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2005年12月31日
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カテゴリ: 露野
 だが。

 私は昼間行われた少女の裳着の式を思い出した。近隣から集まった少女の親戚たちも、寝殿の庇に大勢居並び、式を見守っていた。その中に一人、見覚えのある若い男がいたのである。

 あれは、少女を私の馬に乗せ、草いきれのする野原を遠乗りに出た時のことだった。

 私たちが野原に流れる小川の辺で馬を休ませていると、川向こうの小さな木立の影から、供を二人連れた騎馬の男がふいに現れたのだ。そして、こちらの姿を見とめると、そのままずっとこちらの様子を窺っていた。鹿狩にでも行った帰りなのか、弓を持ち胡録を背負った狩り姿をしている。綾藺笠を目深に被っていて顔ははっきりとは見えないが、濃い縹の直垂や腰に下げた太刀の好みから、まだ若い男だとわかった。

 少女はその男に気がつくと、笑いながら手を振った。男は黙ってそれを見つめていたが、結局少女には答えず、馬を返して元来た方へ駆け出し、木立の中へ消えて行った。

 少女は不満そうに言った。

「わたくしだと気付いたはずなのに、何も言わずに行ってしまわれるなんて」

「あれは何者ですか」

「わたくしの従兄です。変な方。以前はよくうちへも遊びにいらして、ずいぶん仲良くしていたのに。父上がわたくしの婿になどと言い出してから、何だか変わってしまわれたわ」






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最終更新日  2005年12月31日 13時53分58秒
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 どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。 (2005年12月31日 13時58分41秒)

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