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インド・ヒマラヤに実在する「スケルトン湖(ループクンド湖)」。
「地球外」と例えられる、この世のものとは思えない湖
ヒマラヤ山脈の奥深く、インドのウッタラーカンド州。
最寄りの村からでも歩いて3日かかるほどの僻地に、その湖はあります。標高5,029メートル。
富士山の山頂よりもずっと高い場所にある、小さな氷河湖―― 「ループクンド湖」。
年の大半は分厚い雪と氷に閉ざされているその湖が、短い夏に顔を出すとき、水面下から浮かび上がってくるのは澄んだ湖底の景色ではありません。800人分もの人骨なのです。
「宇宙のような神秘性」「地球外の風景」
岩肌に囲まれた静寂の中、骨が水面下に揺れる光景は、この惑星のものとは思えない荘厳さをたたえています。
5,029m
湖の標高、富士山より高い場所
800+
確認された人骨の数
1,000年
骨が隔てる時間の幅
第二次大戦中、一人のレンジャーが目撃した衝撃
この「骨の湖」の存在が世界に知られるようになったのは、1942年のこと。第二次世界大戦の最中、イギリスの森林レンジャーがたまたまこの湖にたどり着き、湖畔と湖底に無数の人骨が散らばっているのを目撃しました。
当初、戦時中だったこともあり「日本兵の遺体では?」という説が流れたほどです。
しかし調査が進むにつれ、真実はもっとずっと古く、そしてもっとずっと複雑なものだということが明らかになっていきます。
1942年
イギリスの森林レンジャーが偶然発見。戦時中のため「日本兵の遺骨では」という憶測が飛び交う。
1940〜2000年代
考古学者による断続的な調査が続く。
「王族と巡礼者の集団死か」「大量殺戮か」——様々な仮説が入れ替わり立ち現れる。
2019年
学術誌「Nature Communications」に画期的なDNA解析結果が発表。
謎は解けるどころか、むしろ深まった。
ナンダ・デヴィ信仰の巡礼路——12年に一度の聖地
ループクンド湖は、ヒンドゥー教の女神「ナンダ・デヴィ」を祀る巡礼ルートの途上にあります。
この巡礼は 12年に一度
しか行われない特別なもの。
信仰が人々をこの過酷な地へと引き寄せてきた歴史が、太古から繰り返されてきたのです。
湖は岩壁に三方を囲まれており、暴風や突然の雹嵐が起きやすい地形。
一帯は突如として天候が急変し、逃げ場のない「天然の罠」と化すことがあります。
この自然条件こそが、最初に有力視された「死因」でした——頭頂部に傷がついた頭蓋骨がいくつも見つかっていたのですから。
雹に打たれて一瞬で死亡した、という説は一見すると「ありそう」に聞こえます。
しかし、その骨が語る真実は、単純な事故死という答えを許してくれませんでした。
後編でご紹介するDNA解析の結果が、すべてをひっくり返します。
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