佐遊李葉  -さゆりば-

佐遊李葉 -さゆりば-

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

vyゆりyv

vyゆりyv

カレンダー

カテゴリ

カテゴリ未分類

(0)

露野

(129)

心あひの風

(63)

孤舟

(59)

かるかや

(68)

蒼鬼

(253)

光明遍照

(53)

山吹の井戸

(52)

きりぎりす

(217)

遠き波音

(50)

羅刹

(193)

コメント新着

vyゆりyv @ Re[1]:羅刹 -193-(10/05) 千菊丸2151さん いつもお読みいただいて…
千菊丸2151 @ Re:羅刹 -193-(10/05) 是非このブログを残してください。 ゆり様…
vyゆりyv @ Re[1]:羅刹 -192-(09/14) 千菊丸2151さん だらだら更新に最後まで…
千菊丸2151 @ Re:羅刹 -192-(09/14) 漸く完結しましたね。 ちょっと後味が悪い…
vyゆりyv @ Re[1]:羅刹 -190-(09/08) 千菊丸2151さん 花山院皇女は惚れた弱み(…

サイド自由欄

QLOOKアクセス解析
2006年02月01日
XML
カテゴリ: 露野
 母の死後、私は深草にある別荘に篭って、母の喪に服していた。鳥の声と、風に笹竹がさらさらと鳴る音だけが響く深草の静けさは、私の心を慰めてくれた。私を訪れる友も、文を寄越す女君も、もう誰もいなかった。私は一人静かに、母のために経を誦し、歌を詠んで過ごしていた。

 このまま世を捨てて出家してもよい。そう考えはじめた頃だったろうか。

 ある日、突然朝廷から使者がやって来た。母の喪が開け次第、出仕せよというのである。

 私はいぶかしんだ。大罪を犯し、世間からも見捨てられた私を、一体誰がもう一度引き上げようとしてくれるのか。

 私の脳裏に、先頃正式に内裏に上がられたと聞いた五条の姫君の顔が過ぎった。だが、私は直ぐにそのような考えを振り払って、苦笑した。私のことを憎く思いこそすれ、あの姫君が私に手を差し伸べようとするなどあり得ない。

 だが、久しぶりに思い出した姫君の面影に、私は胸が熱くなるのを覚えた。姫君と別れたあの日以来、私は姫君のことを考えることを自分に禁じていた。

 その時突然、胸の奥から声が聞こえてきた。

 もう一度会いたい。御簾の影にほんの僅か垣間見るだけでもいいから、その姿を見たい。

 恐ろしい勢いで、そんな想いが湧きあがってきたのに気付いて、私は狼狽した。馬鹿な、そんなことはありえない。私は最初からただ誘惑するつもりで近づき、最後は無残に捨てたのだ。好きなように弄んだだけで、一度も愛したことはない。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年02月01日 13時49分43秒
コメントを書く
[露野] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: