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2005年09月30日
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カテゴリ: 絵本
こんなにしずかな、うつくしい人間の顔を見たのは、はじめてでした。

猫は生きている
『猫は生きている』
早乙女勝元・作、田島征三・絵
理論社
1973年初版(三年後の1976年6月で、第21刷)

私が小学生の時は、夏休みの登校日には平和教育がありました。
たぶん、その時の教材だと思います。

東京大空襲の時の話。人間の主人公たちは、皆、悲惨な最期を遂げます。
読んでいて、とても、きついです。体がきつくなります。
「それ、キッツー。」っていうニュアンスじゃなくて、ほんとに苦しくなるの。


ずーっとわたしの記憶にはこの物語のお母さんの行動が記憶にはっきり残っていました。

絵もすごい力で、子供の私には怖かった。だけど、手に取らずに入られない。

人間の主人公。
空襲の時、お母さんは長男(小1~小3ぐらいと想像)とはぐれます。
お母さんは赤ちゃんを背負って、長女(5歳くらいと想像)と逃げますが、
お母さんの目の前で、長女の背中に焼夷弾が刺さります。即死です。とっさにお母さんは、素手で、その焼夷弾を引き抜こうとします。手はやけどでただれます。

鉄筋防火建築の工業学校の門をたたきますが、誰も開けてくれません。
(関係ないかもしれないけど、関東大震災の時も、銀行や大きな建物は開かず、建物の前でたくさんの人が真っ黒にこげている写真を見たことがあります。)
「赤ちゃんだけでも助けて。」

火が迫ってきます。火によって、暴風も起こっています。逃げられません。
お母さんは、学校の裏手に回りこんでいました。

火傷した手で、必死に地面を掘ります。小さなくぼみができました。
お母さんは、懐に、子猫も入れていました。そのくぼみに赤ちゃんを入れ、子猫もいれ、おっぱいを出して赤ちゃんにくわえさせ、上に伏せます。

お母さんの上にも火が暴風とともに、息もできないくらいものすごい火が通過していきます。(お母さんはそのままの形でまるこげ。当然赤ちゃんも蒸し焼きで亡くなりました。)

長男は、一人で必死に逃げます。途中、お母さんの懐に入っている猫の家族とあいます。最期は、猫たちを助けて力尽きてなくなります。

猫たちは全員生きていました。ひげや耳は焼け焦げてしまってますけど、でも、生きていました。




だけど、話は、すごく飛ぶんですが、私のまわりに、いい年して、ほんっとに人の気持ちとかがわからないし、人の気持ちを想像するっていう感覚すらわからないって人がいるんです。
この本どころか、こういう類の本、子供の時に読んだ経験がないそうなんです。
受験勉強だけで、子供時代をすごし、友達の中でのリーダー、名士の子供として、田舎の跡取りとして、親はもちろん親戚からも特別扱い、なんでもあり、(だけど本人はそのプレッシャーもあるし、それなりの苦労はあるみたいなんだけど。)
子供の頃から、ドストエフスキー(世界の名作を岩波文庫、つまり子供用じゃない。)とか、長じてはブコウフスキー(一種独特の退廃的な世界観の小説を書く現代作家)とかばかり読んでたそうです。
ある時、その人に、色々聞いてみた。私、馬鹿だから、なんでも死ってそうなその人のこと、尊敬すらしてたことがあるんですけど、付き合いが長くなってくると人間関係における感覚などがおかしいなと思うことが多々あり。

わかったこと。たくさんの”量”の本を読んでいるのは確か。だって、日本人が発音しにくいような、小難しそうな作家の名前だけは、口からぽんぽん出る。だけど、背伸びして読んでるものですから、物語の本質、ぜんぜんわかってないんです。
年相応の言葉や感覚にまで下がって書いてある、でも書いてある内容は、「この世の真実」という本を読む、という経験がないんです。

そんなことを思い出し、現在の「成績が良いけど(のに?)、重大な犯罪を犯してしまう子が出てしまう。(無知で、環境が悲惨で、という犯罪は調べてみれば昔からあるみたい。)」という事など、考えてみると、この本みたいな、やさしい言葉の絵本、だけど、大切なことが書いてある本、内容はとてもハードで、下手すると子供の心を深く傷つける本(私は自分のことを考えると傷になってると思う。硬い地面をみると、これを素手で掘る自分が浮かんだり、色々。)を、子供に読ませる教育っていうのは、まったくナシじゃないのかもしれない。と思いました。

絵がとてもヘヴィーなので、人形劇とかならまた印象は違うかもしれませんが。





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Last updated  2006年02月23日 23時28分08秒
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実話だそうですね  
その東京大空襲での、堅い土を掘ったため両手の爪がはがれ、ひっくり返した黒こげの遺体をひっくり返したところ、お腹のあたり、ちょうど穴の‘ふた’だった部分は焼けないで真っ白だった、また、黒こげの遺体ばかりの中、その赤ちゃんだけは真っ白な‘仏様’だった、という壮絶な話だそうですね。

連日、テロや戦争の実話のニュースがいやでも目に入ってきます。
8歳と5歳の娘には、目をそらすことなくあえて現実を知ってもらおうと、包み隠さず話しています。
平和な社会では、一人でも殺人を犯せば犯罪になる。一方、戦争の世界では一人でも多く殺すほどほめられる、と言う話をしたところ、ショックを受けたようではあるけれども、自分なりに消化して、学校でも話しているようです。

知識や考え方が、「血となり肉となる」のが、その人の人間性を豊かにすることだと思います。
文中の人は、知識が「頭」の表層に浮遊しているだけで、「心」の中にストンと落ちてないんでしょうね。
それだけ恵まれた環境で育ったのに、もったいないことです。



(2005年10月01日 01時37分24秒)

Re:実話だそうですね(09/30)  
cherrybeeroom  さん
アルナーチャラムさん
レス、遅くなってすみません。ずっと考えてたんですが、難しくて。

実話。初めて知りました。そうだったんですか。

ニュースの内容などは、私も教えるんですが、お話を読んでの衝撃って、また、違いますよね。
なんだか。

だからなんとなく、よりそって 教えたいというか。

やっぱり表現するのは難しいです。
私も、目をそらさないほうに賛成です。
物語じゃなくて、ニュースをそのまま知らせたいというか。

事実を淡々と聞くよりも、考えるよりも、
物語って、深くに入り込むような気がして。

(2005年10月04日 00時23分04秒)

思い出しました  
kisa さん
みなさんの書いている内容を見て思い出して・・・涙が止まらないです。「猫は生きている」子供の頃、すごいショックを受けて友達と長く話し合いました。確か・・・最後には(間違っていたらすみません)橋の場面で猫を助けて男の子?は水の中に沈んでゆき、命を落としてしまったように記憶しています。
私の時代は、図書館にこの本と「はだしのゲン」があって、みんな読んでいたと思います。すごい衝撃でした。恐ろしかったです。
私も戦争は知らないです。でも、その恐ろしさは充分教わりました。これからの人たちも、もっと知ってほしいです。伝えてほしいです。
今の10~20代の方に心からわかってほしいです。もし、今そんなことになってしまったら・・・
もし、ではなくなるかもしれないし・・・という危機感を持って、知ってほしいです。

(2006年08月12日 02時13分16秒)

Re:思い出しました(09/30)  
cherrybeeroom  さん
kisaさん
書き込みありがとうございました。
>もし、ではなくなるかもしれないし・・・という危機感を持って、知ってほしいです。

最近のニュース等、私も子どもと時々話します。
子どもが何となくつけてるテレビのニュース番組に流れるニュースをみて、「怖い」というようになりました。
(最近文章を書いてないので、ますます表現が下手になって分かりにくい表現で申し訳ないですが、、つまり)最近の世界の状態をニュース等で間接的にみても、幼すぎる子や、そのようなことに興味のない子は口に出さないと思うんですけど、「怖い」と。
これを聞いている親としての私は、なんとなく、「ああ、こっちにきてくれてるなあ。」と。

ティーンエイジャーになりかけくらいの年令のときに、戦争に憧れたりせずに、「こっち」(戦争を憎む)ほうに。

60年間も日本は平和が続いているけど、それは「まだ」60年なんだから。
それを守っていかなきゃ。
江戸時代は300年間も平和が続いたんだから。
スウェーデンは150年間、古代には確か1000年くらい平和が続いた国があったような気がする。
(間違ってるかもです。とにかく、”「まだ60年」なんだから。”と。そして、「私の言う数字は間違ってるかもしれないから、気になるなら自分で調べなさいね。たとえば「ソグド ローマ 平和」で、検索)たとえば http://www.kinokuniya.co.jp/nb/bw/koubou/contents.htm などの本」と、何でも知ってるおかーさんとしてのプライドも、捨てて(笑)言います。
なーんて話をしてやります。)
(2006年08月14日 15時23分37秒)

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