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2022.12.26
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カテゴリ: 日常
クリスマスも終わり、師走の忙しさったらない。
シノリちゃんは床だの家具のメンテナンスに、やっと重い腰をあげたようだ。
うちにある家具はほとんど(というか全部)彼女が決めたもので、せこせこオイルを塗る姿がこの時期は見られる。
Yチェアだとかカイ・クリスチャンセンだとか、ちょっと値の張る家具を当然のように買おうとする彼女に、そりゃ僕だって物申したいことはあった。

結果として、僕は彼女の好きにさせた。
あれは人生でトップ3に入るナイス選択だったと思う。
僕は百の言葉を飲み込み、「好きにしたら(でも、常識の範囲内でね)」と言った。
文句なんて言ったら、この先一生ナイフみたいな小言を言われ続けるに決まっている。
洋服を買ったときだって、「へえ、いいわね。あなたは好きなもの自由に買えて」とか、


なにせ結婚指輪を買ったとき、「ねえ、私の方が安いのっておかしくない?」などどほざいた女だ。
「金属量が違うんだから、仕方ないじゃん」と言った僕に、「うーん、なんだか納得いかないなぁ」と始終文句を言い続け、しまいに僕は何故かピアスまで買わされた。



閑話休題。
「好きなことしたら?」と言われたので、僕は庭の木を紅葉を剪定していた。
そうだそうだ、手に入れたアボカドの種(昨日サラダに入っていた)も埋めようと思い、いそいそとプランターを持ってきた僕は、胡桃のようなそれを埋めた。
アボカドはいかにも居心地が良さそうに、土の中で落ち着いている。まるでひなたぼっこをする犬みたいに幸福そうだ。

ふと、視線を感じ顔を上げると、シノリちゃんがこちらを見ていた。
彼女は室内にいて、「美容のプロが本気で薦める、名作コスメ」という雑誌を読んでいた。
おいおい、いそいで作業しないと正月に間に合わないんじゃないかい?と聞きたかったが、僕は言葉を飲み込んだ。

シノリちゃんは心底ばかにした顔で僕(とプランター)を眺めると、「フッ」と鼻を鳴らして雑誌に視線を戻した。
すごく失礼である。

僕は過去、レモンバームを枯らし、苔を干からびさせて、エンドウ豆を腐らせた経験がある。
元気に育ったのは畑で放置しているインゲンくらいのもので、どうやら僕の手を介すと、植物たちは一様に元気をなくしていくシステムらしい。
愛は片道切符であり、終着駅は枯れ野原。


彼女は「なに植物愛好家然してんの」とでも言いたかったのだろう。
鞭があれば一発くれてやりたいところだったが、あいにく目の前にアボカドの種しかなかった。

彼女がシュンとした方が世界は平和に近づく。
でも、僕にその勇気はない。



※このブログはフィクションであり、実際の三郎には関係ありません。





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最終更新日  2023.03.29 10:03:56
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