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水曜日の担当は、坂田博昭です。
前回から、北海道・苫小牧市を訪れています。
ところで、苫小牧の「まい」って、 枚
じゃなくて 牧
だってご存じでしたか?
今日はいよいよ、ホッカイドウ競馬の場外発売所 Aiba苫小牧
へと向かいましょう!
苫小牧駅
室蘭本線が室蘭方面と岩見沢方面、千歳線へと至る千歳札幌方面、そして日高本線の静内・浦河・様似方面(現在はすぐ近くの鵡川まででその先はバス代行)と、各方面へ向かう鉄路の分岐点として重要な地位を占めてきました。
先週もご紹介した製紙工場との間を結ぶ貨物線はいまも健在。
しかし、鉄道交通量の減少と苫小牧(とりわけ中心部)自体のまちの衰退で、鉄道駅の存在感も低下。
橋上にある駅舎も、このぐらいのこぢんまりとした規模です。
とは言え、例えば特定の時間帯には学生客の姿が多く、また札幌方面への特急が停車するなど、欠かせない交通の拠点であることは間違いありません。
この苫小牧駅の駅舎から、線路の両側へと立体通路が延びています。
先週見た海とは反対側の通路に沿って出て行くと、目指すAiba苫小牧がある場所へと簡単に行くことが出来るのです。
この看板のキャラクター、わかりますよね?
そう、 ドンキホーテ
!
Aiba苫小牧はごらんのMEGAドンキホーテ苫小牧店を中心とした商業ビルの中にあります。
入ると、他のテナントも含めて普通に店舗が営業しているのですが、階上に上がると…
一見少し寂れた雰囲気に見える、ビルの3階
このように洗練されたデザインのエントランス。
2014年3月に、この場所に移転してきました。
先に、今日案内をして下さる方をご紹介しましょう。
所長の 渡辺清吉
さん
長く苫小牧市役所にお勤めになり、3年前の2013年春から現職
苫小牧のまちの事情にも大変お詳しい方です。
「私が着任した当時は、丁度JRAの馬券を売り始めた時で、問い合わせもすごかったですね。本当にJRAの馬券を売っているのかとか、平日も払い戻しは出来るのかとか、G1の前日発売はどうなのかとか…お客様の数も、JRAのG1の日はトータルで1500名ぐらいでしょうか。有馬記念の日は2000名を越えます。」
今の場所に移ってきたのはそれから1年後のこと。
入口から場内を望む
奧は左側へとスペースが広がり、全体で「L」字型になっている
「苫小牧は、工場などで土曜日も仕事の方が多いのですが、それでも週末は賑わいますね。有馬記念の日は、行列が外まで延びて溢れる感じです。」
ただ、お客様の動向に関して言えば実情は複雑なようです。
「もともと苫小牧はウインズ室蘭の商圏で、苫小牧近辺の皆さんは室蘭まで行って馬券を買っていました。しかし、ウインズ室蘭が閉鎖になってAibaでJRAの馬券を売り始めると、お客様方は苫小牧には戻ってこずにAiba登別室蘭に向かっていったみたいです。ほかにも千歳とか、門別本場もそう遠くない場所にありますから、このAiba苫小牧にお越しになるお客様の範囲は、それほど広くないのが実情です。」

明るい雰囲気と椅子・机が多いのが印象的
「苫小牧は工場などがあるので土曜日に仕事がある人も多いんです。それでも土曜日でザッと150名ぐらい、日曜日には200名を超える滞留人員で、やはり週末は賑わっていますよ。」
「平日の地方競馬は、夜のレースの時間帯で6~70名の滞留でしょうか…門別の開催日には必ず、というお客様方も少なからずおられるのですが、売上が上がる南関東の馬券を門別の開催日には2個とか3個しか売らないのが、勿体ないですね…」
メガドンキホーテの駐車場が利用者なら3時間無料になるということで、それを逆算して最後までいられる18時頃から夜のお客様方が増えてくるそうです。
やはり、そうしたアクセスの事情というのは、集客には大きく影響するみたいですね。
このAiba苫小牧が、年に一度大いに賑わう日があります。
それがこちら!
Aiba苫小牧まつり
資料化されたチラシだけしか記録がなくてすみません(汗)
「家主」であるドンキホーテが主体となって、テナントの活性化対策の一環として行っているというこのイベント。企画や商品の提供をドンキホーテが中心になって取り仕切り、行ってくれているそうです。人手もドンキホーテが出してくれているとのこと。
「新聞に折り込み広告を入れたり、チラシを配ったりしてやってくれています。他のテナントでは特売などの形で活性化をしているところですが、Aibaでは特売は出来ないので、このような形で飲食とガラポン抽選が中心の企画で行われています。」
気になるのは、こうした企画の効果のほど、なんですが…
「実は…入場は1割も増えないんですよね。売上も同じぐらいです。」
秋に他のAibaも含めて一斉に行っている「全道Aiba祭」も、様々な品物を来場客に配布したりしているのですが、入場への効果は今ひとつとのこと。
飲食やガラポン抽選も含めて、このようにお客様方へのプレゼントの形の来場促進を私は「給付型イベント」と呼んでいますが…効果は検証されなければならないのかも知れません。
例えば静内や浦河のように「馬産地」という特別な土地柄ですと、このようなイベントが功を奏しているケースもあるのですが、やはり苫小牧はそれらの場所とは「競馬のありよう」というものが異なるのだと言わざるを得ません。
「この場所に、ひとびとが足を向けるような『何か』がないといけないのではないでしょうか」
所長の渡辺さんは、そのようにおっしゃいます。
「例えば、(オーナーが苫小牧の方の)ホッコータルマエがチャンピオンズカップを勝った時には、お客様も多く集まって応援していましたし、地元紙も取材に来ました。そのようにこの場所だからという盛り上がりが必要なんだと思います。例えば『地元』ということを競馬の中で意識してもらうような取り組みですね。」
結局のところ、給付型の活性化策は「○○まつり」とついているようなイベントであっても、その場所その土地に即したものにはなり得ないわけで…
「その場所」ということをいかにお客様方に意識していただくか。
その大切さを渡辺さんは感じておられるのだと思います。
それを提供できるのは、 「もの」
ではなく、やはり 「人」
であり、競馬の主役である 「馬」
なんだと思うんですよね…。
ホッコータルマエはたまたま苫小牧にとっては幸運な例ですが、そうした 「この場所」と呼べる雰囲気を「人の手」で作り出すこと
が、その場所があり続けるために必要なんじゃないかと。
渡辺さんの話を聞いて私はそのように思いました。
最後に、苫小牧のまちを長く見てきた渡辺さんに、苫小牧のまちの「これから」について伺ってみました。
「このAiba苫小牧がある場所近辺の、市中心部が再度活性化出来るかどうかが、ポイントではないでしょうか。」

ドンキホーテがある側とは反対側の駅前。
正直、午後の時間は人通りは少ない
「例えば、かつて駅の近くに長崎屋やダイエーといった大きな商業施設が出来て、個人商店が廃れていきました。離れたところにイオンも出来て、市の中心部の活気がそちらへ奪われていったあと、長崎屋やダイエーが撤退して、中心部全体が廃れてしまった。これを何とかしないと、苫小牧のまちはこのままどんどん寂れてしまうのではないかと、心配しています。」
大きな店が出来て、地域を支えてきた小さな店を駆逐し、今度はその大きな店が立ちゆかなくなって、地域が空洞化する。
いま地域が寂れていく「方程式」みたいなものなのかも知れません。
「いま、コンビニの時代になりましたよね。その中で、コンビニが売らないものを売ろうという個人商店が息を吹き返しつつあるんです。そうした動きで、少しずつ地域が動き出せばいいんですが…」
大きなところ、幅をきかせているところが「売らないもの」を売る。
このヒント、もしかしたら地方競馬そのものに、そっくり当てはまるんじゃないでしょうか。
「地域」の中には、私が想像する以上に様々な「考えるためのヒント」がありました。
それは、その場所を訪れ、その場所のありようと、その場所にいるひとびとのありようを丹念に見ていくことによってのみ、感じることが出来るもの。
15箇所の場外発売所を訪れましたが、現場ではその「場所」を守るひとびとが、「ありよう」を感じながら奮闘していました。
そんな奮闘を、「競馬」というものがどのように支援し、そして「競馬」のありようとして守って行けるのか。
今回の取材は、それを思い考えるための「入口」に過ぎませんでした。
これからも競馬に携わっていく中で、そうしたことをどのような方法で考えていけるのか。
私がこれから競馬とともに生きていくための大きなテーマを、与えられたような気がしています。
次回からしばらく長い旅を振り返りながら、「地域」のなかの競馬のありようをどのように考えて行けばいいのか、旅の思い出をピックアップしながらまとめていきたいと思っています。
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