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2013年08月05日
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カテゴリ: 奥村 武
奧村

セントニコラスアビー。

この名前は競馬ファンなら一度は耳にしたことのある名前でしょう。

今年の春、ドバイシーマクラシックで栄冠を手にしたと思ったジェンティルドンナを、前でスルスルと脚を伸ばし押し切ってしまったあのお馬さんです。

他にもブリーダーズカップターフを勝ち、コロネーションカップを3連覇など輝かしい成績を残しています。

今年も先日行われたキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを目指して調教に励んでおりました。

しかしその調教中に重篤な故障を発生したと我々もトレセンで耳にしました。

その時はかなり早い段階で「重篤な故障」とだけ聞きましたが、こんなにひどい状況だったとは知るよしもありませんでした。

皆さんも是非「Coolmore」でネット検索してみて下さい。



その中に8月2日付のSt Nicholas Abbey “ The Road to Recoveryをご覧下さい。

Slideというところをクリックすればセントニコラスアビーの骨折の状況がはっきりとします。

正直言って目を背けたくなるような写真ばかりです。

トップページのCoolmore TVでは手術を終えリハビリ中の彼の様子も映像で見ることができます。

専門的なことがわからなくても、英語が全くわからなくても今彼が置かれている状況を十分に理解することができるはずです。

彼の右前肢に何が起こったのか。

人間で言えば右手の中指。

3つある中指の骨の内、手のひらに最も近い骨。

その骨は人間は体重を支えることに使いませんが、彼らはその指一本で右前脚にかかる体重の全てを支えています。

その骨が無数に砕けてしまっています。

さらに最も地面に近い位置にある蹄骨の後ろにある第3指節種子骨もつぶれてしまっています。



正直言って助けられる状況に見えませんよ。

恐らく事故が起きた直後には彼は脚を付くことができなかったんじゃないかな。

体重を支える骨がその支持力を失ってしまっているんですから。

でもきっとそんな状況下でセントニコラスアビーは賢く振る舞ったのでしょうね。

もし自分が置かれている状況が理解できずパニックでも起こしてしまっていたら。



脚を浮かせて冷静に振る舞っていたことが想像出来ますね。

そしてCoolmore TVで見る限り、術後の経過も順調なようです。

しかしこれから始まる入院生活は辛く厳しいものになるでしょう。

そして骨折をした患部だけの問題ではなく疝痛(腹痛)や蹄葉炎のリスクも極めて高い状況です。

ほとんど動き回ることができないのですから。

競走馬の命を一つ助ける事がどれだけ大変なことなのか。

そしてその苦しみをお馬さんに与えてその見返りはどれだけのものなのか。

そしてサラブレッドたちは幸せなのか。

経済動物としてではなく一つの命を助けるために懸命に彼に寄り添い治療を続けるスタッフたち。

本当に複雑な競走馬の世界が凝縮された縮図のように見え隠れするニュースです。

ここまではっきりとレントゲン写真やリハビリ中の様子を映像で見ることができるのは皆さんにとって相当貴重なものだと思います。

ぜひご覧いただいて、競走馬たちやそこに係わる人間達の姿を見て貰えたらと思います。。。





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最終更新日  2013年08月05日 23時36分31秒
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