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終戦のあとに始まった、もう1つの戦争が語られる作品。(2012年7月21日公開)続きはこちらへどうぞ。※ 本ブログはミラーブログです。レビューはgooブログに書いています。 ちょっとここのところ楽天を放置状態なんですが、時々映画記事リンクも更新したいと思います。こちらの作品、今までなかなか語られなかった歴史の暗部に思い切ってメスを入れています。終戦記念日の夏に合わせて公開です。
2012.06.11
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久しぶりに映画日記など。今月は、TOHOシネマズの1カ月フリーパスポート期間だったんで、19本も鑑賞してしまいました。これはそのうちの1本です。パン焼きとしては、これは公開日に絶対に行きたかった~。詳しくはこちらをご覧くださいね。1月は、学校の後期試験(卒業試験も兼ねる)もあったんですけどね(笑)何だかんだ言いつつもかなり今月は観てしまいました。。。 (^_^;)寒い冬でも、気持ちがほっこりとする作品でした。
2012.01.28
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監督: 入江悠 出演: 二階堂ふみ 、森下くるみ 、宇治清高 、三浦由衣 、坂本達哉 、神聖かまってちゃん鑑賞劇場 : シネクイント公式サイトはこちら。・・・・続きはこちら。<お知らせ>このブログは、ミラーブログです。2011年4月19日以降、トラックバックが入らなくなります。コメント・トラックバックはgooブログの方にお願いします。
2011.04.20
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監督: 英勉 出演: 溝端淳平 、大野いと 、菅田将暉 、逢沢りな 、古川雄輝 、宮澤佐江(AKB48)、増田有華(AKB48)、岡本玲 、塚地武雅 、温水洋一公式サイトはこちら。・・・・続きはこちら。<お知らせ>このブログは、ミラーブログです。2011年4月19日以降、トラックバックが入らなくなります。コメント・トラックバックはgooブログの方にお願いします。
2011.04.12
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監督: 神山征二郎 出演: 三浦貴大 、柄本時生 、橋本一郎 、池上リョヲマ 、近衛はな公式サイトはこちら。専修大学開学130周年記念として製作された映画です。 製作も専修大学ですね。 なので、商業映画というよりは、限りなくPR的側面に近いものはあります。でもなんかこういう真面目な感じの映画って気になるんですよね。身近に専修大学関係者はいないんだけど(笑)、近くでも上映があったんで行って来ました。専修大学 公式サイトストーリーとしては、一言で言ってしまいますと、「専修大学が誕生するまで」です。明治維新時から志学した若者たちが集まり、アメリカに留学をし、帰国後に日本でも法律や経済を学べる場所を作りたい、それが専修大学の原点ということです。驚いたことにこの映画、出演者に俳優2世が異常に多いのよ(笑)まず主役の相馬永胤が三浦貴大(父・三浦友和、母・山口百恵)、目加田種太郎役が橋本一郎(父・役所広司)、駒井重格役が柄本時生(父・柄本明)、相馬の留学生仲間の三浦和夫役が橋爪遼(父・橋爪功)、相馬の妻・陸役が近衛はな(父・目黒祐樹)。まだいましたっけ・・・?偶然なのか敢えてそうしたのかは不明ですが。この中では時生くんがいちばんメジャーかもしれません。 三浦くんはお母さん似ですね。近衛はなは昨年の『獄(ひとや)に咲く花』なんかは結構好きですね。そんな感じである程度演技には慣れた感じの配役なため、ある程度安心して観ていられるというのはあります。これこそ「崩しようがない映画」でなくてはいけないので、きっちりとかっちりと、その役のイメージ通りに仕上げないといけないですから。神山征二郎監督作品は『ラストゲーム 最後の早慶戦』は観ていますが、きちっと描いていくのが持ち味のような感じで、その点では神山監督は本作に適しているように思いました。ただしあくまでも「専修大学」がスポンサーとしてある以上、映画製作にあたってもその希望の枠からはみ出すことはないのが前提で、脚色があまりできなかったのではないかというような印象は残りました。そのくらい淡々と、時系列で話が進んで行っていました。冠がある以上は、そこからは抜け出せないでしょうし、まして本作は(恐らくですが)入学者用・受験希望者用・学校説明会用のPRも兼ねていそうな気もするからです。しかしながらこの映画のいい点としては、とにかく若者たちの勉学に対しての志が今では考えられないくらい高く、それを前面に出すことに成功しているということ。そこには戊辰戦争という史実も絡んでいて、この戦争で恩恵を得られなかった者たちにとっては、学問で名を上げることだけが出世する唯一の方法であったから、勉学が好きということに加えて、立身出世を夢見て留学の道をつかむことが必要だったんでしょう。勉学に励む、帰国してそれをビジネスチャンスにする、それがほぼ新しい分野の職業となりうる時代だったからこその、学問への情熱だと思いました。もっとも彼ら自身が優秀であったということもまた事実ですが。学問を修めればそれが必然的に未来につながる、その想いこそが彼らを動かして行きました。今では大学へ行くのが当たり前になっている、というか、行って当然という姿勢が一般的ですが、いい加減な動機で進学する人も少なくない現代に、この映画が問いかける「学問への情熱」とは? というテーマに対して、感じるところはたくさんありそうです。正直映画としては全体的に小じんまりまとまり過ぎたかなという感はありましたが、そこを補っていたのが、学問に対しての取り組み方、建学の志、そしてキャストたちもその意味を理解していた演技であったことでした。今日の評価 : ★★★ 3/5点
2011.03.02
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監督: 佐藤信介 出演: 二宮和也 、松山ケンイチ 、吉高由里子 、本郷奏多 、夏菜公式サイトはこちら。原作未読。 これ、どうしよっかなーと思ってたんですけど、「意外とおもしろかったよ」っていう声に押されて行くことにしました。ニノ&マツケンなんでちょっと興味あったんですよ(笑)これ、一番ツボに来たのは「田中星人」でした。何となくうっとうしい感じが最高でしたよねー(笑)服とかもあんなだった。 爆笑です。ここで元ネタが分かる人は齢バレますwあと私、ねぎが大嫌いなので、「ねぎ星人」とか聞いた瞬間に逃げるよ(笑)敵の設定は結構面白かったけど、余計な間が多いのが気になりました。そんなことしてる間に死んじゃうよ! っていう空白シーンはしょうがないのかな?あと、登場した瞬間から完全に死亡フラグが立ってる人たちがあまりにも多いんで(笑)、そこはもう少しわかんなくしてもよかったんじゃないかな。どうすればここから脱出できる!?っていうところと、人物像を全て出してきたのが本作、そして次回作へと続きます。前編での人物像と後半での人物像が果てしなく入れ替わる人もいるようで、楽しみになりました。田口トモロヲさん、後編は活躍してほしいね~そして山田くんがどういう風に出るのかも気になります!今日の評価 : ★★★ 3/5点
2011.01.31
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鑑賞劇場 : ユーロスペース『海炭市叙景』 公式サイトはこちら。いくつもの文学賞候補(芥川賞5回、三島賞)に推されながらも遂に受賞はならず、1990年に自死した函館市出身の作家・佐藤泰司氏の作品。 「遺作であり、未完の短編小説」ということである。(wikiより)東京国際映画祭でもコンペティションに出てたんですが、チケットが完売ということでやむなく一般公開まで待ちました。待望の鑑賞。予告で谷村美月ちゃんが出てて、今までの彼女のテイストとは全く違う雰囲気に惹かれました。作品は、5つのエピソードからなるオムニバス。最も原作では18ものエピソードですので、ここで取り上げたのはほんの一部です。邦画のオムニバスというのは今まで何本か観ているんですが、洋画と違って、1つ1つのエピソードがやたら大仰なものが多く、印象に残ったものがあまりないのです。果たして本作はどうでしょうか。「海炭市」という架空の都市(モデルは函館市と思われる)を舞台に繰り広げられる人間模様。どんよりとした分厚い雲と、今にも泣き出しそうな灰色の空が迫ってきそうな風景の中に展開される話は、そのビジュアル通り、重たく湿っている。その背景にあるものは、不景気と、それが直撃する地方都市の現状に他ならない。例えばこれが都会であったら、何となく非正規でも仕事があって、それなりに命をつなぐこともできるのかもしれない。 しかしながら、ここにあるのはどうしようもない閉塞感だけ。それまで懸命に自分の居場所を守ってきた人たちでさえも、時勢の波に呑まれてしまえば、そこには何も残るものがない。こんなに非情な現実なのにも関わらず、ここに出てくる人たちはどこか、観念しているように見えてならない。肚をくくっている、というか、くくりきっている、と表現した方が正しい。これらのエピソードの中では、「まだ若い廃墟」の兄妹の暮らしが切なかったです。裸電球という生活は本当に今でもあるんでしょうね。そして「裂けた爪」。加瀬くんはこういう役、うまいです。ただ暴力はよくないかな。 誰に対しても。 自分より弱いものに対しては特に。という綺麗事が通用しないほど、彼らの心が荒んでる訳です。理由はそこから推測するしかないんですけど。実際に今まで基盤としてきたもの、例えば仕事だとか家族だとか住居だとかを失くす時、それがやってきた時はショックを受けてしまうけど、その状態を受け入れざるを得ないとなった時にはもう、人は観念してしまうんだと思いました。そしてそこから、どうやっていったらいいのかを探し始めます。ある者は新天地へ、そしてある者は故郷に帰り、ある者はその場所で動かずに今までどおりの生活を送る。「人はどんな状況に置かれても、生きていかねばならない」などという言葉がそれこそ、空回りしそうな現実。そこから目を背けたくても、もうどこにも行くあてもない。 それが現実なんですね。重苦しくても心が折れそうでも、そこに留まる人々のありのままの表情をあぶり出す良作でした。今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点
2011.01.02
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監督: 杉田成道 出演: 役所広司 、佐藤浩市 、桜庭ななみ 、山本耕史 、風吹ジュン(TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 16本目)公式サイトはこちら。<Story>吉良上野介邸討ち入りの後に、大石内蔵助(片岡仁左衛門)から「討ち入りの真実を赤穂の遺族たちに伝え、彼らの生活を助けよ」という命を受けた寺坂吉右衛門(佐藤浩市)。16年後、彼は最後の遺族を訪ね、すべての使命を果たし終えた。その後京都を訪れた寺坂は、討ち入りの前日に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所広司)の姿を見かける。実は瀬尾も大石から密命を与えられていたのだった。その密命とは、大石内蔵助と側女の間にできた子どもを、保護して育てよと言うものだった。最後の忠臣蔵?-?goo?映画<感想>今年はちょんまげものに多くご出演の役所さん。ちょうど『十三人の刺客』もありましたし。 時期が若干これとかぶりましたね。というか、ちょんまげものの映画本数が全体的に多かったのかな?日本人が大好きな忠臣蔵ということで、散々私もあちこちで観てますが、これは「忠臣蔵のその後」です。討ち入り前夜に逐電したとされる瀬尾孫左衛門、そして四十七士の中から「生かされた」寺坂吉右衛門。「生き残った方が背負うものが大きかった」というセリフが重い。武士道からしてみれば、主君の仇打ちに加わらない、まして逐電したとなればもう「不忠義者」扱いにしかならない。そこに隠された理由があったとしても、そう見られることは辛く、まして身分を隠し、公儀に追われる身となればなおのこと。そして密命を達成しないといけない。 孫左衛門に課されたプレッシャーは相当なものだったと思います。そこまでして守らないといけない忠義って何だろう、周りや自身を犠牲にしてまで尽くす意義とは。やはり当時でないとわからないことがあります。もし、可音が孫左衛門に違う言葉をかけていたら、とも思いますが、可音も若く社会を未経験の女性であり、到底孫左衛門の行く末などは思い及ばなかったと考えます。自分が嫁いだら、孫左衛門はどうなるのか。 どうするのか。そこを考えてしまうと結末がある程度予測がついてしまうのですが、それ以外には選択肢はなかったのでしょうね。武士は哀しい職業、と、いつもこのような映画を見る度に考えさせられます。今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.12.25
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監督 : 山崎貴原作 : 西崎義展出演 : 木村拓哉 、 黒木メイサ 、 柳葉敏郎 、 緒形直人 、 池内博之 、 マイコ 、 堤真一 、 高島礼子 、 橋爪功 、 西田敏行 、 山崎努(TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 8本目)公式サイトはこちら。<Story>西暦2199年、突如侵攻してきた謎の敵・ガミラスによって、人類はその存亡の危機に瀕していた。人類の大半は死滅し、生き残ったものも地下生活を送っていた。ある日、地球へカプセルか落下してきた。それは惑星イスカンダルからの通信カプセルで、そこに行けば、放射能浄化装置があるという。人類最後の希望を乗せて、最後の宇宙戦艦“ヤマト”がイスカンダル目指して旅立つ。しかし、行く手にはガミラスの艦隊が待ち構えていた。SPACE BATTLESHIP ヤマト?-?goo?映画<感想>(たぶんですが)パスポートじゃなかったらスルーだったと思います。実は試写も当たってたんですけど、『GAMER』と重なり試写は友人に譲ったの。でも結論から言うとこちらの方が面白かったですね。ヤマト、アニメ世代ではあるけど、どっちかというとハイジとかパトラッシュとかラスカルの方が好きだったんで、ヤマトの話の内容とか、ぜーんぜん知らないの。記憶の中にあるヤマトと言えば、小学校の時に男子がこれで遊んでて、ってかぎゃーぎゃー騒いでて「っるっせーなー」と思ったことくらい(笑)たぶん、ヤマトに関しては私の実の弟の方が詳しいと思います。オタクに近いかも・・・まあそれでも、単語(笑)はいやでも耳に入って来てたんで、「古代進」「森雪」「イスカンダル」「波動砲」くらいはわかるわよ。あと、「ワープする」ってのもめちゃくちゃ懐かしいーwあ、あと曲もわかります。なもんですごくこの感想書きやすい~一言で言うと「思ってたよりもよかった」。やっぱり、VFXの威力はありますよね。 山崎監督のおハコというか何と言うか・・・。ですが、そのVFXと、実写の部分がかけ離れて過ぎていたのが気になりますね。実写がちょっとチープ過ぎないですか?船内の様子とか・・・木村さんの古代が・・・ とか、メイサさんの森雪が・・・とか、皆様いろいろあると思いますが、私はキャスティングに関しては特に何もありません。だってヤマトそのものを知らないんだからね。あとですね、最後にあれが出てきてもう、爆笑でした。早っ。そんな時にそんなことして、そんな時間ないでしょー。あーた、艦長代理なのに!!もう、ほんと、原作もそうなんですかぁ? 笑まあ、それは置いといて、脇役に結構目が行ってしまった。まず、先日『十三人の刺客』で観たばかりの波岡一喜くんですね~。彼、なかなかいい味出してると思うんですよ。今回もなんかいい奴だったなー。それと『パートナーズ』の浅利陽介くん。彼もむっちゃ、いい奴だったなー。(→ そればっかりですが)鑑賞日の前日に読売新聞の夕刊で話していた役はこれだったのね、と、妙なところで感動。あと、緒形直人さんお久しぶりでしたが、奥様の仙道敦子さんはお元気かしら・・・ と、これも余計でしたね(笑)ギバちゃんが、「古代!」って呼ぶところは、室井かと思いました・・・とまあ、いろいろありますが、大きいスクリーンで、広々と鑑賞できてよかったです。これは大スクリーンで観た方が絶対いいね。ヤマトを知らない私でも、まあ普通に楽しめましたので、知っている方はそれこそいろいろあると思いますが、お正月家族でネタに行く分には全然OKです。今日の評価 : ★★☆ 2.5/5点
2010.12.14
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監督 : 瀧本智行 原作 : 阿川佐和子 出演 : 坂井真紀 、 西島隆弘 、 加賀まりこ 、 藤竜也 、 平泉成 、 荻原聖人 、 鈴木砂羽 、 田山涼成 、 余貴美子 、 塩見三省 、 草村礼子 、 嶋田久作 鑑賞劇場 : シネスイッチ銀座公式サイトはこちら。<Story>独身で35歳のルイ(坂井真紀)は、女手一つで育ててくれた叔母のトバちゃん(加賀まりこ)と二人暮らし。自分を産んですぐ亡くなった母の代わりに、女手ひとつで育ててくれたのだった。そんなトバちゃんが、還暦を前に突然恋に落ち、結婚するために家を出てしまう。一人ぼっちになったルイの家に、ある日、怪しげな初老の画家トニー(藤竜也)、笑顔を絶やさない雑誌編集者見習い・康介(西島隆弘)がやってきて、そのまま三人の共同生活が始まるのだが…。スープ・オペラ - goo 映画<感想>食べ物系の映画は抑えることにしていますので鑑賞してみました。『しあわせのかおり』での藤竜也さんも素敵でしたので、それも気になり^^これはどう表現したらいいのかな?ファンタジーというか、絵本のような感覚に似てますね。 特に最後などは。エピソードの区切りで入ってくるメリーゴーランドがそう感じさせます。ただね・・・。そのせいか、どことなく現実離れしている感じもあり。 かと思うとリアルっぽくもあり。思い切ってどちらかに寄ってもよかったと思います。ルイの心境がもう少しわかってもよかったような。康介とのことが割とリアルに描かれていて、そこはまあわかるのですが、それでは一体ルイは何を求めているのかが今一つ伝わってこなかった感じがします。ケセラセラでいい・・・となってしまうところで、何となくくくられてしまったような感じでもありました。スープの存在が、この映画をまとめているのはわかるのですけどね。最後にはこの方向に持って行く映画は割と多いパターンなので。 自分探し系?でも、そうとしか言いようのない感じもするし、人間、思い切ってバスにはいつか飛び乗ってみる時も来るかもしれません。私が好きな、鈴木砂羽さんが出てて、髪型がロマンティック!なんだけど肉食系キャラ(笑)でご登場。 彼女も含めて、オールキャスト参加の最後のシーンなどはファンタジックでよかったです。********************************今日の評価 : ★★☆ 2.5/5点
2010.10.11
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監督 : 三池崇史 出演 : 役所広司 、 山田孝之 、 伊勢谷友介 、 沢村一樹 、 古田新太 、 高岡蒼甫 、 六角精児 、 波岡一喜 、 近藤公園 、 石垣佑磨 、 窪田正孝 、 伊原剛志 、 松方弘樹 、 松本幸四郎 、 稲垣吾郎 、 市村正親 試写会場 : よみうりホール公式サイトはこちら。<Story>島田新左衛門(役所広司)の下に集められた13人の刺客は天下万民のため、将軍の弟・松平斉韶(稲垣吾郎)に一世一代の戦いを挑む。生来の残虐な性質で罪なき民衆に不条理な殺戮を繰り返し、幕府の権力を我が物にしようとする史上最凶の暴君・斉韶。その軍、総勢300人超。斉韶の名参謀にして新左衛門のかつての同門・鬼頭半兵衛(市村正親)との知力を尽くした戦いを制し、斉韶暗殺は果たせるのか。参勤交代の帰国の道中、要塞へと改造された落合宿で、想像を絶する壮絶な戦いの火蓋が切って落とされる。[ 2010年9月25日公開 ]十三人の刺客 - goo 映画<感想>なかなか応募しても当たらないこの試写会だったんですが(笑)、ご厚意で譲っていただきました。 ありがとうございます。本作、とにかく最初から最後まで血がいっぱいです。それを覚悟して下さいね f^^;(私も血は苦手なんですが。。。)(楽天でもYouYubeが貼れるようになったんですね。 早速やってみます^^)片岡千恵蔵さん主演のオリジナルが1963年に作られています。動画を要所要所見てみました。 オリジナルは白黒ですが、ずいぶん画面が綺麗なのに驚きます。 最後の方なんてみんな戦ってヘロヘロなはずなのに、オリジナルは小綺麗だったりします(笑) 当時は今みたいに映像技術が発達してなかったし、モノクロだったから、血や汚れは単に真っ黒に映ってしまうだけですし。。。戦って血が流れるという臨場感が本作の場合は見せどころであり、ここらへんは三池作品に軍配が上がるでしょうね。 絵としてはオリジナルをほぼ踏襲しているようですが、 13人の描き方はこちらの方が絶対にリアル感あります。 設定はいちいち残忍で、 明石藩主松平斉韶の命を何故狙いたくなるのかが丁寧に描かれています。 斉韶はどえらい残虐暴君に仕立て上げられています。 本当なら老中になる前に処罰されてもおかしくない行動だと思うけど。。「将軍の腹違いの弟」というだけで周りはちやほやしてくれる。 しかし自分が心底から必要とされることはない。斉韶はたぶん、生きている実感も何もなかったんでしょう。その境遇が彼をさらに高慢に、残酷に仕立て上げていく。「戦のない世がつまらん」ことを嘆いていたボンボンの暴君の役はよかったと思います。 この役を稲垣吾郎がよく受けたなあと思いました。 彼の澄ました感じをうまく生かしています。そして斉韶を狙う側の心境も十分伝わってくる。(実際は幕府の老中が斉韶暗殺を命じることはまずないとわかってはいてもですが)命じはしないにしても、命じたくなるようなことが山ほどあるに違いありません。それは江戸幕府のことのみならず、今の社会だってそう。人を人と思わず私益に走り、あぐらをかく人間はいつの世でも存在します。「天下万民のため」という立派な名目はあるものの、新左衛門はじめ、この計画に賛同した者は、自分が役に立てていない、自分の活躍の場所はどこか。 ほぼそう思っている。もしも本気で自分が必要とされるのならば、喜んで役に立てたい。 命を捧げてもいいと思える人がいるならば、また捧げるに値することならば、捧げても一向に構わない。その気持ちが彼らを動かした。松平の血筋のものを狙うということは幕府に弓を引くことと同罪というのは当時の常識なだけに、 談合の場面で、「こういうところから謀反が発覚するんだな」と思いながら見ていました。 誰かリークする奴がいるんですね。 だからどれだけ「命を預けられるか」が、クーデター成功のカギだったんでしょう。 逆に斉韶を守る側からはどうだろうか。主君の命は絶対である。 ではしかし、命令を実行するだけの内容なのか? 自分がしようとしていることは人のためになることなのか? そう自問自答したところで、所詮は武士、主君に忠節を尽くすことが全てと教わっている以上は、そこに無理やりにでも意味を見出して、従うしか生きる道はない。そう運命づけられてしまう虚しさがありました。「武士はいろいろ面倒」という言葉の意味がわかる。 今回はベテランから若手まで揃えた三池チームでした。 ベテラン勢、よかった。 平幹二朗、松本幸四郎、松方弘樹、役所広司、市村正親、みんな仕事をきっちりとしてました。 彼らもまた、命を預けたんでしょうね。 そしてクローズZEROから山田くん高岡くんを引っ張り、若手からも伊勢谷くん波岡くん、そして窪田正孝くん(彼すごいよかった!)、その他大勢取り混ぜてやってました。 みんな力入れて作ったんだろうなあ・・・ という手ごたえを十分に感じます。 13人の刺客、1人1人たっぷりと見せ場も作っていますし。ラストの方で少々いらないかなあ・・・ という映像もありますが、 それはあまり気にならないです。とにかく圧倒されてしまいました。 圧巻です。***********************************今日の評価 : ★★★★★ 5/5点
2010.09.15
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監督 : 若松孝二 出演 : 寺島しのぶ 、 大西信満 、 吉澤健 、 粕谷佳五 、 増田恵美 、 河原さぶ 、 石川真希 、 飯島大介 、 安部魔凛碧 、 寺田万里子 、 柴やすよ 鑑賞劇場 : シネマ・ジャック&ベティ公式サイトはこちら。<Story>一銭五厘の赤紙1枚で召集される男たち。シゲ子(寺島しのぶ)の夫・久蔵(大西信満)も盛大に見送られ、勇ましく戦場へと出征していった。しかしシゲ子の元に帰ってきた久蔵は、顔面が焼けただれ、四肢を失った無残な姿であった。村中から奇異の眼を向けられながらも、多くの勲章を胸に、“生ける軍神”と祀り上げられる久蔵。四肢を失っても衰えることの無い久蔵の旺盛な食欲と性欲に、シゲ子は戸惑いつつも軍神の妻として自らを奮い立たせ、久蔵に尽くしていく。四肢を失い、言葉を失ってもなお、自らを讃えた新聞記事や、勲章を誇りにしている久蔵の姿に、やがてシゲ子は空虚なものを感じ始める。敗戦が色濃くなっていく中、久蔵の脳裏に忘れかけていた戦場での風景が蘇り始め、久蔵の中で何かが崩れ始めていく。そして、久蔵とシゲ子、それぞれに敗戦の日が訪れる……。キャタピラー - goo 映画<感想>2010年ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品、寺島しのぶが最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞した作品。先週、新宿で見ようと思ってたんですが都合悪くなり、今週に変更。この日は横浜近辺が都合よかったんで、ジャクベにしました。前から聞いてはいたんですが、どうしてもシネコンに足が向いてしまって、なかなか行く機会がなかったジャック&ベティ。 初めて行って来ました。写真は撮ってこなかったんだけど、行ってみると(思った通りなんですが)あまり周りにはお行儀がよろしくないお店もちらほら。。。イセザキモールの終点近くだからいろいろあるよね。駅で言うと地下鉄の阪東橋か、京急の黄金町。 クルマだと首都高の阪東橋出口からすぐですね。外観はやっぱりレトロな感じで、でもエスカレーターがついていて、これは高齢者への配慮でしょうか。 昔の建物なのでかなり階段の段差があるし。内部もレトロではありますが、きちんと手入れされている雰囲気があります。整理番号順に入場ですが、手際がよくて、慣れているという印象でした。スクリーンは2つあり、名画座のシネマ・ジャックと単館系ロードショー館のシネマ・ベティという住み分け。 この日のキャタピラーはベティでした。戦争映画をレトロな映画館で観る。 何だかピッタリのような気もします。上映前に支配人さん(?)からご挨拶がありました。若松監督は、前作の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』を上映した館に、今回の『キャタピラー』を優先的に上映してくれないかと、自らがお願いされたそうです。そんなエピソードも伺えるところが、名画座のいいところなのかもしれません。さて映画です。戦争によって四肢を失った状態で帰還した久蔵。夫は「生ける軍神さま」と崇め奉られるが、その一切の世話は妻であるシゲ子にのしかかってくる。ただひたすら、人間の本能としての欲に生きる夫、そしてそれを受け入れるしかない自分。しかしながらそれが世間では「妻の鏡」であると評される・・・ というものです。戦争中はこういうことが当たり前に思われていたのだろうな、という描写がいくつもいくつもありました。例えば、銃後の婦人たちの思想統制。太平洋戦争に少しでも疑念を抱くことのないようなスローガンは、銃後の人間たちにも徹底されていて監視されることですね。 そこからはみ出すことは許されない。そして戦う方も自分の尊厳などは認められない。戦争によって非情な姿にさせられてもそれを嘆くことも許されない。 それどころか、いつの間にか自分が「神」として祀られることへの理不尽なこと。だが、理不尽なことなのに、自分たちが一段高い地位にあることに対して感じる優越感もあったりする。皆が拝んでいるのは、金鵄勲章だけなのかもしれないのに。本音と建前、の世界なんだろうと思いました。本音ではああいう風になったらもう終わりだ、あんなのとだけは暮らしたくない、そう思ったとしても、それを拒否することを許さない世間があり、またその場所からは逃れられない現実が重く存在する。食欲と性欲だけに終始する夫に嫌気を覚えつつも、外に出て褒められると溜飲が下がったかのような錯覚にとらわれる。 そして家の中では鬱屈した感情を溜めていくという循環です。最後の記録集、メッセージなどから読み取れる、「忘れてはいけない」というテーマがあるのですが、それとは別に、この極限の状況に陥った夫婦の在り方を考えさせられる作品でもありました。シゲ子と久蔵との間には、もともと愛情はあまりなかったように推察されます。昭和初期、戦前では、暴力夫がいてもそれに立ち向かったりすることは今ほどはなかったようにも思いますので。 許容範囲として妻は受け入れざるを得なかったのではないでしょうか。暴力夫でも、夫は夫、反抗することは妻として失格とされた時代のように思います。そんな夫婦の中に真の愛情はあったのか。 とても疑問です。出征前は当たり前のように暴力をふるっていた久蔵は、不自由な身体で帰還した後は枯れることのない性欲をシゲ子にぶつけ、異様な食欲でこれまたシゲ子を困らせる。それはあたかもシゲ子を束縛しているようにも見える。不自由な身体の自分が、「軍神の面倒を見ることが妻の鏡」という世間の概念を利用してシゲ子を縛り、彼女より優位に立とうとしているように見えて仕方がないのである。 シゲ子は、そんな夫に仕えつつも、それがどんな心境でやっているのかが読めてこない。ただ言えることは純粋な、単純な心持だけではないということ。最初は無我夢中で、そして次第にあきらめと嫌悪、苛立ちが混ざってくる。 それなのに時折夫に共感するような仕草をしているのが不思議。彼女にとっては、何一つ自由にならない時間のはずなのに、それでも夫と息が合う場面があるのも不思議。 これは夫婦ならではの複雑さかもしれない。それでも、自分に押しつけられている役割は過酷であり、久蔵を連れ出して周囲に敬われることで鬱憤を晴らしているのも屈折した心である。当時の世相、戦時下とという状況、そして久蔵の容体などの条件があって、この、一筋縄ではいかない話が生まれている。ただし、後半に流れてくる記録映画の部分など、「忘れない」というのはわかるのだけど、それだけを語るには、夫婦の描写があまりにも濃すぎる。夫婦のことなのか、それとも反戦なのか。 どっちもあって相乗効果というのもありですが、どちらかに重点を置いてもよかったように思う。できれば、久蔵のトラウマの部分や、彼の気持などもあるとよかったのではないだろうか。「極限の状況でも、欲に生きるのが人間である」という生々しさも十分に出ていたので、そちらに重きを置いた方が、スッキリとまとまったような気もしますが、どうでしょうか。************************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.09.01
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作 : 中島かずき演出 : いのうえひでのり 出演 : 上川隆也 、 稲森いずみ 、 早乙女太一 、 橋本じゅん 、 高田聖子 、 粟根まこと 、 山内圭哉 、 山本亨 、 千葉哲也 、 堺雅人 試写会場 : 富士ソフト アキバシアター公式サイトはこちら。<Story>遠い昔。ようやくひとつの政権で統治され始めた島国・鳳来の国にまつわる物語。無実の罪で監獄島に幽閉された伊達土門(上川隆也)。10年の歳月が流れてもなお、濡れ衣を着せた者たちへの復讐を生きる糧にしている。監獄島の奥深くに捕らえられていたサジと名乗る男(堺雅人)の力を得て脱獄、復讐への道を着実に歩む土門の前に立ちはだかったのは、かつて将来を誓った女・美古都(稲森いずみ)だった。[ 2010年10月2日公開 ]ゲキ×シネ『蛮幽鬼』 - goo 映画<感想>ハリウッドチャンネルさんで当選して行って来ました。ありがとうございます。ゲキ×シネは実は初めて。いつも行こう、行きたいと思いつつも、上映館が少なくって、しかも時間が長い・・・ ので、スケジュールが合わずいつも断念。今回も、試写終映が22時過ぎ(!)なんで、それから帰宅かあと思ったら、ちょっとどうしようか一瞬迷いましたが、これを逃すとまた見逃すと思い、やっとこさ行きました。アキバシアターは初めてでしたが、というより秋葉原駅に降りたのが2年ぶりくらいで、全然場所わからん・・・ いろんな人に訊きまくってどうにかたどり着いたら開場後でした(苦笑)でもここは観やすいですね。 綺麗だし、いい会場です。で、初めて観るゲキ×シネ。いやー、すごい迫力。役者さんたちの「汗」!!! ものすごい。 時代劇なんで衣装が重たいのもあるんでしょうけど。「復讐」がテーマです。「復讐してやる!」という気持ちは、人のモチベーションを上げることがままあります。それが生きる目的となった、伊達土門。彼の執念は生半可ではありませんでした。平民の出ながら頭脳が明晰であり、また時流を読む能力にも長けており、人の心をつかむのもうまい。だから生まれ変わった人生でも人々が彼を支持する。しかしながら、単に未来を築くために彼を支持しているものばかりではないこともまた確かなこと。辻褄の合わないこと、愛する美古都を裏切ること、また美古都に裏切られたように思えること。それらの仕掛け人は一体誰なのか。そしてその理由は何なのか。そこにもまた、復讐の根深い澱が潜んでいることを、観客は思い知らされる。本当に見事な3時間強の舞台でした。やっぱりゲストの4名の凄まじさですよね。上川隆也さんの表情は、いつもの彼とは全く異なっていて、その衣装の迫力もあってか、まさに神がかった雰囲気。早乙女太一くんは初めてでしたが、まだ10代だし、殺陣も素晴らしく、体格もいいしイケメンだし(!)、これからが本当に楽しみです。落ち着いた雰囲気も出せる、素敵な俳優さんですね。稲森いずみさんは今回久しぶりに拝見しました。 彼女最近は映画じゃなくてドラマが多かったんですね。 昔、トレンディドラマに出てたイメージが強かったんですが、今回の迫力ある演技はお見事です。「皆の者、聞け!!!」と叫ぶ彼女の姿は、本当に凛々しく、神々しかった。 『エリザベス:ゴールデン・エイジ』のケイト・ブランシェットを思い出しました。 誰かを頼る弱い女から、試練を経て、いつの間にかどんな困難にも立ち向かう女になって行きました。そして堺雅人さんの微笑み。 これは、「この世にいいことなんて何もないとわかった時の微笑み」なんですね。何もいいことがない。 だから己の信念を貫く。その決意を押し隠すように生き、敵の目をくらませるための微笑みなのでしょう。何を想いながら微笑むのか。その意味を知った時、彼の抱える闇の深さがわかると同時に、人はかくも鋼のように固く冷酷な気持ちになれるものなのかと考えてしまいます。争うことに何の意味があるのだろう。そう思い、そして争いたくないと重々承知であっても、人は争いを繰り返して歴史を重ねてきました。復讐に生きることが、己の生きる意味。 では、復讐の意味とは何なのでしょうか。そこに生まれるものは、絶え間ない憎しみだけであるとするならば、どこかで誰かが犠牲にならないと断ち切ることはできないのか。虚しさと、業の深さに浸った3時間でした。*********************************今日の評価 : ★★★★★ 5/5点
2010.08.27
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監督 : 米林宏昌 原作 : メアリー・ノートン 企画・脚本 : 宮崎駿 声の出演 : 志田未来 、 神木隆之介 、 大竹しのぶ 、 竹下景子 、 三浦友和 、 樹木希林 公式サイトはこちら。<Story>アリエッティはとある郊外の古い屋敷に住んでる小人の女の子。小人の一族は、自分たちの暮らしに必要なモノを必要なだけ人間の世界から借りて生活する、借りぐらしの種族だ。アリエッティが初めて借りに出たその夜、借りの最中に病気の静養でこの屋敷にやってきた少年・翔に姿を見られてしまう。人間に姿を見られたからには、引っ越さないといけない。掟と好奇心の間でアリエッティの心は大きく揺れるのだった。借りぐらしのアリエッティ - goo 映画<感想>やーっと行って来ました。これは子どもだけが先に観てます。いつでもいいやいつでもいけるからと、こういうのは後回しです(笑)なのでネタばれさせないように、彼らを口止めしてました。 原作は未読。夜は少し涼しくなってきたので、久しぶりにエアコンをつけないで、窓を開けてクルマを走らせると、気分がいいですね。道も空いてて快適ー。ついでにシネコンも空いてる~原作を読んだ方のお話では、「床下に住んでいる小人たちの生活のお話」ということだそうです。 なのでそれをいかに膨らませるかということでしょうか。自然との調和、共存のなかで、小人たちは生きている。私たちにとっては取るに足らないほどの小さな虫や花も、彼らにとっては等身大であったり、相手にしてしまうと真剣に戦わないといけないものであったり。視点を変えて見ることで、普段は気に留めないものも、1つ1つが支え合っているのかと感じる。実は虫が好きじゃないんで、もしもだんごむしやコオロギが等身大で目の前に現れたらと思うとぞぞっとしなくもないけど、アリエッティはむしろ愛おしい存在として共存していきます(たぶんコオロギはあまり好きじゃないかもしれないけど。 笑)そして天敵に襲われた時などはこちらが思わず心配になったりしますが、知恵を絞っているのには感心してしまったり。小人たち、人間に知られないように借りぐらしをしていますが、怪我をしたり病気になってしまったら一体どうするんだろう? とか、あの家は一体どうやって作ったんだろう? とか、余計なことばかり思ってました(笑)それにしてもアリエッティたちは、代々工夫を凝らした生活を受け継いできたのだろうと想像する。人間の世界では取るに足らないものが、彼らの世界では巨大だったり、入手困難だったり。必需品を得るために彼らが考えた、ありとあらゆる仕掛けも素晴らしいし、生活の中で、人間からの「借り物」を工夫して使っていることなどは、彼らの知恵なのでしょうね。アリエッティの部屋も女の子らしく、いい雰囲気でした。もう、この種族は自分たちだけになってしまったのではないだろうかと、アリエッティたちも不安の中で暮らしていたに違いない。いつかは滅びゆく種族と指摘されても、それは信じたくないのが常であるし、生き延びるために方法を考えて行くことになる。見つかる訳にはいかないが、自分たちの知らないところでその存在を認知している人もいる。小人たちを見守ってあげたいという想いが、陰ながら彼らを支えているのもよかったです。そして翔も、アリエッティたちを守りたいと本能的に思っていく。 これはたぶん恋なんだと思うけど、それだけではない。小人たちの持つ敏捷さだったり、人間にはない自由を持っていることへの憧れもあったのではないだろうか。人間には決してできないことをしている小人たちに、その世界を続けてもらいたい。その想いが彼を動かしていく。アリエッティはアリエッティで、翔への想いもさることながら、自分たち種族の継承を真剣に考えている。こんなに少なくなってしまった自分たちが、自分たちだけでやっていかなければいけないとしたら、それはかなり精神的にも厳しい部分だっただろう。「見守ってくれてありがとう」(だったと思いましたが)というセリフのなかには、たぶん翔からもアリエッティからも、感謝の気持ちがあったのだと思う。何も言わなくても、自分を支えてくれる存在がいるだけで、生きる力になることがある。 この2人の場合はまさにそれだったのでしょう。**********************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.08.23
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監督 : 原恵一 原作 : 森絵都 脚本 : 丸尾みほ 試写会場 : よみうりホール公式サイトはこちら。<Story>「おめでとうございます、抽選にあたりました!」突然現れた天使により“ぼく”の魂は、自殺してしまった少年“真”の体にホームステイすることになる。現世に戻る再挑戦のために真として生活をはじめた“ぼく”は、やがて彼が死を選んだわけを知る。最初は気楽なホームステイだったが、真と同じ立場で彼の生活を体験する中で、“ぼく”はこの再挑戦の本当の意味を考えはじめる。[ 2010年8月21日公開 ]カラフル - goo 映画<感想>原作、また原監督の過去作品共に未見。文芸ものをアニメに映画化というのも珍しい感じなので興味ありました。森絵都さんは数作品読みました。印象としては「中学受験頻出作家」なんですよね。 少年少女の成長がテーマというのが非常に多く、国語の問題によく出題されます。なので映画化しやすいのかもしれません。本作では、プラプラという「天使」(でいいのか?)が出てくる、あとは死語の世界などの描写もあるため、実写よりもアニメの方がすんなりと入って来そうな気もします。子どもたちも今はストレスにさらされ、受難の時代です。たぶん何のストレスがなく学校生活を送っている子は皆無かと感じます。いじめは昔からありましたが、こうも日常化していて、することされることが当たり前になると、もう良心の呵責というものはほとんど感じないのかもしれません。ひたすら被害者だけがその痛みを背負い、自分を透明にしていくことで痛みから逃れようとする。 それしか対処法がない。生まれ変わるチャンスをもらった「ぼく」は、「真」の身体を借りてそれにふさわしいかのテストをする、ということですが、真の事情を知って行くにつれ、だんだん目線が真になって行く訳です(これは当然ですが)。そして真が生きていた世界で、真が得られなかったものを感じ取って行くことになります。学校生活で一番みじめなのは、移動の時や休み時間、放課後に居場所がないこと。。。 というのを子どもたちは必然的に思い知っています。これは辛いものです。真を通じて初めて知ったもの、それは「友達」でした。「ぼく」は、自分の将来よりも、今を生きることを選択していきます。それは、今が楽しくて充実していれば、おのずから将来にもつながるのではないかということを、本能的に悟ったからなのでしょう。それほど、成長期の子にとって、友人と過ごす時間はかけがえのないものなのです。自分の子と重ね合わせてもよくわかります。「真」にとって、自殺を決意させるほど重要な事件ですが、これが間髪入れずに起こってしまうのがどうも・・・ とも感じます。ひろかはまだ心境を出すのでわかりますが、問題はもう1人の方で、どうしてそのようなことをしたのかが明確になってなかったように感じます。実はここが「真」が成長するにあたってのキーとなるようにも思ったんだけどね。なんかあやふやじゃなかったかなーと。話としてはとても納得のいくものなのですが、そのパターンに落ち着くかなということが割とすぐわかってしまい、『サマーウォーズ』のような新鮮な驚きとはまた別のような気もします。こちらが原作ありき、そしてシュールなので致し方ないとは思いますが。東急大井町線近辺が舞台で、かなり細部にわたって細かく描かれていて、二子玉川駅の再開発の、建築中のビルまでそのまま描かれているのにはびっくりしました(笑)駅なんかも、工事中まで写真みたいで面白かったです。等々力渓谷が涼しそうで行きたくなっちゃいますね。他にも懐かしい玉電(乗ったことないですよ。 笑)にまつわるお話など、マニアにとってはかなりそそられそうな要素もありました。************************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.08.01
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監督・脚本 : 香月秀之 脚本 : 松尾朝子 主題歌 : 東方神起 出演 : 溝端淳平 、 木南晴夏 、 五十嵐隼士 、 大森絢音 、 DAIGO 、 藤原竜也 、 本田博太郎 、 宮崎美子 、 隆大介 、 高嶋政宏 、 高島礼子 試写会場 : ヤクルトホール公式サイトはこちら。<Story>高知県出身の寺本新平(溝端淳平)は、プロを目指して東京でカメラマンのアシスタントとして奮闘していた。ある日、5年ぶりに高知に帰った新平のもとに、かつての恋人・香織(木南晴夏)が「一緒によさこい祭りに出て欲しい」と訪ねて来た。難病に侵された7歳の妹・さくら(大森絢音)の夢を叶えるために、かつてのチーム「いちむじん」を再結成してよさこい祭りに出たいと言うのだ。新平たちはかつてのチーム「いちむじん」を再結成し、よさこいの練習を始めるが…。[ 2010年9月11日公開 ]君が踊る、夏 - goo 映画<感想>お友達から、お仕事で行けなくなってしまったので。。。 という試写を譲っていただきました。そうじゃなければ絶対に観なかったかなあと思うジャンルではあります。阿波踊りは関東でもお祭りをしているところが多いせいか、割となじみはあるのですが、この映画の背景となったよさこい祭り。 これ、初めて見ました。社団法人高知市観光協会のよさこい祭りのサイトはこちら。阿波踊りに対抗して作られたお祭りだそうです。フロートがあって(地方車(じかたしゃ)って言うそうです)、そこに音楽チームがいて、その後に踊り子さんが続いて、という形は、横浜の、「ザよこはまパレード」(国際仮装行列)にも似ています。一見伝統ある雰囲気のように見えますが、実はすごく自由に作られているような感じもしますね。 音楽も好きなように作っていいようですし。そして衣装がすごく凝ってる。振り付けも可愛いし、ダンスという雰囲気です。夏らしいお祭りですね。本作は、私が苦手とする「難病もの」か。。。 と思っていました。あと苦手なのは「ペットもの」「子どももの」。どれも、本題とは別に、その設定の特殊さで観客を引こうという目論見が見えがちな作品が、ままあるからです。本作ですが、観賞し終わると、必ずしもその要素を前面に出していた訳ではないのだなということが分かる。 さらっとだけ入れてます。(これでもか、これでもかと出す映画も多いのでね。。。)あくまでも、新平と香織、新平とさくらのエピソードを中心に置いていたのがよかったように思います。 お話としては、その生き方もあるか・・・ というのが何となくわかる部分はありますが、それをうまくカバーしていたのが木南晴夏ちゃんの魅力のような気がします。彼女は『20世紀少年』シリーズで観て、存在感がある女優さんだなと思ってました。 彼女のいろいろな表情がここで観ることができるので、ファンならたぶん満足できる作品なんじゃないかなと。よさこいのメイクをした晴夏ちゃんすごく綺麗! さくらちゃんもかわいい。大事なもののための行動力と、そして自分の想いとの狭間で揺れる女の子を好演していました。溝端くんは今回初めてでしたが、今勢いがあるんでしょうね。 先日乗った電車の中に彼のコンサートの広告がありましたし。彼と五十嵐隼士くんとの絡みのシーンもやっぱり何となく気になりますし。あとはDAIGOさんなんかはお約束って分かってても笑ってたりします。 そして今回この映画で印象的だったのは高島礼子さん。着物着て高知の女を演じてるっていうのはあまりにも彼女にとってハマってました(笑) 若手を引き締める役割もしていたり。隆大介さん、久しぶりにスクリーンで観賞しましたが、いい感じのお父さん役でした。 みんなベテランになって若手が世代交代。。。 っていうのかな? それにしても本作の公開が9月11日というのは何とももったいない。よさこい本番が8月10日前後ということですので、ここに合わせて公開すればいいのに。(9月公開にしては一般試写が早すぎるような感じもするのですけど)よさこい本番、夏本番という雰囲気が全体にわたってありますので、公開が9月ですとどうなんでしょうか。それでも夏の雰囲気は残っているとは思うのですが。。。**********************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.07.22
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監督 : 小林義則 脚本 : 浜田秀哉 、 俵喜都 音楽 : 服部隆之 出演 : 夏帆 、 寺脇康文 、 戸田菜穂 、 山本裕典 、 遠藤憲一 、 浅田美代子 、 平田満 、 広田亮平 、 大野百花 試写会場 : ニッショーホール公式サイトはこちら。<Story>幼い頃杏子(夏帆)は、シェパードに混じって活躍する父とラブラドール・レトリバーのエルフを見て、父()のような警察訓練士になる決心をした。成長した杏子は警察犬訓練所の門をくぐったが、初日から寝坊してしまう始末。さらに自分の理想とかけ離れた日々に心が折れそうになるが、ある日生後間もない弱ったラブラドール・レトリバーに出会う。子犬をきな子と命名した杏子は、周りが反対する中「自分がきな子を警察犬にする!」と宣言した。[ 2010年8月14日公開 ]きな子 ~見習い警察犬の物語~ - goo 映画<感想>久しぶりに休日の試写となりました。三連休とあって場内はお子さんも多いです。動物もの、子どもものって、無条件にそのもので評価が上がってしまう傾向にあるため、敢えて最初からその分ハードル下げて鑑賞することにしています。映画の内容以前に、可愛らしさだけで加点されてしまうというのは自分の鑑賞ポリシーにそぐわないから。まずは内容重視派ですので。。映画鑑賞に臨む際には、自分は予備知識を一切入れないで観たいのですが、本作に関しては、「あらかじめ、関連文献やHPに目を通し、きな子が一体どんな犬なのか」をきちんと調べて、納得したうえで映画を鑑賞した方がいい。。。 と敢えて申し上げたい。確かにきな子と杏子の成長のお話ではありますが、ラストのカットが何とも言えない場面で終わっていて「?」という思いにとらわれ、そしてエンドロールの最後の最後まで観た私は正直茫然。そんなわんこなのですね。。。きな子は香川県ではかなり有名なんでしょうか。 調べたら関連商品もかなり出ていますし、劇中にもキャンペーンに使用されているらしきくだりがありました。 私は全く知らなかったのですが。なので、やっぱり宣伝用の感覚で作られた映画? のような感がどうしても否めません。あらすじに関して一番不思議だったのが、番場が杏子を指導しているシーンがなかったこと。ダメ出しはあるのに、指導シーンがないため、では杏子はどうやって修正すればいいのか? と思ってしまう。 指導者に放っておかれて杏子が1人で悩んでいるようにも受け取れる。もっと杏子の内面的なこと、日常の表情などもドキュメンタリー風に描いてもいいような気がします。 そうすればもっと杏子に感情移入できたのではないでしょうか。遠藤憲一さんのシーンがもっとあってもよかったように思うんですけどね。昨年は、『マーリー』 『HACHI』という2本のわんこ映画が印象に残りましたが、両方ともまず、人間の葛藤ありきで、その後にわんこの魅力がクローズアップされるようになっている作り。人間が客観的にきちんと描かれているので共感が持てたんですね。それらと比べてしまいますと本作は人間の描写が踏み込まれてなかったようにも感じました。盛り上げるシーンはおおよそ読めてしまうのですが、盛り上げることが重要で、掘り下げは少ない。 それですとせっかくのいい題材が素通りしてしまう感じで、大変もったいないと感じました。動物がすごく好き! という方にはいいかもしれませんが。。。**********************************今日の評価 : ★★ 2/5点
2010.07.18
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監督・脚本・照明 : 吉田恵輔出演 : 高岡蒼甫 、 小野恵令奈 、 田畑智子 、 矢沢心 、 大島優子 、 太賀鑑賞劇場 : ヒューマントラストシネマ渋谷公式サイトはこちら。<Story>自意識過剰のダメ男、百瀬(高岡蒼甫)は恋人、佳代(田畑智子)と同棲中。百瀬が大好きな佳代は、百瀬中心の生活を送っていたが、空回り。二人の生活はすっかり倦怠期になっていた。そんな時、夏休みを利用して、佳代の中学生の妹、桃(小野恵令奈)が泊まりで遊びに来る。下着姿で部屋をうろついたり、15歳とは思えない早熟な桃の行動に、佳代がいることも忘れ、百瀬は恋心を抱くように…。さんかく - goo 映画<感想>結構評判がいいようなので行って来ました。AKB48ってホントに興味ないんですが(ごめん)、このメンバーが出ているということで・・・。 小野恵令奈ちゃんは主役はわかるんですが、大島優子さんはどこに? 調べてみると1分くらいしか出てなかったらしいです。 わかんない~。あとは田畑智子さんも割と好きなので楽しみでした。ヒューマントラストシネマ渋谷って、場所柄若者が多くて、出演者に若い人が多いと観客層も若くなる。 で、必ずウルサいんだよ。『ハルフウェイ』の時なんてひどかったな。この日も女子高生が本編中にゲタゲタ笑っててうるさかった。なのでここで観る時は必ず前方の席を取ります。 人がいないから(笑)ここに出てくる3人は、全員、自分が被害者と主張しながらも、全員が後ろめたいことがある。だから、まともに顔を合わせると、言いたいことはたくさんあるはずなのに、何も言わない。 というか、言えない。被害届を出しながらも、自分は同じことを他人にしている人これまた被害に遭っていると言いながらも、その原因を意図的に作ったのは自分であることを忘れている人自分だけが辛いと言いながらも、相手を全く見ない人結構、ここに出てくる3人はデフォルメされた形ではあるけれども、似たようなことの縮小形は案外、観客にも覚えがあるんではない? と、じんわりと突きつけてくるようなお話である。そして、3人とも、被害に遭っている人物と、加害している人物に対して見せる顔が、全く違う。 これも面白い。その、ぐうの音も出ない部分をうまく最後に持ってきている。あの場面は、だから、無言が正解なのだ。というか、何も言えなさそう。 実際にあんなことあったら。配役も、その微妙な具合をうまく出せていてよかった。小野恵令奈ちゃんって普段からあんな声なんですかね?鼻声?それだけ気になりましたが。。。田畑さん相変わらずうまいですね。 二面性やらせたらホント好きです。 この女優さん。高岡くんも、イキがってる割にダメな男っぷりは、傍から見てて笑えました。***********************************今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.07.07
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監督・脚本 : 入江悠 音楽 : 岩崎太整 ラップ指導 : 上鈴木伯周 、 上鈴木タカヒロ 出演 : 山田真歩 、 安藤サクラ 、 桜井ふみ 、 増田久美子 、 加藤真弓 、 駒木根隆介 、 水澤紳吾 、 岩松了 観賞劇場 : 新宿バルト9公式サイトはこちら。<Story>群馬で実家のこんにゃく工場を手伝いながら退屈な日々を送るアユム(山田真歩)。高校時代は女子だけで結成されたラップチームの一員だった。だが、たいして人気になることもなく、ヒップホップに夢中だった仲間たちも卒業後は散り散りになってしまい、それぞれが生活に悩みを抱える日々を送っていた。そんなある日、ある出来事をきっかけにアユムはかつての仲間ミッツ(安藤サクラ)らと共に、一夜限りのライブを行おうと思い立つが、現実の壁に直面し…。SRサイタマノラッパー2~女子ラッパー☆傷だらけのライム~ - goo 映画<感想>この日は新宿で料理教室があったんだけど、その前に時間が空いたんで行ってきました。なかなか上映館少ないから行きにくいよね。。 チャンスがあったら即! 行きます。ちなみに1は未見。安藤サクラ目当てだったんだけど、他の4人の女子ラッパーにも惹かれてしまいました。みんな、若いころの夢を追ったころのことを覚えてて、それに向かって歩いて行くんだけど、現実はそうはいかない。あのころなりたかった自分って、今どこにいるんだろう。そんな20代後半女子のつぶやきのような、もがきのようなものが表れていました。苦しい時、きっかけがあればあの頃のことを思い出してしまう。でもそれを現実に持ち込むことは容易じゃないんですね。あの頃の自分は、あの頃で消化して行かないといけないから。それを現実でしようというとものすごくエネルギーがいるし、そして大体うまくいかないことが多い。自分の中にたまった、どうしようもない感情をラップに吐き出して生きていくことができるなんていうのも、誰にだってできる訳じゃないから、それはそれできっと1つの才能なんだろうな。欲を言えば、ビヨンセとクドウのエピソードももっとあってもよかったようにも思う。最初5人なのに? っていう印象は正直ありました。アユム、ミッツ、マミーはそれぞれわかるので、あとの2人がもったいなかったかな(特にクドウ。加藤真弓さん、素敵な女優さんだけに。。。)5人のキャラは面白かったですね。安藤さんはすごくカタギな役でしたけど、こういうのもあっていいと思う。"To be continued to ○○"ということなので、3作目もあることがわかるけど、徹底的に北関東LOVE目線で行ってほしいですよね。サイタマなんて・・・ と、グンマが、おらが郷土をリスペクトするのが面白いんで。エンドロールがすごくカッコいい。 これはクールで好きです。自分たちへの愛、そして故郷への愛が、シュールな中にも指摘されてた作品でした。**********************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.06.29
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監督 : 守屋健太郎原作 : 岡田ユキオ出演 : 生田斗真 、 麻生久美子 、 山田孝之 、 玉山鉄二 、 成海璃子 、 古田新太 、 温水洋一 、 小島聖 、 池田鉄洋 、 柄本時生 、 山崎真実公式サイトはこちら。<Story>海もないのに“シーサイド”と名付けられた、山奥のひなびたモーテル。そこに偶然集まった、一癖も二癖もある11人の男女。運命の一夜は急展開、複雑に絡まり合う4つの密室。朝を迎えるとき、彼らに一体なにが起きるのか?そして、最後に微笑むのは…?シーサイドモーテル - goo 映画<感想>岡田ユキオ著のコミックが原作。 山田くんが気になって行って来ました。原作未読。4つの部屋のエピソードをオムニバス形式で同時進行で描く。全体的に舞台的な構成になっています。この4つの話の中では、麻生久美子さんと生田斗真くんの絡みが一番よかった。 最後どうなるの? という期待はいっぱい持たせてくれます。あと古田さんはやっぱりうまい。 久しぶりに見た小島聖さんもなかなかいい感じ。『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』に出てた池田鉄洋さんも相変わらず面白いし。成海璃子ちゃんはまだまだ年齢的にはファム・ファタールは早いし、山田くんの彼女という雰囲気があまりしなかったかも。山田くんがものすごくマッチョになっていたのにはびっくり。 待機作の『十三人の刺客』の影響? プライベートでも仲がいいらしい玉山さんとの絡みは面白かったです。ただ、話的には何も残らなかったんですよね。。。残すことを前提としていないのかもしれないんだけど。オムニバスはむしろ好きな方なんですが、単にドタバタ。。。として終わってしまった感がある作品でした。(それでもたぶん、好きな人はものすごくこの作品にハマるとは思いましたが)。*********************************今日の評価 : ★☆ 1.5/5点
2010.06.16
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監督・脚本 : 中島哲也原作 : 湊かなえ出演 : 松たか子 、 岡田将生 、 木村佳乃公式サイトはこちら。<Story>女教師・森口悠子(松たか子)の3歳の一人娘・愛美が、森口の勤務する中学校のプールで溺死体にて発見された。数ヵ月後、森口は終業式後のホームルームにて「私の娘はこの1年B組生徒二人に殺されたのです」と衝撃の告白をし、ある方法にてその二人の生徒に復讐する。そして4月、クラスはそのまま2年生に進級。犯人のひとりAはクラスのイジメの標的になっていた。そして、もうひとりの犯人Bは登校拒否し、自宅に引きこもっていた…。告白 - goo 映画<感想>本当は公開日に行きたかったんですが、この週は真面目に忙し過ぎ。予定もぎっしりで、さらに仙台行きもあったりと盛りだくさん過ぎちゃいました。おまけに週末はとうとう日頃のハイペースがたたってか? ダウン。。土曜に飲みに行く約束があって、そのメンツが全員『告白』を見ているっていうことで、ハブられちゃかなわんということで(笑)、慌てて朝イチの回に駆け込みました。正規料金で鑑賞なんて年に数回あるかないかなのに(涙)それに見合う内容だといいかなと期待しつつ、なんですが。映画に先駆けて原作も読んでおります。原作を既読ですので、ストーリー展開はそのままついていけます。映画は、独白調の文体でひたすら進む原作の持ち味をそのまま生かしている。かなり本はぎっしりと文章が詰め込まれており、しかしながら、その細かいところを見落としてしまうと、それがそのまま伏線になってしまっているのでついていけなくなる。その細かさを、映画ではどういう風に表現しているか。そこが気になっていました。中島監督作品は『パコと魔法の絵本』しか観ていないのですが、割と大きめに極彩色で描くタイプというイメージがあって。 それを本作に持ちこんでしまうとかなり伝えたいことが異なってしまうかなと思ったので、それはできればしないでほしいと思っていましたが、鑑賞して見て、監督の作風がすごくいい方向にまとまって発揮されていることを感じました。例えば1年B組の生徒たちの描写ですが、実際、中学1年後半~中学2年前半という世代にしては、この子たちは外見は大人びてしまっています。 成長しすぎたくらいの子、高校生くらいの子たちを役に起用している。(リアルでこの世代を持っているので、実際はもっと子どもっぽいと思うんです)例えば冒頭の、教室が荒れるシーンですが、もしかしたらあのくらいの荒れ方をしている公立中学はあるのかもしれませんが、さすがにこれはひどい方だと思います。 携帯は持っているかもしれないけどあそこまではしない。 普通教師も注意するし、生徒も隠す。 内申に響きますので。こうして実際よりも配役の年齢層を高めにして、彼らの自己中心的な習性の描写を強調させている。何でもこの生徒役にAKB48から3名が参加しているとのことですので、絵的には完全に1つ上の階層を出してきてます。小説の描写の細かさを、映像の中にくっきり、きっちりと余すところなく出してきてるのがもう素晴らしくて。愛美ちゃんが死ぬシーンなど、伏線となるところまできちんと正確に描写しているのには驚かされる。 ムクの家にボールを投げて、とか、最後の愛美ちゃんの表情までもちゃんと検証し、計算に入れて作っているのがよくわかる。美月などは、「まさにこの子」的なイメージそのものの子を持ってきていたし。森口の独白シーンは、全く聞いてない(ようで実は全部聞いてる)クラスに浸透していく様子を時間の経過とともにうまく描いていましたしね。クライマックスの逆回しを敢えて映画で入れた意味は、母への想いを強調したかったのか? とも思えるんですが、普通であればいらないんじゃないか? と思ってしまうこの入れ方さえも、もっと観てみたくなるような気にさせられてしまう。 入れ方がうまい。原作を読んでみて感じたのは、「母」っていう存在の大きさ、重たさ。母への想いも千差万別かなと。それがまっすぐに出ることもあるし、歪みに歪み切って現れることもある。 認められないという無念が歪み切って出てしまったのが修也。そして、母が子に抱く想いの怖ろしさも逆に考えると言える訳です。 実際に、木村佳乃さんが演じた役のような母親って少なくないような気がする。 子どもの暴力に怯えながら、世間体を繕う母親。 それも子どもへの歪んだ愛情が生んだことなのかもしれない。我が子を殺された悠子の恨みは、それと同等、もしくはそれ以上でないと満足しないという心情。 実際にそんな目に遭ったとしたら、母親の多くがそう思ってしまうのではないだろうか。背景には恐らく、近年増えつつある、刑罰に問われない年齢層の犯罪の増加もある。 少年だから罪に問われない、何してもいい。 そういう風潮をよしとしないならば、どうすれば復讐できるのか。 悪いことをしたもの勝ちという雰囲気が決してよくないという作者の信念も読み取れる。後味は悪いけど、その後味の悪さを映像でしっかりと見せてくれた作品。水滴の一滴、血の一滴、雨の一滴。「水」がずいぶんたくさん出てきて、しかもその使い方が全て意味があり、無駄じゃない。途中に折り込まれる「空」の映像や、音楽などもとてもよかったです。映像に仕上げることで、この原作の本質がたくさん見えてきました。***********************************今日の評価 : ★★★★★ 5/5点
2010.06.12
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監督・脚本 : 大森立嗣出演 : 松田翔太 、 高良健吾 、 安藤サクラ 、 宮崎将 、 柄本佑 、 洞口依子 、 多部未華子 、 美保純 、 山本政志 、 新井浩文 、 小林薫 、 柄本明試写会場 : 九段会館公式サイトはこちら。<Story>孤児院で兄弟のように育ったケンタ(松田翔太)とジュン(高良健吾)。中卒で得た解体現場の仕事は、電動ブレーカーでひたすら壁を壊す“はつり”の仕事だった。安い賃金に過酷な労働、そして陰惨ないじめ。行き場のない苛立ちを積もらせる2人はある日、一つの決断をする。それは“見えない壁”をぶっ壊し、兄貴(宮崎将)のいる北へ向かうこと。かすかな希望を携えて、二人の鮮烈な旅がはじまる。[ 2010年6月12日公開 ]ケンタとジュンとカヨちゃんの国 - goo 映画<感想>Twitterシネスク枠にて当選。 こんなの初めてです(笑) ありがとうございました。でもこれは予告で絶対観たい! って思ってたんですっごく嬉しいー「人生を自分で選べる人、選べない人」みたいなコピーがあったらやっぱり気になりますよね。 今の世間と同じ香りがする。何と言っても安藤サクラです。カヨちゃんさいこー! 万歳! ですね。「カヨちゃんって、ブスでバカで○○○なんだね」って言われたら、というかそんな役貰っちゃったら哀しすぎると思うんですが、それでも安藤サクラという女優はちゃんと作ってくる。 そこがあっぱれです。誰とでもセックスすることで自分の立ち位置を確保しているカヨちゃん。すごく見てて「痛い」んだけど、悲痛さを出さないようにしているから、あくまでもカラっと乾いている。だけどカヨちゃんの心の中は寂しくて仕方なかったんじゃない?「彼にいちいち言うと重たい女になっちゃうから、敢えてそれを言わないようにしよう」っていう計算がカヨちゃんにはできない。できないけど、彼女にあるのはまっすぐな心。 どんな過去があろうと構わない。 それがどうしたの?私は好きなものは好き。 好きな人とはつながっていたい。そんな不器用なカヨちゃんが、何か可愛くてしょうがなかったです。ケンタが唯一頼りにしていたもの。それが全く別の方向を向いていて、自分ではどうしようもないとわかった瞬間から、彼は現状とは訣別したいと感じ始めてしまう。しかしジュンにとってそれは許しがたいことだった。何故ならジュンにとっての唯一はケンタだったから。そしてカヨちゃんにとっての唯一であるジュンは、カヨちゃんを見ていただろうか。メリーゴーラウンドのように、ぐるぐる回る3人の世界。目の前を走っていても、決してつかむことはできないもどかしさ。つかまないからこその心地よい世界。 そのバランスが崩壊した時、彼らの時間もそこで終わってしまう。 まっすぐ過ぎるが故の崩壊なのかもしれない。 それをとどめるために取った手段も彼らの世界の中でしか通用はしないだろうけど。とにかくどうにも救いようがない話だなあという印象なんですが、その中で、彼らは彼らなりの論理を通したんでしょうか。こんなに使えない世の中、そしてどうにもならない俺ら。だから自分たちの「国」の中でルールを作っていく3人が痛々しかった。昨今の社会状況も、オール・オア・ナッシングとなりつつある中、その状況に対して徹底的にプアなサイドから見つめた時にどうなるのかということも考えさせられる。ましてケンタとジュンには、親という後ろ盾がなかった訳だから、そういう「持たざる側の論理」をここまで抉った作品というのもあまりないように思う。 いつもどこかでお茶を濁されてしまうから。しかし救いようがない結末にして、正面から見るのも辛い状況にしたことで、このことに本気でぶつかろうとしている監督の気持ちもつかめて来るような気がする。ただ、惜しいかなと感じたのは、この話を「私たちの望むものは」に集約させた感もあるのかな? と思えてしまったこと。エンドロールを最後まで観てしまうとそう感じてしまいます。必ずしもそうではないと思うんですが、歌が先なのか、脚本が先なのかという風にも取れてしまうんですね。ここは敢えて、エンドロールを最後まで観ないで席を立った方が、この映画の余韻に浸れるのかもしれません。*********************************今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.05.24
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監督・脚本 : 石井裕也出演 : 満島ひかり 、 遠藤雅 、 志賀廣太郎 、 岩松了 、 相原綺羅 、 菅間勇 、 稲川美代子鑑賞劇場 : ユーロスペース公式サイトはこちら。<Story>上京して5年、仕事も恋愛もうまくいかず妥協した日々を送っていたOLの佐和子(満島ひかり)。そんな彼女の元に、父(志賀廣太郎)が末期がんで倒れたという知らせが届いた。佐和子は田舎に戻り、実家のしじみ工場を継ぐことに。しかし工場は倒産寸前で、パートで働くおばちゃんたちからも相手にされない。さらについてきた恋人(遠藤雅)にまで浮気されてしまう始末。そんな追い込まれた中で佐和子は工場を立て直す決意をし……。川の底からこんにちは - goo 映画<感想>満島さんが好きなんでこれはもう外せない1本。平日でしたけどスクリーンは7割くらいの入り。 人気ありそうです。 前評判も上々ですしね。第19回PFFスカラシップ受賞作品。とにかく、社歌がウケる! と伺ってましたんで期待してて、それはかなりその通りですね。ああいう社歌の会社っていいですよねー。倒せ! 倒せ! みたいな(笑)それに引き換え、佐和子が最初に勤めてた会社はダメダメですね。女子社員にあんな制服着せてる会社はダメです。 程度が知れてる。と思ったら男の社員もダメ男ばかりでした。 笑うーん、何と言えばいいのか。 全体的に、作り過ぎっぽさが目立ってしまっていたような気がしました。佐和子のセリフ回しなどもそうなんですけど。面白くしてやろう! のような取り組みが、少々前面に出すぎちゃったかなと。それでも、一見何事も「中の下」で片付けていた佐和子がだんだん自分に課せられた責任を背負い込んじゃって行く過程とか、いろんなことに開き直って行ったりとか、父親に対しての想いなんかは、思わずうなずいてしまったり。それにしても健一はこれまたダメ男ですね(笑) さすがあの会社に勤めてただけある。言ってることはいちいち偉そうだけどホントに何にも計画性がなくって、人のせいにして。こんなののどこがいいんだろ・・・ と思っちゃうんだけど、それを見抜けなかった、あるいは見抜いても突き放せないのが佐和子なんだろうなあ。そして加代子ちゃんの可愛いのには参ってしまった。佐和子は加代子の中に自分を重ねてるんですよね。そして健一の中にも、自分の父親が重なってる。みんな同じくらいのダメ具合の中で生きてるじゃん、って。だから何を言われてもこの子を守ろうって思ったんじゃないかな。木村水産のおばちゃんたちは、よく集めてきたなって感じのツワモノ(!)が多く、着替えのシーンなんかはウケましたねー。 着替えのオーディションでもしたんじゃないかと思うくらい(笑)最後の方で佐和子に理解示しちゃう「おかあさん」な方の存在なんかは、多少出来過ぎかなーとは思うんだけど、総じておばちゃんたちは面白い。 佐和子の同級生も、歳は若いけど中身が完全におばちゃん。 こんな自分くらいでちょうどいいし、って思ってるのはおばちゃんの証拠です(笑)出来過ぎかな、とか、やり過ぎかな、って思ってしまうとそこが気になるので、気にしないでコメディとして観ていくと楽しめます。そのやり過ぎ感がこの監督の持ち味なんでしょうか。これからの活躍も楽しみです。*********************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.05.07
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監督 : 三池崇史脚本 : 宮藤官九郎出演 : 哀川翔 、 仲里依紗 、 阿部力 、 井上正大 、 田中直樹 、 ガダルカナル・タカ公式サイトはこちら。<Story>小学校教師の市川新市(哀川翔)が目覚めると、そこは見知った東京ではなく、ゼブラシティと呼ばれる街に様変わりしていた。警官にいきなり発砲され意識を失った新市は、白装束の者たちにゼブラシティ外のコミューン・白馬の家に連れていかれる。そこで自分が15年前に地球を救ったゼブラーマンだと知った新市は、かつての自分を取り戻すべくリハビリ生活を開始するが……。ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲- - goo 映画<感想>劇場鑑賞券をいただきました!なのでせっかくですから早めに観たいと思って行って来ました。GWなんですが・・・ 他と比べて客入りはあまりよろしくない様子。 大丈夫?ちなみに関連作品は全て未見です。公開前から話題になっていましたけど、何と言っても仲里依紗ちゃんでしょうね。衣装がもうすごい。一体どうやって着るんだ? 笑他の衣装も、黒が基調のすごいやつばっかりです。そして、自分をかなぐり捨てたダンスの振り付けというか、表情というか。 単純に観てて飽きないです。 面白い。前作を見ていないのでつながりがわからないんですけど、見た感じ、昔の特撮っぽい雰囲気がいっぱいで、それが故のあり得なさ感とか、チープ感が満載(笑私などは昔、仮面ライダーとか見てたのであんまり違和感はなく、そんなもんかと思ったけど。。。 怪獣ものを頻繁に見慣れている人にとってはどうなんでしょうかね。ゼブラ=縞、白と黒ということで、それを人間の善悪に例えています。完全な善はなく、少しの悪を出さないと社会秩序が保てない(→ 無茶苦茶な論理ですが 笑)という理屈ですけどね。最近は特に、白黒つけないと気が済まない人が多くなったような気がしてきます。 中間ということをあまり考えない。ゼブラシティのポリスたちが容赦なく破壊していく様子などに、その片鱗を感じます。どちらかが絶対ということは決してない。 どちらも共存していて、場面によってバランスを取れるからこそ人間として存在していける。何かを徹底的に除去して解決する問題じゃないんですよね(→ だからと言って何でも合体すればいいってもんでもないが)。クドカン脚本の特徴というか、オチのすごさにもう茫然としちゃってましたけど、せっかく仲里依紗ちゃんで遊んだのに、そんなところに若干お粗末さを感じちゃうんですよね。それで終わり!? みたいな。 笑チープ感は昔の怪獣ものみたいで許せるんですけど。。。あとは下ネタっぽかったり、色彩が極端みたいなのも、三池監督っぽさなんでしょうね。ゼブラーマンがクイーンに完全に食われてしまってた感じなので、もっと活躍してもいいのにーとも思いましたけど、仲里依紗ちゃんは目の保養かな? そんな映画です。GWに楽しむ分にはちょうどいい感じ。***********************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.05.04
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監督 : 猪股隆一脚本 : 永田優子出演 : 成海璃子 、 山下リオ 、 桜庭ななみ 、 高畑充希 、 小島藤子 、 金子ノブアキ試写会場 : 九段会館公式サイトはこちら。<Story>日本一の紙の生産量を誇る小さな町、愛媛県四国中央市。不況のため町の商店街は閑散としていた。そんな中、四国中央高校の書道部にも危機が迫っていた。部長・里子(成海璃子)の厳しさに退部希望者が続出、部員たちの気持ちもバラバラに。ある日、部室から聞こえてくる大音量の音楽に驚き部屋を覗いた里子の目に飛び込んできたのは、大きな半紙を睨むように見つめ、筆を振り上げ音楽に合わせて流れるように文字を書く臨時顧問・池澤(金子ノブアキ)の姿だった。最初は書道パフォーマンスに反対していた里子だったが、町のどこからでも見える紙工場の煙突を見たとき、忘れていた何かを思い出した。…大切な町を守りたい…。里子たちは“書道パフォーマンス甲子園”を開催し、町興しをしようと決心する。(作品資料より)[ 2010年5月15日公開 ]書道ガールズ!!わたしたちの甲子園 - goo 映画<感想>お誘いいただいて試写に行って来ました。この日、『武士道シックスティーン』も観ていたので、2本目の成海璃子ちゃん(笑) 祭りですね。さっき観たのが剣道部なら、これはカンペキに書道部。 成海璃子ちゃんと山下リオちゃん、これだけ同時期にこなすのは大変だったと思います。でもどちらもなり切ってましたね。 さすが若くて勘がいいからかな?あちらは剣道なんで当然ながら動きがあるんですけど、こちらも何故か動きがある(笑) というのは、「書道パフォーマンス甲子園」っていうのが本当にあり、それもかなりなアクションを伴うからです。それにしても、いやー、すごいです。 この「書道パフォーマンス甲子園」。 さながら紙の上の格闘技って感じ。 初めて見ましたけど身体全体を使って書く「書」というか作品は大変な迫力です。自分たちの想いのありったけを表現する、というのが正確なのかしら。この発祥の地が愛媛県四国中央市であり、紙製品の出荷額が日本一(そのためか、市内に立つ製紙工場の煙突のシーンは頻繁に出てきます)という同市にある、愛媛県立三島高等学校書道部から始まった書道パフォーマンスが市の活性化にそのままつながって、今回の映画にもなったようです。 何かいい話ですよね。書に関してはあまり知識はありませんが、書道パフォーマンスは、いわゆる「上手に書く」ということが命題ではないみたい。あくまでもパフォーマンスがメインなようです。 何と言っても高校生ですからね。今、これがきっかけで書道ブームらしいんですが、この映画でさらに認知度が高まるようにも思います。 ブームと言っても書道自体が一昔前の印象を与えがちなので、この映画はそういう意味では大きな広告となるようにも感じます。実際に書道パフォーマンスを演じている場面がとても躍動感があり、高校生たちの若さも感じさせて、観ていて清々しい。そのパフォーマンスに賭ける彼らの想いもまた千差万別であり、映画では三島高校書道部員たちの背景もきちんと追っている。 そしてその背景に大きく関わってくるのが「不況」。地方都市、あるいは首都圏でも珍しくなくなった「シャッター通り」の風景。 不況で物が売れない、商店の経営が立ち行かない。 商店の閉店・撤退が続出している中、その背後にあるキャラクターたちの切実な想いを映画はあぶり出している。これからどうなるのか分からない不安を抱えつつも、自分を育ててくれた親や街への感謝の念を持つ清美。ひたすら過去を隠して生きていることに苦しさを感じ、自分を表現する場所を探していた藤子。 家庭の事情を一切語らず去っていく、里子とは対極をなす才能を持つ美央。そしてまとまらない書道部を影から支えて引っ張っていく香奈。里子は部長として様々な責任を感じつつも、自己の書への対峙の仕方にも悩んでいる。一見明るくて何の悩みもないと思われがちな高校生たち。 でも実際にはそんなことはない。 彼らにも彼らの問題があり悩みがあり。 その悩みにぶつかって、妥協して、乗り越えて成長していく姿がいい。そんな彼らの臨時顧問(そういう顧問が存在するのは面白いんですが)になった池澤。一見無関心なように見えて、しっかりと彼らの問題を見抜きつつも、結論は任せるという姿勢は好感が持てる。彼自身の背景は詳細ではないけど、書に関しても葛藤を持って生きてきたことを垣間見せる場面がある。 これ見よがしに描かないところがかえって成功しているようにも思うけど、少しあっても悪くはなかったかな?ともあれユニークでクールな先生役の金子ノブアキくんの比重は、この映画にはちょうどよかった。全体的にとてもきっちりと作られています。 実在のことをテーマにしているせいもあるかもしれませんが、それを除いても、邦画の青春ものでこんなに丁寧に作ってある作品は久しぶりかもしれません。 舞台となった四国中央市の風景も情緒あるものでした。 映像も美しい。そして内容も、笑いでごまかしたり(もちろん愉快なシーンは楽しめましたよ!)、お茶を濁したり、妙な方向に流れたりしてないんですね。最後も甘酸っぱさとほろ苦さがちょうどよくて。 そして若いってすごいな、いいなと思わせるものがちゃんとある。地味なテーマですが、多くの方に観ていただきたい作品です。***********************************今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点
2010.04.27
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監督 : 成島出 原作 : 大鐘稔彦 出演 : 堤真一 、 夏川結衣 、 吉沢悠 、 中越典子 、 矢島健一 、 成宮寛貴 、 平田満 、 松重豊 、 余貴美子 、 生瀬勝久 、 柄本明 試写会場 : よみうりホール公式サイトはこちら。<Story>1989年。地方都市にある市民病院に外科医・当麻鉄彦(堤真一)が赴任してくる。そこは大学病院に依存しなければ運営することが出来ない、悪しき体制が蔓延した病院だった。そのような中でも、当麻は己の信念を曲げることなく次々と困難なオペを成功させていく。そんな最中、市長(柄本明)が病に倒れる。救う手立ては肝臓移植しかなく、それは法律的にタブーとされている手段であった。“なぜ、目の前の患者を助けるのに、最善の手段が講じられないのか?”当麻は静かに決意をする……。[ 2010年6月5日公開 ]孤高のメス - goo 映画<感想>完成披露試写会に行って来ました。登壇者は堤真一さん、夏川結衣さん、吉沢悠さん、中越典子さん、平田満さん、成島出監督、 原作者の大鐘稔彦さん、イメージソング制作の馬場俊英さん。入場者全員にプレスシートが配布されました。DSC03867 posted by (C)rose_chocolatこんなに登壇者が多い試写会は初めてかもしれないですね。2~3人というのがほとんどですから。それぞれ皆様一言ずつお話下さっていましたが、総じて目立ったのは「チームワーク」という言葉。「医者、特に手術となると執刀医だけではなく補助の医師、麻酔医、看護師などとも連携をうまく取らないと成功しない。 それは役者にも似ている」と、堤さんが仰せでした。映画もたくさんの人が関わり、チームを組んで撮影して作るというところが医師と似ていると。 確かにそうですね。原作者の大鐘さんは、6巻にわたる原作を映画化するのは無理なんじゃないかと初めは難色を示されていましたが、完成した作品を見て「厳密には原作と同じではないけれど、別の角度から楽しめて、涙を流しました」とのこと。 原作と映画は別ということを、あらかじめこうしてきちんと観客に示してくださると、こちらも理解しやすい。「人は一人では生きてはいけないんです」と中越さんもお話し下さいました。 ふむふむ、そうなんですね。 紅白の目玉入れなど、お約束っぽいのも出てきまして、和気あいあいのうちに舞台挨拶は終了。 ということで鑑賞に。ここに描かれている本音、とりわけ大学病院からの派遣医や事務局の要望なども現実としてはありそう。派遣元の大学病院のメンツが最優先で患者は二の次。 技術もないのに執刀して失敗してもごまかす。 もともと病院は医療ミスしても、裁判で証拠になるのを恐れて滅多に謝ることはないですから、この下りはすごく現実的で結構イライラさせられる。 「今日も意味のない手術だった」などと書かれた日記は、医療関係者の本音なんでしょうね。そこに現れた当麻。 患者をないがしろにした慣習とか、いい加減さに敢然と立ち向かう。 腐敗しきった医局にうんざりしていた同僚たちも彼を支持して・・・ ということなんですが、割とこのパターンは今までの医療系のお話にはあるような。 ではそこを補っていくのは何かというと、当麻と、彼をを取り巻く人たちの心情だったりする。 当麻本人はひたすら仕事を全うすることだけを考える男。 実直そうに見えるが実は先を考えていて、それが手術室の音楽にも表れている。 彼にとって医療とはひたすら「待つ」こと。 丁寧に着実に段取りを踏んで、技術を出して、機を待って、待って、仕上げていくこと。そこまで丁寧に見て腕も信頼されるのであれば、彼にお願いしたくなる患者さんも現れる。 それは文字通り当麻に「命を預ける」ことの他にならない。そんな彼の支持者が増えていく。 とりわけ看護師の浪子が彼に寄せる想いは、同じ命に立ち向かう職業を持つ者としての尊敬の気持ちと、当麻を1人の男性として意識する気持ちがない交ぜになっている。彼に認めてもらいたいから、そして初めて真剣に仕事に取り組むことを教えてくれたから頑張りたい。 当麻の存在はしっかりとモチベーションを引き上げちゃってます。 でもこういう間柄ってすごく緊張感があるし、お互いに向上して行けるからいいと思うんです。 これがやたら恋愛モードに行っちゃうとグダグダするんですが、そうなる前のぴしっとしている男女間っていうのもたまには観てみたい。 そういう空気を感じます。順天堂大学医学部が医療監修に当たったということで、手術シーンのいたるところに細かい配慮が行き届いている。 これは非常に重要なことで、いくらストーリーを追いかけても肝心の医療シーンが丁寧でないと、医療系映画やドラマは見所が半減していってしまう。 その点本作は、メインの手術医だけではなくその周辺まできっちりと手を抜くことなく描いている。 例えば臓器の処理をチームでする所などもさりげなく背景に入れているあたり、仕事に対して真剣にやって行きたいという個々の意思を反映させており、好感が持てる。そして、その医療シーンの細かさが映画全体に緊張をもたらしていて、いい流れを作っている。 たとえ結紮1つまで手を抜かずに丁寧に撮影して仕上げている。 臓器も、ちょっと苦手という人はいるかもしれないけど、ちょっと勇気を出して見てみてほしい。 健康な臓器と、病魔に侵されてしまった臓器の確固たる違い(摘出した臓器がすごくリアルに「病気らしく」作られていたのには驚きます。こういうのを見ると健康であることはありがたく感じる)、そして今まで別のものだったドナーの臓器がレシピエントにつながっていく瞬間の感動。 真剣に1つの命に取り組むことの清々しさがそこにはある。この映画のイメージソング「待ち合わせ」を作った、馬場俊英さんが、、「どんな状況に置かれても信念や心というものはつながる。 とりわけ病院という場所は様々な想いが交差する場所であり、時には悲しい訣れも存在する。 そこを乗り越えて、人は人を感じることができる。 そんな想いを曲にしました」と話されてました。 まさにこの映画の言わんとしていることで、例え孤高と言われたとしても、その信念が正しいものであるならば場所や時間を超えて受け継がれていくものなのだろう。 今回の登壇者が口を揃えて「チームワークの映画」と評した本作。 その真剣な、丁寧な仕事ぶりは一見に値する。**********************************今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.04.26
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監督・脚本 : 安藤モモ子出演 : 満島ひかり 、 中村映里子 、 永岡佑 、 光石研 、 根岸季衣鑑賞劇場 : ユーロスペース公式サイトはこちら。<Story>大学生のハル(満島ひかり)は普通のどこにでもいるような女の子。ある時ハルは、事故や病気で失った身体のパーツを作るメディカルアーティストのリコ(中村映里子)と知り合う。ちょっとミステリアスでハッキリものを言うリコが気になるハル。最初はビックリしたものの、自分を好きだと言ってくれるリコにハルは心を開くようになり、安らぎを感じていく。「これって、恋?」ハルはますます自分の気持ちが分からなくなっていくのだった…。カケラ - goo 映画<感想>安藤モモ子監督、そして満島ひかり主演ということで、これはスルーできませんよねえ。ほぼ単館系ということで効率よく回ってきました。ハルみたいな女の子って、今時は特に珍しくもないんでしょうね。何となく生きて、何となく流されて、みたいな。どこにでもいる女子大生って感じで。ぽーっとしながら生きていた彼女に突然現れた出会い。。。 そりゃ衝撃的。 一見おとなしそうに見える美女系リコちゃんの一途な想いを見せられてしまったら驚きますよねえ。最初はただ友達になりたいと思って接近してきたのか? と思いきや、自分のことが好きとか言われちゃったら、そりゃ気になってくるだろうし、付き合ってる男がダメだったら、自分を癒してくれて一緒にいるのが心地いい方に行くんだろうなと。この、彼氏だか何だかわからん男がホントどうしようもなく描かれていて・・・ 「ハルしかいないから」って言ってる割にはもう身体しか目当てじゃない! っていうとってもわかりやすいダメ男の典型(笑あーゆうのとは早く別れた方がいいのに。。。 と思いながらも、何となく踏ん切りがつかないっていうのも、ねえ。 特にどこが嫌! っていうだけの目に遭っていると思ってないハル(→ 観客目線じゃ十分嫌な目に遭っていると思うんですが、本人はそれを俯瞰的に見れないんでしょうね)なので、彼を突き放すだけの行動に最初は出れなかった。 そして後で突き放した後でも、自分は果たしてリコのことを好きになれるんだろうか、周りの目はどうなんだろうか、ってことを考え始めちゃう。そこら辺の、若さゆえの思い切りのなさを自然体で描いています。対するリコちゃんはとってもくっきりハッキリしたコで、突き進むっていう表現がぴったり。彼女の職業もあるんだろうけど、1度やると決めた時の集中力がすごいことになるコです。「メディカルアーティスト」っていう職業については初めて具体的にイメージできましたけど、そのお仕事ぶりは、事故や病気で無くしてしまった心のピースを埋めていくんでしょうね。そんな様子を見ているうちに、今まで何かが足りない足りないと思いながら暮らしてきたハルも、リコに惹かれて行ったのかもしれない。足りないものを求めて人は動く。 そこに正しいとか正しくないとかっていう言葉は必要ないはずなのに、言われるのが当然なのもとても哀しいことのようにも思う。リコが自分を思いっきり出せるコミュニティーの面々もまた彼女に優しい。突き放しているように見えてちゃんと見守っているという距離感。かたせ梨乃さんがここで登場というのがびっくりでもあり嬉しくもあり。 齢を重ねてもちゃんと艶っぽさは十分で、しかも様々な出来事に対しての戸惑いや不安みたいなものも忘れずに表現してる。 若さだけじゃできなかったことがこうして年輪を重ねていくと、きちんと完成されていくんですね。 どことなく舞台調の進行や演技が最初は気になったけど、それを吹き飛ばしてしまったのが真ん中あたりのリコちゃんのセリフ。あれはいいよね~。みんな言いたかったことを言ってくれたって感じで。決まりきったものだけが偉いんじゃない。 そうじゃない世界に生きて何が悪いの?っていう信念があります。リコと出会ったことで新しい感覚や新しい感情に触れたハル。ラストのカットなどは、少しずつではあるけど成長して行けそうな彼女たちの表情が表れていました。***********************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.04.06
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監督 : 矢崎仁司 原作 : 江國香織 脚本 : 狗飼恭子 出演 : 中谷美紀 、 大森南朋 、 池脇千鶴 、 小林十市 、 大島優子 、 安藤サクラ 、 黒川芽以 、 風見章子 公式サイトはこちら。<Story>人気テディベア作家の瑠璃子(中谷美紀)は、夫の聡(大森南朋)と結婚して3年目。周囲からは理想的な夫婦に見られるが、最近は体の関係がなくなり、聡は自室でTVゲームをする時間が多くなっていた。そんな時、瑠璃子はベアの個展で春夫(小林十市)という青年と出会い、情熱的な春夫のアプローチによって2人は恋に落ちていく。一方聡は大学のサークルのOB会で、自分に好意を寄せる後輩・しほ(池脇千鶴)と再会。彼女と時間を過ごすことが多くなり……。スイートリトルライズ - goo 映画<感想>「本当は夫だけを愛していたいのに」という、結構そそられる感じのコピーや、予告の映像もあり、期待度大で行って参りました。原作は江國香織さん、未読です。全体的には、いかにも江國香織さん原作らしい映画のように思えます。映像的に美しさを狙っていて、ストーリーもあくまで淡々と、ドロドロしない、というところです。去年、そして一昨年のmy映画ランキングの第1位にはいずれもどろりんことした不倫系が来ているのですが(笑)、別に好き好んで選んでるわけじゃなく(笑)2008年my映画ランキングはこちら。2009年my映画ランキングはこちら。何が作りたいのかが明瞭であって、しかも個人個人の想いが伝わる作品が好きで、選んだらこうなっちゃっただけなんですどね。基本的に不倫ってドロドロしてて、どうしようもなく、また想いというものが当事者間の脳内でのみ語られますので、映画よりは活字のほうが世間には正確に訴えるものができるようにも思います。映画化するに当たっては、原作未読者に細かいニュアンスをわかってもらうことは大切なことのようにも思うんですけど、残念ながら本作は、自分たちだけの想いの領域を脱出していないように感じました。雰囲気を大事にしたいというのはわかるのですが、やっぱり唐突な印象は拭えず、その背景にあるものをもう少し抉り出して欲しかったですね。聡がなぜいつの間にかゲームに夢中になっちゃったのか、そしてどうしてまた腕の中に瑠璃子を入れてみようかと思ったのか。瑠璃子は春夫に対して本音はどうなのか。もう一歩踏み込んで観てみたかったですね。庭先のわんこつながりのおばあちゃんのセリフがありましたけど、それに集約させてしまおうと思えばできる。 ただこの集約だけだと動機として弱いようにも思うんです。 ここのところは個人差あるんで何とも言えませんが。池脇千鶴ちゃんはリハウスガールに選ばれた時から知ってまして、こんな役するようになったんだあ・・・ と妙なところで感慨に耽っちゃいました(笑ただ大森さんとの実年齢差が10歳あり、この映画でのルックス的にも歳の差っぽく感じてしまったので、原作がどういう設定かわからないのですが、ちょっと不釣り合いにも見えてしまいました。彼女の体当たり的演技には大いに驚嘆しますけど。まあ年が離れている方がリアルに存在するっぽいのかもしれませんけどねえ・・・。 笑中谷さんとのほうがどうしてもしっくり見えちゃいますね。 夫婦役なので当たり前といえば当たり前ですけど。そしてここでも出てきた安藤サクラさん。彼女のうまさは目で演技できるところで、表情を変えないでそれができるのはさすが。踏切の場面は見所です。映画自体の結論は、白黒はつけてはいなかったように感じました。「よりが戻った」ようにはあまり感じられなかったかな。原作はどうかわからないけど、この夫婦の「スイートリトルライズ」は何となく今後も続いちゃうようにも取れますね。それもまた1つの結論と言えばそうなのかもしれないけど。***********************************今日の評価 : ★★ 2/5点
2010.03.14
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監督 : 三木孝浩 原作 : 浅野いにお 出演 : 宮崎あおい 、 高良健吾 、 桐谷健太 、 近藤洋一 、 伊藤歩 、 ARATA 、 永山絢斗 、 岩田さゆり 、 美保純 、 財津和夫 試写会場 : 九段会館公式サイトはこちら。<Story>OL2年目で自由を求めて会社を辞めた芽衣子(宮崎あおい)。音楽への夢をあきらめられないフリーターの種田(高良健吾)。不透明な未来に確信が持てず、寄り添いながら、東京の片隅で暮らすふたり。そんなイマをどうにかしようと、仲間とともに書き上げた曲「ソラニン」。」早速、その曲をレコード会社に持ち込むが、良い反応のないまま日々は過ぎていく。そんなある日、種田がバイク事故にあってしまい……。[ 2010年4月3日公開 ]ソラニン - goo 映画<感想>みぞれ暴風雪の中の試写会でしたが、かなりの人が詰め掛けておりました。半分以上が若者(笑テーマ的に当然と言えば当然でもあるのですが。別に鑑賞層が若いことは構いませんが、鑑賞マナーは守るべき。全体的に落ち着きがない感じの、わさわさとした試写会でした。例えば私たちの後ろの女のコたち、映画の最中にいちいち感想言うのはやめれー。自分たちだけで呟いていると思っているようですがそれは違います。前の人の耳元でウルサいんだけど。常識を守るだけでいいのですが、どうもそうでない方々が多かったようです。 公開後も劇場内でのこんな光景は予測できます。さて映画です。登場人物のうち、高良くん、伊藤歩さん、財津さんの3人が実は『BANDAGE』とかぶってる。 音楽ものということで、似た感じの人選になっちゃうんでしょうかね。肝心のバンドメンバー。 ここにサンボマスターの近藤さんと、ドラムに桐谷健太くんを持ってきてます。なのでサウンドはしっかりしてますよね。 高良くんも『フィッシュストーリー』、『BANDAGE』で、そのうまさはたっぷり見せていただいてます。 桐谷くんがこんなにドラム叩けるんだー! というのにはちょっと感動モノかも。 調べたら、高校時代に少しなさってたそうですね。 それにしても、後半で叩いている様子はかなり様になっててびっくり。 筋肉隆々ですよ。そして宮崎あおいちゃんも実は『少年メリケンサック』で音楽関係の役。 しかしこれは「業界関係者」だったんで、本作の予告編にもあるような、自分が歌うことはしてなかった。 劇場予告でもご覧になった方は多いと思いますが、本作で彼女はバンドをしています。原作は全2巻の漫画ということで、たぶんですが若い人に支持されてるんでしょうね。この日の参加者も圧倒的に若年層でしたし。話も、芽衣子と種田のまったりとした雰囲気がたまらなく「今」なんですよね。その時その時を精一杯過ごしている。 悲壮感はそこにはあまり漂ってはいない。 敢えて2人とも漂わせないようにしているけど、ふとした時に先行きへの不安が垣間見えてしまう。 芽衣子は種田には夢を追っていってもらいたいけど、種田の方が芽衣子よりもある意味現実的。現実として食えなければダメなんじゃ・・・? という、冷静な視点。その点、芽衣子の方が行きあたりばったりな生き方。種田は芽衣子のこと本気で好きなんだろうなーと思ったのは、芽衣子のために自分が目指さない仕事を一生懸命したり、将来はこうしたいと思う、という希望を彼女に伝えてるから。本気じゃないと将来の話ってなかなかしないよね。こうなって欲しい、こうなったらいいなという希望とは全く別のところで動いていく人生がある。どうにも抗えないもの。そこを受け入れつつも、でも受け入れたくないような「もがき」を感じました。もがいてもどうにもならないなら、せめてその人の想いだけでも感じさせてほしい。そんな芽衣子の切ない願いが聞こえてきそうです。それも含めてどうしようもなく「今」な作品でした。 この空気感を味わう映画なのかも。そうですねえ・・・。 音楽ものということでどうしても『BANDAGE』と比べてしまうんですが、本作、一番重要なところで、一瞬時系列が分かりにくい部分があったんですよね。今回はどこも寝てないんで自分の勘違いではないと思うんですが。 ここかなり大事なだけに残念です。高良くんとあおいちゃんの、てれーっとしたスタンスなんかは若いコに共感呼びそう。そしてあおいちゃんは、歌うよりは業界人の方がやっぱり似合っているようにも思いましたけど、そのぎこちなさもこの映画では意味を持ってきてました。 高良くん、近藤さん、桐谷くんの、最初は波長が合わないんだけどそのうちピッタリとマッチしてきた演奏なんかも、テンションの盛り上がり方を表していました。 その心情の変化を演奏で表せるのは彼らのなせる技なんでしょうね。***********************************今日の評価 : ★★ 2/5点桐谷くんにおまけです^^
2010.03.09
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監督・原案 : 渡部篤郎出演 : 高岡早紀 、 渡部篤郎 、 広田レオナ 、 未希 、 鈴木一真 、 北見敏之 、 渡辺えり鑑賞劇場 : ユーロスペース公式サイトはこちら。<Story>北海道の小さな町で父親と暮らす冬沙子(高岡早紀)。東京でモデルとして成功している妹(未希)と違い、冬沙子は、父(北見敏之)や町の人々と過ごす平凡な生活を愛していた。ある日、冬沙子は父親の使いで夕張まで出かける。雪が降り出した帰り道、冬の間、閉鎖している遊園地を管理する青年、渉(渡部篤郎)と知り合う。渉は言葉を話せなかったが、2人は不思議な心のつながりを感じるのだった…。コトバのない冬 - goo 映画<感想>昨年のTIFF・・・? と思ったら、これはもう一昨年の話なんですね。 第21回TIFFコンペティション部門出品作品。『コトバのない冬』第21回TIFFの紹介サイト。これも当時観ようかなと思ったんですが、舞台挨拶付きにて既に満席だった記憶あり。 一般公開はここからかなり時間が経ってしまったようなんですが、一体どんな感じだったのかが気になってしまってとりあえず鑑賞してみました。感想としては・・・ この作品に非常に近い感じがしました。何となく、冒頭から冬沙子の顔がアップで出てきたときからその予感があり、そしてそれが的中してしまいました。 舞台も同じく冬、雪景色ですし。恐らく渡部監督は、高岡さんにインスピレーションを感じて映画化を思い立ったのかもしれないのでしょうか。 その人を見た瞬間にそこからインスパイアするものが果てしなく広がっていった企画。 映像とはそんな要素がないと勢いが出ないと思いますが、逆にそんな要素が大いにあるだけに、そこだけで例えば2時間という時間を引っ張っていくのには、相応の内容がないと非常に厳しいものがあるように感じます。冬沙子が故郷で懸命に働いているのは映像からはわかりますが、では故郷のどこが好きなのか?ということが今一つ伝わってこないようにも思います。妹が東京でモデルとして成功しているだけに、では何故冬沙子はここに残っているのかということが今一つ伝わりにくかった。 冬沙子の表情や話し方が何となく、「仕方なくここにいる」という印象にも見えてしまうので余計にそう感じました。渉との出会いは、ここからどこに進んで行くんだろうと思わせるものはありましたが、それも何となく成り行き任せな予感があり・・・。そして肝心の、物語の大きな展開となるシーンはなく、何と言葉だけで語られて終わってしまいます。 (→ ここは恐らく低予算だからなのかという気はしたのですが) そして最後まで、エピソードだけがぽんぽんと置いてある流れは変わらなかったです。解説を読んでみると、ハンディカメラが中心ですので手ブレはどうしても避けられない感じなのでしょうね。 しかしながら登場人物たちが大画面で写し出されるのが連続ですと、正直目が非常に疲れてきてしまいました。セリフもほとんど決められたものはなくて、アドリブが中心ということだそうです。 ですので臨場感があるのはいいんですが、つなぐものが少なかった感じは最後まで残ってしまいました。まずヒロインありき、という印象が強く、そこを徹底して美しく撮ろうというのは感じられましたが、そこに至るまでの経緯がもう少し欲しかったように感じます。タイトルのように、一貫して言葉が少なく、「感覚だけで鑑賞してください」というのもわからなくはないんですが、それがあまりにも前面に出すぎてしまうのもどうなのかなと。ともあれ、これは渡部監督の初作品となるのでしょうか。 これからどんな映像をお撮りになるのかにも期待したいと思います。************************************今日の評価 : ★★ 2/5点
2010.02.28
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監督 : 松田秀知 出演 : 米倉涼子 、 陣内孝則 、 筧利夫 、 笹野高史 、 塚地武雅 、 高橋克実 、 高知東生 、 反町隆史 、 林遣都 、 津川雅彦観賞劇場 : TOHOシネマズ六本木ヒルズ公式サイトはこちら。<Story> 2億6,000万円が現金輸送車から強奪される事件が発生。犯人は人質をとりショッピングモールに立てこもった。捜査一課特殊捜査班の宇佐木玲子(米倉涼子)は犯人との交渉に入るが、交渉は一方的に打ち切られ、その後モールは爆発してしまう。その数週間後、玲子は羽田空港で、先の事件で人質になっていた木元祐介(林遣都)を見かける。彼の行動を不審に感じた玲子は祐介の乗る飛行機に同乗。するとその飛行機はハイジャックされてしまい……。交渉人 THE MOVIE - goo 映画<感想>これも試写会にお誘いいただいていましたけど、別件と重なりましてやむなく断念。周りで面白い面白いと絶賛でしたので(笑)、一応観てみようかなということで、この日『シャーロック・ホームズ』プレミア試写の前に時間があったんで観賞。テレビシリーズは一切未見、原作も未読。米倉さんは、ゴシップがどうしても先行してしまうようで、実はあまり演技には興味を惹かれない女優さんでしたので(ごめんね)、ちゃんとドラマとかも見てないんですよね。ですので、本当にまっさらな感じで観賞はしました。まず、交渉人などという人がいるっていうのがオドロキです。 そういう情報疎いので。人質事件では、確かに誰かが橋渡ししないといけないですから、そういうポジションが必要になるんでしょうか(そういう事件が起きないに越したことはありませんが)。米倉さんはすごく実直で正義感に厚い印象。CAの衣装もなかなか板についていて、この辺りは目の保養になりそうです。先日、仕事で飛行機に乗ったばかりでして、妙にこのシチュエーションがしっくりと来てしまいました。ああいう風にしちゃうと、金属探知機もすり抜けられそうですし、そしてああいう風にすると操縦だって出来ちゃいそう!?ここまでネタをバラしても大丈夫なのか!? という不安は若干観ていて感じました。林遣都くんたちの言い分もわかるし、林くんのお兄ちゃん役のコの末路も予想どおりでしたし、単純に読めちゃう部分はあったんですが、仕掛けがきちんとしてあるので単純に観ていて面白い。ラストなんか、そう来たか! というものなんで、テレビシリーズ観ていなくてもちゃんと楽しめます。普通、テレビシリーズの映画化ものには結構キビしくなってしまう私なんですが、これは単体で十分味わえるところがよかったですね。***********************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.02.18
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監督 : 富永まい 原作 : 小川糸 脚本 : 高井浩子 出演 : 柴咲コウ 、 余貴美子 、 ブラザートム 、 田中哲司 、 志田未来 、 満島ひかり 、 江波杏子 、 三浦友和 試写会場 : 東宝試写室公式サイトはこちら。本「食堂かたつむり」の読後感想はこちら。<Story>失恋のショックで声を失った倫子(柴咲コウ)は、子供の頃から馴染めなかった自由奔放な母・ルリコ(余貴美子)が暮らす田舎へ戻り、小さな食堂を始めることにする。お客様は一日一組だけ。決まったメニューはなく、お客様との事前のやりとりからイメージを膨らませて料理を作るのだった。訪れるお客様の想いを大切にして作る倫子の料理は、食べた人の人生に小さな奇跡を起こしていく。そして、いつしか“食堂かたつむり”で食事をすると願いが叶うという噂が広まっていった。そんなある日、倫子はルリコからあること告白される。倫子は衝撃を受けながらも、母のための料理を作ろうと決意する。料理を通して倫子とルリコの距離が縮まろうとしていた……。[ 2010年2月6日公開 ]<感想>Yahoo!ユーザーレビュアー試写会に行ってきました。実はこのメール当選に気がついたのは前夜。 久しぶりにメール開けたら何と当選してる!あれま。。。このアドレスは滅多に開けないのでそういう事が起こる。 富永まい監督のティーチ・インもあるので、これは行かないともったいない。実は偶然だけどこの原作を先週購入して、読んでいる途中だった。この原作は読みやすく、また作者の小川糸さんの見解も細かく描かれているのでわかりやすい。予告でもお料理がおいしそうですし、女性監督なので、どんな描写か期待度めちゃ高いまま試写に参加。冒頭、倫子の生い立ちのダイジェストがざっと説明される。ここ、実は小説の肝となる部分なのだけど、紙芝居調というか、ファンタジックなイラストと監督作詞の曲に乗せて、ささーっと流れるように終わってしまった。倫子が祖母から、どのようなことを伝えられたのか。 それを彼女はどのように感じたのかが後の展開に大きく関わってくるだけに、この短時間の描写で、果たして原作未読の観客にこの原作者の想いが伝わるのかどうか。 少々ここは疑問が残る。原作ではかなり料理の内容が詳しく書かれているのだけど、その説明はほとんどない。何の料理をだれに出すのかはもちろん分かるが、どのような想いを込めて作るのかという事はあまり触れられない。正直、この描写がかなり原作を理解する上では重要な部分を占めていただけに、これを音声無しで映像だけで表現しているのは非常にもったいないと感じる。これは倫子が「声を失った」設定であることと大いに関係があるからであり、このために柴咲コウさんはほとんどセリフはなくなっている。ここでナレーションのように、彼女が感じていることを付け加えて説明してもいいのかもと思ったけど、それはほとんどない。 あるとしても、エルメスの本音が語られるくらい。ティーチ・インの際に、富永監督は、「ナレーションを入れるという設定は初め考えたけど、倫子は声を失ったことに困っていないという設定なので、ここで敢えて声を入れてしまうと、観客はこの人が話せないという風に思えなくなるので、無言でのシーンにしている」と語っていた。ただ、これは無声映画ではないので、黙って食材を見つめて調理するだけでは、細かい心理は伝わりにくいように感じた。例えば、亡くなった祖母を回想シーンでキャストとして入れて、その人の声を要所要所でくどくならない程度にナレーションとして入れてもよかったのではないかとも後で思った。 あの原作の深みを丸ごと取り去ってしまうのか、あるいは現実の倫子の人柄を重要視するのか、ここは難しい選択であったことは類推されるところである。あと、この小説は食べ物の描写が非常に細かく書かれていたので楽しみにしていたのだけど、これも映画では、一部のシーンを除いてはほとんど説明がなかった。文庫本収録の短編「チョコムーン」には、食べ物は官能的であるという小川氏の見解がある。「チョコムーン」自体が、「食堂かたつむり」の1組の客をモチーフにしているため、この見解があまり反映されていないのはとてももったいない気がする。結婚式の料理や、エルメスに別れを告げる時なども、かなり細かく料理の説明があり、それに倫子のおかんへの渾身の想いが込められていただけに、ここは1つずつ説明を加えた方がよかったような気がした。 桃ちゃんがささっと紹介するだけでは何とももったいないくらい、このシーンの料理は見事なものであるはずだから。そして何も伏線がないと、どうして倫子が生ハムを知己に配って歩くのかということの意味が全く伝わらない。 この意味は本作の根本的なものなので、そこがスルーされてしまっているのもどうなんだろう。。どれもこれも、倫子が声が出ないということがネックになっているからであり、大変厳しい選択を強いられたことは想像がつく。そこを補っているのが、登場人物のキャラクターである。特によかったのはお妾さん(江波杏子)。 彼女が食べている過程でどんどん生気が蘇ってくるシーンは素晴らしかった。「枯れた花を、シャキシャキさせるように」という監督の指示の細かさが生きている。あとは熊さん(ブラザートム)。 ワイルドな風貌でザクロカレーを4~5杯お代わりしていたそうです。 彼もピッタリの役でした。1つ分からなかったのが満島ひかりの使い方。 今回彼女は、『プライド』のような役どころなんですが、最後はいつの間にかいい人になっちゃってる。 これはファンタジー要素があるから、とことんつきつめないということなのだろうか。監督曰く、この映画に登場した人たちは、いろいろなシーンでどのように食を考えていくのかを熟考することが多かったということで、その結果1つ1つの場面において、じっくりと演じている様子がうかがえた。 俳優さんがそれぞれの役に真剣に取り組んでいた跡をきちんとスクリーンにとらえることができる。監督自身が「現実とファンタジーの中間地点を取った」と仰せで、現実に傾くのか、ファンタジーに傾くのか、少しでもどちらかに傾いたらきっと全く違うテイストになっていたであろうことは想像できる。ファンタジー色を出していたのが、ロケ地の形状で、これは私が原作を読んで思い描いていた通りの場所だった。監督はこのロケ地について、「周りが囲まれ、周囲から隔絶され、外が見えない空間。 土着のものを感じられ、精神的な面で俳優さんたちに影響を与えた場所」と語っている。アムールがあって、同じ敷地に食堂かたつむりがあるというのが条件だが、そこそこ広くてうってつけの場所がやはりあるのだなと感じる。そして食堂かたつむりのセットも可愛らしい。 ここは、「倫子のキャラクターが感じられる空間を意識して作った」ということでした。食堂でそれぞれの食事を摂るシーンなども、ある時は陽光が差し込み、またある時は夜の帳とともに・・・と、自然の持ち味を生かせる素材で作られた空間だった。 映画製作の題材としては難しい作品だったと思うが、まだ若く、気さくなCM畑出身の監督で、これからが楽しみな雰囲気の方でした。**********************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.01.24
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監督 : 行定勲 原作 : 中谷まゆみ 出演 : 豊川悦司 、 薬師丸ひろ子 、 水川あさみ 、 濱田岳 、 城田優 試写会場 : 東商ホール公式サイトはこちら。<Story>かつては売れっ子カメラマンだった北見俊介(豊川悦司)。しかし、今ではなぜか1枚の写真も撮る事ができず、ぐうたらな毎日を送っている。妻のさくら(薬師丸ひろ子)はそんな俊介に文句を言いつつも世話を焼くのだった。しかしある日、女優志望の蘭子(水川あさみ)を家に連れ込んでいる俊介をさくらが目撃。彼女は愛想を尽かし、旅行へと出てしまう。その後しばらくは独身気分を満喫していた俊介だったが、なかなか家に帰ってこないさくらに苛立ちを覚え始め…。[ 2010年1月16日公開 ]今度は愛妻家 - goo 映画<感想>今年初の試写会。 yaplogのmaru♪ちゃんとご一緒してきました。3連休の初日、しかも土曜日ということで、会場内はこの映画の対象のアラサー・アラフォー世代男性も多かったです。 原作は中谷まゆみさんの小説。 これは未読。薬師丸さんも、もう芸歴がかなりになられるんだよね・・・ と、こういう映画を拝見すると思います。 私が初めて薬師丸さんの作品に触れたのは『野性の証明』だったので、その頃から30年以上経っている訳ですし。トヨエツさんも薬師丸さんもお互い偶然なのか離婚経験者ですし。仕事に疲れてしまって面倒くさい夫に、傍から見ているとやかましいくらい世話を焼く妻っていう構図は、あーあるあるあるよそれ。。。 って思わせる効果があって、こういうのはやっぱり結婚・離婚経験者ならではの味なんですよね。本作は何を書いても結局ネタバレになると思いますので、今日は短めの感想にしておきます。予告である程度の筋書きは流しているのですが、驚いたことに、予想とはかなり違う着地点です。原作を読まないと、これは予想できないですね。 びっくりです。途中から、「あれ??」って思う部分がいくつかあり、あとは訳ありっぽいセリフも登場していて、それらが伏線になっています。ヒントは、俊介が撮る写真。これを途中で見せて、だんだんと謎解きのセリフですとか回想シーンなどを織り交ぜていきます。結局、「青い鳥」なのかなあ、と、観終わって思いました。何だかんだと文句だとか不満だとか言いながらも妻に甘えて依存している夫。そしてそんな夫を見ながら、あたしがこんなにシッカリやってるのに、毎度毎度しょーもない男と思っている妻。そんな風に思っているとしても、もう愛情が出会ったころほどはなくても、いざ相手が去るとなったら、そこによほどの憎しみさえなければ、情の方が勝るようにも感じます。そして今まで気がつかなかった、自分の全く別の想いというものに今さらながら気がついてしまったり。何だけどねえ・・・。 だったらなんで目の前にいるうちにそう言ってあげないの? って思います。釣った魚にはエサはやらない状態、日本の男は多過ぎ。。。 って、ここで愚痴ってもしょうがないけど。ご一緒したmaru♪ちゃんは、ひたすら薬師丸さんがお気の毒・・・って涙涙、そして反対側のお隣に座った女性2名も、もう鼻かんでますってくらいにボロ泣き状態。 そしてはさまれた私は泣かなかったんだけど(苦笑) まあ、夫婦関係ですから、妙に納得してしまう部分もあり・・・ ここら辺は観る人それぞれでしょうね。いなくなって初めてどんなに大事だったかがわかる・・・ というのも、今まで散々いろんな映画やら小説やらドラマやらで取り上げてきたテーマではありますが、その見せ方やトリックを、だんだん薄皮を剥ぐように明かしていくのは、なるほどと感じます。それをさらによく見せているのは、薬師丸さんのちょっとトボけた雰囲気だったり、トヨエツの自分自身への「演技」だったり、石橋蓮司さんの年季が入った言葉だったり・・・。そのやり取りで、この映画を引きたてているようにも思います。 演技を観る映画ですね。サイドストーリーとして展開される、濱田くんと水川さんの話もありました。 これも比較としてはあってもいいんだけどちょっと長かったかな。 でも濱田くん好きなんで許します(笑)夫婦の再構築ものとしては、昨年残念ながら私のNG第1位映画に挙がってしまったこちらの映画を思い出してしまいましたが、あれよりはかなり本作の方が参考になると思います。世の男性諸君には本作を観ていただきたいですね。 将来のご自身の姿にならないようにということで。*********************************今日の評価 : ★★★
2010.01.09
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監督 : 中村義洋 原作 : 伊坂幸太郎 出演 : 堺雅人 、 竹内結子 、 吉岡秀隆 、 劇団ひとり 、 貫地谷しほり 、 相武紗季 、 ソニン 、 大森南朋 、 柄本明 、 香川照之 試写会場 : 東宝試写室公式サイトはこちら。<Story>首相の凱旋パレードが行われているそのすぐ近くで青柳(堺雅人)は、大学時代の友人・森田(吉岡秀隆)と久しぶりに再会していた。様子がおかしい森田。そして爆発音。首相を狙った爆弾テロが行われたのだ。「逃げろ!オズワルドにされるぞ」。銃を構えた警官たちから、反射的に逃げ出す青柳。本人の知らない“証拠映像”が次々に現れ、青柳は自分を犯人に仕立てる巧妙な計画が立てられていた事を知る。青柳は大学時代の友人たちに助けを求めるが…。[ 2010年1月30日公開 ]ゴールデンスランバー - goo 映画<感想>20日に観賞した試写ですが、どうにも落ち着いて感想書けなくて、こんなに遅くなってしまいましたが。。。Yahooレビュアー試写会に参加してきました。東宝試写室はシャンテの上にあり、初めて行きましたが、椅子が私が今まで行ったTOHOシネマズのどの椅子よりも座りやすかった(笑) 腰のあたりに別の素材が使われていて、これは腰痛持ちの自分にとっては非常にアリガタイ。伊坂作品は、映画になると一体どうなるんだろう? という興味を湧かせるもので、こういう風に活字と映像と両方で活躍できる作家は少ないだけに、非常に楽しみにしていました。ちなみに原作は未読。単行本しか出てないので、文庫になったら読もうかな。 って、怒られますかね。監督は『アヒルと鴨のコインロッカー』 『フィッシュストーリー』も作っている中村監督。 この日は終了後にティーチ・インもあるということで、そちらも楽しみでした。伊坂作品の映画化にはもう、堺雅人さんは必要不可欠な存在になりつつあるようで、本作でも主役の青柳。 自分が普通にしている生活が、普通じゃなくなっていく青年です。知らずのうちに、いつの間にかオズワルドにされるぞ・・・ ということなんですが、どうしてそうなのか? 彼をはめようとしたのは何なのか? 誰なのか? ということについては、映画の中では一切触れられていない。原作読んでないのでそのあたりが何ともわからないのですが。。。 そのような「何故?」ということは一切無視して、青柳を取り巻く人物を追いかけ、心情を味わうことが目的かもしれない。(C) 2010「ゴールデンスランバー」製作委員会とりわけ、その意味で重要なのは晴子。別々の道を行くことになったけど、どっかで見守ってるから。。。 という彼女の見えないメッセージ。それが行く先々で青柳を支えている。晴子だけじゃない、カズも、そして青柳に何を残したかったかはわからないけど、きっと森田だってそうだ。青柳の両親の、最後まで息子を信じる気持ち。 たとえ離れていても、会えなくても、ずっと自分の大事な人。 「無様な姿晒してもいいから、生きろ」という森田の言葉通りの体当たりのメッセージ、温かい気持ちがいっぱい伝わってきました。ラストの青柳の演出。 ネタばれになってしまうので詳細は避けますが、たとえあの姿であったとしても、彼に寄せる、縁の人々の心は変わらないのだろうなと思うと、そんな関係がしっかりと築けていくことにどこか安心感すら覚えてしまう。伊坂作品×中村監督のコラボ映画では、もうおなじみの濱田くん。 今回の役もとても好きでした。キルオがどうして青柳を助けようと思ったのか。 それは説明するとするならば「直感」としか言えないのかもしれない。 邪(よこしま)なものたちに対する怒りがキルオを動かしているならば、青柳を陥れようとしているのはまさにその「邪なものたち」だけに、キルオはたぶん一瞬でそれを見抜き、青柳を助けるべく判断したのでは?そういう判断が一瞬でできるのは才能です。濱田くんの芸の広さをここでもまた観ることができたのは嬉しい。 彼は本当に器用な俳優だなと思う。 香川さんですが、ここのところ映画にTVに出ずっぱりなだけに、今回の役は『カイジ』に似てるなと正直思ってしまった。 最近どちらかというと悪役の香川さんがおなじみになってしまったからかもしれないけど。この映画でもう1つ気がついたこと。 大森南朋さんが完璧な使われ方をしている。 これはナイスなキャスティングでした。今回の入場者には、非売品プレスが配られました。表紙はこんな感じ。やけに大きく、LPジャケットのサイズよりちょっと小さめなくらい。これは仙台ですね。ちゃんとビートルズの、"Abbey Road"を意識してます。DSCI0531 posted by (C)rose_chocolat裏表紙も綺麗だったので、広げてみました。DSCI0533 posted by (C)rose_chocolat伊坂作品は仙台が舞台のものが圧倒的に多いですが、本作でも仙台の町並みは存分に出てきていて、首相パレードはこの道路、そして青柳の逃走劇に使われる路地裏などまで、丁寧に仙台の街を撮影したのがわかります。この町に対してもきちんとリスペクトしているんですよね。終映後、中村監督によるティーチ・インがありました。・この役にはこの俳優でないと、という、人物へのこだわりでキャスティングしました。竹内さん、堺くんの2人には、俳優の持つ「力」がある。 この2人をまず決めて、それに合う俳優さんは誰かと考えていきました。吉岡くんに森田を、香川さんにも絶対に佐々木をやっていただきたかった。・とは言っても、堺くんに佐々木をやってもらおうと思ったこともあった。・キルオはもっと太った大柄な設定だったが、伊坂さんが『アヒルと鴨のコインロッカー』を観て濱田くんを気に入ってくれて、今回のキルオの役に決まった。・普通役者さんは最初が一番テンションが高いことが多いが、伊東四朗さんは3回本番を撮って、回を重ねるごとにパワーアップしていった。素晴らしい役者さん。・「巨悪を暴かないのは何故?」ということですが、何者かわからないものに支配されたり、事件に巻き込まれた人の視点を描きたかった。原作とは違う部分もあるが、敵は巨大ですとだけ言うことにした。権力と闘いながら逃げる話、です。・フィッシュストーリー、アヒル・・・ は膨らませればいいけど、本作は削る作業に時間がかかった。 前篇後篇・・・ということにはしたくなかったので、辛うじて2時間10分台に収めた。などなど、映画の裏話的なことを中心にお話し下さいました。落ち着いたら原作を読んで比較してみたいですね。 細かいことを掘り出してどうのこうの・・・というよりも、その根底に流れている心情に注目する作品のように思います。これも観賞する人によって大きく視点は分かれそうです。********************************今日の評価 : ★★★★
2009.12.20
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監督 : イ・ジェハン 原作 : 辻仁成 出演 : 中山美穂 、 西島秀俊 、 石田ゆり子 、 平岳大 、 加藤雅也 試写会場 : 新都市ホール公式サイトはこちら。<Story>1975年、灼熱のバンコク。チャオプラヤー川ほとりに立つ最高級ホテル、オリエンタル・バンコクの “サマーセット・モーム・スイート”に住む沓子(中山美穂)。美しさと妖艶さを纏った沓子は、お金に不自由なく、男性から愛されることで満たされた毎日を送っていた。ある日、バンコクに赴任してきたエリートビジネスマンの豊(西島秀俊)と出逢う。二人はたちまち魅かれ合い、熱帯の夜に溺れていく。しかし、結婚を間近に控えた豊には、東京に残してきた光子(石田ゆり子)という婚約者がいた。「豊、わたしのこと愛してる?」 豊との楽しい日々を過ごすうち、“愛される”ことではなく、人を“愛する”ことに気づきはじめる沓子。しかしそこにはどうしても越えられない“期限”があった。そして二人は苦渋の選択をする。そして、25年後のバンコク。 二人は運命の再会をするが…。[ 2010年1月23日公開 ]サヨナライツカ - goo 映画<感想> (ちょっとネタばれ気味・辛口。 観賞予定の方は観賞後に読まれることをお勧めします)横浜での試写会というのは珍しく、運よく当たったので行ってきました。ご一緒したのは、西島くんのファンを公言されているhyoutanさん。 これ、邦画なのにCJ Entertainmentなんですね。 ほぼ韓国制作に近いのか? イ・ジェハン監督ということもありますしね。 『消しゴム』って実は自分は今イチだっただけに、果たしてどうよ? というのがあったし、何と言ってもミポリン12年ぶりのスクリーンですから・・・ という感じで観賞。辻さんの原作は未読。まずこの新都市ホール、初めて行きましたが、ここは明らかに試写会には向いていません。音がものすごく割れる。後ろまで聞かせようと思って大音量はよいのですが、会場自体は反響や吸収などを全く計算に入れて作っていないように感じるほどの、耳鳴りがするくらいの音でした。座席も床面はフラットで、後ろに可動式の椅子があり、私たちは可動式の段差がある方に座れましたが、遅く到着の方たちはフラットの椅子で、大変だったと思います。 おまけに大音量・・・ 前の方で観賞の方はきっと耳が変になりそうだったんじゃないでしょうか。ここは試写会で当たっても今後行くかは微妙。本作の舞台がバンコクということで、何となく『七夜待』のような雰囲気を感じてしまいました。 もっとも、『七夜待』ほど本作はガイドブックっぽくはなくて(笑)安心はしましたが。 嫌味にならない程度に、愛し合う2人の背景に適度にバンコクが出てくるのは、確かに絵にはなっていました。オリエンタルホテルのサマセット・モーム・スィートというのも、何だか出来過ぎているようにも思いますが、女性たちにはこういうのはウケはよさそう。 ウケると言えば冒頭、いきなり始まってしまうところの、ミポリンの窓を背に立ったシーンなんかは、男女問わずウケそうですね。 確かに綺麗ですし。ただラブシーンに関しては、あそこまでするんなら何故脱がないの? とも思ってしまうんですよね(苦笑) 『パブリック・エネミーズ』の時も同じことを感じたんですが、かえって隠すことが不自然に思えてしまうくらい。 激しいんならやっぱり隠れはしませんから(笑)、そこで頑なに出さないのもおかしい。 『ジャック・メスリーヌ』の、リュディヴィーヌ・サニエを観た後で、本作を観ちゃったら、「するんならちゃんとしなさい!」 と言いたくなっちゃうんですよねー。 映画ですが、いきなり展開していくという感じで、一切の説明がない(これは辻作品の特徴なんでしょうか。彼の本は読んだことはないのでわからないのですが)。人物設定もそうで、豊に関してはかなり詳しく描かれている(沓子と別れてからも)のに対して、対する沓子に関しての情報はほとんどなし。何故沓子が「お金に不自由なくスィートに住むのか」の説明が、断片的な彼女の言葉からしかわからない。 そして25年後の沓子の住居に関しても、およそあり得ないだけに、かなり?マークを抱えながらの観賞になってしまった。好意で住居を提供されるということは、よほどお金があったのかくらいにしか思えなくなってしまうんですよね。まあ本当に全体的にいきなり。。。ですので、それが沓子の本能であり、豊の本能でもあり。 と位置付けてしまうと、「そういうものだ」的に考えることを観客は前提とされてしまいます。この原作のお話自体が恐らく一種のファンタジーとしてカテゴライズされるんだろうなと思うのですが、その割には愛の定義を問う場面が多かった(というか後半はしつこかった)ような気がする。「愛したことと愛されたこと、どちらを最後に思い出しますか?」ということなんですが、何と言うのかなあ・・・。 本作の場合、愛したことが都合がいいと思った時は愛した時になり、愛されたことが都合がいいと思ったら愛されたときになれるという、どっちつかずのとらえ方ができるようになっちゃってて、それは結構ズルいと思う。 わかりやすく言うと、「私はあなたを愛してはいない、だけどあなたに愛された」という表現が、沓子からも豊からも言えるようになっちゃってて、しかもそれが恋愛の絶頂期に言えるようになっちゃってて、これはずいぶん逃げ道としてはうまく作ってあるなと(苦笑)都合が悪くなれば、のらりくらりと都合のいい方に考えればよくなってしまいます。もっともこの手の恋愛は得てしてこういう解釈をしておかないと、何のために付き合っているのかがわからなくなるので、それでいいんならそれもありかなとは思うんですけど。「賢い男は、道には迷わないものだ」というセリフなんかは、まさにご都合主義を象徴しているかのようでした。・・・というはずなのですが、歳を取ると、さすがにそうそうご都合主義には考えられなくなってしまうというパターンも何となく気の毒ではある。どこかでついつい相手を思いやってしまうのなら、最高の時にどうしてそうしてあげないのかとも、思うんですよね。ともかく25年後の沓子と豊の様子が、ほとんど若いころと雰囲気変わらないことには参ってしまいました。 豊は相変わらずマッチョな感じのシルエットですし、沓子に至ってはシワ1つないなんて(笑) 老けさせないでくださいというお達しでもあったかのようでした。 いくら何でもこれは・・・。 『愛を読むひと』のケイト・ウィンスレットも老けメイクはちゃんとしてましたし、ちゃんとしないとかえって不自然。中山美穂さんはとても39歳のママとは思えないほどお美しい。 これには異論はありません。ですが、本作はあくまでも「大人の女性」というか、ちょっと背伸びして強がっている女性をアピールしているにも関わらず、アイドル時代の癖が何となく抜けない感じの表情もあり、時々ひどくそぐわない感じもした。 「しな」を作らなくても十分なのに。(もっともそういう方が観客にはウケはよいのでしょうが)逆に石田ゆり子さんの光子の方が、清純を装いつつも実はしたたかな牙を剥くという、女の怖さっぽいものを表現できていたように思いました。加藤雅也さんの、年取った時の雰囲気は結構好き。 若い頃の大胆さとはまた違う顔で意外性があり、よかった。全体的に「では一体何が結論だったんでしょうか」という感じで、堂々めぐりも多い筋書きで、2時間超えは明らかに長すぎる。 25年後の展開も、韓流っぽかったし・・・。 何だか残念ですね。中山美穂さんファン、あるいは彼女がどんな風にラブシーンをするのかを期待している人は多そうなんで、観客動員はそこそこあるとは思うんですけど。 そこだけを観るのなら、期待はできそうです。今日の評価 : ★ 1/5点 ***********************************ご一緒したhyoutanさんから、お土産をいただきました。かわいいのでご紹介。DSCI0510 posted by (C)rose_chocolatこれ、おせんべい!かわいかったー。顔の部分が豆せんべいで、胴体がおかき!どうもありがとうございました~。
2009.12.17
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監督 : 松岡錠司 出演 : 森本慎太郎 、 チビ 、 桑島真里乃 、 香川照之 、 檀れい 、 マイコ 、 山本學 、 浅野忠信 、 中村嘉葎雄 、 岸恵子(TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 21本目)公式サイトはこちら。 <Story>昭和の初め、雪深い寒村に祖父と暮らす10歳の草太(森本慎太郎)は、貧しさゆえに学校には通えなくとも、愛犬チビを相棒に祖父(中村嘉葎雄)の仕事を手伝うかたわら大好きな絵を描き続けていた。村一番の裕福な商家の娘・早代(桑島真里乃)とは幼い頃から大の仲良しだが、早代の父(香川照之)は事あるごとに2人の仲を裂こうとしていた。ある日、草太は村にやってきたサーカスの男・萩尾(浅野忠信)と知り合いになる。絵描きにりたいという草太の夢を萩尾は励ますのだった。スノープリンス 禁じられた恋のメロディ - goo 映画<感想>これもパスポートでなければ恐らく観賞しなかったと思いましたが、せっかくなので観てみることにしました。「フランダースの犬」はたぶんほとんどの日本人が知っている話、というのはわかっていて、それのリメイク? という予備知識もありました。この時代設定を昭和初期にしたのはうまいなと思います。 日本で貧富の差が歴然とあったのは戦前までの話でしたから。そしてたぶん、貧しくて生きていけないという人も実際にいたようにも思えます。反対に地主であるとか、代々庄屋の家系、などということが暮らしに大きく影響していた時代でもあったと思います(ここでは商家ですが)。そして主役の2人の設定もそんなに不自然ではなく、ちょっと気弱な草太とおてんばな早代という組み合わせも、観ていて微笑ましい。ただ、草太くんが極貧の境遇なのに割と顔色もよかったし、悲壮感が漂っていなかったのはどうなんでしょうとも思うのですけど。香川さんと壇れいさんの、早代の両親役はやっぱりよかった。 早代の父が草太と早代をやたらと離したがるのは「フランダースの犬」のアロアのパパと同じなんですが、その理由もちゃんとあるというのは大事なこと。 強いて言えば、抱えている苦悩もきちんと描くともっとよかったかも。そして壇れいさん。 彼女がこの映画でいちばんよかったかも。 凛として、そして情もある昭和の母親というポジションにぴったり。 少しぴりっとしているところが、早代にも威厳のある感じで対峙できて、だけどいざという時にちゃんと娘を分かってあげているお母さん。 とても素敵です。 お着物も毎度違うので、それを見るだけでも楽しめると思います。浅野さんはこの映画にもご登場で、これはかなり嬉しいところ。 彼本当に今年は活躍ですね。幻想的だけど、ちゃんと草太の心がわかっているピエロも、なかなかよかった。おじいさんの中村さんの、どこまでも草太のことを考えて育てている様子も、昔の人のよさがありました。岸恵子さんも久しぶりにスクリーンで拝見しましたが、やっぱりお綺麗です。基本ファンタジーなんですが、そこに親子の交流や、子どもへの大人の目線なども織り込まれていたのはよかったです。今日の評価 : ★★☆ 2.5/5点
2009.12.13
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監督 : 豊田利晃原作 : 角田光代出演 : 小泉今日子 、板尾創路 、鈴木杏 、広田雅裕 、 國村隼 DVDオフィシャルサイトはこちら。<Story>「何事もつつみ隠さず、タブーをつくらず、できるだけすべてのことを分かち合う」それが、母親らしいことを何ひとつしてくれなかったさと子(大楠道代)への反発から、いつも笑顔で幸せな家庭であり続けようとする絵里子(小泉今日子)の決めた京橋家のルールだ。だが、絵里子の意に反して、家族はそれぞれに秘密を持っていた。夫の貴史(板尾創路)は麻子(永作博美)とミーナ(ソニン)と言うふたりの愛人の間を行き来し、娘のマナ(鈴木杏)は不登校を続け、建築物に興味を持つ引きこもりがちな息子のコウ(広田雅裕)は父の愛人と知らずにミーナを家庭教師に迎えてしまう。空中庭園(2005) - goo 映画<感想>角田光代さんの原作は読んでいます。『トウキョウソナタ』を観たのに、これはまだだったよなーと思い観賞。キョンキョンつながりですかね。それにしても小泉今日子はこういうくたびれた主婦がよく似合う。 靴下の微妙な履き方とか、普段着のダサい感じとか、かなりキマってる。 それでいてちゃんとした外出着なんか着ると、まだまだイケてるのも、何かそこから胸騒ぎみたいなものを生み出しそうな予感もしてくるから凄い。「家族の崩壊」という点では『トウキョウソナタ』に通じるものがあるが、本作にプラスされているのは身近な血縁の視点、すなわち母・さと子の存在。 この大楠道代さんがすごかった。 完全に主役のキョンキョンを食おうとしていた。 孫との距離感も対等にしているし、そして娘との関係でも常に自分の方が上から目線を崩さない。そこがほろっと崩れていくところが、きっと絵里子の心も回復していくきっかけになるのだろう。「何でも包み隠さず話す」などということは、家庭を営んでいる以上、ほぼ不可能であることは明らかなのに、それをすればするほどに、皮肉なことに家族は離れて行ってしまう。黙っていたほうがお互いのためかもしれない話など、たくさんある。 それを無理に明らかにさせようとすることは、反発を生んでしまうことも多い。 そしてその反動でますます家から心は離れていくのである。思春期の子どもに、思っていることを全て話させようなどとしようものなら、あとが大変なので、実際我が家ではあり得ないことなのだけど(苦笑) 「学芸会家族」は実際にはやっぱり無理ですよね。それは自らを省みてもらえなかった絵里子が、自分の夢を実現させようとするためのささやかな協力依頼なんだけど、ささやかではなく、重大なことであることに絵里子は気が付いていなかった。そして見えてきた家族の修羅が、自分で引き起こしてしまったことに気が付き、また彼女自身も演じるのをやめて行った時、もとに戻れる糸口が見えてくるのかもしれない。ラストシーンはたぶんこの映画の全てなのかなーと思いながら観ていたが、もっとあのシーンでキョンキョンは壊れてよかったと思った。 壊れ方が足りないというか、可愛いすぎてしまったかもしれない。 腹の底から声を絞り出したほうが違和感なかったかも。家で雨に降られる、ここは『トウキョウソナタ』と奇しくも同じになってしまったけど、リアリティならあちらの方か。板尾さんはここでもうしろめたい中年の役になってしまった。 『空気人形』を観た方ならうなずけると思うが、失礼だけどよく似合っていた。ソニンが、はじけそうでちょっと足りなかったのがもったいなかったかな。 鈴木杏ちゃんや広田くんは、主役を食わない程度に子どもとしての壊れ方を表現していたと思いました。**********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.12.07
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監督・脚本 : 犬童一心 原作 : 松本清張 出演 : 広末涼子 、 中谷美紀 、 木村多江 、 西島秀俊 、 鹿賀丈史 、 杉本哲太 、 崎本大海 、 野間口徹 、 黒田福美 、 本田博太郎 公式サイトはこちら。(TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 4本目)<Story>見合い結婚で夫・憲一(西島秀俊)と結婚した禎子(広末涼子)。しかし結婚式から七日後に、夫は仕事の引継で勤務地だった金沢に出かけ、そのまま行方不明となる。夫の過去をほとんど知らない禎子は、憲一の足跡をたどって金沢へ。憲一のかつての得意先の社長夫人・室田佐知子(中谷美紀)、そして社長(鹿賀丈史)のコネで入社し受付嬢をしている田沼久子(木村多江)。2人の女性との出会いが事件のさらなる謎を呼ぶ。夫には自分の知らない別の顔があったのだ。やがて新たな殺人事件が起きる。ゼロの焦点 - goo 映画<感想>松本清張原作は未読ですが、文芸ものはまず押さえる方針なので鑑賞。『おくりびと』 『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』と、日本の文芸調作品に続けて出演中の広末涼子さん主演。『電車男』『自虐の詩』の中谷美紀さん、そして『ぐるりのこと』の木村多江さんと、女優競演でも話題性が高い映画です。広末さんの声が甘すぎるのが、いつも彼女が映画に出てくると気になってしまう部分でもあります。 本作も予告では妙に可愛らしく話すシーンがあり、かなり気になってはいましたが、少し表情が抑え目に演出されているせいか、声のトーンも同じく抑え気味で、そういう意味では映画の本質から浮きまくるということはなかったように思いました。新婚早々夫が失踪する新妻なので、やはりあまりにも甘い話し方ではいけないですからね。ここでは彼女の持つ初々しい感じがうまく作用しているようにも思いました。 賢明に新生活に慣れようとして、そして思いもよらない事態にも懸命についていこうとする健気さとでも言うのでしょうか。 その雰囲気づくりには成功しているように感じました。 彼女を見て憲一が「生まれ変わりたい」と思えるような新しさ、希望というものを、広末さんのキャラを生かして滲みだすことができていました。また中谷さんの演じ分けもまさに女優というべきものがありました。 1つの作品の中で対極の側面を演じる強さが彼女にはあります。そして木村さんも、久子の持つ「諦念」という言葉を演じていったのではないでしょうか。 原作もぜひ読んでみたいところですが、こういう状況の人達は戦後の混乱期にはかなり多く存在していたようにも思います。佐知子や久子のような境遇に限らず、あのころは生きるためならなりふり構っていられない、必死に生きている人たちはたぶん多かったのだろうと。そして、そんな過去を消してしまいたい、できることならばその期間を空白にしてしまいたいと願うこともあるだろう。あの時に戻って生まれ変わりたい。。。 そんなこともあるのでしょうけど、そうはできないのが人間の悲しさ。展開が何となく原作を読んでいなくても見えてきてしまうものがあり、そして犯人も消去法で考えると絶対にその人しかあり得ないので、あとはその人がどう出てくるかを見ていればよいのですが、犯人が犯行を重ねるに至るまでの切ないほどの気持ちは、あの時代ならではのことなのでしょうね。どんなに努力をしても消せない過去、たった一言で覆ってしまう境遇、今よりもっと苛酷だったに違いないと思います。絶対に自分の持っている物を渡したくないという執念は、たぶん犯人も憲一も禎子も同じだったと思います。あなたは私の夢を奪った。。。 禎子のセリフは、そのまま犯人のつぶやきでもあったに違いないからです。作品全体を通じてのトーンなどは落ち着いていて、当時の雰囲気をよく出しているとともに、内容の暗さをも暗示させている。当時の風俗なども再現できていて、小道具などでもわかるのだけど、昔ながらの正統派の「お見合い」などでもずいぶん今とは感覚が違うなと思う。 女優陣もそうですが、俳優陣もまた、その頃の人間の気質というものをよく研究していたようにも感じられました。 松本清張ファンはまた違うご感想かもしれませんが、とりあえず原作の持つ雰囲気はクリアしているように感じる。*********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.11.20
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監督 : 佐藤東弥 原作 : 福本伸行 脚本 : 大森美香 出演 : 藤原竜也 、 天海祐希 、 香川照之 、 山本太郎 、 光石研 公式サイトはこちら。(TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 2本目)<Story>伊藤カイジ(藤原竜也)はだらだらと無為の日々を送る26歳のフリーター。そんな彼に悪徳金融会社の社長・遠藤(天海祐希)が近づく。友人の借金を肩代わりさせられ、知らないうちに負債額202万円を抱え込んだカイジに、たった一夜で借金を帳消しにできて、さらに大金を手にするチャンスを提示する。半ば脅されるように乗り込んだ豪華客船エスポーワールでは、人生の負け犬たちが一発逆転のゲーム〈限定ジャンケン〉に挑もうとしていた。カイジ ~人生逆転ゲーム~ - goo 映画<感想>本日の2本目。 ここでありえないことが起こる。指定された席に着くと、すぐ斜め後ろのバカップルの男が、前の椅子の頭の所に、靴を履いたまま足を乗せている。 いわゆる土足です。そして椅子の背を蹴飛ばしてばかりいるんで、かなり嫌な気分になって、予告の段階で席を換えてもらいたいと入口に行く。ところが係は、「TOHO全体で基本的にそういうことはお断りしております」 と!!それは納得がいかないので、蹴飛ばしてばかりいるし、椅子に足を乗せていると抗議したら、「それでは今回に限りまして換えます」ということでやっと換えてもらえた。このまま鑑賞していたら、マナーの悪さで映画どころではなかっただろう。こういうことは、109シネマズやワーナーでは、不可抗力なのですぐに対応してくれる。そして、以前にはTOHOでも、同じようなことがあり、換えてくれた。(いずれも他の場所に残席があった場合ですが)なのに何で? 苦笑この杓子定規の対応はダメなのではないだろうか。 一考を促したい。福本伸行原作でシリーズ合計1300万部突破の人気コミック「カイジ」の実写映画化、ということですが、原作は未読。こういう設定って結構ありそうですね。金持ちは貧乏人を見て、自分たちの安定を意識する、という設定はそのまま日本社会にも当てはまりそう。そして、貧乏人を金持ちがもてあそんで喜ぶというのも悪趣味。。本作はそこに殴りこみをかけたいような心境もあって、あらすじなども作られているようにも感じます。すなわち、貧乏人であっても、皇帝にも打ち勝つカードがあるということ。金持ちは、もう既にお金を持っているという意識があるので、失うものは何もない人の心境にはなれないように思います。一方、とにかくやるしかないというところまで追い込まれて、貧乏人も初めて自分しか頼れないと知るようにも思う。プライドの高さでは、自分たちは他に負けないと思っている者と、負けることが怖くないというプライドにかけては自分が一番と思っている者との闘い、なんでしょうか。裏の裏の裏を読んでもなお、読めない相手の心。 だけど失うものが何もないほうがやっぱり強いんだと思います。 捨て身で来ますし。いつまで経っても這いあがれない日本社会の構図のようなお話ではあるんですが、そこから巻き返して行くには自分の力しかないんだということ。他人に頼ったり、自分を見失ってはダメだと作戦を考えていくカイジは、読みが甘いけど義理に厚く、次第に彼のところに自分を託してもいいと思う人が現れてくるのは、彼の人柄なのでしょうね。友情出演の松ケンや、光石研さんの表情もよかったです。 そして香川さんは、本当に大蛇のような顔に見えた。 やっぱり心が顔に現われてくるのも面白かったし、香川さんはそれができる俳優ですから。***********************************今日の評価 : ★★★
2009.11.18
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監督 : チェリン・グラック 出演 : 小日向文世 、 生瀬勝久 、 菊地凛子 、 鈴木京香 公式サイトはこちら。(TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 1本目)<Story>20年振りにロサンゼルスに降り立ったシナリオライターの道雄(小日向文世)と、道雄の留学時代の親友で、かつてはTVのヒーロー番組の主人公を演じた事があるが、今はロサンゼルスのレストランで雇われ店長をしている大介(生瀬勝久)。二人は、大介の結婚式を前にワインの産地ナパ・バレーへドライブ旅行をする事に。訪れたレストランでかつての片思いの相手、麻有子(鈴木京香)と再会した道雄は、彼女の成熟ぶりにショックを受け、ワインをガブ飲みして酔いつぶれ…。サイドウェイズ - goo 映画<感想>さて、今日はついに、TOHOシネマズ6000マイルを1か月フリーパスに交換することを決意し(笑)、早速行ってきました。今日は3本鑑賞、そのうちの1本目です。噂に違わずすぐにポラで顔写真を撮影されまして、カウンターで作っておいて貰えるシステムですね。仕事も忙しいんですが、できる限り鑑賞していこうと思います。 じゃんじゃん見ないともったいないよねー。なので多少自分の好みとは違う作品も鑑賞しますが、感想お気に召さなくてもどうぞあしからずです。で、しょっぱなのこの映画、凛子さん出演なんで結構楽しみにしてはいたんだけど、ひさびさ激辛感想なので、イヤな方はどうぞ通り過ぎてくださいませ。ちなみにオリジナルは未鑑賞。(でも、比較のために観てみたいですね)そして部分的にネタばれです。まず。。。 全体的に設定が、どうしてもアメリカでないといけないとは思えなかったんですよね。雰囲気として、アメリカで撮りましたーといった感じなんです。大介の設定ですが、元TVヒーロー&現在雇われ店長というだけで、セレブっぽいところにお婿に行けるんだろうかっていうのがまず疑問。そんなに日本人に対しての目線って優しくないと思うんですが。。。次に麻有子の英語が下手過ぎます。20年強? アメリカで仕事していたのに、"find" "flavor" "already" などの単語が発音できてない。"f"じゃなくて、日本語の「ふ」になっちゃってます。 これは説得力欠けますねー。そして今、劇場で『沈まぬ太陽』も公開しているだけに、恩地夫人の面影がどうしてもチラチラしてしまうんです。あちらの方が京香さんはよかったな。。。ミナさんなんですが、彼女のキャラがとても中途半端で、本当はもっと英語を流暢にできるはずなのに何故かたどたどしくしゃべっていたり、日本語もどっちつかずの感じなので、この人のスタンスっていうのがハッキリしてなかった。後半部分は流すように彼女の存在は終わってしまってますね。劇中にも例えで出て来るんですが、「オリジナルの脚本があるにも関わらず、わざわざそれをチープに教え子が書き換えてしまう」エピソードそのものという感じがしました。湘南でロケをして、全くのリメイクし直しにしたほうがまだよかったかもしれない。ナパ・バレーの風景ですとか、ワインに関しての蘊蓄(→ あまりなかったですが)はいいと思うんだけど、試飲コーナーでものすごく下品なシーンなんかもあって、ジョークなんでしょうけど、どうにもそれが様になってないのが致命的でした。 そして長いですね。 残り30分くらいで、もう出ようかどうしようか考えちゃったくらいです。 一応最後まで鑑賞はしましたけど。 この内容なら90分程度でもいいと思いました。**********************************今日の評価 : ★
2009.11.18
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監督 : 御法川修 監修 : 松田美由紀 出演 : 松田優作 、アンディ・ガルシア 、浅野忠信 、香川照之 、宮藤官九郎 、仲村トオル 、森田芳光 、松田龍平 、松田翔太公式サイトはこちら。<Story>今もなおカリスマ的な人気を誇り、世代を越えて多大な影響を与えている俳優・松田優作。2009年11月6日で没20年、9月21日で生誕60周年を迎える今秋、その松田優作を現代に蘇らせる「SOUL RED PROJECT」が始動。その中での最大の目玉、「俳優・松田優作」の、最初で最後の公式ドキュメンタリー映画を松田美由紀が総合プロデュース。優作と親交の深い映画監督・俳優などのインタビュー映像も収録し、松田優作の伝説のその影響力の大きさを浮き彫りにする。(作品資料より)SOUL RED 松田優作 - goo 映画<感想>松田優作には正直、自分は早すぎた世代なのです。彼が初めに活躍した70年代、彼の作品は観るには早すぎました。 「太陽にほえろ!」のジーパン殉職の場面は記憶にないからたぶんリアルでは見ていない。80年代の映画も、今みたいに積極的にいろんなもの観ていませんでしたから、当時は好きなジャンルじゃなかったから、結局ちゃんと優作さんの作品って通して観ていないんですよね。 これに気がついた。 やっぱりちゃんと観ておかないといけないかな。なので、少しでも彼の人柄を知りたくて鑑賞することに。過去の映像を交えながら、親交のあった人物たちが彼を語る。浅野忠信、香川照之、仲村トオル、ここは『剱岳 点の記』つながりなのか。 それともたまたまなのか。彼を直接知っている世代、映像でしか知らない世代、それぞれの想いは続く。でもやはり直接彼を知っている人の言葉は重い。 というか、深い。仕事で交流のあった人間の言葉からは、彼が驚くほど自分の仕事に対してストイックであったことが読み取れる。少しのことでも自分を演出していくということだろうか。もちろんどんな俳優も自分をプロデュースしているとは思うが、その徹底さというか、凄味がたぶん今の俳優には無いものなんだと。彼が生きてきた時代、生い立ち、そういうものが噛み合って、彼を作ってきたのだから、誰も真似は出来ない。そして遺作となった『ブラック・レイン』で共演したアンディ・ガルシアも登場する。彼の回想は他の人と違って、優作さんとのスピリチュアルな部分でのつながりにまで踏み込んでいたようにも感じた。すなわち、仕事だとか尊敬だとか、そういったことを超えたつながりとも表現したらいいのだろうか。単に意気投合したとかというものではなく、彼の存在そのものが自分の役者人生にとって大きなものであったということ。 そんな風に思える友人とは、一生かかっても出会えるかどうか。なので彼の死はショックだったに違いないけど、それをも超越して、優作は心の中にいる、アンディはそう語っているように思えた。改めて彼の出演作品を観てみる。 本当にどれも驚くほどの演技としか言えない。 例えばそれが、端役でワンシーンっぽかったとしても、彼は妥協しない。 表情の細部、その動きの1つ1つまでもを計算しているように見える。彼は言う。「走っているだけでカッコいいと思わせる、それが俳優」その後に流れるジーパン刑事のシーン。 ひたすら走っている。 そして確かにカッコいい。役作りに絶対に手を抜かない彼の姿が、そこにあった。最後に彼の2人の息子たちが登場する。2人の話からは、物心つかないうちにこの世を去った父親が遺してくれた言葉、思い出、それを懸命にたどりながら生きてきているようにも受け取れる部分があった。オヤジに言われたことは忘れなかったりするんですよね・・・ と。オヤジとは生きた時代が違う、自分は自分。 そう思ってはいても、どこかで父親の姿を自分の中に探しているのかもしれない。その遺伝子も、彼らの中に確実に役者としての素質だったり、才能として遺されている訳だから。没後20周年、彼を知る世代も、知らない世代も、映画が好きなら観て損はない作品。***********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.11.11
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監督 : 若松節朗 原作 : 山崎豊子 出演 : 渡辺謙 、 三浦友和 、 松雪泰子 、 鈴木京香 、 石坂浩二 公式サイトはこちら。<Story>昭和30年代。巨大企業・国民航空社員の恩地元(渡辺謙)は、労働組合委員長を務めた結果、会社から10年におよぶ僻地での海外勤務を命じられた。かつて共に闘った同期の行天四郎(三浦友和)が組合を抜けてエリートコースを歩みはじめる一方で、恩地は家族との長年にわたる離れ離れの生活で焦燥感と孤独に追いつめられ、本社への復帰を果たすも不遇な日々は続くのだった。そんな中、航空史上最大のジャンボ機墜落事故が起こり…。沈まぬ太陽 - goo 映画<感想>本当はこれ、試写会にお誘いいただいていたんですが、子どもの体調が悪くなって試写はお断りしたんですね。何せ3時間半なので、試写会も土曜日のものでしたから、ちょっと出にくいというのもあり。劇場で観ようか~? と思っておりましたら、地元のミニコミ誌の懸賞に出した、劇場鑑賞券プレゼントで当選しました。今年初めての劇場鑑賞券当選です。DSCI0477 posted by (C)rose_chocolatたまたま今回お誘いした方が旅行業界の方だったんで、いろいろと裏話のようなもの? を聞かせてもらっちゃったり。 そっちの話も面白かったです。これは山崎豊子氏の壮大な小説が原作で、しかも原作も5巻ほどに分かれているため、この内容を3時間半近くに入れてしまうのもかなり無理があったように感じた。インターミッションが10分間というのは『愛のむきだし』と同じなんですが、4時間ほどあったあの作品よりは、内容に引き込まれてはいかないようにも感じる。ジャンルが違うから仕方ないのでしょうけど。。。1つ1つのことを丁寧に描いているのがよくわかる。 御巣鷹山のシーンなど、緊迫した様子が伝わってきていて工夫しているのだけど、全体にどうにも長くなってしまって、ラストに近づくにつれて引きのばしたような感じが伝わってしまうのには残念に思う。この作品を通じて一貫していることは、国民航空のモデルとなったであろう航空会社や、最近では脱線事故を起こしたJR西日本などに共通して流れる体質の糾弾ではないだろうか。事なかれ主義というか、身内可愛さというか、元が親方日の丸の企業に少なからずある感覚は、およそ乗客の感覚とはかけ離れていることが多い。昔からの悪しき習慣は断ち切っていって欲しいという思いが、制作側のベースにあるのだろうか。会社がよくなっていってほしい、顧客にもよくなっていただきたい、その一心で折衝した人間が辛酸を舐めさせられる。 恩地は苦境の連続である。組合員を左遷させる、こういう会社は絶対に今でも存在しているであろう。いい方向に変えたかった人間が冷遇されてしまうのは、組織の嫌な一面で、その嫌がらせを長年にわたって受けた恩地にはお気の毒としか言えなくなってしまう。 だがその苦しい歳月の中でも、彼は自分がどこで輝けるのか、自分の本当の居場所はどこか、この自分に今できることは何なのか、常に考えていけたのではないだろうか。 誠意を持って顧客に対応する、それこそが仕事の基本だから。 そう考える恩地を見ていると清々しささえ感じる。そして、大変なことはあったと思うが、それでも恩地の希望にどこまでもついていった家族は素敵でした。 鈴木京香さんが、うまく幅広い年代を演じていました。この物語のベースにもなったと思われる日航が今、経営危機に直面しており、奇しくもタイムリーな公開日になってしまった。 たぶん関係者はこの映画を苦々しい思いで見ていることだろう。そしてジャンボ機墜落事故の被害者の関係の方たちも、この映画を様々な思いで鑑賞したり、感じたりしていることと思う。もう二度とこのようなことがないように、その想いが共通であることを信じたい。*********************************今日の評価 : ★★★
2009.10.30
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監督 : 吉田大八 出演 : 堺雅人 、 松雪泰子 、 満島ひかり 、 中村優子 、 新井浩文 、 児嶋一哉(アンジャッシュ) 、 安藤サクラ 、 内野聖陽 公式サイトはこちら。<Story>米特殊部隊ジェットパイロットのジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐(堺雅人)。華麗なる経歴と流暢な日本語で次々と女性をおとす彼は、実は名前も経歴もでっちあげの稀代の日本人詐欺師だ。今は弁当屋の女社長・しのぶ(松雪泰子)を夢中にさせているにも係わらず、博物館のエリート学芸員の春(満島ひかり)や銀座のホステス・未知子(中村優子)もその毒牙にかけようとしていた。しかしそんな中、しのぶの弟・達也(新井浩文)に、クヒオが詐欺師だと見抜かれてしまい……。クヒオ大佐 - goo 映画<感想>堺さんだし予告も楽しそうだし、っていうことでこれは観ておかないとなって感じで鑑賞。クヒオ大佐が、どうしようもないホラ吹きってことは見ているこちら側はわかっているので、その騙し方をじっくりと楽しむ感じ。携帯のない時代って、こういうことするのに無茶苦茶エネルギー使ったんだなーっていうのがよくわかる。しかも周りにバレバレだし(笑計算ずくで行動しているし、それがうまくいってる場面もあるんだけど、相手が予想外の行動に出た時のクヒオの顔が変わるのが面白い。それでも彼は彼なりに一生懸命その場から起死回生を図っているのもわかるんですけどね。3人の女性たちを見てて、クヒオが女性を選ぶ基準っていうのがちょっと不明な感じがしましたね。弁当屋のしのぶは、美人でお金が自由になるってことでわかるんだけど、>博物館のエリート学芸員の春>銀座のホステス・未知子ここの選定基準がわからん。少なくとも春はエリート学芸員には見えなかったけど。。。 (服装があまりにもフツーな感じだったんで)ホステスだって、普通、銀座のお店にはクヒオみたいなのはいきなり入れないでしょ!? って激しく思ってしまうんだけど。 そして未知子がクヒオの来店動機をすっかり見抜いてしまうのが笑える。 未知子とは役者が違うのに、本気で騙そうと思っているクヒオも笑える。(C)2009 『クヒオ大佐』製作委員会クヒオは、騙しているつもりがかなり初歩的なドジを踏んでて、しかもそれを学習していないっていうのが、自分的にどうもなあーと感じました。頭悪い・・・?しのぶの弟にも指摘されているのにわかってない(笑(この弟役の、新井浩文さんはうまかった)今なら携帯とかネットとかで簡単に正体バレそうですけど、当時はそういうのがないからわかりにくい。だけど女性を騙すのにいつも同じようなネタなので、いくらなんでもいい加減わかりそうなのにってこっちは思うんだけど。あと堺さんの「つけ鼻」が結構不自然に見えちゃうんですよね。やっぱり、私たちはスクリーンやTVでの堺さんを知っているせいか、どうしても「あ、鼻つけてるんだ・・・」って方に意識が行っちゃいます。あんまりハーフに見えなかったし。。。 ってそれは仕方ないですかね。 エリザベス女王のいとこの。。。って。女性も、自分の心の隙間にすーっと入ってくる存在があったら、それにぞっこんになるのかな。 それはしょうがないけど、渦中にいる間はそのいい加減さに気がつかない。 終わってみて初めて、「何であんなのと付き合ってたんだろ」って思うのが常ですから(笑大体、付き合いだしてから「お金がどーの・・・」って言ってくる男はダメダメなんだけど(笑)、好きだからついつい払ってしまうんでしょうね。お金のために自分が利用されているってわかるまでは止められないんだと思います。3人の女性たちの演技は、それぞれの役に合っててよかった。特に満島ひかり&安藤サクラが出て来た時は、思わず『愛のむきだし』かと思いましたが(笑)、なんかこの2人って目が離せない。 次はどんな演技してくるのかいつもわくわくする。松雪さんも、綺麗どころなんだけど、あくせく働いてる生活感も滲み出てる。中村さんは他の2人に比べてインパクトは薄かったけど、ホステスの裏表を演じ分けていたのは細かかったですね。クヒオがどうして人をだますようになるのか、そこの原点も描かれているのはこの作品を理解する上で大事なことでした。満たされない想いを彼自身も抱えている。 それが彼を妄想へと駆り立てて、何もない自分でも、自分を繕えば他人が寄ってくるということがわかったから。あの米軍の制服は彼にとって、シンデレラの衣装だったのではないでしょうか。 いつかは魔法は解けるけど、それまでの間に束の間の美味しさを提供してくれるから。ただ、米軍が日本を守る動機と、クヒオが女たちを騙した時に使う言い訳が同じって言うのもどうかなあ・・?望んでいることをした、って彼は言ってますけど、果たしてそうか? 全員を騙しおおせたわけじゃないですからね。あと内野さんがご出演なんですけど、彼の出演した部分が本編とすっぱり切り離してもおかしくないくらいつながってなかった。普通に面白いは面白いんだけど、疑問点もいっぱい感じてしまった1本でした。***********************************今日の評価 : ★★★
2009.10.14
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監督・脚本 : 益子昌一 原作 : 東野圭吾出演 : 寺尾聰 、 竹野内豊 、 伊東四朗 、 長谷川初範 、 木下ほうか 、 池内万作 、 岡田亮輔 、 佐藤貴広 、 黒田耕平 、 酒井美紀 、 山谷初男 公式サイトはこちら。<Story>残虐な犯罪を続ける少年犯。彼らは“少年法”に保護されている。最愛の娘が、少年達によって、凌辱され殺された。ある日、謎の密告電話により、失意のどん底に落ちていた父親・長峰重樹(寺尾聰)は、犯人を知ることになる。「我が国の法律では未成年者に極刑は望めない!」復讐が何も解決しない虚しい行為だと分かっていながら、父親は自ら犯人を追う…。そして、長峰を追う2人の刑事。織部孝史(竹野内豊)と真野信一(伊東四朗)。被害者の絶望は、永遠に消えない。そして、少年達は犯した罪と同等の刑を受けることはない。法律を守るという建前の正義を優先する警察組織に、不条理さを感じる刑事たち。それぞれが苦悩しながら、事件は衝撃の結末に向けて、加速していく…。さまよう刃 - goo 映画<感想> 少しネタばれ気味です。東野圭吾さんの原作は未読です。現実にこのような事件が起きているということを勘案して感想を述べたいのですが、やはり親の立場から考えると、長峰の気持ちは当然と言えましょう。最愛の子が蹂躙されて殺害されてしまったら、殺したいほど憎くなるのは無理もありません。少年法で分厚く守られている「凶悪犯」に対して、何の手だてもないとしたら、何も知らされないとなるならば、自分の手で決着をつけなければ一生後悔するという長峰の心情は察するに余りあります。この映画でも、長峰の他にもう1人、お子さんが被害に遭った父親が出演しますが、その彼の演技も胸に迫りました。外国などでは、未成年であっても凶悪犯は顔写真と実名報道がなされます。 その扱いに比べるとあまりにも日本では、未成年が犯人である場合に、被害者側が報われなさ過ぎる。映画の中でも、「とても刑罰とは言えない罰」と形容されているように、成人とほぼ同じような残虐な事件であっても、未成年だからという理由で、更生目的の柔らかい罰しか与えられていない。現実、「少年法に守られているので犯罪で捕まっても平気」という考えで犯罪を行う未成年も多い。そして仮に「更生」して社会復帰したとしても、再犯の可能性はないとは言えず、本来の構成の目的を果たしていなかったケースだってある。そのアンバランスに対して、手だてを打って行かなければいけないと感じます。被害者は、関係者を失う哀しみに加えて、知らされない苦しみも味わうことになる。この映画でも、長峰の意志に対して、若い織部は、日頃の警察組織の対応への疑問もあって心を動かされてしまうけど、真野はあくまでも法律重視の立場を貫く。「知れば知るほど、被害者は苦しむ」と。せめて被害者側が、その心の痛みを軽減できるようにはならないのだろうかと思いました。テーマとしては、現在の少年法のあり方に大きく疑問を投げかけるもので、恐らく大きな反響もあると思う。ですが、映画を見る限り、かなり細かいところの矛盾点が目に付いてしまいました。ネタばれなのですが、長峰が携帯の電源を入れっぱなしというところ。 今はGPSですとか発着信履歴などで、居場所は簡単にわかってしまいますので、どう考えてもこれは発見されるまでの時間が長すぎてしまう。 実際にはもっと早く長峰を発見できると思うのだけど。それと警察の対応です。いきなり立ちふさがるっていうのはないと思うんだけど。。。 あと、長峰に電話するのも。そして、長峰を追う展開は少々長く描きすぎたようにも思います。 少しダレてしまったような。川崎の街は、銀柳商店街とかチッタ前の石畳なんかは妙に親近感ありましたが、あの街中をあの捜索劇というのは、いかにも探してますよーと言う感じがしてしまいまして。。。 あんなミス、するのでしょうか。 そういう不思議な点が目立ってしまった。個人的には、酒井美紀さんがペンションの経営者の娘さんっていう設定がよかった。「白線流し」を見ていた自分としては、彼女には「信州」「父親想いの娘」という役はとても似合うように感じます。長峰にはいい人生を歩いてもらいたい、でも自分の父を大事にしたいという彼女の板挟みの心情も理解できました。そしてその父親役の山谷初男さんも、同じ父としての想いを感じていたのでしょうか。 非人道的な行為は、例え未成年であってもいかがなものかと思うのは、立場を超えて共通だと思うのです。*********************************今日の評価 : ★★☆
2009.10.10
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監督・プロデューサー・脚本・編集 : 是枝裕和 原作 : 業田良家 出演 : ぺ・ドゥナ 、 ARATA 、 板尾創路 、 オダギリジョー 、 高橋昌也 鑑賞劇場 : CINECITTA公式サイトはこちら。<Story>古びたアパートで持ち主の秀雄(板尾創路)と暮らす空気人形(ぺ・ドゥナ)は、ある朝、本来は持ってはいけない「心」を持ってしまう。彼女は秀雄が仕事に出かけるといそいそと身支度を整え、一人で街へと歩き出す。メイド服を着て、おぼつかない足取りで街に出た彼女は、いろいろな人に出会っていく。ある日、レンタルビデオ店で働く純一(ARATA)と知り合い、そこでアルバイトをすることになる。ひそかに純一に思いを寄せる彼女だったが……。空気人形 - goo 映画<感想>昨年、是枝監督作品は 『歩いても 歩いても』 『大丈夫であるように-Cocco終らない旅-』 を鑑賞している。彼の作品のどこが好きかと訊かれたら、本音を鷲掴みにしていってしまうところなんじゃないかなと。それも決して綺麗綺麗で終わらないところ。この、『空気人形』もそうでした。これの予告を見て真っ先に思い出したのは、『ラースと、その彼女』 だったんですが、自分にはリアリティがほとんど感じられなかったような記憶があります。男性がいわゆる「空気人形」らしきものを購入する目的って、ただ単に一緒にいてほしいだけじゃないなんてことはわかっているのに、敢えてそれを言わないところがもうズルいんじゃないかと。だからこの映画で、板尾創路の、気の利かなさそうな中年男の醜い肉体が、真っ白なのぞみの肌に重なっていく場面などは、そのギャップのあまりの激しさに、それでこそ本音と思った。そしてその役を演じるのに、あまりにも板尾さんはピッタリでもあった。予告で、ペ・ドゥナちゃんがふわりと浮かびあがる所なんかを見て、「ああこれは、この役は、彼女しかできないのではないか」と感じたんですが、それはまさに正解だった。まず彼女の持つ、「人形としての質感」がもうまさにそのものだったということ。あのフィギュア、肌のなめらかさ、それでないと人形にはなれない。 少しでも人間っぽく、生身っぽくなってしまうともう、「人形が心を持った」設定からははずれてしまう。そして、何も今まで感じなかった人形は心を持ち、少しずつ人間の世界に慣れていく様子が又うまい。 歩き方、言葉の交わし方。 初めに出てくる富司純子さんの役などは、そのまま空想の世界に生きている人間ということで、人間の世界に慣れ始めた人形にとっては近しい存在なのではなかったか。設定に忠実にする。 こういう意味での「リアリティ」なら、とても歓迎できる。(c)業田良家/小学館/2009『空気人形』製作委員会 写真/瀧本幹也心を持ってしまったが故に味わう様々な感情。 当然だけど嬉しい・楽しいことばかりではなくて、哀しいこと・切ないことの方が圧倒的に人生には多いから、その試練にいきなりぶち当たる「のぞみ」はずいぶん混乱しているようにも見えた。何故この人と一緒に暮らしているの? そして私はこの人が好きではない・・・。好きではない人に触れられたら拒否する心。そして好きな人に触れられたい心。どちらも正直な心だから、その狭間で悩み苦しんでいる。そして好きな人に触れても、その人が求めたものは自分の特殊な部分であって、ただ単に官能を知りたかったとわかった瞬間。誰かの代わりにしかなれない哀しみ。やっぱりみんな誰かの代わりではなくて、唯一のものでありたいと願う。 だけどそれが叶わないもどかしさ。そんな想いは、ふわふわと風に飛ばすしかないのかもしれない。狂おしいまでの切なさを味わってまで、心を持ちたいのか? と自問自答してしまうのが自然なことだろう。様々に揺れ動く心たち。 それを的確に見せてくれている。この映画には心を揺さぶられるたくさんのシーンがあった。まずペ・ドゥナちゃん登場のシーン。心が吹き込まれて彼女が出てくるのだけど、この場面の彼女の人形らしさもかなり大胆な設定。 肌を見せることが多い彼女だけど、この場面ほど有効なヌードはないかもしれない。 あともう1つ、ビデオ店で彼女が倒れてしまうところ。 空気を抜かれた瞬間の彼女の表情、そして回復する時の表情。 どちらもよく研究していると思う。 その官能に触れたい、そのためには苦痛をも味わってもらいたいと思わせるような表情、彼女の、役のためなら徹底的になりきる姿勢を見る。そして最後近くのシーン。 みるみるうちにケーキを見つめる彼女の顔がくしゃくしゃになっていく。本当はこうしてみんなに囲まれていたいのだなという、渇望にも似た想いを痛切に感じさせている。是枝監督のうまいところ。。。 と、素直にスクリーンに気持ちが入っていく。 やっぱり鑑賞してよかったと思える作品でした。**********************************今日の評価 : ★★★★☆
2009.09.30
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監督・脚本 : 大森寿美男 原作 : 三浦しをん 出演 : 小出恵介 、 林遣都 、 中村優一 、 川村陽介 、 橋本淳 、 森廉 、 内野謙太 、 ダンテ・カーヴァー 、 斉藤慶太 、 斉藤祥太 、 水沢エレナ 試写会場 : よみうりホール公式サイトはこちら。<Story>天に与えられた“走る”才能をもった2人の若者が出会った。致命的な故障でエリート・ランナーへの道を諦めたハイジ(小出恵介)と、事件を起こし競技から遠ざかった天才走者カケル(林遣都)だ。ハイジはカケルこそが秘かに温めていた計画の切り札だと確信、壮大な夢への第一歩を踏み出す。それは、寛政大学陸上競技部の8人と、学生長距離界最大の華“箱根駅伝”出場を目指すこと。ところがこの競技部とは名ばかりで、8人は陸上から縁遠い上、漫画オタク(中村優一)や25歳の留年生(川村陽介)、アフリカから来た留学生(ダンテ・カーヴァー)など、ユニークなキャラクターが揃っていた。だが、なぜかハイジは、自信に充ち溢れている。彼の編み出す緻密なトレーニング法と走ることへの信念、仲間への揺るぎない信頼が、皆を変えていく。やがて明かされる、ハイジの故障の理由とカケルが起こした事件の真相、そして8人それぞれが抱えてきた本当の想い。果たして、心を一つにした10人は、箱根の頂点に立つことができるのか?[ 2009年10月31日公開 ]風が強く吹いている - goo 映画<感想>三浦しをんさんの本は好きでよく読みますが、これは未読。直木賞受賞後すぐ発表の作品です。彼女の描写の、鋭くて、既視感にあふれているところなんて好きです。 ああ、そこなのよ私が読みたかったのは。。。 っていうのをちゃんと書いてくるところです。ハイジとクララ、ペーターなんかの例えは、しをんさんらしいなあと思わず笑ってしまうようなゴロでした。彼女の作品の中には本を閉じたくなるような残酷な短編もあったりしますが、総じて彼女の小説は面白い。 これも読んでみたいと思います。あと、今年の初めには、これが舞台にもなっていたそうです。 これは知らなかったな。舞台版のハイジが黄川田将也くんで、こっちも気になる。 DVDで鑑賞してみたい。箱根駅伝を題材にしているということで、調べたら原作本もどうやらそうらしいんですが、話としては現実にはおよそあり得ないことだし予定調和ではある。 ただそこに行きつくまでに、本人たちがどのように自分を鍛錬して成長していったか、そこを見る話なのでしょう。ハイジの小出くんがこんなにしっかりしてるんだなあ・・・と改めて思う。 彼も若手と言われるけどもうその下の、林くんみたいな若手が育って来てて、その兄貴分なのかと思うと感慨深い。 生きているとそれだけ楽しいこともあるけど苦しみも徐々に増えていって、そういうほろ苦さを経ないとわからないこともあって。 そんないい意味でのアニキ的存在だったし、撮影でもうまくまとめていく感じだったのかもしれないなと思いながら観ていた。カケル役の林くん。 『バッテリー』で見た時は、そのピッチャーにしてはあまりにも細すぎる線に逆にびっくりしてしまったんですが、相変わらず今も細かった(笑) だけど、長距離ランナーという役には、この細さがプラスしたようにも思う。 体脂肪率1ケタじゃないと長距離走れませんもんね。 そういう意味で林くんはリアリティある細さだったし、また実際に彼は足が速い! 筋トレとかもしたんだろうなーと思うくらい、二の腕とか筋肉ついてましたし。天才ランナーという役どころであるからには、当然天才的能力に相対するバランスとして未熟な部分がついて回ると思ったんですが、そこは上手に出していたと思う。 過去のトラウマや、周囲との調和が取れなかったこと、そういう日常的なことの諸々が、メンタル面で競技の足を引っ張りかねない感じもよくわかる。管理だか指導だかわからない部活動。 もっと伸び伸びと自由にやりたいのに。 カケルが駅伝を走れたのはきっとハイジと出会ったから。 ハイジの掌の中で、カケルだけじゃなくて竹青荘のみんなが転がされてたんだろうと思うんだけど、その中で走る意味を見出していけたことはとても価値あることだったんじゃないでしょうか。(C)2009「風が強く吹いている」製作委員会 その他のメンバーも個性豊かで面白かった。 司法試験に合格済みなのに箱根を走るって何? って、笑ってしまう設定もあったりするんですが、全員が全員、強い陸上部の高校から推薦で大学入って。。。だけじゃつまらないのもまた事実。 むしろ、舞台版の説明では、雪彦はシリアスなことを抱えていたらしいだけに、そういうみんなが抱える人生をもっと説明してもよかったくらいかも。1人1人をよく見ていて、適材適所に割り振ったのがハイジのすごい部分で、その視点がなかったらきっとみんなここまでついては来れなかったと思う。駅伝メンバー以外ではやっぱり六道大学の藤岡役・渡辺大くんがよかった。 高い目標を据えて、それでいて相手をリスペクトするけど自分にも絶対の自信がある。 これが嫌味なくできてたからカッコいいんです。それと。。。 津川さんはかなりこの中では浮いて見えてしまった。 竹青荘の大家&監督ってことで、原作でも割とおとぼけキャラらしいんですが、あのマイクは選手にとってはかなり場違いかなとも思う。 あれだけのこと、走ってるときには聞けなさそうにも思うんだけど。上映後、舞台挨拶があった。登壇者は大森監督、ムサ役のダンテ・カーヴァーのお2人。もしかして林くん来てくれるかもという願いは脆くも崩れる(笑Q.この映画のどこが見どころですか?大森監督:走っている場面だけではなくて、彼らが一緒に過ごす時間の流れのようなものも観てほしい。ダンテ・カーヴァー:暗い所を走りながら、1人1人にスポットが当たる場面があるが、あれはそれぞれが悩みを抱えながらも走る目的については同じものを目指しているように思う。 Q.撮影時に大変だったことは?監督:箱根駅伝のコースは借りることができなかったため、他の場所で箱根駅伝を忠実に再現しなくてはいけなかったこと。ダンテは実はかなり走れるんですが、ストーリーの初めでは陸上とは関係ない留学生の設定なので、走れない感じにしてもらうことがあり、その方が彼はかえって大変だったと思う。ダンテ:特に大変なことはなくて、撮影の合間にはみんなでふざけたり、食べ物を取り合いっこしたりなど、楽しいことばかりだった。キャラクターだが、初めは走れない学生を演じないといけないので、それまでいつもやっていたウェイトトレーニングを中止したり、食事も1日に何回にも分けて食べていたのをやめて、身体を少し小さくするようにした。 走ること自体は得意なので、全く苦ではなかった。この試写会場にたくさんの人が見に来てくれて本当に今日は嬉しい。とにかくたくさんの人に観てもらいたい、家族や友人とも楽しめる映画です、と、お2人ともおっしゃってました。ダンテさんは「予想GUY」の方なんですね。 最近あまりTVを見ていないのでわからなかったんですが、きちんとしていて、作品を的確に説明して下さり、好印象でした。 ダンテさんのこのインタビューに、この映画の全てが凝縮されているような気がしてならなかった。 すなわち、「抱えているものはそれなりにみんなあるけれど、それでも1つのゴールを目指して走って行くことが素晴らしい」ということ。 その場面を心理的に表わしているのも印象に残る。箱根駅伝のコースを撮影には使えなかったにも関わらず、忠実に再現しているのはうれしいところ。 どのくらいのエキストラがいるんだろうっていうくらい大勢の人々がいて、その再現にうまく実際の駅伝の映像も挿入したりしていて、苦心のあとが窺える。 そんな雰囲気を十分に味わった、素敵な映画でした。**********************************今日の評価 : ★★★☆(5点満点中3.5点)
2009.09.24
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監督 : 田中光敏 原作 : 山本兼一 出演 : 西田敏行 、 椎名桔平 、 大竹しのぶ 、 福田沙紀 試写会場 : よみうりホール公式サイトはこちら。<Story>天正四年(1576年)、熱田の宮番匠・岡部又右衛門(西田敏行)は、織田信長(椎名桔平)から、安土に五重の城の建設を命ぜられた。又右衛門は即座に引き受けたが、城造りを指揮する総棟梁は、名だたる番匠たちとの指図(図面)争いで決めると言う。さらに広く世界に目を向けていた信長は、当時日本にはなかったキリシタンの大聖堂のように、天井まで吹き抜けの城を望んだ。一世一代の大仕事を前に一致団結し盛り上がる岡部一門の番匠たち。夢のような城造りを前に、苦悩し、寝食を惜しんで指図作りに没頭する又右衛門を支える妻・田鶴(大竹しのぶ)。指図争いの席、競争相手の番匠たちとは考えを異にして、又右衛門は吹き抜けにしなかった。意向に逆らった又右衛門に、激昂する信長。凍りつく指図争いの場で、又右衛門の番匠としての譲れぬ信念と誇りが信長を揺り動かした。「岡部又右衛門が、総棟梁じゃ!」やがて、大和六十六州の職人たちが安土に集結し、前代未聞の巨大な城造りが動きだした。[ 2009年9月12日公開 ]火天の城 - goo 映画<感想>そう言えば今年は、『築城せよ!』も試写で観たよなあ・・・ と思いながらこれも鑑賞。城モノにご縁がある!?もともと時代物の映画は好きですので、これも興味持って観に行きました。この日はウルヴァリンのプレミアなんかもあったせいか、人は少なめのような感じ。安土城、一応経緯をおさらいしておくといいかもしれません。私もよく知らなかったんですが。。。 こういうのは子どもたちの方が詳しい(笑彼ら、このシリーズ、購入しようとしていたくらいですので(→ 結局初回だけでやめてましたが)まず画質の美しさに惹かれる。鉋ですーっと引いた時の、木の削りかすでさえも静かに映している。人物がアップになった時の、色の感じも落ち着いてて、この映画の静謐さを感じさせる。その静謐さの裏で炸裂する、信長の思いつき。山一つを城にせよ。 城は石造り、天守は五層七階、南蛮風にして、吹き抜けにしろと。 それには無論、信長の天下統一に対しての「こだわり」がある訳です。 だがそれを叶えるために、一体どのくらいの人手と労力、費用がかかるかは信長の構想にはない。「わしに逆らうか」と言われたらもうやるしかないのもキツいです。周囲にどんなにバカにされても、親方様に背いても、それでも自説を曲げなかった岡部又右衛門。指図(さしず)争い(→ 今で言うならコンペです)で並みいる名門を押しのけた理由は、彼の信長への想いが城にあふれていたからではないだろうか。 信長の近くに仕えるものでないとわかり得ない想いである。ただ単に親方様のご意向に沿うだけではなく、では何が一体親方様のためになるものなのか。それを実現させるために、又右衛門はひたすら仕事に打ち込んでいく。 時には信長に意見して、また時には部下たちを束ねるために気を遣ったり、身を粉にしたり。 こんな姿は、今のビジネスマンにも通じるものがあるのではないだろうか。(C)2009「火天の城」製作委員会岡部又右衛門に関しては諸説あり、信長とともに、本能寺の変で父子討ち死にしたというものがあった。これによると「父子」なんですが、映画では娘1人の設定になっていた。(このあたりは史実から変更したのかはわかりませんが)この、岡部家の女性たち。 彼女たちがいい。「女は、家の日輪につき、笑みを絶やしてはいけないと父から教わりました」いついかなるときにも微笑む妻の田鶴、そしてそんな母の苦労を見ながら育つ娘の凛(福田沙紀)。家の中でいつも笑っている女性。 それがどんなに大変なことか、わからない男性は多い。笑えない時にもそれを押し殺して。 裏側ではどんなに泣きたくても抑えて、女は笑う。そこを汲み取れるかそうでないか。 仕事仕事。。。 今でも男はそう言いますが(笑)、それでも女にとってはやはり家庭を気にしてほしいし、労ってもらいたいわけです。又右衛門の仕事は家の一大事、それを身にしみてよくわかっている田鶴だからこそ、その本音を曲げても夫に尽くしたい訳です。女にとって家は戦場だとすれば、男にとって職場が戦場。。。 という考え方は、古いと言われるかもしれないけど、本質的な部分ではそれは変わらないでしょう。そこでがんばってもらえるためには、何をなすべきか。昔の女の人でないとできないことです。「女は、笑みを絶やさんのよ。」そう凛に言い含める田鶴。まだ若い凛だから、そういった境地の本当の意味に至るまでには時間がかかる。 堪えるような想いの中、花嫁衣装に託す夢を見る母の背中を見て、きっと凛も物の道理がわかる女性になっていくのだろう。大竹しのぶさんの、押したり引いたりする演技、とりわけ今回は彼女の「引き算」の部分がよかったように思う。その他の見どころを。信長役の椎名さん。 信長を演じた役者さんは数多いですが、今回は割とおとなし目の信長?のように思いました。 (とは言ってもそこは信長なので、わがままっぽくはしてますが)直情型の信長ではなく、どちらかと言うと理性に傾き加減の信長でしょうか。木曾義昌役の笹野さん。あれ? 彼が出て来た時にすごく笑ってしまった(ごめん)のは、今、大河ドラマ「天地人」で秀吉をやってます。 そのイメージがどーんと浮かんでしまいました。年齢的にも演技の確かさからも、彼にこういう役が来るのが仕方ないところではあるんですけどね。あと、何気にお笑い芸人さんの使い方があり、某大物の役で「彼」が出て来た時は爆笑でした。杣人(木曾義昌の大工?)役の緒方直人さん、スクリーンでは久々に観たかも。あと、これは石工の夏八木勲さんにも共通するんですけど、彼らは「自然に対しての畏敬の念」をちゃんと持っている役でした。 又右衛門もそうですが。「木」に対して、そして「石」に対して、それぞれの声を聞くということを彼らはとても大事にしていました。それに逆らうことは自然の摂理に逆らうことだと。そうして彼らは今まで自然と共存してきたんだと思います。 そこには、敵味方という概念は存在しない。 自然界で生きることの前に、人間は同じだからだ。「邪石」の場面で起こったこと。 あれはまさに信長のこだわりで行動したことがつながっているわけなんですが、人間の力で自然をどうにでもできるという思い上がりのようなものも感じられます。その一連のシーンや、水野美紀の役などは異論があるかもしれないけど、歴史的に伊賀甲賀と関係がある信長ですので、多少芝居がかってはいますし史実かどうかはわからないですが、ああいう場面があったとしてもおかしくはないと感じました。全体的に盛りだくさんな印象はあるが、それでも核となる部分はちゃんと描いており、幅広い層で楽しめる作品と言えるのではないだろうか。***********************************今日の評価 : ★★★ (5点中3点)
2009.09.03
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監督: 篠原哲雄出演: 香里奈 、 谷原章介 、 長澤まさみ 、 成宮寛貴 、 金子さやか 、久遠さやか 、大森南朋<Story>沖縄のとある離島に、さとうきびをただひたすら刈り取るアルバイト“きび刈り隊"に応募して来た都会暮らしの5人の若者・ひなみ(香里奈)、修一(谷原章介)、加奈子(長澤まさみ)、大輔(成宮寛貴)、悦子(金子さやか)が降り立った。「言いたくない事は言わなくてもいい」。これが、彼らが1ヶ月余り寝泊まりする平良家の唯ひとつのルール。果たして、それぞれに“言いたくない事情"を抱えていた5人は、早速、バイトの常連・田所(大森南朋)の指導の下、広大な畑の約7万本のさとうきびを刈り始める。<感想>これは劇場公開の時に気にはなっていたのですが、当時はあんまり知らない俳優さんばっかりが出てるし・・・ と思い、結局スルーしちゃいました。ですが!!こうして改めて見てみると、キャストの何と贅沢なこと!大森さん、長澤さん、成宮くん、香里奈ちゃん、谷原さん、もうみんな立派に主役張ってます。5年前のこのメンバーが集結しているんで、ある意味貴重な1本かも。実は沖縄には行ったことがないのでよくわからないんですが、ここに出てくる「きび刈り」について、実態に近い部分を描いていたように思います。2月に収穫、そして3月21日までしか製糖工場は持ち込みを認めないというのも、厳しいです。それまでに、膨大なさとうきび畑を埋め尽くす、さとうきびを刈り取らないといけない。刈ると言っても、稲の収穫どころじゃなくて、何せ背丈がもう2m以上ありそうなんで、それだけで圧倒されそう。しかも1本1本が頑丈・・・。これはかなりの労働だと思います。その「きび刈り」の時期だけ、人手が要るのでアルバイトを募るらしく、これに応募してきた若者たちがこの映画の主役。みなさん、訳ありっぽい「都会暮らしの5人の若者」の設定なんですが、この背負っている背景についての説明が、かなりバラつきがあったように思いました。谷原さん、成宮くん ・・・ 再現も含めて、シーンとしてもかなり細かく説明久遠さやかさん(美鈴役)、大森さん ・・・ 言葉だけである程度わかるように説明香里奈ちゃん、長澤さん ・・・ 映像と言葉で断片的に出すだけ金子さやかさん ・・・ 全く説明なしって感じだったように記憶しています。再現フィルムまでちゃんとあった2人と、全然説明なしの金子さやかちゃん。。。 うーん、区別してはいないんだろうけど、何もないっていうのはとにかくその人となりがわからないです。金子さやかちゃんの役なんて、いかにも訳ありという感じなんですが、何も語ることはなしなの? って思うなあ。。。長澤まさみちゃんのジャージ姿は、いかにも高校生なんですが、説明が少なすぎるんで、本当に都会から来たの? っていうところがわからない。 背負っているものが重たいらしいことはわかるんだけど、2月から高校生が35日間も沖縄にいることは、特殊なケースかと思うんですが。別にくどくどと語らなくてもいいですし、シーンとしてなくてはならないという訳でもない。 ですけど、バックグラウンドを掘り下げた方が話に深みは出ます。そう言えば結局久遠さやかさんの結論はどうなんでしょうね。 最後のきび刈りのセリフで推測するしかない!?大森さんも、もう一言二言、何かあってもよかったかな。。。?このあたりの曖昧さ加減は、先日『真夏のオリオン』でもメガホンを取っていた、篠原哲雄監督の持ち味なのでしょうか?とまあ、観終わった後にいろいろと思うことはありですが(笑)、そこさえそんなに気にならなければ、この作品は非日常の出来事を通じて成長していく若者たちの姿をさらりと描いていて、好感が持てる。さとうきび農家の、おじいとおばあの『なんくるないさ』。こういうスタンスって、なかなか日常では持てないだけに、ゆったりとした気分にさせてくれています。5年後の今において主役級の俳優たちの駆け出しのころの姿を見たいという方にはうってつけの1本です。やっぱり自分は谷原さんですかね・・・。 あの素敵なヴォイスも健在のままでしたよ^^***********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.08.30
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監督 : 松本人志脚本 : 松本人志 、 高須光聖 出演 : 松本人志 試写会場 : 丸の内ピカデリー公式サイトはこちら。<Story>2007年に公開された『大日本人』で映画監督として衝撃のデビューを果たした松本人志が、再びメガホンを取った。本作でも『大日本人』同様、松本人志が自ら企画・監督・主演し、高須光聖と共同で脚本を手がけている。これまでその独特で唯一無二の世界観で“笑い”を追及してきた松本人志が果たして本作ではどういった作品を創り上げたのか?松本監督自身が「松本が創る作品を大画面で見てやろうかという人には楽しんでもらえると思います。」と語る以上、前作よりスケールアップしていることは間違いない。(作品資料より)[ 2009年9月12日公開 ]しんぼる - goo 映画<感想>松本人志監督舞台挨拶つき試写会。司会は伊藤さとりさんです。かなりマスコミも来てましたね。伊藤さんの紹介で松ちゃん登場。 衣装は、チラシの写真のこのパジャマです。 そしてヅラもつけての登場なため、場内爆笑。DSCI0380 posted by (C)rose_chocolat以下、松ちゃん語録。「(このパジャマでやってきた理由は)笑いのカリスマ性を高めようとしてます。目に焼き付けてやって下さい。 このパジャマ、8,400円で売ってるらしいですね~。 売れてないみたいですけど」「一般の人の感想を聞きたいですねえ。 映画は編集終わったら僕のものではないので、あとはどうぞご自由にご勝手にって感じなんですが。とは言っても僕このあと取材入ってるんで、みなさんの顔は見れないんですが」「内容は『おくりびと』と一緒、キャストは『ROOKIES』と同じですから、たぶんめちゃくちゃ入ると思います」 (場内爆笑)「これはニュートラルな感覚でみてもらいたいですね。 最初から悪意を持って見るとどうかなあ。 ほぼ、僕しか出てないので、松本があんまり好きじゃない人はどうかと思います。それからこれは吉本興業の悪いところなんですけど、普通映画撮るって言ったらそれなりの期間が与えられるじゃないですか? それなのに、これ撮りながらも別のことやらされたんですよ。 『すべらない話』とか(笑) もう少し休み休みさせてくれとは思いました」「箱に閉じ込められた男っていう設定なんで、撮影もしんどくて、早くそこから抜け出したくてしょうがなかった(笑)これはぜひ小栗旬くんにやってもらいたかったです」 (場内爆笑)「(釜山、トロントの映画祭に出品されることについて)あ、ちょっと今考え事してたんで・・・。(笑)というかもうすぐ、コレ(お腹を膨らませる感じで)が出てくるんで、ちょっとそっちまで行けるかどうかわかんないんで。。。」これ、今朝もうニュースで出てましたが、結婚して松ちゃんが何か言うかなあっていうのも結構今日の楽しみでもあったんですよね。すごいテレくさいからそういう風に言ったんですね。 彼流のおのろけです^^その後フォトセッション。「こっちに目線下さい!」という、でっかい声のカメラマンにちょっと彼独特の戸惑い(笑)をしながら、慣れない感じで撮影(笑そして、TVカメラに向かって手を振ってくれという注文には、「手を振るんですかぁ??」と言ったり、あと背景の「しんぼる」を指さしてくれと言う注文には苦笑いしたり。なかなかおもしろかったです。最後にみなさんにメッセージを、と伊藤さんに訊かれて、「とにかく、独身最後の作品になりますので、よろしくお願いします!」と、元気に締めくくりました。しんぼる posted by (C)rose_chocolat上映終了後ですが、松ちゃんの着ぐるみがロビーにいました。押し合いへしあい、何とか撮ってきました。こういう時に背がないのは辛い。。。w映画ですが、全体が「修行」「実践」「未来」の3つに分かれてて、いきなり箱に閉じ込められてしまった男の様子がそれぞれ変化していきます。まあ、彼の世界なんですよね。 一言で言うと。ギャグも彼らしいと言えば彼らしいし、私は結構笑えました。ただマグロの握り、あれは多過ぎ(笑) 抗議来そうな感じ!?最初の導入部分が、一体何でどうしてここから始まる?? ってまず思いました。ですがそれも、壮大な前フリの一部だったとは。。。。個人的にはコンサートの曲が割と聞きとりやすくて好きです。全体の中のほんの数分、しかもラストの「未来」。実はここがわからなかった。ぐるぐる・・・ って感じで、ここでほんの1分くらいですが、疲れもあって寝てしまった。最後はああ来るのか・・・ と思うと、じゃそこから先はこうなる? と、観客が想像しないといけなかったみたい。「修行」が面白かったんだけど、そのノリだったらテレビのギャグにも似ているので、「実践」でだんだん見えてきた? ようでした。 ですが一気に最後で突き放されてしまったような感じ。まあ結構笑ったことは笑いましたが。。。意味は観客が考えるんでしょうかね。「笑いのカリスマ」らしいと言えばらしい、そんな作品でした。 でも私には難解? だったかな。。。。**********************************今日の評価 : ★☆
2009.08.27
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監督 : 細田守 脚本 : 奥寺佐渡子 主題歌 : 山下達郎 声の出演 : 神木隆之介 、 桜庭ななみ 、 谷村美月 、 富司純子 、 斎藤歩 公式サイトはこちら。<Story>小磯健二は少し内気で人付き合いが苦手な17歳。数学オリンピック日本代表の座をあと一歩で逃したことをいつまでも悔やんでいる理系オタクだ。健二はある日、憧れの夏希先輩からバイトを持ちかけられ、一緒に彼女の故郷まで旅行することになる。バイト内容は、「ご親戚」の前で彼女のフィアンセのフリをすること。しかし、仮想空間“OZ”のパスワードを解いてしまったことから、世界を揺るがすトラブルに巻き込まれてしまい…。サマーウォーズ - goo 映画<感想>ほぼノーマークの映画で、試写会も全く応募すらしてなかった作品なんですが、評判もよいのと、あと、ロカルノ国際映画祭(→ 英語&イタリア語、激重サイトにつき注意)に日本映画として出品されているということで、鑑賞することにしました。ロカルノ国際映画祭についての簡単な説明はこちら。先日終わったばかりのロカルノ国際映画祭ですが、実は職場関係者がこれに取材で行ってましたんで。。。どうも、たくさん映画を観てきたらしい(笑うらやましいぞっ!! あたしも行きたいなー。閑話休題。映画です。冒頭、別のショートフィルム? とでも見まがうくらいの電脳世界の出現でちょっとビックリするのですが、国民全てにアカウントとアバターがあるという設定は、なかなか考えたと思います。年金番号もそうですが、つけようと思えば国民総背番号もできる訳ですから、アカウントとアバターっていうのもそれにもしかしたら応用できちゃうのかもしれないし。アバターカッコいいじゃん、ってみんなが作り始める。 だけどそれを操ろうとする人が出現したらちょっと空恐ろしい。ネット人口がどんどん低年齢化しているので、あながちこういうことはなくもないかなと想像します。確かに便利は便利ですし、そのシステムが働いている間は困ることはない。 だが穴もどこかに必ずあるわけで。 愉快犯ならシステムを操作して制御不能にして、責任もなく地球を滅ぼすことだって恐らくやりかねない。(C)2009 SUMMER WARS FILM PARTNERSこの仮想世界と、現実の人間の絆とを見事に結びつけたところに、この映画のよさがある。昔の由緒ある旧家、そこに集う人々。 お盆休みだからと単に集まったように思える設定かと思いきや、歴史を作ってきた人たちとの意外な縁故がそこに存在する。現代人はコミュニケーションをうまく取れないということが話題になって久しい。 現実世界の人間関係の煩わしさをなるべく少なくしたいからという本能も、それにある程度は関係しているのだろう。だがしかし人は人なしでは生きられない。人と人との温かい会話、思いやり、1つのことに共感していくこと、それがあって初めて情緒が養われる。 人間らしくなっていく。そこのつながりが非常に希薄になり、ネットの世界に逃げ込むことも可能な今、いかにして人と人とのつながりを強固にしていくかも、1人の親としては責任持って子に与えていかないといけないと感じている。このblogを始める1年くらい前だっただろうか。 私の父の田舎で祖父の50回忌があり、総勢50名以上が集まったことがあった。 我が家も典型的な核家族なので、子どもたちは初めて会う親戚に驚いていた記憶がある。 「あの人は誰?」と、私でもわからない質問をしてきたのをよく覚えている。それでもその日は終わるころには全員すっかり馴染み、楽しそうに遊んでいた姿は忘れられない。そんな結びつきは、人が成長していくには欠かせないもの。しかしこの映画では、ただ単に結びつくだけではなくて、1つのことに一致団結していく姿があり、結果としてそれまでの自分が成し得なかったことに気がついて、凌駕していっている。それはもしかしたら、栄おばあちゃんが望んだことなのかもしれない。「あんたならできる」、彼女はそうみんなを励ましている。自分でできるから、放っておいて。 残念ながらうちの子たちもそんなこと言ってます。 だけど、1人ではできないことも必ずある。 誰かの姿を見て、誰かに言葉をもらって、誰かが背中を押して。 それで初めて乗り越えて行けるものがある。子孫の繁栄、何を一番ご先祖様が喜んでくれるのだろうかと考えた時、それまでの自分を乗り越えた時なのではないかといつも考えている。 栄おばあちゃんは自分の後姿を子孫に見てもらって、そして子孫たちは彼女の底力を感じて、自分たちのものにして成長していく。 何と潔い家系なんだろう。決して仮想世界を悪者にするのではなく、それはそれとして現実や近未来にある姿で描き、かつ脈々と流れる血脈のようなものも大事だよと言っている。 この感覚、温故知新に近いのかな?現実と伝統のバランスを取りながら成長していけると、魅力的な人間になれるのかもしれませんね。***********************************今日の評価 : ★★★★★
2009.08.19
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