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もし巨大な小惑星が地球に向かってきたら、人類はそれを防げるのか。
SFの話ではなく、今まさに世界中の科学者たちが本気で取り組んでいる問いです。
6,600万年前、一発の隕石衝突が恐竜を滅ぼしました。
直径10km以上の小惑星が、今日の南米メキシコ・ユカタン半島に激突し、地球の生態系を一変させたのです。
そして今、私たちはその悲劇を繰り返さないための準備を始めています。
「プラネタリーディフェンス」
とは、地球に接近・衝突する恐れのある小惑星や彗星を発見・追跡し、必要なら軌道をそらす技術と体制を整えること。
単なる天文学の話ではなく、人類の生存戦略そのものです。
6600万 年前の衝突が
恐竜を絶滅させた
1500 人が負傷した
2013年チェリャビンスク事件
32,000 km—アポフィスが
2029年に接近する距離
375 m—アポフィスの
推定直径
アメリカのDARTミッション——人類、初めて小惑星を動かす
2022年9月、NASAは歴史的な実験を成功させました。
「DART(Double Asteroid Redirection Test)」
ミッション。
探査機を小惑星「ディモルフォス」に時速2万3,000kmで意図的に衝突させ、その軌道を実際に変えてみせたのです。
結果は成功——わずか数百グラムの物体をぶつけるだけでも、何年もかけてアプローチすれば軌道を変えられることが証明されました。
その後継として欧州宇宙機関(ESA)の「Hera」探査機が2024年10月に打ち上げられ、ディモルフォスの詳細な検証に向かっています。そしてこのHeraには、JAXAが開発した赤外線カメラが搭載されています。
日本はどう動いているのか——JAXAの本気
実は日本、かなり本気です。
「はやぶさ」「はやぶさ2」で世界をあっと言わせた小惑星探査の技術力は、そのままプラネタリーディフェンスへの貢献に直結しています。
2003年〜
はやぶさシリーズによる先行知識の蓄積
「はやぶさ」「はやぶさ2」が小惑星の地表からサンプルを採取・帰還。
小惑星の組成や構造を知ることは、もし衝突回避ミッションが必要になったとき、何をぶつければ効くかを知るための基礎データになります。
2024年4月
JAXAプラネタリーディフェンスチーム正式発足
国際的に期待されている役割を果たすため、JAXAが専任チームを設立。
「いかに早く危険天体を検出し、衝突回避の対応を取れるか」をミッションとしています。
2024年10月
ESAのHera探査機にJAXA製カメラを搭載
DAR T実験後のディモルフォスを調査するHera。
JAXAが提供した赤外線カメラが、小惑星の表面温度や地形の分析に貢献します。
2026年5月
JAXAとESA、プラネタリーディフェンス協力覚書に署名
両機関がアポフィス探査ミッション「RAMSES」に向けた協力協定を締結。
日本のプラネタリーディフェンスにおける国際的存在感が一気に高まっています。
⚠️ 2029年4月13日 注目アポフィス接近——7500年に一度のニアミス
直径約375mの小惑星「アポフィス」が、2029年4月13日に地表からわずか約3万2,000kmの距離を通過します。
これは月の距離の約10分の1、静止衛星軌道よりも近い距離です。
地域によっては肉眼で夜空に見える可能性があるとも言われており、人類史上最もドラマチックな天体接近の一つになるでしょう。
JAXAとESAはこのアポフィスを近距離で観測するため「RAMSES」ミッションへの協力を加速させています。H3ロケットでの打ち上げも視野に入れた検討が進んでいます。

日本独自の強み——観測網とスペースガード
JAXAの取り組みに加え、日本には「日本スペースガード協会」という民間組織があり、地球接近天体(NEO)の発見・追跡観測を長年にわたって続けています。
臼田64mアンテナを用いたレーダー観測や、全国の観測所との連携など、小さいながらも着実な積み上げが世界の観測網を支えています。
小惑星の発見・追跡
地上観測ネットワーク
Heraへの赤外線カメラ提供
はやぶさ2拡張ミッション
RAMSES参画(検討中)
国連・国際連携(APAON)
早期発見こそが、最大の武器
JAXA吉川准教授いわく
つまり、何十年も前に見つけることが、地球を守るための最大の鍵なのです。
そのための観測体制を整えることが、今まさに世界で進められています。
宇宙の脅威は今すぐではないかもしれません。
でも、恐竜たちには準備する時間がありませんでした。「いつか来るかもしれない衝突」に備えて、JAXAの研究者たちが今日も空を見上げています。
はやぶさが宇宙の砂を地球に持ち帰ったように、日本の宇宙技術は静かに、しかし確実に、地球を守る盾になろうとしています。
2029年のアポフィス接近まで、あと約3年。
その時、日本の探査機が小惑星のそばで「見届ける」かもしれない——それだけでも、なんとロマンのある話ではないでしょうか。
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