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2016年12月28日
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カテゴリ: 坂田 博昭
 水曜日の担当は、坂田博昭です。


 北海道の「地域」の場外発売所を巡り、競馬のありようについて探る旅も、今回で一応の一区切りと致します。最後に考えるのは、先週論じた「競馬そのものの存在」というものについて。これは最終的には、どのように競馬場や場外発売所が「あり続けるみち」を探っていくかということに繋がっていきます。

 今回の取材では、単に「地域」の場外発売所を見てくるだけでなく、その所在地の姿… 日本の「地域」の疲弊した状況も、目の当たりにしてきました



 JR滝川駅近くのデパート。
 かつての繁栄の象徴だった場所もこのように「廃墟」となり残る。
 旧滝川場外発売所はこのデパートの離れの地下にあった。


 北海道では、かつて石炭や林業などの産業に沸いた都市がその産業の衰退とともに廃れ、あるいは姿を消しつつあります。それに伴い、衰退の波は水面に石を落としたあとに出来る波紋のように広がり、周囲の地域を侵食しています。






 北海道型の地域衰退の象徴 夕張のまちの一角


 また、大都市の近隣においても、人口の停滞あるいは減少が見られ、いまの世の中の好景気とは裏腹に退行に歯止めがかからぬ現状が見て取れます。



 室蘭市役所付近の商業地域。
 室蘭も、経済構造の変化にともない、衰退と人口減少に歯止めがかからない


 そうした 地域とともに「競馬」というものがあり続けるために、必要なこと

 それは、 単純な入場人員の数字や馬券の売上げにとらわれたものの見方からは、恐らく産まれてくることはないでしょう。 いまこうして、楽天競馬を中心としてインターネットなどにより遠隔地から競馬に参加するひとびとからを通じた「富の獲得」が競馬そのものの経済を支える状況を見れば、明らかなことです。

競馬が必要とする「利潤」は、「外貨」で稼ぐ時代 。これはもう論を待たないところでしょう。
 翻って「その場所にある競馬」のありようを見ると、必要なこともまた見えてくるのではないでしょうか。

 ハッキリしているのは、 地域と競馬との間の関係について考える場合、競馬がその場所を通じて上げる収益との単純な損得勘定のみで物事を見るべきでない 、ということなんだと思います。
 「損してもいい」というのは言いすぎになりますが、「そこでどう儲けるか」を主たる興味として競馬場や場外発売所を経営することは、「地域」においては不可能。例えば一日の入場者数が何百人というオーダーの門別競馬場本場の売上に着目してしまえば、「こんな場所でやらなくていいじゃん」という話にしかなりません。そしてそれは、どんなにお金を投じて施設をよくしたり、イベントなどの振興策を打っても、解決し得ない問題です。



 GW開催で賑わう門別競馬場
 とはいえ、入場は1000名あまり。馬券収入への寄与は極めてささやか。
 競馬場にこのようにお客様方が集まることの意味は、間違いなくそれ以外にある。
 では、そうした地域に競馬がある、もっと言えばあることを許される理由は何なのか。
 それはまさに「地域への貢献」に他ならないと思います。
 競馬があることにより、地域に何らかの働きかけが出来ること。単に経済的なものだけでなく、そこにいるひとびとが集まる場所としてのムーヴメントを湧き起こしていけること。それなしに、「地域の競馬」が続いていける価値は、見いだせないのではないでしょうか。



 Aiba静内の「Aiba祭」
 地域主導のこうした取り組みを、競馬主導の取り組みとして主体的に行っていくことで、競馬の存在感を増していくことが求められている


 いま地域は巷で言われているように、様々な問題を抱えています。

職の減少と賃金水準の低下
高齢化
コミュニティの崩壊
都市インフラの老朽化
 などなど…



 夕張など衰退地域の団地には、独居老人もあふれる


 こうしたこと全てに、地域にある競馬は、競馬なりの答えを出すことが可能です。

 その場所で行う祭りやイベントが、競馬のためではなく、地域のために貢献すること。
 その場所に競馬のためだけではない、地域のコミュニティとしてひとびとが集まること その場所に人が集まることにより発展のひとつの小さな核となり、競馬のためだけではない周囲の様々な物事が整備されていくこと。
 何より、その場所に人が集まることが、ひとびとの心に競馬の楽しみだけではなく、安全や安心、ひいては生きる意欲を与えていくこと。



 サテライトいしかり「周年祭」
 場内売上のためでなく、地域のために行う場外発売所のイベント


 いまこうして経済的な余裕が生まれているときにこそ、そうしたことが出来ているのかどうか、それはつまり競馬が永く続いていくための「基礎基盤」がしっかりと固まっているのかどうか、そういうことを確認していく必要があるのだと感じています。


 わかる方はこう考えて頂ければ。
 無観客試合の「ミッドナイト」開催に、何となく違和感があることの理由って、ここなんじゃないでしょうか。要するに「何でその場所でやらなきゃいかんの?」という問いに対する答えが用意出来ないという。

 収益を上げるための「外貨獲得」の方策
 競馬が続いていくための「地域」における競馬の存在感の確保向上
 全く方向性の違うふたつの課題をきちんと正しく見据え、取り組んで行くことこそが、これから本当に競馬が、ひいては公営競技全体がこの国で続いていけるかどうかの鍵になるはず。

 これが私の今回の長い旅を経てのひとつの結論です。



 筆者の理想は、オーストラリアのカントリーレーシング
 カップデーと呼ばれる競馬場最大のレースが行われる日には、「帰省」してくるひとびとも含めて街ぐるみの巨大な祭の場となるのが競馬場
 これが真に「地域」とともにある競馬の存在感



 多くの方にとっては、恐らくこんなことは「観念的には」わかっていることなんだと思います。
 しかしそれを、例えば地域の実態を見つめながら行うことは難しい。
 またふたつの異なる問題をきちんと整理して取り組むこともまた難しい。

 これから、競馬はどうやって取り組んで、そして続いていけるでしょうか…。
 競馬に関わりお手伝いする立場でもある私としては、これからの取り組みのヒントになる貴重な経験になった取材の旅でした。
 今年も一年間、水曜日の私の稿にもおつきあい頂き、ありがとうございました。
 堅苦しい話題に終始したこの一年間の稿でしたが、「競馬のことなら何を書いても良い」というスタッフの方の助言もあり、また地方競馬に直接携わる機会が今年は少なかったこともあって、こうして自ら出かけて見聞きしてきたことを「競馬関連」という名目で文章にさせて頂きました。
 来年からは、他の皆さんが記されているように「いま行われていること」の紹介を中心に書いていくか…どのような方向性にするかは、年をまたぐこの一週間の間に少し考えたいと思っています。
 皆さま、良い年をお迎え下さい。





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最終更新日  2016年12月29日 09時19分10秒
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