クラシック音楽リスナーの局(tsubone)

クラシック音楽リスナーの局(tsubone)

February 12, 2006
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2月12日日曜日の昼下がり,わが街のコンサートホールで,リトアニア・バルティック室内オーケストラの演奏会を聴きました.指揮はこの楽団を率いるサウリュス・ソンデツキス.

オープニングはモーツァルト・イヤーにちなんだのか,ディヴェルティメント,ニ長調K.136.ティ~~~ティラ~ティラ~と音が流れ出したとたん,感じた第一印象は,おっ,音がと~っても柔らかい!でした.でもちゃんと芯はあって,決してなよなよした演奏ではありません.それで,演奏が始まったとたんにその演奏に釘付けという感じで聴きほれてしまいました.それと演奏の音や旋律の作りがとっても丁寧で,これは演奏会の最後まで変わりませんでした.

ディヴェルティメントの次の2曲は,新進気鋭のチェロ,趙静さんの登場.ボッケリーニのチェロ協奏曲第7番ト長調WV.480とロッシーニの「涙~主題と変奏」でした.趙さんは,当ブログで リサイタルの様子をご報告 していますが,中国に演奏旅行にいらしたチェロの堀先生と出会われ,堀先生の招きで東京音大に在籍され,さらに現在はドイツに在住の若手の女流チェリストです.いやぁ,これまたチェロのふくよかな音色が,オーケストラの音色とあいまって,とてもとても雰囲気のいい演奏でした.ロッシーニの曲は,もともとチェロの独奏にピアノ伴奏なのが原曲なのですが,指揮のソンデツキスさんが伴奏を弦楽合奏に編曲されたのだそうで,1楽章の協奏曲風の仕上がりになっています.

趙さんの熱演に観客も沸き,趙さんの独奏でアンコールの披露もありました.ピアティのエチュードとボッケリーニのチェロ協奏曲第8番より第2楽章をソロのみで,演奏されました.ピアティーの曲はエチュードというだけあって,忙しい細かな音符の連続する高難度の曲,アンコールの2曲目の演奏の前に,「忙しい曲で疲れたので...」(そう,日本の大学に学ばれたので日本語もお達者なのです),とご紹介されながら,こんどはゆったりとした曲の演奏.好対照で存分に実力を聴かせてくださいました.後から伝え聞きしましたのですが,今回のツァーで趙さんが演奏された楽器は,故・斉藤秀雄先生がお使いだった楽器だそうで,斎藤先生のご家族が特別に貸し出されたものだそうです.2月18日のこのツァーを最後にお返しになられるとのことでした.

休憩後半は,チャイコフスキーの2曲,「サマーリンの栄誉のための悲歌」と有名な弦楽セレナード・ハ長調.弦セレも,非常に丁寧な曲作りで,いままでよく聴いている演奏とはふた味違う演奏でした.指揮のソンデツキスさんの統率の元に,楽員が楽しみながら一緒になって音楽作りをするのを楽しんでいるという雰囲気が存分に漂ってきて,存分に楽しむことができました.アンコールにこたえて,ロッシーニの弦楽のためのソナタ・ハ長調より終楽章と,グルックのアレグレットが演奏されました.ホールのよい響きに,弦の柔らかい音色がうまくマッチし,本当にエンジョイできた演奏でした.

終演後,楽屋でしばらく趙さんとお話しをさせていただく機会がありました.演奏もそうですが,お話をすると,これまたつぎつぎいろいろなお話がつながり,止まりません.グールドの演奏のお話や,歴代の著名チェリストのお話,同じ曲のさまざまな演奏の聴き比べのお話,あっという間に30分近くがたったでしょうか.ブラームスの交響曲のお話に及んだときに, 私はジュリーニ指揮の2番が好きなんですよ, とお話しましたら,「あ,あのゆっくりの,」とすかさずお返事が返ってきました.さすが~.

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[写真]終演後のサイン会にて,指揮のソンデツキスさんとチェロの趙さん.お二人とも笑顔が素敵.ソンデツキスさんにサインを求めた子供さんへのまなざしが,また柔らかくて.






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Last updated  February 23, 2006 01:50:43 AM
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