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原題:442 -LIVE WITH HONOR, DIE WITH DIGNITY- 監督・企画:すずきじゅんいち 鑑賞劇場 : 横浜ニューテアトル公式サイトはこちら。<Story>第二次大戦当時、日系人だけで構成された米軍部隊“442連隊"は米軍史上最も多くの勲章を受けた部隊として名を残している。だが、彼らは父母の祖国・日本と戦うということと同時に、米国内の人種差別とも戦わなければならない苦悩を抱えていた。1941年12月7日。日本軍がハワイ真珠湾を奇襲攻撃し、太平洋戦争が開始。それは同時に、在米日系人にとっても苦難の幕開けでもあった。国家から敵性国民として指定された約12万人の日系人が、全米10カ所の強制収容所に送られた。軍籍にあった日系兵士も銃を取り上げられ、警戒と差別の目で見られ、国の為に戦うことも許されなかった。だが、日系人たちによる政府への働きかけや、戦況の変化により結成されたハワイ日系人部隊“第100大隊"が目覚ましい活躍を挙げたことで、周囲の状況が変化。日系人だけの部隊“442連隊"が誕生する。442 日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍?-?goo?映画<感想>これ、先日の東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門でありまして、大変気になっていたんですが、鑑賞最終日の夜8時くらいからしか行けなくて、どうしようかと考えた挙句、疲れるからってやめたんです。でも、鑑賞した方の評判もみなさんよく、どうしても気になっちゃいましてねえ・・・横浜にも来るということなんで行って来ました。やっぱり行ってよかった。。。こちら、上質のドキュメンタリーです。日本でも、この部隊の活躍を一般的に知る人ってあまりいないと思います。教科書に載っていない歴史ですので、よほど第2次世界大戦に興味がないと、一般人はこれは調べないでしょうね。第442連隊戦闘団 wikipediaアメリカ日系人のみで構成された、第2次大戦中のアメリカ陸軍部隊のお話です。彼らは見た目は日本人と遜色ない。 けれど祖国はアメリカ。日本語はもちろん話せない。 志向ももちろん、母国アメリカで育ったが故、そのように育ってしまっている。そんな彼らが、第2次大戦と同時に投げ込まれた「敵国人」ではないかという言われのない疑惑を晴らしたくて、あるいは、祖国(彼らの場合はアメリカでしょう)に貢献したいという想いも込めて、442日系部隊に参加する。部隊の生き残りの方たちをインタビューする形式で映画は進む。もうみなさん80代、90代というご高齢の方ばかり。ほとんどの方たちがハワイ在住なのかな。みなさん子孫に恵まれ、余生を送っている・・・ という穏やかな面が目立つのですが、事実としては、このように優雅にお暮らしの方々ばかりではないということです(当然なのですが)。戦後PTSDを患ってそのまま失意の人生を生きている人、あるいは生活がうまく行かなかった人ももしかしたらおられるのかもしれません。ともあれ、彼らの話は、戦時中の話にも関わらず総じて明るい感じなのが救われます。ただし内容としてはあくまでも「戦争の話」ですので、人を殺した時の想いや、戦友が死んでいった時の壮絶な話もある。自分が敵を殺さないことにはどうしようもなかった訳ですけど、それを淡々と話すまでには、相当の年月や、周囲の人たちの支持がないことには、(恐らくですが)彼らもこうしてカメラの前で記憶を語ることはできなかったようにも感じました。当時の日系部隊は、初めはハワイ出身者と本土出身者との派閥に分かれて、内部での争いが大変だったとありました。 ですが実際の戦闘の厳しさを前に、彼らは一体となり、数々の戦歴を遺したとのこと。アメリカ人なのにもかかわらず、「敵国人」とみなされた汚名を晴らすため、彼らは部隊召集に応え、ヨーロッパ最前線へ送られてもそれに従う。アメリカは彼らに「踏み絵」を要求したように思えてなりませんでした。もしも彼らがアメリカに反旗を翻したとしても、ヨーロッパ最前線なら生きて還る確率も低いだろうし、そのままでもよい・・・ そんな思惑も透けて見えます。ところが彼らの行動は、アメリカの予想を上回るもので、アメリカの部隊が散々手こずっていた作戦をやすやすと成功させていきます。ヨーロッパでの連合国軍勝利を裏で支えていたのは、彼らだったと言えましょう。死傷率31.4%という数字が物語る彼らの身体を張った戦いぶりにも関わらず、ローマ入りをさせてもらえなかったということも、不本意ですが当時の政情では致し方なかったかもしれません。枢軸国の1つである日本人と外見が見分けがつかない日系アメリカ人が、凱旋するということに対して配慮したのかもしれませんが、敵国人の血が混ざっている部隊に手柄を独占されるのはよしとしない方針もあったと思います。全体を通じて思うことは、彼らの功績に対して、彼らは十分に評価されてないのだなということです。それは日米両方からだいうこと。アメリカにしてみれば、近年になって勲章が格上げされたりはしたものの、市民レベルではまだまだ「ジャップ」と思っている人も多いようにも感じるし、日本ではそれこそ「日本人なのに枢軸国を攻めた」と思う人もいるだろうし。そんな彼らに対して、東条英機が送った言葉、「アメリカが祖国なら、アメリカ人として戦え」ということは、彼らの境遇を慮ったものと言えるでしょう。自分の中に血が流れている国家を敵に回すのは辛いことですが、彼らにとってはこの上もない称賛だったのではないでしょうか。双方の国の狭間になることは難しく、ご本人たちも艱難辛苦の人生をよくここまで生きてこられたと思うと、こちらも感慨深くなります。自分たちに与えられた境遇の中で精一杯のことをしていく、その精神には、先代から受け継がれた、日本人に伝わる美学 ~勤勉とか努力など~ が影響しているのでしょう。その「こころ」で、自分たちの誇りを証明した彼ら。その苦しみから解放されることは生涯ないのかもしれませんが、安らかに人生を生きていただきたいという想いでいっぱいになります。今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点
2010.12.08
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原題: THE VINTNER'S LUCK監督・脚本 : ニキ・カーロ原作 : エリザベス・ノックス脚本 : ジョーン・シュッケル出演 : ジェレミー・レニエ 、 ギャスパー・ウリエル 、 ヴェラ・ファミーガ 、 ケイシャ・キャッスル=ヒューズ鑑賞劇場 : ル・シネマ公式サイトはこちら。<Story>1808年、ナポレオン統治下のフランス、ブルゴーニュ地方。若い葡萄農夫、ソブランは自分のワイナリーを持ち、最高のワインを造ることを夢見ていた。父親の反対を押し切って、村娘のセレスト(ケイシャ・キャッスル=ヒューズ)と結婚したソブラン(ジェレミー・レニエ)は、ワイン醸造家になる野心に燃えていた。しかし、ソブランの情熱は誰にも理解されない。悔しさを持て余していたある夜、ソブランの前に、白い翼をつけた天使(ギャスパー・ウリエル)が現れる…。約束の葡萄畑~あるワイン醸造家の物語?-?goo?映画<感想>ル・シネマつながりでこちらの鑑賞券ももちろん同日消化です。この日は祝日&ル・シネマサービスデーで混んでましたね。。。かなり人が入ってました。この映画、フランスなのにどうして英語? っていうのも不思議だったんですけど、監督とケイシャ・キャッスル=ヒューズがニュージーランド人、ヴェラ・ファーミガもアメリカ人だったら、やっぱり英語で作るのが自然なんでしょうか。葡萄畑があまりにもフランスそのものなので、そこは考えちゃうんです。これを見てて思ったのは、ワインとはかなり官能的な飲み物なんだろうなということ。人の手を経て丁寧に作られる。 摘まれて足で踏みつぶされる葡萄。。。紅く染まった足先や指先で、そのまま愛し合う人たち。という光景がとても自然で、ワインってこういう空気の中で作られるものなんだなと。そして乾杯やお祝いや、事あるごとに持ち出されて使われる飲み物というのもなんか納得できる。ソブランは、当時の経営者としては先進的な考えを持ち、またぶどうやワインに関しても知識を受け継いでいる。自分がすることに絶対の自信を持つ彼にしても、時に不安だとか拠り所だとかが欲しくなる。 そこに現れたのが天使。(この天使の設定が何となく笑えてしまうのですが。。。)その天使が完全なる拠り所とも限らない訳です。そして彼自身、いわば貪欲な生き方なのは、ワインにしても女性にしても同じ。ずっと秘めていた想いを遂げるところなどはエロティックでした。ヴェラ・ファーミガ演じる女領主と、ソブランの妻セレストとの間の、目に見えない火花が散る関係や、ギャスパー・ウリエルくんの天使の存在などにも宗教的な要素が入っています。昔はワインの出来なども、そういったことが重要視されていて、それを知識で克服しようとしたのがソブランの試みだったんだと思います。この話を一言で言うならば、「禍福は糾える縄の如し」なのかな。。。豊作もあれば凶作もあり、そして人生にも山あり谷あり。ワインの歴史と、その陰で思い悩みながら生きていく人々のドラマがうまく連動していました。今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.11.23
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原題: HET NIEUWE RIJKSMUSEUM/THE NEW RIJKSMUSEUM監督 : ウケ・ホーヘンダイク 配給・鑑賞劇場 : ユーロスペース公式サイトはこちら。<Story>2004年、アムステルダム国立美術館の大規模な改装工事が始まった。ここはレンブラントの「夜警」やフェルメールの「牛乳を注ぐ女」などを有するオランダ随一の美術館。解体が始まると市民団体が反発。その後も政府や自治体の許可待ちで、工事は何度も中断。各方面からの横槍に対しての妥協が続き、関係者たちは次第に熱意を失っていく。工事再開のメドが立たずに、廃墟のようになっていく美術館。はたして美術館はいつ完成するのだろうか。ようこそ、アムステルダム国立美術館へ - goo 映画<感想>ユーロスペース配給などと聞くとそれだけで得した気分になってしまうのです。そしてこのタイトル。 楽しみにしていました。これは完全なドキュメンタリーなのですが、起こっていることが、ドラマにしか見えない。それほど二転三転していきます。オランダでは、プロジェクトが行われる時は、開発側と土地所有者や自治体だけでプランを考えるのではなく、地元関係者、NGOなど、全ての利害関係者に情報を開示しているそうです。これを、「オランダモデル」と言うそうです。 しかしながら、本作の場合、このシステムが美術館を混迷に導いてしまっていることは否めません。まずこの美術館の構造です。敷地内に公道が通り抜け可能というのがもう普通じゃない。。。 そしてそこを毎日数千人? が、日常の通路として通行している事実。パンフレットによると、「美術館はアムステルダムのど真ん中にあり、市の南部へ行くゲートでもあるので、市民は美術館の通路が自分たちのものだという意識がある」とのこと。なのでサイクリスト協会が関連団体として会議に参加するのですが、美術館の改装に関するあらゆることに反対していく様は、さすがに見ていて違和感を禁じ得ない。日本だとこういうことは考えられないから余計そうなんだろうけど。。「関連があり、そして参加する権利があるから」というのは至極ごもっともですが、ひたすら己の権利だけに終始していたような印象がありました。館長のロナルド・デ・レーヴ。 彼についてもいろいろとこの映画の中で意見が出ているが、では、彼の立場だったら一体どうしたであろうか?映画からはわからない部分で、彼も多分に個性的ではあったのでしょうけど、それを差し引いたとしても、なす術がなかったのではないだろうか。これほどまでに、意見が収束せず、事態も進まないとなると、スタッフの士気に影響してくるわけですよね。そして次第に、無念な空気が漂ってくる。自分は一体何のためにここにいるのか?意味がないのなら自分の道を探した方がいいのではないだろうか。そう考えるスタッフが出るのも当然である。1つのことを進めるのにも実に多くの利害と対峙しないといけないシステム。できれば早く合意に至りたいが、それでも、その方向を間違えて進めている人たちがいるようにも思う。それは果たして本当の民主主義なのだろうか? と、見ているこちら側には映る。美術とは、美術館とは何か。 そんな議論が出ることはない。そんなシビアな状況にもかかわらず、驚いたのは、美術館で働く学芸員の表情。アジア館担当のメンノ・フィツキ氏が、金剛力士像を目の当たりにした時の、まるで子供のような、ワクワクとした目線。美術が好きで、ここにいる。それを体現していてくれるようで嬉しくなる。それでも彼はパンフレットで、「35歳から45歳という、人生でも重要な時期に美術館が閉館なのは複雑」と言っている。公共財としての美術品が公開されないことのストレス。それは、美術品そのものだけではなく、それを管理しないといけないプレッシャー、それに触れることができない無念、それらのいずれもにも該当している。公開されない期間が長引く理由が、いささか自分たちよりの意見を主張したことだったり、対応のまずさであるならば、もはやこれ以上繰り返してはいけないようにも感じる。果たして、美術館は予定通りに開館するのだろうか。 否、そうであってほしいと切に願う。これほどまでに、人の利害がぶつかり、時が無駄に流れていくのを見させられるのは、いささか辛くなってくる。倉庫に眠っている、せっかくの数々の傑作が泣いている。************************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.08.30
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原題: SIN NOMBRE/WITHOUT NAME監督 : キャリー・ジョージ・フクナガ 出演 : パウリーナ・ガイタン 、 エドガー・フロレス 、 クリスティアン・フェレール 、 テノック・ウエルタ・メヒア 、 ディアナ・ガルシア 鑑賞劇場 : TOHOシネマズシャンテ公式サイトはこちら。<Story>ホンジュラスで暮らす少女サイラ(パウリーナ・ガイタン)のもとに、アメリカで暮らしていた父が戻ってきた。強制送還された父は家族と暮らすため、サイラを連れて再びアメリカを目指す。一方、メキシコ南部の町で、青年カスペル(エドガー・フローレス)はギャング団の一員として未来の見えない生活を送っていた。彼の希望は恋人のマルタ(ディアナ・ガルシア)だったが、その幸せの日も終わりを告げる。強盗目的でサイラたちが乗る貨物列車の屋根に乗り込んだカスペルだが、事態は意外な展開を見せる。闇の列車、光の旅 - goo 映画<感想>制作総指揮に、ガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナがいるってことで、こりゃ観るっきゃないでしょー的な1本じゃないですか~。ストーリーはとにかく、ホンジュラスだとかメキシコの現実としか言いようがない場面ばかり。生活に行き詰ってアメリカへと活路を見出そうとする人々。「ここには何もない」と。そして、何もない社会の裏側に暗躍するギャングたちは、そのなかでのし上がろうとしている。ここに描かれているのは、徹底的にメキシコの現実かなあって思ってしまう。どこにも逃げられない人間たちの必死な叫び。 それは普通の人たちもギャングも変わりはない。ただ生きていくことだけに必死で。 目の前のものにすがろうとする。それでも運命の女神はそれぞれに異なる結末を用意していく。そうとも知らずに、自分の思うところに向かって突き進んでいく彼らの姿だけがそこにある。サイラだって本当はわかっている訳です。 カスペルは危険だと。「悪魔の手」だと。でも逆らえない本能があった。 天使に見えて悪魔だったってこともあるだろうし、また逆に悪魔と共にいたからと言って、必ずしも地獄に堕ちるとは限らない。素直な心にしたがって、命を落とすものだっているのがこの世の現実なのかもしれない。映画は、そんな運命の分かれ道を容赦なく描いています。全体に流れる淡々とした乾いたトーンが、より一層残酷さを強めていく。ラストシーンの表情が秀逸。 まさに人間の正直な心を映している。**********************************今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.06.23
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原題: LOVELY, STILL監督・脚本 : ニコラス・ファクラー出演 : マーティン・ランドー 、 エレン・バースティン 、 エリザベス・バンクス 、 アダム・スコット鑑賞劇場 : シネスイッチ銀座公式サイトはこちら。<Story>アメリカの小さな町に一人暮らしをする年老いたロバート(マーティン・ランドー)は、孤独な日々を過ごしていた。そんなある日、メアリー(エレン・バースティン)という美しい女性に出会い、彼の日常は心躍るすばらしい日々へと変わっていく。しかし、次第に明かされるのは・・・・ <感想>せっかく金曜日に銀座まで出たのに、シネスイッチの金曜レディースデーを活用しないテはありませんので、行って来ました。これも単館系なんですよね。予告でのほのぼのとした雰囲気に惹かれました。ですが感想を書こうとするとかなりの確率でネタばれになる可能性があるから、難しい。。。劇場予告のフィルムは数回観ておりまして、その内容と、邦題を見るだけでも、おおよその筋が分かってしまうような気もしたのですが、それ以上のものがあるかもしれないと感じて鑑賞することにしました。ロバートはまるで初恋をしている青年のように、それまで全く無関心だった外見や身なりに気を遣い始めたり、メアリーという存在を得て生き生きとしていくのがわかります。それとは対照的に、メアリーと娘のアレックス側にありそうな事情を推察しつつも、この出会いがどうなっていくのかを観客は見守っていきます。全てが明らかになるとき、ロバートに対しての周囲の想いも深いものであり、また、決してあきらめることなくこれからもチャレンジしていくであろうことも伺えます。これに近い状況を身近に抱える方にとっては切実なお話になりそうですね。マーティン・ランドー 、 エレン・バースティンのベテランの演技はさすがと思わせるものがありました。***********************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.04.16
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原題: YUKI & NINA監督・脚本 : 諏訪敦彦 監督・脚本・出演 : イポリット・ジラルド 出演 : ノエ・サンピ 、 アリエル・ムーテル 、 マリリン・カント 、 ツユ 観賞劇場 : 恵比寿ガーデンシネマ公式サイトはこちら。<Story>ユキ(ノエ・サンピ)とニナ(アリエル・ムーテル)はパリに住む9歳の女の子。ユキはフランス人のパパ(イポリット・ジラルド)と日本人のママ(ツユ)と暮らしている。夏休み初日、ユキはママから「パパと別れて日本に帰ろう」と告げられる。ショックを受けたユキは、親友のニナとそのママ(マリリン・カント)に相談。ニナの両親も離婚していたからだ。仲直りしてもらいたいユキは「愛の妖精からの手紙」を書くが、ママはそれを見て悲しむだけ。やがてユキとニナは、両親を仲直りさせる作戦の一つとして家出を提案するが…。ユキとニナ - goo 映画<感想>諏訪監督作品は2本観ています。『PARIS, JE T'AIME』と、『不完全なふたり』。 前者はオムニバス(5分くらい)で、後者はフランスのカップルの日常を描いたものです。今回の『ユキとニナ』は、どちらかというと作風的にはファンタジーですので、前者に近い。実際、予告とかスチール写真が可愛らしいんですよね。2人の美少女が遊んでいるなんて、絶対に絵になりますもん。その可愛らしさに惹かれて観に行くと、あれ? ちょっと違うぞ・・・ な展開です。ママはもう、パパとはやっていけないから・・・。 冒頭からシュールな場面の連続。9歳の子でも、きちんと大人の理由を説明して、納得してもらいたいという、フランス的な大人な目線の接し方です。そしてその大人の問いかけに対して、はっきりとユキが拒絶しているところもまた、子どもが自立している文化なんだなと思う。「日本には、行きたくない」そう答えるものの、ユキの心は揺れている。単にそれは子どもだからということも大いにある。深刻な話をした後で、ケロっとして遊ぶという事は、子どもには日常。 しかし、心配事はちゃんと心にこびりついたままなのだけど。現実を現実として対処できる力がないのが子どもである以上、浮世離れした考えが出てきてしまうのは当然のこと。しかしながら、根底にはちゃんと意志を持っていることが伝わってくる。それにしても・・・そうなんだ! そういう展開なの!? と、大いに驚いてしまう。ここはネタばれになるので劇場で観ていただきたいのだけど、フランスと日本の2つの文化に対峙している、諏訪監督自身のアイデンティティも大いに関係しているのだろう。少し意外に思ったのは、ここからちょっとずつ着地点がずれてきてしまっているように思えたこと。「ユキとニナ」なんだけど、後半はニナがほぼ登場しなくなってしまう。 ニナとの関係が中心? と思いきや、そうではなくなっていってしまう。結局は、子どもは状況には抗えないということなのかもしれないし、それが逆に自分の原点を追いかけていく旅になったとも言えよう。後半の登場人物に若干ぎこちなさとか、浮世離れした部分があったり、エンドロールの曲が状況とはまるで違う場所に関するものであったり、ユキがドライになってしまっている部分があったり(まだ子どもだから、すぐに忘れるのかな?)、諸々の条件が、この映画の軸をぶれさせてしまっているのは非常に残念でした。 自分としてはこういうテーマって好きなんですけどね。。。**********************************今日の評価 : ★★★
2010.01.27
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原題: YOUNG@HEART/YOUNG AT HEART監督 : スティーヴン・ウォーカー 出演 : アイリーン・ホール 、 スタン・ゴールドマン 、 フレッド・ニトル 、 ドラ・モロー 、 ボブ・シルマン 試写会場 :ヤクルトホール公式サイトはこちら。<Story>米・マサチューセッツ州の小さな町ノーサンプトンにいる、平均年齢80歳のおじいちゃんとおばあちゃんたちで構成されたコーラス隊「ヤング@ハート」が歌うのはクラシックやスタンダードではなく、ロックやR&Bの曲ばかりだが、驚くべきことに彼らはその曲を完全に自分たちのものにしている。コンサート前の6週間、彼らに密着し、リハーサルの様子やプライベートを追う。感動を呼ぶ彼らのパフォーマンスはどこからくるのだろうか。ヤング@ハート - goo 映画<感想>プレミアの翌日でしたが、お誘いいただいていたので行って来ました。ハッキリ言ってかなり疲れが残っていましたが(苦笑)、電車で爆睡してパワー温存しました^^;これは、初めて紹介文&スチールを見た時に、一見、ただ老人たちが何となく歌っているだけの映画なのかと思っていました。ですが・・・全然違う!!みんなパワフル、そしてセクシーで面白いんですよ。往年のアメリカン&ブリティッシュ・ロック。。。 クラッシュ、コールドプレイ、U2、ラモーンズ、トーキング・ヘッズ、ボブ・ディラン、ジェームス・ブラウン、ソニック・ユース・・・ hot&coolなサウンドは、通常パワーと愛を歌い上げるものとして私たちの中に染みついているものなのだけど、彼らにかかると、それは全く別の音楽に変身する。(C) 2008 Walker George Films (Young at Heart) Limited.歌い出し。92歳のメイン・ヴォーカリスト、アイリーンが叫ぶ。「Ah~~~~!!」何ということはない、文字にすると普通の叫び。だが、これを音で聴いていると、とても普通には聞こえない。どこかに魂が宿っていて、まるで叫びだけが聴衆を包みこんでいるような気がするのだ。全員、当然ながら若い歌い手ではないから、声の張りも違う。身体だって、70代80代、真っ直ぐ立っていられない時もある。それでも、彼らの歌声は、有名なヒット曲が全く違う曲になって帰ってきてくれたかのような錯覚を起こさせる。どうしてこんなに彼らの声に惹きつけられるのだろうか?それは彼らがヤング@ハートの活動を通じて、生きることに対して前向きに希望を持っているからではないだろうか。(C) 2008 Walker George Films (Young at Heart) Limited.彼らが彼ららしく、生き生きと過ごす秘訣として、指導者であるところのボブ・シルマンの存在も大きいのだろう。恐らく彼らの子世代に当たるであろうボブ。その指導も、いささかダイナミック。ある日突然新譜を持ってきて、「じゃあ今日からこれをやるから」とどんどんメインヴォーカルを選んで練習していく。年寄りだからこれはできない、こんなこと無理。。。そういった、「年寄りへの枠」と概念を一切持たず、オリジナルとは全然違う、ヤング@ハートの曲にしていく作業。「じゃあ、今日からこれをやるから~」と差し出す新譜・・・ それがストーンズだったりプリンスだったり。「クラッシックが好き」「オペラが好き」と言うメンバーに、如何に「自分たちのロック」を歌わせるのか。ボブの眼差しはどこまでも温かい。音程が取れなかったりリズムが合わなかったり。そんなメンバーにも根気よく指導していく。その歌が結局、彼らが生きる上での励みとなっていたりするのだから。そしてそんなボブに応えようとしている、ヤング@ハートのメンバー達も、大変魅力的である。活動がだんだん評判になって、ツアーも実現して、そのために一生懸命歌う。だがしかし、厳しい現実は容赦なくやってくる。もう若くはない。みんな身体のどこかしらに持病があったり、生きていく上での不安と闘ったりしているのだから。「あたしが死に いなくなっても、七色の虹に腰を掛けて あなたたちを見下ろしている」そう語るアイリーン。いつかはみんな天へ召される。でも身体が動かなくなるその日まで、精一杯できることをして、生きているという実感を抱いたまま生を終えたいという彼らの切なる願いが、見ているものにひしひしと伝わってくる。そしてもしも自分が死んだとしても、その魂は今まで愛した人たち、愛すべきものたちを見守って生き続けているよ・・・ "FOREVER YOUNG"、天に捧げるディランのメロディー、それはまぎれもなく彼らのメッセージでもあった。そんな彼らに勇気づけられて若い者たちも、こんなに楽しそうに年が取れるんだと、希望を持つことができるような気がした。*******************************今日の評価 : ★★★★★私事ですが先月義父が他界し、かなりその姿とメンバーがかさなってしまいました。たぶん義父も倒れるその日まで精一杯生きていたのだろうと。そして死してなお、愛すべき者たちを見つめているのだろうという気がしてなりません。
2008.10.10
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原題: 4 LUNI, 3 SAPTAMANI SI 2 ZILE/4 MONTHS, 3 WEEKS AND 2 DAYS/4 MOIS, 3 SEMAINES, 2 JOURS監督・脚本 : クリスティアン・ムンジウ 出演 : アナマリア・マリンカ 、 ローラ・ヴァシリウ 、 ヴラド・イヴァノフ 、 ルミニツァ・ゲオルジウ 鑑賞劇場 : 銀座テアトルシネマ公式サイトはこちら。<Story>1987年の冬のある日、チャウシェスク政権下のルーマニアで、大学生のオティリア(アナマリア・マリンカ)は寮のルームメイトのガビツァ(ローラ・ヴァシリウ)とせわしくなく動き回っていた。寮を出たオティリアはホテルへ行くが、予約が入っていない事を知り、仕方なく別のホテルを取る。またガビツァの代わりにある男(ヴラド・イヴァノフ)に会う事に。実はガビツァは妊娠しており、オティリアはその違法中絶の手助けをしていたのだ。しかし思うように事は進まず、オティリアの苛立ちはつのっていく。4ヶ月、3週と2日 - goo 映画<感想>この日の2本目。 シャンテから移動して鑑賞。日曜の最終回だったためかそんなに混雑はしていませんでしたけど、まあまあの入り。ここでしか上映してないからでしょうか??重いテーマということは重々承知で観てきました。同じ女性としてこれは観なければいけないかなあと思いまして。始めはシチュエーションがわからないままストーリーが進む。全編にわたる、何ともいえない重苦しい無彩色な映像と、どことなく投げやりな登場人物たちの言動に、チャウシェスク政権下の閉塞感を感じ取ることができます。この時代、女性たちは中絶は禁止。そして3人~4人以上子ども達を生むことが強制されていました。国力増強のため、それこそ女性たちは「産む道具」だった時代。今からわずか20年前、オティリアとガビツァのいる大学の女子寮にいた女子学生たちは、どこかうつろで先に夢も希望もない様子でした。そして彼女達の間でも、望まない妊娠に対しての中絶は秘密裏に行われていたようです。(C)Mobra films 2008もし違法な中絶が見つかったら罪に問われる時代だけに、どうやってそれを行う医者を見つけるのか、そしてどこで中絶するのか、それは死活問題だった。どこに行っても監視されている時代にそれをやってのけるのは至難の業だったに違いない。望まない妊娠をしてしまったルームメイトのガビツァ(写真右)の手助けをするために東奔西走するオティリア(写真左)。中絶場所として指定されたホテルの予約も、医者との合流もうまく行かないことだらけで、それは全て当事者であるガビツァの責任のはずなのに、ガビツァは責任などないといった風・・・。それはないだろうと思うのは日本的な感覚なのかもしれません。それぞれの失敗はやがて、オティリアに、一生かかっても消えない心の傷を残すことになる。そこまでして助けてくれたルームメイトに対して謝罪しないどころか、指示を守らず、自分勝手な行動に走るガビツァ。一体これはどうなっているんだろう? オティリァはガビツァを非難こそすれ、彼女を決して見捨てないのは何故だろう? と観ていくうちに、彼女たちが置かれている環境がそうさせるんだなと思いました。結局、明日は立場が逆転するかもしれないわけです。自分が中絶することになるのかもしれないから。そうなった時に助けてもらうために、殺伐とした選択をしないといけないわけで。自己保身に走り(まあ、バレたら大罪なんだからしょうがないとは言え・・・)、助けるどころか女性を蹂躙した闇医者ベベ、そしてオティリアの恋人の、保守的で身勝手な考え方などを取ってみても、たった20年前のルーマニアの女性たちには絶望感しかなかったのでしょう。そんな事実を、言葉少なに、暗い映像でドキュメンタリータッチに描いた作品でした。*******************************今日の評価 : ★★★★☆(どうしようもないチャウシェスク政権下の事実、そして太古から続いている女性への偏見と蹂躙。そしてそれに懸命に立ち向かおうとしている姿がありました)
2008.03.09
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原題 : IRINA PALM監督 : サム・ガルバルスキ 出演 : マリアンヌ・フェイスフル 、 ミキ・マノイロヴィッチ 、 ケヴィン・ビショップ 、 シボーン・ヒューレット 、 ドルカ・グリルシュ 鑑賞劇場 : 109シネマズ川崎公式サイトはこちら。<Story>ロンドン郊外に住む未亡人のマギー(マリアンヌ・フェイスフル)は、重病の孫を救うべく手術費用の工面に奔走する。長引く闘病ですでに自宅は手放し、借金をするにも抵当がない。専業主婦の中年女に今更働き口が見つかるはずもなく途方に暮れていたとき目にしたのがセックスショップ「セクシー・ワールド」の“接客”の求人。“接客”の中身を知らずに飛び込んできたマギーにオーナーのミキ(ミキ・マノイロヴィッチ)は呆れるが、その滑らかな手を見て雇うことを決める。やわらかい手 - goo 映画<感想>この日109シネマズ2本目。これも都内の単館系が拡大上映されています。こういう時じゃないとなかなか観るチャンスがないもので。マリアンヌ・フェイスフルは貴族出身にして、かつてミック・ジャガーの恋人だったということなのですが、 この映画を観る限りではあまりそのような面影は感じられない。 何でもスターの座から転落した後に、ドラッグ・ホームレスなど、人生のどん底を歩いたそう。 なので、いわゆる普通の「女優」オーラはない。 むしろ、一般的なおばさまに近い。 そんなおばさまが、孫の治療費欲しさに、 何と何と多くの男たちが行列するほどの技を見せちゃうっていうのもとんでもない話なのですが、 そこに至るまでのマギーの人生というものが、映画の中で垣間見えてくる。 親しくするふりをした友人のオババたち(→ これ、すんごく嫌~な女ばかり )には陰で蔑まれてバカにされ、 息子夫妻とはどうもイマイチしっくり行っていなくて、 嫁との間もギクシャクしていて。 どっからどう見ても、そこらにいる、フツーのオバちゃんとあまり変わらない。 マギーは、初めはお金欲しさに"irina-palm"、つまりイリーナという名前で若いピチピチ娘を連想させ、じゃんじゃん稼ぐわけだけど、 そのうち彼女は気付く。 「自分はそれだけの存在なの?」 (C) 2007 crest international inc,all rights reserved彼女の表情にはどこか気高さがある。 自分は何にもできないただのおばさんなんだけど、 「あなたの笑顔が好き」と、 ミキをほめる。 ミキも、鎧で固めた心が、 マギーの言葉で解けていくのを感じて。 (C) 2007 crest international inc,all rights reserved普通だっていいじゃない。 若くて綺麗じゃないと幸せになっちゃいけないの? 誰しも幸せになりたいし、そうなる権利がある。 そんな温かさを感じました。********************************今日の評価 : ★★★★☆(人の役に立つってとても素敵なことだと感じました。そして心が通じ合うこともとても素敵なことです。)
2008.01.26
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監督・脚本 : クリス・クラウス 出演 : ハンナー・ヘルツシュプルング 、 モニカ・ブライブトロイ 、 スヴェン・ピッピッヒ 、 リッキー・ミューラー 、 ヤスミン・タバタバイ 鑑賞劇場 : 109シネマズMM横浜公式サイトはこちら。<Story>刑務所で受刑者たちにピアノを教えるクリューガー(モニカ・ブライブトロイ)は、ある日、稀に見る才能の持ち主ジェニー(ハンナー・ヘルツシュプルング)に出会う。反抗的で暴力的なジェニーは、幼い頃から神童と騒がれた天才少女だったが、今では刑務所内随一の問題児となっていた。嫉妬心と憎悪を露にする看守や受刑者仲間の卑劣な妨害にもめげず、クリューガーはジェニーの才能に葬り去ったはずの自らの夢を託し、コンテスト出場を目指して厳しいレッスンを続ける。4分間のピアニスト - goo 映画<感想>12月1日は映画の日。1日、お暇をいただいて(→ いつもいただいてる!?)、映画三昧してきました。4本観ましたよ~~ これ新記録(笑どうしようかと迷ってましたけど、お友達のレビューを読んでよかったみたいなので、行ってみました。どうしてもドイツ映画って暗い印象なんですよね^^;で、これも予告なんか観るとほとんど色のない世界だし、設定も刑務所ということですのでね。ただ、ピアノものというのは、その旋律だけでもう酔わされてしまう感じがするので、そこは冷静に観ないとね。どうしてそんなに自分や、自分に触れる人々をを傷つけるの?と、問いたくなるようなジェニー。一貫して周囲には頑なな態度を取っていて、自らも類稀な才能を持ちながらも、封印してしまった夢をジェニーの中に見出すクリューガー。どちらも、愛するものを失った重い過去を引きずって生きていた。似たもの同士が同じ夢を追いかけていく。(C)2006 KORDES & KORDES FILM GMBH/SWR/BR/ARTEガラスのように繊細な神経を持つジェニーに翻弄されていっても、クリューガーは夢をあきらめさせなかった。あなたの使命は明らかでしょう? と。そしてジェニーが選んだのは、「私の音楽」。お仕着せなんて嫌、塀の中で過ごす自分にとって、音楽こそが最も自由な世界。それは誰にも侵されないもの。そしてラストの、未だ誰も到達したことがない世界のメロディーへと続いていく。全てが終わった後、観客に向けて行われるお辞儀が、傷つききった彼女の心がこれから回復していくであろうことを思わせる。ジェニーを演じるのは1200名のオーディションを勝ち抜いたハンナー・ヘルツシュプルング。難しい役柄でしたがよく演じていたと思います。ピアノの迫力もよかったです。*****************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2007.12.01
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監督・脚本 : フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 音楽 : ガブリエル・ヤレド 出演 : ウルリッヒ・ミューエ 、 マルティナ・ゲデック 、 セバスチャン・コッホ 鑑賞劇場 : CINECITTA川崎公式サイトはこちら。<Story>1984年、東西冷戦下の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)局員のヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は、劇作家のドライマン(セバスチャン・コッホ)と、舞台女優である恋人のクリスタ(マルティナ・ゲデック)が反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。成功すれば出世が待っていた。しかし予期していなかったのは、彼らの世界に近づくことで監視する側である自分自身が変えられてしまうということだった。国家を信じ忠実に仕えてきたヴィースラーだったが、盗聴器を通して知る、自由、愛、音楽、文学に影響を受け、いつの間にか今まで知ることのなかった新しい人生に目覚めていく。ふたりの男女を通じて、あの壁の向こう側へと世界が開かれていくのだった…。善き人のためのソナタ - goo 映画<感想>偶然が呼ぶ悲劇とはこれを指すのだろうか。体制のなかで順応するためには選べない手段、しかし真実に目覚めたものには、その枠組みは外さなければならないものだった。愛を、自由を、守ろうとした、しかし、守りきれなかった。色彩のない世界に生きる人の心は、やはりすさんでしまうらしい。密告社会、監視社会、裏切りの社会、己の信念に忠実な者は、明日の自由を剥奪される運命にあった。表現の場を求めるためには、体制に呑まれるしかないのか。自分たちの世界を侵そうとする権力から逃れるための、また愛するものだけは守るための、必死の抵抗。見えない支持者に守られていた。しかし、己の弱さに負けたクリスタの行動で、運命は大きく変わってしまった。偶然が偶然を呼んだことが悲劇を呼んだ。もしドライマンが盗聴に気付いていたらもしクリスタがあの夜大臣の許へ出かけていたらもしヴィースラーが証拠を移動しなかったらもしクリスタが秘密を守り通したらもしも、もしも、もしも、・・・・・・いくつもの「もしも」に取り巻かれているけど、その1つでも狂ったら、その後の運命までもが大きく変わっていく。非常時においてはその判断が命取りになる可能性もある。憎むべくは体制であるはずなのに。恐らくは、冷戦時の東欧で、たくさんのドライマンとクリスタ達が、無念の人生を送ったのだろう。この瞬間も、世界のどこかで息を潜めて体制に立ち向かおうとしている人々がいるのだろう。****************************今日の評価:★★★★★(この悲劇の前には、何も語る言葉がない。)善き人のためのソナタ サウンドトラックなんとなんと、この日、ヘーゼルナッツさんと、同じ劇場の全く同じ回でこの映画を観ていたことが判明!!結構この日は主人と交渉して無理言って出してもらいました(笑遅い時間からしかやってなくてね・・・ 一番早くて夜の6時25分から。これはもう完全に映画オフですね!?(爆
2007.03.21
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