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2006年01月25日
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カテゴリ: 露野
 陸奥での私の生活は、穏やかに過ぎて行った。

 冬の寒さはあまりにも厳しく、野山の自然は荒々しかったが、京にはない力強い美しさがあって、私を魅了していた。人々の気風も京とはずいぶん違っていたが、慣れてしまえば温かく優しかった。

 このまま陸奥の土になってしまっても良いか。そう思い始めた頃のことだ。

 多賀城の私の屋敷に、母の家に仕える私も顔見知りの舎人が訪ねてきたのである。私を探して、ずいぶんあちこち尋ね歩いたと言う。

 舎人は旅にやつれた風体をわびながら、私に一通の文を差し出した。それは母の手蹟であった。母から文をもらったことなどほとんどない。私はいぶかしく思いながらも、その文を開いた。

 そこには、母に似合わぬ細く震えた文字で、ただ歌が一首、書かれてあった。

老いぬればさらぬ別れのありといへば いよいよ見まくほしき君かな

(人は老いればどうしても避け得ない別れが来るといいます。そう考えると、ますますあなたにお会いしたく思えて……)





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最終更新日  2006年01月25日 17時12分02秒
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