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2006年01月26日
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カテゴリ: 露野
 さらぬ別れ……少し青ざめた私に、舎人は言った。

「母宮様は近頃とみにお身体の具合がすぐれぬ御様子。側に仕える者が言うには、しきりにあなた様の名を出され、一目会いたいと仰せになられるとか」

「あの母上に限って、そのようなことはあるまい」

「いえ、私も御簾の内からではありますが、親しくお言葉を賜りました。どうか出来るだけ早く、この文を届けて欲しいと」

 私には母の真意がよくわからなかった。だが、何か妙な胸騒ぎがした。私は筆を取り、分厚いしっかりとした陸奥紙を選んで、とっさに思い付いた歌を走り書いた。

世の中にさらぬ別れのなくもがな 千代もと祈る人の子のため

(千年も長生きしてほしいと切に願う人の子のために、どうか死別などという辛いものがこの世になくて欲しいものです)

「取り敢えず、この歌を母上にお届けせよ。出来るだけ早く戻れるよう、好きなだけ馬を使え」

 私がその文と路銀を手渡すと、舎人はすぐに旅立っていった。






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最終更新日  2006年01月26日 18時05分20秒
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