言葉の散歩路

2004年03月08日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
実家にはむかーしから…たぶんわたしが小学校1年とかそれ以前から、油絵の、色白の女性の胸から上の絵が、居間に飾ってあった。
もちろんビンボー生活で本物のりっぱな油絵なんかでなくて、それの印刷物なんですけどね。

家は転勤族でもないのにずいぶんと引っ越しをしてきました。
わたしが生まれてからだけでも3回。
その前から何度もしていて、兄弟4人、全員生まれた場所が違う。
まあーそー言っても同県内でだけど。

そんな引っ越しの中で無くなったりしたものも多かったけど、この絵だけはなぜだか、今も実家の居間に飾ってある。

ビンボー生活ゆえ、決して「だからきっと高価なものなんだ」などとは思いもしなかったけど、
きっとよっぽど大切にしてるんだなあー…よっぽど気に入ってるんだあ…たぶんどっかの有名な絵の印刷物なんだろーな


2、3年前、実家にお盆かお正月だかに里帰りした時に、
みんなで飲んでいてその絵の話になった。

「モナリザ」にどことなく似た顔で、綺麗で優雅な女性。
美術に詳しくなどないが、モネとかその辺の絵は割と好きで、
その我が家に昔からずーっとある「我が家のモナリザ」に対して、そしてその絵をずっと手放さずに飾り続けている父にも、ちょっと好感を持っていたわたし・・・

「そう言えばこれって、昔からずーっと家にあるよねー。。。
これ、誰かからもらったの?誰の絵ー?・・・なんかいいよねー」


こんな質問、してはいけなかったのだ

「ああー?なあーに言ってんだあ? ばあーっかもんがー」

すでにべろんべろんの父、娘に対してくだをまき始める

「これかあ!?ぶわっかもんがあ!こーれのどこがいいってかあ?これはなあ、昔おれが貧乏でえ、今みたいなエロ本なんか簡単に買えなくてなあ、ほしいほしいと思ってたらちょうどこのカレンダーをもらってなあ、しょうがないから切って、ぐちゃぐちゃになると悪いから額に入れてなあ、これをみて慰めて来たんだ、ばっかもんがあ!ひとの苦労を知らんで・・・ うんぬんかんぬん…」





カレンダー…?
エロ…?
つまり…
素敵な絵でも何でもなくて、ただちょっと色っぽい、白い素肌にすけすけのネグリジェのようなのをまとっただけのこの絵が、あなたのエロ本の代わりだった、というだけの理由で飾り続けたわけなの・・・?






けど、どことなーく、母の若い頃の写真に似てる気がするのは、考えすぎかしら…?

父はやくざではないが、やくざもの、であった。
職人で、県外から流れてきて、今の実家がある地域で母と出逢って一目惚れ。
通いに通い詰めたけれど、どこの馬の骨ともわからないやくざものに、そう簡単にやるわけにはいかないと、断りに断られ続け、それでも粘って粘って、とうとう根負けして結婚してもらった。
けれども元来が気性の激しい、短気でわがままな職人であった。

人情に厚いのはいいが、近寄ってくる人のほとんどを信じてだまされ利用され、人より稼ぎはよかったけれども酒代にいつの間にか自分のものになっている借金…
その気性ゆえに敵も多く作ってしまった。
身よりどころか信じられる人のないよその地で、
父も頑張ったと思う。

「子供が出来れば変わるだろう、きっと真面目になってくれるだろう」と母は兄を産み、「もう一人産めばきっと変わってくれるだろう」と姉を産み、もう一人、もう一人…と私で4人目。

わたしが2才か3才の頃、とうとう限界。
母も頑張ったのでしょう。


つまり父は、女房に逃げられたのである。
それから意地で4人育てあげ、今はすっかりじじーだ。

わがままなのは相変わらずだが、不器用に、でも今も子供らや孫らのため、とまだ現役でやっている。
酔っぱらった父を好きだと言える日はなかなか来そうにないけれど、いつかくる「その日」が、やはり来なければいい、と思う。
そしてその日が訪れたら…
わたしのふるさとはなくなる…
今の家が、唯一、わたしの帰る場所になるんだなあ、

          ・・・としみじみ思うのでありました。

親思う、心に勝る 親心   ・・・ですなあ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004年03月08日 15時31分48秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: