江戸こぼれ話 笑左衛門残日録

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大富士 朽木一空と五林寺隆さん

2023.07.25
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​泡沫夢幻 江戸令和 5 ​​
​​ 令和の国じゃ子供がいなくなるって 5
​​


「旦那様またあの男が来ましたよ、今日は門の方から入ってきましたよ、
 江戸の町でも漫遊してきたのですかね、すぐ、お酒の用意いたしますね、」
 おみねも少しうれしそうに泡の助の来客をご隠居に伝えるようになってきていた。
 というのも、来るたびに泡の助は江戸では見たことも食べたこともない
 土産を持ってきてくれるのだった。今日はプリンというなんとも柔らかくて甘くて
 感じたことのない食感のぷりんぷりんした口触りの菓子だった。
 「まるで、おみねさんのように、甘くてに柔らかくてぷりんぷりんしてて、、、、」
  泡の助のお世辞も少しは役に立っていたか、
 「泡の助どん、よく参いられたな、丁度下りものの酒があるのじゃ、」
 「ご隠居、それを馳走になりたくて参りました。いやあ、うまい酒ですね、」
 「そうじゃろう、やはり灘の酒が一番じゃな、鰹節もあるぞ、」
 「ところで、ご隠居、一時ばかり江戸の町を漫ろ歩きしてまいりやしたが、
  町中は童子の声で賑やかでようございますな、
 江戸に多いもの、伊勢屋稲荷に犬の糞なんて言いますが、童子のはじける声も加えた方がようござんすね、」
「江戸ではな、町人は狭い所へ押し込められておるからそう感じるのだろうよ、」
 「それでも、町は活気があって人がうようよしてますな、、」
 「江戸の人口が多いのは、農村の百姓暮らしに比べて江戸の暮らしがよく見えるからじゃ、
 不作になれば、潰れ百姓は鍬を捨てて、江戸に行けば何とかなると、江戸に流れてくるんだよ
 ~お江戸じゃね、朝夕と風呂に入り、うまいものをたらふく食い、
 暖衣飽食の暮らしだできるんだ、~
 江戸に流れてきて,すばしっこくて才覚のある者が一旗揚げて金持ちになったとか、 富くじにあったような男が一人二人いれば、我も我もとその気になって、
 結局江戸にはその日稼ぎの者が溢れるが、裏長屋で暮らせればまだいい方で、
 無宿で乞食になり非人に落ちる者もいるのじゃ。
  幕府じゃ、溢れる無宿人にたいして、人返し令まで出して百姓を里に帰らせようとしてるんだ。
米を作る人間がいなくなっちゃ困るのは幕府だからなあ、、」
 「令和の国とはえらい違いでございますね、令和の国じゃ子供がいなくなるってんで、てえへんでございますよ。
なにしろ、女子(おなご)は面倒だからと恋もしない、独り身の方が気楽だと
 嫁にも行かない、結婚しても子供は銭がかかるし、束縛されて自由に生きられないから、 赤子は産まないてえ具合でさ、
 お役所が、子供を産んだら褒美を差し上げますと言っても子供は産まない。
 近いうちに人間が半分になっちまうかもしれないってんですから、 令和の国は行く末真っ暗でございますよ、、
 そこへいくと、江戸の町じゃ、童の声があちこちから弾けて賑やかでようござんすね、 令和の国じゃ子供らの賑やかな声なんぞめったに聞くことなんかありませんや、
 江戸の町は子供らの声で活気が溢れてて、元気をもらいますよ、」
「そうか、浮の助どんの住む令和の国じゃ、人間がどんどん減ってるのか、
 でもな、江戸の人口は100万人じゃ、令和の国では1300万人もおるんじゃろ、 ぎゅうぎゅ詰めで、暮らしてるそうじゃねえか、江戸に比べりゃあ、人が減ったほうが住みやすくねえのかい?」
 「そりゃ、たしかに、江戸の町と比べりゃあ、ビルなんていうとんでもなく高い建物の中の 兎小屋のような部屋に人は詰まって暮らしてますがね、」
 「それでも、江戸の長屋に比べりゃあそ、ましなんじゃないのかい?
 ちゃんとプライバシーとかいうものは守られてるんだろう?」
 「そうですけどね、マンションとかいうビルに住む人は、~隣は何をする人ぞ~なんて言いましてね、
 プライバシーはあるんだが、隣の人とも挨拶も碌にしねえ、付き合いなんぞはありゃあしませんからね、
 老人が死んで三月もほったらかしなんてこともざらにあるんんでございますよ、
人情なんてものはどこかに忘れてきちまったんですよ、」
 「江戸の裏長屋の親切なのかおせっかいなのか人情なのかよくわからねえ、
 濃い付き合いと、どっちがいいんだろうかね?」
 はて? 迷路に迷い込んだような顔の泡の助であった。
 つづく  朽木一空





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最終更新日  2023.07.25 10:30:08
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