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いやあ、急に首都圏も寒くなってきましたね。そんな中で行ってきましたのは、横浜美術館で開催中の「束芋 断面の世代」展です。束芋さんの個展には、「ヨロヨロン 束芋展」に行ってきたぞなで書いたとおり一度行っております。それと比べると、今回は横浜美術館の大きい空間を活かした展示が多く、それが大きな魅力になっていると思います。まず、エントランスを入ると、館内が暗い!そして真正面に、今回の新作「団地層」が展示されています。団地が、まるでCTスキャンをしたように断面にされ、そこからエンドレスに様々な家具が落ちていく・・・。 こういう昭和後期の日本や「落ちていく」というモチーフは、デビュー作にも見られたところなのですが、ストーリー性を持たせずに淡々と描写していくところが良いですね。鑑賞者が、様々なものを投影できる余地が拡大していているように思います。 また、あえて新作なのに、家財道具などもちょっと前のものに設定しているのも、同じですね。おそらく、束芋さんの心象風景にある「日本」なんだと思うのですが、村上隆さんや森山大道さんのような日本ではない、非常に普通な情景の中や裏側に潜む不気味さ、変さを際立たせる風景です。 他にも新聞連載小説「惡人」の挿絵や新作のインスタレーションなど、ちょっと「怖いもの見たさ」(グロいというのではなくって、裏側にある不気味さ?)な感じを満たしてくれる、かなり面白い展覧会でした。全体的に、美術館の大きなキャパシティを使い切って、負けていません。ただ、猛烈に感動するほどでもないのが・・・。なんでだろう。
2010.01.31
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三菱一号館美術館の前に展示されているのは・・・。ヘンリー・ムーアの「腰掛ける女」です。面白いことに、この作品は三菱一号館が持っているのではなく、彫刻の森美術館の持っている作品だということです。(参考サイト)中庭に配置されていて、ちょっとしたロンドン気分ですね。美術館の中から庭を見てみます。階段。中は、いまの法律に合うように、明治のものを再現したあと、所々にアクリル製の覆いをつけていたりしています。<番外>東京中央郵便局が正面だけスッパリ。民営化云々、鳩山弟などが頑張っておりましたが、正面だけ残って後ろ側はオフィスビルに建て替えられております。ちょっと先に行くと、オリジナルを復元するために、大きな努力を払った建物。もう一つは、せっかくオリジナルが残っていたのに潰してオフィスビルにする建物。また、東京駅はオリジナルの建物を大規模に修繕しています。失ったモノを再び手に入れるのは難しく、決して同じモノにはなりません。そして、オリジナルを保つ難しさと意義。そのことを痛烈に味わえるのが、現在の丸の内界隈でございます。
2010.01.09
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いや~。丸の内のオフィス街に、こんな建物を復元してしまうというのは、三菱地所も物凄い会社ですね。今回来ましたのは、丸の内にあります、三菱一号館美術館で開催されていた、「一丁倫敦と丸の内スタイル展」です。明治時代にジョサイア・コンドルによって設計された煉瓦造りのオフィスビルがあったのですが、昭和になって取り壊されており、原型は何もありませんでした。 ところが、21世紀になって明治時代に建てられたのと同様に復元してしまおうというプロジェクトが立ち上がり、丸の内に新築されたんですね。 建物については、また後ほど。 さて、この「一丁倫敦と丸の内スタイル展」は大きく分けて二つのセクションに分かれています。一つは、建てられた明治の戦後に至るまでの丸の内や東京の都市生活の推移、もう一つはこの復元プロジェクトの過程です。 明治から戦後のセクションに関しては、江戸東京博物館っぽい要素が非常に強かったですね。江戸時代から現在までの移り変わりを見ますと、丸の内という地域がどのように発展していったのか、というセクションもありますが、非常に興味深かったのはオフィスの移り変わりです。 たかだか100年ぐらいしか経っていないのに、人々のファッションやワークスタイル、余暇の過ごし方まで「こんなに変わっていったのか」と思うことしきりです。モノもあんまりないし、オフィスもサッパリしていますし。今とは比べものにならない事務作業が発生したんだろうな、と思います。おそらく、この環境の中で戦後も仕事をしていた人も多くいたのでしょうが、ハード面に関しては、あまり満足できていなかったかも、と想像します。まあ、10年前から比べてみても、明らかに仕事のやり方も変わりましたけどね。 明治時代に野原で、一部だけにポツンと、まるで映画のセットのように作られた「一丁倫敦」。しかも日本に来る客船の中で「日本もこんなに文明国なんです」という映画を流していたのですが、それがほぼ丸の内近辺の近代的なビルと、まばらに走っているクルマというのが泣けます。本当に、映画のセットみたいなもので、諸外国ならばひっきりなしにクルマや馬車の往来があるかと思いますが、ポツーンとしているんですね。日本が先進国入りを果たしたのも、本当に最近のことなんだな、と実感いたしました。 また、建物の復元についてのセクションは、まさに「プロジェクトX」の塊です。今では日本国内で作っていないような建材も多いんですね。煉瓦は中国でおばちゃんたちが手作りしていましたし、屋根の天然スレート(石で作っています)は、海外からでした。また、細かい手すりなどの鋳物も記録がないものに関しては「全部輸入品だった」ということから、当時のイギリスのカタログから復元していたということです。もう、壮大なプラモづくりのような気がしてきます。梅佳代さんが工事の関係者の方の写真を撮ったりしていましたが、こちらは梅さん「らしい」作品でした。そういえば、今年の大河ドラマでも準主役が岩崎弥太郎ですが、非常にグッドタイミングの開館ですね。ここまでやるか!というこだわりが見られる展覧会でした。一丁倫敦と丸の内スタイル
2010.01.08
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年末に「坂の上の雲」のドラマがNHKで放映されましたが、今回やってきましたのは、その主人公のひとり正岡子規の記念館です。(といっても、実際に訪問したのは昨年ですが)。 松山市にある「松山子規記念博物館」は、道後温泉本館や道後温泉駅からも近く、かなりアクセスもいい感じです。もっと流行してもいいのでしょうが・・・。内容は、普通の地元の資料館のような感じです。 展示物も、最初のセクションは「正岡子規」に関係のない、地元の土器とか。 もちろん、子規の記念館ということで子規の展示品も多いのですが、ここに来たからと言って、何か面白いものがあるかといえば、そういうわけでもない、ちょっと微妙な展示でした。 私が館内に行った時には、中も閑散としており、展示室も薄暗い感じでした。結構前に行ったので印象が薄くなってしまっている部分もありますが、「この展示が面白かった!」という印象が薄いんですね。文章や書、正岡子規自身など展示品やテーマにポテンシャルがありそうな分、非常にもったいない文化施設だと思いました。 もちろん、市内には「坂の上の雲ミュージアム」などもあるのですが、せっかく「子規」が注目されている時期に、非常に惜しい。松山城や坂の上の雲ミュージアムは、まだ思いだせる部分があるんですけど・・・。とりあえず、ウェブでの情報発信を、もう少し頑張るところから始めた方がいいとは思いました。
2010.01.07
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そういえば、まだこの展覧会も今月一杯まで会期が残っています。六本木の東京ミッドタウンの21_21で開催中の「THE OUTLINE 見えていない輪郭展」ですね。日本で一番売れっ子のプロダクトデザイナー、深澤直人さんの今までの作品と、それを撮った藤井保さんの写真の展覧会です。この展覧会、着目点からしてとても面白い。「デザインの輪郭」とだけ聞くと、なんのこっちゃという感じなのですが、写真と作品を見ていくと、深澤デザインの重要な要素であることが納得出来ます。サイトにはわたしの役割はその輪郭を割り出し、そこにぶれなくはまるものをデザインすることである 深澤直人というメッセージが紹介されていますが、深澤さんの思想をよく現していますね。つまり、彼のデザインというのは、必然性を突き詰めた美しさなのだなぁと感じましたね。この必然性というのは、決して産業的な生産性とかコスト(だけ)ではなくて、それを使っている生活者の内面やライフスタイルを含めた形での、究極的に行き着いた形としての「必然性」とでもいうべきでしょうか。これは、以前に府中美術館で「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代-機能主義デザイン再考-」の最後に深澤作品が展示されているとおり、ドイツ流のバウ・ハウス的なデザインの系譜を踏みつつ、合理的でスマートな現代の潮流、日本的なディティールの心遣いが合わさったことで生み出されているのではないか、とも思います。また、写真作品も美しい。モノと周囲の輪郭に注目した写真なわけですけど、おそらく、これ以上に合理的で美しい輪郭はないだろうな、と思わせる。モノの存在と周囲の風景の、ぎりぎりのせめぎあいと共存が描かれているんですね。まあ、そんな作品以外にも洒落っけがあって面白い作品もありました。ナノイーで、浸透トリートメント。【入荷まで約3週間】パナソニック ドライヤーナノケア『低騒音化タイプ』EH-NA50-N ゴールド調(EHNA50N)たとえば、このドライヤーが青バックを背景に、まるでスペースシャトルのように上昇しているように見えたり。デザインとは色や形の話だけではなく、どんな思想を持って取り組むかという姿勢の問題でもあるのですね。そんなことを気づかせてくれる展覧会でした。infobarや「±0」を好きな人は、その裏側を見られる良い企画だと思います。深澤直人氏がデザインしたボールペン「ラミー ノト」。LAMY (ラミー) 油性ボールペン noto (ノト) L282OR オレンジ【west002_point】
2010.01.06
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現在、東京都現代美術館のロビーで展開されている「井上雄彦 エントランス・スペース・プロジェクト」を見てきました!*写真は著作権関連で撮っちゃダメらしいので撮っていません。【予約】 BRUTUS特別編集 井上雄彦展示されているのはロビーなので、無料で見ることができます。作品は大きめのパネルに貼ってあり、美術館の奥に進めば物語が展開していくマンガです。そして最後に巨大な作品がドーンと展示されています。ただ、始めは井上さんの作品とは気がつきませんでした。「あれ・・・最近はバガボンドに影響された画家の人がいるのかな」とか。どんどんと美術館の奥に進んでいくと、ああ・・これは井上さんだなと思って、最後に大画面の作品です。作品は、宮本武蔵をモチーフにした、童話調のものですので、井上さんの作品を知らない人でも、楽しめるようになっております。なかなか、あれだけ巨大な作品が展示される機会もないと思いますので、一度でも見る価値はあると思いましたねぇ。
2010.01.05
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悪名高い略奪文化財の展覧会の「聖地チベット-ポタラ宮と天空の至宝-」ですが、自分ところで散々、弾圧しておきながら、どの面下げて外国まで持ってきているのか、と感じることが多々ありました。政治的な予断を介在させないように見ようと思ったんですが・・・。 展示されている作品は、日本の仏像とは全く違う感じで、かなり造形的にも面白いものが多かったです。同じ仏教といっても、チベットの仏像はメキシコ的(?)な印象がするんですよね。おそらくなんですが、仏教が受容される過程で、チベットの場合は土着のボン教と、日本の場合は神道と混交することで影響されてローカライズしてきたのかな、と。 日本の仏像と大きく違うのが父母仏といって、千手観音のように多くの手を持った男性と女性の2体が合わさったような仏像で、チベットでは普通、一般には見せないように衣を着せているそうです。そして修行を積んだお坊さんだけが見られるということです。いやあ、こういう発想は日本のメジャーな仏像には、なかなか見られないアプローチですね。 他にも、仏教を保護した王様や僧の像なども展示されておりましたが、金色の打ち出しなどが多く、日本の木彫の仏像とちがった雰囲気で楽しめます。 見ている間中、とても気になったのが仏像の顔が金泥で塗りたてたような質感です。公式ブログを読んでみると、信者がお布施として金泥を奉納するので、それを塗っているそうです。なるほど。下手に修理をしたからかと思いました。 まあ、なんだかんだ書きましたが、仏教をかなり弾圧しておきながら、こうして文化財を保護していますよ~というスタイルは、ちょっとカチンとくる部分が多かったですね。 こうやって持ってきている仏像も、例えば日本の寺院の場合のように、仏の魂を入れたり抜いたりする法要をしているのでしょうか・・・。あるいは、本当は一般には見せない仏像の衣を取って外国人に見せているのは、チベット仏教的にどうなんだろう・・・とか。そう考えると、ちょっと後味が悪いものでした。 チベットの歴史的な背景や人々の暮らしなどの説明も十分とは思えません。あまり日本にも詳しい話が伝わってこない場所だからこそ、そうした文化的な背景の説明が、もう少し必要な部分はあると思います。なので、「本当にお好きなら、見て損はないよ」という感じです。
2010.01.04
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まだ会期が残っている「レベッカ・ホルン展 -静かな叛乱 鴉と鯨の対話」ですが、これはかなり楽しめる展覧会でした。レベッカ・ホルンはドイツの現代美術家で、今回が日本で初めての個展だということですが、しっかりとスペースを取ってインスタレーションや映像を見せていたので、かなり落ち着いて見ることが出来ました。個人的に一番面白かったのが、「アナーキーのためのコンサート」ですね。ピアノが逆さになって空中に吊られているのですが、15分に一回、デロデロ~~と鍵盤が出て蓋も開いてくるわけですね。いわば、ピアノの内蔵が出てくるような感じです。この時に、なんとも言えない弦の音がするんですけど、そこが面白い。見た目のギャップもさることながら、ときどき動くというところがいいんです。この展覧会は、こうして「ときどき」機械が動くので、じっくり見て回るのが面白かったですね。動くタイミングは、係員の人に聞いたら教えてくれました。でも、動くタイミングとタイミングの間はインスタレーションというよりは、静物なんです。そのギャップ。展覧会の風景として不変のように見せかけて、ときどきアクションが起こる。随分と時間が必要なものですが、そんなに悪いものではなかったですね。 その他にも、鉛筆やピストル、蝶の羽などが動くギミックの作品が展示されておりますが、どれもちょっと謎めいていて、想像力をかきたててくれるものが多いように思いました。
2010.01.03
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実際に行ってきたのは09年の年末なのですが、まだ会期が残っているものから先行してブログに書こうかな、と思っております。今年のブログ第一号は東京都現代美術館で今月17日まで開催中の「ラグジュアリー:ファッションの欲望」展です。この不景気に、何がラグジュアリーじゃ!と思ってしまう方も多いかと思います。私も会場に入る前には、そう思っていました。でも、見終わると「なるほどなあ」と思わせるような展覧会でしたね。派手さはあまりありませんが、なかなか考えさせられる展覧会でした。つまり、ラグジュアリーという観念を、服を通じて考えてみよう、という試みで非常に面白い。 まず、最初のセクションではヨーロッパの貴族社会で使われたようなドレス類が展示されております。どれも、レースのように人の手がふんだんに掛かっていたり、金糸など豪華な素材を使った、イメージ通りの「ラグジュアリー」なのですが、今の基準から見てみますと、それほどでもないな、と思わせられました。 といいますのも、現在のほうが機械や素材も進んでいるので、品質が向上している上に安いわけです。100年以上前の衣装なので、もちろん白い部分が色あせていたりしますので、往時はもっと綺羅びやかだったと思うのです。 でも、例えば玉虫の羽を散りばめたドレスは、ちょっとなあ・・・。現代であれば、もっと安くて綺麗な素材が沢山あるので、その当時には貴重であっただろう「光沢」や光の反射は普通なんですよね・・・。その後のセクションでは、シャネルなどがデザインした20世紀のドレス。時代の移り変わりが見えて、しかも「何がラグジュアリーか」ということが時代によって変化しているのがよくわかります。素材や手間で競う時代から、クリエイティビティや縫製(つまりドレス自体のシェイプの完成度)に移ってくるのですね。 このセクションでは服飾系の学生と思しき人達が、かなり熱心にメモを取っておりました。ディティール部分についても、かなり勉強になるものが多かったのではないかと思います。 次のセクションでは、もう「クリエイティビティ」が全面に出ているわけです。例えば、ビール瓶の王冠や、トランプなどを継ぎ合わせたジャケットが展示されております。メゾン・マルタン・マルジェラの作品ですが、もうこれは服じゃないですよね。 洗濯できないし、寒そうだし。 これは、ほぼ純粋にアートだと思われますし、しいて言えば「今までにないものを素材にしてみる新しさ」「安い素材でもクリエイティビティで料理した斬新さ」「話のネタになるようなインパクト」でしょうか。 でも、こうして見てみると「人は、どんなことに付加価値を感じるのか」ということをファッションを通じて考えさせる、とても面白い展覧会でしたね。モノが売れない現代の経済状況で、日本の誇る高品質な工業製品も売れにくくなっておりますが、人間が何を付加価値と感じ、ファッションに何を込めてきたのかを俯瞰できるこの展覧会は、かなり刺激になると思います。また、地下階にはコム・デ・ギャルソンの今までの服が妹島和世さんの会場デザインで展示されています。こちらも、ぜひ。
2010.01.02
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いよいよ2010年代に突入しましたね。明けましておめでとうございます。紺洲堂でございます。以前は定期的に更新していた当ブログですが、最近ではかなり更新の波がありまして・・・。まだまだ書いていないネタが沢山あるのですが、できるだけ記録にとどめておきたいと思っております。今年も、皆様が面白い美術展や展覧会に行けることを願っております。主人軽薄
2010.01.02
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