そうだ坊主になろう!~ヒロ伊藤流仏弟子修行

そうだ坊主になろう!~ヒロ伊藤流仏弟子修行

2004年10月28日
XML
テーマ: 日常の雑談(3309)
私の言うお経とは、あの漢字だけで書かれた仏教の教典のことである。多くの日本人にとってお経を聞く機会が、お葬式だけになったのはいつ頃からだろうか。少なくとも江戸時代までは、日本人のほとんどは、どこかのお寺に属していた。お寺の檀家だったわけだ。徳川幕府のキリスト教禁止令を遵守させ、隠れキリシタンを取り締まるために、庶民の戸籍をお寺に届けさせたことによる。この戸籍のない者は、無宿人であり非人であった。盆と春秋のお彼岸は当然として、季節の歳時にお寺に行っていた。寺子屋は、その名の通り、当初は檀家の子弟が寺の坊主に読み書き算盤を習ったのが語源になっている。家庭でも年寄りは、仏壇に般若心経などをあげていたはずである。お経を聞く機会は、日常であった。

幕府と仏教界とのこの関係が、明治維新で一変し、明治政府は神仏分離令を施行して、民衆と寺を離そうとした。奈良時代以来日本宗教の伝統であった神仏を合体して考え、神と仏を同時に信仰する日本人の宗教観を否定し、代わって天皇家の祖先である天照大神を中心とする国家神道体制をつくろと企画したのである。神仏分離令後の廃仏毀釈は、貴重な文化財である寺や仏像などを破壊したり、海外に流出させる原因となった。明らかな官制文化大革命であり、信仰という極めて個人的な問題にまで踏み込んで、江戸幕府の封建体制を破壊しようとしたのである。もっともその目論見ははずれ、明治維新から百三十年以上たっても、多くの日本人は神仏を前に手を合わせている。年末年始は特に忙しいのである。

仏教にとって最大の危機だったわけだが、仏教界は従来の伝統を変えることはなかった。仏教伝来以来、延々と中国からの輸入品である漢文の教典を、ただそのまま、日本語に読み下すこともなく、唱え続けていたのである。この状況は現在も変わらない。外来語を有り難がるのは今も同じだが、日本語に翻訳された教典を布教や日常の法事に使うことはなかったのだ。

それでもまだ、江戸時代や明治時代、いや戦前くらいまでは、漢文を読む教育が徹底されており、たとえ漢文のお経でもある程度は意味を理解することができたのかもしれない。僧侶の説法や法話を聞けば、もっと理解できたのかもしれない。しかし現在では、寺に行く機会も少なく、ましてお経を聞いたり、僧侶の話を聞く機会も少ない。ほとんどの若者は漢文を読み下す能力もない。しかし、我々が日常目にするお経は、漢文のままである。仏教界の人は疑問を感じないのだろうか。日本語訳では、宗教に必要な神秘性や有り難みに欠ける? 誤解を恐れて? 中国の仏教者は、パーリ語やサンスクリット語(梵語)という古いインドの言葉で書かれていたお経を中国語に翻訳して伝えている。孫悟空で有名な玄奘三蔵も苦労して持ち帰った膨大な教典を残りの半生で中国語に翻訳している。日本語は、情を伝えるのには優れた言語だが、理を伝えるのに不向きだと? キリスト教の聖書は、世界の書物の中で一番多くの言語に翻訳されているという。普通の日本人が聖書をユダヤ語やラテン語で読むことがあるのだろうか。日本の教会で牧師や神父が、日本人を前に聖書を外国語で読み上げて、布教活動や儀式を行うのだろうか。実は仏典の研究では日本は長い歴史と蓄積があり、漢文からの翻訳や原典である梵語からの翻訳も多く出版されている。ただ僧侶が表向きにはほとんど使わないだけだ。日本の仏教だけなんか変だと思わないか。信者である一般庶民を、教えを理解できない愚者として馬鹿にしているのだろうか。

お経の日本語訳とその解説を読めば、素晴らしい『仏の智慧』が沢山載っているのに誠に残念だ。葬式仏教にしとくのはもったいない。ホントは、よく生きるための智慧なのに。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005年03月19日 14時26分46秒
コメント(6) | コメントを書く
[ヒロ伊藤流?仏弟子修行] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

カレンダー

コメント新着

深谷 三津男@ Re:お経は何故漢文なのだ?(10/28) 佛経典を文語体の日本語に翻訳したのも御…
勝手ながら入室します。@ Re:お経は何故漢文なのだ?(10/28) 日本人でブッダが現れれば、日本語で経典…
じゅん@ Re:お経は何故漢文なのだ?(10/28) 和訳は大切だと思います。 けれど一方で…
淀風庵 @ お久しぶりです 中国に行っておられて少しびっくりですが…
仏陀ではない人@ 他人ならね・・・ 恋人や夫婦、親友なら、相手の怒りを買う…
sakayu331 @ Re:ウサマ・ビンラディン殺害に思うこと(05/04) ご無沙汰でした。 お元気なようで、なに…
三人文殊 @ Re:ウサマ・ビンラディン殺害に思うこと(05/04) ご無沙汰しております。 確かに、指導…
三人文殊 @ Re:謹賀新年!(01/01) あけましておめでとうございます。 お久…
寺もっちゃん @ Re:謹賀新年!(01/01) 明けましておめでとうございます 今年も…
プライド@ そう思いませんか 私も許せない人がいます。復讐はさらに自…

バックナンバー

2026年08月
2026年07月
2026年06月
2026年05月
2026年04月
2026年03月
2026年02月
2026年01月
2025年12月
2025年11月

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: