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では、全長を抑制しながら光線入射角を抑えるにはどうしたらよいのでしょうか。まず、レトロフォーカス型の配置に近くすることは絶対条件です。この点、オリンパスの17/2.8およびソニーの16/2.8は第1レンズに凹のメニスカスを配置しています。パナソニックの20/1.7は一見するとレトロフォーカスとは違うように見えるのですが、ガウス型のような配置の後ろに凸の群が入っていて相対的に後群の凸パワーが強くなっています。レトロフォーカス型では必然的に全長が長くなってしまうという欠点があります。入射角を抑えつつこれを回避するには、強いパワーの凹の前群と凸の後群をなるべく近接して配置することが有効です。しかしながら、これは収差補正上は結構不利な配置となってしまいます。レトロフォーカス型の欠点といえば負の歪曲と倍率色収差です。歪曲はまだしも非球面の使用で補正が可能ですが、倍率色収差は前群と後群のパワーが強いと非常に補正が困難です。このうち歪曲は前群の凹レンズに高屈折率硝材を導入し、絞りから離れた面に非球面レンズを効果的に使用することが効果的と思われます。高屈折率の硝材は一般に色分散が悪化するので、倍率色収差は不利になってしまいます。なるべく絞りとはなれた接合面を使用したいところですが、小型化には逆行します。焦点距離の短い=画角が広めのオリンパスとソニーはおおよそ、前群に1枚の負メニスカスがあり、絞りを含む凸群が続く構成になっています。オリンパスは最終レンズに非球面を採用しています。歪曲やコマを直しやすいためと思います。絞りの前後に貼り合わせレンズを配置しているのは色収差のためでしょうか。ガウス型の変形のようにも見え、あまり見かけない構成ではありますが、それほど奇異には思いませんでした。ソニーは、負メニスの後に凸凸凹凸です。このうち第3レンズと第4レンズは貼り合わせをはがしたような形をしており、第3の凸が非球面です。第4レンズは像面側に強い凹面を向け、第5レンズとの間に強い発散性の空気レンズを形成していて、ちょっと無理のある構成のように感じます。24mm相当と広い画角でF2.8では、いくら非球面があっても5枚は非常につらい枚数で、かなり無理をしているのではないでしょうか。無理の痕跡はMTFにも現れていて、最周辺でサジタルのMTF曲線が急降下しています。といって、無理のない構成とすれば構成枚数が増え、全長が伸び、パンケーキではなくなります。パナソニックは焦点距離が長いので簡易ガウス型の変形のようで、見た目からレトロフォーカスというほどではありません。後ろ側に強めの凸群が入っていて、センサへの入射角を減らす役割をしています。非球面は前側の負メニスと、最終の凸レンズの2枚。第5/6レンズの貼り合わせが物体側に凸を向けていて、第5レンズへの周辺光束の入射角がきつそうで、やはりこれも無理しているのではないかと感じます。MTF低下は緩やかではありますがやはり周辺での落ち込みはあります。大口径を達成しつつ全長を抑えながら入射角を抑えるためでしょうか。こうしてみると、ミラーレス機のパンケーキレンズは各社とも古典的な構成にとどまらないものとなっており、実際のところ結構難しい設計に思えます。こういった構成の研究は結構楽しいかもしれません。
2010年06月06日
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ミラーレス一眼にはパンケーキレンズがつきもののようになりつつあります。特に、PenE-P1などをはじめとするEVFを内蔵しないタイプには必ずと言っていいほどパンケーキレンズのキットが用意されています。何と言ってもせっかくカメラ本体がコンパクトでもレンズが大きいものしかなければ、システムのコンパクトさがアピールできないというではないかと思われます。さて、そうして開発されたミラーレス用のパンケーキですが、実は従来の一眼レフカメラ用パンケーキと比べて、大きな違いがあります。その違いとは、光学系の全長そのものです。ミラーによるバックフォーカスの制約の撤廃は光学設計にとって有利な条件を意味しますが、フランジバックが短くなるということはすなわち鏡筒が長くなることを意味します。そのため、ミラーレス機のパンケーキレンズ光学系はきわめて短い全長を要求されます。フォーサーズマウントの25mmパンケーキをアダプターを介してマイクロフォーサーズのボディにつけると普通のレンズに過ぎなくなってしまうのを見ると、イメージしやすいかもしれませんね。さて、光学系全長を短くするだけであれば、実は「極めて大きな」というほどの障害ではありません。基本的に光学全長は焦点距離に比例するので、フランジバックが20mm前後ならば20mm+αの光学系を対称形で設計すると、結構成り立つと思います。しかしながら、もうひとつ面倒な制約が出てきます。それは、イメージセンサの斜入射特性であり、ローパス・IRカットなどのフィルタの存在です。一般に、イメージセンサにはなるべく垂直に光線を入射させないといけません。基本的に斜めの光線に対してイメージセンサは著しい感度低下を起こします。この原因はイメージセンサの光電変換面が配線層の奥にあって、いわば井戸の底のような状態になっていること、および感度を高めるためのマイクロレンズが斜めの光線に対しては却って光電変換面に届かなくしてしまうような振る舞いをしやすいためです。ローパス・IRカットフィルタを斜めに通過する光は非点収差を発生させたり、透過率の違いによる周辺部の色つきを引き起こすことがあります。マイクロレンズについては使用するレンズの特性がある程度わかってればマイクロレンズのシフトである程度の対応が可能ではありますが、レンズ交換式のカメラではレンズの特性は一定せず、極端なシフトには問題があります。対称配置のレンズは一般的性質として、「半画角≒像面入射角」という性質を持ちます。ごく一般的にいって、イメージセンサへの入射角が30度となると上記のような問題が極めて厳しいものとなってきます。半画角30度程度は標準レンズの画角より少々広い程度に過ぎません。「半画角>像面入射角」とするためには、前群に凹、後群に凸のレトロフォーカス型の配置が必要です。この配置は、まず全長が長くなり、対称形であれば自動的に補正される歪曲やその波長差である倍率色収差、前群の発生させるコマ収差の問題に悩まされることとなります。レトロフォーカスを採用せず、画角を狭くすることによって入射角を狭くするのもひとつの選択です。しかし一般に光学系全長は焦点距離と強い相関を持ちます。画角を狭く焦点距離を長くすれば、全長を抑えるというパンケーキレンズの大前提を崩しかねません。かように、実はミラーレス機のパンケーキレンズは、実際のところ多くの難点を抱えています。フィルムのRF機の広角であればあまり考えずにGaussやTessar、Roosinov/Biogon型対称形配置を用いればすむのですが、このような古典的なタイプではこれまでに見てきた障害のどれかに引っかかってしまいます。では、それをどのように克服していくか。明日はそれに対する一定の回答を。
2010年06月05日
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