Emy's おやすみ前に読む物語

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Dec 23, 2006
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カテゴリ: 連載小説
みるみる目に涙が盛り上がり、大粒に流れ落ちた。

本庄が慌ててかばんからハンカチを取り出そうとするけど、

塾の教材が邪魔しているのか、すぐ出て来ない。



「きつい事、言い過ぎたな。ごめんね。」



やっと取り出したハンカチで、目を押さえる。




「―― しかも俺、ハンカチ持ってなくて。

 未だに手を洗った後、シャツで拭いちゃうし。」


年甲斐もなく女の涙に慌てて、つまらない言い訳を返す。






「先生、心配しないで下さい。




 ・・・先生、前に 『渡良瀬がうらやましいか』って

 私に聞いたの覚えてますか。

 ・・・私、やっぱりうらやましいです。」



「・・・。」



「お母さんが近くにいる事も、柏田君の事も。

 私には弟がいるけど・・・、もし妹だったら少しは違っていたのかな。」






22:00 家の前に着く。


立ち止まった時、

「本庄が今言ったものは本庄が望むもので、

 渡良瀬が欲しいものは渡良瀬の手に入っているのかな。」


「―― あっ!」




目を大きく開け、もうこれ以上ないくらい

驚いた顔をして僕を見る。



「なっ、何だ。」


本庄が首をすくめて首を横に振る。



「本庄、遅くなった事お父さんに俺から一言言うよ。」




 先生、今日はありがとうございました。」



「じゃ、いいんだな。 ―― 帰るぞ。」


僕は本庄を背に歩き出す。






―― この本庄との話は、未来の僕の心に大きく刻まれる事になる。――












暑い中、社会科資料室で天宮先生と話し、

それぞれ部活の指導に向かい、夕方帰宅する。




シャワーを浴び、Tシャツに下着姿でベッドに座り、

ビールを飲む。


本庄との話をぼんやり思い出す。



『2人が良かったのに、2人でいたかったのに、

 1人になっちゃったり、1人にされちゃったり・・・

 2人を知らなければ、1人で充分だったのに――』




“喜春さんは・・・。

 喜春さんは1人にされちゃったのか・・。”




天宮先生との話も・・・、



『だって想像できる?自分のベッドのシーツに

 本庄の長い黒髪が乱れてるのって。』




“・・・だって想像できる?

 自分のベッドのシーツに

 喜春さんの長い黒髪が乱れてるのって。“







僕は座るベッドの枕元を見る。


そしてそのまま目を閉じる・・・。



目を閉じたままベッドからすべり、床面に座る。






手元にあったのか、テレビのリモコンを押す。

テレビの音が僕を引き戻す ――。




     ―つづく―










いつもお読み頂きましてありがとうございます!

    \(^―^)人(^0^)/

今日のストーリーはいかがでしたか・・・?

次回をお楽しみに~!




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Last updated  Dec 23, 2006 09:47:31 AM
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