
先日の秋鮭です。秋のコースのテリーヌを作った残りがたくさんあったので、スペシャルメインディッシュにしました。皮をパリパリに身を半生に焼いた鮭のポワレです。鮭はおろして小骨を除き、皮と身に塩を振ります。塩加減は、塩鮭に例えるなら甘塩から中口程度。鮭も水分が多い魚なので、塩をあてると余分な水分が抜けて旨味が増します。料理というのは、塩と火と香りだと思っています。この三つの要素を自在にコントロール出来れば、美味しい料理が作れるのではないでしょうか?特に塩は大事です。一番大事!
だから私が素材に塩を振る時は、“命がけ”と言っても良いくらい集中します。うまく塩が振れたらほぼ味が決まります。よくフランス料理はソースが命なんて言いますが、素材に塩が決まった場合私にとってはソースなんてどうでも良いくらいなんです。最高に美味しい焼き鳥屋さんの塩焼き!味は決まっています。そのままでもちろん美味しいですね。でも、そこにスダチやカボスなんか垂らしても良いですよね!これは香りであり酸味がソースの要素なんですね。七味唐辛子や柚子胡椒なんかも良いですね!辛味であり香りです。これもソース的要素。その他にソースにはバターや生クリームや卵やオリーヴオイルなど、脂肪分の要素がありますが、これははっきり言って日本人には必須なものではない気がします。
もともとクラシックな料理は、しっかり火を通すものが多いです。特に魚料理の場合、昔は冷蔵庫もなかったですから、鮮度も今と違いますから、、がっちり火を通さないと危ない面もあったわけです。そうするとやはり身がパサパサしますから、バターや生クリームをたっぷり使ったコクのある重厚なソースが活きてくるわけなんですね。ところが、今の時代こういう鮮度の良い素材が使えるわけですから、御覧のようにしっとりとした火入れをすれば、むしろ重厚なソースは邪魔になるくらいです。
ただし、ワインとの相性を考えると軽いソースとはいえソースは無視できません。近頃の最先端の料理人たちはクラシック系のソースを排除する傾向にありましたが、ここにきてまたソースの重要性が見直されつつあるようです。

ソースは、煮詰めた赤ワインに赤ワインヴィネガーを少し加えてバターを少し落としました。特にバターでつなぐ感じではなく、最後に少しバターを加えただけです。
鮭、サーモンは魚とはいえ、こういう半生な火の通し方をするとかなり肉肉しい感じになります。魚料理で赤ワインを飲みたい時に、こういう火の通しの鮭やサーモンは最適です。ブルゴーニュのヴォルネィの果実味がある若目のワインを少し低めの温度で合わせるとか、サンセールの若い赤を冷やし目で合わせるとか、、、もちろん、白ワインを合わせるなら白ワインを使ったソースや、ただの溶かしバターとかでも良いし、焦がしバターなんかでも良いですけどね。
まあ、火の通し加減と塩加減が最高に難しい料理です。鉄人石鍋シェフがたしかこういうタイプの料理をやっていました。ソースにはサーモンのジュネーブ風Saumon a la genevoiseというクラシックな料理で使うやり方で作っていました。つまり、、、鮭の頭や中骨などのアラをオーブンで焼いて赤ワインをたっぷり使って出汁を取ります。それを漉してアクや脂を取り除き、よく煮詰めてバターでモンテして仕上げるというソースです。エスコフィエ風のクラシックソースですね。凄く美味しいと思いますが、手間や原価を考えるとちょっとやりすぎかなという気がします。石鍋シェフのやり方だとソースのためだけにこの料理の売値が¥1500か¥2000くらい高く設定しないと採算が取れませんからね、、、。フランス料理のクラシックソースは手間とお金がかかるんです。
Saumon d’automne cuit en peau crousitillant au vinaigre de vin rouge皮をパリッと身は半生に焼いた三陸産秋鮭の赤ワインヴィネガー風味という料理で、いまスペシャルメインディッシュで出しています。
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