Emy's おやすみ前に読む物語

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Apr 4, 2009
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 6-8**


二人で自動車に乗り込む。

・・・男性に自動車で送ってもらうのも初めてだ。


街灯が頼りの、薄暗い車内。

運転席の三村の横顔が近い。



”桐原は、名倉さんのどこがよくて付き合ってるんだろ。”



耳から離れない。

頭の中をグルグル回る。

悔しくて、泣きそう―――。



孝夫が泣く女が嫌いだから。




自動車を発進させようとした時、メロディーが鳴る。

三村の携帯。

こんな非常識な時間は、彼女に決まっている。



三村が電話に出る。

隣にいるのだから、絶対聞こえるけど、

あえて聞き耳を立てる。



「――うん、まだ起きてたよ。

・・・うん。・・・うん。・・・明日?

うん、いいよ。・・じゃ、待ってる。おやすみ。」



三村が電話を切る。自動車を発進させる。






の”いいよ”の口調が、無理をねだられて、

でもそれを優しく許した様に聞こえた。



私が的外れながらぼんやりと三村に求めたものを、

目の前で三村の彼女が簡単に受け取る。

三村の彼女がねだるワガママを許すのは、彼の自由だ。




身体が熱くなり、湯気が出そうになる。




「まずはM駅に向かうから、そこからナビして。」

「はい。」

感情を抑えて返事する。



電話は、いわゆる普通の恋人同士のやり取り。

なぜ私が熱くなる?

私は孝夫の彼女。

なのにどうして、三村が気になる?




”桐原は、名倉さんのどこがよくて付き合ってるんだろ。”

の言葉を気にしているから?

いつも孝夫の言うことを聞き、望むとおりに行動している私が、

三村にあんな言い方される事はない。

それに孝夫は私を充分に分かってくれている。

関係ない三村に、分かってもらう必要などない。


だいたい三村の彼女だって、こんな非常識な時間にTELしてきて、

しかも自分本位な事・・・聞いたわけじゃないけど。


―――分かっている。

私は三村の彼女がうらやましくて・・許せない。

私はまたまた、
的外れな八つ当たりを三村に向ける。


「電話、彼女からですか。」

ダークな気持ちとは裏腹に、明るい声で聞く。

「そ。」



三村の電話の対応からして、ずっと年下のように感じた。

「彼女、いくつなんですか?」

「23?かな。」

「あっ、もしかして去年入社の子かな。若い子好きか。」

「・・・。」



三村は何も返答しない。

沈黙が続く・・・。




M駅のロータリーに近づく。

「ここから、どう行けばいいの?」


M駅の時計。街灯を兼ねてる大きな文字盤が

2:20AMを差して、まぶしく光っている。



「駅で降ります。」

「・・家まで送るよ。」

「本当に、ここでいいです。」

三村が自動車を誰もいない駅のロータリーに止める。

「ここで降ろせる訳ないだろ――」

「三村さん。」


私は三村の話をさえぎる。


「三村さんは、彼女のどこが良くて付き合ってるんですか?」


三村は前を見たまま黙って、私を見ない。



私はシートベルトをはずしながら、今日一連のお礼を

教科書を読むように言った。


「――待って、携帯出して。」

言われた通りにする。三村は自分の携帯と私の携帯を操作し、

「俺の番号送ったから、無事家着いたら鳴らして。」

「分かりました。

 それと・・・、孝夫が私のどこが好きか答えます。


 ・・・私、孝夫に会うまで男性と二人で

 お茶を飲んだ事すらありませんでした。

 初めて孝夫に食事に誘われた時はもう夢のようで。

 いまの私の髪型、髪の色、洋服、下着、ネイルとか、

 外見はもちろん――

 本とか映画とか、孝夫の薦めてくれたものは全部見る。

 そういうの、私すんなり出来ちゃうから。」


「・・・。」


三村が少し驚いたような、考え込むような顔をして

私を見ている。

この表情も初めて見る顔・・・。


あのテレて困ったような表情には出来ないけど。

なんだか嬉しいような、勝ったような気分。

私は調子に乗って、大嘘を言ってみる事にする。




「私、今日、三村さんとならしてもいいなって思って

マンションまで行ったのに・・・。

三村さん、一方的に色々話して結論出して。」



私は急いで自動車から降りる。

そして度を閉める前に一言。


「――ビビっちゃったのかな?」




ドアを閉めて、振り向かず早足で立ち去る。


三村のその気になられても大変だ。

やはり、ビビってるのは私。

孝夫を裏切らなくて良かった。

でも・・・

三村になら抱かれても・・と思う気持ちも本当だ。








!!!???
こんな二人がどうやってああなっていくの??

続きをお楽しみに・・・。






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Last updated  Apr 4, 2009 04:36:43 PM
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