天空乃舞

2005/02/07
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カテゴリ: 人生
ケネディ大統領が、好んで紹介したエピソード:ある将軍と庭師の会話

庭師: この木は100年たたないと、花を咲かせませんよ。

こう言えば、将軍は植木をあきらめるだろうと庭師は考えた。

将軍: そういうことならば、その木を今日の午後すぐに植えておけ。

*

私のいる大学には、卒業生が自分の「思い出の一冊」の裏表紙に
新入生宛のメッセージを書いて贈り、卒業していくという伝統がある。

本の選択に、私はちょっと悩んだ。
私が一年生になった時、もらったのは山本周五郎の

友達よ。ここ、笑うとこだよ。

やっぱり「武士」かよ?私、英文科だよ?
みんなペーパーバックの「老人と海」だとか「赤毛のアン」だとか、
カッコイイのもらってんのによ?
「おぬし」と「せっしゃ」の世界かよ?

とにかくそういうことだった。

だから、今回、私が私なりの厳選をしたところで、それが見知らぬ一年生にどう届くかは、わからないのだ。(学部学科関係なしにランダムで配布されるから)

けど私には、自分なりの基準があった。それは
「自分が“要らない”と思ったものは決して後輩にあげないこと」

なんだろう。。私の“こだわり”であり、私なりの誠実。

「自分の原点を、決して忘れられない大切なものを、



ダニエル・キースの「アルジャーノンに花束を」の原書。
これしかない。

私が高校卒業後、現役で進学し、授業から事務手続き、すべて英語で行われる、生まれて初めての環境についていけず、中退した大学での初めての教材だ。

書き込みだらけだ。
18歳だったから、今見たら「こんなのも知らないのか?」という単語の意味まで書き込んである。


内容に泣いたんじゃない。
4時間かけて予習したところが、授業開始20分で間に合わなくなるのだ。
そしてディスカッションが始まる。英語で。
他の学生は日本人ではない。

素晴らしい本だった。
素晴らしい教授だった。
いつも私の拙い英語での意見に真剣に耳を傾けてくださり、
口癖は“Come and see me!”
「いつでもおいで」だった。
いつの間にか単語を調べなくなっていた。
内容に泣いていた。
私が人生で始めて読了した英語の小説だった。

13年後、私はジョン・スタインベックの「ハツカネズミと人間」と、
スティーブン・キングの「グリーンマイル」に出会い、
15年目「ハツカネズミ」で卒論を執筆中に行き詰った時、この「アルジャーノン」を読み直した。

そして感じた。18歳の時には感じなかったことを。

心理学者が書く小説の心理描写と、
小説家が書いた小説の心理描写は違う。

「アルジャーノン」が自分にとっては悲しくなくなっていた。
私なりの卒業だった。
というか卒業していたことに気づいてびっくりした。

私は、あの時、18歳だったのだと。。。

それでも、「アルジャーノン」は私の英語人生の大きな原点だ。
一生変わらない。
これを手放すのは。。。という思いもあった。
ベストセラーだから、今だってどこの本屋にも売ってるし、
古本屋にだってゴロゴロある。
けど、「私のアルジャーノン」は世界にこれ一つしかない。

けど、恩は着せられない。だって、
英文科じゃない人が受け取ったら、ただのイヤミみたいなもんかも知れない。

私の宝が、他の人にとっても宝とは限らない。
でも、私には、まだ見ぬ新入生に贈りたい言葉が決まっていた。
それを書き込むとしたら、この本しかないのだ。


今までどんな失敗があったとしても、
どんなに遠回りしてきたとしても
絶対に遅すぎることはありません。
自分を信じて、大学を信じて
最後まで自分の決めた道を生き抜いてください。
私もそうすることを約束します。

○○期 Dance in the Sky(本名)




赤や黄色や緑で書き込みだらけだ。
黄色い付箋も挿んだままにした。
キタナイ。わかってる。ごめんね。

捨ててもいい。
好みじゃなかったら捨ててもいいよ。
でも、まだ見ぬ一年生のあなたよ、

自分を信じて、大学を信じて
最後まで自分の決めた道を生き抜いてください。
私もそうすることを約束します。

今までどんな失敗があったとしても、
どんなに遠回りしたとしても
絶対に遅すぎることはありません。





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Last updated  2005/02/07 06:45:23 PM
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