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2006年01月21日
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カテゴリ: 露野
 扉の向こうからは何の返事も返ってこなかった。私は憮然とした面持ちで、塗籠の扉の前に座りこんだ。

 さて、どうしたものだろう。

 考えていると、しばらくして扉の向こうから、微かな妻女のすすり泣きの声が聞こえてきた。やはり、この女は私を想っているのだと、私はほくそえんだ。そして、何とか妻女を丸め込んで扉を開けさせようと、優しい声でかき口説いた。

「あなたがお泣きになるその声が、あなたの私を想う気持ちを私に教えてくれますよ。私はあなたが好きだ。初めて会った時から、あなたをお慕いしてきた。あなたも私のことをずっと想っていてくれたのでしょう。それならば、なぜ私をお避けになる。どうか、ここを開けてください」

 妻女は何も答えずに、長い間すすり泣いていた。だが、しばらくして、涙に濡れた囁き声が私の耳に聞こえてきた。

「あなたをお慕いしています。初めてお会いした時から、ずっと」

 これでようやく扉を開けてもらえる。そう思って思わずにやりと笑いを漏らした私だったが、その後に続く妻女の言葉は、私に冷水を浴びせるようなものだった。

「でも、だからこそ、わたしはここをお開けしないのです。わたしは、あなたのお気持ちがわかっているつもりでございます。あなたはこのような山里でふと出会ったわたしを、珍しくお思いになっただけでしょう。そして、気紛れに手に入れてみたくなった。ただ、それだけに過ぎませぬ。もし、わたしを思い通りにして満足なさったら、きっとわたしのことなどすぐに忘れ、ここを去って二度と逢うつもりもないことを、わたしはよく知っております」





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最終更新日  2006年01月21日 13時58分48秒
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