真実一路

真実一路

2014.05.20
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カテゴリ: 環境・文明
5月18日放送TBSテレビ「噂の東京マガジン」の噂の現場コーナーで取り上げた話題が興味深かった。

ありのままの自然を大切にしてきた上高地にはホタルはいらないという意見に対して、生態系などに影響がないのであれば駆除しなくてもよいのではという意見、双方の意見があるなか、さあどうすべきなんだという悩ましい問題。

環境保護、生態系維持という原則からすれば、通常は駆除も致し方ないということになる。
しかし問題のホタルは、川から離れた小さな池の限られた一帯にだけ住み着いており、今のところ生態系への影響、人的被害もないということである。また、同じ長野県の志賀高原でも同じようにホタルが住み着いた場所があり、ここでも最初は人為的に持ち込まれたとみられているが、それは明治の頃のようで、すでに相当の期間が経過して定着し周囲への影響もないことから、ここでは逆に天然記念物とされているということであった。

上高地での件を持ち込んだのはホテル関係者と思われるが、番組による現地でのインタビューでは駆除に反対の声が多いようであった。いわく「あんなにカワイイのに...」だ。この言には人間のエゴというか、愚かさが露呈されている。
もしホタルが毒蛇だったらどうだろう。毒蛇でなくとも、他地域の特殊なゴキブリとかムカデとか、そういう類の生物だったらそれが環境に悪影響を及ぼさなかったとしても、おそらくみなが「早く駆除せい」となるだろう。これは人が人を扱う態度と本質的に同じところがある。物事の本質を捉えず、見た目のイメージ、好き嫌いで価値判断をするという愚かな癖で、これが人類史上繰り返し起きた悲劇の大きな原因の一つとなってきた。

さて、実際にはどうしたものだろう。環境省の回答は、有害性(影響度)、期間(定着度)、その他を考慮して個別に検討されるとしている。一応、今の環境保護制度の原則の下、駆除の方向性は取りやめず、学術的な一定の期間環境への影響を観測する(様子を見る)というのが妥当だろう。志賀高原での前例を踏まえるべきであり、さりとて将来に起こることは予測できないので、駆除の方途も否定することはできない。公がそれを認めれば、害がなければ他生物を持ち込んでもいいという誤った風潮が広がる恐れがあり、秩序維持が保てなくなるからだ。





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Last updated  2014.05.20 17:44:28
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