはり好き。たまにケーブルテレビで、動画を放映しているが、こちらは怖すぎて好きになれない。
July 21, 2017
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フランス人の贅沢な節約生活 (祥伝社黄金文庫) [ 佐藤絵子 ]佐藤絵子祥伝社黄金文庫☆☆☆☆◎ この次に刊行された「フランス人の気持ちいい美容生活」が印象に残っていて、ならば、と読んでみた。とはいっても、あまり脱汚部屋・脱汚家にはならないかな。だが、モチベーションアップには役に立つと思ったのだ。残念ながら、期待したほどはモチベーションも上がらなかったが、共感しながら読み進めることはできた。ある一点を除いては。街角のパン屋さんにふらっと入っておやつ、というのを著者は悪者にしちゃえ!と書いておられるのだが、私も同感ながら、それが楽しい読書タイムでもあるので、とてもムリ。それでも節約を我慢ではなく、ゲーム感覚で楽しむ、というのは同感。そして日常で、どこかはモン・ペシェ・ミニョンだったか、私の小さな贅沢という意味だと思うのだが、これは意識したいかも。節約するところは節約して、お金をかけるところはかける、ということで、これで、次からは、ちょっと高い粗塩(花藻塩)を買おうかと思っている。こっちの方が500g入りで数十円お高いのだが、塩分がきっと少なめのはずだから、長期的には健康にいいということにしよう。
July 21, 2017
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狩人の悪夢 [ 有栖川 有栖 ]有栖川有栖株式会社KADOKAWA 四六上製☆☆☆☆☆ 火村・アリスシリーズ。落雷により、一時的に陸の孤島となっていたエリアで起こった殺人。火村曰く「散らかった」事件。なもので、読者にとってはさらにワケが分からない。結局ロジックは割と納得できるものの、動機はやっぱりよく分からない。ゴーストライターを扱ったネタだったが、当人同士が納得していたのだから、第三者がとやかく言うことじゃないってのは、少し思った。そうか、裏テーマには、同情に値する殺人犯、というのがあるのかもしれない。 それに、一番驚いたのは、事件の犯人が判明した最後の最後だと思う。その場面のフォロー、次作以降にあるのかな?
July 12, 2017
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罪灯佐々木丸美コレクション8【電子書籍】[ 佐々木丸美 ]佐々木丸美創元推理文庫☆☆☆☆ 若い頃、設定を読んでとても興味があった佐々木丸美さんの本。しかし、シリーズもののスピンオフで、本編を読んでからの方がよかった。ストーリーは未必の故意を扱っており、設定はとても面白い。が、結局殺意を抱いた人間は救済されてしまうのが、不満といえば不満。それが同情の余地のないアホな小娘四人だから。彼女たちがお約束のように探偵役の二枚目にほんのりした憧れ・恋心を抱きながら、自分たちの殺意を見透かされつつ、罪に戦いて、でも結局は彼らに救済されてしまうのは、時代が違うせいかもしれない。はっきりいって、四馬鹿小娘救済記なのだ。だがまあ、少女小説のようなこの著者の設定に興味があったのだし、シリーズ物はやはり読んでみたい。今は図書館で楽に借りられるし。
July 7, 2017
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【中古】 こころを豊かにするシンプル整理術 毎日をもっと快適に! /リタポーレ【著】,清水紀子【訳】 【中古】afbリタ・ポーレ 主婦の友社 B6並製☆☆☆○ 身の回りの整理整頓の本かと思ったら、心の整理整頓の方が優勢な内容。気持ちの切り替えについては、結構考えさせられたが、人間関係については、私はピンとこないなぁ。もとから友人が少なく、合わない人とは付き合わない(付き合えない)からだろう。そして、人間関係の鬱陶しいしがらみも、相手しだいではやる気に繋がるし。ここまで割り切れたらいいなあということを、私でも感じた。だが、人との別れで、パートナーを「解放してあげる」、別れた相手に感謝を、というのは、いつまでも引きずらないための方策として素晴らしいが、実践するには、かなりな修行が必要だ。それでも、こういう考え方になれるようになりたい。
July 2, 2017
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お米なんでも図鑑 お米とごはんのすべてがわかる!/石谷孝佑【2500円以上送料無料】ポプラ社 262mmx216mm(AB判)上製☆☆☆☆☆ 同シリーズのお豆の本を読んで、とても興味深かったので、さらに我々に身近なお米を読んだ。図書館用特別堅牢製本図書となっている、子供向けの学習本。かなりしっかりした製本だが、その分、税込で5000円を超えるお値段。そして重い。もっと簡易な装丁の廉価版でないかなぁ。 お米のことは、学校で習ったし、知っているつもりだったが、最近開発された品種、米粉の種類、稲作伝来ルートの最近の研究など知らないことも多かった。あと、お餅も自分で作ってみたくなった。
June 22, 2017
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フランス人の気持ちいい美容生活/佐藤絵子【2500円以上送料無料】佐藤絵子祥伝社黄金文庫☆☆☆☆◎ もう十年くらい前にB6判で読んだ本の再読。この本は随分長い間手元にあった。当時、手作り化粧品に凝っていたので、本文中で紹介されるスキンケア・ヘアケアのレシピを興味深く読んだ。が、今はこの本の中の料理のレシピも面白そうだと思った。苦手な整理整頓生活のモチベーションアップに繋がればと思って再読し、そうなれば、電子書籍で購入してスマホで折々に読み返そうと思っていたが、それほどでもないかな。だが、初めて読んだときの日仏ハーフの著者のフランスのおじいちゃんおばあちゃんの生活は今読んでも憧れだ。著者が作中主張するライフスタイルもかつてより共感できる気がする。 また、手元で読み返すほどではないとはいっても、本文中で紹介されていた、自分の顔を正面からだけでなく、横からも三面鏡で見てみようというのは私もやってみよう。ちょうど、大きい折立鏡を買い足したので、手持ちできるわりと大きい折立鏡もあるし。顔だけでなく、全身の横も見てみるといいかも。あとは、自分を元気付けるためにシャンパンを、と書いておられたが、私は安上がりなので、ランブルスコの赤を常備しようかな、と思ってしまった。そして、この著者のあと二冊の著作も読んでみよう。もし気に入った本があれば、それをスマホに入れよう。
June 16, 2017
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【中古】afb_【単品】_曾根崎比丘尼 - 新・雨月物語 (C・novels) 富樫 倫太郎富樫倫太郎講談社C・novels 新書判並製☆☆☆☆☆ 新雨月物語というサブタイトルで手に取り、巻頭の登場人物紹介で十手持ちが登場し、なおかつ、若き日の上田秋成が主人公で、さらに怪異に科学的な解釈のつく「観察者」シリーズを読んだ後だったので、これも怪異に合理的な解釈がつく時代ミステリだろうと思ったら、違った。怪異は怪異として、しっかり登場し、結構グロい。それでも一番怖いのは人間という結論は変わらない。それもかなりイヤな感じの結論がつく場合が多い。連作短編集で、各編が時系列で繋がっている。が、一つ一つ別個に読んでも大丈夫だろう。大阪の商家が多く登場するので、全編大阪弁の台詞がいい。新・雨月とうたっているが、雨月物語のストーリーはあまり関係ないと思う。だが、巻末の著者による上田秋成の解説は学生のレポートに使えそうなくらい勉強になる。また、続巻の始まり部分を著者が後書きにかいておられ、これが結構気になる。続巻も読んでみよう。
June 15, 2017
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憑き物 (講談社ノベルス) [ 鳥飼否宇 ]鳥飼否宇講談社ノベルス☆☆☆☆☆ シリーズ六作目の「物の怪」を読み終わった段階で、これは読まずにシリーズ第一作を読もうかとも思ったのだが、既に借りてきており、内容も面白かったのでこちらにしてしまった。今回も短編と中篇が収録されている。東北から奄美まで、日本各地でかつては妖怪や怪かしの類だと思われていたものが、夜行性動物の鳴き声などだったりするという「観察者」の見解はとても興味深い。けれど、飛行距離の長いコウモリが狂犬病に汚染されて日本にやってくる、とか喜界島の蝗害(こうがい、集団で飛ぶ飛蝗の被害)は、ちょっと不気味だ。このシリーズのように動植物の生態を上手くミステリに取り込み、なおかつ割とライトに読める小説は初めて。シリーズ第一作から既刊読破を目指そう。
June 9, 2017
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【新品】【本】物の怪 鳥飼否宇/著
June 7, 2017
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白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫) [ 湊かなえ ]湊かなえ集英社文庫☆☆☆☆☆ テレビで観て、およその展開と犯人を覚えていたにもかかわらず面白く読めた。ただもう少し理詰めの推理があるほうが好みといえば好みかもしれない。映像ではただ目に入っていただけの田舎の風景が、文字で読むと、実際の土地に当てはまらぬように曖昧に描写してあるにもかかわらず、現実味があり、それはそのまま読後感にも加わっている。女のいやらしさと男の甘さを皮肉っぽく書いているが、誰もが感じるように、そこに妙な共感を覚えてしまう。気が向いたら、他の著書も読んでみたい。
June 3, 2017
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万華鏡位相〜Devil’s Scope〜 欧州妖異譚 15/篠原美季【2500円以上送料無料】篠原美季講談社X文庫ホワイトハート☆☆☆☆☆ 著者のホワイトハートでの50冊目。これだけのペースでこれだけコンスタントに出せるって凄い。今回のテーマは万華鏡。いつものテーマといつもの展開といえばそうなのだが、やっぱり楽しく読んでしまった。万華鏡より、部品公開で周囲の景色を同じように見て楽しめるテレイドスコープのほうが面白そうだ。そういえば、作中登場したパヴォーネ・アンジェレッティ氏、また出てきてくれたら面白そうだ。
June 2, 2017
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【新品】【本】ガラクタ捨てれば未来がひらける 風水浄化術入門 カレン・キングストン/著 田村明子/訳カレン・キングストン小学館文庫☆☆☆☆ 前作「ガラクタ捨てれば自分がみえる」は、私が読んだ最初のお片づけ本。その後に読んだ本の中では、金子由紀子さんの著書と並んで参考になったので、次に出版されたこの本を読んでみた。が、この本は片づけよりもその後の風水を取り入れたスペースクリアリングに重点が置かれ、ちょっとスピリチュアル色が強くなっていた。私はどちらかというと、そういった精神性のようなものより、習慣・生活に意識を向けた片付け本のほうが好きなので、ちょっとぴんとこない。それでも、訳者のかたも後書きで書いておられたが、PCのそばに観葉植物は置こうかなと思い始めた。 また、前作「ガラクタ捨てれば自分が見える」はこの本の第五章をふくらませたものだと書いてあった。確かに私も第五章が一番読みやすかった。いつの日か、家のガラクタを処分しきれた、という気になったとき、この本を参考にスペースクリアリングを目指してみようかな。
June 1, 2017
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翻訳できない世界のことばエラ・フランシス・サンダース創元社 171mm x 195mm 上製本☆☆☆☆☆ イラストも装丁も素敵な本。内容も想像力を刺激してくれる。日本語からも「ぼけっと」「木漏れ日」「積読」「侘び寂び」が取り上げられている。でも、なんだか「侘び寂び」の説明は、日本人にはしっくりこないかも。他もちょっと英語を翻訳しました感がないとはいえない。でも、読んでいて楽しいからいいや。印象的なコトバはどういうわけか、少数民族の言葉、とても抽象的で含蓄を感じてしまう。そして、どこの国も考えることは一緒、と笑ってしまうコトバもあった。ドイツ語で "DRACHENFUTTER"、龍の餌って、夫が悪い振る舞いをして、妻に贈るプレゼントのことだそうだ。同じくドイツ語で "KUMMERSPECK"。悲しいベーコン。食べすぎが続いて太ることだそうで、身につまされすぎ。ただ、この本では単語で紹介されているので、文章の中でどう使われているかも知りたい気がした。また、この中の素敵な単語を選んで、(いつか迎える)ペットの名前にしてみたい、とか妄想してしまった。
May 25, 2017
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【バーゲン本】異国の迷路 [ 坂東 眞砂子 ]坂東眞砂子新潮文庫☆☆☆☆☆ 著者がデビュー作、「死国」を発表する前に旅行雑誌で連載したものを本にまとめたらしい。ちょっと怖い掌編小説集。後の作品に比べると、短いせいもあって、あっさりめだが、私はこういう怖い話は好きだ。ちょっと洒落た感じがあり、あまり土俗的な感じはない。連載は1992年~1993年でまだバブルの余韻が色濃く残っていた頃だ。登場する人物、特に女性は、当時のワンレン、ボディコンとはいわないが、分厚い肩パッドの入った服をきて、ロングのソバージュを連想してしまう。ちょうど、当時のサスペンスドラマのヒロインたちのように。特に好きなのは、人の怖さが結末の第一作目と怪奇色の強い二作目。他も好きだが、この二作が特に気に入った。 この著者の作品は、「死国」と「旅涯ての地」の二作しか読んだことがないが、この本については、やはり小説家というより、ライターが書いた小説に思えて、後の作品のほうがずっと濃い。
May 23, 2017
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薔薇窓の闇(上) [ 帚木蓬生 ]薔薇窓の闇 下 集英社文庫 / 帚木蓬生 【文庫】帚木蓬生集英社文庫☆☆☆☆☆ 1900年の万国博が行われているパリが舞台。主人公は警察で診察して病院へ回す精神科のお医者さん。この当時の世相が細かく書き込まれていて読んでいて面白かった。が、当時の治療法はコワイ。でも犯罪は今と変わらないかも。 主人公の勤める診療所に自失状態の日本人の若い女性音奴が連れてこられたところからストーリーは始まる。そして、それに並行して、主人公をストーカーする馬車の存在と、パリの街を震撼させている若い女性の行方不明事件が語られる。上巻では風呂敷が広げられ終わった状態で、下巻になって、それが収束へと向かう。にしても、主人公のストーカーだけは、どうなったか今一つ気になる。そして、私が特に興味深く読んでいたのは、当時の音楽事情。ワーグナーが全盛だったらしいが、主人公はサンサーンスが好き、とか書いてあって面白かった。そして、主人公と親交が深い日本人美術商が登場するのだが、彼が印象派の絵画を日本の美術品を売った代わりに収集しているというくだりがあり、思わず上野の松方コレクションを思い出してしまった。読みにくさはないが、読み応えがあって最初読み始めたときは、あまり興味のない20世紀初頭の話だと思っていたが、いつの間にか、引き込まれていた。でも結末は予定通りかな。やっぱり主人公のストーカーのその後が気になる。
May 19, 2017
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百寺巡礼 第1巻 奈良 講談社文庫 / 五木寛之 【文庫】五木寛之講談社文庫☆☆☆☆☆ この本で取り上げられているお寺のうち、室生寺のみ行ったことがなくて、他は全て行ったことのあるお寺だった。特に、秋篠寺はほとんど毎年のように楽器の上達の神頼みにおまいりしたりもして、何回いっただろう。が、やはり本で読むと、自分が知らなかったお寺のことが書いてあり、興味深い。秋篠寺の有名な伎芸天にしろ、日本にはここだけだが、中国には多くの作例があることは知らなかった。この本を読んで勉強して、また奈良のお寺に行きたくなった。そして、近い将来、室生寺の700段の石段も登ってお参りしたい。電子書籍でスマホに入れて、旅先で読めるようにしようかな。折に触れて、別の巻も読んでいきたい。
May 5, 2017
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【中古】 金子由紀子のお片付けノート 1日5分でスッキリ! /金子由紀子【著】 【中古】afb金子由紀子大和出版 B6並製☆☆☆☆◎ お片づけ本の中では、たまに上から目線に感じることがあるが、この人の本が一番好き。また家がとっ散らかってきたので、自分に喝を入れるため読んだ。が、巻末のちょっとした家事のリストはコピーしたものの、私のようなヒマな独身女ではなく、子持ちワーキングマザー向けの内容。なので、関係ないなーという記述がなきにしもあらず。でもずっと気楽な独り身なのにできない。とくに床の上にモノを置かないは絶対にムリ。プチお片づけでできそうなのは、食事後、食器をシンクに置く、くらいだろうか。あとは、調味料類を入れる籠を用意しようかなぁ。この方は天然素材の籠と書いておいでだが、私の場合、オマケか100均のプラ籠でいいや。
May 5, 2017
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お豆なんでも図鑑 いろいろな豆と加工食品が大集合! (もっと知りたい!図鑑) [ 石谷孝佑 ]ポプラ社 262mmx216mm(AB判)上製☆☆☆☆☆ 図書館用特別堅牢製本図書となっている、子供向けの学習本。だが、大人が読んでもとても役に立つ。食用になっている豆の種類、産地、日本に伝わった歴史、日本の主な産地に、自分で栽培してみようというところや、そのお豆を使った料理を作ってみようと盛りだくさんな内容。ただ、横がA4、縦がB5のAB判というかB5判ワイドというべきか、割と判型が大きい上に用紙も厚い上製本なので、とにかく机の上に置いて読まないと重かった。 内容は、一番ページ数が割かれているのは、やはり大豆だが、他もどの料理本より詳しく書いてあり、また是非再読したい。また、このシリーズにはお米もあるようなので、これも読んでみたい。
May 4, 2017
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カミサマ探偵のおしながき メディアワークス文庫 / 佐原菜月 【文庫】佐原菜月メディアワークス文庫 発行KADOKAWA プロデュース アスキーメディアワークス☆☆☆☆☆ 連作短編集。日常の謎。封じられた古の葛城一言主神、今は葛城コトハと呼ばれている金髪碧眼の美女が、依頼者の「一言」(実際は一文)のコトバを探偵として解決する。そして、その謝礼は彼女が居着いている、居酒屋とりいの料理とお酒の注文だ。この本では、人間の食べる料理だけでなく、犬用のレシピも出てくる。そして、手の込んだプロの料理が多いので、料理はとっつきにくかったのだが、日本酒サングリアは作ってみたい。レシピ探そう。直前に読んだ本でも、この本でも犬が出てきて、犬好きとしては楽しかった。冒頭で、主人公とコトハの関係が分かったような気に成るのだが、最終話でそれが少々違っていたことが分かる。結構葛城コトハの設定も興味深いので、続巻が出たら読んでみたい。
April 21, 2017
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英国幻視の少年たち [ 深沢仁 ]英国幻視の少年たち 2 ミッドサマー・イヴ ポプラ文庫ピュアフル / 深沢仁 【文庫】英国幻視の少年たち 3/深沢仁【1000円以上送料無料】(P[ふ]4-4)英国幻視の少年たち4 [ 深沢 仁 ]深沢仁ポプラ文庫ピュアフル☆☆☆☆☆ いかにもなタイトルと設定だなぁと思いながら読んで、やっぱり面白かった。舞台はウィッツバリーという英国の田舎町だが、3巻はロンドン。日本では、幽霊が見えるという皆川海が、ある事件をきっかけに叔母のいる英国に留学し、そこで同じ能力(第二の眼)を持つランス・ファーロングを知り合って、彼が関係する幻想的生命体(幽霊・妖精・精霊・悪魔・吸血鬼、etc……)に関わっていく。そこで、一族の変わり者だった叔母が妖精の国に恋人を捕られてしまったり、ランスが幼い頃悪魔に憑りつかれていたことがあったのを知り、彼自身が関わった目の前で自殺した後輩の女の子、美柴亜矢が幽霊となって彼と再会して、その事件と向き合う。これが大体三巻までで、四巻では、それまでで、仄めかされていた核登場人物の過去が明かされる。 1巻は、メインの登場人物が全員は出てこず、大体の状況説明という感じだった。ここで登場した小さな妖精スーと海の叔母鞠子の愛犬はんぺんが可愛い。登場人物が揃いも揃って面倒な性格なので、主人公海と同様、読者にとっても彼らが癒しのような気がする。 2巻では、夏至の前後の時期に、海とランスが妖精の国に行くという設定だったが、そこで、メンデルスゾーンのスコットランドと真夏の夜の夢を聞きながら読んだら、はまりすぎだった。この巻で主要な登場人物が揃う。上手く設定されているが、イングランドの統括責任者ハイド氏とエルフのエドワード・ノアの関係はいかにも。(好きだけど)上司に言わせると愛想がない、感情があまり表に出ず不器用な印象を受けるが、古武士のようなハイド氏の養い子といえるエドやランスがどうしてああもひねくれた性格なのか疑問を持ってしまう。 3巻は舞台をロンドンに移し、ランスの背後にある、英国特別幻想取締報告局という長ったらしい名前の組織の本部で、彼の育ってきた環境が分かる。このあたり、設定は随分違うのだが、雰囲気がハリー・ポッターに似ている。この巻で大体登場人物とその背景が出揃う。起こった事件の張本人、ウェールズの統括責任者ドレイクのパートナー、ニコールのドレイクへの思いも紅涙を絞りそうだ。そして、この人の背景はどうなっているのかな、というところが、次の4巻で登場する。 4巻では、エドワード・ノアとハイド氏、皆川鞠子とグレン・バーンズ、ランスとハイド氏、エドとの関係、海が英国に来た背景が出てくる。エドと酷い虐待を受けた犬、グリムのところは、結末を予想していたものの、やっぱり涙が出た。このエピソードを踏まえると、彼らのはんぺんの可愛がり方も切ない。このエピソードに出てきたロスもまた出てこないかな。そして、ランスとの関わりも、エドって本当に素直じゃないということがよく分かる。ランスのややこしい性格の2割くらいはこのエルフの責任のような気がする。2巻でまだ知り合って間もない海に二人が「兄弟喧嘩に巻き込むな」と言われているが本当にその通り。ただ、ハイド氏、エド、ランスの関係は結構ツボだった。 登場人物の背景もおよそ全部出てきて、次は発刊のペースからいくと、今秋あたりだろうか。となると私が読むのは冬になりそうだが、続巻を楽しみに待ちたい。
April 19, 2017
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清らかな背徳【電子書籍】[ アン スチュアート ]アン・スチュアートハーレクイン MIRA文庫☆☆☆☆ 前に読んだエスピオナージュ?ハードボイルド?系よりは、読んでいてしっくりきた。翻訳もののせいか、結構読み応えもある。中世イングランドを舞台にしたハーレクインヒストリカル。他の方のレビューを拝見していて、この著者のヒーローは苦悩するタイプと分かったが今回もそんな感じ。前に読んだ「黒い微笑」より好み。割とアタマがいいはずのヒロインが、ヒーローと絡むとお馬鹿な小娘になるのはお約束なんだろうな。また今回は、もう一組カップルが誕生したが、こちらも結構読者サービスになるとりあわせだ。また、さほどヒロインを性転換したくはならなかった。 現代モノのロマンス小説がいけたので、歴史モノのいけるだろうと思ったが、幸いなことにこちらの方が好みだ。ハーレクインヒストリカルは前から気になっていたし、また気が向いたら読んでみよう。
April 6, 2017
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赤の雫石〜アレクサンドロスの夢〜 欧州妖異譚14 [ 篠原 美季 ]篠原美季講談社X文庫ホワイトハート☆☆☆☆◎ マンネリを感じつつ、つい読んでしまう。今回はアシュレイが囚われの身に?となっていたので、楽しみにしていたが、あれは、確信犯だ。でもストーリー展開は結構面白かった。シモンがまんざらでもなさそうな女性が出てきて、今後が楽しみ。欲を言えば、もう少しアンリとユウリのお取り巻きが絡むシーンが欲しいけれど。今回、シモンとアンリの場面があったので、まあいいとしようか。
April 6, 2017
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Symphony漆黒の交響曲日本推理作家協会編講談社文庫☆☆☆☆☆ アンソロジー。暗い越流 若竹七海、本と謎の日々 有栖川有栖、ゆるやかな自殺 貴志祐介、悲しみの子 七河迦南、青葉の盤 宮内悠介、心を掬う 柚月裕子。有栖川有栖以外は、貴志祐介が一度呼んだことがある程度で、他は全て初めて読んだ著者。だが、傑作選というだけあって、どれも面白かった。どの作家も今度読んでみたい。若竹七海のラストの登場人物のどんでん返し(?)はかなり好き。七河迦南は一種の叙述トリックだと思うが、こんなのアリかと思いつつ、さほど好みではないとは思わなかった。家族がネタだからだろうか。貴志祐介はテレビ化もされたシリーズもの。他も読みたい。青葉の盤はちょっとフェアリーテールのようだが、綺麗にまとまった作品でいい。心を掬うは結構変わり者っぽい検事の捜査への執念が事件を解決する。姉妹編の毒薬協奏曲も読んでみたい。
March 29, 2017
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雨色の仔羊 警視庁捜査一課十一係 講談社ノベルス / 麻見和史 【新書】麻見和史講談社ノベルス☆☆☆☆☆ 今回はタイトルの通りというべきか、子供が作中で重要な役割を果たす。その子供と唯一コミュニケーションがとれるのが、ヒロインの如月塔子だというのはまあお約束だろう。それが、父親の形見の古い型の腕時計というのがなんとなく好き。あと、ヒロインの名前の由来が明かされ、笑ってしまった。 この子供がなかなか心を開かないせいもあって、捜査も難航するのだが、その分ストーリーも紆余曲折が多く、読んでいて読み応えがあった。更に、この後に続く意味深な出来事が最後に告げられたりして、先も楽しみだ。
March 23, 2017
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黒の微笑【電子書籍】[ アン・スチュアート ]アン・スチュアートMIRA文庫(ハーレクイン)☆☆☆◎ ハーレクインロマンスを読んでみようと思って読んでみたら、本当に版元がハーレクインだった。このてのスパイサスペンスで、主人公の相手役の所属組織がはっきりしないことを除けば、アクション・サスペンス・バイオレンスも結構味付けが濃い。でも、ヒロインで、23歳のアメリカ人の小娘クロエがとにかくお馬鹿。ヒーローのバスチャンはアホな小娘に振り回される、ジェームズ・ボンドを真っ暗闇にしたようないい男。最後はヒロインを殺しに追いかけてくる、かつてのバスチャンの同僚兼愛人モニークに感情移入してしまった。これ、やっぱりクロエとモニークを性転換して読みたくなった。そしたら、かない好みの小説になりそうだ。昔の性癖はなかなか直らない。 最後の100ページまで、途中で投げ出しそうになったが、初めてハーレクイン小説を一冊読み終わった。たまには気分が変わって面白いといえば面白い。他も読んでみたいが、きっとまたヒロインを性転換したいと書くんだろうな。
March 9, 2017
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パズル・パレス(上)【電子書籍】[ ダン・ブラウン ]パズル・パレス(下)【電子書籍】[ ダン・ブラウン ]ダン・ブラウン角川文庫☆☆☆☆☆ これが、著者のデビュー作。込み入った設定の割に読みやすいと思い込んでいたので、デビュー作から読むのも良いと思い借りてきた。が、結構この本は読むのにてこずった。なにせITに疎いので、暗号解読コンピューターが何がなんだか分からないのだ。大体、この本の内容が既に時代遅れなのか、そうでないのかも分からないのである。 ストーリーは上巻は少々コンピューター関連の内容が分からないため、読むのに時間がかかり、少々タイクツしたが、下巻はスリリングになり面白かった。だが、先を拾い読みしていて、ありがちな黒幕だったので、少々がっかりではあったが、でも、王道の設定ともいえるし、他の本を読む気がなくならない程度に楽しめるには楽しめた。とはいえ、やっぱり日本人の設定は、同国人からみるとかなりいい加減。周囲の日本人に取材して欲しかったなぁ。名前からして、エンセイ・タンカドとトクゲン・ヌマタカってなに?って感じ。いくら日本人の名前がなんでもありといっても。丹角延生、沼高徳玄ってアリといえばありだけど。
February 7, 2017
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平城京殺人事件〜「長屋王の変」異聞〜【電子書籍】[ 深谷忠記 ]深谷忠記光文社文庫☆☆☆☆☆ タイトルだけだと、平城京で起こった殺人事件を同時代人の探偵が推理する、というストーリーを想像するが、実際はサブタイトルの方が内容をイメージしやすい。長屋王の変にかかわった人々のその前後のストーリーだった。私はどちらでもこの時代なら好みなので、構わないのである。 割とこの時代の生活感が出ていて、読んでいて楽しかった。主人公は元は写経生。正倉院には、彼らの勤務実態が分かる書類が残っていて、それを思い出しながら読んでいた。写経所は今でいうとかなりなブラック勤務所だ。また、登場人物の描写も藤原武智麻呂がかつて読んだマンガの描写とかなり違っていて、興味深かった。だが、長屋王は割とこんな感じだったのだろうか、という描写だった。他の本でも、(確か長屋王の邸宅跡の発掘に触れたものを読んだときかもしれないが)周囲が貧困にあえぐなか、それを全く気にせず贅沢な生活をしていて、反感を買ったのでは、というのを読んだこともあったし。悲劇的な死を迎えたひとだが、意外と凡庸な人物だったのかもしれない。
January 17, 2017
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八獄の界 死相学探偵 6 (ホラー文庫み 2- 6)[本/雑誌] / 三津田信三三津田信三角川ホラー文庫☆☆☆☆☆ 今回は黒術師が絡んでいるらしいバスツアーに参加。参加者が一人一人死んでいくのはお約束。だが、そこがなかなか意表をつかれてしまった。その過程がじんわり怖く、サスペンスの雰囲気は抜群。そして、最後まで意外な展開で楽しめたのだが、その終わり方は少々後味が悪かった。でも先が楽しみなシリーズであることには変わりないし、主人公の祖母、「愛染さま」のキャラが大好きだ。
January 12, 2017
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魔女入門 暮らしを楽しくする七十二候の手仕事【電子書籍】[ 石田紀佳 ]石田紀佳すばる舎 A5並製☆☆☆☆◎ 内容はサブタイトルの通り七十二候に寄り添った暮らしと手仕事の本。ただ、「魔女入門」なんてタイトルだと中二病満載の魔術本のような気がしてしまう。私はこのタイトルあまり好きじゃないなあ。魔女といっても、ウィッチではなく、ウィッカに近いイメージではないだろうか。だが、日本語にこれに対応する名詞はないと思う。 紹介されている手仕事は手間のかかるものも多いが、良い意味での古風な生活で憧れる。幾つかは私も取り入れてみたいが、なにしろ横着な無精者なので、難しいかな……。大掃除の前にお弁当を作っておく、というのはやってみたいが、お弁当を作って、大掃除を済ませた気になりそうだ。そして、古くなったバスタオルをキルト芯にする、というのもやってみたい。なので、図書館で借りた本を読んだが、手元に欲しくて、電子書籍も購入してしまった。
January 11, 2017
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【中古】 探偵は犬を連れて / イヴリン デイヴィッド / 東京創元社 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】イヴリン・デイヴィッド創元推理文庫☆☆☆☆◎ カバーのわんこの写真につられて読んでみた。登場人物の数が多くて、読み進めるのに時間がかかったが、犯人も結構意外で読み応えがある。ただやはりアイリッシュウルフハウンドの女の子、ウィスキーが可愛い。ただ、ヒロイン(?)はちょっといまいちだけど、まあ、いいや。そして、主人公らしい、元刑事で探偵のマックもパリッとしないオヤジだが、結構名探偵でいい感じ。だが、私は彼への押しかけ助手で、とんがったファッションで顔が広くて有能なJJが好きだ。続巻があったら、結構読んでみたい。
January 11, 2017
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妖かし斬り 四十郎化け物始末 1 角川文庫 / 風野真知雄 【文庫】百鬼斬り [ 風野真知雄 ]送料無料/幻魔斬り/風野真知雄風野真知雄角川文庫☆☆☆☆☆ 化け物とか妖かしとかアヤシゲなタイトルで、化け物斬りを頼まれた用心棒、月村四十郎がそれを退治していくシリーズだが、残念ながら、人外のモノは出てこず、全て人のしでかしたこと、というオチになる。「心に闇、人が化け物」と本人も口にしている。しかし、それが面白かった。また、巻が進むにつれて、作中のユーモア色も濃くなり、出先で噴出して読めなくなる。登場人物が皆、人間臭いのだ。四十郎もニヒルな用心棒の剣客ではなく、少々臆病で小心者で、好みの女性にはヤニさがるオヤジである。しかも立会いの時の掛け声も妙で、さらにかつて斬った烏の未亡人ならぬ未亡烏とその子供たち、さらにその未亡烏が再婚(?)してその夫とその連れ子らしき烏まで四十郎につきまとっている。他の登場人物も桜吹雪で有名なあの人や、この著者の他の本では有名らしい人など出てくる。そして、化け物退治が評判になっても、家族がお金のかかることばかりなので、四十郎は結局見入りのいい化け物退治を引き受け続けざるをえないのだ。そこになんとも哀愁が漂うが、やっぱりどこかなさけない。さらにそこに他の仕事を持ち込まれたりして、結構忙しそうになる。 前によんだ同じ著者の歴史探偵シリーズの主人公月村弘平の先祖のストーリーだというので、読み始めたが、こちらもとても面白い。歴史探偵シリーズとこのシリーズと続巻が出て欲しい。
December 26, 2016
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糸と針BOOK [ 文化出版局 ]文化出版局編 A5並製☆☆☆☆☆ タイトルだけ見ると、縫い方の本のようだが、アジアの針仕事を集めた本。冒頭は知的障碍者施設の人たちがシャツを刺した現代アートのような作品。それから日本の刺し子やこぎん、韓国、東南アジアの少数民族の針仕事の数々が載っている。縫い目一つ一つに子供の健康を祈る産着や子供服、色々な人から端切れをもらい、それをはぎあわせて作った着物などなど。分厚く木綿地を重ねて指した作業着は、女性の手になるももだけでなく、男性の力でなければ刺せないものもあった。そのどれもが、細かな縫い目で縫われている。どれも見事なもので、目の保養になった。
December 19, 2016
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極道転生 [ 五條瑛 ]五条瑛徳間文庫☆☆☆☆☆ シリーズ二作目。今回はヤクザの世界と「塀の向こう」の世界。16年の長い刑期を終えて出てきた男のその後を、シルバーオクトパシーの古株の社員の一人が元ヤクザの若頭から依頼されることから始まる。ヤクザの世界と刑務所の世界のことが、登場人物の口を借りて説明されるが、それがノンフィクション小説のようで面白かった。また、あっという間に読めてしまう。にしても、このシルバーオクトパシーの女性二人はキャラが濃い。この二人だけでなく、男性陣にも活躍を期待したいが、何をしても女性二人に食われる気がする。でも続巻が楽しみ。
December 15, 2016
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わずか一しずくの血連城三紀彦 文藝春秋 四六上製☆☆☆☆ かなり濃密な小説。ストーリー展開も複雑なので、読むのにも時間がかかってしまった。最初は変態性欲者の連続情痴殺人かと思ったら、本の半分を過ぎた辺りから、犯人探しがあっちへいったりこっちへいったりし始め、挙句、担当の刑事までが……。謎だらけの人間が謎だらけの事件を起こした感じだ。 この著者は初期にミステリを書いていて、それが名作ぞろいと聞いていたので読んでみたのだが、この本は読みにくかったものの、ミステリではなくても、他の小説も読んでみたい。玄侑宗久氏の小説にも感じるのだが、この人の小説を読んでも、何となく大人になった気分になれそうな気がする。(いい歳して何を言ってるんだか……)
December 15, 2016
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信長・曹操殺人事件 歴史探偵・月村弘平の事件簿/風野真知雄【2500円以上送料無料】風野真知雄実業之日本社文庫☆☆☆☆☆ 結構ライトなのだが、毎回歴史解釈が面白く、すっかりお気に入りになったシリーズ。今回は私の住む東西線沿線と母校が出てきたので、より楽しめた。また、作中の「がいじんごっこ」もおもしろかった。ただ、今回の歴史解釈は、作中でも突っ込まれているが、設定的にもライト。でもそれにすら意味があるところが、この著者の職人芸というか、上手いところだと思う。探偵月村のご先祖の捕り物帳(?)も出ているので、そちらも読みたいし、この本の続巻も期待している。月村とその周囲の女性模様が今後面白そうなのだ。
December 5, 2016
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黒面の狐 [ 三津田 信三 ]三津田信三文藝春秋 四六上製☆☆☆☆☆ 前作「怪談のテープ起こし」で言及されていて、刀城言哉シリーズではなく、別の主人公で、となっていた作品。戦中・戦後の炭鉱の様子他、かなり内容が重い。刀城シリーズでも遊女のことを扱った本があったが、それ以上に重い内容で、心なしか文体も重く感じた。 ただ、この本は他とくらべて、怪奇色は薄め。どちらかというと本格ミステリといえる内容。結構トリックはありかな~これ、という感じがしなくもない。ただ、章が変わるごとにルビが振られるくらい読みにくい主人公、私も最終章になるまで、苗字が覚えられなかったのだが、彼を巡る人間関係は結構面白い。とはいえ、いつもの三津田作品、怪異が探偵の推理で解決できたわけではない。
December 5, 2016
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