記事一覧

記事一覧

PR

×

Archives

2026年05月
2026年04月
2026年03月
2026年02月
2026年01月
2025年12月
2025年11月
2025年10月
2025年09月
2025年08月
2005年09月30日
XML
カテゴリ: 絵本
こんなにしずかな、うつくしい人間の顔を見たのは、はじめてでした。

猫は生きている
『猫は生きている』
早乙女勝元・作、田島征三・絵
理論社
1973年初版(三年後の1976年6月で、第21刷)

私が小学生の時は、夏休みの登校日には平和教育がありました。
たぶん、その時の教材だと思います。

東京大空襲の時の話。人間の主人公たちは、皆、悲惨な最期を遂げます。
読んでいて、とても、きついです。体がきつくなります。
「それ、キッツー。」っていうニュアンスじゃなくて、ほんとに苦しくなるの。


ずーっとわたしの記憶にはこの物語のお母さんの行動が記憶にはっきり残っていました。

絵もすごい力で、子供の私には怖かった。だけど、手に取らずに入られない。

人間の主人公。
空襲の時、お母さんは長男(小1~小3ぐらいと想像)とはぐれます。
お母さんは赤ちゃんを背負って、長女(5歳くらいと想像)と逃げますが、
お母さんの目の前で、長女の背中に焼夷弾が刺さります。即死です。とっさにお母さんは、素手で、その焼夷弾を引き抜こうとします。手はやけどでただれます。

鉄筋防火建築の工業学校の門をたたきますが、誰も開けてくれません。
(関係ないかもしれないけど、関東大震災の時も、銀行や大きな建物は開かず、建物の前でたくさんの人が真っ黒にこげている写真を見たことがあります。)
「赤ちゃんだけでも助けて。」

火が迫ってきます。火によって、暴風も起こっています。逃げられません。
お母さんは、学校の裏手に回りこんでいました。

火傷した手で、必死に地面を掘ります。小さなくぼみができました。
お母さんは、懐に、子猫も入れていました。そのくぼみに赤ちゃんを入れ、子猫もいれ、おっぱいを出して赤ちゃんにくわえさせ、上に伏せます。

お母さんの上にも火が暴風とともに、息もできないくらいものすごい火が通過していきます。(お母さんはそのままの形でまるこげ。当然赤ちゃんも蒸し焼きで亡くなりました。)

長男は、一人で必死に逃げます。途中、お母さんの懐に入っている猫の家族とあいます。最期は、猫たちを助けて力尽きてなくなります。

猫たちは全員生きていました。ひげや耳は焼け焦げてしまってますけど、でも、生きていました。




だけど、話は、すごく飛ぶんですが、私のまわりに、いい年して、ほんっとに人の気持ちとかがわからないし、人の気持ちを想像するっていう感覚すらわからないって人がいるんです。
この本どころか、こういう類の本、子供の時に読んだ経験がないそうなんです。
受験勉強だけで、子供時代をすごし、友達の中でのリーダー、名士の子供として、田舎の跡取りとして、親はもちろん親戚からも特別扱い、なんでもあり、(だけど本人はそのプレッシャーもあるし、それなりの苦労はあるみたいなんだけど。)
子供の頃から、ドストエフスキー(世界の名作を岩波文庫、つまり子供用じゃない。)とか、長じてはブコウフスキー(一種独特の退廃的な世界観の小説を書く現代作家)とかばかり読んでたそうです。
ある時、その人に、色々聞いてみた。私、馬鹿だから、なんでも死ってそうなその人のこと、尊敬すらしてたことがあるんですけど、付き合いが長くなってくると人間関係における感覚などがおかしいなと思うことが多々あり。

わかったこと。たくさんの”量”の本を読んでいるのは確か。だって、日本人が発音しにくいような、小難しそうな作家の名前だけは、口からぽんぽん出る。だけど、背伸びして読んでるものですから、物語の本質、ぜんぜんわかってないんです。
年相応の言葉や感覚にまで下がって書いてある、でも書いてある内容は、「この世の真実」という本を読む、という経験がないんです。

そんなことを思い出し、現在の「成績が良いけど(のに?)、重大な犯罪を犯してしまう子が出てしまう。(無知で、環境が悲惨で、という犯罪は調べてみれば昔からあるみたい。)」という事など、考えてみると、この本みたいな、やさしい言葉の絵本、だけど、大切なことが書いてある本、内容はとてもハードで、下手すると子供の心を深く傷つける本(私は自分のことを考えると傷になってると思う。硬い地面をみると、これを素手で掘る自分が浮かんだり、色々。)を、子供に読ませる教育っていうのは、まったくナシじゃないのかもしれない。と思いました。

絵がとてもヘヴィーなので、人形劇とかならまた印象は違うかもしれませんが。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006年02月23日 23時28分08秒
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: