2025年7月、日本の生成AI開発において注目すべきニュースが飛び込みました。楽天グループ株式会社が、経済産業省および国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)プロジェクト」の第3期公募に採択されたのです。この採択により、楽天は8月より「長期記憶メカニズムと対話型学習を融合した最先端の生成AI基盤モデルの研究開発」に着手することになりました。
楽天のAI開発戦略:効率性を重視したアプローチ 楽天のAI開発戦略において特に注目すべきは、コスト効率を重視した独自のアプローチです。同社は2024年3月より、日本語に最適化したオープンかつ高性能な大規模言語モデル(LLM)の開発・公開に取り組んできました。その代表例が「Rakuten AI 2.0」です。このモデルは、Mixture of Experts(MoE)アーキテクチャを採用した革新的な設計となっています。MoEアーキテクチャの最大の特徴は、「エキスパート」と呼ばれる複数のサブモデルで構成され、クエリ処理時には関連する一部の「エキスパート」のみを稼働させる点にあります。これにより、従来の高密度モデルと比較して運用コストを大幅に削減することが可能になっています。このアプローチは、AIの民主化という観点から非常に重要です。高性能なAIモデルの運用コストが下がることで、より多くの企業や組織がAI技術を活用できるようになり、結果的に社会全体のAI活用促進につながる可能性があります。